JPH08287824A - 熱陰極構体用スリーブの製造方法 - Google Patents

熱陰極構体用スリーブの製造方法

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JPH08287824A
JPH08287824A JP8825095A JP8825095A JPH08287824A JP H08287824 A JPH08287824 A JP H08287824A JP 8825095 A JP8825095 A JP 8825095A JP 8825095 A JP8825095 A JP 8825095A JP H08287824 A JPH08287824 A JP H08287824A
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sleeve
heat
aluminum
bottomed
bottomed sleeve
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Tadanori Taguchi
貞憲 田口
Shunji Saito
駿次 斎藤
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 均一で、高温度で黒色度が変化せず、金属材
料が蒸発しない耐熱性、熱吸収性良好な熱吸収層5を得
る熱陰極構体用スリーブの製造方法を提供する。 【構成】 モリブデン、ニッケル、鉄、タングステン群
の中の1つの金属、または、この群の中の少なくとも1
つの金属を含む合金製の薄板から深絞り加工により有底
状スリーブ1を形成し、このスリーブ1の内面に、アル
ミニウムまたはアルミニウム合金を0.5μm以上の厚
さに被覆し、このスリーブ1を真空中あるいは非酸化性
雰囲気中で500〜650℃の第1次熱処理、750〜
1100℃の第2次熱処理を各0.5〜3.0時間行
い、このスリーブ1の内面にアルミニウムとスリーブ1
の構成金属との金属間化合物を形成し、このスリーブ1
を湿潤水素雰囲気中で950〜1200℃で最終熱処理
し、このスリーブ1の内面に耐熱性及び熱吸収性を有す
る黒色熱吸収層5を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱陰極構体用スリーブ
の製造方法に係わり、特に、有底状スリーブの内面にア
ルミニウム(Al)を主成分とする耐熱性及び熱吸収性
を有する黒色熱吸収層を、各種の熱処理によって形成さ
せるようにした熱陰極構体用スリーブの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、陰極線管等に用いられる熱陰極
構体は、内部にヒータを内包した高耐熱金属からなる有
底状スリーブと、この有底状スリーブの有底部の外側に
装着された陰極ペレットとからなるもので、有底状スリ
ーブの内面に黒色または灰色の熱吸収層が形成されてい
る。かかる黒色または灰色の熱吸収層は、ヒータの発熱
時に、ヒータから放散される輻射熱を吸収し、有底状ス
リーブを効率的に加熱するのに役立っているもので、含
浸形陰極のように、陰極動作温度が高い、例えば、約1
000℃動作の陰極構体においては、不可欠なものにな
っている。
【0003】この場合、有底状スリーブの内面のみを黒
化させ、黒色または灰色の熱吸収層を形成させる方法に
は、その1つとして、特開昭56−73834号に開示
されているようなクラッド法がある。このクラッド法
は、ニッケル(Ni)薄板と、ニッケル−クローム(N
i−Cr)合金薄板とを貼り合わせた複合板材を、深絞
り加工によって有底状スリーブを形成し、その後、この
有底状スリーブを加熱処理し、内側にあるニッケル−ク
ローム(Ni−Cr)合金薄板を黒化させて熱吸収層を
形成するものである。
【0004】また、黒色または灰色の熱吸収層を形成さ
せる方法の他のものとして、西独国特許第868026
号明細書に開示されているような方法がある。この方法
は、金属薄板と数μm程度の厚さのアルミニウム(A
l)層またはアルミニウム(Al)合金層とからなる複
合層を、深絞り加工によって有底状スリーブを形成し、
この有底状スリーブを非酸化性雰囲気中で加熱し、アル
ミニウム(Al)とモリブデン(Mo)の化合物である
(Al3 Mo)等の組成の粗面層からなる熱吸収層を形
成するものである。
【0005】ここで、図5は、前記西独国特許第868
026号明細書に開示されている既知の熱陰極構体の構
成の一例を示す断面図である。
【0006】図5において、51は高耐熱金属であるモ
リブデン(Mo)製の有底状スリーブ、52は高耐熱金
属製の障壁層、53は熱陰極ペレット、54はアルミニ
ウム(Al)とモリブデン(Mo)の化合物である(A
3 Mo)等の組成の粗面層からなる熱吸収層、55は
ヒータである。
【0007】そして、有底状スリーブ51の有底部外側
に、熱陰極ペレット53を挿入した障壁層52が装着さ
れ、有底状スリーブ51の内面に熱吸収層54が設けら
れている。また、有底状スリーブ51にヒータ55が内
包され、熱陰極構体が構成されるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭56−73
834号に開示の熱陰極構体及び前記西独国特許第86
8026号明細書に開示の熱陰極構体は、いずれも、異
種金属からなる2枚の薄板を重ね合わせた複合層を形成
し、この複合層を深絞り加工によって有底状スリーブに
形成するようにしているものであるが、薄板からなる2
枚の異種金属を深絞り加工することは、これら異種金属
における加工性が異なるため、深絞り加工を行って有底
状スリーブを形成することが困難であるという問題があ
る。
【0009】とりわけ、前記西独国特許第868026
号明細書に開示の熱陰極構体にように、モリブデン(M
o)の薄板に数μm程度の厚さのアルミニウム(Al)
層またはアルミニウム(Al)合金層を被着させた複合
層から深絞り加工によって有底状スリーブを形成する場
合は、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との
硬度に大きな開きがあり、加工特性に大きな差があった
り、または、被着させたアルミニウム(Al)層または
アルミニウム(Al)合金層がかなり薄かったりして、
有底状スリーブを形成した際に、粗面層からなる熱吸収
層は、厚さが均一にならなかったり、部分的に剥がれた
りして、均一な熱吸収層を構成することが難しいという
問題があり、その上に、熱吸収層を構成しているアルミ
ニウム(Al)及びモリブデン(Mo)化合物(Al3
Mo)等が使用時の高温度で不安定になり、アルミニウ
ム(Al)が蒸発して陰極線管等のバルブ内面に付着
し、陰極線管等の耐電圧特性が劣化したり、熱吸収層の
黒色度が低下したりするという問題もある。
【0010】本発明は、これらの問題点を解決するもの
で、その目的は、全体が均一で、高温度下で黒色度が変
化せず、金属材料が蒸発しない耐熱性かつ熱吸収性の良
好な熱吸収層が得られる熱陰極構体用スリーブの製造方
法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、 1.モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉄(F
e)、タングステン(W)からなる群から選ばれた1つ
の金属、または、この群から選ばれた少なくとも1つの
金属を含んだ合金からなる薄板を、深絞り加工によって
有底状スリーブを形成する工程、 2.前記工程1で得られたスリーブの内面に、アルミニ
ウム(Al)またはアルミニウム(Al)合金を0.5
μm以上の厚さで被覆する工程、 3.前記工程2で得られた有底状スリーブを真空中ある
いは非酸化性雰囲気中において500乃至650℃の第
1次熱処理を、それに続いて、750乃至1100℃の
第2次熱処理を、それぞれ0.5乃至3.0時間行っ
て、前記有底状スリーブの内面にアルミニウム(Al)
と有底状スリーブ構成金属との金属間化合物を形成する
工程、 4.前記工程3で得られた有底状スリーブを湿潤水素
(H2 )雰囲気中において950乃至1200℃で最終
熱処理し、前記有底状スリーブの内面に耐熱性及び熱吸
収性を有する黒色熱吸収層を形成する工程、をそれぞれ
経て熱陰極構体用スリーブを製造する手段を具備してい
る。
【0012】
【作用】前記手段によれば、工程1において、均質な物
理特性を有する金属薄板を深絞り加工し、有底状スリー
ブを形成しているので、比較的簡単な絞り加工技術を用
いることが可能になり、有底状スリーブの製造歩留まり
が大幅に上昇する。また、工程2において、有底状スリ
ーブの内面にアルミニウム(Al)等の被着を行う場
合、真空蒸着法、スパッタリング法、気相成長法、電気
メッキ法等の既知の薄膜形成手段、好ましくは、スパッ
タリング法を用いているので、アルミニウム(Al)等
の被着を容易に行うことができる。さらに、工程3にお
いて、第1次熱処理によって、アルミニウム(Al)及
び有底状スリーブ構成金属、例えば、モリブデン(M
o)を薄膜表面に均一に固着させ、それに続く第2次熱
処理によって、アルミニウム(Al)とモリブデン(M
o)との種々の金属間化合物を形成させ、工程4におけ
る最終熱処理により、前記種々の金属間化合物から熱的
に安定な1つの金属間化合物、アルミニウム−モリブデ
ン(Al−Mo)酸化物、アルミナ(Al23)等の組
成の有し、表面に微細な凹凸を有する黒色熱吸収層を形
成している。
【0013】このように、前記手段に係わる製造方法に
よれば、熱的に安定な組成であることから耐熱性に優
れ、微細な凹凸による増大した熱吸収面積を有すること
から熱吸収性が優れ、かつ、黒色度が変化せず、含有金
属の蒸発もない熱吸収層を得ることができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0015】図1(a)乃至(d)は、本発明に係わる
熱陰極構体用スリーブの製造方法の一実施例を示す構成
図であって、熱陰極構体用スリーブが製造される過程を
示すスリーブの断面図である。
【0016】図1(a)乃至(d)において、1はモリ
ブデン(Mo)製の有底状スリーブ、2は有底状スリー
ブ1の内面に被着されたアルミニウム(Al)製の薄
膜、3はアルミニウム(Al)とモリブデン(Mo)と
の金属間化合物(AlMo3 )層、4はアルミニウム
(Al)とモリブデン(Mo)との金属間化合物(Al
Mo)層、5は粗面層である黒色熱吸収層である。
【0017】前記構成による熱陰極構体用スリーブは、
次のように製造される。
【0018】まず、厚さ75μmのモリブデン(Mo)
の薄板を用意し、この薄板を既知の金属絞り加工機(図
示なし)によって深絞り加工し、図1(a)に示される
ように、有底状スリーブ1を構成する。このとき、有底
状スリーブ1は、開口端部にフレア(拡がり)を設けた
もので、そのサイズの一例を挙げれば、スリーブの平坦
部分の外径が1.8mm、フレア部分の外径が2.1m
m、スリーブの長さが2.1mmである。なお、有底状
スリーブ1は、有底部の中央に小孔を設けるようにして
もよい。
【0019】次に、既知のスパッタリング装置を用い、
有底状スリーブ1の内面に、図1(b)に示されるよう
に、厚さ1.2μmのアルミニウム(Al)薄膜2を被
着させる。
【0020】ここで、図4は、このアルミニウム(A
l)薄膜2の被着に用いた既知のスパッタリング装置の
一例を示す断面構成図である。
【0021】図4に示されるように、スパッタリング装
置は、容器40と、陽極となる回転基板41と、回転基
板41上に載置されるホルダー42と、陰極となるアル
ミニウム(Al)製のターゲット43と、ホルダー42
及びターゲット43間に離間配置されるシャッター44
と、ターゲット43を囲んだシールド板45と、容器4
0とターゲット43間に接続される高電圧電源46と、
冷却水挿入口47と、真空排気口48と、不活性ガス挿
入口49とからなり、ホルダー42の一部に有底状スリ
ーブ1を配置するための凹部42aが設けられている。
【0022】このスパッタリング装置を用いてスパッタ
リングを行う場合、まず、有底状スリーブ1をホルダー
42に設けられた凹部42a内に配置し、そのフレア部
によって有底状スリーブ1を凹部42a内に保持させ
る。次いで、高電圧電源46によって回転基板41とタ
ーゲット43間に直流高圧を印加し、冷却水挿入口47
から冷却水を供給し、真空排気口48から排気を行い、
不活性ガス挿入口49から放電用アルゴン(Ar)ガス
を供給し、さらに、回転基板41を回転させ、有底状ス
リーブ1をアルミニウム(Al)製のターゲット43に
対して自公転させることによりスパッタリングが行われ
る。かかるスパッタリングにより、有底状スリーブ1の
内面に、厚さ3μm程度のアルミニウム(Al)薄膜2
を被着させる。なお、このスパッタリングにおいては、
有底状スリーブ1の内面だけにアルミニウム(Al)薄
膜2が被着され、その外面へのアルミニウム(Al)薄
膜の被着が避けられる。
【0023】次いで、アルミニウム(Al)薄膜2を被
着させた有底状スリーブ1を、真空雰囲気内において6
00℃で30分間加熱する第1次熱処理を行い、それに
続いて、同じ真空雰囲気内において800℃で1時間加
熱する第2次熱処理を行う。このとき、有底状スリーブ
1の内面には、図1(c)に示されるように、内側にア
ルミニウム(Al)とモリブデン(Mo)との金属間化
合物(AlMo)層13が、外側に同じアルミニウ
ム(Al)とモリブデン(Mo)との金属間化合物(A
3 Mo)層14が形成される。
【0024】続いて、2層の金属間化合物(AlM
3 )層13、金属間化合物(Al3 Mo)層14が形
成されている有底状スリーブ1を、湿潤水素(H2 )雰
囲気内において1000で1時間加熱する最終熱処理を
行う。このとき、有底状スリーブ1の内面には、図1
(d)に示されるように、有底状スリーブを構成してい
るモリブデン(Mo)の上に、アルミニウム(Al)と
モリブデン(Mo)との金属間化合物(AlMo3 )、
アルミニウム−モリブデン(Al−Mo)酸化物、アル
ミナ(Al23)等からなる黒色熱吸収層5が形成され
る。
【0025】前述の工程を経て製造された黒色熱吸収層
5は、いずれも、熱的に安定な組成のものだけであるの
で、高温度下においてもアルミニウム(Al)が蒸発し
たり、黒色度が変化したりすることがなく、また、多く
の微細な凹凸を有しているため、耐熱性に優れ、かつ、
熱吸収性に優れた熱吸収層になる。
【0026】ここで、図2は、アルミニウム(Al)と
モリブデン(Mo)との間に形成される各種の金属間化
合物と、それら金属間化合物における溶解温度(分解温
度)を表す説明図である。
【0027】図2において、縦軸は、℃で示される溶解
温度(分解温度)、横軸は、%で示されるモリブデン
(Mo)の原子百分率及びモリブデン(Mo)質量であ
る。
【0028】図2に示されるように、アルミニウム(A
l)とモリブデン(Mo)との間には、それらの含有比
率に応じて、(Al12Mo)、(Al5 Mo)、(Al
3 Mo)、(Al2 Mo)、(AlMo3 )等の各組成
を有する金属間化合物が形成されるが、これら金属間化
合物(Al12Mo)、(Al5 Mo)、(Al3
o)、(Al2 Mo)、(AlMo3 )の中で、金属間
化合物(AlMo3 )の溶解温度(分解温度)は、それ
以外の金属間化合物(Al12Mo)、(Al5 Mo)、
(Al3 Mo)、(Al2 Mo)の溶解温度(分解温
度)に比べてかなり高くなっている。このため、有底状
スリーブ1の内面に形成されたこれらの金属間化合物
(Al12Mo)、(Al5 Mo)、(Al3 Mo)、
(Al2 Mo)は、高い輻射熱の供給によって化学的に
変化し、他の組成のものに変換される、即ち、熱的に必
ずしも安定でないのに対し、金属間化合物(AlM
3 )は、高い輻射熱の供給によっても化学的に変化し
ない、熱的に安定なもので、最終的に得られた黒色熱吸
収層5の中に残留しているものである。
【0029】また、図3は、有底状スリーブの内面に熱
吸収層を被着させた熱陰極構体におけるスリーブ内面の
熱輻射特性を示す特性図であって、熱吸収層を被着させ
ない熱陰極構体との熱輻射特性の比較も示すものであ
る。
【0030】図3において、縦軸は熱輻射率、横軸は陰
極動作温度であり、曲線は本実施例の製造方法によっ
て製造した熱陰極構体の特性、曲線は既知の熱陰極構
体の特性、曲線は熱吸収層を被着させていない熱陰極
構体の特性をそれぞれ示すものである。
【0031】図3の曲線に示されるように、熱吸収層
を被着させていない熱陰極構体は、陰極動作温度の全域
にわたって熱輻射率が小さい(曲線)のに対し、熱吸
収層を被着している熱陰極構体は、熱輻射率が大きい
(曲線、)ものである。とりわけ、本実施例の製造
方法によって製造した熱陰極構体の熱輻射率(曲線)
は、既知の熱吸収層を被着している熱陰極構体の熱輻射
率(曲線)に比べ、陰極動作温度の全域にわたって
0.2程度大きくなっており、本実施例の製造方法によ
って製造した熱陰極構体は、有底状スリーブの内面に被
着されている黒色熱吸収層5の熱輻射率が既知のいずれ
の熱陰極構体の熱吸収層の熱輻射率よりも優れているこ
とが判る。
【0032】そして、本実施例の製造方法によって製造
した熱陰極構体の熱吸収層5は、微妙な凹凸構造のもの
で、ガス吸着法によって測定したところ、マクロ的表面
積の約4.1倍程度の表面積を有していることが判っ
た。
【0033】このように、本実施例の製造方法で得られ
た熱陰極構体の熱吸収層5は、熱的に安定な組成のもの
によって構成されているので、耐熱性に優れ、黒色度が
変化せず、内部金属の蒸発等もない安定な粗面層にな
り、しかも、この粗面層は、表面に微細な凹凸を有して
いるので、熱吸収面積が増大し、熱吸収性の優れたもの
になる。
【0034】なお、本実施例においては、有底状スリー
ブ1の形成金属材料がモリブデン(Mo)である例を挙
げて説明したが、本発明において使用可能な有底状スリ
ーブ1の形成金属材料は、モリブデン(Mo)に限られ
ものではなく、モリブデン(Mo)と同等の高耐熱金
属、即ち、モリブデン(Mo)を含むニッケル(N
i)、鉄(Fe)、タングステン(W)からなる群から
選ばれた1つの金属、または、この群から選ばれた少な
くとも1つの金属を含んだ合金を使用してもよい。
【0035】また、本実施例においては、有底状スリー
ブ1の内面に、スパッタリングによりアルミニウム(A
l)薄膜2を3μm程度の厚さに形成させる例を挙げて
説明したが、本発明の製造方法は、かかる被着例に限定
されるものではなく、アルミニウム(Al)の代わりに
アルミニウム(Al)合金を用いてもよく、スパッタリ
ング法の代わりに真空蒸着法、気相成長法、電気メッキ
法のいずれを用いてもよく、薄膜2の厚さを3μm以外
の他の厚さ、即ち、0.5乃至10μm程度になるよう
に選んでもよい。
【0036】さらに、本実施例においては、内面に薄膜
2を被着させた有底状スリーブ1を、第1次熱処理、第
2次熱処理、最終加熱処理における加熱温度及び加熱時
間を、それぞれ、600℃で30分、800℃で1時
間、1000℃で1時間とした例を挙げて説明したが、
本発明の製造方法は、かかる加熱温度や加熱時間に限定
されるものではなく、第1次熱処理として500乃至6
50℃の範囲、第2次熱処理として750乃至1100
℃の範囲、最終加熱処理として950乃至1200℃の
範囲であればよく、加熱時間もそれぞれの熱処理につい
て0.5(30分)乃至3時間の範囲であればよい。
【0037】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にお
いては、均質な物理特性を有する金属薄板を、比較的簡
単な絞り加工技術による深絞り加工を行って有底状スリ
ーブを形成し、この有底状スリーブの内面に、真空蒸着
法、スパッタリング法、気相成長法、電気メッキ法等の
既知の薄膜形成手段によりアルミニウム(Al)薄膜を
被着させ、薄膜を被着させた有底状スリーブに対して、
第1次熱処理によりアルミニウム(Al)及び有底状ス
リーブ構成金属を薄膜表面に均一に固着させ、第2次熱
処理によりアルミニウム(Al)と有底状スリーブ構成
金属との種々の金属間化合物を形成させ、最終熱処理に
より種々の金属間化合物から熱的に安定な1つの金属間
化合物、アルミニウム−モリブデン(Al−Mo)酸化
物、アルミナ(Al23)等の組成の有する熱吸収膜を
形成している。そして、この熱吸収膜は、表面に微細な
凹凸を有しているものである。
【0038】このように、本発明の製造方法によれば、
熱的に安定な組成であることから耐熱性に優れ、微細な
凹凸による増大した熱吸収面積を有することから熱吸収
性が優れ、かつ、黒色度が変化せず、含有金属の蒸発も
ない熱吸収層を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる熱陰極構体用スリーブの製造方
法の一実施例を示す構成図である。
【図2】アルミニウムとモリブデンとの間に形成される
各種の金属間化合物と、それら金属間化合物における溶
解温度(分解温度)を表す説明図である。
【図3】有底状スリーブの内面に熱吸収層を被着させた
熱陰極構体におけるスリーブ内面の熱輻射特性を示す特
性図である。
【図4】既知のスパッタリング装置の一例を示す断面構
成図である。
【図5】既知の熱陰極構体の構成の一例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 モリブデン製の有底状スリーブ 2 アルミニウム製の薄膜 3 アルミニウムとモリブデンとの金属間化合物(Al
Mo3 )層 4 アルミニウムとモリブデンとの金属間化合物(Al
3 Mo)層 5 粗面層となる黒色熱吸収層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有底状スリーブの有底部外側に陰極ペレ
    ットが装着され、スリーブの内部にヒータが配置される
    熱陰極構体用スリーブにおいて、下記の各工程を経て製
    造されることを特徴とする熱陰極構体用スリーブの製造
    方法。 1.モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、鉄(F
    e)、タングステン(W)からなる群から選ばれた1つ
    の金属、または、この群から選ばれた少なくとも1つの
    金属を含んだ合金からなる薄板を、深絞り加工によって
    有底状スリーブを形成する工程、 2.前記工程1で得られたスリーブの内面に、アルミニ
    ウム(Al)またはアルミニウム(Al)合金を0.5
    μm以上の厚さで被覆する工程、 3.前記工程2で得られた有底状スリーブを真空中ある
    いは非酸化性雰囲気中において500乃至650℃の第
    1次熱処理を、それに続いて、750乃至1100℃の
    第2次熱処理を、それぞれ0.5乃至3.0時間行っ
    て、前記有底状スリーブの内面にアルミニウム(Al)
    と有底状スリーブ構成金属との金属間化合物を形成する
    工程、 4.前記工程3で得られた有底状スリーブを湿潤水素
    (H2 )雰囲気中において950乃至1200℃で最終
    熱処理し、前記有底状スリーブの内面に耐熱性及び熱吸
    収性を有する黒色熱吸収層を形成する工程。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1302969A1 (en) * 2001-10-11 2003-04-16 Tokyo Cathode Laboratory Co., Ltd. Sleeve for hot cathode structure and method for manufacturing such sleeve
JP4824024B2 (ja) * 2004-06-09 2011-11-24 ビーコ・インストゥルメンツ・インコーポレイテッド 耐熱性金属材料の放射率を増大させる方法、増大された放射率を有する放射加熱要素、ウエハキャリア用の耐熱性金属材料を作製する方法、及び熱吸収面用の材料を作製する方法
JP2019061788A (ja) * 2017-09-25 2019-04-18 新日本無線株式会社 電子管用カソードの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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