JP3944963B2 - 酸化物超電導薄膜の製造方法および製造装置 - Google Patents

酸化物超電導薄膜の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物超電導薄膜の製造方法および製造装置に関するものであり、特に、結晶性が高く、超電導特性に優れた大面積の酸化物超電導薄膜を製造する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薄膜成長法によって単結晶基板上に酸化物超電導薄膜を形成する際には、単結晶基板を通常600℃以上の高温に加熱する必要がある。従来、たとえば、MgO、LaAlO3 、SrTiO3 、Al2 3 、YAlO3 、NdGaO3 、LaSrGaO4 等に代表される単結晶基板を加熱する際には、ニクロム線、ハロゲンランプヒータ等の熱源を用いて、まず金属製の基板ステージを加熱し、その上に直接接触するように基板を配置して、基板を熱伝導により加熱していた。
【0003】
一般に、単結晶基板は、その上に結晶性の良い薄膜を形成するため、数十Åの表面粗さまで鏡面研磨が施されている。したがって、上述の加熱方法では、金属製の基板ステージの加熱による僅かな歪みにより、基板が基板ステージに接触しない部分ができてしまうため、基板全体を均一に加熱することが非常に困難であった。
【0004】
そこで、このような問題を解決するため、単結晶基板と基板ステージとの間に銀ペーストを塗り、より均一な熱接触を行なうことも試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の銀ペーストを用いる手法では、数mm角程度の小片基板であれば良好な加熱が行なえるものの、1インチ径以上の大面積単結晶基板では、基板と基板ステージとの熱膨張係数の違いから銀ペーストが剥がれてしまい、基板を均一に加熱することが非常に困難であった。
【0006】
また、近年デバイス用途として基板両面に酸化物超電導薄膜を形成することが望まれているが、上述した基板ステージに直接接触させる加熱方法では、一方の面に膜形成した後他方の面に膜形成を行なう際に、先に形成した膜が基板ステージの構成物質や銀ペーストなどと反応してしまうため、特性が著しく劣化してしまうという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、上述の問題点を解決し、1インチ径以上の大面積単結晶基板においても、均一に高品質な酸化物超電導薄膜を基板両面に形成することを可能とする、酸化物超電導薄膜の製造方法および製造装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による酸化物超電導薄膜の製造方法は、薄膜成長法により単結晶基板上に酸化物超電導薄膜を形成する方法であって、単結晶基板を熱源からの光を用いて加熱する際、熱源から放出された光のうち、単結晶基板に吸収されずに透過した光を、単結晶基板との距離が50mm以下となる位置に設けられたマスクを用いて反射し、かつ、マスクに吸収された光エネルギを輻射させることにより、再度単結晶基板の加熱に寄与させることを特徴とする。
【0009】
一般に、真空下での基板の加熱は、大気中と異なり熱を伝える空気などの媒体がないため、熱源からの光による輻射加熱、または熱源への直接の接触による伝導加熱しか行なうことができない。ここで、MgO、LaAlO3 、SrTiO3 、Al2 3 、YAlO3 、NdGaO3 、LaSrGaO4 等に代表される単結晶基板は、半透明であるため光を透過してしまい、通常、輻射による加熱では十分な加熱を行なうことができない。
【0010】
そこで、従来は、前述したように加熱された基板ステージに直接接触させることにより、熱伝導による加熱を行なっていた。しかしながら、この手法では、1インチ径以上の大型単結晶基板の場合、熱歪みにより基板ステージでの接触が不十分となってしまうため、基板全面を加熱することが非常に困難であった。
【0011】
この発明においては、単結晶基板を熱源からの光を用いて加熱する際、熱源から放出された光のうち、単結晶基板に吸収されずに透過した光を、マスクを用いて反射し、かつ、マスクに吸収させる。マスクにより反射された光は、基板の再加熱に寄与する。一方、マスクに吸収された光は、マスクの温度を上昇させ、その結果、マスクから熱の輻射が発生し、最終的に基板の再加熱に寄与する。単結晶基板とマスクとの距離を50mm以下とすることにより、本願発明の効果が顕著に発揮される。
【0012】
この発明によれば、基板を熱源に直接接触させないため、大型の単結晶基板においても、均一かつ十分な加熱が可能となる。したがって、MgO、LaAlO3 、SrTiO3 、Al2 3 、YAlO3 、NdGaO3 、LaSrGaO4 等に代表される半透明の大型単結晶基板を用いた場合においても、高品質な酸化物超電導薄膜を形成することができる。
【0013】
また、この発明による酸化物超電導薄膜の製造装置は、上述の方法を実施するための装置であって、具体的には、薄膜法により単結晶基板上に酸化物超電導薄膜を形成する装置であって、単結晶基板を加熱するための熱源を有する基板加熱手段と、熱源から放出された光のうち、単結晶基板に吸収されずに透過した光を、反射し、かつ、吸収して光エネルギを輻射することにより再度単結晶基板の加熱に寄与させるためのマスクとを備え、基板加熱手段上に装着された単結晶基板と、マスクとの距離が、50mm以下である
【0014】
この発明においては、基板加熱手段上に単結晶基板が装着され、さらにその上に基板全面を覆うマスクが配置される。
【0015】
この発明において、基板加熱手段上に装着された単結晶基板とマスクとの距離50mm以下とすることにより、本願発明の効果が顕著に発揮される。
【0016】
また、この発明において、基板加熱手段の熱源としては、ニッケル、クロムおよび鉄を主成分とするニクロム線の他、SiC、ハロゲンランプ等を用いることができる。
【0017】
また、本願発明において、薄膜成長法としては、たとえば、レーザアブレーション法を用いることができる。
【0018】
また、本願発明において、マスクとしては、ハステロイ、インコネル、ステンレス等の耐熱性合金の他、モリブデン、SiC等からなるものが用いられる。
【0019】
また、本願発明において、単結晶基板としては、MgO、LaAlO3 、SrTiO3 、Al2 3 、YAlO3 、NdGaO3 、LaSrGaO4 等の誘電体材料からなるものが用いられる。
【0020】
また、本願発明が適用される酸化物超電導薄膜としては、Rx BaY CuZ W (X=0.1〜1.5、Y=1.5〜2.5、Z=2.5〜3.5、W=6.5〜7.5)の組成を有し、RはY、Gd、Eu、Nd、Ho、Yb、Tb、Sm、Pr、Dy、Lu、Er、Tm等からなるものが挙げられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態の一例を説明する。
【0022】
図1は、本願発明による酸化物超電導薄膜の製造装置の一例を示す斜視図である。
【0023】
図1を参照して、この装置は、図1(A)に示す単結晶基板3を加熱するための基板加熱ヒータ2と、図1(B)に示すマスク1とが、図1(C)に示すように組合されて構成される。
【0024】
なお、ここでは、単結晶基板3の形状が円形であるとし、それに合わせて基板加熱ヒータ2も円形とするが、単結晶基板3、および基板加熱ヒータ2は、必ずしも円形である必要はなく、これらの形状に本願発明の効果は何ら制限されるものではない。
【0025】
図2は、図1(C)に示す装置の内部構造を示す断面図である。
図2を参照して、この装置において、基板3は、ニクロム線、SiC線、ハロゲンランプ等の熱源21を内蔵する基板加熱ヒータ2上に装着される。熱源21と基板3との間には、たとえば、石英ガラス等の光を透過し、かつ、耐熱性のある材料が配置されてもよい。マスク1は、装着する基板加熱ヒータ2の形状に合わせてここでは円形とする。マスク1の材質は、光の透過を防ぐものであれば何ら限定されないが、ハステロイ、インコネル、ステンレス等の耐熱性のある合金や、モリブデン、SiC等が望ましい。マスク1は、基板加熱ヒータ2およびその上に装着された基板3の全体を覆い隠すように配置される。
【0026】
熱源21より放射された光は、その一部が基板2に吸収されて直接加熱に寄与し、大部分は透過されてマスク1に到達する。なお、光が基板に吸収されるか、もしくは基板を透過するかは、基板3の材質、光の波長等に依存する。
【0027】
マスク1に到達した光のうち、その一部はマスク1に反射され再度基板3の方向に放射され、残りはマスク1に吸収されてマスク1の加熱に寄与する。なお、光が反射されるか、もしくは吸収されるかは、マスクの材質、光の波長等に依存する。
【0028】
反射された光は、基板3に再度到達しても再度透過されるため、基板の加熱には直接寄与しない。しかしながら、基板周囲の雰囲気ガスを加熱するため、雰囲気ガスからの熱伝導により、基板3が加熱される。なお、通常酸化物超電導薄膜を形成する際は、真空チャンバ内に酸化力のあるガスを導入するため、完全な真空状態にはならず、基板周囲には雰囲気ガスが存在している。
【0029】
さらに、加熱されたマスク1は、遠赤外線領域の波長を基板3方向に放射し、これが基板3の加熱に主として寄与することになる。
【0030】
このようにして、本願発明によれば、大面積の光透過性のある単結晶基板に対しても、均一かつ高温に加熱することが可能になる。
【0031】
図3は、図1および図2に示す本願発明による酸化物超電導薄膜の製造装置を用いて、レーザアブレーション法により酸化物超電導薄膜を製造する状態を示す斜視図である。図3を参照して、ステージ6上に載置された酸化物超電導体の焼結体からなるターゲット4に、エキシマレーザ7を照射し、ターゲットの構成物質を蒸発させ、蒸着粒子5を基板3上に堆積させる。
【0032】
単結晶基板3は、蒸着粒子5の飛行方向に対して平行に配置される。また、基板3は、蒸着中、膜厚が均一になるように回転軸23により回転される。
【0033】
また、マスク1の一部には、蒸着粒子5が基板3に到達できるように、窓11が設けられている。
【0034】
また、成膜中、ターゲット4を載置するステージ6は、回転軸63により回転される。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
図1〜図3に示す酸化物超電導薄膜の製造装置を用いて、以下のように実際に酸化物超電導薄膜の成膜を行なった。
【0036】
熱源には、1mm径のニクロム線を使用した。基板材料はLaAlO3 で、基板サイズは3インチ径、0.5mm厚のものを用いた。成膜方法は、焼結体ターゲットにレーザを照射し、ターゲット構成物質を蒸発させて蒸着粒子を基板上に堆積させるレーザアブレーション法を用いた。レーザとしては、波長248nmのKrFエキシマレーザを採用した。ターゲットとしては、酸化物超電導物質であるY1 Ba2 Cu3 7-y 焼結体を用いた。
【0037】
単結晶基板は、蒸着粒子の飛行方向に対して平行に配置し、蒸着中、膜厚が均一になるように回転運動を行なった。
【0038】
マスクは、ステンレスからなり、厚さ1mmのものを用いた。また、マスクの一部には、蒸着粒子が基板に到達できるように窓が設けられていた。
【0039】
マスクと基板との間隔は、50mmとした。
まず、成膜前に基板を加熱し、加熱後の基板の温度分布を測定した。その結果を、図4に示す。図4から明らかなように、加熱後の基板温度は、750±5℃であり均一性があった。なお、熱電対による測定のため、このとき基板は回転していなかった。したがって、実際の成膜時には、回転することによりさらに均一性が高められるものと考えられる。
【0040】
次に、以下のように酸化物超電導薄膜の成膜を行なった。
成膜条件は、レーザ繰返し周波数を40Hz、成膜雰囲気を140mTorr(酸素)とした。30分間成膜を行なった後、大気圧になるまで酸素ガスを導入し、基板温度を室温まで下げた。
【0041】
得られた3インチ径薄膜について、図5に示す1〜13の各点における超電導転移温度および臨界電流密度を測定した。その結果を、表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003944963
表1より明らかなように、基板全面にわたって均一な超電導特性が得られていることがわかった。
【0043】
(比較例1)
比較のため、マスクを外し、その他の条件は実施例1と全く同様として、酸化物超電導薄膜の成膜を行なった。
【0044】
成膜前の基板の温度分布を、図6に示す。
図6を参照して、高品質なY1 Ba2 Cu3 7-y 薄膜を形成するためには750℃前後の基板温度が必要となるが、この比較例では、600℃程度までしか温度は上がっておらず、分布もマスクを付けた場合と比較してばらつきが大きくなっていた。
【0045】
得られた膜の超電導転移温度および臨界電流密度分布を、表2に示す。なお、測定は、図5に示す1〜13の各点について行なった。
【0046】
【表2】
Figure 0003944963
表2より明らかなように、マスクを用いた実施例1の場合と比較して、超電導転移温度および臨界電流密度ともに特性は悪く、分布も不均一となっていることがわかった。
【0047】
(実施例2)
実施例1と同様の実験装置を用いて、3インチ径、厚さ0.5mmのAl2 3 単結晶基板上に、Nd1 Ba2 Cu3 7-y 薄膜の形成を行なった。熱源には、3mm径のSiC線を使用した。
【0048】
成膜前の基板の温度分布を、図7に示す。
図7より明らかなように、830±5℃の均一な分布が得られた。
【0049】
成膜条件は、レーザ繰返し周波数を40Hz、成膜雰囲気を100mTorr(酸素)とし、30分間成膜を行なった後、大気圧になるまで酸素ガスを導入し、基板温度を室温まで下げた。
【0050】
得られた3インチ径薄膜の超電導転移温度および臨界電流密度分布を、表3に示す。なお、測定は、図5に示す1〜13の各点について行なった。
【0051】
【表3】
Figure 0003944963
表3より明らかなように、基板全面にわたって均一な超電導特性が得られていることがわかった。
【0052】
(比較例2)
比較のため、マスクを外し、その他の条件は実施例2と全く同様として、酸化物超電導薄膜の成膜を行なった。
【0053】
成膜前の基板の温度分布を、図8に示す。
図8を参照して、高品質なNd1 Ba2 Cu3 7-y 薄膜を形成するためには、820℃前後の基板温度が必要となるが、この比較例では、650℃程度までしか温度は上がっておらず、分布もマスクを付けた場合と比較してばらつきが大きくなっていた。得られた膜の超電導転移温度および臨界電流密度分布を、表4に示す。なお、測定は、図5に示す1〜13の各点について行なった。
【0054】
【表4】
Figure 0003944963
表4より明らかなように、マスクを用いた実施例2の場合と比較して、超電導転移温度および臨界電流密度ともに特性は悪く、分布も不均一となっていることがわかった。
【0055】
(実施例3)
実施例1と同様の実験装置を用いて、3インチ径、厚さ0.5mmのLaAlO3 単結晶基板上に、Ho1 Ba2 Cu3 7-y 薄膜の形成を行なった。熱源には、ハロゲンランプヒータを使用した。
【0056】
成膜前の基板の温度分布を、図9に示す。
図9より明らかなように、750±7℃の均一な分布が得られた。
【0057】
成膜条件は、レーザ繰返し周波数を40Hz、成膜雰囲気を150mTorr(酸素)とし、30分間成膜を行なった後、大気圧になるまで酸素ガスを導入し、基板温度を室温まで下げた。
【0058】
得られた3インチ径薄膜の超電導転移温度および臨界電流密度分布を、表5に示す。なお、測定は、図5に示す1〜13の各点について行なった。
【0059】
【表5】
Figure 0003944963
表5より明らかなように、基板全面にわたって均一な超電導特性が得られていることがわかった。
【0060】
(比較例3)
比較のため、マスクを外し、その他の条件は実施例3と全く同様として、酸化物超電導薄膜の成膜を行なった。
【0061】
成膜前の基板の温度分布を、図10に示す。
図10を参照して、高品質なHo1 Ba2 Cu3 7-y 薄膜を形成するためには、750℃前後の基板温度が必要となるが、この比較例では、550℃程度までしか温度は上がっておらず、分布もマスクを付けた場合と比較してばらつきが大きくなっていた。
【0062】
得られた膜の超電導転移温度および臨界電流密度分布を、表6に示す。なお、測定は、図5に示す1〜13の各点について行なった。
【0063】
【表6】
Figure 0003944963
表6より明らかなように、マスクを用いた実施例3の場合と比較して、超電導転移温度および臨界電流密度ともに特性は悪く、分布も不均一となっていることがわかった。
【0064】
(実施例4)
実施例1と同様の実験を、マスクと基板との距離をそれぞれ20、30、40、50、60、70mmと変化させて行なった。それぞれの成膜前の基板温度分布を、図11〜図16に示す。
【0065】
図11〜図14を参照して、マスクと基板との距離が20〜50mmの場合は、すべて750±5℃の均一な温度分布が得られた。一方、マスクと基板との距離が60、70mmの場合には、部分的に750℃の基板温度が得られておりマスクの効果は認められたものの、温度分布のばらつきがやや大きくなっていた。
【0066】
それぞれの条件で得られた3インチ径薄膜の超電導転移温度および臨界電流密度分布を、表7〜表12に示す。なお、測定は、図5に示す1〜13の各点について行なった。
【0067】
【表7】
Figure 0003944963
【0068】
【表8】
Figure 0003944963
【0069】
【表9】
Figure 0003944963
【0070】
【表10】
Figure 0003944963
【0071】
【表11】
Figure 0003944963
【0072】
【表12】
Figure 0003944963
表7〜表12より明らかなように、得られた膜の超電導特性の分布は、基板温度分布に対応した結果となっており、60、70mmの場合では、特性分布にばらつきが大きくなっていた。
【0073】
以上のことから、マスクと基板との間の距離を50mm以下にすることにより、本願発明の効果が顕著になることがわかった。
【0074】
なお、基板加熱装置の熱源をSiC線、ハロゲンランプヒータとして、同様の条件で実験を行なったところ、いずれの場合も同等の結果が得られた。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明によれば、1インチ径以上の大面積単結晶基板においても、均一に高品質な酸化物超電導薄膜を基板両面に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明による酸化物超電導薄膜の製造装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1(C)に示す装置の内部構造を示す断面図である。
【図3】図1および図2に示す本願発明による酸化物超電導薄膜の製造装置を用いて、レーザアブレーション法により酸化物超電導薄膜を製造する状態を示す斜視図である。
【図4】実施例1において成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図5】超電導薄膜における超電導特性の測定点を示す図である。
【図6】比較例1において成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図7】実施例2において成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図8】比較例2において成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図9】実施例3において成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図10】比較例3において成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図11】実施例4においてマスクと基板との距離が20mmの場合の成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図12】実施例4においてマスクと基板との距離が30mmの場合の成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図13】実施例4においてマスクと基板との距離が40mmの場合の成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図14】実施例4においてマスクと基板との距離が50mmの場合の成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図15】実施例4においてマスクと基板との距離が60mmの場合の成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【図16】実施例4においてマスクと基板との距離が70mmの場合の成膜前の基板の温度分布を示す図である。
【符号の説明】
1 マスク
2 基板加熱ヒータ
3 単結晶基板
4 ターゲット
5 蒸着粒子
7 エキシマレーザ
11 窓
21 熱源
なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (13)

  1. 薄膜成長法により単結晶基板上に酸化物超電導薄膜を形成する方法であって、
    前記単結晶基板を熱源からの光を用いて加熱する際、前記熱源から放出された光のうち、前記単結晶基板に吸収されずに透過した光を、前記単結晶基板との距離が50mm以下となる位置に設けられたマスクを用いて反射し、かつ、前記マスクに吸収された光エネルギを輻射させることにより、再度前記単結晶基板の加熱に寄与させることを特徴とする、酸化物超電導薄膜の製造方法。
  2. 前記薄膜成長法は、レーザアブレーション法を用いることを特徴とする、請求項1記載の酸化物超電導薄膜の製造方法。
  3. 前記マスクは、ハステロイ、インコネル、ステンレス、モリブデンおよびSiCからなる群から選ばれるいずれかの材料からなることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の酸化物超電導薄膜の製造方法。
  4. 前記単結晶基板は、MgO、LaAlO3 、SrTiO3 、Al23、YAlO3 、NdGaO3 およびLaSrGaO4 からなる群から選ばれるいずれかの誘電体材料からなることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の酸化物超電導薄膜の製造方法。
  5. 前記酸化物超電導薄膜は、
    X BaY CuZW(X=0.1〜1.5、Y=1.5〜2.5、Z=2.5〜3.5、W=6.5〜7.5)の組成を有し、
    RはY、Gd、Eu、Nd、Ho、Yb、Tb、Sm、Pr、Dy、Lu、ErおよびTmからなる群から選ばれるいずれか1種以上の元素からなることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の酸化物超電導薄膜の製造方法。
  6. 薄膜成長法により単結晶基板上に酸化物超電導薄膜を形成する装置であって、
    前記単結晶基板を加熱するための熱源を有する基板加熱手段と、
    前記熱源から放出された光のうち、前記単結晶基板に吸収されずに透過した光を、反射し、かつ吸収して光エネルギを輻射することにより再度前記単結晶基板の加熱に寄与させるためのマスクとを備え
    前記基板加熱手段上に装着された単結晶基板と、前記マスクとの距離が、50mm以下であることを特徴とする、酸化物超電導薄膜の製造装置。
  7. 前記基板加熱手段の熱源は、ニッケル、クロム、および鉄を主成分とするニクロム線であることを特徴とする、請求項6記載の酸化物超電導薄膜の製造装置。
  8. 前記基板加熱手段の熱源は、SiCであることを特徴とする、請求項6記載の酸化物超電導薄膜の製造装置。
  9. 前記基板加熱手段の熱源は、ハロゲンランプであることを特徴とする、請求項6記載の酸化物超電導薄膜の製造装置。
  10. 前記薄膜成長法は、レーザアブレーション法を用いることを特徴とする、請求項〜請求項のいずれかに記載の酸化物超電導薄膜の製造装置。
  11. 前記マスクは、ハステロイ、インコネル、ステンレス、モリブデンおよびSiCからなる群から選ばれるいずれかの材料からなることを特徴とする、請求項〜請求項10のいずれかに記載の酸化物超電導薄膜の製造装置。
  12. 前記単結晶基板は、MgO、LaAlO3 、SrTiO3 、Al2 3 、YAlO3 、NdGaO3 およびLaSrGaO4 からなる群から選ばれるいずれかの誘電体材料からなることを特徴とする、請求項〜請求項11のいずれかに記載の酸化物超電導薄膜の製造装置。
  13. 前記酸化物超電導薄膜は、
    X BaY CuZW(X=0.1〜1.5、Y=1.5〜2.5、Z=2.5〜3.5、W=6.5〜7.5)の組成を有し、
    RはY、Gd、Eu、Nd、Ho、Yb、Tb、Sm、Pr、Dy、Lu、ErおよびTmからなる群から選ばれるいずれか1種以上の元素からなることを特徴とする、請求項〜請求項12のいずれかに記載の酸化物超電導薄膜の製造装置。
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