JP3192667B2 - 酸化物超電導薄膜の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導薄膜の製造方法

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JP3192667B2
JP3192667B2 JP03329491A JP3329491A JP3192667B2 JP 3192667 B2 JP3192667 B2 JP 3192667B2 JP 03329491 A JP03329491 A JP 03329491A JP 3329491 A JP3329491 A JP 3329491A JP 3192667 B2 JP3192667 B2 JP 3192667B2
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東京電力株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、酸化物超電導薄膜の
製造方法に関するもので、特に、レーザアブレーション
法を用いる酸化物超電導薄膜の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】レーザビームをターゲットに照射する
と、レーザビームの照射部分においてアブレーションが
生じ、このアブレーションによりターゲットを構成する
物質の粒子が飛散する。飛散した粒子は、ターゲットに
対向するように配置された基材上に堆積され、それによ
って、基材上にターゲットを構成する物質からなる薄膜
が形成される。
【0003】このようなレーザアブレーション法が、酸
化物超電導薄膜の製造方法として、最近注目されてい
る。レーザアブレーション法によれば、比較的低温かつ
高速で酸化物超電導薄膜を製造することができる。した
がって、基材として、長尺の可撓性基材を用いると、長
尺の可撓性基材上に酸化物超電導薄膜が形成された酸化
物超電導線材を能率的にを製造することが可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したレーザアブレ
ーション法を用いる酸化物超電導薄膜の製造方法におい
て、従来は、基材上に堆積された酸化物超電導薄膜の結
晶化を促進するため、基材に到達した粒子に熱エネルギ
を与える目的で、基材が加熱されていた。このような基
材の加熱には、基材の、酸化物超電導薄膜が堆積される
面とは逆の面を、これに接触する基材ホルダから伝導熱
により加熱するか、あるいは、ランプヒータからの放射
熱により加熱することが行なわれていた。
【0005】このように、従来は、基材そのものを高温
にすることにより、その上に堆積された酸化物超電導薄
膜の加熱を行なっていた。
【0006】しかしながら、基材が高温にされたとき、
基材と酸化物超電導薄膜との間で拡散反応が生じ、それ
によって、酸化物超電導薄膜が基材の物質によって汚染
されることがある。このことは、特に、基材が金属から
構成されるとき、顕著である。
【0007】上述した問題を避けるため、基材の温度を
低く設定することも考えられるが、この場合には、基材
に到達した粒子に結晶成長をするためのエネルギを与え
られないという別の問題に遭遇する。
【0008】それゆえに、この発明の目的は、上述した
背反する問題を一挙に解決し得る酸化物超電導薄膜の製
造方法を提供しようとすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、アブレーシ
ョン用パルスレーザビームを酸化物超電導物質の成分を
含むターゲットに照射し、ターゲットより飛散した粒子
を基材上に堆積させ酸化物超電導薄膜を基材上に形成す
る、レーザアブレーション法を用いる酸化物超電導薄膜
の製造方法に向けられるものであって、上述した技術的
課題を解決するため、簡単に言えば、基材の加熱のため
に、パルスレーザビームを用いることを特徴としてい
る。より詳細には、この発明は、基材上に堆積した酸化
物超電導薄膜の表面を加熱するように、前記アブレーシ
ョン用パルスレーザビームとは異なるレーザビーム源か
ら、加熱用パルスレーザビームを、基材の前記酸化物超
電導薄膜を堆積している面に向かって照射することを特
徴としている。
【0010】基材として、長尺の可撓性基材が用いられ
ると、長尺の酸化物超電導線材を得ることができる。こ
のような用途に適した可撓性基材を構成する材料として
は、たとえば、部分安定化ジルコニア、安定化ジルコニ
ア、アルミナ、イットリア、シリカもしくはチタニアの
セラミックス、または、白金、金、銀、アルミニウム、
ニッケル、ハステロイ、インコネル、インコロイもしく
はステンレス鋼の金属材料がある。
【0011】アブレーション用レーザビームとしては、
たとえはエキシマレーザビームのようなパルスレーザビ
ームが用いられる。加熱用パルスレーザビームが基材に
向かって周期的に照射されるタイミングは、アブレーシ
ョン用パルスレーザビームの照射によりターゲットから
飛散した粒子が基材に到達する時点で、基材の、酸化物
超電導薄膜を堆積すべき面が所定以上の温度となるよう
に選ばれる。
【0012】
【0013】
【作用】この発明によれば、加熱用パルスレーザビーム
は、基材の酸化物超電導薄膜を堆積している面に向かっ
て照射される。したがって、主として基材の酸化物超電
導薄膜を堆積しようとする面または基材上に堆積した酸
化物超電導薄膜の表面が効果的に加熱される。
【0014】
【発明の効果】このように、この発明によれば、加熱用
パルスレーザビームにより、基材の酸化物超電導薄膜を
堆積しようとする面または基材上に堆積した酸化物超電
導薄膜の表面、といった加熱を必要とする部分だけの加
熱が可能となる。したがって、基材そのものは、それほ
ど高温にならず、また、それほど高温にする必要がない
ので、基材の物質が超電導薄膜へ拡散することを防止で
きる。
【0015】また、加熱用パルスレーザビームによる加
熱は、基材上に堆積した酸化物超電導薄膜の表面を効果
的に昇温させるので、レーザアブレーションにより飛散
した粒子がこのような表面に到達した時点でエネルギを
与えられ、良好な結晶性を有する酸化物超電導薄膜を能
率的に製造することができる。
【0016】
【0017】また、加熱用レーザビームとして、パルス
レーザビームを用いるため、基材においてレーザビーム
のエネルギが蓄積されることがほとんどない。したがっ
て、基材そのものは、高温にならないので、基材の物質
が超電導薄膜へ拡散することを確実に防止できる。
【0018】また、アブレーション用レーザビームに
も、パルスレーザビームを用い、加熱用パルスレーザビ
ームの照射タイミングとアブレーション用パルスレーザ
ビームの照射タイミングとを合わせることにより、加熱
用パルスレーザビームによる加熱を、基材に到達した粒
子の活性化にさらに効率的に寄与させることができる。
すなわち、アブレーション用パルスレーザビームの照射
によりターゲットから飛散した粒子が基材に到達する時
点で、基材の、酸化物超電導薄膜を堆積すべき面が所定
以上の温度(好ましくは、最高温度)となるように、加
熱用パルスレーザビームが基材に向かって照射されるタ
イミングを選べば、加熱用パルスレーザビームによる加
熱において、非常に優れたエネルギ効率を達成すること
ができる。
【0019】
【実施例】図1には、この発明の一実施例を実施してい
る状態が示されている。
【0020】アブレーション用レーザビーム1が、酸化
物超電導物質の成分を含むターゲット2に照射される。
これによって、ターゲット2より分子および/または原
子の状態で粒子3が飛散する。この粒子3は、ターゲッ
ト2と対向するように配置された基材4上に堆積され、
それによって、酸化物超電導薄膜5が基材4上に形成さ
れる。
【0021】他方、上述したアブレーション用レーザビ
ーム1とは異なるレーザビーム源(図示せず)から、加
熱用レーザビーム6が、基材4の酸化物超電導薄膜5を
堆積している面に向かって照射される。
【0022】加熱用レーザビーム6は、図2に示すよう
に、連続動作しているものである。このような連続動作
した加熱用レーザビーム6が、前述したように、基材4
に向かって照射されると、基材4に対する加熱効果は、
図3に示すような傾向を示す。図3において、実線は、
酸化物超電導薄膜5の表面に対する加熱効果を示し、破
線は、基材4そのものに対する加熱効果を示している。
図3からわかるように、加熱用レーザビーム6の照射の
開始時点から、酸化物超電導薄膜5の表面および基材4
そのものがともに昇温されるが、酸化物超電導薄膜5の
表面に比べて、基材4そのものは、低い温度に保たれ
る。
【0023】この実施例では、基材4の、酸化物超電導
薄膜5が堆積される面とは逆の面に向かって、たとえば
ランプヒータ7の放射熱による加熱が適用される。しか
しながら、このようなランプヒータ7による加熱は、加
熱用レーザビーム6による加熱が適用されない場合に比
べると、その温度を低くしてもよい。
【0024】酸化物超電導線材を製造する場合のよう
に、基材4として長尺のものが用いられる場合には、基
材4の長手方向にわたって酸化物超電導薄膜5が形成さ
れるようにするため、酸化物超電導薄膜5の成膜操作の
間、基材4はその長手方向に移動される。加熱用レーザ
ビーム6の照射による加熱およびランプヒータ7の放射
熱による加熱は、いずれも、移動する基材4に対して、
支障なく加熱を施すことができる。
【0025】次に、この実施例に従って実施したより具
体的な実験例について説明する。 実施例1 アブレーション用レーザビームとしてエキシマレーザビ
ームを用いて、YBaCuO系酸化物超電導薄膜の形成
を行なった。
【0026】より詳細には、アブレーション用レーザビ
ームのためのレーザビーム源として、193nmのAr
Fレーザを用い、そこから放出されたレーザビームを直
径60mmの球面レンズを通してターゲット上に照射し
た。球面レンズに入射されるレーザビームの幅を30m
mとした。球面レンズを通過したレーザビームは、ター
ゲット上に集光されるが、球面レンズとターゲット上の
集光点との距離を300mmとした。また、ターゲット
へのレーザビームの入射角度を45度とした。ターゲッ
ト上の集光点から垂線方向に70mm離して基材を設置
した。基材としては、MgOを片面被覆した銀テープを
用い、この銀テープのMgOが形成された面をターゲッ
トに向けた。ターゲットには、Y1 Ba2 Cu3 x
成分からなるものを使用した。
【0027】基材の、MgOを形成した面とは逆の面側
には、ランプヒータを配置し、これ単独で基材の温度が
590℃になるように設定した。他方、基材の、MgO
が形成された面に向かって、加熱用レーザビームを照射
できるようにするため、CO 2 レーザを配置した。
【0028】また、レーザアブレーションを行なう雰囲
気を酸素雰囲気とし、その圧力を100mTorrとし
た。アブレーション用レーザビームは、そのエネルギ密
度を1J/cm2 、その周波数を30Hzとした。ま
た、加熱用のCO2 レーザビームの基材表面への照射強
度を5×103 W/cm2 とした。
【0029】上述のような成膜条件にて、基材上にYB
aCuO系超電導薄膜を堆積させた。成膜後、成膜室よ
りサンプルを取出し、堆積された酸化物超電導薄膜の厚
みを調べたところ、0.5μmであり、成膜速度は、
0.15μm/分であった。
【0030】X線回折装置で酸化物超電導薄膜の結晶配
向性を調べたところ、c軸が基材に対して垂直に配向し
ていることが確認できた。
【0031】また、4端子法を用いて、液体窒素中にお
けるサンプルの臨界電流密度を測定した。臨界電流密度
は、350000A/cm2 であった。また、臨界温度
を測定したところ、88.5Kであった。
【0032】実施例2 基材を10mm/分の速度で移動させる以外は、実施例
1と同じ条件で成膜を行なった。得られたサンプルの液
体窒素中での臨界電流密度を測定したところ、2800
00A/cm2 を得た。
【0033】比較例1 成膜時に加熱用のCO2 レーザビームを照射しないこと
以外は、実施例1と同じ条件で成膜を行なった。
【0034】成膜後、サンプルの酸化物超電導薄膜の厚
みを調べたところ、成膜速度は実施例1と同じであるこ
とがわかった。
【0035】また、X線回折装置で酸化物超電導薄膜の
結晶配向性を調べたところ、実施例1と同様、c軸が基
材に対して垂直に配向していることが確認できた。
【0036】4端子法を用いて液体窒素中におけるサン
プルの臨界電流密度を測定したところ、2800A/c
2 であった。また、臨界温度を測定したところ、8
3.5Kであった。
【0037】実施例3 加熱用のレーザビームとして、COレーザビームを用い
た以外は、実施例1と同じ条件で成膜を行なった。得ら
れたサンプルの液体窒素中での臨界電流密度は、280
000A/cm2 であり、臨界温度は、87.8Kであ
った。
【0038】比較例2 成膜時にCOレーザビームを照射しないことを除いて、
実施例3と同じ条件で成膜を行なった。得られたサンプ
ルの特性は、比較例1と実質的に同じであった。
【0039】実施例4 加熱用レーザビームとして、YAGレーザビームを用
い、アブレーション用レーザビームとして、193nm
の波長を持つArFレーザビームを用いた。また、加熱
用レーザビームを連続動作させ、基材の表面を3×10
3 W/cm2 の照射強度で照射し、基材の加熱を行なっ
た。なお、ランプヒータによる基材の加熱も行ない、こ
れ単独で基材の温度が520℃になるように設定した。
【0040】その他の条件は、前述した実施例1と同様
である。得られたサンプルの液体窒素中での臨界電流密
度は、2.7×106 A/cm 2 であり、臨界温度は、
89.2Kであった。
【0041】比較例3 YAGレーザによる加熱用レーザビームを基材に照射し
ないことを除いて、実施例4と同じ条件で成膜を行なっ
た。得られたサンプルは、4.2K以上では超電導特性
を示さなかった。
【0042】この発明の他の実施例として、図1に示し
た加熱用レーザビーム6を、パルスレーザビームに変更
し、基材4の酸化物超電導薄膜5を堆積している面に向
かって、このような加熱用パルスレーザビーム6が周期
的に照射されるようにしてもよい。
【0043】加熱用パルスレーザビームの照射タイミン
グは、アブレーション用レーザビームに拘束されず、任
意に選ぶことができるが、好ましくは、図4に示すよう
に、アブレーション用レーザビームの照射タイミングと
合わされる。
【0044】図4の(d)に示すように、アブレーショ
ン用レーザビーム1にも、パルスレーザビームが用いら
れる。このようなアブレーション用レーザビーム1がタ
ーゲット2に照射されたとき、ターゲット2から飛散し
た粒子3は、(c)に示すように、所定の遅延時間をも
って基材4に到達する。他方、(b)で示すように、加
熱用パルスレーザビーム6が、基材4に向かって照射さ
れたとき、(a)に示すように、所定の遅延時間をもっ
て基材4の表面温度が高められる。
【0045】このような傾向を示す(a)の「基材の表
面温度」と(c)の「基材へ到達する粒子の数」との関
係において、ターゲット2から飛散した粒子3が基材4
に到達する時点で、基材4の表面温度が所定以上にされ
ていると、粒子3の結晶化成長がより促進される。最も
好ましくは、図4の(a)および(c)に示したよう
に、「基材へ到達する粒子の数」が最高に達したとき、
「基材の表面温度」が最高に達するようにされる。この
ことを実現するように、(b)に示す加熱用パルスレー
ザビーム6の照射タイミングが、(d)に示すアブレー
ション用レーザビーム1の照射タイミングとの関連で選
ばれている。
【0046】その他の構成は、図1を参照して説明した
前述の第1の実施例と同様である。次に、この第2の実
施例に従って実施したより具体的な実験例について説明
する。
【0047】実施例5 アブレーション用レーザビームとしてエキシマレーザビ
ームを用いて、YBaCuO系酸化物超電導薄膜の形成
を行なった。
【0048】より詳細には、アブレーション用レーザビ
ームのためのレーザビーム源として、193nmのAr
Fレーザを用い、そこから放出されたレーザビームを直
径60mmの球面レンズを通してターゲット上に照射し
た。球面レンズに入射されるレーザビームの幅を30m
mとした。球面レンズを通過したレーザビームは、ター
ゲット上に集光されるが、球面レンズとターゲット上の
集光点との距離を300mmとした。また、ターゲット
へのレーザビームの入射角度を45度とした。ターゲッ
ト上の集光点から垂線方向に70mm離して基材を設置
した。基材としては、MgOを片面被覆した銀テープを
用い、この銀テープのMgOが形成された面をターゲッ
トに向けた。ターゲットには、Y1 Ba2 Cu3 x
成分からなるものを使用した。
【0049】基材の、MgOを形成した面とは逆の面側
には、ランプヒータを配置し、これ単独で基材の温度が
570℃になるように設定した。他方、基材の、MgO
が形成された面に向かって、加熱用パルスレーザビーム
を照射できるようにするため、YAGレーザを配置し
た。
【0050】また、レーザアブレーションを行なう雰囲
気を酸素雰囲気とし、その圧力を500mTorrとし
た。アブレーション用レーザビームは、そのエネルギ密
度を1J/cm2 、その周波数を30Hzとした。ま
た、加熱用のYAGパルスレーザビームの基材表面への
照射強度を1×104 W/cm2 とし、その周波数を5
Hzとした。
【0051】上述のような成膜条件にて、基材上にYB
aCuO系超電導薄膜を堆積させた。成膜後、成膜室よ
りサンプルを取出し、堆積された酸化物超電導薄膜の厚
みを調べたところ、0.5μmであり、成膜速度は、
0.15μm/分であった。
【0052】X線回折装置で酸化物超電導薄膜の結晶配
向性を調べたところ、c軸が、基材に対して垂直に配向
していることが確認できた。
【0053】また、4端子法を用いて、液体窒素中にお
けるサンプルの臨界電流密度を測定した。臨界電流密度
は、210000A/cm2 であった。また、臨界温度
を測定したところ、89.5Kであった。
【0054】実施例6 基材を10mm/分の速度で移動させる以外は、実施例
5と同じ条件で成膜を行なった。得られたサンプルの液
体窒素中での臨界電流密度を測定したところ、1900
00A/cm2 を得た。
【0055】比較例4 成膜時に加熱用のYAGパルスレーザビームを照射しな
いこと以外は、実施例5と同じ条件で成膜を行なった。
【0056】成膜後、サンプルの酸化物超電導薄膜の厚
みを調べたところ、成膜速度が実施例5と同じであるこ
とがわかった。
【0057】また、X線回折装置で酸化物超電導薄膜の
結晶配向性を調べたところ、実施例5と同様、c軸が、
基材に対して垂直に配向していることが確認できた。
【0058】4端子法を用いて液体窒素中におけるサン
プルの臨界電流密度を測定したところ、1900A/c
2 であった。また、臨界温度を測定したところ、8
3.1Kであった。
【0059】実施例7 加熱用のパルスレーザビームとして、CO2 パルスレー
ザビームを用いた以外は、実施例5と同じ条件で成膜を
行なった。
【0060】得られたサンプルの液体窒素中での臨界電
流密度は、290000A/cm2 であり、臨界温度
は、88.4Kであった。
【0061】比較例5 成膜時に加熱用のCO2 パルスレーザビームを照射しな
いことを除いて、実施例3と同じ条件で成膜を行なっ
た。得られたサンプルの特性は、比較例4と実質的に同
じであった。
【0062】実施例8 加熱用パルスレーザビームとして、XeClパルスレー
ザビームを用いた以外は、実施例5と同じ条件で成膜を
行なった。
【0063】得られたサンプルの液体窒素中での臨界電
流密度は、110000A/cm2 であり、臨界温度
は、87.4Kであった。
【0064】比較例6 成膜時に加熱用のXeClパルスレーザビームを照射し
ないことを除いて、実施例8と同じ条件で成膜を行なっ
た。得られたサンプルの特性は、比較例4と実質的に同
じであった。
【0065】実施例9 実施例5と比較して、次のような変更を行なった。アブ
レーション用レーザビームのためのレーザビーム源とし
て、243nmのKrFレーザを用いた。また、加熱用
パルスレーザビームのためのレーザビーム源として、C
2 レーザを用いた。このCO2 レーザから放出される
CO2 パルスレーザビームは、基材表面への照射強度を
5×103 W/cm2 とし、周波数をアブレーション用
レーザビームと同じ30Hzとした。また、ランプヒー
タ単独で基材の温度が530℃になるように設定した。
また、レーザアブレーションを行なう酸素雰囲気の圧力
を150mTorrとした。
【0066】その他の条件は、実施例5と同様である。
この実施例9において、アブレーション用のKrFパル
スレーザビームの照射タイミングと加熱用のCO2 パル
スレーザビームの照射タイミングとは、図4に示すよう
に、ターゲットから飛散した粒子が基材へ到達するのに
合わせて基材の表面温度が所定以上に高められるように
設定した。
【0067】このような成膜条件にて、基材上にYBa
CuO系酸化物超電導薄膜を堆積させた。成膜後、成膜
室よりサンプルを取出し、堆積された酸化物超電導薄膜
の厚みを調べたところ、0.5μmであり、成膜速度
は、0.14μm/分であった。
【0068】X線回折装置で酸化物超電導薄膜の結晶配
向性を調べたところ、c軸が、基材に対して垂直に配向
していることが確認できた。
【0069】また、4端子法を用いて、液体窒素中にお
けるサンプルの臨界電流密度を測定した。臨界電流密度
は、490000A/cm2 であった。また、臨界温度
を測定したところ、90.3Kであった。
【0070】実施例10 基材を10mm/分の速度で移動させる以外は、実施例
9と同じ条件で成膜を行なった。得られたサンプルの液
体窒素中での臨界電流密度を測定したところ、3500
00A/cm2 を得た。
【0071】比較例7 成膜時に加熱用のCO2 パルスレーザビームを照射しな
いこと以外は、実施例9と同じ条件で成膜を行なった。
【0072】成膜後、サンプルの酸化物超電導薄膜の厚
みを調べたところ、成膜速度は実施例9と同じであるこ
とがわかった。
【0073】また、X線回折装置で酸化物超電導薄膜の
結晶配向性を調べたところ、実施例9と同様、c軸が、
基材に対して垂直に配向していることが確認できた。
【0074】4端子法を用いて液体窒素中におけるサン
プルの臨界電流密度を測定したところ、3000A/c
2 であった。また、臨界温度を測定したところ、8
4.5Kであった。
【0075】実施例11 この実施例11では、アブレーション用レーザビームと
加熱用レーザビームとの間のタイミングの変化による超
電導特性の変化について調査した。
【0076】加熱用レーザビームとして、パルス動作さ
れたYAGレーザビームを用いた。また、基材は、ラン
プヒータによっても加熱され、これ単独で基材の温度が
480℃になるように設定した。
【0077】その他の条件は、前述した実施例5と同様
である。アブレーション用レーザビームおよび加熱用レ
ーザビームを、双方とも、20Hzの繰返し周波数でパ
ルス動作させ、アブレーション用レーザビームのパルス
に対する加熱用レーザビームのパルスの遅れ時間と、形
成された酸化物超電導薄膜の臨界温度との関係を調査し
た。その結果が以下の表1に示されている。
【0078】
【表1】 加熱用レーザビームのパルスを、アブレーション用レ
ーザビームのパルスから適当な時間だけ遅らせることに
より、高特性の酸化物超電導薄膜が得られることが、表
1からわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を実施している状態を示す
説明図である。
【図2】連続動作する加熱用レーザビームの出力を示す
図である。
【図3】連続動作する加熱用レーザビームによる加熱効
果を酸化物超電導薄膜の表面(実線)および基材(破
線)について示す図である。
【図4】この発明の他の実施例において採用されるアブ
レーション用レーザビームと加熱用パルスレーザビーム
との照射タイミングおよびこれによって実現される基材
へ到達する粒子の数および基材の表面温度を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 アブレーション用レーザビーム 2 ターゲット 3 粒子 4 基材 5 酸化物超電導薄膜 6 加熱用レーザビーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 憲器 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友 電気工業株式会社 大阪製作所内 (72)発明者 奥田 繁 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友 電気工業株式会社 大阪製作所内 (72)発明者 原 築志 東京都調布市西つつじケ丘2−4−1 東京電力株式会社内 (72)発明者 岡庭 潔 東京都調布市西つつじケ丘2−4−1 東京電力株式会社内 (72)発明者 山本 隆彦 東京都調布市西つつじケ丘2−4−1 東京電力株式会社内 審査官 五十棲 毅 (56)参考文献 特開 平1−309956(JP,A) OTSUBO S.et al.," Preparation of Ba− Y−Cu−O superconduc ting films by lase r abration with an d without laser ir radiation on growi ng surface,”Japane se Journal of Appl ied Physics,Vol.27, No.12,Dec.1988,pp.L2442 −L2444 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00 C01G 1/00 CA(STN) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アブレーション用パルスレーザビームを
    酸化物超電導物質の成分を含むターゲットに照射し、タ
    ーゲットより飛散した粒子を基材上に堆積させ酸化物超
    電導薄膜を基材上に形成する、レーザアブレーション法
    を用いる酸化物超電導薄膜の製造方法において、 前記基材上に堆積した前記酸化物超電導薄膜の表面を加
    熱するように、前記アブレーション用パルスレーザビー
    ムとは異なるレーザビーム源から、加熱用パルスレーザ
    ビームを、前記基材の前記酸化物超電導薄膜を堆積して
    いる面に向かって周期的に照射し、 前記加熱用パルスレーザビームが前記基材に向かって照
    射されるタイミングは、前記アブレーション用パルスレ
    ーザビームの照射により前記ターゲットから飛散した粒
    子が前記基材に到達する時点で、前記基材の、酸化物超
    電導薄膜を堆積すべき面が所定以上の温度となるように
    選ばれることを特徴とする、酸化物超電導薄膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記基材として、長尺の可撓性基材が用
    いられる、請求項1に記載の酸化物超電導薄膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記可撓性基材は、部分安定化ジルコニ
    ア、安定化ジルコニア、アルミナ、イットリア、シリカ
    もしくはチタニアのセラミックス、または、白金、金、
    銀、アルミニウム、ニッケル、ハステロイ、インコネ
    ル、インコロイもしくはステンレス鋼の金属材料から構
    成される、請求項2に記載の酸化物超電導薄膜の製造方
    法。
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