JPH0828617A - 摩擦材用フェノール樹脂組成物 - Google Patents

摩擦材用フェノール樹脂組成物

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JPH0828617A
JPH0828617A JP16676894A JP16676894A JPH0828617A JP H0828617 A JPH0828617 A JP H0828617A JP 16676894 A JP16676894 A JP 16676894A JP 16676894 A JP16676894 A JP 16676894A JP H0828617 A JPH0828617 A JP H0828617A
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JP
Japan
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parts
phenol resin
phenolic resin
phenol
partially cured
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JP16676894A
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Takashi Kobayashi
小林  孝
Shinichi Ozeki
真一 大関
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Sumitomo Durez Co Ltd
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Sumitomo Durez Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)フェノール類とアルデヒド類と酸触媒
あるいはアルカリ触媒とを必須成分として得られるフェ
ノール系樹脂100重量部と、(B)(1)式で示され
るアセトン抽出率Rが R(%)=(W1 / W0)×100 (1) (式中、W0 は部分硬化したフェノール系樹脂の重量
(g),W1 はアセトンで加熱還流後抽出されたフェノ
ール系樹脂の重量(g)を表す。) 5〜90%である部分硬化したフェノール系樹脂2〜1
000重量部とを混合することを特徴とする摩擦材用フ
ェノール樹脂組成物。 【効果】 成形性よく摩擦材が製造でき、且つ得られた
摩擦材は機械的特性が良好で制動安定性,耐摩耗性,耐
熱性に優れ,さらには鳴きが低減され自動車・鉄道車両
・航空機・産業機械等の制動部品に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形性が良く、且つ制
動安定性、耐摩耗性、耐熱性及び鳴き特性に優れた摩擦
材用フェノール樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車、産業機械には動力の制動または
伝達のためブレーキライニング、ディスクパッド、クラ
ッチフェーシング等の摩擦材が使用されている。これら
の摩擦材は、一般にガラス繊維、アラミド繊維、金属繊
維等の基材とカシューダスト、メラミンダスト、ゴムダ
スト等の有機添加剤及び硫酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、ウォラストナイト、銅粉などの無機添加剤をフェノ
ール系樹脂で結合して製造される。
【0003】また、これら摩擦材の評価は低温から高温
における摩擦係数、摩耗量、鳴き(制動時に発生する異
音)などの摩擦性能、並びに曲げ強度・せん断強度等の
機械的特性などに基づいて行われている。一方、昨今の
急速な交通機関の高速化に伴い、これらの摩擦材に対し
て、過酷な条件下での制動安定性,耐摩耗性,耐熱性と
鳴きの低減によるフィーリング性の向上が強く要求され
ており、摩擦材料のこれら特性に影響する要因は、結合
剤の選択によるところが大きいとされている。
【0004】摩擦材用結合剤としては、耐熱性,耐摩耗
性,機械的強度などの面から一般にフェノール樹脂が使
用されている。このフェノール樹脂としては、従来より
耐熱性を考慮して未変性フェノール樹脂が実用に供され
ているが架橋密度が高くマトリックスが硬い為、局所当
りによるフェードが発生し制動安定性が悪く鳴きが発生
するという難点があった。これら局所当りを改善するた
めに変性フェノール樹脂の研究が盛んに行われており、
柔軟性に優れる油変性フェノール樹脂、カシュー変性フ
ェノール樹脂、ゴム変性フェノール樹脂、エポキシ変性
フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂などが検
討され、実用に供されている。しかし、これらの変性フ
ェノール樹脂では、柔軟性が付与され局所当りが改善さ
れ、鳴き特性は向上するものの、耐熱性が劣るため制動
時に分解ガスの発生を来し悪臭を発生するとともに過酷
な条件下での制動安定性が得られず摩耗特性,機械的特
性の低下を招き不充分であった。
【0005】また、これらの変性フェノール樹脂の制動
安定性,摩耗特性,機械的特性を向上させる為に芳香族
炭化水素変性(例えば特開平4−132716号公報で
提案された芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂)や変性
マレイミド樹脂(例えば特開平3−93824号公報で
提案されたフェノール類と芳香族アミンと不飽和ジカル
ボン酸無水物による反応生成物)及びフェノールアラル
キル樹脂等の耐熱性樹脂が検討されているが、制動安定
性,摩擦特性は改善されるものの、低温時の柔軟性がな
く振動吸収性に欠ける為に鳴きが発生し不充分であっ
た。またこれらの耐熱性樹脂は、未変性フェノール樹脂
と比べて硬化が遅くなり、成形時の成形性・作業性が悪
くなる為に、高温長時間成形が必要となり多大のエネル
ギーを使用することになるために経済性の面で難点があ
った。
【0006】また、耐熱性と柔軟性の両特性を向上させ
る為に、シリコン変性フェノール樹脂(例えば特開平2
−173026号公報で提案されたノボラックとオルガ
ノシロキサン系化合物との反応生成物であるシリコン変
性ノボラック)で機械的強度,可とう性の向上をはかっ
ているが、コスト高となる問題が残されている。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の摩
擦材のこのような問題点を解決するため種々検討の結果
成されたものであり、その目的とするところは、摩擦材
とした場合の制動安定性、耐摩耗性、耐熱性、鳴き特性
に優れ、且つ硬化が速く成形性が良い摩擦材用フェノー
ル樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記問題点を
解決するために鋭意検討した結果、部分硬化したフェノ
ール系樹脂を未硬化のフェノール系樹脂中に混合させる
ことにより、摩擦性能、機械的特性を向上させることが
できるという知見を得、さらにこの知見に基づき種々研
究を進め本発明を完成するに至ったものである。即ち、
本発明は、摩擦材用フェノール樹脂組成物において、
(A)フェノール類とアルデヒド類と酸触媒あるいはア
ルカリ触媒とを必須成分として得られるフェノール系樹
脂100重量部と、(B)(1)式で示されるアセトン
抽出率Rが R(%)=(W1/0)×100 (1) (式中、W0 は部分硬化したフェノール系樹脂の重量
(g),W1 はアセトンで加熱還流後抽出されたフェノ
ール系樹脂の重量(g)を表す。) 5〜90%である部分硬化したフェノール系樹脂2〜1
000重量部とを混合することを特徴とする摩擦材用フ
ェノール樹脂組成物に関するものである。
【0009】以下、本発明について具体的に説明する。
本発明におけるアセトン抽出率とは、具体的には次のよ
うにして求めた値である。即ち、粉末試料3gを精秤し
(W0)、これを円筒ロ紙に入れソックスレーアセトン抽
出試験装置の抽出管にセットし、アセトン100ml中
で4時間還流下で抽出を行う。抽出後、ソックスレーフ
ラスコに抽出された樹脂を、80℃,真空度約70cm
Hg減圧下で5時間乾燥処置を行い、その重量(W1)を
精秤する。しかる後に、アセトン抽出率Rは次式により
計算される。 R(%)=(W1 / W0)×100 フェノール樹脂は、硬化により3次元架橋が生じるとア
セトンに溶解しなくなる。即ち、ここで言うアセトン抽
出率0%とは、完全硬化であることを意味し、アセトン
抽出率100%は硬化が全く起きていない未硬化の状態
を意味する。従って、アセトン抽出率0%より大きく1
00%よりも小さい場合は、部分硬化していることを意
味する。
【0010】本発明において、フェノール類としては、
フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、
カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビス
フェノールF、テルペンフェノール、シクロヘキシルフ
ェノール、パラターシャリブチルフェノール、パラフェ
ニルフェノール、パラオクチルフェノール、パラノニル
フェノール、ビフェノール、1−ナフトール、2−ナフ
トール、ヒドロキシナフタレンなどを単独又は併用して
使用することができる。またアルデヒド類としては、ホ
ルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサ
ン、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラー
ルなどを単独又は併用して使用することができる。
【0011】本発明において、触媒として用いられる酸
としては、酢酸、蟻酸、蓚酸、マレイン酸、パラトルエ
ンスルホン酸などの有機酸、及び硝酸、塩酸、硫酸、リ
ン酸などの無機酸であり、これらを単独又は併用して使
用することができる。また、触媒として用いられるアル
カリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウ
ム、水酸化バリウム、アンモニア水などであり、これら
を単独又は併用して使用することができる。
【0012】本発明のフェノール系樹脂は、これらのフ
ェノール類、ホルムアルデヒド類、及び酸触媒あるいは
アルカリ触媒を反応釜に仕込んだ後、加熱し付加縮合さ
せた後脱水反応する公知の製造方法により得られるもの
であり、酸を触媒としたノボラック型,またはアルカリ
を触媒としたレゾール型を単独又は併用したものであっ
てもよい。
【0013】また、本発明に用いられる部分硬化したフ
ェノール系樹脂は、アセトン抽出率が5〜90%である
部分硬化したフェノール系樹脂である。本発明におい
て、アセトン抽出率が90%より大きい部分硬化したフ
ェノール系樹脂を、フェノール系樹脂に混合した場合、
あるいは、アセトン抽出率が5〜90%である部分硬化
したフェノール系樹脂をフェノール系樹脂100重量部
に対して2重量部より少なく混合した場合、架橋密度が
高くマトリックスが硬いため局所当りによるフェードが
発生し、制動安定性が悪く鳴きが発生しやすくなる。ま
た、アセトン抽出率が5%より小さい部分硬化したフェ
ノール系樹脂を、フェノール系樹脂に混合した場合、機
械的強度が低下し摩耗量が増加する。
【0014】また、フェノール系樹脂100重量部に対
して、アセトン抽出率が5〜90%である部分硬化した
フェノール系樹脂を1000重量部より多く混合する
と、成形時に流れ不良をまねき、且つ架橋密度の不足に
より機械的強度が低下し摩耗量を増加させ、摩擦材用に
は適さないものとなる。また、部分硬化したフェノール
系樹脂の粒度については特に限定されるものではない
が、5μmより細かいと振動吸収効果が低下し鳴きが悪
くなる傾向がある。また50μmより粗いとフェノール
系樹脂との分散性が悪く不均一になり、機械的強度が低
下し摩耗量が増加する傾向がある。
【0015】本発明に示すように、フェノール系樹脂に
対して、適当量の部分硬化したフェノール系樹脂を混合
することにより、摩擦材とした場合のマトリックス樹脂
に架橋度の異なる分布が生じ、この異質部分が応力を分
散させ緩衝作用を起こすために、振動吸収性が付与され
鳴きが低減する。また、部分硬化したフェノール系樹脂
は、加熱処理時に硬化剤から発生する分解ガス(たとえ
ばアンモニアガス)や樹脂中に内含している水あるいは
縮合水を放出している為に、これをフェノール系樹脂に
混合して成形する際の発生ガス量が少なくなる。このた
めに成形性の良い摩擦材が得られ、各種摩擦特性が向上
する。
【0016】部分硬化したフェノール系樹脂の製造方法
は、おおよそ次の様な方法である。即ち、請求項1記載
のフェノール系樹脂において、ノボラックの場合は硬化
剤としてヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン、ア
ルデヒド類等の3次元架橋可能なものを混合し加熱硬化
し、レゾールの場合はそのまま加熱硬化することにより
得られる。これらのノボラック及びレゾールは、単独又
は併用して硬化させてもよい。硬化条件については、お
およそ80〜250℃で数分〜数時間熱処理を行うこと
ができるが、これらの硬化条件に限定されるものではな
い。
【0017】また、フェノール系樹脂に対する、部分硬
化したフェノール系樹脂の混合方法は、フェノール系樹
脂合成過程で、部分硬化したフェノール系樹脂を溶融混
合してもよいし、フェノール系樹脂と部分硬化したフェ
ノール系樹脂を粉砕あるいは混練混合しても、また摩擦
材の配合時に混合してもよい。フェノール系樹脂と部分
硬化したフェノール系樹脂の樹脂組成は同種であっても
異種であってもよく、また複数種を併用しても何等さし
つかえない。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。しか
し本発明はこれらの実施例によって限定されるものでは
ない。また、実施例及び比較例に記載されている「部」
及び「%」は、すべて「重量部」及び「重量%」を示
す。
【0019】《実施例1》冷却器と撹拌機付きの反応容
器に、フェノール1000部、37%ホルマリン693
部、蓚酸10部仕込んだ。徐々に昇温して温度95℃に
達してから180分還流反応を行った。次いで脱水反応
を行い、温度が150℃に到達した時より、60Tor
rの減圧下で脱水反応を行い、温度が180℃に到達し
た後、反応容器より取出して常温で固形のノボラック型
フェノール樹脂1000部を得た。このフェノール樹脂
1000部にヘキサメチレンテトラミンを100部添加
後粉砕混合し、粉末フェノール樹脂(A1)1090部
を得た。粉末フェノール樹脂(A1)500部を、11
0℃,2時間の条件下で加熱硬化し、部分硬化したフェ
ノール樹脂475部を得た。この部分硬化したフェノー
ル樹脂475部を粉砕し、平均粒径30μmの粉末(B
1)470部を得た。(B1)のアセトン抽出率は30
%であった。粉末フェノール樹脂(A1)80部と部分
硬化したフェノール樹脂粉末(B1)20部とを混合
し、粉末フェノール樹脂組成物(C1)99部を得た。
【0020】《実施例2》実施例1と同様にして得られ
た粉末フェノール樹脂(A1)60部と、部分硬化フェ
ノール樹脂粉末(B1)40部 とを混合し、粉末フェ
ノール樹脂組成物(C2)99部を得た。
【0021】《実施例3》冷却器と撹拌機付きの反応容
器に、フェノール1000部、37%ホルマリン787
部、アンモニア水40部仕込んだ。徐々に昇温して温度
95℃に達してから60分還流反応を行った。次いで、
70Torrの減圧下で脱水反応を行い、温度が120
℃に到達した後、反応容器より排出して常温で固形のレ
ゾール型フェノール樹脂(A2)1050部を得た。レ
ゾール型フェノール樹脂(A2)500部を、110
℃,1時間の条件下で加熱硬化し、部分硬化したフェノ
ール樹脂480部を得た。この部分硬化したフェノール
樹脂480部を粉砕し、平均粒径20μmの粉末(B
2)475部を得た。(B2)のアセトン抽出率は30
%であった。レゾール型フェノール樹脂(A2)80部
と部分硬化したフェノール樹脂粉末(B2)20部とを
混合し、粉末フェノール樹脂組成物(C3)99部を得
た。
【0022】《実施例4》冷却器と撹拌機付きの反応容
器に、フェノール1000部、支那桐油200部、37
%ホルマリン693部、硫酸1部仕込んだ。徐々に昇温
して温度95℃に達してから180分還流反応を行っ
た。次いで脱水反応を行い、温度が150℃に到達した
時より、70Torrの減圧下で脱水反応を行い、温度
が180℃に到達した後、反応容器より取出して常温で
固形の油変性フェノール樹脂1200部を得た。この油
変性フェノール樹脂1200部にヘキサメチレンテトラ
ミンを120部添加後粉砕混合し、粉末の油変性フェノ
ール樹脂(A3)1310部を得た。この粉末の油変性
フェノール樹脂(A3)500部を、120℃,1時間
の条件下で加熱硬化し、部分硬化した油変性フェノール
樹脂485部を得た。次に、この部分硬化した油変性フ
ェノール樹脂485部を粉砕し、平均粒径30μmの粉
末(B3)480部を得た。(B3)のアセトン抽出率
は30%であった。次に、実施例1と同様にして得られ
た粉末フェノール樹脂(A1)80部と,部分硬化した
油変性フェノール樹脂(B3)20部とを混合し、粉末
フェノール樹脂組成物(C4)99部を得た。
【0023】《比較例1》実施例1と同様にして得られ
た粉末フェノール樹脂(A1)99部と、部分硬化フェ
ノール樹脂粉末(B1)1部とを混合し、粉末フェノー
ル樹脂組成物(C5)99部を得た。
【0024】《比較例2》実施例1と同様にして得られ
た粉末フェノール樹脂(A1)5部と、部分硬化フェノ
ール樹脂粉末(B1)95部とを混合し、粉末フェノー
ル樹脂組成物(C6)99部を得た。
【0025】《比較例3》実施例1と同様にして得られ
た粉末フェノール樹脂(A1)500部を、110℃,
10分の条件下で加熱硬化し、部分硬化したフェノール
樹脂490部を得た。次に、この部分硬化したフェノー
ル樹脂490部を粉砕し、平均粒径20μmの粉末(B
4)485部を得た。(B4)のアセトン抽出率は95
%であった。次に、粉末フェノール樹脂(A1)80部
と、部分硬化したフェノール樹脂粉末(B3)20部と
を混合し、粉末フェノール樹脂組成物(C7)99部を
得た。
【0026】《比較例4》実施例1と同様にして得られ
た部分硬化したフェノール樹脂475部を粉砕し、平均
粒度60μmの粉末(B5)を得た。(B5)のアセト
ン抽出率は30%であった。実施例1と同様にして得ら
れた粉末フェノール樹脂(A1)80部と部分硬化フェ
ノール樹脂粉末(B5)20部とを混合し、粉末フェノ
ール樹脂組成物(C8)99部を得た。
【0027】《比較例5》冷却器と撹拌機付きの反応容
器に、フェノール1000部、カシュー油300部、3
7%ホルマリン693部、硫酸1部を仕込んだ。徐々に
昇温して温度95℃に達してから180分還流反応を行
った。次いで脱水反応を行い、温度が150℃に到達し
た時より、70Torrの減圧下で脱水反応を行い、温
度が180℃に到達した後、反応容器より取出して常温
で固形のカシュー変性フェノール樹脂1300部を得
た。このカシュー変性フェノール樹脂1300部にヘキ
サメチレンテトラミンを130部添加後粉砕混合し、粉
末のカシュー変性フェノール樹脂(A4)1410部を
得た。
【0028】《比較例6》冷却器と撹拌機付きの反応容
器に、フェノール1000部、37%ホルマリン693
部、蓚酸10部仕込んだ。徐々に昇温して温度95℃に
達してから180分還流反応を行った。次いで脱水反応
を行い、温度が150℃に到達した時より、70Tor
rの減圧下で脱水反応を行い、温度が150℃に到達し
た後100℃まで冷却し、反応容器にエタノール100
0部、オルガノシロキサン200部(平均重合度100
のジメチルシロキサン、官能基はγ−グリシドキシプロ
ピル基を側鎖に5個、官能基当量1610)を仕込み溶
解し、温度80℃で300分還流反応を行った。次いで
70Torrの減圧下で脱アルコールを行い、温度が1
50℃に到達した後、反応容器より取出して常温で固形
のシリコン変性フェノール樹脂1200部を得た。この
シリコン変性フェノール樹脂1200部にヘキサメチレ
ンテトラミンを120部添加後粉砕混合し、粉末のシリ
コン変性フェノール樹脂(A5)1310部を得た。
【0029】得られた粉末フェノール樹脂組成物の配合
比と硬化性、及び部分硬化したフェノール樹脂粉末のア
セトン抽出率と平均粒径の結果を表1に示す。
【表1】 注1(樹脂タイプ): Nov=ノボラック、Res=
レゾール 注2(平均粒径):電気抵抗式粒度分布測定装置(パナ
ファコムC15型コールターカウンター)により、電解
液中の粒子を電気抵抗値変化により検出し粒度分布を測
定した。 注3(成形時の硬化時間):160℃の下での加熱・加
圧成形に必要な時間を表したもので、短い程よい。
【0030】表1より、各実施例は比較例1、3、5、
6よりも成形時の硬化時間が短く硬化性が良好であるこ
とがわかる。
【0031】次に、以下に示す配合割合で仕込み混合し
た。 配合物 配合量(重量%) アラミド繊維 5 硫酸バリウム 65 フェノール樹脂 10 銅 粉 10 グラファイト 10
【0032】この配合物を温度160℃、圧力200k
g/cm で10分間成形した後に200℃で5時間
焼成して摩擦材テストピースを作成した。これらの機械
的強度(常温曲げ強度)、耐熱強度(熱履歴後の曲げ強
度)及び振動加速度(振動試験)の結果は表3に示す。
【0032】
【表2】 注4(耐熱強度):耐熱強度 350℃下で4時間の熱
処理を行い、冷却後常温下で曲げ強度試験を行った。 注5(振動加速度):動電型振動試験機で測定した。振
動加速度は、振動を受けた試験片が、共振する周波数領
域において発生する加速度で、数値が小さい方が振動が
増幅されにくく、摩擦材の振動吸収性が高く鳴き難い。
【0033】表3より、各実施例は比較例2、4、5と
比べて機械的強度が高く、且つ比較例1、2、3、4、
5、6より耐熱強度も高く、密着性と耐熱性が良好であ
ることがわかる。また、振動加速度においても、各実施
例は、比較例1、2、3、4、6よりも小さく振動吸収
性が良好であることがわかる。
【0034】次に、作製した摩擦材テストピースのJI
S D 4411に準じて摩擦試験を行った結果を表4に
示す。
【0035】
【表3】
【0036】表4より、各実施例は、比較例1、2、
3、4、5、6と比べて高温時における摩擦係数μの低
下が小さく、且つ摩耗量wが少なく、制動安定性に優れ
ていることがわかる。以上の成形性,機械的強度,耐熱
強度,振動加速度,摩擦試験の結果より、本発明の実施
例は全特性を満足するものであることが明らかである。
【0037】
【発明の効果】本発明による摩擦材用フェノール樹脂組
成物を使用することにより、成形性よく摩擦材が製造で
き、且つ得られた摩擦材は機械的特性が良好で制動安定
性,耐摩耗性,耐熱性に優れ,さらには鳴きが低減され
自動車・鉄道車両・航空機・産業機械等の制動部品に好
適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)フェノール類とアルデヒド類と酸
    触媒あるいはアルカリ触媒とを必須成分として得られる
    フェノール系樹脂100重量部と、(B)(1)式で示
    されるアセトン抽出率Rが R(%)=(W1 / W0)×100 (1) (式中、W0 は部分硬化したフェノール系樹脂の重量
    (g),W1 はアセトンで加熱還流後抽出されたフェノ
    ール系樹脂の重量(g)を表す。) 5〜90%である部分硬化したフェノール系樹脂2〜1
    000重量部とを混合することを特徴とする摩擦材用フ
    ェノール樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 部分硬化したフェノール系樹脂の平均粒
    径が2〜50μmであることを特徴とする請求項1記載
    の摩擦材用フェノール樹脂組成物。
JP16676894A 1994-07-19 1994-07-19 摩擦材用フェノール樹脂組成物 Pending JPH0828617A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002097286A (ja) * 2000-09-20 2002-04-02 Aisin Chem Co Ltd 摩擦材
JP2005036137A (ja) * 2003-07-17 2005-02-10 Kyocera Chemical Corp フェノール系樹脂成形材料
CN102618215A (zh) * 2012-02-23 2012-08-01 重庆红宇摩擦制品有限公司 一种再生汽车制动摩擦材料及其制备方法
CN117004173A (zh) * 2023-08-30 2023-11-07 浙江万赛汽车零部件股份有限公司 一种改性酚醛树脂刹车片中的生产工艺

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