JPH08283017A - 水酸化マグネシウムおよびその水懸濁液の製造方法 - Google Patents

水酸化マグネシウムおよびその水懸濁液の製造方法

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JPH08283017A
JPH08283017A JP4680396A JP4680396A JPH08283017A JP H08283017 A JPH08283017 A JP H08283017A JP 4680396 A JP4680396 A JP 4680396A JP 4680396 A JP4680396 A JP 4680396A JP H08283017 A JPH08283017 A JP H08283017A
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彰彦 樋口
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久夫 河原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マグネシアを水和することにより粉粒状の水
酸化マグネシウムを簡便かつ効率よく製造し、貯蔵、移
送および輸送コストを低減する。 【解決手段】 軽焼マグネシア100重量部に対して2
5重量部以下(例えば、0.1〜20重量部)にの水で
湿潤しつつ、マグネシアを乾式混合又は乾式混練し、粉
粒状の水酸化マグネシウムを製造する。乾式混合系又は
乾式混練系において、水はマグネシアに対してガス状又
は液状で添加できる。水和反応を促進するため、マグネ
シア100重量部に対して触媒0.01〜20重量部を
使用して、乾式混合又は乾式混練してもよい。また、分
散剤の存在下、乾式混合又は乾式混練することにより、
粉粒状水酸化マグネシウムを含む水性スラリーの分散安
定性を高めてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中和剤や脱硫剤、
肥料、重油の燃焼用添加剤、パルプ蒸解剤などとして有
用な粉粒状の水酸化マグネシウムの製造方法、この方法
により得られた粉粒状の水酸化マグネシウムと、それを
含む水懸濁液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】排煙脱硫や排水などの中和に水酸化マグ
ネシウムが使用されている。この水酸化マグネシウム
は、従来、海水中の塩化マグネシウムと消石灰とを反応
させる方法により製造されている。しかし、この方法
は、海水中のマグネシウム含有量が微量であり、製造工
程が複雑である。しかも、水酸化マグネシウムを含む水
性スラリーは、濃度が30重量%程度であるにも拘らず
高粘度であるため、高濃度化することが困難であり、製
造および輸送コストが高くなる。
【0003】一方、酸化マグネシウムを水和(消和)さ
せることにより水酸化マグネシウムを得ることも可能で
あるが、反応速度が遅いため、オートクレーブを用いて
100℃以上の高温および常圧を越える高圧で反応させ
る必要がある。このような課題を解決するため、特開平
3−252311号公報には、天然産マグネサイトを焼
成して得られる軽焼マグネシアを水和する方法が提案さ
れている。また、特開平6−206722号公報には、
湿式粉砕しながら、アルカリ性水性媒体の存在下、軽焼
マグネシアを水和する方法が開示されている。このよう
な方法において、排煙脱硫や排水などの中和に水酸化マ
グネシウム水懸濁液を用いる場合、反応を円滑に進行さ
せ、効率よく中和処理するためには、水酸化マグネシウ
ムの粒子径を小さくする必要がある。しかし、粒子径を
小さくすると、スラリー粘度が高くなる。一方、低粘度
化のため、水酸化マグネシウムの粒子径を大きくする
と、中和効率が低下すると共に沈澱物が生成しやすい。
また、水酸化マグネシウム濃度の高い懸濁液では、粘度
が著しく上昇し、移送や輸送も困難となり、取扱性が低
下する。なお、前記の方法で得られた水性スラリーの移
送および輸送コストを低減するため、水性スラリーから
多量の水分を除去し、粉粒状の水酸化マグネシウムを得
ることも可能である。しかし、粉粒状水酸化マグネシウ
ムを得るためには、前記水性媒体での軽焼マグネシアの
水和工程、生成した水性スラリーから多量の水分を除去
する工程とを必要とする。そのため、大きなエネルギー
を必要とするとともに、簡便かつ効率的に粉粒状水酸化
マグネシウムを得ることが困難である。さらに、水酸化
マグネシウムは比重が大きいため、その水懸濁液の分散
安定性を長期間保持することは困難である。すなわち、
水酸化マグネシウム水懸濁液を長期間保存すると、流動
性が低下したり、沈澱物が密に固化し、再分散が困難な
硬質ケーキが生成する。
【0004】水性スラリーの粘度安定性および流動性を
高めるため、特開平6−115930号公報には、水酸
化マグネシウム、アニオン性高分子分散剤および水溶性
アルカリ金属塩を撹拌混合することにより、水酸化マグ
ネシウムの水性スラリーを製造する方法が開示されてい
る。特開平6−191832号公報には、脂肪酸のアル
カリ金属塩を主成分とするアニオン界面活性剤を含む温
水溶液に、軽焼マグネシアを添加し、加熱しながら消和
することにより、活性化水酸化マグネシウムを調製する
方法が開示されている。また、チェコスロバキア特許第
236626号公報には、反応速度を増大させるため、
界面活性剤の存在下、マグネシアを水和する水酸化マグ
ネシウムの製造法が開示されている。しかし、このよう
な方法でも、粉粒状の水酸化マグネシウムを得るために
は、水性スラリーから多量の水分を除去する必要があ
る。しかも、水分の除去に伴って水性スラリーが高粘度
化したりケーキ化し、撹拌不能となるため、粉粒状(固
体状)水酸化マグネシウムの分離および乾燥操作が煩雑
化する。従って、工業的に効率よく粉粒状の水酸化マグ
ネシウムを製造することが困難である。
【0005】特公昭47−22942号公報には、生石
灰、酸化マグネシウム又はこれらの混合物を消化機を用
いて水と反応させて消化する際、粗砕塊への水の浸透を
促進するため反応開始前に予め消火機内を減圧して、反
応開始後に減圧操作を中止する消化方法が開示されてい
る。この文献には、具体的方法として、消火機内を減圧
して生石灰の粗砕塊200gに対して理論量の1.2倍
に相当する水75gを注水し、減圧操作を中止して消化
する方法が記載されている。しかし、この方法では減圧
操作が必要であるだけでなく、マグネシアの消化に適用
すると、撹拌不能となり、粉粒状の水酸化マグネシウム
を工業的に効率よく製造することが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、粉粒状の水酸化マグネシウムを簡便かつ効率よく製
造できる方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、保存、移送および輸送コストを低減する上で有用な
粉粒状の水酸化マグネシウムおよびその製造方法を提供
することにある。本発明のさらに他の目的は、固体のマ
グネシアから高い水和効率で粉粒状の水酸化マグネシウ
ムを製造できる方法を提供することにある。本発明の別
の目的は、粉粒状であっても水分散性および保存安定性
の高い水性スラリーを得る上で有用な粉粒状の水酸化マ
グネシウムおよびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、水酸化マグネシウムの水懸
濁液を簡便な操作で得ることができる方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するため鋭意検討した結果、少量の水の存在下、流
動性を維持しつつ粉粒状のマグネシアを乾式混合又は乾
式混練すると、高い効率で水和反応が生じ、粉粒状の水
酸化マグネシウムが効率よく生成すること、乾式混合系
又は乾式混練系に触媒及び/又は分散剤を添加すると、
水和効率がさらに向上したり、水分散性が向上すること
を見いだし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の方法では、水分の存在
下、マグネシアを乾式混合又は乾式混練しつつ水和する
ことにより、粉粒状水酸化マグネシウムを製造する。こ
の方法において、水の使用量は、乾式混合又は乾式混練
系においてマグネシアの流動性が確保でき、かつ水和反
応が損なわれない範囲であればよい。本発明の方法にお
いて、例えば、(1)マグネシア100重量部に対して
25重量部以下の水で湿潤しつつ、マグネシア粉粒体を
乾式混合又は乾式混練し、粉粒状水酸化マグネシウムを
得てもよく、(2)固体の間隙に連続気相を形成しつつ
マグネシアと水とを反応させることにより、水酸化マグ
ネシウムを得てもよい。前記マグネシアとしては、軽焼
マグネシアなどが使用でき、その形態は、ランプ、粗砕
物や微粉砕物などであってもよい。また、水は、マグネ
シアに対して、 ガス状又は液状、または含水スラリーまたはケーキ
として添加できる。また、水和反応は、触媒及び/又は
分散剤の存在下で行ってもよい。
【0009】本発明は、前記のような方法で得られた粉
粒状の水酸化マグネシウムも提供する。さらに、本発明
の方法には、前記方法により得られた粉粒状水酸化マグ
ネシウムを水に分散することにより、水酸化マグネシウ
ム水懸濁液を製造する方法も含まれる。この方法におい
て、粉粒状水酸化マグネシウムは、分散剤の存在下で水
性媒体中に分散させてもよい。
【0010】なお、本明細書において「乾式混合又は乾
式混練」とは、水分を含むものの、流動性を有する粉粒
状の形態で粉粒体を混合又は混練することをいう。ま
た、粉粒状の水酸化マグネシウムの製造方法において、
乾式混合系又は乾式混練系での「水分」又は「水」の量
は、反応により消費された水分および蒸発又は揮散した
水分を含まず、反応系に存在する遊離の水分量を意味
し、原料マグネシアに対する量である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で使用する前記マグネシア
としては、特に限定されず天然産マグネサイト(ペリク
レース)を高温で焼成した硬焼マグネシアであっていよ
いが、天然産マグネサイトを温度550〜1500℃程
度、好ましくは650〜1300℃程度、さらに好まし
くは800〜1200℃程度で焼成した軽焼マグネシア
を用いる場合が多い。このような焼成温度で得られる軽
焼マグネシアを用いると、活性が著しく高い水酸化マグ
ネシウム(活性化水酸化マグネシウム)を得ることがで
きる。
【0012】前記マグネシアの大きさは粉粒体化が可能
である限り特に制限されない。例えば、マグネシアは、
混合又は混練により解砕または摩砕可能なランプ(未粉
砕の軽焼マグネシアの塊状物)、粗砕物や微粉砕物であ
ってもよい。前記ランプとしては、例えば、最大粒径1
0〜200mm(例えば、10〜100mm)、平均粒
径3〜60mm(例えば、3〜40mm)程度の軽焼マ
グネシアが使用でき、粗砕物の粒子径は、例えば、最大
粒径0.1〜10mm(例えば、0.5〜10mm程
度)、平均粒径0.1〜3mm(例えば、0.5〜3m
m程度)である場合が多い。さらに、微粉砕物として
は、最大粒径1〜3000μm(好ましくは1〜100
0μm、例えば、40〜100μm程度)、平均粒径1
〜300μm(例えば、10〜70μm程度)程度の軽
焼マグネシアが使用できる。
【0013】好ましい軽焼マグネシアには、粗砕による
粉粒体や塊状物、粉粒体(例えば、最大粒径3000μ
m以下、平均粒径0.1〜300μm、好ましくは1〜
200μm、さらに好ましくは2〜100μm程度の粉
粒体)が含まれる。
【0014】このようなマグネシアを、水の存在下、乾
式混合又は乾式混練しつつ水和することにより、粉粒状
水酸化マグネシウムを製造できる。すなわち、本発明の
特色は、流動性を損なわない範囲で乾式混合系又は乾式
混練系に水分を供給し、反応系の水分含有量を特定の範
囲に維持しつつ、マグネシアを水和する点にある。その
ため、本発明において、混合又は混練操作性、およびマ
グネシアの均一な流動性と水和反応に対して、水分量は
大きな影響を及ぼす。
【0015】反応過程で反応系に維持される水分量は、
マグネシアの乾式混合又は混練性、流動性および水和反
応を損なわない範囲であればよく、例えば、マグネシア
100重量部に対して、25重量部以下(但し、実質的
に0を含まない)、好ましくは0.1〜20重量部(例
えば、0.2〜15重量部)、さらに好ましくは0.2
〜10重量部程度であり、0.3〜15重量部(例え
ば、0.4〜7.5重量部)程度である場合が多い。マ
グネシア100重量部に対する水分量が25重量部を越
えると混合および混練が困難となり、均一な混合又は混
練系で効率よく水酸化マグネシウムを生成させることが
困難である。なお、上記の水分量は、前記のように、反
応の進行に伴って水酸化マグネシウムが生成し、マグネ
シア量が減少するので、原料マグネシアに対する量であ
る。なお、反応系の水分量がマグネシア100重量部に
対して約10重量部未満では均一な混合又は混練系が維
持でき、水分量がさらに増加するにつれて湿った混合又
は混練系となり、25重量部を越えると混合又は混練系
の撹拌動力が急激に増加し、キシミ音などが生成し易く
なるとともに、撹拌翼や壁面への付着などが生じやすく
なり、水和反応を均一に行なうことが困難となる。さら
に、過剰の水分を添加すると、混合系又は混練系が泥状
となり、乾式混合又は乾式混練系から外れ、従来の水和
反応となる。
【0016】このような少量の水を反応系に存在させる
ことにより、固体マグネシアの間隙に連続気相を形成し
つつマグネシアと水とを反応させ水和することができ
る。すなわち、本発明の方法では、粉粒体、液体および
気体の充填形態が、(a)固相および気相が連続し液相
が殆ど存在しないドライ(Dry)状態、(b)固相およ
び気相が連続で液相が不連続なペンデュラー(Pendula
r)状態、(c)固相、気相および液相が連続なファニ
キュラーI(Funicular I)状態で混合又は混練しなが
ら反応させる。このような充填形態は、見掛け上、サラ
サラないしパサパサした混合(mixing)又は混練(mull
ing)系を構成する(「混合混練技術」第2版、日本粉
体工業会編,日刊工業新聞社,昭和61年4月30日発
行)。そのため、このような混合又は混練系を利用する
と、小さな撹拌動力で均一に混合又は混練でき、装置を
簡易化できるとともに、摩砕による細粒化、水分による
粒状化などにより、生成した水酸化マグネシウムの粒度
分布を均一化できる。
【0017】反応系での水分量を前記範囲に保つ限り、
水はマグネシアに対してガス状(スチーム)又は液状
(液滴など)で供給又は添加できる。水は、滴下や噴霧
などの方法により、混合又は混練系に連続的又は逐次に
供給してもよく、間欠的に供給してもよい。なお、水
は、水和反応により消費された水分量を補充しながら供
給する場合が多い。水の供給量は、反応温度などにより
変化するが、通常、マグネシア100重量部当たり、1
0〜100重量部/hr、好ましくは20〜80重量部
/hr、さらに好ましくは25〜75重量部/hr程度
である。なお、水分量の調整は、水分計による測定値の
みならず、混合又は混練に伴う撹拌動力の値などに基づ
いても行なうことができる。
【0018】さらに、水は、反応系に共存する共存物
(スラリーやケーキなど)の水分に起因してもよい。例
えば、反応系に、前記マグネシアと、水に対して非反応
性の水性スラリーやケーキ(例えば、海水中の塩化マグ
ネシウムと消石灰との反応により得られた水酸化マグネ
シウム(海水マグ)の水性スラリーやケーキ)とを共存
させる場合、前記マグネシアとの反応により消費される
水は水性スラリーやケーキ中の水分に由来してもよい。
このようなスラリーやケーキを用いて水分を供給または
添加すると、均一な反応系を容易に形成できる。なお、
スラリーやケーキは、全量を一度に添加してもよく、連
続的又は間欠的に添加してもよい。スラリーやケーキの
含水率は、特に制限されず、例えば、10〜90重量
%、好ましくは20〜80重量%程度である。このよう
な方法では、スラリーやケーキ中の水分をマグネシアと
の反応により除去でき、スラリーやケーキの乾燥も併せ
て行うことがきる。
【0019】水の総使用量は、マグネシアの成分とその
割合、酸化マグネシウムの含有量、純度などにより変化
するが、通常、マグネシア100重量部に対して40〜
55重量部、好ましくは41〜55重量部、さらに好ま
しくは43〜52重量部程度である。
【0020】前記水和反応は、マグネシアと水との反応
を損なわない適当な条件で行なうことができ、例えば、
温度30〜150℃、好ましくは50〜130℃(例え
ば、60〜120℃)、さらに好ましくは70〜110
℃(80〜110℃)程度で行なうことができる。反応
温度が30℃未満では水和反応速度が小さく、150℃
を越えると部分的に熱分解が生じやすく、水和率が低下
する場合がある。また、反応圧力は、例えば、1〜10
気圧、好ましくは1〜5気圧程度、さらに好ましくは1
〜2気圧程度であり、常圧程度でも反応は円滑に進行す
る。なお、反応温度は慣用の方法、例えば、外部加熱や
冷却などによりコントロールできる。
【0021】前記水和反応は、触媒の非存在下でも円滑
に進行するが、消和反応を促進するため、触媒の存在下
で乾式混合又は乾式混練するのが好ましい。触媒はマグ
ネシアに直接添加してもよく、水との混合液として添加
してもよい。また、水溶性触媒(酢酸、酢酸マグネシウ
ムなど)や反応温度によりガス化する触媒(酢酸など)
は、通常、水との混合液として使用する場合が多い。
【0022】前記触媒には、慣用の酸又はその塩、例え
ば、(A)有機酸又はその塩、(B)酸性リン酸エステ
ル又は酸性硫酸エステル若しくはそれらの塩、(C)無
機酸又はその塩および(D)アルカリ金属水酸化物が含
まれる。
【0023】前記(A)有機酸には、(A1)単官能性の
有機酸及び(A2)2以上の官能基を有する有機酸が含ま
れる。 (A1)単官能性の有機酸としては、例えば、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、アクリル
酸、クロトン酸などの脂肪族モノカルボン酸(例えば、
炭素数1〜4の脂肪族モノカルボン酸);モノクロロ酢
酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などのハロゲン化脂
肪族モノカルボン酸(例えば、炭素数1〜4のハロゲン
化脂肪族モノカルボン酸);シクロペンタンカルボン
酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボ
ン酸(例えば、炭素数4〜10の脂環式モノカルボン
酸);安息香酸、トルイル酸などの芳香族モノカルボン
酸(例えば、炭素数7〜15の芳香族モノカルボン
酸);メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸(例え
ば、炭素数1〜10のアルキルスルホン酸);ベンゼン
スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスル
ホン酸などのアリールスルホン酸(例えば、炭素数6〜
20のアリールスルホン酸)などが挙げられる。好まし
い(A1)単官能性のカルボン酸には、飽和脂肪族モノカ
ルボン酸、ハロゲン化脂肪族モノカルボン酸、アルキル
スルホン酸、アリールスルホン酸などが含まれる。さら
に好ましくは、水溶性のモノカルボン酸(例えば、ギ
酸、酢酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、プロピオン
酸、酪酸などのハロゲン原子を有していてもよい炭素数
1〜4程度の脂肪族モノカルボン酸)、特にハロゲン原
子を有していてもよい炭素数1〜3程度の脂肪族モノカ
ルボン酸(特に酢酸など)が繁用される。
【0024】(A2)2以上の官能基を有する有機酸に
は、少なくとも1つのカルボキシル基を有すると共に、
さらに1以上の官能基(例えば、カルボキシル基、ヒド
ロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチ
オ基、カルボニル基、チオカルボニル基、アミノ基、ア
ミド基、シアノ基など)を有する有機酸などが含まれ
る。このような有機酸はキレート形成能を有する場合が
多い。前記(A2)2以上の官能基を有する有機酸の代表
的な例として、例えば、多価カルボン酸、ヒドロキシカ
ルボン酸、アルコキシカルボン酸、オキソカルボン酸、
アミノカルボン酸などが挙げられる。多価カルボン酸と
しては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マ
レイン酸などの脂肪族多価カルボン酸(例えば、炭素数
2〜12の脂肪族多価カルボン酸);フタル酸、イソフ
タル酸などの芳香族多価カルボン酸(例えば、8〜15
の芳香族多価カルボン酸)などが挙げられる。好ましい
多価カルボン酸には、マロン酸、アジピン酸などの炭素
数2〜8の脂肪族多価カルボン酸(特にジカルボン
酸);フタル酸などの炭素数8〜12の芳香族多価カル
ボン酸(特にジカルボン酸)などが含まれる。ヒドロキ
シカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、
グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン
酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えば、炭素数
2〜12の脂肪族ヒドロキシカルボン酸);サリチル
酸、没食子酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸(例え
ば、炭素数7〜15の芳香族ヒドロキシカルボン酸)な
どが挙げられる。好ましいヒドロキシカルボン酸には、
酒石酸、グルコン酸などのヒドロキシル基を2以上有す
るヒドロキシカルボン酸(例えば、ヒドロキシル基を2
〜6個程度の有する炭素数2〜12程度の脂肪族ヒドロ
キシカルボン酸)などが含まれる。アルコキシカルボン
酸には、例えば、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、アニス
酸などの脂肪族または芳香族のアルコキシカルボン酸
(例えば、炭素数2〜15程度のアルコキシカルボン
酸)などが含まれる。オキソカルボン酸には、例えば、
グリオキシル酸、ピルビン酸、アセト酢酸、オキサロ酢
酸などの炭素数2〜12程度、好ましくは炭素数2〜1
0程度のオキソカルボン酸などが含まれる。アミノカル
ボン酸には、例えば、グリシン、アラニン、ロイシン、
グルタミン酸、エチレンジアミン四酢酸などの炭素数2
〜15程度、好ましくは炭素数2〜10程度のアミノカ
ルボン酸などが含まれる。
【0025】(B)酸性リン酸エステルには、例えば、
リン酸モノエチル、リン酸ジエチル、リン酸モノブチ
ル、リン酸モノドデシル、リン酸モノフェニル、フィチ
ン酸などの炭素数1〜15程度、好ましくは炭素数1〜
10程度の1価又は多価の酸性リン酸エステルなどが含
まれる。好ましいリン酸エステルには、フィチン酸など
の多価の酸性リン酸エステルなどが含まれる。また、
(B)酸性硫酸エステルには、硫酸モノメチル、硫酸モ
ノエチル、硫酸モノブチル、硫酸モノドデシルなどの炭
素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10程度の1価又
は多価の酸性硫酸エステルなどが含まれる。多価の酸性
リン酸エステルまたは酸性硫酸エステルは、キレート形
成能を有する場合が多い。
【0026】前記(C)無機酸には、例えば、塩酸、次
亜塩素酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、スルファミン
酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸(例
えば、ピロリン酸、トリリン酸、トリメタリン酸、テト
ラメタリン酸など)、炭酸などが含まれる。これらの無
機酸のうち、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸などを用
いる場合が多く、ポリリン酸などのキレート形成能を有
する無機酸(トリポリリン酸など)を用いる場合も多
い。
【0027】前記酸の塩としては、リチウム塩、ナトリ
ウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウ
ム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;周期表
3〜15族に属する金属の塩(例えば、マンガン、亜鉛
などの周期表7又は12族に属する金属の塩、特に亜鉛
塩など);アンモニア、アミン(例えば、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミン、ジメチルアミノエタノール、モルホリ
ンなど)又は塩基性含窒素複素環化合物(ピリジンな
ど)との塩などが挙げられる。
【0028】好ましい(A)有機酸塩には、ナトリウム
塩などのアルカリ金属塩(例えば、酢酸ナトリウムなど
のモノカルボン酸アルカリ金属塩;グルコン酸ナトリウ
ムなどのヒドロキシカルボン酸アルカリ金属塩;エチレ
ンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのアミノカルボン酸
アルカリ金属塩など)、マグネシウム塩などのアルカリ
土類金属塩(例えば、酢酸マグネシウムなどのモノカル
ボン酸アルカリ土類金属塩;酒石酸マグネシウムなどの
ヒドロキシカルボン酸アルカリ土類金属塩など)などが
含まれる。また、好ましい(C)無機酸の塩には、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリ
ウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物;塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウムなどのアルカ
リ土類金属ハロゲン化物;塩化アンモニウム、臭化アン
モニウムなどのハロゲン化アンモニウム;硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウムなどのアルカリ金属硫酸塩;硫酸マグ
ネシウムなどのアルカリ土類金属硫酸塩;硫酸第二鉄な
どの硫酸鉄;硫酸アルミニウム;硫酸亜鉛;硫酸アンモ
ニウム;亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜
硫酸水素カリウムなどのアルカリ金属亜硫酸(水素)
塩;亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素マグネシウムな
どのアルカリ土類金属亜硫酸(水素)塩;硝酸ナトリウ
ム、硝酸カリウムなどのアルカリ金属硝酸塩;硝酸カル
シウム、硝酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属硝酸
塩;硝酸第二鉄などの硝酸鉄;硝酸アルミニウム;硝酸
亜鉛;硝酸アンモニウム;リン酸ナトリウム、リン酸カ
リウムなどのアルカリ金属リン酸塩;リン酸マグネシウ
ムなどのアルカリ土類金属リン酸塩;リン酸アンモニウ
ム;ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウ
ム、トリポリリン酸カリウムなどのアルカリ金属ポリリ
ン酸塩;ピロリン酸マグネシウム、トリポリリン酸マグ
ネシウムなどのアルカリ土類金属ポリリン酸塩;炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのア
ルカリ金属炭酸(水素)塩;炭酸マグネシウムなどのア
ルカリ土類金属炭酸塩などが含まれる。
【0029】前記(D)アルカリ金属水酸化物には、水
酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど
が含まれる。好ましいアルカリ金属水酸化物は水酸化ナ
トリウムなどである。
【0030】なお、触媒としては、工業的観点、経済性
などの点から、例えば、有機酸又はその塩(特に酢酸又
はその塩)やアルカリ金属水酸化物を用いる場合が多
い。有機酸とアルカリ金属水酸化物とを併用する場合、
これの2つの成分に代えて、有機酸のアルカリ金属塩
(例えば、酢酸ナトリウムなど)を用いてもよい。
【0031】これらの触媒は、単独で用いてもよく、2
以上の同種又は異種の酸または塩を組合せて使用しても
よい。前記2以上の酸又はその塩を組合せることによ
り、水和速度が大幅に改善する場合がある。例えば、触
媒成分として、(1)(A1)単官能性の有機酸又はその
塩と、(2)(A2)2以上の官能基を有する有機酸又は
その塩、(B)酸性リン酸エステル又は酸性硫酸エステ
ル若しくはこれらの塩および(C)無機酸又はその塩か
らなる群から選択された成分とを組合せて用いると、水
和反応を促進できるだけでなく、水酸化マグネシウムを
水性スラリー化しても水性スラリーの懸濁液の高粘度化
を抑制できるとともに、ケーキが生成しても再分散性が
向上する。また、前記酸成分(A)〜(C)の少なくと
も一種と、(D)アルカリ金属水酸化物とを組み合わせ
て用いたり、前記酸成分(A)〜(C)のアルカリ金属
塩を用いると、水に対する粉粒状水酸化マグネシウムの
分散性が向上すると共に、スラリーのケーキ化を防止で
きる。
【0032】触媒の使用量は、触媒の種類に応じて乾式
混合又は乾式混練系を維持できる広い範囲から選択で
き、例えば、マグネシア100重量部に対して0.01
〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、さらに
好ましくは0.5〜10重量部程度であり、1〜15重
量部(特に2〜15重量部)程度である場合が多い。触
媒の使用量が増加するにつれて、乾式混合又は乾式混練
系であっても、水和率を大きく改善できる。また、水和
率が高くなるにつれて、生成した粉粒状の水酸化マグネ
シウムを水に分散しても分散安定性が高く、しかもケー
キが生成したとしてもケーキは軟質で容易に再分散す
る。
【0033】なお、複数の触媒成分を組み合わせて使用
する場合、各触媒成分の割合は適当に選択できる。例え
ば、(1)(A1)単官能性の有機酸成分と、(2)(A
2)2以上の官能基を有する有機酸成分、(B)酸性リ
ン酸エステル又は酸性硫酸エステル成分、および(C)
無機酸成分から選択された成分とを組み合わせる場合、
前記(A1)有機酸成分の使用量は、例えば、マグネシア
100重量部に対して0.01〜15重量部(好ましく
は0.02〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜
5重量部)程度であり、前記(A2)、(B)及び(C)
から選択された成分の使用量は、例えば、マグネシア1
00重量部に対して0.01〜15重量部(好ましくは
0.02〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜5
重量部)程度である。
【0034】さらに、本発明の方法では、分散剤の存在
下、乾式混合又は乾式混練により、マグネシアから水酸
化マグネシウムを生成させてもよい。分散剤は、低分子
量界面活性剤、高分子界面活性剤のいずれであってもよ
い。低分子量界面活性剤には、脂肪酸アルカリ金属塩
(炭素数10〜30程度の高級脂肪酸のアルキル金属
塩、アンモニウム塩、アミン塩など)、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ショ糖
脂肪酸エステルなどが含まれる。好ましい分散剤は高分
子界面活性剤であり、高分子界面活性剤を用いると、粉
粒状水酸化マグネシウムを水性スラリーとした場合、高
い分散安定性および保存安定性を維持しつつ、高濃度の
水酸化マグネシウム水懸濁液であっても低粘度化でき
る。
【0035】高分子界面活性剤の分子量は、例えば、1
×103 以上(例えば、1×103〜1×106 )、好
ましくは1×103 〜1×105 、さらに好ましくは2
×103 〜1×105 程度である。高分子界面活性剤の
重合度は、水酸化マグネシウム水懸濁液の流動性、分散
性を損なわない範囲で適宜選択でき、例えば、高分子界
面活性剤の1重量%水溶液の25℃における粘度は、
1.2〜1000cps(センチポイズ)、好ましくは
1.5〜500cps、さらに好ましくは1.8〜20
0cps程度である。
【0036】前記高分子界面活性剤には、陰イオン界面
活性剤および非イオン界面活性剤が含まれる。陰イオン
界面活性剤としては、例えば、分子内にカルボキシル
基を有する高分子カルボン酸又はその塩であるカルボン
酸型陰イオン界面活性剤;分子内にスルホン酸基を有
する高分子スルホン酸又はその塩であるスルホン酸型陰
イオン界面活性剤;分子内に酸性硫酸エステル基を有
する酸性高分子硫酸エステル又はその塩である硫酸型陰
イオン界面活性剤;分子内に酸性リン酸エステル基又
は酸性亜リン酸エステル基を有する高分子リン酸、高分
子亜リン酸又はそれらの塩であるリン酸型陰イオン界面
活性剤などが例示できる。なお、前記カルボキシル基、
スルホン酸基、酸性硫酸エステル基、酸性リン酸エステ
ル基、酸性亜リン酸エステル基などの酸性基またはそれ
らの塩を、単に「アニオン性基」ということがある。
【0037】カルボン酸型陰イオン界面活性剤には、
合成高分子カルボン酸および天然または半合成高分子カ
ルボン酸が含まれる。前記合成高分子カルボン酸として
は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、クロトン酸などの不飽和カルボ
ン酸又はその塩若しくは酸無水物をモノマー成分として
用いたホモポリマーおよびコポリマーなどが挙げられ
る。不飽和カルボン酸と共重合可能な重合性単量体とし
ては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)
アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、α−
メチルスチレンなどのスチレン系単量体;酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系単量体;メ
チルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピル
ビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチル
ビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニ
ルエーテル系単量体などが挙げられる。合成高分子カル
ボン酸の具体例としては、例えば、ポリアクリル酸、ポ
リメタクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル−(メ
タ)アクリル酸コポリマー、ビニルエーテル−不飽和カ
ルボン酸コポリマー(例えば、ブチルビニルエーテル−
無水マレイン酸コポリマーなど)、ポリクロトン酸、ス
チレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、スチレン−無
水マレイン酸コポリマーなどが例示できる。前記合成高
分子カルボン酸の酸価は、水溶性を付与できる範囲、例
えば30〜800KOHmg/g、好ましくは50〜5
00KOHmg/g程度である。前記天然又は半合成高
分子カルボン酸としては、アルギン酸、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシカルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチル化澱粉、アラビアゴム、トラガン
トゴム、ペクチン、ヒアルロン酸などのカルボキシル基
を有する多糖類などが含まれる。
【0038】スルホン酸型陰イオン界面活性剤として
は、例えば、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合
物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、トリアジン
スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリエチレンスルホン
酸、ポリスチレンスルホン酸、リグニンスルホン酸など
が挙げられる。 硫酸型陰イオン界面活性剤としては、例えば、硫酸化
ポリビニルアルコール、硫酸セルロース、カラギーナ
ン、寒天、コンドロイチン硫酸などが例示できる。リ
ン酸型陰イオン界面活性剤には、例えば、リン酸化ポリ
ビニルアルコール、リン酸セルロース、亜リン酸セルロ
ースなどが含まれる。
【0039】また、前記陰イオン界面活性剤は塩として
使用できる。塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリ
ウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシ
ウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩;亜鉛塩
などの周期表12族に属する金属の塩;アンモニア、ア
ミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエ
タノール、モルホリンなど)又は塩基性含窒素複素環化
合物(ピリジンなど)との塩;テトラエチルアンモニウ
ム、トリメチルベンジルアンモニウムなどの第4級アン
モニウム塩などが挙げられる。好ましい塩には、アルカ
リ金属塩、アンモニア又はアミンとの塩、前記第4級ア
ンモニウム塩などが含まれる。分子内に複数個の酸性基
を有する場合、各酸性基の対イオンは同一又は異なって
いてもよい。
【0040】上記の陰イオン界面活性剤のうち、カルボ
ン酸型、スルホン酸型、硫酸型の陰イオン界面活性剤な
どが好ましい。特に、カルボン酸型陰イオン界面活性剤
(なかでもカルボキシメチルセルロース、アルギン酸な
どのカルボキシル基を有する多糖類などの天然または半
合成高分子カルボン酸又はそれらの塩)は、水性スラリ
ーに対して極めて高い低粘度化作用を有する。また、ス
ルホン酸型陰イオン界面活性剤および硫酸型陰イオン界
面活性剤は、前記低粘度化作用と共に、水酸化マグネシ
ウム水性スラリーを長期間保存しても、生成するケーキ
の硬質化を抑制する作用を有する。前記陰イオン界面活
性剤は、分子内に、アニオン性基を少なくとも1つ有し
ていればよいが、前記アニオン性基を2以上(例えば、
2〜10000、好ましくは4〜1000)程度有して
いるポリアニオン高分子界面活性剤が好ましい。分子内
に複数個のアニオン性基を有する場合、前記アニオン性
基は、同一であってもよく異なっていてもよい。
【0041】前記非イオン界面活性剤としては、例え
ば、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルフ
ェニルポリオキシエチレンエーテル、アルキルカルボニ
ルオキシポリオキシエチレン、脂肪酸多価アルコールエ
ステルとエチレンオキサイドとの付加物、脂肪酸ショ糖
エステルとエチレンオキサイドとの付加物、ポリオキシ
アルキレンブロックコポリマーなどが挙げられる。非イ
オン界面活性剤のうち、ポリオキシアルキレンブロック
コポリマー(エチレンオキサイド−プロピレンオキサイ
ドブロックコポリマーなど)は水性スラリーの低粘度化
作用が大きい。
【0042】これらの分散剤は一種または二種以上組合
せて使用でき、高分子界面活性剤と低分子量界面活性剤
とを組合せて使用してもよい。特に、前記カルボン酸
型陰イオン界面活性剤と前記スルホン酸型又は硫酸
型陰イオン界面活性剤とを組合せて用いると、水性スラ
リーに高い分散安定性および保存安定性を付与できるだ
けでなく、長期保存により沈澱物のケーキが生成したと
しても、生成するケーキは軟質であり、振盪、攪拌など
により容易に再分散するので、再分散性が著しく向上す
る。
【0043】分散剤の使用量は、例えば、マグネシア1
00重量部に対して、0.001〜15重量部、好まし
くは0.005〜10重量部、さらに好ましくは0.0
1〜5重量部程度であり、0.03〜2.5重量部(例
えば、0.05〜2重量部)程度である場合が多い。
【0044】カルボン酸型陰イオン界面活性剤とス
ルホン酸型又は硫酸型陰イオン界面活性剤とを組合せ
て用いる場合、両者の割合は、例えば、前者/後者=
0.1〜20(重量比)、好ましくは0.5〜15(重
量比)、さらに好ましくは1〜10(重量比)程度であ
る。
【0045】なお、水性スラリーにおける水酸化マグネ
シウム含量が高濃度、例えば65重量%以上(65〜7
5重量%程度)である場合、少量の分散剤を添加しても
水性スラリーの粘度がさほど低下しない場合がある。こ
のような場合、前記分散剤、特に高分子界面活性剤の含
有量を、水酸化マグネシウム100重量部に対して1〜
10重量部、好ましくは3〜10重量部、さらに好まし
くは5〜10重量部程度とするのが好ましい。
【0046】乾式混合又は乾式混練には、ニーダ、加圧
ニーダ、インターナルミキサ(バンバリーミキサ)など
の混練機の他、慣用の消化機、例えば、スクリュー式、
クライツァー(Kritzer)式、シャファー(Schaffer)
式、溢流式、スターテバンド式、ウォームステレ(Warm
estelle)式、シルデ(Schilde)式、エイリッヒ(Eiri
ch)式、ケネディ(Kennedy)式などの常圧消化機、ウ
ッドビル(Woodville)式、コーソン(Corson)式、吉
沢石灰式などの加圧消化機などが利用できる。
【0047】このようにして得られた粉粒状の水酸化マ
グネシウムは、用途に応じた適当な粒径及び粒度分布を
有していればよく、その平均粒径は、例えば、0.1〜
1000μm(例えば、1〜1000μm)、好ましく
は2〜100μm(例えば、3〜75μm)、さらに好
ましくは3〜30μm(例えば、5〜20μm)程度で
ある。粒度分布において、水酸化マグネシウムは、単一
のピークに限らず2以上のピークを有していてもよい。
【0048】生成した粉粒状の水酸化マグネシウムの水
和率は、反応条件などにも依存するが、通常、70〜1
00%(例えば、78〜100%)、好ましくは80〜
100%(例えば、85〜100%)、さらに好ましく
は90〜100%(例えば、93〜100%)程度であ
る。生成した粉粒状の水酸化マグネシウムは水分散性が
高いだけでなく、従来の水性スラリーに比べて貯蔵性、
輸送性、移送性が高い。そのため、粉粒状水酸化マグネ
シウムは、現場で、混合/撹拌という簡単な操作で容易
に水性スラリー化でき、水性スラリーを調製する上で有
用であるとともに、大幅なコストダウンを実現できる。
特に水和率の高い粉粒状水酸化マグネシウム、例えば、
水和率が90〜100%(好ましくは92〜100%)
程度の粉粒状水酸化マグネシウムは、分散剤を含まない
水性スラリーを調製しても、高い分散安定性を示すとと
もに、ケーキが生成したとしても、振盪、撹拌などの簡
単な操作で再分散する。
【0049】なお、前記分散剤を含む系又は分散剤を含
まない系で乾式混合又は乾式混練した場合、生成した粉
粒状の水酸化マグネシウムは、分散剤で処理したり、分
散剤の存在下、生成した粉粒状の水酸化マグネシウムを
水中に分散させてもよい。このような処理又は分散にお
いて、分散剤の使用量は、前記分散剤の総使用量に相当
する範囲から適当に選択できる。
【0050】得られた粉粒状の水酸化マグネシウムは、
必要に応じて、粉砕、造粒、篩などによる分級などの操
作に供することにより、広い用途、例えば、中和用、排
煙脱硫用、肥料用、重油の燃焼添加剤、パルプ蒸解剤、
プラスチックの添加剤、着色剤、製剤の添加剤などとし
て好適に使用できる。粉粒状の水酸化マグネシウムは、
そのまま肥料用などに用いることもでき、中和剤などの
用途では、水分散性が高いことを利用して、水性スラリ
ー(水懸濁液)を調製する上で有用である。
【0051】水酸化マグネシウム水懸濁液は、粉粒状の
水酸化マグネシウムを水性媒体中に分散することにより
調製できる。粉粒状水酸化マグネシウムは、前記のよう
に、分散剤の非存在下で水性媒体中に分散してもよい
が、前記分散剤の存在下、粉粒状水酸化マグネシウムを
水中に分散すると、分散安定性の高い水性スラリー(水
懸濁液)を確実に得ることができる。
【0052】粉粒状の水酸化マグネシウムに対する水と
分散剤の添加順序は特に制限されず、例えば、水酸化マ
グネシウムの水懸濁液に、分散剤(好ましくは高分子界
面活性剤)を添加してもよく、粉粒状の水酸化マグネシ
ウムに水と分散剤との混合液を添加してもよく、粉粒状
水酸化マグネシウムを分散剤で処理した後、水を添加し
てもよい。さらに、前記成分を同時に混合することによ
り、水酸化マグネシウムを水中に分散させてもよい。前
記分散・混合は、撹拌、振盪、超音波照射など慣用の方
法により行うことができる。前記分散・混合は、粉粒状
水酸化マグネシウムに剪断力が作用する強制撹拌下で行
なってもよい。強制撹拌下に分散・混合すると、得られ
た水酸化マグネシウム水懸濁液の長期保存により固形分
と水とが分離しても、ケーキは再撹拌により容易に再分
散する。しかも、強制撹拌下に分散・混合した得られた
水懸濁液は、高濃度であっても粘度が低いという特性を
有する。特に分散剤として高分子界面活性剤を用いる
と、粘度の上昇および硬質ケーキの生成を抑制でき、長
期間保存しても容易に再分散できる水酸化マグネシウム
水懸濁液を得ることができる。
【0053】前記強制撹拌は、種々の混合撹拌機、例え
ば、撹拌羽根を有する撹拌機の回転数を増大させたり、
ホモジナイザーやスーパーミキサーなどの撹拌機により
強い剪断力を作用させるなどの方法で行うことができ
る。強制撹拌に伴う周速度は、例えば、300m/分以
上、好ましくは350〜5000m/分程度である。撹
拌時間は周速度や混合撹拌系の形態などに応じて選択で
き、例えば、周速度400m/分では30分以上、好ま
しくは1時間以上、さらに好ましくは2〜20時間程
度、周速度1000m/分では、3分以上(好ましくは
5分〜1時間程度)で十分である。
【0054】粉粒状水酸化マグネシウムの分散性が高い
ため、水懸濁液における水酸化マグネシウムの含有量
は、広い範囲で選択でき、例えば、10〜85重量%
(例えば、15〜80重量%)、好ましくは30〜75
重量%(例えば、35〜70重量%)、さらに好ましく
は35〜70重量%程度である。
【0055】このようにして得られた水酸化マグネシウ
ム水懸濁液は、分散安定性が高く、高濃度であっても粘
度が低いという特色を有する。そのため、高濃度化する
ことにより、輸送および貯蔵コストを大巾に低減でき
る。また、水性スラリーの流動性も高いため、スラリー
の貯蔵、パイプ輸送などの作業性を向上できる。さら
に、分散安定性および希釈安定性が高いので、所望の濃
度の水酸化マグネシウム水懸濁液を容易に調製できる。
なお、水酸化マグネシウム水懸濁液の25℃における粘
度は、例えば、10〜2500cps、好ましくは40
〜2000cps、さらに好ましくは40〜1500c
ps程度である。
【0056】
【発明の効果】本発明では、所定の水分含量を維持しつ
つ乾式混合又は乾式混練するという簡単な操作で、粉粒
状の水酸化マグネシウムを簡便かつ効率よく製造でき
る。また、水酸化マグネシウムを粉粒状で得ることがで
きるで、保存、移送および輸送コストを低減する上で有
用である。しかも、上記のような簡単な操作で、固体の
マグネシアから高い水和効率で粉粒状の水酸化マグネシ
ウムを製造できる。さらには、粉粒状であっても水分散
性が高いので、粉粒状の水酸化マグネシウムを水中に分
散するという簡単な操作で水性スラリー(水懸濁液)を
得ることができる。
【0057】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。なお、実施例における粘度は25℃での値
を示し、「%」は特に明示がない限り「重量%」を示
す。また、ヒドロ化率は、次のようにして測定した。す
なわち、試料(水酸化マグネシウム)を150℃で恒量
になるまで乾燥した後、乳鉢で微粉砕し、電気炉を用い
600℃で恒量になるまで焼成し、焼成による重量減か
ら水酸化マグネシウム量を求め、ヒドロ化率を算出し
た。また、中和時間は、粉砕し、篩分けによる200メ
ッシュパスの試料12.70gを2N−硫酸200gに
添加し、pH6になるまでの時間である。また、離水率
は、円筒状の容器に懸濁液を所定の高さまで入れ、6日
間放置した後、全体の高さに対する分離した水層の高さ
の割合(%)を意味する。なお、反応系の水分量は、撹
拌動力(電流計の針の振れの程度)により判断した。す
なわち、予備試験により、水分量と撹拌動力との関係を
求め、電流計の針の振れがない場合には水分量が15重
量%以下、電流計の針の振れが若干ある場合には水分量
が18重量%以下、電流計の針の振れがある場合には水
分量が25重量%であることを利用して、反応系の水分
量を推定した。なお、反応系の水分量は、反応系からサ
ンプリングした試料を急冷して反応を停止させた後、重
量を測定し、メタノールで洗浄し、150℃で乾燥した
後、重量を測定することにより、重量減少量から算出し
た。
【0058】実施例1 内部に2つのZ型の撹拌翼を有し、上部に2つの滴下漏
斗、1つの還流冷却器、および温度計を装着したジャケ
ット付きのステンレス製ニーダ(内容積3L)に、軽焼
マグネシア(330メッシュパス)1000gを入れ、
60℃に加熱した。軽焼マグネシアを75rpmで撹拌
しながら、前記2つの滴下漏斗を用いて水500gを6
回に分けて6時間に亘り滴下した。この滴下過程での反
応系の水分量は18重量%以下であり、滴下開始から4
5分経過後には内温が75℃に上昇し、最高温度は87
℃に達した。滴下終了後、1時間加熱を継続した後冷却
することにより、製品基準の水分含量4.4%、ヒドロ
化率79.7%の水酸化マグネシウムを得た。
【0059】実施例2 軽焼マグネシア(330メッシュパス)に代えて軽焼マ
グネシア(120メッシュパス)1000gを用いる以
外、実施例1と同様にして反応させたところ、反応温度
は最高温度78℃に達した。得られた水酸化マグネシウ
ムの水分含量(製品基準)は4.8%、ヒドロ化率は8
3.1%であった。
【0060】実施例3 軽焼マグネシア(120メッシュパス)1000gを8
5℃で撹拌しながら、酢酸20gと水480gとの混合
溶液を1時間に亘り滴下し、さらに2時間撹拌する以
外、実施例1と同様にして反応させたところ、製品基準
の水分含量5.5%、ヒドロ化率99.5%の水酸化マ
グネシウムが得られた。なお、滴下過程での反応系の水
分量は15重量%以下であった。得られた粉粒状水酸化
マグネシウムを水に分散させ、50重量%の水懸濁液を
調製したところ、粘度65cps(6日後130cp
s),pH9.9,離水率3%であり、ケーキは殆ど生
成しなかった。また、水懸濁液を用いた中和時間は11
0秒であった。
【0061】実施例4 軽焼マグネシア(330メッシュパス)1000gを7
5℃で撹拌しながら、酢酸30gと水470gとの混合
溶液を2時間に亘り滴下し、さらに1時間撹拌する以
外、実施例1と同様にして反応させたところ、製品基準
の水分含量7.7%、ヒドロ化率89.7%の水酸化マ
グネシウムが得られた。なお、滴下過程での反応系の水
分量は15重量%以下であった。
【0062】実施例5 軽焼マグネシア(120メッシュパス)1000gを8
8℃で撹拌しながら、酢酸50gと水450gとの混合
溶液を1時間に亘り滴下し、さらに1時間撹拌する以
外、実施例1と同様にして反応させたところ、製品基準
の水分含量2.2%、ヒドロ化率99.4%の水酸化マ
グネシウムが得られた。なお、滴下過程での反応系の水
分量は15重量%以下であった。得られた粉粒状水酸化
マグネシウムを水に分散させ、50重量%の水懸濁液を
調製したところ、粘度13000cps(6日後375
00cps),pH9.9,離水率0%であり、ケーキ
は生成しなかった。また、得られた粉粒状水酸化マグネ
シウムを水に分散させ、37重量%の水懸濁液を調製し
たところ、粘度240cps(6日後1600cp
s),pH9.8,離水率6.8%であり、ケーキは生
成しなかった。
【0063】実施例6 軽焼マグネシア(330メッシュパス)1000gを8
6℃で撹拌しながら、酢酸50gと水450gとの混合
溶液を1時間に亘り滴下し、さらに1時間撹拌する以
外、実施例1と同様にして反応させたところ、製品基準
の水分含量3.5%、ヒドロ化率96.1%の水酸化マ
グネシウムが得られた。なお、滴下過程での反応系の水
分量は15重量%以下であった。得られた粉粒状水酸化
マグネシウムを水に分散させ、50重量%の水懸濁液を
調製したところ、粘度11000cps(6日後290
00cps),pH9.9,離水率0%であり、ケーキ
は生成しなかった。また、得られた粉粒状水酸化マグネ
シウムを水に分散させ、37重量%の水懸濁液を調製し
たところ、粘度220cps(6日後840cps),
pH9.9,離水率5.5%であり、ケーキは生成しな
かった。
【0064】実施例7 軽焼マグネシア(330メッシュパス)1000gを8
8℃で撹拌しながら、酢酸120gと水400gとの混
合溶液を1時間30分に亘り滴下し、さらに1時間30
分撹拌する以外、実施例1と同様にして反応させたとこ
ろ、水分含量5.3%、ヒドロ化率96.8%の水酸化
マグネシウムが得られた。なお、滴下過程での反応系の
水分量は15重量%以下であった。
【0065】実施例8 軽焼マグネシア(330メッシュパス)1000gを9
6℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウム50gと水50
0gとの混合溶液を1時間30分に亘り滴下し、さらに
3時間30分撹拌する以外、実施例1と同様にして反応
させたところ、製品基準の水分含量5.6%、ヒドロ化
率88.0%の水酸化マグネシウムが得られた。なお、
滴下過程での反応系の水分量は18重量%以下であっ
た。
【0066】実施例9 軽焼マグネシア(330メッシュパス)1000gを9
0℃で撹拌しながら、硫酸10gと水500gとの混合
溶液を1時間30分に亘り滴下し、さらに2時間30分
撹拌する以外、実施例1と同様にして反応させたとこ
ろ、製品基準の水分含量5.9%、ヒドロ化率84.5
%の水酸化マグネシウムが得られた。なお、滴下過程で
の反応系の水分量は18重量%以下であった。得られた
粉粒状水酸化マグネシウムを水に分散させ、50重量%
の水懸濁液を調製したところ、粘度35cps(6日後
35cps),pH11.2であった。
【0067】実施例10 軽焼マグネシア(330メッシュパス)1000gを8
5℃で撹拌しながら、酢酸マグネシウム・4水塩75.
3gと水475gとの混合溶液を2時間に亘り滴下し、
さらに1時間撹拌する以外、実施例1と同様にして反応
させたところ、製品基準の水分含量5.6%、ヒドロ化
率94.2%の水酸化マグネシウムが得られた。なお、
滴下過程での反応系の水分量は15重量%以下であっ
た。得られた粉粒状水酸化マグネシウムを水に分散さ
せ、50重量%の水懸濁液を調製したところ、粘度70
000cps(6日後88000cps),pH10.
0,離水率0%であり、ケーキは生成しなかった。ま
た、得られた粉粒状水酸化マグネシウムを水に分散さ
せ、37重量%の水懸濁液を調製したところ、粘度66
0cps(6日後1140cps),pH9.9,離水
率4.2%であり、ケーキは生成しなかった。
【0068】実施例11 軽焼マグネシア(330メッシュパス)1000gを8
4℃で撹拌しながら、酢酸10g、ポリアクリル酸ナト
リウム(ポリマスターD−45,伯東化学(株)製,1
%粘度:3cps)1gおよび水500gの混合溶液を
3時間に亘り滴下し、さらに1時間撹拌する以外、実施
例1と同様にして反応させたところ、製品基準の水分含
量5.7%、ヒドロ化率96.2%の水酸化マグネシウ
ムが得られた。なお、滴下過程での反応系の水分量は1
5重量%以下であった。
【0069】実施例12 軽焼マグネシア(120メッシュパス)1000gを8
0℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウム10g、カルボ
キシメチルセルロース・ナトリウム塩(CMC112
0,ダイセル化学工業(株)製,1%粘度:11cp
s)1gおよび水500gの混合溶液を5回に分けて2
時間に亘り滴下し、さらに3時間30分撹拌する以外、
実施例1と同様にして反応させたところ、製品基準の水
分含量5.0%、ヒドロ化率89.0%の水酸化マグネ
シウムが得られた。なお、滴下過程での反応系の水分量
は15重量%以下であった。
【0070】実施例13 2つの仕込み口、ジャケットおよび4枚の撹拌羽を備え
た乾燥機(内容積200L)と、真空ポンプとが、サイ
クロン、バッグフィルターおよびコンデンサーを順次介
して接続された装置を用いた。前記乾燥機内に軽焼マグ
ネシア(120メッシュパス)50kgを仕込み、40
℃に加温した後、軽焼マグネシアを撹拌しながら、酢酸
1kgを含む水溶液25kgを30分間に亘り添加し
た。この添加過程での反応系の水分量を測定したところ
5.0重量%以下であり、最高温度は101℃に達した
ものの、酢酸臭は生成しなかった。前記酢酸水溶液の添
加終了後、真空ポンプにより余剰の水分を除去したとこ
ろ、ドレイン水3.2kgを得た。得られた水酸化マグ
ネシウム68.5kgの水分含量(製品基準)は3.4
%、ヒドロ化率95.9%であった。得られた粉粒状水
酸化マグネシウムを水に分散させ、50重量%の水懸濁
液を調製したところ、粘度7800cps(6日後67
00cps),pH9.9,離水率0%であり、ケーキ
は生成しなかった。また、得られた粉粒状水酸化マグネ
シウムを水に分散させ、37重量%の水懸濁液を調製し
たところ、粘度520cps(6日後1960cp
s),pH9.9,離水率1.5%であり、ケーキは生
成しなかった。
【0071】実施例14 海水中の塩化マグネシウムと消石灰との反応により得ら
れた水酸化マグネシウム・水スラリー(スラリー濃度3
5重量%)約10kgを、濾紙(5A)を備えたヌッチ
ェを用いて減圧濾過し、水酸化マグネシウムのケーキ
(A)を得た。ケーキ(A)は、水分含量39.2重量
%、ヒドロ化率93.3%であった。実施例1のニーダ
を用いてケーキ(A)中の水分と軽焼マグネシアとを反
応させ粉末状の水酸化マグネシウムを得ることを試み
た。ニーダに、軽焼マグネシア(120メッシュパス)
887gを入れて混練しつつ、予め酢酸25.6gを添
加したケーキ(A)を45分間かけて少量づつ添加し
た。ケーキ(A)の添加から約30分経過したとき、内
温が100℃を越え、水蒸気の発生が見られた。添加終
了後、1時間混練を続けた後、室温に冷却したところ、
サラサラした粉末状水酸化マグネシウム(製品基準の水
分含量0.9重量%、ヒドロ化率93.3%)が得られ
た。
【0072】実施例15 前記実施例14のケーキ(A)をほぐして室温で空気に
さらして放置し、水分を蒸発させ、水分含量29.5重
量%のケーキ(B)を得た。このケーキ(B)1000
g,酢酸23.3g、軽焼マグネシア(120メッシュ
パス)636gを用いる以外は、実施例14と同様にし
て反応させたところ、反応の最高温度は80℃に達し
た。得られたサラサラした粉末状水酸化マグネシウム
は、製品基準の水分含量7.6重量%、ヒドロ化率8
9.0%であった。得られた水酸化マグネシウム200
gに水292.8gを添加し、撹拌しつつ少量の苛性ソ
ーダを用いてpH13.1に調整し、37.5重量%の
水懸濁液を得た。この水懸濁液の1日後の粘度は670
cps(6日後、680cps)、6日後の離水率は1
4.7%であり、ケーキがほとんど生成しなかった。ま
た、この懸濁液を用いた中和時間は60秒であった。
【0073】比較例1 水500gを一度に添加する以外、実施例1と同様にし
て反応させたところ、添加開始から10分経過後に内温
が63℃に上昇するとともにキシミ音が発生した。ま
た、壁面、撹拌翼に混合物が付着するとともに塊状物が
生成し、撹拌不能となった。なお、塊状物の表層部の水
分含量は0.6%、ヒドロ化率は63.9%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 江平 兵庫県神戸市東灘区向洋町中5−5−533 −509

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分の存在下、マグネシアを乾式混合又
    は乾式混練しつつ水和する粉粒状水酸化マグネシウムの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 マグネシア100重量部に対して25重
    量部以下の水で湿潤しつつ、マグネシア粉粒体を乾式混
    合又は乾式混練する請求項1記載の水酸化マグネシウム
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 固体の間隙に連続気相を形成しつつマグ
    ネシアと水とを反応させる請求項1記載の水酸化マグネ
    シウムの製造方法。
  4. 【請求項4】 マグネシアが軽焼マグネシアである請求
    項1記載の水酸化マグネシウムの製造方法。
  5. 【請求項5】 マグネシアが、ランプ、粗砕物又は微粉
    砕物である請求項1記載の水酸化マグネシウムの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 マグネシアに対して、ガス状又は液状
    の水、または含水スラリー又はケーキを添加して水和
    する請求項1記載の水酸化マグネシウムの製造方法。
  7. 【請求項7】 マグネシア100重量部に対する水分量
    を0.1〜20重量部に保ちつつ、乾式混合系又は乾式
    混練系に水を添加する請求項1記載の水酸化マグネシウ
    ムの製造方法。
  8. 【請求項8】 温度30〜150℃および圧力1〜10
    気圧で反応させる請求項1記載の水酸化マグネシウムの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 触媒の存在下、乾式混合又は乾式混練す
    る請求項1記載の水酸化マグネシウムの製造方法。
  10. 【請求項10】 マグネシア100重量部に対する触媒
    の使用量が0.01〜20重量部である請求項9記載の
    水酸化マグネシウムの製造方法。
  11. 【請求項11】 分散剤の存在下、乾式混合又は乾式混
    練する請求項1記載の水酸化マグネシウムの製造方法。
  12. 【請求項12】 軽焼マグネシア100重量部に対する
    水分量を0.2〜15重量部に維持しつつ、軽焼マグネ
    シアを乾式混合又は乾式混練して水和する粉粒状水酸化
    マグネシウムの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の方法により得られる粉
    粒状の水酸化マグネシウム。
  14. 【請求項14】 請求項1の方法により得られた粉粒状
    水酸化マグネシウムを水に分散する水酸化マグネシウム
    水懸濁液の製造方法。
  15. 【請求項15】 分散剤の存在下、粉粒状水酸化マグネ
    シウムを水に分散する請求項14記載の水酸化マグネシ
    ウム水懸濁液の製造方法。
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