JPH1059711A - 水酸化マグネシウムおよびその水懸濁液の製造方法 - Google Patents

水酸化マグネシウムおよびその水懸濁液の製造方法

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JPH1059711A
JPH1059711A JP21251696A JP21251696A JPH1059711A JP H1059711 A JPH1059711 A JP H1059711A JP 21251696 A JP21251696 A JP 21251696A JP 21251696 A JP21251696 A JP 21251696A JP H1059711 A JPH1059711 A JP H1059711A
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magnesia
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acid
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Masaru Higuchi
勝 樋口
Akihiko Higuchi
彰彦 樋口
Minoru Kamamoto
実 鎌本
Hisao Kawahara
久夫 河原
Ehira Shimizu
江平 清水
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Daicel Amiboshi Sangyo Kk
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Daicel Amiboshi Sangyo Kk
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マグネシアを水和することにより粉粒状の水
酸化マグネシウムを簡便かつ効率よく製造し、貯蔵、移
送および輸送コストを低減する。 【解決手段】 軽焼マグネシア100重量部に対して2
5重量部以下(例えば、0.1〜20重量部)の水で湿
潤しつつ、マグネシアを乾式混合又は乾式混練した後、
固形分換算で、水和生成物100重量部に対して0.1
〜20重量部の水分の存在下、70〜150℃の温度で
熟成させることにより、粉粒状の水酸化マグネシウムを
製造する。乾式混合系又は乾式混練系において、水はマ
グネシアに対してガス状又は液状で添加できる。乾式混
合系又は乾式混練系には、水和反応を促進するための触
媒や分散性を向上させるための分散剤を添加してもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中和剤や脱硫剤、
肥料、重油の燃焼用添加剤、パルプ蒸解剤などとして有
用な粉粒状の水酸化マグネシウムの製造方法、この方法
により得られた粉粒状の水酸化マグネシウムと、それを
含む水懸濁液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】排煙脱硫や排水などの中和に水酸化マグ
ネシウムが使用されている。この水酸化マグネシウム
は、従来、海水中の塩化マグネシウムと消石灰とを反応
させる方法により製造されている。しかし、この方法
は、海水中のマグネシウム含有量が微量であり、製造工
程が複雑である。しかも、水酸化マグネシウムを含む水
性スラリーは、濃度が30重量%程度であるにも拘らず
高粘度であるため、高濃度化することが困難であり、製
造および輸送コストが高くなる。
【0003】一方、酸化マグネシウムを水和(消和)さ
せることにより水酸化マグネシウムを得ることも可能で
あるが、反応速度が遅いため、オートクレーブを用いて
100℃以上の高温および常圧を越える高圧で反応させ
る必要がある。このような課題を解決するため、特開平
3−252311号公報には、天然産マグネサイトを焼
成して得られる軽焼マグネシアを水和する方法が提案さ
れている。また、特開平6−206722号公報には、
湿式粉砕しながら、アルカリ性水性媒体の存在下、軽焼
マグネシアを水和する方法が開示されている。このよう
な方法において、排煙脱硫や排水などの中和に水酸化マ
グネシウム水懸濁液を用いる場合、反応を円滑に進行さ
せ、効率よく中和処理するためには、水酸化マグネシウ
ムの粒子径を小さくする必要がある。しかし、粒子径を
小さくすると、スラリー粘度が高くなる。一方、低粘度
化のため、水酸化マグネシウムの粒子径を大きくする
と、中和効率が低下すると共に沈澱物が生成しやすい。
また、水酸化マグネシウム濃度の高い懸濁液では、粘度
が著しく上昇し、移送や輸送も困難となり、取扱性が低
下する。なお、前記の方法で得られた水性スラリーの移
送および輸送コストを低減するため、水性スラリーから
多量の水分を除去し、粉粒状の水酸化マグネシウムを得
ることも可能である。しかし、粉粒状水酸化マグネシウ
ムを得るためには、前記水性媒体での軽焼マグネシアの
水和工程、生成した水性スラリーから多量の水分を除去
する工程とを必要とする。そのため、大きなエネルギー
を必要とするとともに、簡便かつ効率的に粉粒状水酸化
マグネシウムを得ることが困難である。さらに、水酸化
マグネシウムは比重が大きいため、その水懸濁液の分散
安定性を長期間保持することは困難である。すなわち、
水酸化マグネシウム水懸濁液を長期間保存すると、流動
性が低下したり、沈澱物が密に固化し、再分散が困難な
硬質ケーキが生成する。
【0004】水性スラリーの粘度安定性および流動性を
高めるため、特開平6−115930号公報には、水酸
化マグネシウム、アニオン性高分子分散剤および水溶性
アルカリ金属塩を撹拌混合することにより、水酸化マグ
ネシウムの水性スラリーを製造する方法が開示されてい
る。特開平6−191832号公報には、脂肪酸のアル
カリ金属塩を主成分とするアニオン界面活性剤を含む温
水溶液に、軽焼マグネシアを添加し、加熱しながら消和
することにより、活性化水酸化マグネシウムを調製する
方法が開示されている。また、チェコスロバキア特許第
236626号公報には、反応速度を増大させるため、
界面活性剤の存在下、マグネシアを水和する水酸化マグ
ネシウムの製造法が開示されている。しかし、このよう
な方法でも、粉粒状の水酸化マグネシウムを得るために
は、水性スラリーから多量の水分を除去する必要があ
る。しかも、水分の除去に伴って水性スラリーが高粘度
化したりケーキ化し、撹拌不能となるため、粉粒状(固
体状)水酸化マグネシウムの分離および乾燥操作が煩雑
化する。従って、工業的に効率よく粉粒状の水酸化マグ
ネシウムを製造することが困難である。
【0005】特公昭47−22942号公報には、生石
灰、酸化マグネシウム又はこれらの混合物を消化機を用
いて水と反応させて消化する際、粗砕塊への水の浸透を
促進するため反応開始前に予め消火機内を減圧して、反
応開始後に減圧操作を中止する消化方法が開示されてい
る。この文献には、具体的方法として、消火機内を減圧
して生石灰の粗砕塊200gに対して理論量の1.2倍
に相当する水75gを注水し、減圧操作を中止して消化
する方法が記載されている。しかし、この方法では減圧
操作が必要であるだけでなく、マグネシアの消化に適用
すると、撹拌不能となり、粉粒状の水酸化マグネシウム
を工業的に効率よく製造することが困難である。さら
に、軽焼マグネシアなどをマグネシア源として用いる
と、未反応のマグネシア成分が残存し、水和率を向上さ
せることが困難である。また、未反応のマグネシア成分
が残存すると、スラリーの保存中に硬質ケーキが生成す
るとともに、凝結により再分散性が低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高い水和率を有する粉粒状の水酸化マグネシウムを
簡便かつ効率よく製造できる方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、保存、移送および輸送コスト
を低減する上で有用な粉粒状の水酸化マグネシウムおよ
びその製造方法を提供することにある。本発明のさらに
他の目的は、固体のマグネシアから高い水和効率で粉粒
状の水酸化マグネシウムを製造できる方法を提供するこ
とにある。本発明の別の目的は、粉粒状であっても水分
散性および保存安定性の高い水性スラリーを得る上で有
用な粉粒状の水酸化マグネシウムおよびその製造方法を
提供することにある。本発明のさらに別の目的は、未反
応マグネシア成分の生成を抑制でき、ケーキが生成して
も再分散性が改善された粉粒状の水酸化マグネシウムを
製造できる方法を提供することにある。本発明のさらに
別の目的は、水酸化マグネシウムの水懸濁液を簡便な操
作で得ることができる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するため鋭意検討した結果、少量の水の存在下、流
動性を維持しつつ粉粒状のマグネシアを乾式混合又は乾
式混練し、生成物を水分の存在下で熟成させると、水和
効率が大きく改善された粉粒状の水酸化マグネシウムが
効率よく生成すること、乾式混合系又は乾式混練系に触
媒及び/又は分散剤を添加すると、水和効率や水分散性
がさらに向上することを見いだし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の方法では、水分の存在
下、マグネシアを乾式混合又は乾式混練しつつ水和した
後、さらに水分の存在下で熟成することにより、粉粒状
水酸化マグネシウムを製造する。この方法において、水
の使用量は、乾式混合又は乾式混練系においてマグネシ
アの流動性が確保でき、かつ水和反応が損なわれない範
囲であればよい。本発明の方法において、例えば、
(1)マグネシア100重量部に対して25重量部以下
の水で湿潤しつつ、マグネシア粉粒体を乾式混合又は乾
式混練し、粉粒状水酸化マグネシウムを得てもよく、
(2)固体の間隙に連続気相を形成しつつマグネシアと
水とを反応させることにより、水酸化マグネシウムを得
てもよい。前記マグネシアとしては、軽焼マグネシアな
どが使用でき、その形態は、ランプ、粗砕物や微粉砕物
などであってもよい。また、水和系又は塾成系におい
て、水は、マグネシア、または乾式混合又は乾式混練に
よる水和生成物に対して、ガス状又は液状、または
含水スラリーまたはケーキとして添加できる。また、水
和反応は、触媒及び/又は分散剤の存在下で行ってもよ
い。熟成(後反応)は、(a)70℃以上(70〜15
0℃程度)の温度で保温することにより行うことがで
き、熟成過程における(b)水分量は、固形分換算で、
乾式混合又は乾式混練による水和生成物100重量部に
対して0.1〜20重量部程度に保つことができる。本
発明は、前記のような方法で得られた粉粒状の水酸化マ
グネシウムも提供する。さらに、本発明の方法には、前
記方法により得られた粉粒状水酸化マグネシウムを水に
分散することにより、水酸化マグネシウム水懸濁液を製
造する方法も含まれる。この方法において、粉粒状水酸
化マグネシウムは、分散剤の存在下で水性媒体中に分散
させてもよい。
【0009】なお、本明細書において「乾式混合又は乾
式混練」とは、水分を含むものの、流動性を有する粉粒
状の形態で粉粒体を混合又は混練することをいう。ま
た、粉粒状の水酸化マグネシウムの製造方法において、
乾式混合系又は乾式混練系での「水分」又は「水」の量
は、反応により消費された水分および蒸発又は揮散した
水分を含まず、反応系に存在する遊離の水分量を意味
し、原料マグネシアに対する量である。
【0010】
【発明の実施の形態】
[マグネシア]本発明で使用する前記マグネシアとして
は、特に限定されず天然産マグネサイト(ペリクレー
ス)を高温で焼成した硬焼マグネシアであってもよい
が、天然産マグネサイトを温度550〜1500℃程
度、好ましくは650〜1300℃程度、さらに好まし
くは800〜1200℃程度で焼成した軽焼マグネシア
を用いる場合が多い。このような焼成温度で得られる軽
焼マグネシアを用いると、活性が著しく高い水酸化マグ
ネシウム(活性化水酸化マグネシウム)を得ることがで
きる。
【0011】前記マグネシアの大きさは粉粒体化が可能
である限り特に制限されない。例えば、マグネシアは、
混合又は混練により解砕または摩砕可能なランプ(未粉
砕の軽焼マグネシアの塊状物)、粗砕物や微粉砕物であ
ってもよい。前記ランプとしては、例えば、最大粒径1
0〜200mm(例えば、10〜100mm)、平均粒
径3〜60mm(例えば、3〜40mm)程度の軽焼マ
グネシアが使用でき、粗砕物の粒子径は、例えば、最大
粒径0.1〜10mm(例えば、0.5〜10mm程
度)、平均粒径0.1〜3mm(例えば、0.5〜3m
m程度)である場合が多い。さらに、微粉砕物として
は、最大粒径1〜3000μm(好ましくは1〜100
0μm、例えば、40〜100μm程度)、平均粒径1
〜300μm(例えば、10〜70μm程度)程度の軽
焼マグネシアが使用できる。好ましい軽焼マグネシアに
は、粗砕による粉粒体や塊状物、粉粒体(例えば、最大
粒径3000μm以下、平均粒径0.1〜300μm、
好ましくは1〜200μm、さらに好ましくは2〜10
0μm程度の粉粒体)が含まれる。
【0012】[乾式水和]このようなマグネシアを、水
の存在下、乾式混合又は乾式混練しつつ水和することに
より、粉粒状水酸化マグネシウムを製造できる。すなわ
ち、本発明の第1の特色は、流動性を損なわない範囲で
乾式混合系又は乾式混練系に水分を供給し、反応系の水
分含有量を特定の範囲に維持しつつ、マグネシアを水和
する点にある。そのため、本発明において、混合又は混
練操作性、およびマグネシアの均一な流動性と水和反応
に対して、水分量は大きな影響を及ぼす。
【0013】反応過程で反応系に維持される水分量は、
マグネシアの乾式混合又は混練性、流動性および水和反
応を損なわない範囲であればよく、例えば、マグネシア
100重量部に対して、25重量部以下(但し、実質的
に0を含まない)、好ましくは0.1〜20重量部(例
えば、0.2〜15重量部)、さらに好ましくは0.2
〜10重量部程度であり、0.3〜15重量部(例え
ば、0.4〜7.5重量部)程度である場合が多い。マ
グネシア100重量部に対する水分量が25重量部を越
えると混合および混練が困難となり、均一な混合又は混
練系で効率よく水酸化マグネシウムを生成させることが
困難である。なお、上記の水分量は、前記のように、反
応の進行に伴って水酸化マグネシウムが生成し、マグネ
シア量が減少するので、原料マグネシアに対する量であ
る。なお、反応系の水分量がマグネシア100重量部に
対して約10重量部未満では均一な混合又は混練系が維
持でき、水分量がさらに増加するにつれて湿った混合又
は混練系となり、25重量部を越えると混合又は混練系
の撹拌動力が急激に増加し、キシミ音などが生成し易く
なるとともに、撹拌翼や壁面への付着などが生じやすく
なり、水和反応を均一に行なうことが困難となる。さら
に、過剰の水分を添加すると、混合系又は混練系が泥状
となり、乾式混合又は乾式混練系から外れ、従来の水和
反応となる。
【0014】このような少量の水を反応系に存在させる
ことにより、固体マグネシアの間隙に連続気相を形成し
つつマグネシアと水とを反応させ水和することができ
る。すなわち、本発明の方法では、粉粒体、液体および
気体の充填形態が、(a)固相および気相が連続し液相
が殆ど存在しないドライ(Dry)状態、(b)固相およ
び気相が連続で液相が不連続なペンデュラー(Pendula
r)状態、(c)固相、気相および液相が連続なファニ
キュラーI(Funicular I)状態で混合又は混練しなが
ら反応させる。このような充填形態は、見掛け上、サラ
サラないしパサパサした混合(mixing)又は混練(mull
ing)系を構成する(「混合混練技術」第2版、日本粉
体工業会編,日刊工業新聞社,昭和61年4月30日発
行)。そのため、このような混合又は混練系を利用する
と、小さな撹拌動力で均一に混合又は混練でき、装置を
簡易化できるとともに、摩砕による細粒化、水分による
粒状化などにより、生成した水酸化マグネシウムの粒度
分布を均一化できる。
【0015】反応系での水分量を前記範囲に保つ限り、
水はマグネシアに対してガス状(スチーム)又は液状
(液滴など)で供給又は添加できる。水は、滴下や噴霧
などの方法により、混合又は混練系に連続的又は逐次に
供給してもよく、間欠的に供給してもよい。なお、水
は、水和反応により消費された水分量を補充しながら供
給する場合が多い。水の供給量は、反応温度などにより
変化するが、通常、マグネシア100重量部当たり、1
0〜100重量部/hr、好ましくは20〜80重量部
/hr、さらに好ましくは25〜75重量部/hr程度
である。なお、水分量の調整は、水分計による測定値の
みならず、混合又は混練に伴う撹拌動力の値などに基づ
いても行なうことができる。
【0016】さらに、水は、反応系に共存する共存物
(スラリーやケーキなど)の水分に起因してもよい。例
えば、反応系に、前記マグネシアと、水に対して非反応
性の水性スラリーやケーキ(例えば、海水中の塩化マグ
ネシウムと消石灰との反応により得られた水酸化マグネ
シウム(海水マグ)の水性スラリーやケーキ)とを共存
させる場合、前記マグネシアとの反応により消費される
水は水性スラリーやケーキ中の水分に由来してもよい。
このようなスラリーやケーキを用いて水分を供給または
添加すると、均一な反応系を容易に形成できる。なお、
スラリーやケーキは、全量を一度に添加してもよく、連
続的又は間欠的に添加してもよい。スラリーやケーキの
含水率は、特に制限されず、例えば、10〜90重量
%、好ましくは20〜80重量%程度である。このよう
な方法では、スラリーやケーキ中の水分をマグネシアと
の反応により除去でき、スラリーやケーキの乾燥も併せ
て行うことがきる。
【0017】水の総使用量は、マグネシアの成分とその
割合、酸化マグネシウムの含有量、純度などにより変化
するが、通常、マグネシア100重量部に対して40〜
55重量部、好ましくは41〜55重量部、さらに好ま
しくは43〜52重量部程度である。
【0018】前記水和反応は、マグネシアと水との反応
を損なわない適当な条件で行なうことができ、例えば、
温度30〜150℃、好ましくは50〜130℃(例え
ば、60〜120℃)、さらに好ましくは70〜110
℃(80〜110℃)程度で行なうことができる。反応
温度が30℃未満では水和反応速度が小さく、150℃
を越えると部分的に熱分解が生じやすく、水和率が低下
する場合がある。また、反応圧力は、例えば、1〜10
気圧、好ましくは1〜5気圧程度、さらに好ましくは1
〜2気圧程度であり、常圧程度でも反応は円滑に進行す
る。なお、反応温度は慣用の方法、例えば、外部加熱や
冷却などによりコントロールできる。
【0019】[触媒]前記水和反応は、触媒の非存在下
でも円滑に進行するが、消和反応を促進するため、触媒
の存在下で乾式混合又は乾式混練するのが好ましい。触
媒はマグネシアに直接添加してもよく、水との混合液と
して添加してもよい。また、水溶性触媒(酢酸、酢酸マ
グネシウムなど)や反応温度によりガス化する触媒(酢
酸など)は、通常、水との混合液として使用する場合が
多い。前記触媒には、慣用の酸又はその塩、例えば、
(A)有機酸又はその塩、(B)酸性リン酸エステル又
は酸性硫酸エステル若しくはそれらの塩、(C)無機酸
又はその塩および(D)アルカリ金属水酸化物が含まれ
る。
【0020】前記(A)有機酸には、(A1)単官能性の
有機酸及び(A2)2以上の官能基を有する有機酸が含ま
れる。 (A1)単官能性の有機酸としては、例えば、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、アクリル
酸、クロトン酸などの脂肪族モノカルボン酸(例えば、
炭素数1〜4の脂肪族モノカルボン酸);モノクロロ酢
酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などのハロゲン化脂
肪族モノカルボン酸(例えば、炭素数1〜4のハロゲン
化脂肪族モノカルボン酸);シクロペンタンカルボン
酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボ
ン酸(例えば、炭素数4〜10の脂環式モノカルボン
酸);安息香酸、トルイル酸などの芳香族モノカルボン
酸(例えば、炭素数7〜15の芳香族モノカルボン
酸);メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸(例え
ば、炭素数1〜10のアルキルスルホン酸);ベンゼン
スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスル
ホン酸などのアリールスルホン酸(例えば、炭素数6〜
20のアリールスルホン酸)などが挙げられる。好まし
い(A1)単官能性のカルボン酸には、飽和脂肪族モノカ
ルボン酸、ハロゲン化脂肪族モノカルボン酸、アルキル
スルホン酸、アリールスルホン酸などが含まれる。さら
に好ましくは、水溶性のモノカルボン酸(例えば、ギ
酸、酢酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、プロピオン
酸、酪酸などのハロゲン原子を有していてもよい炭素数
1〜4程度の脂肪族モノカルボン酸)、特にハロゲン原
子を有していてもよい炭素数1〜3程度の脂肪族モノカ
ルボン酸(特に酢酸など)が繁用される。
【0021】(A2)2以上の官能基を有する有機酸に
は、少なくとも1つのカルボキシル基を有すると共に、
さらに1以上の官能基(例えば、カルボキシル基、ヒド
ロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチ
オ基、カルボニル基、チオカルボニル基、アミノ基、ア
ミド基、シアノ基など)を有する有機酸などが含まれ
る。このような有機酸はキレート形成能を有する場合が
多い。前記(A2)2以上の官能基を有する有機酸の代表
的な例として、例えば、多価カルボン酸、ヒドロキシカ
ルボン酸、アルコキシカルボン酸、オキソカルボン酸、
アミノカルボン酸などが挙げられる。多価カルボン酸と
しては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マ
レイン酸などの脂肪族多価カルボン酸(例えば、炭素数
2〜12の脂肪族多価カルボン酸);フタル酸、イソフ
タル酸などの芳香族多価カルボン酸(例えば、8〜15
の芳香族多価カルボン酸)などが挙げられる。好ましい
多価カルボン酸には、マロン酸、アジピン酸などの炭素
数2〜8の脂肪族多価カルボン酸(特にジカルボン
酸);フタル酸などの炭素数8〜12の芳香族多価カル
ボン酸(特にジカルボン酸)などが含まれる。ヒドロキ
シカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、
グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン
酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えば、炭素数
2〜12の脂肪族ヒドロキシカルボン酸);サリチル
酸、没食子酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸(例え
ば、炭素数7〜15の芳香族ヒドロキシカルボン酸)な
どが挙げられる。好ましいヒドロキシカルボン酸には、
酒石酸、グルコン酸などのヒドロキシル基を2以上有す
るヒドロキシカルボン酸(例えば、ヒドロキシル基を2
〜6個程度の有する炭素数2〜12程度の脂肪族ヒドロ
キシカルボン酸)などが含まれる。アルコキシカルボン
酸には、例えば、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、アニス
酸などの脂肪族または芳香族のアルコキシカルボン酸
(例えば、炭素数2〜15程度のアルコキシカルボン
酸)などが含まれる。オキソカルボン酸には、例えば、
グリオキシル酸、ピルビン酸、アセト酢酸、オキサロ酢
酸などの炭素数2〜12程度、好ましくは炭素数2〜1
0程度のオキソカルボン酸などが含まれる。アミノカル
ボン酸には、例えば、グリシン、アラニン、ロイシン、
グルタミン酸、エチレンジアミン四酢酸などの炭素数2
〜15程度、好ましくは炭素数2〜10程度のアミノカ
ルボン酸などが含まれる。
【0022】(B)酸性リン酸エステルには、例えば、
リン酸モノエチル、リン酸ジエチル、リン酸モノブチ
ル、リン酸モノドデシル、リン酸モノフェニル、フィチ
ン酸などの炭素数1〜15程度、好ましくは炭素数1〜
10程度の1価又は多価の酸性リン酸エステルなどが含
まれる。好ましいリン酸エステルには、フィチン酸など
の多価の酸性リン酸エステルなどが含まれる。また、
(B)酸性硫酸エステルには、硫酸モノメチル、硫酸モ
ノエチル、硫酸モノブチル、硫酸モノドデシルなどの炭
素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10程度の1価又
は多価の酸性硫酸エステルなどが含まれる。多価の酸性
リン酸エステルまたは酸性硫酸エステルは、キレート形
成能を有する場合が多い。
【0023】前記(C)無機酸には、例えば、塩酸、次
亜塩素酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、スルファミン
酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸(例
えば、ピロリン酸、トリリン酸、トリメタリン酸、テト
ラメタリン酸など)、炭酸などが含まれる。これらの無
機酸のうち、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸などを用
いる場合が多く、ポリリン酸などのキレート形成能を有
する無機酸(トリポリリン酸など)を用いる場合も多
い。
【0024】前記酸の塩としては、リチウム塩、ナトリ
ウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウ
ム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;周期表
3〜15族に属する金属の塩(例えば、マンガン、亜鉛
などの周期表7又は12族に属する金属の塩、特に亜鉛
塩など);アンモニア、アミン(例えば、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミン、ジメチルアミノエタノール、モルホリ
ンなど)又は塩基性含窒素複素環化合物(ピリジンな
ど)との塩などが挙げられる。
【0025】好ましい(A)有機酸塩には、ナトリウム
塩などのアルカリ金属塩(例えば、酢酸ナトリウムなど
のモノカルボン酸アルカリ金属塩;グルコン酸ナトリウ
ムなどのヒドロキシカルボン酸アルカリ金属塩;エチレ
ンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのアミノカルボン酸
アルカリ金属塩など)、マグネシウム塩などのアルカリ
土類金属塩(例えば、酢酸マグネシウムなどのモノカル
ボン酸アルカリ土類金属塩;酒石酸マグネシウムなどの
ヒドロキシカルボン酸アルカリ土類金属塩など)などが
含まれる。また、好ましい(C)無機酸の塩には、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリ
ウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物;塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウムなどのアルカ
リ土類金属ハロゲン化物;塩化アンモニウム、臭化アン
モニウムなどのハロゲン化アンモニウム;硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウムなどのアルカリ金属硫酸塩;硫酸マグ
ネシウムなどのアルカリ土類金属硫酸塩;硫酸第二鉄な
どの硫酸鉄;硫酸アルミニウム;硫酸亜鉛;硫酸アンモ
ニウム;亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜
硫酸水素カリウムなどのアルカリ金属亜硫酸(水素)
塩;亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素マグネシウムな
どのアルカリ土類金属亜硫酸(水素)塩;硝酸ナトリウ
ム、硝酸カリウムなどのアルカリ金属硝酸塩;硝酸カル
シウム、硝酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属硝酸
塩;硝酸第二鉄などの硝酸鉄;硝酸アルミニウム;硝酸
亜鉛;硝酸アンモニウム;リン酸ナトリウム、リン酸カ
リウムなどのアルカリ金属リン酸塩;リン酸マグネシウ
ムなどのアルカリ土類金属リン酸塩;リン酸アンモニウ
ム;ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウ
ム、トリポリリン酸カリウムなどのアルカリ金属ポリリ
ン酸塩;ピロリン酸マグネシウム、トリポリリン酸マグ
ネシウムなどのアルカリ土類金属ポリリン酸塩;炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのア
ルカリ金属炭酸(水素)塩;炭酸マグネシウムなどのア
ルカリ土類金属炭酸塩などが含まれる。
【0026】前記(D)アルカリ金属水酸化物には、水
酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど
が含まれる。好ましいアルカリ金属水酸化物は水酸化ナ
トリウムなどである。
【0027】なお、触媒としては、工業的観点、経済性
などの点から、例えば、有機酸又はその塩(特に酢酸又
はその塩)やアルカリ金属水酸化物を用いる場合が多
い。有機酸とアルカリ金属水酸化物とを併用する場合、
これの2つの成分に代えて、有機酸のアルカリ金属塩
(例えば、酢酸ナトリウムなど)を用いてもよい。
【0028】これらの触媒は、単独で用いてもよく、2
以上の同種又は異種の酸または塩を組合せて使用しても
よい。前記2以上の酸又はその塩を組合せることによ
り、水和速度が大幅に改善する場合がある。例えば、触
媒成分として、(1)(A1)単官能性の有機酸又はその
塩と、(2)(A2)2以上の官能基を有する有機酸又は
その塩、(B)酸性リン酸エステル又は酸性硫酸エステ
ル若しくはこれらの塩および(C)無機酸又はその塩か
らなる群から選択された成分とを組合せて用いると、水
和反応を促進できるだけでなく、水酸化マグネシウムを
水性スラリー化しても水性スラリーの懸濁液の高粘度化
を抑制できるとともに、ケーキが生成しても再分散性が
向上する。また、前記酸成分(A)〜(C)の少なくと
も一種と、(D)アルカリ金属水酸化物とを組み合わせ
て用いたり、前記酸成分(A)〜(C)のアルカリ金属
塩を用いると、水に対する粉粒状水酸化マグネシウムの
分散性が向上すると共に、スラリーのケーキ化を防止で
きる。
【0029】触媒の使用量は、触媒の種類に応じて乾式
混合又は乾式混練系を維持できる広い範囲から選択で
き、例えば、マグネシア100重量部に対して0.01
〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、さらに
好ましくは0.5〜10重量部程度であり、1〜15重
量部(特に2〜15重量部)程度である場合が多い。触
媒の使用量が増加するにつれて、乾式混合又は乾式混練
系であっても、水和率を大きく改善できる。また、水和
率が高くなるにつれて、生成した粉粒状の水酸化マグネ
シウムを水に分散しても分散安定性が高く、しかもケー
キが生成したとしてもケーキは軟質で容易に再分散す
る。
【0030】なお、複数の触媒成分を組み合わせて使用
する場合、各触媒成分の割合は適当に選択できる。例え
ば、(1)(A1)単官能性の有機酸成分と、(2)(A
2)2以上の官能基を有する有機酸成分、(B)酸性リ
ン酸エステル又は酸性硫酸エステル成分、および(C)
無機酸成分から選択された成分とを組み合わせる場合、
前記(A1)有機酸成分の使用量は、例えば、マグネシア
100重量部に対して0.01〜15重量部(好ましく
は0.02〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜
5重量部)程度であり、前記(A2)、(B)及び(C)
から選択された成分の使用量は、例えば、マグネシア1
00重量部に対して0.01〜15重量部(好ましくは
0.02〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜5
重量部)程度である。
【0031】[分散剤]さらに、本発明の方法では、分
散剤の存在下、乾式混合又は乾式混練により、マグネシ
アから水酸化マグネシウムを生成させてもよい。分散剤
は、低分子量界面活性剤、高分子界面活性剤のいずれで
あってもよい。低分子量界面活性剤には、脂肪酸アルカ
リ金属塩(炭素数10〜30程度の高級脂肪酸のアルキ
ル金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など)、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、
ショ糖脂肪酸エステルなどが含まれる。好ましい分散剤
は高分子界面活性剤であり、高分子界面活性剤を用いる
と、粉粒状水酸化マグネシウムを水性スラリーとした場
合、高い分散安定性および保存安定性を維持しつつ、高
濃度の水酸化マグネシウム水懸濁液であっても低粘度化
できる。
【0032】高分子界面活性剤の分子量は、例えば、1
×103 以上(例えば、1×103〜1×106 )、好
ましくは1×103 〜1×105 、さらに好ましくは2
×103 〜1×105 程度である。高分子界面活性剤の
重合度は、水酸化マグネシウム水懸濁液の流動性、分散
性を損なわない範囲で適宜選択でき、例えば、高分子界
面活性剤の1重量%水溶液の25℃における粘度は、
1.2〜1000cps(センチポイズ)、好ましくは
1.5〜500cps、さらに好ましくは1.8〜20
0cps程度である。
【0033】前記高分子界面活性剤には、陰イオン界面
活性剤および非イオン界面活性剤が含まれる。陰イオン
界面活性剤としては、例えば、分子内にカルボキシル
基を有する高分子カルボン酸又はその塩であるカルボン
酸型陰イオン界面活性剤;分子内にスルホン酸基を有
する高分子スルホン酸又はその塩であるスルホン酸型陰
イオン界面活性剤;分子内に酸性硫酸エステル基を有
する酸性高分子硫酸エステル又はその塩である硫酸型陰
イオン界面活性剤;分子内に酸性リン酸エステル基又
は酸性亜リン酸エステル基を有する高分子リン酸、高分
子亜リン酸又はそれらの塩であるリン酸型陰イオン界面
活性剤などが例示できる。なお、前記カルボキシル基、
スルホン酸基、酸性硫酸エステル基、酸性リン酸エステ
ル基、酸性亜リン酸エステル基などの酸性基またはそれ
らの塩を、単に「アニオン性基」ということがある。
【0034】カルボン酸型陰イオン界面活性剤には、
合成高分子カルボン酸および天然または半合成高分子カ
ルボン酸が含まれる。前記合成高分子カルボン酸として
は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、クロトン酸などの不飽和カルボ
ン酸又はその塩若しくは酸無水物をモノマー成分として
用いたホモポリマーおよびコポリマーなどが挙げられ
る。不飽和カルボン酸と共重合可能な重合性単量体とし
ては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)
アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、α−
メチルスチレンなどのスチレン系単量体;酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系単量体;メ
チルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピル
ビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチル
ビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニ
ルエーテル系単量体などが挙げられる。合成高分子カル
ボン酸の具体例としては、例えば、ポリアクリル酸、ポ
リメタクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル−(メ
タ)アクリル酸コポリマー、ビニルエーテル−不飽和カ
ルボン酸コポリマー(例えば、ブチルビニルエーテル−
無水マレイン酸コポリマーなど)、ポリクロトン酸、ス
チレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、スチレン−無
水マレイン酸コポリマーなどが例示できる。前記合成高
分子カルボン酸の酸価は、水溶性を付与できる範囲、例
えば30〜800KOHmg/g、好ましくは50〜5
00KOHmg/g程度である。前記天然又は半合成高
分子カルボン酸としては、アルギン酸、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシカルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチル化澱粉、アラビアゴム、トラガン
トゴム、ペクチン、ヒアルロン酸などのカルボキシル基
を有する多糖類などが含まれる。
【0035】スルホン酸型陰イオン界面活性剤として
は、例えば、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合
物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、トリアジン
スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリエチレンスルホン
酸、ポリスチレンスルホン酸、リグニンスルホン酸など
が挙げられる。 硫酸型陰イオン界面活性剤としては、例えば、硫酸化
ポリビニルアルコール、硫酸セルロース、カラギーナ
ン、寒天、コンドロイチン硫酸などが例示できる。リ
ン酸型陰イオン界面活性剤には、例えば、リン酸化ポリ
ビニルアルコール、リン酸セルロース、亜リン酸セルロ
ースなどが含まれる。
【0036】また、前記陰イオン界面活性剤は塩として
使用できる。塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリ
ウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシ
ウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩;亜鉛塩
などの周期表12族に属する金属の塩;アンモニア、ア
ミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエ
タノール、モルホリンなど)又は塩基性含窒素複素環化
合物(ピリジンなど)との塩;テトラエチルアンモニウ
ム、トリメチルベンジルアンモニウムなどの第4級アン
モニウム塩などが挙げられる。好ましい塩には、アルカ
リ金属塩、アンモニア又はアミンとの塩、前記第4級ア
ンモニウム塩などが含まれる。分子内に複数個の酸性基
を有する場合、各酸性基の対イオンは同一又は異なって
いてもよい。
【0037】上記の陰イオン界面活性剤のうち、カルボ
ン酸型、スルホン酸型、硫酸型の陰イオン界面活性剤な
どが好ましい。特に、カルボン酸型陰イオン界面活性剤
(なかでもカルボキシメチルセルロース、アルギン酸な
どのカルボキシル基を有する多糖類などの天然または半
合成高分子カルボン酸又はそれらの塩)は、水性スラリ
ーに対して極めて高い低粘度化作用を有する。また、ス
ルホン酸型陰イオン界面活性剤および硫酸型陰イオン界
面活性剤は、前記低粘度化作用と共に、水酸化マグネシ
ウム水性スラリーを長期間保存しても、生成するケーキ
の硬質化を抑制する作用を有する。前記陰イオン界面活
性剤は、分子内に、アニオン性基を少なくとも1つ有し
ていればよいが、前記アニオン性基を2以上(例えば、
2〜10000、好ましくは4〜1000)程度有して
いるポリアニオン高分子界面活性剤が好ましい。分子内
に複数個のアニオン性基を有する場合、前記アニオン性
基は、同一であってもよく異なっていてもよい。
【0038】前記非イオン界面活性剤としては、例え
ば、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルフ
ェニルポリオキシエチレンエーテル、アルキルカルボニ
ルオキシポリオキシエチレン、脂肪酸多価アルコールエ
ステルとエチレンオキサイドとの付加物、脂肪酸ショ糖
エステルとエチレンオキサイドとの付加物、ポリオキシ
アルキレンブロックコポリマーなどが挙げられる。非イ
オン界面活性剤のうち、ポリオキシアルキレンブロック
コポリマー(エチレンオキサイド−プロピレンオキサイ
ドブロックコポリマーなど)は水性スラリーの低粘度化
作用が大きい。
【0039】これらの分散剤は一種または二種以上組合
せて使用でき、高分子界面活性剤と低分子量界面活性剤
とを組合せて使用してもよい。特に、前記カルボン酸
型陰イオン界面活性剤と前記スルホン酸型又は硫酸
型陰イオン界面活性剤とを組合せて用いると、水性スラ
リーに高い分散安定性および保存安定性を付与できるだ
けでなく、長期保存により沈澱物のケーキが生成したと
しても、生成するケーキは軟質であり、振盪、攪拌など
により容易に再分散するので、再分散性が著しく向上す
る。
【0040】分散剤の使用量は、例えば、マグネシア1
00重量部に対して、0.001〜15重量部、好まし
くは0.005〜10重量部、さらに好ましくは0.0
1〜5重量部程度であり、0.03〜2.5重量部(例
えば、0.05〜2重量部)程度である場合が多い。 カルボン酸型陰イオン界面活性剤とスルホン酸型又
は硫酸型陰イオン界面活性剤とを組合せて用いる場
合、両者の割合は、例えば、前者/後者=0.1〜20
(重量比)、好ましくは0.5〜15(重量比)、さら
に好ましくは1〜10(重量比)程度である。なお、水
性スラリーにおける水酸化マグネシウム含量が高濃度、
例えば65重量%以上(65〜75重量%程度)である
場合、少量の分散剤を添加しても水性スラリーの粘度が
さほど低下しない場合がある。このような場合、前記分
散剤、特に高分子界面活性剤の含有量を、水酸化マグネ
シウム100重量部に対して1〜10重量部、好ましく
は3〜10重量部、さらに好ましくは5〜10重量部程
度とするのが好ましい。
【0041】乾式混合又は乾式混練には、例えば、ミキ
サーなどの混合機、ニーダ、加圧ニーダ、インターナル
ミキサ(バンバリーミキサ)などの混練機の他、慣用の
消化機、例えば、スクリュー式、クライツァー(Kritze
r)式、シャファー(Schaffer)式、溢流式、スターテ
バンド式、ウォームステレ(Warmestelle)式、シルデ
(Schilde)式、エイリッヒ(Eirich)式、ケネディ(K
ennedy)式などの常圧消化機、ウッドビル(Woodvill
e)式、コーソン(Corson)式、吉沢石灰式などの加圧
消化機などが利用できる。
【0042】[熟成]本発明の第2の特色は、前記乾式
混合又は乾式混練による水和の後、水和生成物を水分の
存在下で熟成させる点にある。このような熟成工程を採
用することにより、水和率をさらに向上できるととも
に、水性スラリーにおいてケーキが生成したとしてもケ
ーキは軟質であり、しかもケーキの再分散性が高い。そ
のため、必要に応じて圧縮成形し、肥料用などとして利
用すると、崩壊性を向上させることができる。すなわ
ち、軽焼マグネシアなどのマグネシア源を用いると、原
料及び焼成条件の不均一性などに起因して水和反応の遅
いマグネシア成分が存在する。このようなマグネシア成
分は、乾式混合又は乾式混練によっても未反応マグネシ
ア成分として残存し、水和率を高めるための阻害要因と
なる。また、乾式混合又は乾式混練により生成した水和
生成物の水性スラリーを保存すると、硬質ケーキが生成
するとともに、凝結に起因するためかケーキの再分酸性
を低下させる場合がある。これに対して、乾式混合又は
乾式混練により生成した水和生成物を熟成すると、未反
応マグネシア成分が殆ど残存せず、上記のような問題を
解決できる。
【0043】熟成は、水分の存在下で行われ、熟成過程
で反応系に維持される水分量は、前記水和生成物の水和
反応を損なわず、前記乾式混合又は乾式混練と同じく、
流動性を有する粉粒状の形態又は湿った系を維持できる
範囲であればよい。熟成過程での水分量は、例えば、固
形分換算で、乾式混合又は乾式混練による水和生成物1
00重量部に対して25重量部以下(例えば、0.1〜
25重量部)、好ましくは0.1〜20重量部、さらに
好ましくは0.5〜15重量部、特に1〜15重量部
(なかでも5〜12重量部)程度である。なお、上記水
分は、前記乾式混合又は乾式混練による水和と同じく、
熟成系に共存する共存物(スラリーやケーキなど)の水
分に起因してもよい。すなわち、熟成系に、前記乾式混
合や乾式混練により生成した水和生成物と、水に対して
非反応性の水性スラリーやケーキ[例えば、海水中の塩
化マグネシウムと消石灰との反応により得られた水酸化
マグネシウム(海水マグ)の水性スラリーやケーキ]と
を共存させ、水性スラリーやケーキに起因する水分の存
在下で熟成させてもよい。このようなスラリーやケーキ
を用いて熟成させると、均一な熟成系を容易に形成でき
る。スラリーやケーキは、前記乾式混合や乾式混練と同
じく、全量を一度に添加してもよく、連続的又は間欠的
に添加してもよく、スラリーやケーキの含水率は、特に
制限されず、例えば、10〜90重量%、好ましくは2
0〜80重量%程度である。このような方法では、スラ
リーやケーキ中の水分を未反応マグネシア成分との反応
により除去でき、スラリーやケーキの乾燥も併せて行う
ことがきる。
【0044】熟成は、水和反応を妨げない適当な温度、
例えば、70℃以上(例えば、70〜150℃、特に7
5〜150℃)、好ましくは80〜120℃(例えば、
90〜120℃)程度で保温することにより行うことが
できる。また、熟成の初期の温度(例えば、70〜90
℃程度)に比べて後期の温度(例えば、90〜120℃
程度)を高めてもよい。熟成時間は、熟成温度などに応
じて、例えば、1〜60時間、好ましくは1〜48時間
程度の範囲から適当に選択できる。
【0045】水分は、マグネシアに対してガス状(スチ
ーム)又は液状(液滴など)で供給又は添加でき、滴下
や噴霧などの方法により連続的又は逐次に供給してもよ
く、間欠的に供給してもよい。また、水分は、水和反応
により消費された水分量を連続的又は所定時間毎に補充
しながら供給してもよい。熟成は、必要であれば、前記
と同様に乾式混合又は乾式混練しながら行ってもよい。
また、熟成は、前記水和生成物に触媒及び/又は分散剤
を添加して行ってもよい。触媒や分散剤の使用量は、前
記範囲から適当に選択できる。熟成は、前記乾式混合又
は乾式混練系で行ってもよく、非開放型の混合器(例え
ば、冷却管付き撹拌槽など)や容器(例えば、オートク
レーブ)を利用して行うことができる。このような熟成
の後、必要に応じて残存する少量の水分を除去すること
により、粉粒状の水酸化マグネシウムが得られる。
【0046】[水酸化マグネシウム]このようにして得
られた粉粒状の水酸化マグネシウムは、用途に応じた適
当な粒径及び粒度分布を有していればよく、その平均粒
径は、例えば、0.1〜1000μm(例えば、1〜1
000μm)、好ましくは2〜100μm(例えば、3
〜75μm)、さらに好ましくは3〜30μm(例え
ば、5〜20μm)程度である。粒度分布において、水
酸化マグネシウムは、単一のピークに限らず2以上のピ
ークを有していてもよい。
【0047】生成した粉粒状の水酸化マグネシウムの水
和率は、反応条件などにも依存するが、通常、80〜1
00%(例えば、85〜100%)、好ましくは85〜
100%、さらに好ましくは90〜100%程度であ
る。生成した粉粒状の水酸化マグネシウムは水分散性が
高いだけでなく、従来の水性スラリーに比べて貯蔵性、
輸送性、移送性が高い。そのため、粉粒状水酸化マグネ
シウムは、現場で、混合/撹拌という簡単な操作で容易
に水性スラリー化でき、水性スラリーを調製する上で有
用であるとともに、大幅なコストダウンを実現できる。
特に水和率の高い粉粒状水酸化マグネシウム、例えば、
水和率が90〜100%(好ましくは92〜100%)
程度の粉粒状水酸化マグネシウムは、分散剤を含まない
水性スラリーを調製しても、高い分散安定性を示すとと
もに、ケーキが生成したとしても、振盪、撹拌などの簡
単な操作で再分散する。
【0048】なお、前記分散剤を含む系又は分散剤を含
まない系で乾式混合又は乾式混練し、熟成した場合、生
成した粉粒状の水酸化マグネシウムは、分散剤で処理し
たり、分散剤の存在下、生成した粉粒状の水酸化マグネ
シウムを水中に分散させてもよい。このような処理又は
分散において、分散剤の使用量は、前記分散剤の総使用
量に相当する範囲から適当に選択できる。
【0049】得られた粉粒状の水酸化マグネシウムは、
必要に応じて、粉砕、造粒、篩などによる分級などの操
作に供することにより、広い用途、例えば、中和用、排
煙脱硫用、肥料用、重油の燃焼添加剤、パルプ蒸解剤、
プラスチックの添加剤、着色剤、製剤の添加剤などとし
て好適に使用できる。粉粒状の水酸化マグネシウムは、
そのまま又は錠剤などの形状に成形して肥料用などに用
いることもでき、中和剤などの用途では、水分散性が高
いことを利用して、水性スラリー(水懸濁液)を調製す
る上で有用である。
【0050】[水酸化マグネシウム水懸濁液]水酸化マ
グネシウム水懸濁液は、粉粒状の水酸化マグネシウムを
水性媒体中に分散することにより調製できる。粉粒状水
酸化マグネシウムは、前記のように、分散剤の非存在下
で水性媒体中に分散してもよいが、前記分散剤の存在
下、粉粒状水酸化マグネシウムを水中に分散すると、分
散安定性の高い水性スラリー(水懸濁液)を確実に得る
ことができる。
【0051】粉粒状の水酸化マグネシウムに対する水と
分散剤の添加順序は特に制限されず、例えば、水酸化マ
グネシウムの水懸濁液に、分散剤(好ましくは高分子界
面活性剤)を添加してもよく、粉粒状の水酸化マグネシ
ウムに水と分散剤との混合液を添加してもよく、粉粒状
水酸化マグネシウムを分散剤で処理した後、水を添加し
てもよい。さらに、前記成分を同時に混合することによ
り、水酸化マグネシウムを水中に分散させてもよい。前
記分散・混合は、撹拌、振盪、超音波照射など慣用の方
法により行うことができる。前記分散・混合は、粉粒状
水酸化マグネシウムに剪断力が作用する強制撹拌下で行
なってもよい。強制撹拌下に分散・混合すると、得られ
た水酸化マグネシウム水懸濁液の長期保存により固形分
と水とが分離しても、ケーキは再撹拌により容易に再分
散する。しかも、強制撹拌下に分散・混合した得られた
水懸濁液は、高濃度であっても粘度が低いという特性を
有する。特に分散剤として高分子界面活性剤を用いる
と、粘度の上昇および硬質ケーキの生成を抑制でき、長
期間保存しても容易に再分散できる水酸化マグネシウム
水懸濁液を得ることができる。
【0052】前記強制撹拌は、種々の混合撹拌機、例え
ば、撹拌羽根を有する撹拌機の回転数を増大させたり、
ホモジナイザーやスーパーミキサーなどの撹拌機により
強い剪断力を作用させるなどの方法で行うことができ
る。強制撹拌に伴う周速度は、例えば、300m/分以
上、好ましくは350〜5000m/分程度である。撹
拌時間は周速度や混合撹拌系の形態などに応じて選択で
き、例えば、周速度400m/分では30分以上、好ま
しくは1時間以上、さらに好ましくは2〜20時間程
度、周速度1000m/分では、3分以上(好ましくは
5分〜1時間程度)で十分である。
【0053】粉粒状水酸化マグネシウムの分散性が高い
ため、水懸濁液における水酸化マグネシウムの含有量
は、広い範囲で選択でき、例えば、10〜85重量%
(例えば、15〜80重量%)、好ましくは30〜75
重量%(例えば、35〜70重量%)、さらに好ましく
は35〜70重量%程度である。
【0054】このようにして得られた水酸化マグネシウ
ム水懸濁液は、分散安定性が高く、高濃度であっても粘
度が低いという特色を有する。そのため、高濃度化する
ことにより、輸送および貯蔵コストを大巾に低減でき
る。また、水性スラリーの流動性も高いため、スラリー
の貯蔵、パイプ輸送などの作業性を向上できる。さら
に、分散安定性および希釈安定性が高いので、所望の濃
度の水酸化マグネシウム水懸濁液を容易に調製できる。
なお、水酸化マグネシウム水懸濁液の25℃における粘
度は、例えば、5〜2500cps、好ましくは10〜
2000cps、さらに好ましくは20〜1500cp
s程度である。
【0055】
【発明の効果】本発明では、所定の水分含量を維持しつ
つ乾式混合又は乾式混練し、熟成するという簡単な操作
で、粉粒状の水酸化マグネシウムを簡便かつ効率よく製
造できる。また、水酸化マグネシウムを粉粒状で得るこ
とができるで、保存、移送および輸送コストを低減する
上で有用である。しかも、上記のような簡単な操作で、
固体のマグネシアから高い水和効率で粉粒状の水酸化マ
グネシウムを製造できる。さらに、未反応マグネシア成
分の生成を抑制し、ケーキが生成したとしても再分散性
を改善できる。さらには、粉粒状であっても水分散性が
高いので、粉粒状の水酸化マグネシウムを水中に分散す
るという簡単な操作で水性スラリー(水懸濁液)を得る
ことができる。
【0056】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。なお、実施例における粘度は25℃での値
を示し、「%」は特に明示がない限り「重量%」を示
す。「ヒドロ化率」は、次のようにして測定した。すな
わち、試料(水酸化マグネシウム)を150℃で恒量に
なるまで乾燥した後、乳鉢で微粉砕し、電気炉を用い6
00℃で恒量になるまで焼成し、焼成による重量減から
水酸化マグネシウム量を求め、ヒドロ化率を算出した。
反応系の「水分量」は、反応系からサンプリングした試
料を急冷して反応を停止させた後、重量を測定し、メタ
ノールで洗浄し、150℃で乾燥した後、重量を測定す
ることにより、重量減少量から算出した。「離水率」
は、円筒状の容器に懸濁液を所定の高さまで入れ、6日
間放置した後、全体の高さに対する分離した水層の高さ
の割合(%)を意味する。「ケーキ状態」は、容器を5
0回振盪させ、下記の基準で評価した。 優:ケーキが軟質であり、全てのケーキが再分散する 良:ケーキが軟質であり、容器の底に僅かな未分散ケー
キがある 可:ケーキが軟質であり、容器の底に少量の未分散ケー
キがある 不可:ケーキが硬質であり、容器の底に多量の未分散ケ
ーキがある 実施例1 回転式撹拌機、液体散布機を備えたセメントモルタル用
ミキサー(内容量90リットル)に、軽焼マグネシア
(330メッシュパス,以下、単に軽焼マグネシアAと
いう)30kgを入れ、撹拌しながら、80℃に加熱し
た3.3重量%NaOH水溶液9リットルのうち3リッ
トルを散布した。反応熱により内温が80℃に達した後
(40分後)に残りのNaOH水溶液6リットルを約2
0分に亘って徐々に散布し、混合系が湿った状態で乾式
混合又は混練した。反応により湯気が立ち、内容物の温
度は160℃に達した。さらに、80℃に加熱した水
6.7リットルを40分間に亘って噴霧添加したとこ
ろ、反応開始後2時間で反応がおさまり内温が85℃と
なった。乾式混合又は混練により生成した反応生成物の
水分含量は約5重量%であり、反応生成物のヒドロ化率
を測定したところ、86.8%であった。
【0057】反応生成物の一部を取出し、次のようにし
て熟成した。反応生成物に80℃の水を添加して水分含
量を10重量%に調整し、保温缶(80℃)内で16時
間放置した後、再び水分含量を10重量%に調整し、9
5℃で6時間加温した後、残存する水分を乾燥機を用い
て蒸発させたところ、生成した粉粒状水酸化マグネシウ
ムの水分0.8重量%,ヒドロ化率92.5%であっ
た。なお、保温缶内での保温過程では反応熱により80
℃以上(80〜110℃程度)の温度となり、95℃で
の加温過程では約95〜105℃の温度となった。ま
た、前記軽焼マグネシアA中、水和可能な有効成分(酸
化マグネシウム及び酸化カルシウム)の含有量は94.
4%である。そのため、熟成後の実質的なヒドロ化率
(補正値)は、98.0%(92.5/94.4×10
0)となる。得られた水酸化マグネシウムを、スクリー
ン0.2mmφを装着したピンミル(奈良式粉砕機,M
−4型)を用いて粉砕し、100メッシュパスの粒度に
調整した後、水に分散し、37.5%水懸濁液を調製し
たところ、水懸濁液のpHは11.8、6日経過後の粘
度20cps、離水率45%、ケーキの状態は「良」で
あった。さらに、上記水懸濁液を、ホモジナイザーを用
いて800rpmで5分間処理した。得られた水懸濁液
の特性は、pH11.8、6日経過後の粘度24cp
s、離水率51%、ケーキの状態は「優」であった。こ
れらの結果を表1に示す。
【0058】比較例 熟成操作を行うことなく、実施例1と同様にして、乾式
混合又は混練により生成した反応生成物を粉砕して水懸
濁液を調製したところ、水懸濁液のpHは12.1、6
日経過後の粘度22cps、離水率50%、ケーキの状
態は「不可」であった。
【0059】実施例2〜実施例21 下記の材料を用いて、実施例1と同様にして、乾式混合
又は乾式混練し、水和生成物を熟成した。 [乾式混合又は乾式混練による乾式水和] 軽焼マグネシア A:330メッシュパス,水和可能な有効成分の含量9
4.4% B:最大径3mm,平均径800μm,水和可能な有効成分
の含量95.5% 添加剤 NaOH:3.3重量%水溶液 CMC:カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩
(CMC1120,ダイセル化学工業(株)製,1%粘
度:11cps)の0.2重量%水溶液 酢酸:4.0重量%水溶液 [熟成工程] 酢酸:4.0重量%水溶液 CMC:カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩
(CMC1120,ダイセル化学工業(株)製,1%粘
度:11cps)の1.0重量%水溶液 酸性亜硫酸ソーダ:4.0重量%水溶液 ポリアクリル酸ナトリウム:ポリアクリル酸ソーダ(ポ
リマスターD-45,伯東化学(株)製,1%粘度:3cp
s)の2.0重量%水溶液 海水マグケーキ:海水中の塩化マグネシウムと消石灰と
の反応により得られた水酸化マグネシウム・水スラリー
(スラリー濃度35重量%)約10kgを、濾紙(5A)
を備えたヌッチェを用いて減圧濾過することにより得ら
れた水酸化マグネシウムのケーキ(水分含量39.2重
量%、ヒドロ化率93.3%) なお、熟成工程では、熟成開始時に水分含量を10重量
%に調整し、保温缶内で16時間保温した後、所定量の
添加剤を加温時に全量添加した。加温時の水分は加温開
始時と、その後6時間経過毎に10重量%に調整した。
【0060】また、実施例19では、前記実施例1のミ
キサーを用い、熟成工程において、乾式混合又は乾式混
練により生成した水和反応物と海水マグケーキとを撹拌
しながら、海水マグケーキ中の水分の存在下、所定の温
度で熟成させ、粉末状の水酸化マグネシウムを得ること
を試みた。この海水マグケーキを用いた熟成工程では、
乾式混合又は乾式混練により生成した水和反応物41.
6kg(固形分40kg,水分1.6kg)と海水マグ
ケーキ8.8kg(固形分5.4kg,水分3.4k
g)とを混合し(水分含量10重量%)、80℃で16
時間熟成させた後、得られた一次熟成物2000g(固
形分1970g,水分30g)に海水マグケーキ582
g(固形分354g,水分228g)を添加して水分量
を10重量%して95℃で6時間熟成し、さらに得られ
た二次熟成物2100g(固形分2029g,水分71
g)に海水マグケーキ476g(固形分289g,水分
187g)を添加して水分量を10重量%に調整して9
5℃で6時間熟成させた。
【0061】さらに、得られた粉粒状の水酸化マグネシ
ウムを水に分散して37.5%水懸濁液を調製し、ホモ
ジナイザー処理(8000rpm,5分)の有無による
水懸濁液の特性を測定した。結果を表1〜表5に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】 表及び比較例との対比から明らかなように、熟成により
ヒドロ化率を大きく向上できるとともに、ケーキを軟質
化でき、ケーキの再分散性も高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 江平 兵庫県神戸市東灘区向洋町中5−5−533 −509

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分の存在下、マグネシアを乾式混合又
    は乾式混練しつつ水和した後、水分の存在下で熟成する
    粉粒状水酸化マグネシウムの製造方法。
  2. 【請求項2】 マグネシア100重量部に対して25重
    量部以下の水で湿潤しつつ、マグネシア粉粒体を乾式混
    合又は乾式混練する請求項1記載の水酸化マグネシウム
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 固体の間隙に連続気相を形成しつつマグ
    ネシアと水とを反応させる請求項1記載の水酸化マグネ
    シウムの製造方法。
  4. 【請求項4】 マグネシアが軽焼マグネシアである請求
    項1記載の水酸化マグネシウムの製造方法。
  5. 【請求項5】 マグネシア、または乾式混合又は乾式混
    練による水和生成物に対して、ガス状又は液状の水、
    または含水スラリー又はケーキを添加して水和又は熟
    成する請求項1記載の水酸化マグネシウムの製造方法。
  6. 【請求項6】 マグネシア100重量部に対する水分量
    を0.1〜20重量部に保ちつつ、乾式混合系又は乾式
    混練系に水を添加する請求項1記載の水酸化マグネシウ
    ムの製造方法。
  7. 【請求項7】 温度30〜150℃および圧力1〜10
    気圧で反応させる請求項1記載の水酸化マグネシウムの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 触媒の存在下、乾式混合又は乾式混練す
    る請求項1記載の水酸化マグネシウムの製造方法。
  9. 【請求項9】 マグネシア100重量部に対する触媒の
    使用量が0.01〜20重量部である請求項8記載の水
    酸化マグネシウムの製造方法。
  10. 【請求項10】 分散剤の存在下、乾式混合又は乾式混
    練する請求項1記載の水酸化マグネシウムの製造方法。
  11. 【請求項11】 軽焼マグネシア100重量部に対する
    水分量を0.2〜15重量部に維持しつつ、軽焼マグネ
    シアを乾式混合又は乾式混練して水和し、水分の存在下
    で熟成させる粉粒状水酸化マグネシウムの製造方法。
  12. 【請求項12】 70〜150℃の温度で保温しつつ熟
    成させる請求項1又は11記載の水酸化マグネシウムの
    製造方法。
  13. 【請求項13】 固形分換算で、乾式混合又は乾式混練
    による水和生成物100重量部に対する水分量を0.1
    〜20重量部に保ちつつ、熟成させる請求項1又は11
    記載の水酸化マグネシウムの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の方法により得られる粉
    粒状の水酸化マグネシウム。
  15. 【請求項15】 請求項1の方法により得られた粉粒状
    水酸化マグネシウムを水に分散する水酸化マグネシウム
    水懸濁液の製造方法。
  16. 【請求項16】 分散剤の存在下、粉粒状水酸化マグネ
    シウムを水に分散する請求項15記載の水酸化マグネシ
    ウム水懸濁液の製造方法。
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