JPH08282772A - 記録媒体の収納ケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録媒体を収納する収納ケースであって、収
納した記録媒体の落下衝撃によるテープの弛み等の不都
合を解消させることを目的とする。 【構成】 収納部を有する底部材と開閉自在な蓋部材と
で構成される収納ケースであって、収納部内に、記録媒
体を支持するための緩衝機能を有する支持部材を設けた
構成にしたことにより、その収納ケースに所定のリール
ロック機構を有する記録媒体を収納した状態で、記録媒
体の背面側方向が床面または道路上に落下する事態にな
ったときに、その落下による衝撃を支持部材の緩衝機能
により緩和または吸収し、リールロック機構への衝撃伝
播を減衰させることにより、リールロック機構のアンロ
ック状態を生じさせないようにして、テープの弛みを解
消させることができるのである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テープカセット等の記
録媒体、特にリールロック機構を有し、衝撃緩和を必要
とする記録媒体を収納するケースに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の記録媒体の収納ケースとして
は、例えば図４に示した構成のものが従来例として周知
である。この周知の収納ケース１は、全体として箱形状
またはブック形状を呈するものであり、収納部２を有す
る底部材３に対して開閉自在に蓋部材４が設けられてい
る。

【０００３】そして、収納部２は、囲い壁２ａにより収
納スペースが確保されており、囲い壁２ａは底部材３と
一体に形成されている。また、底部材３と蓋部材４とは
一つの辺５で連設されており、その辺５の両側縁がヒン
ジ機構５ａとなっていて開閉自在に連設されると共に、
収納部２の略中央部には収納されたテープカセットを仮
止めするボス部６が突出形成されている。

【０００４】また、蓋部材４は、その周縁部の内側に前
記囲い壁２ａの外側に嵌合する壁部４ａが形成されてお
り、蓋部材４を閉めることによって、壁部４ａの一部が
囲い壁２ａと係合して施蓋状態が維持できる構成になっ
ている。

【０００５】このような構成の収納ケース１に対して、
図５に示した構成のビデオテープ等のテープカセット７
が収納される。このテープカセットは、上シェル８と下
シェル９とで構成され、その内部に、リール１０，１１
に捲回された磁気テープ１２が収納配設されると共に、
前面側において磁気テープ１２を適正状態に維持するリ
ッド機構が形成されている。このリッド機構は、トップ
リッド１３と、バックリッド１４及びフロントリッド１
５とから構成されている。

【０００６】また、下シェル９には、図６に示したよう
に、カセットを使用していない状態において、リール１
０，１１が自由に回転しないように、リールロック機構
が背面側（図において下側）設けられている。このリー
ルロック機構は、コイルスプリング１６と、該コイルス
プリング１６により前面側に付勢される本体部１７と、
該本体部１７に設けられた一対の係止爪１８とから構成
され、該係止爪１８がリール１０，１１の周面に形成さ
れているギア部１０ａ，１１ａに係合して、リールの自
由な回転を阻止している。なお、テープエンドを検出す
るための光源が挿入される光源用孔１９を有している。

【０００７】係止爪１８がギヤ部１０ａ，１１ａと係合
している状態は、テープカセットの不使用の状態であ
り、図７に示した通り、コイルスプリング１６の付勢に
よって本体部１７が前面側に前進し、係止爪１８がギア
部１０ａに係合した所謂リールロック機構のロック状態
である。このロック状態において、本体部１７は、範囲
Ｘにおいて後退する方向に移動可能に形成されている。

【０００８】そして、実際の使用時において、例えばビ
デオカメラまたはビデオ再生装置等に装填した時に、図
８〜９に示したように、リールロック機構における本体
部１７の孔１７ａに解除ピン２０が挿通され、本体部１
７が所定のストローク後退することにより、係止爪１８
がギア部１０ａから離脱して係止状態が開放された所謂
アンロック状態になり、リール１０，１１が自由に回転
できるようになる。

【０００９】本体部１７の移動可能な範囲Ｘは、ロック
及びアンロックの移動範囲よりも、更に所定のアローワ
ンスＹをもって大きく（長く）形成してあり、このアロ
ーワンスＹは、リール１０，１１のガタツキよりも大き
くとってある。つまり、この種テープカセットにおい
て、シェル内で動くリールのガタツキよりも、リールロ
ック機構の可動範囲は、物理的に大きく設計してある。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】前記従来例の収納ケー
ス１においては、収納されるテープカセット７における
下シェル９の光源用孔１９を利用し、該孔１９内に収納
部２のボス部６が嵌って仮止め状態になるようにして収
納し、底部材３に対して蓋部材４を施蓋して保管または
運搬するものである。ところが、収納ケースとして強度
的に堅牢な構成であっても、収納ケース自体には耐落下
衝撃の対策が施されていない。

【００１１】つまり、施蓋状態において、収納ケース１
は全体が箱形状またはブック形状になっているが、内部
に収納されているテープカセット７はボス部６及び囲い
壁２ａを介して支持されているので、落下における衝撃
を収納ケースを介して間接的に受け易い状態で収納され
ている。

【００１２】そして、例えば、図４及び図６の矢印Ａ方
向に収納ケース１が落下した時に、テープカセット７は
背面側から落下することになり、シェル内で動くリール
のガタツキよりも、リールロック機構の可動範囲が大い
ことから、その落下の衝撃によりリールロック機構の本
体部１７が慣性モーメントによってコイルスプリング１
６に抗して背面側に移動し、アンロックの状態が生ず
る。その間にリール１０，１１が回転したりして、テー
プが弛んでしまうことがある。

【００１３】テープが弛んだ状態でテープカセットをビ
デオテープレコーダー等の機器に装填した場合に、ロー
ディング時にテープが回転ドラムやガイドピン等によっ
て折られたり、リッドが開くときにフロントリッドとバ
ックリッドによって挟まれたままテープを持ち上げたり
してテープダメージを受けるという問題点を有してい
る。

【００１４】従って、従来例の収納ケースにおいては、
内部に収納したテープカセット等の記録媒体がダメージ
を受けないように、耐落下衝撃の向上に解決しなければ
ならない課題を有している。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記従来例の課題を解決
する具体的手段として本発明は、収納部を有する底部材
と、その収納部を施蓋する蓋部材とからなる箱形状のケ
ースであって、前記収納部内に記録媒体を支持するため
の緩衝機能を有する支持部材を設けたことを特徴とする
記録媒体の収納ケースを提供するものである。

【００１６】また、緩衝機能を有する支持部材が、バネ
付勢されたボス部であること；及び収納部内の底部材に
取り付けられたガイド部材と、該ガイド部材に沿って摺
動し一方向にバネ付勢されているボス部であること；更
に、ガイド部材が、両側端を鉤状に折り曲げてガイド片
とした金属板で構成されていることを含む記録媒体の収
納ケースである。

【００１７】

【作用】収納部内に、記録媒体を支持するための緩衝機
能を有する支持部材を設けた構成の収納ケースにしたこ
とにより、その支持部材に支持させて所定の記録媒体を
収納した状態で、記録媒体の背面側方向が床面または道
路上に落下する事態になったときに、その落下による衝
撃を支持部材の緩衝機能により緩和または吸収し、記録
媒体の内部に装備したリールロック機構への衝撃伝播を
減衰させることにより、リールロック機構のアンロック
状態を生じさせないようにして、テープの弛みを解消さ
せることができるのである。

【００１８】

【実施例】次に、本発明を図示の実施例により詳しく説
明する。図１〜３に示した一実施例において、収納ケー
ス２１は、従来例と略同様に箱形状またはブック形状を
呈するものであり、中間部に所定厚さまたは高さの収納
部２２が設けられ、該収納部２２は所定の囲い壁２２ａ
によって確立され、該囲い壁２２ａは底部材２３と一体
的に且つ起立状態で形成されている。

【００１９】この底部材２３に対して開閉自在に施蓋で
きる蓋部材２４が一つの辺２５を介して連設される。こ
の連設において、一つの辺２５の両側をヒンジ機構１５
ａとし、該ヒンジ機構１５ａによって蓋部材２４が開閉
自在に連設される。また、前記蓋部材２４には、前記底
部材２３に設けた収納部２２の囲い壁２２ａに対して外
側に係合する所定高さの壁部２４ａが一体的に突出形成
されている。

【００２０】このような構成の収納ケース２１におい
て、前記収納部２２内に、テープカセット等の記録媒体
を支持するために、それ自体が緩衝機能を有するボス部
２６とガイド部材２７とからなる支持部材を設けてあ
る。

【００２１】即ち、支持部材を構成する一方のボス部２
６は、収納部２２内の略中央部からわずかに一つの辺２
５側に偏って位置するように、底部材２３から突出した
状態で配設し、他方のガイド部材２７は底部材２３に取
り付けられ、前記ボス部２６の基部側を支持しガイドす
るものであり、ボス部２６を一つの辺２５に対して垂直
方向に摺動自在に且つ一方向に付勢した状態で支持して
いる。

【００２２】ボス部２６は、図２及び図３に示したよう
に、中空状の筒体で形成され、それ自体が弾性を有する
ように自由端部側に垂直方向に複数のスリット２８を設
けると共に、基部側に翼部２９及びガイド突起３０が突
出形成され、該翼部２９とガイド突起３０とでガイド部
材２７に設けた一対のガイド片２７ａを上下から挟むよ
うにして係合させ、摺動するように構成してある。

【００２３】ガイド部材２７は、例えば、金属板の左右
両側を鉤状に折り曲げて一対のガイド片２７ａ形成さ
れ、該該ガイド片２７ａの一部を除去して空間部３１を
設け、該空間部３１から、ボス部２６をガイド片２７ａ
に沿うように装着させたり、例えば、くの字状に折り曲
げた板バネ３２を装着させたりし、該板バネ３２によっ
てボス部２６をガイド部材２７の一方向に付勢するよう
にしてある。

【００２４】また、ガイド部材２７の前後方向において
は、起立部を設けて前後のストッパー片３３，３４と
し、前面側のストッパー片３３に沿って切り起こしリブ
３５を設け、該切り起こしリブ３５とストッパー片３３
との間で板バネ３２の一部を挟持して、板バネ３２の取
り付けを安定させる。

【００２５】このように板バネ３２を取り付けることに
より、ボス部２６は必然的に後面側に付勢され、後面側
においてはストッパー片３４により位置規制がなされ
る。尚、板バネに限らず、例えばコイルスプリング、捻
りコイルバネ、スポンジまたはゴム等の弾性部材が使用
できること、及びボス部２６の付勢方向は一方向に限ら
ず両方向に付勢するように構成できることは云うまでも
ない。

【００２６】ガイド部材２７の底面板２３に対する取付
手段としては、例えば、ボス部２６の摺動に支障を来さ
ない位置でビス止めしても良いし、また、底面板２３か
ら予め取付用リブ２３ａを複数本突出させておき、それ
に対応させてガイド部材２７の所定位置に取付用孔を設
けておき、各取付用リブ２３ａを対応する取付用孔に夫
々挿通させた後に、各取付用リブの突出端部を適宜のカ
シメ手段によりカシメることで、安定した取り付けが望
めるのである。その他の取付手段としては、例えば、接
着剤による接着手段等も適用できる。

【００２７】更に、ガイド部材２７が取り付けられる部
位において、位置決めのために、底面板２３の所定位置
に凹部３６を形成しておき、その凹部３６内にガイド部
材２７を嵌め込むようにして位置させ、前記した要領で
ビス止めまたはカシメ手段等で取り付ければ、ガイド部
材２７の突出が少なく、収納ケースとしての都合が良い
ものとなる。

【００２８】このように構成された収納ケース２１に、
前記従来例と同様の記録媒体であるテープカセット７
を、その光源用孔１９にボス部２６が嵌まるように支持
させて収納し、蓋部材２４を収納部２２に施蓋して保管
または持ち運ぶようにする。

【００２９】そして、テープカセット７を収納したまま
収納ケース２１を、従来例で説明した方向と同じ方向、
即ち一つの辺２５側でない開閉端側から落下させたとき
に、内部のテープカセット７もその背面側において同様
の落下衝撃を受けることになる。しかしながら、衝撃に
よる慣性モーメントにより、テープカセット７を支持し
ているボス部２６が、図２の仮想線で示したように、板
バネ３２のバネ圧に抗しながら移動することで、テープ
カセット７が受ける衝撃を緩和または吸収するのであ
る。

【００３０】従って、収納されたテープカセット７が背
面側から落下する状態があっても、その落下衝撃は、テ
ープカセット７を支持している緩衝機能を有する支持部
材、即ちガイド部材２７で支持されたボス部２６で緩和
または吸収され、テープカセット７に伝達される衝撃が
半減されるので、テープカセット７内に装備してあるリ
ールロック機構に及ぼす衝撃の影響が少なくなり、アン
ロック状態が生じなくなることから、テープの弛みが解
消され、テープの弛みによる種々の不都合が解消される
のである。

【００３１】尚、落下衝撃を緩和または吸収するための
板バネ３２の強さは、リールロック機構に装備されてい
るコイルスプリング１６の強さよりも強く設定されてい
る。これら板バネ及びコイルスプリング等の付勢手段の
強さの関係は、記録媒体であるテープカセット７全体の
質量と、リールロック機構の本体部１７の質量との関係
において考慮すれば、必然的に理解できるところであ
る。

【００３２】いずれにしても、記録媒体を収納ケース２
１における収納部２２の囲い壁２２ａで直接支持させる
のではなく、収納部２２内に配設された緩衝機能を有す
る支持部材によって支持させて収納するものであるか
ら、収納ケース２１を落下させた場合に、その落下衝撃
が支持部材から間接的に伝達されるようにし、その支持
部材に緩衝機能を付与することで、記録媒体の衝撃によ
る影響を少なくしたのである。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る記録
媒体の収納ケースは、収納部を有する底部材と、その収
納部を施蓋する蓋部材とからなる箱形状のケースであっ
て、前記収納部内に記録媒体を支持するための緩衝機能
を有する支持部材を設けた構成としたことにより、内部
に収納される記録媒体を緩衝機能を有する支持部材で支
持させて収納することで、収納ケースを不注意で落下さ
せた場合に、その落下衝撃を支持部材で緩衝または吸収
し、特に記録媒体が、テープを捲回したリールを有し且
つリールロック機構を有するテープカセットである場合
に、落下衝撃によってリールロック機構がアンロック状
態にならないように落下衝撃を支持部材で緩衝または吸
収し、それによってテープの弛みによる種々の不都合が
解消できるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施例の記録媒体の収納ケース
を開放して示した平面図である。

【図２】同収納ケースの収納部における要部のみを拡大
して示した平面図である。

【図３】図２のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。

【図４】従来例の収納ケースを開放して示した平面図で
ある。

【図５】一般的に使用されている記録媒体の一種である
テープカセットを分解して示した斜視図である。

【図６】同テープカセットの内部を略示的に示した平面
図である。

【図７】同テープカセットにおけるリールロック機構の
ロック状態を示す一部拡大断面図である。

【図８】同テープカセットにおけるリールロック機構の
使用時におけるアンロック状態を示す説明図である。

【図９】同テープカセットにおけるリールロック機構の
使用時におけるアンロック状態を示す一部拡大断面図で
ある。

【符号の説明】

７ テープカセット（記録媒体） １９ 光源用孔 ２１ 収納ケース ２２ 収納部 ２２ａ 囲い壁 ２３ 底部材 ２３ａ 取付用リブ ２４ 蓋部材 ２４ａ 壁部 ２５ 一つの辺 ２５ａ ヒンジ機構 ２６ ボス部 ２７ ガイド部材 ２７ａ ガイド片 ２８ スリット ２９ 翼部 ３０ ガイド突起 ３１ 空間部 ３２ 板バネ ３３，３４ ストッパー片 ３５ 切り起こしリブ ３６ 凹部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 収納部を有する底部材と、その収納部を
   施蓋する蓋部材とからなる箱形状のケースであって、 前記収納部内に記録媒体を支持するための緩衝機能を有
   する支持部材を設けたことを特徴とする記録媒体の収納
   ケース。
2. 【請求項２】 緩衝機能を有する支持部材が、 バネ付勢されたボス部であることを特徴とする請求項１
   に記載の記録媒体の収納ケース。
3. 【請求項３】 緩衝機能を有する支持部材が、 収納部内の底部材に取り付けられたガイド部材と、 該ガイド部材に沿って摺動し一方向にバネ付勢されてい
   るボス部であることを特徴とする請求項１に記載の記録
   媒体の収納ケース。
4. 【請求項４】 ガイド部材が、 両側端を鉤状に折り曲げてガイド片とした金属板で構成
   されていることを特徴とする請求項３に記載の記録媒体
   の収納ケース。