JPH08277250A - 3,5−ジアミノフェノールの製造法 - Google Patents

3,5−ジアミノフェノールの製造法

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JPH08277250A
JPH08277250A JP7104640A JP10464095A JPH08277250A JP H08277250 A JPH08277250 A JP H08277250A JP 7104640 A JP7104640 A JP 7104640A JP 10464095 A JP10464095 A JP 10464095A JP H08277250 A JPH08277250 A JP H08277250A
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JP
Japan
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reaction
diaminophenol
general formula
halogen
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JP7104640A
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English (en)
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Osamu Uchida
内田  修
Masaaki Tsukase
正昭 塚瀬
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価で入手容易な出発原料から反応性、操作
性に優れた高純度な3,5−ジアミノフェノールの製造
方法を提供する。 【構成】 ハイドロキノンの一方の水酸基が保護された
化合物をジニトロ化し、水酸基のハロゲンへの置換、脱
保護、還元反応を任意の順で行い3,5−ジアミノフェ
ノールを合成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機合成中間体として有
用な3,5−ジアミノフェノールを容易に高収率、高純
度で製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】3,5−ジアミノフェノールは染料、写
真用素材、医薬、農薬などの合成中間体として重要であ
る。3,5−ジアミノフェノールの合成法としては古く
はJustus Liebigs Annalen der Chemie, 119, 202(186
1).に記載されているフロログルシノールとアンモニア
を使用する合成法が知られている。また、フロログルシ
ノールを用いた3,5−ジアミノフェノール誘導体の液
相での合成法としてはBucherer反応を利用したChemisch
e Berichte, 101, 3787(1968). 記載の方法及び、Helve
tica Chimica Acta, 56, 510(1973).記載の方法が知ら
れている。しかしこれらの合成法では1級または2級の
アミン誘導体が使用されており、アンモニアを利用する
無置換である3,5−ジアミノフェノールの合成につい
ては述べられていない。フェノールおよびフェノール誘
導体を出発原料としてクロル化、ニトロ化を経由する方
法が特開昭62−212353号公報に記載されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】3,5−ジアミノフェ
ノールの合成法について従来から知られている方法、例
えばJustus Liebigs Annalen der Chemie に記載の方法
では反応を室温下4週間もかけて行っており製造法とし
ては適切ではない。またChemische Berichteに記載の方
法では反応に高温を要し、さらにジアミノ体とトリアミ
ノ体の混合物を与えることから高収率、高純度での製造
は困難である。一方Helvetica Chimica Acta記載の方法
ではアンモニアまたはアンモニウム塩を使用した場合、
収率良く3,5−ジアミノフェノールを得ることができ
なかった。
【0004】また、特開昭62−212353号公報に
記載のフェノールおよびフェノール誘導体を出発原料と
して3,5−ジアミノフェノールを合成する方法は猛毒
で危険な塩素ガスを必要とする上、反応生成物が混合物
として得られるため反応の確認が煩雑である。さらにニ
トロ化には(ハロゲン原子多置換による)ベンゼン環の
不活性化により98%の白色発煙硝酸を必要とし、本反
応条件下では激しいNOx の発生が起こり、反応の制御
も難しく、危険である。
【0005】以上述べたように本目的の化合物である
3,5−ジアミノフェノールを合成する上で既存の方法
は収率、操作性に問題があった。
【0006】さらに、入手容易で安価なハイドロキノン
ジメチルエーテルからの3,5−ジアミノフェノールの
合成を試みジニトロ化を行ったがジニトロ化の選択性が
目的とは異なる、3,6−ジメトキシ−オルト−ジニト
ロベンゼンを与えた。そこで、本発明の目的は、温和な
条件下で、高収率、高純度で、また操作性に優れた3,
5−ジアミノフェノールを製造する方法を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは安価に入手
可能なハイドロキノンおよびその誘導体からの3,5−
ジアミノフェノールの合成について合成ルートの開発を
検討した。本発明者らはハイドロキノンジメチルエーテ
ルをニトロ化して得られる。2,5−ジメトキシニトロ
ベンゼンをさらにジニトロ化する際、6位がニトロ化さ
れる6位の選択性は、2位のメトキシ基の電子効果によ
る3位選択性よりも、5位のメトキシ基の電子効果によ
る6位選択性の方が勝っているためであると考えた。こ
のため既述のように2,5−ジメトキシニトロベンゼン
を更にニトロ化すると3,5−ジアミノフェノールでな
く、3,6−ジメトキシ−オルト−ジニトロベンゼンと
なると推定できる。ここで本発明者らはハイドロキノン
の一方の水酸基を保護した化合物を用いれば、その電子
効果に差が生じ水酸基による強い電子効果によってジニ
トロ化の選択性が目的である水酸基の2,6−位へのジ
ニトロ化が進行すると考え研究を行った。この際、ジニ
トロ化は活性なベンゼン環であるため温和な条件で達成
できると考えた。さらにオルトあるいはパラ位に強い電
子吸引性基を有するフェノール類はその水酸基をハロゲ
ンに置換することも可能であると考え研究を行った。ま
たニトロ基およびベンゼン核ハロゲンの還元は広く知ら
れている方法によって達成できる。こうして鋭意検討し
た結果、本発明者らは、温和な条件下で行なえる収率良
いまた、操作性に優れた3,5−ジアミノフェノールの
合成法を見い出した。
【0008】即ち、本発明は、下記(1)〜(3)の構
成により達成することができる。 (1)下記一般式(1)で表わされるハイドロキノン誘
導体をジニトロ化して下記一般式(2)で表わされるジ
ニトロ化合物を得、このジニトロ化合物の水酸基をハロ
ゲンに置換し、更にEの保護基の脱保護を順に行うこと
によって得られる3,5−ジニトロ−4−ハロゲン置換
フェノールのニトロ基のアミノ基への還元反応および脱
ハロゲン化反応を行うことを特徴とする3,5−ジアミ
ノフェノールの製造方法。一般式(1)
【0009】
【化4】
【0010】一般式(1)中、Eはアルキル基、−Si
1 3、−COR1、−COOR1、−CONR12、−S
21、−PO(OR12から選ばれるフェノール性水
酸基の保護基を表す。R1はアルキル基、アリール基を
表わし、R2は水素原子、アルキル基、アラルキル基、
アリール基を表わす。R1とR2は同一であっても同一で
なくても良い。一般式(2)
【0011】
【化5】
【0012】一般式(2)中Eは前記と同じ意味を持
つ。 (2)前記(1)に記載の一般式(2)で表わされるジ
ニトロ化合物から水酸基のハロゲンへの置換反応と
ニトロ基のアミノ基への還元反応および脱ハロゲン化
反応を行うことによって得られる下記一般式(3)で表
わされる化合物のEの保護基の脱保護を行うことを特徴
とする3,5−ジアミノフェノールの製造方法。但し、
は先に行われ、とは同時でもまたどちらを先に行
っても良い。一般式(3)
【0013】
【化6】
【0014】一般式(3)中Eは前記と同じ意味を持
つ。 (3)前記(1)に記載の化合物(2)からEの保護基
の脱保護を行うことによって得られる2,6−ジニトロ
ハイドロキノンから順に、1位水酸基のハロゲンへの置
換反応とニトロ基のアミノ基への還元および脱ハロゲン
化反応を行うことを特徴とする3,5−ジアミノフェノ
ールの製造方法。
【0015】以下に本発明の一般式(1)、(2)、
(3)で表わされる化合物について詳しく説明する。一
般式(1)、(2)および(3)中、Eの例としては1
級アルキル基(置換基を有するものを含む炭素数1〜3
0。例えばメチル、エチル、n−プロピル、ベンジ
ル。)、−SiR1 3、−COR1、−COOR1、−CO
NR12、−SO21、−PO(OR12が挙げられ
る。R1の例としては、アルキル基(置換基を有するも
のを含む。炭素数1〜30。例えばメチル、エチル、n
−プロピル、iso−プロピル、n−ヘキシル、シクロ
ヘキシル、t−ブチル、ベンジル)、アリール基(置換
基を有するものを含む。炭素数6〜50。例えば、フェ
ニル、ナフチル、トリル)が挙げられる。R2の例とし
ては、水素原子、アルキル基(置換基を有するものを含
む。炭素数1〜30。例えばメチル、エチル、n−プロ
ピル、iso−プロピル、n−ヘキシル、シクロヘキシ
ル、t−ブチル、ベンジル)、アリール基(置換基を有
するものを含む。炭素数6〜50。例えばフェニル、ナ
フチル)が挙げられる。R1とR2は同一であっても良
く、また同一でなくても良い。
【0016】一般式(1)、(2)、(3)中、Eは好
ましくは、−SiR1 3、−COOR1、−CONR
12、−SO21である。さらに好ましくは−CONR
12、−SO21であり、これらのうちで−SO21
最も好ましい。
【0017】R1は好ましくはメチル基、エチル基、t
−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、であ
る。さらに好ましくはメチル基、フェニル基、トリル基
である。
【0018】R2は好ましくは、水素原子、メチル基、
エチル基である。
【0019】次に本発明の反応および反応条件について
詳しく説明する。本発明の方法によれば、3,5−ジア
ミノフェノールを次の各種ルートにて製造することがで
きる。
【0020】(1)ハイドロキノンの一方の水酸基をア
ルキルエーテルおよびシリルエーテルの型で保護するか
あるいは、エステル型、炭酸エステル型、カーバメート
型、スルホン酸エステル型、リン酸エステル型で保護
し、このハイドロキノン誘導体をジニトロ化して得られ
るジニトロ化合物の水酸基を酸ハライド化剤によってハ
ロゲンに置換し、さらに保護基の脱保護を経て3,5−
ジニトロ−4−ハロゲン置換フェノールを得、これを還
元反応によりニトロ基のアミノ基への還元反応、脱ハロ
ゲン化反応の2反応を同時、または別々(別々に行う場
合、どちらを先に行ってもよい。)に行うことにより、
3,5−ジアミノフェノールを製造する方法。
【0021】(2)(1)の方法の中間体であるジニト
ロ化合物の水酸基を酸ハライド化剤によってハロゲンに
置換し、さらに還元反応によりニトロ基のアミノ基への
還元反応、脱ハロゲン化反応の2反応を同時、または別
々(別々に行う場合、どちらを先に行ってもよい。)に
行うことにより水酸基の保護された3,5−ジアミノフ
ェノールを得、これを保護基の脱保護反応を行うことに
より、3,5−ジアミノフェノールを製造する方法。
【0022】(3)(1)の方法の中間体であるジニト
ロ化合物の保護基の脱保護反応を行って得られる2,6
−ジニトロハイドロキノンから順に、1位の水酸基を酸
ハライド化剤によってハロゲンに置換し、3,5−ジニ
トロ−4−ハロゲノフェノールを得、これを還元反応に
よりニトロ基のアミノ基への還元反応、脱ハロゲン化反
応を行うことにより、3,5−ジアミノフェノールを製
造する方法。ここで、上記還元反応によるニトロ基のア
ミノ基への還元反応と、脱ハロゲン化反応は、同時、ま
たは別々(別々に行う場合は、どちらを先に行ってもよ
い。)に行うこともできる。
【0023】次いで(1)の方法からその詳細を述べ
る。ハイドロキノンの一方の水酸基を保護し、ジニトロ
化、ハロゲン化、保護基の脱保護を経て3,5−ジニト
ロ−4−ハロゲン置換フェノールを得、これの還元反応
を行って3,5−ジアミノフェノールを製造する方法に
おいて、ハイドロキノンの水酸基の保護基としては、T.
W. Greene, P. G. M. Wuts著のProtectiveGroups In O
rganic Synthesis第2版、第3章、John Wiley & Sons
社、1990年に記載されている様な保護基が使用できる。
ここで、選択的な一方のみの保護基の導入の容易さ、保
護基の安定性、ジニトロ化の選択性、さらには脱保護の
容易さ、価格の点を考慮して研究を進めた結果、既述の
保護基の中でハイドロキノンのスルホン酸エステルとす
る保護法が本目的に最も適していることが明らかとなっ
た。こうしてハイドロキノンのスルホン酸エステルのジ
ニトロ化、ハロゲン化、脱保護および還元による3,5
−ジアミノフェノールの製造法を確立したが、本発明の
方法は必ずしもスルホン酸エステルに限定されるもので
はない。
【0024】以下工程順に本発明の方法を詳細に説明す
る。ハイドロキノンのスルホン酸エステルの製造方法に
は種々の方法があり、そのいずれに従っても良いが工業
的には第一の方法としてハイドロキノンと2当量のスル
ホニルクロライドとを反応させてジエステルとし次いで
1当量のアルカリによって一方のみを選択的に切断する
方法が、また第二の方法としてハイドロキノンモノメチ
ルエーテルとスルホニルクロライドを反応させた後に脱
メチル化する方法があり、いずれの方法も好収率で目的
物を得ることができる。この場合使用するスルホニルク
ロライドは入手の容易さ、コスト面からメタンスルホニ
ルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、p−ト
ルエンスルホニルクロライドが好ましく、メタンスルホ
ニルクロライドが特に好ましい。
【0025】第一のハイドロキノンのスルホン酸エステ
ル化の場合、ハイドロキノンにスルホニルクロライドを
2当量作用させジエステル体を得る。この際、溶媒とし
てはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、アセトニトリル、塩化メチレン、イソプ
ロピルアルコール等が使用できる。また脱塩化水素剤と
してNaHCO3、K2CO3などの固体無機塩基、ある
いはピリジン、トリエチルアミンなどの様な有機塩基が
使用できる。ここでさらにジエステル体に、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコールなどの溶媒
中、1当量のKOHあるいはNaOHを作用させて一方
のスルホン酸エステルを分解することによって合成でき
る。
【0026】また第二のハイドロキノンのスルホン酸エ
ステル化の場合、比較的安価に入手可能なハイドロキノ
ンモノメチルエーテルをスルホニルクロライドと反応さ
せスルホン酸−4−メトキシフェニルエステルを得る。
この際使用できる溶媒としてはN,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリ
ル、塩化メチレンなどが挙げられるが反応性の点でN,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトア
ミドが好ましい。また脱塩化水素剤としてはNaHCO
3、K2CO3などの固体無機塩基、あるいはピリジン、
トリエチルアミンなどの有機塩基が使用できるが反応性
の点でトリエチルアミンが好ましい。使用するスルホニ
ルクロライドの当量は1当量以上であればいくらでも良
いが、反応性、操作性、後処理の簡便さを考慮すると
1.1当量〜1.5当量の間で行うのが好ましい。反応
温度は−20℃〜高温まで広い範囲で行えるが10℃〜
室温が最も好ましい。式(1)中のEが他の保護基の際
は、通常行われるハイドロキノンのエステル化又はエー
テル化により容易に得ることができる。例えば保護基に
対応する前駆体とハイドロキノンをアセトニトリル、
N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で反応させる
ことによって容易にエステル体を得ることができる。ま
た、ハイドロキノンモノメチルエーテルから同様の操作
によってエステル体を得、その後脱メチル化を前述した
スルホン酸エステルの場合と同様の操作によっても容易
にエステル体が得られる。エーテル体は一般に市販され
ているが保護基に対応する前駆体とハイドロキノンを塩
基存在下、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で
反応させることによって容易に得ることができる。
【0027】こうして得られたスルホン酸−4−メトキ
シフェニルエステルは脱メチル化することによって、ハ
イドロキノンの一方の水酸基をスルホン酸エステルで保
護した化合物へと交換できる。脱メチル化の方法として
はT. W. Greene, P. G. M. Wuts著のProtective Groups
In Organic Synthesis第2版、第3章、John Wiley&
Sons 社、1990年に記載されている脱メチル化、および
HIを使用する方法等が挙げられるが、製造コスト、反
応性、操作性を考慮すると、BBr3、AlCl3、HB
rを利用する方法が好ましい。この際反応溶媒としては
BBr3、AlCl3を用いる方法ではCH2Cl2、トル
エン等が好ましく、HBrを用いる方法では酢酸が好ま
しい。これらのうちで、BBr3を用いる方法が特に好
ましい。反応温度は0℃〜高温まで広い範囲で行える
が、BBr3を用いる方法では0℃〜40℃、AlCl3
を用いる方法では室温〜80℃が好ましく、HBrを用
いる方法では酢酸加熱還流条件下が好ましい。
【0028】スルホン酸エステルの合成に関して第一の
方法では、一方のスルホン酸エステルを加水分解する際
に濃度の効果が大きく働き、高濃度ではその選択性が低
下し未反応の原料とハイドロキノンが混入し収率の低下
を引き起こす。このためできるだけ低濃度で行う必要が
あるが製造上、1バッチ当りの製造量が少なくなり必ず
しも有利な方法であるとはいえない。これに対し第二の
方法では比較的高濃度で反応が行え、収率も良いことか
ら、第二の方法が好ましいといえる。
【0029】この様にして得られたスルホン酸−4−ヒ
ドロキシフェニルエステルをジニトロ化すると、選択的
に水酸基の2,6−位がジニトロ化される。ジニトロ化
反応は通常、硝酸と硫酸の混酸 (両者の割合は?)
が用いられ、硝酸は原料に対して、2〜4当量、硫酸は
原料に対して2〜8当量が用いられるがこれらの割合に
得られるわけではない。反応温度は0℃〜100℃で反
応はバッチ式でも連続式のいずれでも行うことができ
る。使用する硝酸は61〜98%のものが使用できる
が、ベンゼン環のニトロ化に対する活性が十分に高いた
め氾用の61%硝酸でも速やかに反応が行える。反応温
度は0℃〜50℃が好ましく、反応の初期は低温で行い
その後除々に反応温度を上げる方法が一般的に用いられ
る。またスルホン酸−4−ヒドロキシフェニルエステル
を四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどの溶媒に溶
解させてからニトロ化反応を行うこともできる。
【0030】スルホン酸−4−ヒドロキシ−3,5−ジ
ニトロフェニルエステルの水酸基は酸ハロゲン化剤によ
って容易にハロゲン基へと置換できる。ハロゲン基とし
ては、フッ素、塩素、臭素、沃素、いずれのハロゲン原
子でも良いが、酸ハロゲン化剤の反応性、コスト、次の
還元工程の容易さを総合的に判断すると塩素原子が最も
好ましい。ここで酸ハロゲン化剤としては一般に使用さ
れるものなら何でも使用できるが好ましくは塩化チオニ
ル、オキシ塩化リンである。これらの酸ハロゲン化剤は
通常1.5〜10当量で行われる。塩化チオニルを使用
する場合、無溶媒あるいは酢酸エチル、クロロホルム、
テトラヒドロフラン等が溶媒として使用できる。触媒と
してN,N−ジメチルホルムアミドを使用すると反応速
度の向上と塩化チオニルの使用量を軽減することができ
ることから有効な手段となりうる。またオキシ塩化リン
を使用する場合、アセトニトリル、N,N−ジメチルア
セトアミドスルホラン等があるいはこれらの混合溶媒が
溶媒として使用できる。これらの方法のうちでコスト、
反応性、操作性の点から酢酸エチル中、ジメチルホルム
アミドを触媒とした塩化チオニルによる塩素化が最も好
ましい。
【0031】脱保護法としては、KOHやNaOHを使
用するアルカリ加水分解による方法、アンモニア、一級
アミンによるスルホンアミド化による方法、アルコール
によるエステル交換法等が挙げられるがジニトロ体の段
階で脱保護を行う場合は求核剤によるハロゲンの置換反
応が起こる可能性があるため温和な条件下で脱保護反応
の選択性の高い方法を採用しなくてはならない。こうし
て鋭意検討を行った結果、脱保護法としてアルコールに
よるエステル交換法が最も好ましいことがわかった。反
応はアルコール中、1当量のアルコラートを作用させる
ことによって行える。アルコラートとしては入手容易な
ナトリウムメトキサイド(28%)が最も好ましく、反
応温度は室温以下で行うことが望ましい。こうして4−
クロロ−3,5−ジニトロフェノールが容易に合成でき
る。
【0032】本発明においてニトロ基のアミノ基への還
元反応と脱ハロゲン化反応は、別々に行っても良く、あ
るいは同時に行ってもよい。ニトロ基のアミノ基への還
元反応は一般に知られている還元法のいずれの方法を用
いても行えるが好ましくは還元鉄による鉄還元遷移金属
触媒を用いる接触水添反応による還元法である。脱ハロ
ゲン化反応もまた一般に知られている方法のいずれを用
いても行えるが好ましくは、脱ハロゲン化水素剤存在下
での遷移金属触媒を用いる接触水添反応および鉄還元、
銅粉と安息香酸による還元法である。
【0033】ニトロ基の還元と脱ハロゲン化反応を同時
に行う場合、鉄還元による方法が行える。反応はイソプ
ロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコー
ル、第3ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒ある
いはそれらと水との混合液、酢酸あるいは酢酸と水との
混合液中、塩化アンモニウムの存在下で行なわれる。こ
れらの内で脱ハロゲン化の反応速度の観点から酢酸ある
いは酢酸と水との混合液中で行うのが好ましい。またニ
トロ基の還元と脱ハロゲン化反応を同時に行う場合、遷
移金属触媒を用いる接触水添反応においては、水または
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコール、第3ブチルアルコール等のアルコール系溶媒
を用いてあらかじめ脱ハロゲン化剤としてのNaOHや
KOHあるいはアンモニア等の存在下で行なわれる。こ
れら脱ハロゲン化剤の使用量は原料に対して1〜2倍が
好ましい。水添反応触媒としては通常触媒として用いら
れるもの、例えばラネーニッケルやパラジウム、白金、
イリジウム、レニウムなどの金属をカーボン、シリカア
ルミナなどに担持したものが用いられる。反応条件をあ
らかじめ激しい条件に設定すると添加した脱ハロゲン化
剤や溶媒による求核置換反応が少し進行するため、初期
は10℃〜30℃の低温でニトロ基のアミノ基への還元
を行い、水素圧の減少が停止してから昇温し70℃〜1
00℃、好ましくは80℃〜90℃で脱ハロゲン化を行
うのが望ましい。こうして3,5−ジアミノフェノール
が合成できる。
【0034】ニトロ基の還元と脱ハロゲン化反応を別々
に行う場合、ニトロ基の還元と脱ハロゲン化のどちらを
先に行っても良い。脱ハロゲン化を先に行う場合、新実
験化学構座第15巻、酸化と還元II、92ページ、丸
善、1977年に記載のウルマン反応の一変形としての
脱ハロゲン化が好ましい。すなわち原料と安息香酸を1
50℃〜180℃で溶融させこれに銅粉をゆっくりと加
えることによって行う。この場合脱ハロゲン化の他に2
つのニトロ基のうち一方のニトロ基が還元された生成物
を与えた。次いで得られた生成物をニトロ基のアミノ基
への還元反応を行うことによって3,5−ジアミノフェ
ノールを合成できる。ニトロ基の還元反応は一般に用い
られる還元反応のいずれを用いても行えるが操作の簡便
さ、収率の点から鉄還元による方法が最も好ましい。
【0035】ニトロ基の還元を先に行う場合、鉄還元、
遷移金属触媒を用いる接触水添のいずれの方法を用いて
も行える。鉄還元の場合、イソプロピルアルコール中、
塩化アンモニウム、水の共存下加熱還流させることによ
って行うのが最も好ましい。この際一部脱ハロゲン化も
進行し3,5−ジアミノフェノールが得られるが混合物
のまま次の反応に用いられる。接触水添の場合も同様
で、前述した接触水添の条件から脱ハロゲン化剤を除い
た条件下で反応を行う。この際も一部脱ハロゲン化が進
行し、3,5−ジアミノフェノールが得られるが混合物
のまま次の反応に用いられる。続く脱ハロゲン化反応は
前述した条件のいずれを用いもて実施できるが、遷移金
属触媒による接触水添を脱ハロゲン化剤を投入すること
によって行うのが好ましい。こうして3,5−ジアミノ
フェノールが合成できるが本発明は特にこれらの条件に
限定されるものではない。
【0036】(2)の方法においてスルホン酸−4−ク
ロロ−3,5−ジニトロフェニルエステルは(1)の方
法と同様の方法にて合成が可能である。得られたスルホ
ン酸−4−クロロ−3,5−ジニトロフェニルエステル
は還元によりニトロ基のアミノ基への変換と脱ハロゲン
化反応を行うことによりスルホン酸−3,5−ジアミノ
フェニルエステルへと導びかれる。還元反応は(1)の
方法と同様の方法が使用できる。脱保護の工程は(1)
の方法と同様の方法が使用できるが、この場合、メタノ
ール、エタノール等のアルコール系溶媒と水との混合物
液中、KOHやNaOHの作用によるアルカリ加水分解
による方法が最も良い結果を与えた。アルコール系溶媒
と水との混合比は10:1〜1:1が好ましく反応温度
は加熱還流条件下が最も好ましい。こうして3,5−ジ
アミノフェノールが収率良く合成できるが本発明は特に
これらの条件に限定されるものではない。
【0037】(3)の方法においてスルホン酸−4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジニトロフェニルエステルは(1)
の方法と同様の方法にて合成可能である。得られたスル
ホン酸−4−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニルエ
ステルは脱保護工程によって2,6−ジニトロハイドロ
キノンへと導びかれる。脱保護法は(1)の方法と同様
の方法が行える。次いで酸ハロゲン化剤によって4−ク
ロロ−3,5−ジニトロフェノールへと誘導され、さら
に還元によって3,5−ジアミノフェノールが合成でき
る。この場合、ハロゲン化とニトロ基のアミノ基への還
元、脱ハロゲン化は(1)の方法と同様の方法が行え
る。しかしながら本発明は特にこれらの条件に限定され
るものではない。
【0038】
【実施例】
【0039】次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細
に説明する。 実施例1 ハイドロキノンモノメチルエーテル124g(1mo
l)をジメチルアセトアミド(以下DMACと略す)5
00mlに溶解させトリエチルアミン167ml(1.
2当量)を加えた。氷冷下でメタンスルホニルクロライ
ド93ml(1.2当量)を反応温度が10〜15℃に
なる様に滴下する。この際滴下に要した時間は20分で
あった。滴下後反応温度を徐々に室温まで上げさらに1
時間反応させた。反応終了を薄層クロマトグラフ(以下
TLCと略す)により確認した後、反応液を希塩酸(5
0ml HClに対して水2l)に注ぎ析出した結晶を
濾取し水洗後送風乾燥を行った。こうしてメタンスルホ
ン酸−4−メトキシフェニルエステルを無色結晶202
g(収率100%)として得た。 NMR(CDCl3)δ 7.20〜7.28 2H(Ar−H) 6.88〜6.95 2H(Ar−H) 3.72 3H(−OCH3) 3.11 3H(−OSO2CH3
【0040】メタンスルホン酸−4−メトキシフェニル
エステル202g(1mol)を塩化メチレン1lに溶
解させ氷冷下にてBBr3 121ml(1.3当量)を
滴下する。この際反応温度は15℃以下に保ち要した時
間は15分であった。滴下後、反応液を加熱し加熱還流
を3時間行った。反応終了をTLCにより確認した後、
反応液を氷水1lに注ぎ反応を停止し抽出操作を行っ
た。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後溶媒を
減圧留去した。こうしてメタンスルホン酸−4−ヒドロ
キシフェニルエステルを182g(無色結晶)(収率9
6%)として得た。
【0041】1.40HNO3 80mlに濃硫酸120
mlを滴下する。滴下は氷冷下行うが内温は40℃まで
上昇した。内温が30℃になった時点で水冷下にてメタ
ンスルホン酸−4−ヒドロキシフェニルエステル80g
(0.425mol)を8回に分けて分別添加した。添
加中反応温度は50℃まで上昇した。添加後外温45℃
で2時間さらに反応を行った。添加中、反応中ともにN
x の発生はほとんど認められなかった。反応終了をT
LCにて確認した後、反応液を氷水1.5lに注ぎ析出
した結晶を濾取、水洗し、送風乾燥した。こうしてメタ
ンスルホン酸−4−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェ
ニルエステルを淡黄色結晶134g(収率96%)とし
て得た。
【0042】メタンスルホン酸−4−ヒドロキシ−3,
5−ジニトロフェニルエステル63g(0.2265m
ol)を酢酸エチル400mlに溶解させ室温で塩化チ
オニル99ml(6当量)を注ぐ。この際ほとんど発熱
は認められなかった。反応系を徐々に加熱し加熱還流さ
せる。ここにジメチルホルムアミド20mlをゆっくり
と滴下し、滴下後後反応2時間行った。反応終了をTL
Cにて確認後、反応液を氷水500mlに注ぎ抽出操作
を行った。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶
媒を減圧留去しメタンスルホン酸−4−クロロ−3,5
−ジニトロフェニルエステルを無色結晶67g(収率9
9.7%)として得た。 NMR(CDCl3)δ 8.00 2H(Ar−H) 3.35 3H(−O−SO2CH3
【0043】メタンスルホン酸−4−クロロ−3,5−
ジニトロフェニルエステル67g(0.226mol)
をMeOH 350mlに溶解し室温でCH3ONa
(28%)47ml(0.226ml)を滴下した。滴
下後、後反応を2時間行い反応終了をTLCにて確認し
た。反応液を希塩酸(20mlに水1l)に注ぎ析出す
る結晶を濾取し水洗後送風乾燥させ4−クロロ−3,5
−ジニトロフェノールを淡黄色結晶45g(収率91
%)として得た。
【0044】4−クロロ−3,5−ジニトロフェノール
10.93g(0.05mol)をMeOH 200m
lに溶解させここに10%Pd−C 2gを加える。反
応液をオートクレーブ中にセットし水素圧を徐々に上げ
た。この場合発熱が認められるため水冷下反応温度が3
5℃以上にならない様に水素圧を調節した。最終的に水
素圧20Kg/cm2において室温下2時間後反応を行
った。この際ニトロ基は完全に還元されアミノ基に変換
されていることがTLCによって確認された。また一部
は脱ハロゲン化も進行し3,5−ジアミノフェノールと
変換されていた。次いで反応系にNaOH 2.4g
(1.2当量)、水20mlを加えさらに水素圧20K
g/cm2、90℃にて2時間反応させた。この場合、
水素圧の減少は約1時間で停止した。反応終了をTLC
にて確認した後反応液をセライトによって触媒と濾別
し、濾液に濃塩酸を加え中和しさらに減圧留去によって
溶媒を留去した。残査に水20mlを加え室温下で30
分かくはんした。結晶を濾取し水洗した。濾液から酢酸
エチルで2回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を減圧留去した。これと先程の結晶とをあわせ、
3,5−ジアミノフェノールを無色結晶5.77g(収
率93%)として得た。 NMR(DMSO−d6)δ 8.36 1H(OH) 5.29 1H(Ar−H) 5.27 2H(Ar−H) 4.52 4H(−NH2
【0045】実施例2 実施例1の合成法によって合成されたメタンスルホン酸
−4−クロロ−3,5−ジニトロフェニルエステル1
4.8g(0.05mol)と安息香酸44.4gを外
温180℃にて溶融する。この中に銅粉14.8gを注
意深く分別添加する。反応中激しく発泡し添加後5分で
固化する。そのまま外温180℃で1時間反応させた後
反応系を冷却し反応系に酢酸エチル150mlと水25
0mlを注ぎ固形物をガラス棒でよくかきまぜる。Na
HCO3 50gを加え安息香酸を中和し水層へ分離す
る。抽出操作後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を減圧留去しメタンスルホン酸−3−アミノ−
5−ニトロフェニルエステルを、淡黄色結晶10.4g
(収率89.6%)として得た。 NMR(CDCl3)δ 7.45 2H(Ar−H) 6.90 1H(Ar−H) 4.32 2H(−NH2) 3.21 3H(−OSO2CH3) MASS 232(M+
【0046】還元鉄30g、塩化アンモニウム1.5
g、をイソプロピルアルコール200ml、水30ml
にけんだくさせ激しくかくはんする。反応系を加熱し3
0分加熱還流させた。ここにメタンスルホン酸−3−ア
ミノ−5−ニトロフェニルエステル10.4g(0.0
448mol)を5回にわけて分別添加した。添加後さ
らに1時間反応させた。反応の終了をTLCで確認した
後、鉄をセライト濾過によって分離し、濾液を減圧濃縮
し、メタンスルホン酸−3,5−ジアミノフェニルエス
テルを白色粉末8.5g(収率94%)として得た。
【0047】メタンスルホン酸−3,5−ジアミノフェ
ニルエステル4.5g(0.022mol)をEtOH
45ml、水45mlに溶解させた。ここにKOH
11.2g(9当量)を加えた後、加熱還流を2時間行
った。反応終了をTLCにて確認した後濃塩酸を加えて
中和した。酢酸エチル90mlで3回抽出し、有機層を
無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し
3,5−ジアミノフェノールを無色結晶2.5g(収率
90%)で得た。
【0048】実施例3 実施例1の合成法によって合成されたメタンスルホン酸
−4−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニルエステル
27.8g(0.1mol)をMeOH 200mlに
溶解し、氷冷下でCH3ONa(28%)20.5ml
(0.1mol)を反応温度が10℃以下に保たれる様
に滴下した。この場合滴下に要した時間は15分であっ
た。滴下後10℃以下で2時間後反応を行い、反応終了
をTLCにて確認した。反応液を希塩酸(10mlに水
500ml)に注ぎ析出した結晶を濾取、水洗、送風乾
燥させ、2,6−ジニトロハイドロキノンを黄色結晶1
9.8g(収率99%)として得た。
【0049】2,6−ジニトロハイドロキノン19.8
g(0.099mol)をアセトニトリル200mlに
溶解させ室温でオキシ塩化リン45.5ml(5当量)
を注ぐ、反応系を徐々に加熱し加熱還流を6時間行っ
た。反応終了をTLCにて確認した後反応系を冷却し
た。冷却後氷水1lに注意深く注ぎ析出した結晶を濾
取、水洗、送風乾燥し、4−クロロ−3,5−ジニトロ
フェノールを淡黄色結晶18.4g(収率85%)とし
て得た。
【0050】還元鉄14g、塩化アンモニウム0.66
gをイソプロピルアルコール30ml、水3mlにけん
だくさせはげしくかくはんする。反応系を加熱し加熱還
流を30分行った。次いで4−クロロ−3,5−ジニト
ロフェノール5.4g(0.0247mol)を5回に
分けて分別添加し、その後2時間加熱還流を行った。T
LCにて反応の進行を確認したところニトロ基は完全に
アミノ基へと変換されており、また一部は脱ハロゲン化
も進行し3,5−ジアミノフェノールへと変換されてい
ることが判明した。反応液を熱時(セライト)濾過によ
って鉄を除き、濾液に10%Pd−C 0.25g、H
COONH4 9.3g(6当量)を加え加熱還流を5時
間行った。反応終了をTLCにて確認した後金属触媒を
セライト濾過によって除き濾液を減圧濃縮によって溶媒
を留去した。残査に酢酸エチル50ml、水20mlを
注ぎ抽出操作を3回行った(酢酸エチル50×3m
l)。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留
去し3,5−ジアミノフェノールを無色結晶2.33g
(収率76%)として得た。
【0051】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、上述した有
用な3,5−ジアミノフェノールを工業的に安価に入手
容易なハイドロキノン誘導体から高収率で得ることがで
き、さらに操作性に優れた工程を経ることから工業的に
実施するには好適である。また本発明によってもたらさ
れる各中間体はさまざまな化学変換によってさらに有用
な化学物質へと導くことが可能となる点で有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年5月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】この様にして得られたスルホン酸−4−ヒ
ドロキシフェニルエステルをジニトロ化すると、選択的
に水酸基の2,6−位がジニトロ化される。ジニトロ化
反応は通常、硝酸と硫酸の混酸が用いられ、硝酸は原料
に対して、2〜4当量、硫酸は原料に対して2〜8当量
が用いられるがこれらの割合に得られるわけではない。
反応温度は0℃〜100℃で反応はバッチ式でも連続式
のいずれでも行うことができる。使用する硝酸は61〜
98%のものが使用できるが、ベンゼン環のニトロ化に
対する活性が十分に高いため氾用の61%硝酸でも速や
かに反応が行える。反応温度は0℃〜50℃が好まし
く、反応の初期は低温で行いその後除々に反応温度を上
げる方法が一般的に用いられる。またスルホン酸−4−
ヒドロキシフェニルエステルを四塩化炭素、1,2−ジ
クロロエタンなどの溶媒に溶解させてからニトロ化反応
を行うこともできる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされるハイドロ
    キノン誘導体をジニトロ化して下記一般式(2)で表わ
    されるジニトロ化合物を得、このジニトロ化合物の水酸
    基をハロゲンに置換し、更にEの保護基の脱保護を順に
    行うことによって得られる3,5−ジニトロ−4−ハロ
    ゲン置換フェノールのニトロ基のアミノ基への還元反応
    および脱ハロゲン化反応を行うことを特徴とする3,5
    −ジアミノフェノールの製造方法。一般式(1) 【化1】 一般式(1)中、Eはアルキル基、−SiR1 3、−CO
    1、−COOR1、−CONR12、−SO21、−P
    O(OR12から選ばれるフェノール性水酸基の保護基
    を表す。R1はアルキル基、アリール基を表わし、R2
    水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表
    わす。R1とR2は同一であっても同一でなくても良い。
    一般式(2) 【化2】 一般式(2)中Eは前記と同じ意味を持つ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の一般式(2)で表わされ
    るジニトロ化合物から水酸基のハロゲンへの置換反応
    とニトロ基のアミノ基への還元反応および脱ハロゲ
    ン化反応を行うことによって得られる下記一般式(3)
    で表わされる化合物のEの保護基の脱保護を行うことを
    特徴とする3,5−ジアミノフェノールの製造方法。但
    し、は先に行われ、とは同時でもまたどちらを先
    に行っても良い。一般式(3) 【化3】 一般式(3)中Eは前記と同じ意味を持つ。
  3. 【請求項3】 請求項第1項記載の化合物(2)からE
    の保護基の脱保護を行うことによって得られる2,6−
    ジニトロハイドロキノンから順に、1位水酸基のハロゲ
    ンへの置換反応とニトロ基のアミノ基への還元および脱
    ハロゲン化反応を行うことを特徴とする3,5−ジアミ
    ノフェノールの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010285367A (ja) * 2009-06-10 2010-12-24 Jsr Corp 1位置換3,5−ジアミノベンゼンの製造方法
CN110128278A (zh) * 2019-05-31 2019-08-16 济南和润化工科技有限公司 一种2,4-二硝基氯苯催化加氢制备间苯二胺的方法

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