JPH07330703A - (ペルフルオロアルコキシ)ビフェニルジアゾニウム化合物及びその製造中間体並びにペルフルオロアルキル化方法 - Google Patents

(ペルフルオロアルコキシ)ビフェニルジアゾニウム化合物及びその製造中間体並びにペルフルオロアルキル化方法

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JPH07330703A
JPH07330703A JP11996294A JP11996294A JPH07330703A JP H07330703 A JPH07330703 A JP H07330703A JP 11996294 A JP11996294 A JP 11996294A JP 11996294 A JP11996294 A JP 11996294A JP H07330703 A JPH07330703 A JP H07330703A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式(I)で表される(ペルフルオロアル
コキシ)ビフェニルジアゾニウム塩および一般式(II)
で表される(ペルフルオロアルコキシ)ビフェニルジア
ゾニウムスルホナート。 【効果】 アルコール化合物、フェノール化合物やスル
ホン酸化合物等の有機化合物を温和な条件下、一段階で
容易にペルフルオロアルキル化できる。 (式中、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロアルキル
基であり、R、R、RおよびRは独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数
1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基から
成るジアルキルアミノ基、又は炭素数6〜16のアリー
ル基であり、Xはブレンステッド酸の共役塩基であ
る。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種の有機化合物のペル
フルオロアルキル化に有用な新規な(ペルフロオロアル
コキシ)ビフェニルジアゾニウム化合物、その中間体お
よび有機化合物のペルフルオロアルキル化方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、有機化合物のペルフロオロアルキ
ル化方法として、例えばフェノール化合物をトリフルオ
ロメチル化して(トリフルオロメチル)フェニルエーテル
化合物を合成する方法としては、(1) フェノール化合
物をメチル化して、メチルフェニルエーテル化合物とし
た後、選択的に側鎖の塩素化を行なって(トリクロロメ
チル)フェニルエーテル化合物とし、続いて触媒(五塩化
アンチモン)の存在下、フッ化水素でハロゲン交換反応
を行なう方法[アンゲバンテ・ヘミー・インターナショ
ナル・エディション・イングリッシュ(Angew.Che
m.Int.Ed.Engl.),16巻,735ページ(197
7)参照。]、(2) フェノール化合物を過剰の四塩化炭
素およびフッ化水素とオートクレーブ中、高温で加熱す
る方法[ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリ
ー(J.Org.Chem.),44巻,2907ページ(19
79)参照。]、(3) フェノール化合物を(CF3)2S(O
CF3)2と反応させる方法[インオーガニック・ケミスト
リー(Inorg.Chem.),17巻,2173ページ(19
78)参照。]、(4) フェノールをチオホスゲンと反応
させてフェニルチオクロロギ酸エステル(C65OCS
Cl)に誘導した後、六フッ化モリブデン(MoF6)で処
理する方法[フレンチ・デマンデ(Fr.Demande)2,
214,674(1974): ケミカル・アブストラクト
(Chem.Abstr.),82巻,155,757(1975)
参照。]、並びに(5) フェノールを二硫化炭素および沃
化メチルと反応させて、フェニルキサンテート(C65
OCSSCH3)とし、続いて、これにフッ化水素−ピリ
ジン混合物と1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダン
トインとを作用させる方法[テトラヘドロン・レター
(Tetrahedron Lett.),33巻,4173ページ(1
992)参照。]が知られている。
【0003】また、スルホン酸から誘導される(トリフ
ルオロメチル)スルホナート化合物として(トリフルオロ
メチル)トリフルオロメタンスルホナートを合成する方
法は、(6) トリフルオロメタンスルホン酸を低温で電気
分解して得られる過酸化物(CF3SO2OOSO2CF3)
を分解する方法[インオーガニック・ケミストリー(In
org.Chem.),4巻,1010ページ(1965)参
照。]、(7) トリフルオロメタンスルホン酸とフルオロ
スルホン酸との混合物を加熱する方法[シンセシス(Sy
nthesis),1976年,319ページ及びインオーガニ
ック・アンド・ニュークリア・ケミストリー・レターズ
(Inorg.Nucl.Chem.Letters),16巻,195ペ
ージ(1980)参照。]、(8) トリフルオロメタンスル
ホン酸に酸化銀又は硝酸銀を作用させて得られるトリフ
ルオロメタンスルホン酸銀と沃化トリフルオロメタンと
をオートクレーブ中、高温で反応させる方法[テトラヘ
ドロン・レター(Tetrahedron Lett.),40巻,3
865ページ(1979)参照。]、(9) トリフルオロメ
タンスルホン酸に、2−(トリフルオロメチルチオ)ビフ
ェニルとフッ素ガスを反応させて得られるS−(トリフ
ルオロメチル)ジベンゾチオフェニウムトリフルオロメ
タンスルホナート、又はその3,7−ジニトロ誘導体を
加熱する方法[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカ
ル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、115
巻、2156ページ(1993)参照。]が知られてい
る。
【0004】また、アルキルアルコールをトリフルオロ
メチル化してアルキル(トリフルオロメチル)エーテルを
合成する方法としては、(10) メタノール又はエタノ
ール中、−75℃でヒドロキシルアミンとトリフルオロ
ニトロソメタンを反応させて生成したトリフルオロメタ
ンジアゾヒドロキシドを−50〜−55℃で分解させて
メチル又はエチル(トリフルオロメチル)エーテルを得る
方法[ジャーナル・オブ・ジェネラル・ケミストリー
(J.General Chem.)USSR、38巻、685
ページ(1968)参照。]が知られている。また、アル
キル(トリフルオロメチル)エーテルの合成法として、
(11)アルキルトリフルオロメタンスルホナート又は
活性化されたアルキルブロミドにトリス(ジメチルアミ
ノ)スルホニウムトリフルオロメトキシド[ジャーナル・
オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.
Chem.Soc.)、107巻、4565ページ(1985)
参照。]を作用させる方法[ジャーナル・オブ・カルボハ
イドラート・ケミストリー(J.Carbohydrate Che
m.)、4巻、545ページ(1985)及び日本化学会第
67春季年会講演予稿集II、3 C2 34、767ペー
ジ(1994年)参照。]が知られている。
【0005】しかしながら、従来法の(1)、(4)、及び
(5)は、多段階の反応工程を必要とし、かつ毒性の強い
塩素ガス、フッ化水素、チオホスゲン、六フッ化モリブ
デン、二硫化炭素等を用いなければならないこと、(2)
は、毒性の強いフッ化水素を用いた高温、高圧の反応条
件を必要とする上に、(トリフルオロメチル)フェニルエ
ーテル自身の収率が低いこと(10%)、(3)では、用い
る(CF3)2S(OCF3)2の合成が極めてやっかいで、か
つその合成には毒性の強い物質(フッ素ガス、塩素ガ
ス、フルオロホスゲン等)を取り扱わなければならない
こと、(6)では、用いるスルホン酸が限定される上、爆
発の危険性の高い過酸化物を、注意深く制御しながら、
分解させなければならないこと、さらに反応条件に限定
を受ける低温での電気分解を用いなければならないこ
と、(7)では用いるスルホン酸が限定される上に、目的
物の収率が非常に低く、多くの副生成物が生成して分離
が困難なこと、また、超強酸性条件下高温で長時間の反
応時間を必要とすること、(8)では高価な銀塩を用いな
ければならないこと、(9)では毒性の強いフッ素ガスを
用いなければならない上に、スルホン酸が超強酸に限ら
れること等の重大な欠陥がある。このため、これらの従
来法は汎用で有用なトリフルオロメチル化合物の合成法
とはなり得ない。また、従来法の(10)では、非常に毒
性の強いガスであるトリフルオロニトロソメタンを使用
しなくてはならないこと、また不安定な中間体であるト
リフルオロメタンジアゾヒドロキシドの分解反応を用い
るので反応の制御が困難であること等の問題がある。さ
らにこの反応は溶媒分子との反応であるため、適用範囲
が極めて狭く汎用のトリフルオロメチル化法とは言いが
たい。(11)の方法は、目的とする(トリフルオロメ
チル)エーテル化合物の他に、かなりのモノフッ化物が
副生するため、分離・精製に問題がある。また、(1
1)の方法で用いられるトリス(ジメチルアミノ)スルホ
ニウムトリフルオロメトキシドは、毒性の強いフルオロ
ホスゲンを原料として合成しなくてはならない。よっ
て、(11)の方法はトリフルオロメチル化合物の有用
な製造方法とは言いがたい。
【0006】一方、有用なトリフルオロメチル化剤とし
てS−(トリフルオロメチル)ジベンゾチオフェニウム塩
及びその類縁化合物が発表されているが[ジャーナル・
オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.
Chem.Soc.),115巻,2156ページ(1993)
及び特開平3−197479号参照。]、これをフェノ
ール化合物のトリフルオロメチル化に用いると、収率が
非常に低いという欠点がある(後記比較例1参照)。な
お、炭素数2個以上のペルフルオロアルキル化剤とし
て、(ペルフルオロアルキル)フェニルヨードニウムトリ
フルオロメタンスルホナート(FITS試薬)及びその類
縁体が知られているが、通常、フェノールと反応させて
も(ペルフルオロアルキル)フェニルエーテルは得られ
ず、核置換が起きてo−及びp−(ペルフルオロアルキル)
フェノールの混合物が得られる[ケミストリー・レター
(Chem.Lett.),1981年,1663ページ参
照。]。従って(ペルフルオロアルキル)フェニルエーテ
ルの製法とはなり得ないという重大な欠陥がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するた
めの手段】本発明者らは以上に述べた如き従来の方法の
問題点を解決すべく、新しい発想で鋭意研究を重ねた結
果、合成が容易でかつ各種の有機化合物のペルフルオロ
アルキル化を効率よく達成できる、全く新規な化合物お
よびそれらの製造中間体を見出し、本発明を完成するに
至ったものである。
【0008】すなわち本発明は一般式:
【化4】 (式中、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基
であり、R1、R2、R 3およびR4は独立に水素原子、ハ
ロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4
のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基から成るジ
アルキルアミノ基、又は炭素数6〜16のアリール基で
あり、X-はブレンステッド酸の共役塩基である。)で表
わされる新規な(ペルフルオロアルコキシ)ビフェニルジ
アゾニウム塩を要旨とする。
【0009】本発明はまた、一般式
【化5】 (式中、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基
であり、R1、R2、R3およびR4は独立に水素原子、ハ
ロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4
のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基から成るジ
アルキルアミノ基、又は炭素数6〜16のアリール基で
ある。)で表わされる新規な(ペルフルオロアルコキシ)
ビフェニルジアゾニウムスルホナート、をも要旨とす
る。
【0010】本発明はさらに一般式(I)または(I
I)によって表される上記化合物の中間体である一般
式:
【化6】 (式中、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基
であり、Rはニトロ基又はアミノ基であり、R1、R2
3およびR4は独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数
1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭
素数1〜4のアルキル基から成るジアルキルアミノ基、
又は炭素数6〜16のアリール基である。)で表わされ
る新規な(ペルフルオロアルコキシ)ビフェニル化合物を
も要旨とする。
【0011】前記一般式(I)で表わされる(ペルフルオ
ロアルコキシ)ビフェニルジアゾニウム塩及び前記一般
式(II)で表わされる(ペルフルオロアルコキシ)ビフェ
ニルジアゾニウムスルホナートは、有機合成化学分野に
おいて、各種の有機化合物にペルフルオロアルキル基を
導入するための試剤(以下「ペルフルオロアルキル化剤」
という)として有用であり、特に、有機化合物中の酸素
原子に対するペルフルオロアルキル化剤として有用なも
のである。以下本発明を詳細に説明する。
【0012】前記一般式(I)、(II)及び(III)で表
わされる本発明の化合物のR1〜R4の炭素数1〜4のア
ルキル基としては、CH3、C25、CH2CH2CH3
CH(CH3)2、CH2(CH2)2CH3、CH2CH(CH3)
2、C(CH3)3等の直鎖又は分岐状のアルキル基があげ
られ、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、CH
3O、C25O、CH3CH2CH2O、(CH3)2CHO、
CH3(CH2)2CH2O、(CH3)2CHCH2O、(CH3)
3CO等の直鎖又は分岐状のアルコキシ基があげられ、
炭素数1〜4のアルキル基から成るジアルキルアミノ基
としては、(CH3)2N、(C25)2N、(CH3CH2CH
2)2N、(CH3CH2CH2CH2)2N、(CH3CH2CH2
CH2)(CH3)N、(CH3)2CH(CH3)N等の直鎖又は
分岐状のアルキル基から成るジアルキルアミノ基があげ
られ、炭素数6〜16のアリール基としては、フェニル
基、トリル基、キシリル基、ブチルフェニル基、ハロフ
ェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル
基、(トリフルオロメトキシ)フェニル基、(ペルフルオ
ロエトキシ)フェニル基、(ペルフルオロブトキシ)フェ
ニル基、(ペルフルオロオクチルオキシ)フェニル基、
(ペルフルオロデシルオキシ)フェニル基等のアリール基
があげられる。
【0013】前記一般式(I)で表わされる本発明の化合
物のX-はブレンステッド酸の共役塩基であり、例え
ば、
【化7】 等のブレンステッド酸の共役塩基を例示することができ
る。
【0014】前記一般式(I)で表わされる本発明の化合
物は、例えば下記の反応式iに示す工程に従って製造す
ることができる。
【化8】 (式中、Rf、R1、R2、R3、R4、およびX-は前記に
同じであり、HXはブレンステッド酸であり、A及び
A’は独立に臭素原子又は沃素原子であり、Mは金属原
子である。)
【0015】[i−1工程]本工程は、前記一般式(I
V)のニトロ化合物と前記一般式(V)のペルフルオロア
ルコキシ化合物とを銅の存在下、反応させて前記一般式
(III−1)のニトロビフェニル化合物を製造するもの
である。本工程で用いられる式(IV)で表わされるニト
ロ化合物はそれ自体既知で工業的に入手容易な化合物で
あり、又は該既知の化合物の製造と同様にして容易に製
造される化合物である。このような化合物として例え
ば、
【化9】
【化10】 等を例示できる。また、前記一般式(V)で表わされるペ
ルフルオロアルコキシ化合物は、それ自体既知で工業的
に入手容易な化合物であり、又は該既知の化合物の製造
と同様にして製造される化合物である。例えば、
【化11】
【化12】 等が例示される。
【0016】本工程は、溶媒を用いずに反応を行なうこ
とができる。また、通常の溶媒、例えば、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、イソプロピ
ルトルエン、ニトロベンゼン等の芳香族化合物、スルホ
ラン、ジメチルスルホラン、ジメチルホルムアミド、ピ
リジン、ルチジン等の極性溶媒等を用いて反応を行なう
こともできる。反応温度は、一般に100℃〜250℃
の範囲内から選ぶことができるが、収率よく反応を進行
させるためには、150℃〜220℃の範囲で行なうの
が好ましい。式(IV)のニトロ化合物に対する式(V)の
ペルフルオロアルコキシ化合物の使用量は、通常、式
(IV)の化合物1モルに対して式(V)のペルフルオロア
ルコキシ化合物を0.5〜2モル、特に、0.8〜1.
5モルの範囲内で用いるのが適当である。また、銅は一
般に銅粉を用いるが好ましく、その使用量は、式(IV)
のニトロ化合物1モルに対し、1〜10グラム原子、特
に、2〜7グラム原子の範囲内で用いるのが適当であ
る。
【0017】[i−2工程]本工程は、i−1工程で得られ
る前記一般式(III−1)で表わされるニトロビフェニ
ル化合物を還元剤を用いて還元し、前記一般式(III
−2)で表わされるアミノビフェニル化合物を製造する
ものである。
【0018】本工程で用いる還元剤としては、ニトロ基
の還元剤として通常用いられるSn/HCl等の還元剤を
用いることができる。反応を収率よく行なうためには溶
媒を用いるのが好ましく、たとえば、メタノール、エタ
ノール等のアルコール溶媒が好ましい。還元剤の使用量
は、原料のニトロビフェニル化合物が消費される量を適
宜選択する。反応温度は、一般に室温から150℃の範
囲から選ぶことができるが、収率よく反応を進行させる
ためには、50℃〜100℃で行なうのが好ましい。
【0019】[i−3工程]本工程はi−2工程から得られ
る前記一般式(III−2)で表わされるアミノビフェニ
ル化合物を前記一般式(VI)で表わされるニトロソ化合
物と、又は前記一般式(VII)のMNO2/HXで表
される亜硝酸金属塩/ブレンステッド酸と反応させるこ
とによって前記一般式(I)で表わされる(ペルフルオロ
アルコキシ)ビフェニルジアゾニウム塩を製造するもの
である。
【0020】本工程で用いられる一般式(VI)で表わさ
れるニトロソ化合物は工業的に入手容易な化合物であ
り、又は、該既知の化合物の製造と同様にして、容易に
製造される化合物である。たとえば、BF4NO、AsF
6NO、PF6NO、SbF6NO、SbF4NO、AsF4
O、AlCl4NO、SbF5ClNO、FNO、ClNO、
BrNO、INO、HOSO2ONO、FSO2ONO、
ClSO2ONO、CH3SO2ONO、CH3OSO2ON
O、CF3SO2ONO、C65SO2ONO、C49
2ONO、CF3COONO等を例示することができ
る。本工程で用いる一般式(VI)で表わされるニトロソ
化合物の使用量は、一般式(III−2)で表わされるア
ミノビフェニル化合物1モルに対して、通常、0.8〜
2モル、好ましくは0.9〜1.5モルの範囲内で用い
る。ニトロソ化合物との反応は、溶媒を用いるのが好ま
しく、溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホ
ルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化
水素等を用いるのが特に好ましい。ニトロソ化合物との
反応温度は、一般に−100℃〜50℃の範囲から選ぶ
ことができるが、収率よく反応を進行させるためには、
−80℃〜室温の範囲で行なうのが好ましい。 また、本工程で用いられる前記一般式(VII)のMN
2/HXで表される亜硝酸金属塩/ブレンステッド酸
は、通常、芳香族アミノ化合物をジアゾ化するために用
いられる反応試剤であり、MNO2/HXとしては、例
えばNaNO2/HCl、KNO2/HCl、NaNO2
/HBF4、KNO2/HBF4、NaNO2/HPF6
NaNO2/H2SO4等が好適に用いられる。反応は溶
媒を用いるのが好ましく、溶媒としては、例えば、水、
メタノール、エタノール等の極性溶媒又はこれらの混合
物を用いるのが好ましい。反応温度は−20℃〜+20
℃、好ましくは−10℃〜+10℃である。一般的な反
応操作としては、用いる溶媒に前記一般式(VII)の
ブレンステッド酸であるHXと前記一般式(III−
2)で表されるアミノビフェニル化合物を溶解させた
後、その混合液に前記一般式(VII)の亜硝酸金属塩
であるMNO2を加える。前記一般式(III−2)の
化合物1モルに対して、前記のHXの使用量は、通常、
等モル又は等モル以上であり、また、前記のMNO2
使用量は0.8モル〜5モル、好ましくは0.9モル〜
2モルである。
【0021】前記一般式(II)で表わされる(ペルフル
オロアルコキシ)ビフェニルジアゾニウムスルホナート
は、例えば、下記に反応式iiに示す工程に従って製造す
ることができる。
【化13】 (式中、R1、R2、R3、R4、RfおよびX-は前に定義
した通りである。)
【0022】[ii工程]本工程は、前記一般式(I)の(ペ
ルフルオロアルコキシ)ビフェニルジアゾニウム塩をス
ルホン化剤と反応させて前記一般式(II)で表わされる
(ペルフルオロアルコキシ)ビフェニルジアゾニウムスル
ホナートを製造するものである。
【0023】本工程で用いるスルホン化剤としては、例
えば、発煙硫酸が好適に用いられる。スルホン化剤の使
用量は、前記一般式(I)の(ペルフルオロアルコキシ)ビ
フェニルジアゾニウム塩が消費される量を適宜選択す
る。本反応を行なうに当っては、溶媒を用いる必要は必
らずしもないが、反応を温和に進行させるためには、硫
酸、クロロ硫酸、フロロ硫酸、トリフルオロメタンスル
ホン酸等を用いてもよい。反応温度は、−30℃〜+5
0℃の範囲から選ぶことができるが、収率よく反応を進
行させるためには、−10℃〜室温の範囲で行なうのが
好ましい。
【0024】前記一般式(III−1)で表わされるニト
ロビフェニル化合物の中で、R1がアルコキシ基又はジ
アルキルアミノ基である場合は、例えば、下記の反応式
iiiに示す工程に従っても製造することができる。
【化14】 (式中、R2、R3、R4及びMは前記と同じであり、R5
はフッ素原子又は塩素原子であり、R6、R7及びR8
同一の又は異なった炭素数1〜4のアルキル基であり、
9はR6O基又はR78N基である。)
【0025】[iii工程]本工程は、前記一般式(III−
3)のハロニトロビフェニル化合物を、前記一般式(VI
II)で表わされるアルコキシド化合物又は前記一般式
(IX)で表わされるアミン化合物と反応させることによ
って前記一般式(III−4)で表わされるニトロビフェ
ニル化合物を製造するものである。
【0026】本工程で用いられる前記一般式(III−
3)のハロニトロビフェニル化合物は、前述した[i−1]
工程で製造されるものであり、例えば、
【化15】 等が例示される。
【0027】前記一般式(VIII)で表わされるアルコ
キシド化合物としては、例えば、CH3ONa、CH3
K、CH3OLi、C25ONa、C25OK、CH3CH
2CH2ONa、(CH3)2CHONa、CH3(CH2)2CH2
ONa、(CH3)2CHCH2ONa、(CH3)3CONa、
(CH3)3COK等を例示することができる。アルコール
6OH(R6は前記と同じ)に水素化ナトリウム、水素化
カリウム、水素化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化リチウム等の塩基を作用させることに
より、容易に前記一般式(VIII)で表わされるアルコ
キシド化合物を発生させることができる。
【0028】また、前記一般式(IX)で表わされるアミ
ン化合物としては、(CH3)2NH、(C25)2NH、(C
3CH2CH2)2NH、[CH3(CH2)2CH2]2NH、
(CH3)(C25)NH、[(CH3)2CH](CH3)NH、
[CH3(CH2)2CH2](C25)NH、[(CH3)2CHC
2](C37)NH等を例示することができる。
【0029】本工程で用いる一般式(VIII)で表わさ
れるアルコキシド化合物の使用量は、通常、一般式(I
II−3)で表わされるハロニトロビフェニル化合物1
モルに対して、0.8モル〜10モル、経済的かつ収率
の観点からは1モル〜2モルが好ましい。また、一般式
(IX)で表わされるアミン化合物の使用量は、通常、一
般式(III−3)で表わされるハロニトロビフェニル化
合物1モルに対して、0.8モル〜10モル、経済的か
つ収率の観点からは1モル〜5モルが好ましい。反応温
度は0〜200℃、好ましくは室温〜150℃である。
本工程は、必ずしも溶媒を必要とはしないが、反応効率
の点から溶媒を用いるのが好ましく、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等のアルコ
ール、ピリジン、ルチジン、コリジン等のピリジン化合
物、水、又はこれらの混合物等の溶媒を用いることがで
きる。前記一般式(VIII)で表わされるアルコキシド
化合物を用いる場合は、収率よく反応を進行させるため
には、アルコキシド化合物(R6OM)の共役酸であるア
ルコール(R6OH)を溶媒として用いるのが好ましい。
【0030】前記一般式(III−1)で表わされるニト
ロビフェニル化合物のうち、R4がハロゲン原子である
場合は、例えば、下記の反応式ivによっても製造するこ
とができる。
【化16】 (式中、Rf、R1、R2およびR3は前記と同じであり、
10はハロゲン原子である。)
【0031】[iv工程]本工程は、前記一般式(III−
5)で表わされる化合物をハロゲン化剤でハロゲン化す
ることによって、前記一般式(III−6)で表わされる
ハロゲン化されたニトロビフェニル化合物を製造するも
のである。
【0032】前記一般式(III−5)で表わされる化合
物は、前述の[i−1工程]によって製造されるものであ
り、例えば、
【化17】 等を例示することができる。
【0033】本工程で用いられるハロゲン化剤は、芳香
核をハロゲン化するために、通常、有機合成化学で用い
られるハロゲン化剤を挙げることができ、工業的に入手
容易である。例えば、Cl2/Fe、Br2/Fe、I2/S
3−H2SO4を代表例として示すことができ、また、
特に、フッ素化剤としては、N−フルオロピリジニウム
塩、N−フルオロ−3,5−ジクロロピリジニウム塩、
N−フルオロ−2,6−ジクロロピリジニウム塩、N−
フルオロペンタクロロピリジニウム塩、N−クロロメチ
ル−N−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシク[2.2.
2]オクタン塩等が例示できる。ハロゲン化剤の使用量
は、その種類により異なるので一概には言えないが、原
料である前記一般式(III−5)の化合物が消費される
量を適宜選択すればよい。本反応は必ずしも溶媒を用い
なくてもよいが、用いる場合は、例えば、塩化メチレ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハ
ロゲン化溶媒、アセトニトリルやプロピオニトリル等の
ニトリル溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール溶
媒、硫酸等を用いることができる。反応温度は、ハロゲ
ン化剤及び反応条件によって異なるので、一概には言え
ないが、0℃〜200℃の範囲内で選ぶことができる。
【0034】前記一般式(III−1)で表わされるニト
ロビフェニル化合物のうち、R4が炭素数1〜4のアル
コキシ基である場合は、例えば、下記の反応式vによっ
ても製造することができる。
【化18】 (式中、R1、R2、R3、R6、R10、MおよびRfは前
に定義した通りである。)
【0035】[v工程]本工程は、触媒の存在下、又は非
存在下に、前記一般式(III−6)で表わされるハロ
ゲン化されたニトロビフェニル化合物を前記一般式(V
III)で表わされるアルコキシド化合物と反応させる
ことによって、前記一般式(III−7)で表わされるア
ルコキシニトロビフェニル化合物を製造するものであ
る。
【0036】本工程で用いられる前記一般式(III−
6)の化合物は、前述の[i−1工程]、[iii工程]、又は
[iv工程]によって製造される。また、本工程で用いられ
る前記一般式(VIII)で表されるアルコキシド化合物
は、[iii工程]で前述した通り、工業的に入手容易な化
合物である。必要により、本工程で用いられる触媒は、
代表例として銅粉や沃化銅、臭化銅等の銅塩を挙げるこ
とができる。
【0037】前記一般式(VIII)で表わされるアルコ
キシド化合物の使用量は、通常、前記一般式(III−
6)の化合物1モルに対して、0.8モル〜10モル、
経済的かつ収率の観点から1〜5モルが好ましい。ま
た、本工程で用いられる触媒の量は、いわゆる触媒量で
もよいが、反応を効率と収率よく進行させるためには、
前記一般式(III−6)の化合物1モルに対して、0.
3〜2モル、好ましくは、0.5〜1.5モルである。
本反応は溶媒中で行なうのが好ましく、好適な溶媒とし
ては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノ
ール等のアルコール溶媒、ピリジン、ルチジン、コリジ
ン等のピリジン溶媒、又はこれらの混合物等を例示する
ことができる。収率よく前記一般式(III−7)の化合
物を得るためには、アルコール溶媒の選択に当って、用
いる前記一般式(VIII)のアルコキシド化合物(R6
M)の共役酸であるアルコール(R6OH)を選択するのが
望ましい。反応温度は、室温〜200℃の範囲内を選ぶ
ことができるが、収率よく反応を進行させるためには、
50℃〜180℃の範囲が好ましい。
【0038】前記一般式(III−2)で表わされるアミ
ノビフェニル化合物は、次の反応式viに示す工程に従っ
ても製造することができる。
【化19】 (式中、R1、R2、R3、R4、Rf及びAは前記と同じ)
【0039】[vi工程]本工程は、触媒の存在下に、前記
一般式(X)で表わされるアニリン化合物と前記一般式
(XI)で表わされるホウ酸化合物とを反応させて、前記
一般式(III−2)で表わされるアミノビフェニル化合
物を製造するものである。
【0040】本工程で用いられる前記一般式(X)のアニ
リン化合物は工業的に入手容易な化合物であり、又は、
該既知化合物の製造と同様にして容易に製造される化合
物である。例えば、
【化20】 等を例示することができる。
【0041】また、本工程で用いられる前記一般式(X
I)で表わされるホウ酸化合物は、通常のホウ酸化合物
の製造法[例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケ
ミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.),82
巻,3053ページ(1960)参照。]と同様にして容易
に製造される化合物であり、例えば、
【化21】 等を例示することができる。
【0042】本工程で用いられる触媒としては、例えば
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビ
ス[1,2−ビス(ジフェニルフォスフィノ)エタン]パラ
ジウム(0)等の0価のパラジウム錯体が好適に用いられ
る。本工程で用いられる前記一般式(XI)で表わされる
ホウ酸化合物の使用量は、前記一般式(X)で表わされる
アニリン化合物1モルに対して、通常、0.8〜5モ
ル、経済的かつ収率よく反応を進行させるためには、1
〜3モルが好ましい。また、本工程で用いられる触媒の
使用量は、いわゆる触媒量で十分であるが、反応を収率
よくかつ経済的に行なうには、前記一般式(X)で表わさ
れるアニリン化合物1モルに対して、0.01モル〜
0.3モル、好ましくは0.02モル〜0.2モルを使
用する。本工程は溶媒を用いるのが好ましく、溶媒とし
ては例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール等
のアルコール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジメトキシエタン等のエーテル類、又は、これらの
混合溶媒が例示される。反応温度は40℃〜200℃の
範囲内で行なうことができるが、収率よく反応を進行さ
せるためには、60℃〜150℃が好ましい。また、本
工程は、反応条件を温和にするために中和剤として塩基
の存在下に行ってもよい。塩基としては、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム等の無機塩基;ピリジン、ピコリン、ルチジン、コ
リジン、トリエチルアミン、ブチルアミン等の有機塩基
が好適に用いられる。塩基の使用量は、前記一般式(X
I)で表されるホウ酸化合物1モルに対して0.4モル
〜5モル、好ましくは、0.5モル〜2モルである。
【0043】前記一般式(I)で表わされる(ペルフルオ
ロアルコキシ)ビフェニルジアゾニウム塩は、下記の反
応式viiに従っても製造される。
【化22】 [式中、Rf、R1、R2、R3、R4およびX-は前記と同
じであり、(X')-はX-とは異なるブレンステッド酸の
共役塩基であり、Yは水素原子、アルカリ金属原子又は
四級アンモニウム残基である。]
【0044】[vii工程]本工程は、前記一般式(I−1)
で表わされるジアゾニウム塩に、前記一般式(XII)で
表わされる化合物を作用させることによって、対陰イオ
ン交換反応を起こさせるものである。
【0045】本工程で用いられる前記一般式(I−1)の
ジアゾニウム塩は、前述の[i−3工程]によって製造さ
れるものであり、例えば、
【化23】
【化24】 等を例示することができる。
【0046】本工程で用いられる前記一般式(XII)の
化合物は、工業的に入手容易な化合物であり、例えば、
2SO4、ClSO3H、CF3SO3H、HBF4、HSb
6、HCl、NaBF4、KBF4、LiBF4、CeB
4、NaSbF6、(CH3)4NBF4、(C49)4NB
4、(C65CH2)(CH3)3NBF4、NaPF6、NaA
sF6、NaOSO2CF3、NaOSO249、NaOSO
2817、NaOSO2CH2CF3、NaCl、NaBr、
(C49)4NF、(CH3)4NCl、(C25)4NBr、(C4
9)4NBr、(C49)4NI、NaOCOCF3、(C6
5CH2)(C25)3NOSO2CH3等を例示することがで
きる。また、前記一般式(XII)の化合物の使用量は、
前記一般式(I−1)の化合物1モルに対し、0.8モル
から大過剰の範囲内で選ぶことができるが、経済的及び
収率の点から1モル〜10モルが好ましい。本工程の反
応は必らずしも溶媒を必要としないが、前記一般式(X
II)の化合物が固体である場合は、溶媒を用いるのが
好ましく、たとえば、アセトニトリル、プロピオニトリ
ル等のニトリル溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等の
ハロゲン化溶媒等が好適に用いられる。反応温度は−3
0℃〜+50℃の範囲内で選ぶことができるが、収率よ
く反応を進行させるためには、0℃〜室温が好ましい。
【0047】本発明は一般式(I)または(II)によ
って表される化合物をペルフルオロアルキル化剤として
用いる有機化合物のペルフルオロアルキル化方法をも要
旨とする。有機化合物としてはアルコール類、フェノー
ル類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、カルボン酸
類、又は、これらの塩類等を挙げることができる。
【0048】本発明によるペルフルオロアルキル化は以
下のようにして行う。ペルフルオロアルキル化剤1モル
に対して、有機化合物の使用量は0.2モルから大過剰
であるが、経済性及び収率の点から0.5モル〜10モ
ルが好ましい。用いる有機化合物が液体の場合は、溶媒
を兼ねることができるが、反応混合物が液体とならない
場合は溶媒を用いるのが好ましい。用いる溶媒は、塩化
メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタ
ン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロ
ロトリフルオロエタン等のハロゲン化アルカン;ベンゼ
ン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、トルエン、ニ
トロベンゼン、ベンゾニトリル等の芳香化合物;ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル;アセトニトリル、プロピオニトリル、スルホラ
ン、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド等の非プロト
ン性極性溶媒等を例示することができる。用いる有機化
合物が酸の場合、又は、本発明のペルフルオロアルキル
化剤を用いて有機化合物をペルフルオロアルキル化した
際に酸が生成する場合は、酸を中和することができる塩
基の存在下に反応を行ってもよい。塩基としては、通常
の化学反応に用いられる塩基が挙げられるが、中でも、
ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、ジブチルピ
リジン、ジ−t−ブチルピリジン、クロロピリジン、フ
ルオロピリジン、ジクロロピリジン等のピリジン又はそ
の誘導体;アンモニア、メチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン;
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等
の金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウム、
水素化リチウム等の金属水素化物;水酸化アンモニウ
ム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエ
チルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等
の水酸化アンモニウム化合物等が好ましく用いられる。
【0049】本発明によるペルフルオロアルキル化反応
は、光の照射下、又は、非照射下で行われる。光照射の
ための光源としては、活性な180〜400nmの波長
の光を少なくとも含む光を発する低圧又は高圧水銀灯、
白熱灯等の一般に光化学反応において用いられる光源を
用いることができる。反応温度は、光照射下の場合は、
−100℃〜+60℃、好ましくは、−80℃〜+40
℃の範囲であり、光の非照射下の場合は、−10℃〜+
200℃、好ましくは、室温〜+150℃の範囲であ
る。
【0050】また、本発明の前記一般式(I)で表され
る(ペルフルオロアルコキシ)ビフェニルジアゾニウム
塩のX-部分がスルホン酸陰イオン、硫酸モノエステル
陰イオン、又は、カルボン酸陰イオンの場合は、X-
分が有機化合物としてのスルホン酸類、硫酸モノエステ
ル類、又はカルボン酸類とみなすことができる。この場
合、本発明の(ペルフルオロアルコキシ)ビフェニルジ
アゾニウム塩を加熱、又は、光照射することにより、X
-部分であるスルホン酸陰イオン、硫酸モノエステル陰
イオン、又は、カルボン酸陰イオンのペルフルオロアル
キル化反応を起こさせて、(ペルフルオロアルキル)ス
ルホン酸エステル、(ペルフルオロアルキル)硫酸エス
テル、又は、(ペルフルオロアルキル)カルボン酸エス
テルを得ることができる(後記実施例56参照)。この
場合のペルフルオロアルキル化反応では溶媒を用いなく
てもよいが、温和な条件下で反応を起こさせるには溶媒
を用いることが好ましい。用いる溶媒は前述の溶媒を例
示することができ、また、光照射下の場合の光源及び反
応温度も前述と同様である。
【0051】
【実施例】
実施例1
【化25】
【0052】アルゴン雰囲気下、ジムロート冷却管を取
り付けた反応容器に2−(トリフルオロメトキシ)ヨード
ベンゼン36.0g(125mmol)、2−ブロモニトロベ
ンゼン20.2g(100mmol)、銅粉[アルドリッチ(A
ldrich)社 カッパー・ブロンズ(Copper bronze)使
用]20g(314ミリグラム原子)を入れた。反応容器を
190℃の油浴につけ、撹拌下3時間加熱、放冷後、反
応混合物にジエチルエーテルを加えてからセライトを用
いて瀘過し、銅粉を取り除いた。瀘過液を濃縮して得ら
れる油状物を、酢酸エチル:ヘキサン(1:5)を展開溶媒
としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する
ことにより、目的とする2−ニトロ−2'−(トリフルオ
ロメトキシ)ビフェニル17.8g(収率63%)を得た。
物性値は表1に示した。
【0053】実施例2
【化26】
【0054】2−(トリフルオロメトキシ)ヨードベンゼ
ン90g(0.31mol)、2−ブロモ−4−フルオロニト
ロベンゼン55g(0.25mol)、銅粉80g(1.26グ
ラム原子)を実施例1と同様に反応させた後、実施例1
と同様にシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製する
ことにより、目的とする5−フルオロ−2−ニトロ−
2'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル43.9g(収
率61%)を得た。物性値は表1に示した。
【0055】実施例3
【化27】
【0056】2−(トリフルオロメトキシ)ヨードベンゼ
ン12.6g(44mmol)、2−ブロモ−5−t−ブチルニ
トロベンゼン10.0g(39mmol)、銅粉8g(126ミ
リグラム原子)を実施例1と同様に反応させた後、実施
例1と同様にシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製
することにより、目的とする4−t−ブチル−2−ニト
ロ−2'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル5.3g
(収率40%)を得た。物性値は表1に示した。
【0057】実施例4
【化28】
【0058】アルゴン雰囲気下、ナトリウムメトキシド
2.85g(53mmol)をメタノール60mlに懸濁し、こ
れに5−フルオロ−2−ニトロ−2'−(トリフルオロメ
トキシ)ビフェニル4.51g(15mmol)のメタノール
(30ml)溶液を加えた。反応混合物を6時間加熱還流
後、放冷し、水中に注ぎ、これをジエチルエーテルを用
い抽出した。有機層を水洗後飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を瀘去した後、瀘液
を減圧下濃縮し、目的とする5−メトキシ−2−ニトロ
−2'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル4.66g
(粗収率99%)を得た。この粗結晶は、酢酸エチル:ヘ
キサン(1:10)を展開溶媒とするシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製した。精製後の収率は93%で
あった。物性値は表2に示した。
【0059】実施例5
【化29】
【0060】5−フルオロ−2−ニトロ−2'−(トリフ
ルオロメトキシ)ビフェニル0.60g(2mmol)のエタノ
ール4ml溶液中にジメチルアミン水溶液(50%)0.6
3ml(6mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応液
に水を加えてから、塩化メチレンで抽出し、有機層を水
で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、乾燥剤を瀘去し、瀘液を減圧下濃縮した。
得られた残渣を、展開溶媒に酢酸エチル:ヘキサン(1:
5)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製し、目的とする5−ジメチルアミノ−2−ニトロ−
2'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル0.62g(収
率95%)を得た。物性値は表2に示した。
【0061】実施例6
【化30】
【0062】アルゴン雰囲気下、ドライアイス−アセト
ンを入れた冷却管を取りつけた反応容器に、2−ニトロ
−2'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル15.0g
(53mmol)と鉄粉0.5gを入れ140℃に加熱した。
これに臭素12.7g(80mmol)を一度に加え、そのま
ま20分間加熱した後、放冷した。反応混合物にジエチ
ルエーテルを加えた後、6N塩酸で洗浄し、引続き、
水、10%チオ硫酸水素ナトリウム、および飽和食塩水
で順次洗浄し、最後に無水硫酸ナトリウムで乾燥、乾燥
剤を瀘去後、減圧下濃縮し、2−ニトロ−5'−ブロモ
−2'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル17.1g
(粗収率89%)得た。精製は酢酸エチル:ヘキサン(1:
10)を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより行なった。物性値は表2に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】実施例7
【化31】
【0066】2−ニトロ−2'−(トリフルオロメトキ
シ)ビフェニル7.1g(25mmol)のエタノール125ml
溶液に、濃塩酸50mlとスズ粉6.3gを加えた後、2
時間加熱還流した。放冷後、反応液を氷水中にあけ、こ
れを10%水酸化ナトリウム水溶液で中和してから、ジ
エチルエーテルで数回抽出した。有機層を水、さらに飽
和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾
燥剤を瀘去し、瀘液を減圧下濃縮することにより、2−
アミノ−2'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル5.
94g(収率94%)を得た。物性値は表4に示した。
【0067】実施例8〜12 実施例7と同様の操作で、表3に示す反応条件下に種々
のニトロビフェニル化合物の還元を行ない、アミノビフ
ェニル化合物を得た。反応条件および結果を表2に示し
た。得られたアミノビフェニル化合物の物性値は表4お
よび5に示した。
【0068】
【表3】
【0069】実施例13
【化32】
【0070】アルゴン雰囲気下、モレキュラーシーブ3
Aを用いて乾燥しておいたメタノール30mlを入れた反
応容器中にナトリウム2.1g(90mmol)を加えて反応
液内でナトリウムメトキシドを生成させた。これに、蒸
留したコリジン30mlと、減圧下加熱し十分乾燥された
ヨウ化第一銅5.8g(30mmol)を加え、撹拌下、2−
アミノ−5’−ブロモ−2’−(トリフルオロメトキシ)
ビフェニル10.0g(30mmol)のコリジン(50ml)溶
液を加えた。反応液を140℃の油浴につけ、このまま
21時間加熱還流した。放冷後反応液に酢酸エチルを加
えて希釈した後、セライトを用いて瀘過して不溶物を除
き、瀘液の溶媒を留去した。得られた残渣を酢酸エチ
ル:ヘキサン(1:5)を展開溶媒としてシリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製することにより、目的とする
2−アミノ−5’−メトキシ−2’−(トリフルオロメ
トキシ)ビフェニル5.8g(収率68%)を得た。物性値
は表6に示した。
【0071】実施例14
【化33】 2,6−ジブロモアニリン6.28g(25.0mmol)、
2−(トリフルオロメトキシ)フェニルホウ酸20.6g
(100mmol)と炭酸水素ナトリウム8.40g(100mm
ol)をジメトキシエタン250mlと水25mlの混合溶媒
に懸濁させ、アルゴン雰囲気下にテトラキス(トリフェ
ニルホスフィン)パラジウム2.89g(2.5mmol)を加
えて、36時間加熱還流した。放冷後、ジエチルエーテ
ルで抽出し、有機層を水洗し、飽和食塩水で洗浄後、硫
酸マグネシウムで乾燥して濃縮した。これをジエチルエ
ーテル:ヘキサン(20:1から10:1)を展開溶媒とし
て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製するこ
とにより、目的とする2,6−ビス[2’−(トリフルオ
ロメトキシ)フェニル]アニリンを9.43g(91%)得
た。物性値は表6に示した。
【0072】実施例15
【化34】
【0073】2,6−ジブロモ−4−メチルアニリン
3.22g(12.1mmol)、2−(トリフルオロメトキ
シ)フェニルホウ酸10.0g(48.6mmol)を炭酸水素
ナトリウム4.08g(48.6mmol)とジメトキシエタ
ン120mlと水12mlの混合溶媒に懸濁し、アルゴン雰
囲気下にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ム1.40g(1.21mmol)を加えて、36時間、加熱
還流した。放冷後、ジエチルエーテルで抽出し、有機層
を水洗し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾
燥して、濃縮した。これをジエチルエーテル:ヘキサン
(20:1から5:1)を展開溶媒としてシリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製することにより、目的とする
2,6−ビス[2’−(トリフルオロメトキシ)フェニル]
−4−メチルアニリンを4.81g(93%)得た。物性
値は表6に示した。
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】実施例16
【化35】
【0078】2−アミノ−2'−(トリフルオロメトキ
シ)ビフェニル5.06g(20mmol)の塩化メチレン30
ml溶液を−35℃に冷却し、ここにニトロソニウムテト
ラフルオロボラート2.34g(20mmol)を加えた。撹
拌下、45分間かけて室温まで昇温し、さらに室温で1
5分間撹拌した。反応液にジエチルエーテルを加えた
後、析出している結晶を濾取した。この粗結晶を、アセ
トニトリル−ジエチルエーテルを用いて再結晶し、6.
03g(収率86%)の2−(トリフルオロメトキシ)ビフ
ェニル−2’−ジアゾニウムテトラフルオロボラートを
得た。物性値を表10に示した。
【0079】実施例17〜31 実施例16と同様の操作で、表7〜9に示すアミノビフ
ェニル化合物とニトロソ化合物を用い、表4に示す反応
条件下に反応を行ない種々のビフェニルジアゾニウム塩
を得た。反応条件と結果を表7〜9に示した。得られた
ビフェニルジアゾニウム塩の物性値は表10〜15に示
した。
【0080】
【表7】
【0081】
【表8】
【0082】
【表9】
【0083】実施例32
【化36】
【0084】アルゴン雰囲気下に、20%発煙硫酸(S
3−H2SO4)3.36mlを反応容器に入れ、氷浴で冷
却しながら、2−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−
2’−ジアゾニウムトリフルオロメタンスルホナート
3.31gを少しづつ加えた。氷浴冷却下で9.5時間
撹拌した。その後、反応容器に冷却管を取り付けた後、
氷浴冷却下のまま、反応液に、撹拌しながらジエチルエ
ーテル(約15ml)、メタノール(6.6ml)、続いて多量
のジエチルエーテルを加えた。室温で静置した後、下層
のオイル層を残して上澄液をデカンテーション法で取り
除いた。新しくジエチルエーテルを追加し、撹拌後上澄
液を同様にして取り除いた。この操作を数回くり返し
た。得られた残渣に少量のメタノール、続いて多量のテ
トラヒドロフランを加えて析出した結晶を瀘別した。白
色結晶として2−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−
2'−ジアゾニウム−5−スルホナート2.31g(84
%)を得た。物性値を表16に示した。
【0085】実施例33
【化37】
【0086】ナトリウムトリフルオロメタンスルホナー
ト977mg(5.7mmol)のアセトニトリル10ml溶液を
−20℃に冷却し、ここに2−(トリフルオロメトキシ)
ビフェニル−2’−ジアゾニウムテトラフルオロボラー
ト2.0g(5.7mmol)を加え、撹拌しながら2時間か
けて室温まで昇温した。反応混合物に塩化メチレンを加
えてから、不溶物を吸引濾過により取り除き、瀘液を減
圧下濃縮した。残渣はジエチルエーテルで洗浄して結晶
化させ、いったん瀘取した後、さらに塩化メチレン−ジ
エチルエーテルを用いて再結晶により精製した。こうし
て、2−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2’−ジ
アゾニウムトリフルオロメタンスルホナート2.13g
(収率90%)を得た。物性値を表16に示した。
【0087】実施例34
【化38】 2−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2’−ジアゾ
ニウムテトラフルオロボラート704mg(2mmol)のアセ
トニトリル4ml溶液に、室温で撹拌しながらナトリウム
ヘキサフルオロアンチモナート517mg(2mmol)を加
え、さらに室温で1時間撹拌した。反応液内に生じた不
溶物を吸引瀘過により取り除き、瀘過液を熱をかけずに
減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄した
後、塩化メチレンを加え、不溶物を減圧瀘過して取り除
いた。瀘液の溶媒を減圧下留去した後、残渣を少量のア
セトニトリルと、塩化メチレン−ジエチルエーテルを用
いて再結晶により精製し、2−(トリフルオロメトキシ)
ビフェニル−2’−ジアゾニウムヘキサフルオロアンチ
モナート709mg(収率71%)を得た。物性値を表10
に示した。
【0088】
【表10】
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
【表13】
【0092】
【表14】
【0093】
【表15】
【0094】
【表16】
【0095】実施例35 以下の実施例は本発明のペルフルオロアルキル化剤を用
いて有機化合物をペルフルオロアルキル化する例を示
す。
【化39】
【0096】アルゴン雰囲気下、反応容器にp−トルエ
ンスルホン酸(1水和物)190mg(1mmol)、ピリジン8
1μl(1mmol)、塩化メチレン4mlを入れ、溶解した。
この溶液中に2−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−
2’−ジアゾニウムヘキサフルオロアンチモナート50
1mg(1mmol)を加え、室温で3時間、その後塩化メチレ
ン還流下、3時間撹拌した。放冷後、反応液に標準物質
としてベンゾトリフロリド61μl(0.5mmol)を加え
19F−NMRで定量したところ、目的とするトリフル
オロメチルp−トルエンスルホナートが79%の収率で
生成していた。生成物の単離は常法に従って行ない、そ
のスペクトルデータは以下に示す。本生成物は油状体で
あった。19 F−NMR(CDCl3;内部標準CFCl3):54.4pp
m(s).1 H−NMR(CDCl3):7.90(2H,d,J=8Hz),
7.43(2H,d,J=8Hz),2.50(3H,s,C
3). IR(neat):1598,1411,1226,1160,1
087,945,814,749,664,572,548cm
-1. Mass(m/e):240(M+). 元素分析:実測値:C,40.14;H,2.81% 計算値:C,40.00;H,2.94%
【0097】実施例36〜58 本発明の種々のペルフルオロアルキル化剤を用いて実施
例35と同様にして種々の有機化合物のペルフルオロア
ルキル化を行った。それらの反応条件、収率および19
−NMRによる分析の結果を表17〜21にまとめて示
す。なお実施例56はペルフルオロアルキル化剤のアニ
オン部分をペルフルオロアルキル化した例である。
【0098】
【表17】
【0099】
【表18】
【0100】
【表19】
【0101】
【表20】
【0102】
【表21】
【0103】実施例59
【化40】 パイレックス製の試験管に2−フェニルエチルアルコー
ル0.5mlと2−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−
2’−ジアゾニウムヘキサフルオロアンチモナ−ト10
0mg(0.2mmol)を入れて、この混合物を水浴冷却下
に、400Wの高圧水銀灯で1時間照射した。得られた
反応混合液を19F−NMRで分析したところ、0.08
8mmolの2−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2’
−ジアゾニウムヘキサフルオロアンチモナートが未反応
で残り、0.044mmolの2−フェニルエチル(トリフ
ルオロメチル)エーテル(変換収率39%)が生成して
いた。
【0104】比較例1
【化41】
【0105】アルゴン雰囲気下、40℃でフェノール1
ml中に、S−(トリフルオロメチル)−3,7−ジニトロ
ジベンゾチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナー
ト148mg(0.3mmol)を加えた後、撹拌しながら80
℃で1.5時間加熱した。放冷後反応液にアセトニトリ
ルを加えて均一溶液とした後、標準物質としてベンゾト
リフロリド18μl(0.15mmol)を加え19F−NMR
で定量したところ、目的とする(トリフルオロメチル)フ
ェニルエーテルが13%の収率で生成していた。
【0106】
【発明の効果】本発明の(ペルフルオロアルコキシ)ビフ
ェニルジアゾニウム塩又は(ペルフルオロアルコキシ)ビ
フェニルジアゾニウムスルホナートを用いれば、アルコ
ール、フェノール化合物やスルホン酸化合物等の有機化
合物を温和な条件下一段階で容易にペルフロオロアルキ
ル化することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: 【化1】 (式中、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基
    であり、R1、R2、R3およびR4は独立に水素原子、ハ
    ロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4
    のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基から成るジ
    アルキルアミノ基、又は炭素数6〜16のアリール基で
    あり、X-はブレンステッド酸の共役塩基である。)で表
    わされる(ペルフルオロアルコキシ)ビフェニルジアゾニ
    ウム塩
  2. 【請求項2】 一般式: 【化2】 (式中、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基
    であり、R1、R2、R3およびR4は独立に水素原子、ハ
    ロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4
    のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基から成るジ
    アルキルアミノ基、又は炭素数6〜16のアリール基で
    ある。)で表わされる(ペルフルオロアルコキシ)ビフェ
    ニルジアゾニウムスルホナート
  3. 【請求項3】 一般式: 【化3】 (式中、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基
    であり、Rはニトロ基又はアミノ基であり、R1、R2
    3およびR4は独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数
    1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭
    素数1〜4のアルキル基から成るジアルキルアミノ基、
    又は炭素数6〜16のアリール基である。)で表わされ
    る(ペルフルオロアルコキシ)ビフェニル化合物
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の化合物をペルフ
    ルオロアルキル化剤として用いる有機化合物のペルフロ
    オロアルキル化方法。
  5. 【請求項5】 有機化合物がアルコール類、フェノール
    類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、カルボン酸
    類、又はこれらの塩類である請求項4に記載の方法。
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