JPH08276524A - 多孔質コアを有する複合成形品の製造方法 - Google Patents

多孔質コアを有する複合成形品の製造方法

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JPH08276524A
JPH08276524A JP7340787A JP34078795A JPH08276524A JP H08276524 A JPH08276524 A JP H08276524A JP 7340787 A JP7340787 A JP 7340787A JP 34078795 A JP34078795 A JP 34078795A JP H08276524 A JPH08276524 A JP H08276524A
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laminate
resin
particle
separation membrane
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JP7340787A
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English (en)
Inventor
Hiromitsu Takamoto
裕光 高本
Hidetoshi Okamura
英俊 岡村
Yuzo Aido
勇三 相戸
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 強靭性、軽量性にすぐれ、ボイドやピンホー
ルのない、サンドイッチ構造の複合成形品を生産性よく
製造する。 【解決手段】 (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径
が0.01〜2mmの軽量な無機剛性粒子と有機圧縮性
粒子との混合粒子を含む樹脂組成物を調製する組成物調
製工程、(b)強化用繊維質シート/分離膜/前記樹脂
組成物の層/分離膜/強化用繊維質シート、からなる積
層体を調製する積層体調製工程、(c)該積層体に上下
方向から少なくとも1回加圧(好ましくは加圧−弛緩)
して、樹脂組成物中の液状成形樹脂を分離膜を介して上
下の強化用繊維質シート中に浸透させながら、該積層体
から軽量充填粒子中の気泡以外の気泡を除去する含浸工
程、(d)次いで、得られた含浸積層体を、加圧するか
或いは加圧することなく、加熱して硬化せしめ、複合成
形品とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化樹脂(F
RP)からなる表層部(スキン)の間に多孔質樹脂層の
コア部(芯部)を有しかつ全体が一体化した複合成形品
を製造する方法に関するものである。さらに詳しくは、
繊維強化樹脂(FRP)で形成された緻密な上下2層の
表層部(スキン)の間に無数の気泡含有微小粒子を密に
充填した多孔質樹脂層からなるコア部(芯部)を挟み込
むように一体成形した、軽量でかつ強靭なフォームコア
・サンドイッチ構造の複合成形品を、バッチ式又は連続
式にて、効率よくかつ低コストで製造する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】表層部が繊維強化樹脂(FRP)で、コ
ア部(芯部)が多孔質である軽量なフォームコア・サン
ドイッチ複合成形品は、軽量性と強靭性にすぐれている
ため、航空機、鉄道車両、船舶等の輸送機器の部材、各
種構造材料、建設用部材、内外装部材、医療機器や電気
通信機器等の基板や筐体、スポーツ用品、コンテナ類の
パネル等、広い用途がある。
【0003】かかる複合成形品の製造法としては、例え
ば、(a)コア材として予め成形したポリウレタン、ポ
リスチレン、ポリプロピレン等の樹脂フォームを用い、
その上下に繊維強化樹脂(FRP)板等を積層接着する
方法、(b)樹脂フォームを強化材としての織布で包ん
だ後、あらためて型に挿入し、その型内に液状成形樹脂
を注入して硬化させ外殻を形成する方法、及び(c)外
殻のFRPを予め成形しておき、その中心部の空隙内に
発泡性ポリウレタン等を注入して該空隙内で発泡させる
方法等が、知られている。
【0004】しかしながら、これらの方法は、複合成形
品を得るための工程が多岐にわたり操作が複雑であり、
そのため生産効率が低くコスト高になるという欠点を有
している。
【0005】また、コア部がシンタクチックフォームで
あるサンドイッチ複合成形品の製造方法として、微小中
空粒子を用いる下記の方法が知られている。
【0006】例えば、特公昭58−21579号公報に
は、未硬化の液状熱硬化性樹脂に平均粒径が30〜50
0ミクロンの微小中空球充填材(例え具体的にはガラス
中空粒子)を10〜60容量%配合して得られる樹脂組
成物を、繊維補強材に塗布して、該樹脂組成物中の樹脂
成分を繊維補強材に含浸させると共に樹脂組成物が繊維
補強材表面に残存した状態で加圧硬化せしめることによ
り、シンタクチックフォーム層と微小中空球充填材を含
まない繊維強化プラスチックス(FRP)層とが交互に
積層された複合積層体を形成する方法、が記載されてい
る。
【0007】しかしながら、この方法では、表層のFR
P層中に微小中空球充填材を含ませないようにするた
め、繊維補強材の目開き及び微小中空球充填材の大きさ
を厳密に選択して組み合わせる必要があり、両者を任意
に選択して組み合せることはできず、また、この方法で
は、樹脂組成物中に含まれる空気或いは微小中空球充填
材が一部破損して発生した気泡等を効率よく除去でき
ず、これら空気や気泡が成形品中にボイドやピンホール
として残存することは避けられない。さらに、この方法
では表層となるFRP層中に微小中球充填材が一部混入
し、その上形成されたFRP層の厚みを均質に制御する
ことが困難であり、そのため物性が均一な製品を安定し
て製造することが難しい。さらに、この方法では比重が
小さい軽量な複合成形品を得ることが困難である、とい
う問題がある。
【0008】一方、実公昭62−24521号公報に
は、繊維含有不飽和ポリエステル樹脂からなる2つの表
面の間に、ポレオレフィン系樹脂発泡粒子又はその粉砕
物を20〜80容量%含有する不飽和ポリエステル樹脂
からなるコア層を一体に形成してなることを特徴とする
繊維強化不飽和ポリエステル樹脂軽量成形体が開示され
ている。この成形体では発泡したポリオレフィン系樹脂
粒子が使用されるが該粒子は比較的大きく、前記公報記
載の実施例では直径6mmの粒子が使用され、全体の厚
みが5.8mmの複合成形体を得ている。この成形体は
コア層中の粒子が大きく、そのため粗いコア層しか有し
ないものとなる。また、ポリオレフィン系樹脂粒子はマ
トリックスの不飽和ポリエステル樹脂との接着性が不十
分であり、しかも無機粒子を使用していないので、得ら
れた成形品の物理的強度は十分ではない。
【0009】このような欠点を改善した方法として、コ
ア形成成分に発泡性樹脂粒子(又は該粒子と無機中空粒
子との混合物)と液状成形樹脂とを用いて、多孔質樹脂
のコア部と繊維強化樹脂(FRP)の表層部とからなる
複合成形品を一挙に成形する方法が提案されている(特
公平7−12613号公報、米国特許第5242637
号明細書等参照)。この方法は、成形用の型内に、強化
用繊維質シートと分離膜とを設置し、その上に発泡性樹
脂粒子と液状成形樹脂との混合物を層状に供給し、さら
にその上を分離膜及び強化用繊維質シートで覆い、型を
閉じた後、該型内を加熱することによって発泡性樹脂粒
子を膨脹させ、それによって型内に生ずる圧力を利用し
て液状成形樹脂を上下の強化用繊維質シートに浸透させ
た後、硬化させることによって、フォームコア・サンド
イッチ構造の複合成形品を製造する方法である。
【0010】この方法によれば、繊維強化樹脂(FR
P)からなる緻密な表層部の間に無数の発泡した粒子を
含む多孔質樹脂(シンタクチックフォーム)層からなる
コア部を有しかつ全体が一体化した軽量で強靭な複合成
形品が効率的に製造される。
【0011】この発泡性樹脂粒子を用いて成形する方法
は、一工程でフォームコア・サンドイッチ構造の複合成
形品を成形することができるという利点を有するが、発
泡性樹脂粒子が膨脹する際に一部の粒子からガスが漏れ
出すことがあり、これが成形品表面にボイドを発生させ
る原因となる。さらに、発泡性樹脂粒子が分離膜から漏
れ出した場合、この粒子が再加熱されるとガス発生を伴
いやすく塗装工程等でピンホールを発生させることがあ
る。特に、液状成形樹脂の種類によっては、成形時に発
泡性樹脂粒子の表皮が侵され該粒子からのガス漏れを生
じやすくなり、表面性の優れた成形品を得ることが困難
な場合がある。さらに、この成形方法では、発泡性樹脂
粒子の発泡と液状成形樹脂の硬化反応とのタイミングが
極めて重要であり、そのための温度コントロールに煩雑
な工程管理が必要となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の第1
の目的は、従来法における前記のような問題のない方法
で、フォームコア・サンドイッチ構造の複合成形品を製
造する新規な方法を提供することにある。
【0013】本発明の第2の目的は、発泡性樹脂粒子を
使用せず、かつ多種多様な液状成形樹脂が使用でき、し
かも成形温度等の成形条件の選択幅が広く煩雑な工程管
理を要しない成形方法を提供することにある。
【0014】本発明の第3の目的は、ボイドやピンホー
ルのない前記複合成形品を成形し得る方法を提供するこ
とにある。
【0015】本発明の他の目的は、物理的強度に優れた
前記複合成形品を工業的に有利に成形する方法を提供す
ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、前記のごとき本発明の目的は、緻密で強靭な繊維強
化樹脂(FRP)からなる表層部の間に、多孔質樹脂層
からなるコア部が存在しかつ全体が一体化した複合成形
品を製造するに際し、下記工程; (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
mmの軽量充填粒子を含み、かつ該軽量充填粒子が剛性
粒子と圧縮性粒子とからなる混合粒子である含粒子樹脂
組成物を調製する組成物調製工程、 (b)強化用繊維質シート/分離膜/前記工程(a)で
調製した組成物の層/分離膜/強化用繊維質シートから
なる積層体を調製する積層体調製工程、 (c)該積層体に上下方向から加圧して、含粒子樹脂組
成物中の液状成形樹脂を分離膜を介して上下の強化用繊
維質シート中に浸透させながら、該積層体から軽量充填
粒子粒子中の気泡以外の気泡を除去する含浸工程、 (d)次いで、得られた含浸積層体を、(d-1)加圧す
るか或いは加圧することなく、加熱して液状成形樹脂を
硬化させて複合成形品とする硬化工程、もしくは、(d
-2)加圧するか或いは加圧することなく、加熱して液状
成形樹脂を部分硬化せしめ、形態保持性を有する予備複
合成形品を得、次いで所望の形状にて硬化を完了させて
複合成形品とする硬化工程、を順次実施することを特徴
とする複合成形品の製造方法によって達成されることが
見出だされた。
【0017】かかる本発明方法においては、コア部形成
材料となる軽量充填粒子として、剛性粒子と圧縮性粒子
との混合粒子を使用し、かつ該混合粒子と硬化性液状成
形樹脂との含粒子樹脂組成物を2つの分離膜の間に介在
させ、さらにこれを上下の強化用繊維質シート間に挟み
込んで、強化用繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成
物の層/分離膜/強化用繊維質シートからなる積層体を
形成する。そして、液状成形樹脂を強化用繊維質シート
に浸透させるに当り、該積層体を上下方向からの加圧、
好ましくは上下方向の加圧及び弛緩を、それぞれ少なく
とも1回実施することによって、含粒子樹脂組成物の層
から粒子内に含まれる気泡以外の気泡が効果的に除去さ
れ、これを加熱成形することによってボイドやピンホー
ルのない良好な複合成形品が得られる。その上、コア中
の軽量充填粒子の充填密度を上げることができ、ほぼ最
密充填に近い状態にすることが可能となり、かつ、液状
成形樹脂を上下の強化用繊維質シートに十分に含浸させ
ることができる。
【0018】その結果、軽量充填粒子が高密度に充填さ
れ、しかも空隙(ボイド)等を含まない強固な多孔質コ
ア層とピンホール等がなく表面性及び外観の優れた緻密
なスキン層(繊維強化樹脂層)とが形成され、かつかか
る多孔質コア層とスキン層とが強固に結合一体化した複
合成形品が形成される。
【0019】つまり、本発明方法では、前記軽量充填粒
子として剛性粒子と圧縮性粒子とを併用し、両者の特性
を巧みに利用しながら、分離膜の機能を最大限に発揮さ
せ、さらに成形前に前記の加圧処理(好ましくは加圧と
弛緩処理の交互実施)による含浸工程を実施することに
よって、前記の利点が達成される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る複合成形品の
製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0021】[成形材料]まず、本発明方法で使用する
主要成形材料、すなわち強化用繊維質シート、分離膜、
軽量充填粒子及び液状成形樹脂、並びに、必要に応じて
補助的に使用される各種材料について説明する。
【0022】本発明方法で主要成形材料の一つとして用
いる強化用繊維質シートとしては、強化用繊維からなる
シート上繊維構造物があげられる。強化用繊維として
は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリコンカーバイ
ド繊維、金属繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊
維、高強度ポリオレフィン繊維及びこれらの2種以上の
混合繊維等が使用される。これらの繊維の他に、ポリエ
ステル繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール系
繊維、レーヨン繊維、天然繊維等も使用することができ
る。なかでもガラス繊維、炭素繊維やパラ系アラミド繊
維のような高強度、高弾性率繊維を用いるのが好まし
い。
【0023】強化用繊維質シートの形態としては、前記
の各繊維を、織物(平織、綾織、スダレ織等)、編物、
不織布、マット、紙、一方向引き揃え層状に集合したロ
ービング等をシート状構造物の形態にしたものが用いら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用して
もよい。なお、該繊維質シートは予め液状成形樹脂を含
浸させたプリプレグとして供給することもできる。
【0024】本発明方法では、後述のごとく、成形時の
加圧(好ましくは加圧と弛緩)によって、多孔質コアと
なる部位に存在する液状成形樹脂及び2種の粒子を混合
した軽量充填粒子からなる含粒子樹脂組成物中から液状
成形樹脂が搾り出され上下の強化用繊維質シートに浸透
しその一部は上下の表面にまで達するが、この際、軽量
充填粒子が強化用繊維質シート内に入り込まないよう粒
子の移動を阻止し樹脂のみを選択的に上下層へ移動させ
ることが、緻密で表面性の良好な表層部(スキン)を形
成する上で必要である。
【0025】このため、本発明方法では、上下の強化用
繊維質シートにおける含粒子樹脂組成物と接する面(コ
ア側)に、それぞれ、軽量充填粒子は実質上通さないが
液状成形樹脂は通す分離機能を有する膜(本発明では
「分離膜」と称する)を添わせるように配置する。
【0026】上下の強化用繊維質シートと含粒子樹脂組
成物層との間に介在させる前記分離膜としては、目開き
の小さい薄手の繊維シート及び/又は多孔質シート等が
用いられる。かかる繊維シートの具体例としては、各種
天然繊維、合成繊維、無機繊維等からなる織物、編物、
不織布、組物、紙等があげられ、多孔質シートの具体例
としては、連通気孔を有するシート又はフィルムであっ
て、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の
発泡シートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスル
ホン等のシートを延伸、抽出して得られる多孔膜等が用
いられる。
【0027】分離膜の目開きは、軽量充填粒子の大きさ
に応じて適宜選択される。また、分離膜の材料として
は、容易に成形品の形状に合わせ得るように伸縮性を有
するものを選択することもできる。分離膜は、その一部
が液状成形樹脂を通さない材料で構成されているもので
あってもよい。例えば、分離機能を有する材料からなる
部分とそれとは異なった機能を有する材料からなる部分
とを繋ぎ合わせたもの、分離機能を有するシート状物の
一部を予め樹脂等でその目開きを封止処理したもの、繊
維シートがポリプロピレン繊維シートであってその融着
可能な部分が加熱処理によって部分的に融着して一部の
目開きを潰したもの、分離機能を有する材料の一部に非
多孔性フィルムを貼りつけたもの等でもよい。
【0028】なお、分離膜として、それ自体が強化材と
しての機能を有する、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド
繊維等からなる目開きの小さい繊維質シートを用いるこ
ともできる。この場合は、この繊維質シートで強化用繊
維質シートと分離膜とを兼用させることができる。ただ
し、強化用繊維質シートと分離膜とを別個に配置した方
が、強化用繊維質シートの目開きを自由に選択すること
ができ、例えば、一方向繊維配列プリプレグや三次元織
編物のプリフォーム等も強化用繊維質シートとして使用
することができ、成形品表面に要求される外観、特性に
応じた材料を任意に選ぶことができるので好ましい。
【0029】本発明者らの研究によれば、例えば「ユニ
セル」等の商品名で市販されている目開きの小さい薄手
の長繊維不織布が分離機能や取扱い性等多くの面で優れ
ており、分離膜として特に好適であることが認められ
た。
【0030】軽量充填粒子としては、剛性粒子と圧縮性
粒子との混合粒子が使用される。これらの軽量充填粒子
はいずれも硬化及び成形条件下では実質的に体積膨脹し
ない粒子であって中空又は気泡を含有する軽量の粒子で
ある。
【0031】かかる軽量充填粒子としては、直径(平均
粒径)が0.01〜2mm、好ましくは0.03〜1m
mの範囲のものが使用される。平均粒径が0.01mm
より小さい軽量充填粒子は分離膜を通過しやすく表層部
に漏れ出しやすいため、表層部の緻密度が低下し、成形
品の強度低下を招くことになる。一方、平均粒径が2m
mを越えると液状成形樹脂と混合したときに均一混合物
になり難く、ハンドリング性が悪化するばかりでなく、
成形物表面に凹凸が生じ易くなり、表面性を悪化させる
原因となる。
【0032】この軽量充填粒子の比重は0.02〜0.
8が適当である。粒子の比重が小さいことは軽量性の面
で有利であるが、余りに比重が小さいものは脆くて液状
成形樹脂との混合の際に破壊を生じ易い。また、比重が
これより大きいものは軽量化の効果が十分でなく、成形
品の商品価値を低下させる。本発明者らの研究によれ
ば、軽量充填粒子の特に好ましい比重は、0.05〜
0.7である。ここで粒子の「比重」とは、粒子が占め
る実質容積(cm3 )に対する重さ(g)を意味しg/
cm3 の単位で表示される。
【0033】前述のように、本発明方法では、軽量充填
粒子として2種の粒子、すなわち剛性粒子及び圧縮性粒
子、を混合して使用することを最大の特徴とする。
【0034】剛性粒子は、本発明の複合成形品の製造方
法の一連の過程において、その形状や大きさが実質的に
変化しない剛性を有する粒子である。かかる剛性粒子と
しては、通常、無機の中空粒子が適している。かかる剛
性粒子の具体例としては、「ガラスバルーン」、「シリ
カバルーン」、「シラスバルーン」等と称される無機中
空粒子があげられる。
【0035】一方、圧縮性粒子は、モノセル及び/又は
マルチセル状の樹脂粒子内部にガスが閉じ込められてお
り、圧力を加えることによって圧縮変形(弾性変形又は
塑性変形)して体積の1〜70%(好ましくは5〜50
%)減少し得る低比重の微小粒子であって、その代表例
は発泡性樹脂粒子を予め加熱膨脹させた中空樹脂粒子又
は多孔質ポリプロピレン粒子である。したがって、圧縮
性粒子は再加熱しても実質的に体積膨脹しない非膨脹性
粒子の1種であるが、成形時の加圧で圧縮変形する点に
おいて従来のシンタクチックフォーム形成に用いられて
いるガラスビーズ等の無機中空粒子とは相違する。
【0036】かかる圧縮性粒子の具体例としては、例え
ば、松本油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフェア
ー」、ノーベル(株)製「エクスパンセル」、JPS
(株)製ポリプロピレンビーズ「15P」、積水化学工
業(株)製「エスレンビーズ」等の発泡性樹脂粒子を空
気中又は不活性ガス中で加熱膨脹させた既発泡粒子があ
げられる。これらの圧縮性粒子の比重は剛性粒子の比重
よりも相対的に小さく、一般に0.2以下、特に0.0
1〜0.1が好ましい。
【0037】前記剛性粒子と圧縮性粒子との混合割合は
体積比で95:5〜5:95、好ましくは90:10〜
10:90さらに好ましくは80:20〜20:80の
範囲が採用される。
【0038】一方、前記粒子類と混合する液状成形樹脂
は、通常の成形に用いられる熱硬化性樹脂でよく、例え
ば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、ポリビニルエステル樹脂、アクリルウレタン
樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリ(ジシクロ
ペンタジエン)樹脂、石油樹脂等を用いることができ
る。なかでも、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等が好ましい
熱硬化性樹脂である。これらの熱硬化性樹脂は、通常、
それぞれ必要な硬化剤又は開始剤、硬化促進剤、稀釈剤
等と共に硬化性樹脂組成物(樹脂システム)として使用
される。
【0039】本発明方法では、成形工程で粒子の発泡
(膨脹)を行うことがないので、液状成形樹脂の種類は
粒子類の種類と殆んど関係無く自由に選択することがで
きる。この液状成形樹脂は、通常、常温で液状のものが
好ましいが、該液状成形樹脂又はその混合物が、成形時
の加熱状態において液状となるものであれば、常温で固
体状(粉末状)又は半固体状(ペースト状)であっても
使用可能である。
【0040】軽量充填粒子と液状成形樹脂との混合割合
は、成形後のコア部全体における粒子類の体積が50〜
85容量%、好ましく60〜80容量%、の範囲にする
のが適当である。
【0041】本発明方法では、前記の軽量粒子及び液状
成形樹脂と共に、多孔質コア部形成のため補助的に使用
し得る材料として、成形品の機械的特性を改善する目的
で、カーボン、シリコンカーバイド、チタン酸カリ、ボ
ロン、アラミド等の短繊維やウイスカー等の6mmより
も短い繊維を添加することができる。また、電磁遮蔽効
果等の機能を付与する目的で、或いは液状成形樹脂が硬
化する際に発生する反応熱を吸収し急激な温度上昇を抑
制して局所的な高温部位に発生を防止する目的で、カー
ボン、グラファイト、シリコンカーバイド、ミルドグラ
ス、マイカ、鉄粉、炭酸カルシウム、ケイ砂等を添加す
ることができる。また、必要に応じ顔料を加えてもよ
い。
【0042】さらに、本発明方法では、含粒子樹脂組成
物に、複合成形品の使用済回収品の粉砕物を加えること
も可能であり、このように使用済回収品のリサイクルが
可能なことも本発明方法の利点の一つである。
【0043】いずれの場合も、成形後のコア部の比重が
0.8以下となるように各成分を配合するのが適当であ
る。
【0044】また、上下両方又はいずれか一方の強化用
繊維質シートにおける分離膜と接しない面(すなわち成
形品の外側)に沿って可撓性フィルムを配置して加圧・
弛緩処理さらには成形を行うことにより、樹脂の含浸・
脱泡の工程をより安定的に実施し、また成形品の表面性
を改善することができる。
【0045】これらの可撓性フィルムは、上下の強化用
繊維質シートと強固に接着する種類を選択することによ
り、製品の軽量フォームコア・サンドイッチ複合成形品
に良好なフィルム表面を形成させることができ、また、
成形後の強化用繊維質シート表面から容易に剥離し得る
種類を選択して、成形後にフィルムを取り除くことによ
り、成形性並びに表面性の改善を図ることができる。
【0046】ここで用いる可撓性フィルムとしては、有
機ポリマーからなる各種可撓性フィルム又はシート、例
えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポ
リカーボネート、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、フッ素樹脂、ポリイミド、セロファン、セ
ルローストリアセテート等のフィルムや、アルミ、銅、
鉄等の金属フォイル、或いは紙や薄手の不織布等に樹脂
を含浸させて液体不透過性としたもの等があげられる。
【0047】さらに、製品の複合成形品の外観や感触を
改善する目的で、例えば、表面装飾用の織編物、不織
布、フィルム、金属フォイル、人工皮革或いは通気性を
有する多孔質ポリウレタンシート等を表層部の外側に配
置する最外層形成材料として用いることもできる。ま
た、太陽電池シート等の機能性シートを最外層形成材料
として用いることにより、表面に特別な機能を付加して
もよい。
【0048】本発明方法においては、さらに複合成形品
の機械的性質特に曲げ荷重に対する撓み性(剛性)を改
善する目的で、コア部内の局所に強化材をその上下が強
化用繊維質シートを含む表層(スキン)部に内接する如
く適当な間隔で設置せしめて成形してもよく、複合成形
品の形態・用途によってはその方が好ましいことが多
い。かかるコア部内に部分的に設置する強化材の例とし
ては、組み紐、ロープ、ブレード、ロッド、コルゲート
物、ハニカム等が用いられ、それらの材質としてはガラ
ス、アラミド、ポリエステル、ナイロン、セルロース等
が用いられるが、特にガラス繊維製組み紐が好ましい。
この強化材の断面サイズ(太さもしくは厚み)は、コア
部に存在する強化材の上下端が少なくとも上下の表層部
に内接するだけの大きさが必要である。
【0049】なお、本発明方法を実施するに当り、前記
含粒子樹脂組成物を予めシート状にして成形工程に供給
したり、或いはシート状の含粒子樹脂組成物の上下に分
離膜を重ねた積層物として成形工程に供給することもで
きる。これらの場合、シート状の組成物又は積層物の両
面を合成フィルムで覆っておき、成形時に該フィルムを
はがして使用するのが好ましい。
【0050】[成形方法]本発明方法によれば、前記の
各材料を準備し、下記(a)〜(d)の工程を順次実施
することによって、目的とするサンドイッチ構造を有す
る複合成形品を製造する。 (a)含粒子樹脂組成物の調製工程 (b)積層体調製工程 (c)液状成形樹脂含浸工程 (d)硬化工程
【0051】この際重要なことは、すでに述べたよう
に、(i) 軽量充填粒子として剛性粒子と圧縮性粒子との
2つのタイプの粒子を併用すること、(ii)含粒子樹脂組
成物層の上下に分離膜を配置した積層体を形成させるこ
と、そして(iii) その積層体に対して加圧処理、好まし
くは加圧及び弛緩をそれぞれ1回以上、実施して該積層
体中の含粒子樹脂組成物の層を効果的かつ均質に形成せ
しめるとともに、液状成形樹脂を上下の繊維質シート中
に均一に浸透させ、かつ軽量充填粒子中に内包する気泡
以外の不要な気泡(例えば空気や一部の粒子の破砕によ
る気体)を積層体から排出させることである。
【0052】かくして本発明方法では、次の各工程
(a)〜(d)が順次実施される。 (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
mmの軽量充填粒子を含み、かつ該軽量充填粒子が剛性
粒子と圧縮性粒子との混合粒子である含粒子樹脂組成物
を調製する組成物調製工程、 (b)強化用繊維質シート/分離膜/前記含粒子樹脂組
成物の層/分離膜/強化用繊維質シートからなる積層体
を調製する積層体調製工程、 (c)該積層体に上下方向から加圧して、好ましくは、
該積層体に上下方向からの加圧及び弛緩をそれぞれ少な
くとも1回実施して、含粒子樹脂組成物中の液状成形樹
脂を分離膜を介して上下の強化用繊維質シート中に浸透
させながら、該積層体から軽量充填粒子粒子中の気泡以
外の気泡を除去する含浸工程、 (d)次いで、得られた含浸積層体を、(d-1)加圧す
るか或いは加圧することなく、加熱して樹脂を硬化させ
て複合成形品とする硬化工程、もしくは、(d-2)加圧
するか或いは加圧することなく、加熱して樹脂を部分硬
化させて形態保持性を有する予備複合成形品を得、次い
で、所望の形状にて硬化を完了させて複合成形品とする
硬化工程。
【0053】本発明方法では、成形用の型を用いて1個
ごとに成形するバッチ方式、コンベア等を用いて連続長
の成形物を連続的に成形する連続方式のいずれも採用す
ることができる。
【0054】以下、バッチ方式及び連続方式について、
それぞれ具体的に説明する。
【0055】[バッチ方式による成形]バッチ方式で
は、下記工程; (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
mmの軽量充填粒子を含み、かつ該軽量充填粒子が剛性
粒子と圧縮性粒子との混合粒子である含粒子樹脂組成物
を調製する組成物調製工程、(b)強化用繊維質シート
/分離膜/前記工程(a)で調製した組成物の層/分離
膜/強化用繊維質シートよりなる積層体を調製する積層
体調製工程、(c)該積層体に上下方向からの加圧及び
弛緩をそれぞれ少なくとも1回実施して、含粒子樹脂組
成物の層中の液状成形樹脂を分離膜を介して上下の強化
用繊維質シート中に浸透させながら、該積層体から軽量
充填粒子中の気泡以外の気泡を除去させる含浸工程、
(d)得られた含浸積層体を所定の温度に加熱された型
内で加熱することによって液状成形樹脂を硬化させ成形
する硬化工程、そして、(e)型を開いて、得られた複
合成形品を取り出す脱型工程、を順次実施することによ
って、繊維強化樹脂からなる表層部の間に多孔質樹脂層
からなるコア部が存在しかつ全体が一体化した複合成形
品が製造される。
【0056】このバッチ方式では、少なくとも硬化工程
(d)は成形用の型内で実施されるが、それに先立つ工
程(b)(c)は型内で実施しても型内で実施してもよ
い。したがって、各工程を型の外又は内のいずれで実施
するかによって、このバッチ方式は、[ア]含粒子樹脂
組成物の調製工程(a)及び積層体調製工程(b)を型
の外で実施し、液状成形樹脂含浸工程(c)及び硬化工
程(d)を型内で実施する方法、[イ]含粒子樹脂組成
物の調製工程(a)、積層体調製工程(b)及び液状成
形樹脂含浸工程(c)を型の外で実施し、液状成形樹脂
含浸工程(c)及び硬化工程(d)を型内で実施する方
法、並びに[ウ]含粒子樹脂組成物の調製工程(a)以
外は型内で実施する方法、に分類できる。
【0057】いずれの場合も、成形用の型を用いるが、
この型は成形温度及び圧力に応じて金型、木型、樹脂型
のうちから適宜選択して使用される。また、上下1対の
金型を用いず、下型のみを用い上型の代わりに可撓性フ
ィルムを用いて成形することもできる。
【0058】そして、型のキャビティーに、少なくとも
各2層の強化用繊維質シート及び分離膜と液状成形樹脂
と軽量充填粒子とを含む組成物とを、強化用繊維質シー
ト/分離膜/前記組成物の層/分離膜/強化用繊維質シ
ートの順に配置した積層体をセットして、型を閉じ、加
熱成形する。
【0059】なお、前記積層体は、予め型外で一部又は
全部を形成した後に型に入れてもよく型内で形成しても
よいが、生産効率の観点から、予め型外で積層体を形成
してから型内にセットするのが好ましい。
【0060】なお、型内に前述したコア部強化材(ガラ
ス組み紐等)を配置して成形する場合は、成形品の要求
される曲げ方向に対して必要な曲げ剛性を得る量と強化
方向に沿って前記組成物層中に強化材を配置する。
【0061】この積層体を形成するに当り、上下の分離
膜は、必要に応じて、予め両者の端部(周縁部)同士を
融着、接着或いは縫合等により接合して袋状又は筒状に
形成し、その上面の一部を切り開き、そこから前記組成
物を注入するようにしてもよい。この場合は、次にこの
開口部を閉じるか又は別の分離膜で塞いだ後、その上に
上層側の強化用繊維質シートを重ね合わせて袋状又は筒
状の分離膜中に前記組成物を封入し前記積層体とする
(この場合は強化用繊維質シート/前記組成物の層を内
蔵する袋状又は筒状分離膜/強化用繊維質シートの積層
体となる。) 積層体を形成するに当り、前記組成物中にガス(気泡)
が含まれると成形品の表面や繊維強化樹脂層等にボイド
やピンホールが発生しやすくなるため、前記組成物の調
製時にガスが入り込まないように配慮するのが好まし
く、必要に応じ、組成物調製後に真空処理等により脱泡
しておくこともできる。
【0062】本発明方法では、前記積層体を成形用の型
に入れる前又は入れた後、積層体を上下方向に加圧(押
圧)し、分離膜の内側から前記組成物中の液状成形樹脂
を搾り出して、上下の強化用繊維質シート中へ十分に浸
透させると共に、分離膜の内側に軽量充填粒子が緊密に
詰まった多孔質コア層前駆体とも言うべき層を形成させ
る。
【0063】その際、積層体に加圧と弛緩とをそれぞれ
少なくとも1回実施するのが好ましく、加圧−弛緩を順
次2回以上繰り返して行うのがさらに好ましい。バッチ
方式においては、加圧及び弛緩は、型内において型を閉
じながら押圧し、その途中で一旦押圧を中断し、しばら
くして樹脂の粘度上昇が起こりゲル化に至る前に再び押
圧を行うことによって実施することができる。例えば、
積層体を一定のプレス間隔まで押圧しそのまま一定時間
保持して圧力を緩和させた後、さらに圧力を加えて再押
圧する方法も採用できる。この押圧−中断(弛緩)−再
押圧は1回でもよく、押圧−中断を複数回繰り返した後
に再押圧してもよい。
【0064】また、積層体を型に入れる前に、ローラ或
いは平板プレスを使用して積層体に加圧及び弛緩を実施
することができる。ローラの組み合わせ或いはプレスの
押圧と中断によって加圧及び弛緩を少なくとも1回実施
することができる。
【0065】このような加圧(又は加圧−弛緩)処理に
より液状成形樹脂が上下の強化用繊維質シートに浸透し
該シートを十分に濡らすと共に積層体に含まれるガスや
気泡が外部に放出され余計なガス等を含まず粒子の充填
密度が高く均質な多孔質層が形成される。
【0066】この処理に先立ち、強化用繊維質シート/
分離膜/前記含粒子樹脂組成物の層/分離膜/強化用繊
維質シートの積層体を減圧下に置くことにより、液状成
形樹脂を強化用繊維質シートへの浸透性を向上させるこ
とも可能である。この減圧処理により脱泡も促進され
る。
【0067】また、強化用繊維質シート/分離膜/前記
含粒子樹脂組成物の層/分離膜/強化用繊維質シートか
らなる積層体の片面にさらに離型フィルム/ブリーダー
クロス/真空バッグ用フィルムを積層し、バック内を減
圧した後、型内にセットし加熱して硬化させ、成形を行
うようにしてもよい。
【0068】以上のように、圧縮性軽量粒子と剛性軽量
粒子とを併用することにより、型内に圧力が加えられた
とき、圧縮性軽量粒子が圧縮するため型内に反発する圧
力を保持できる。このため、樹脂の硬化過程での体積収
縮を補うほか、気泡等を型外に排出するに必要な時間を
稼げる効果があり、成形材料を型の内壁面に押し付けた
状態で成形することが可能となり、より表面性の優れた
複合成形品を得ることができる。また、剛性軽量粒子の
存在により樹脂と粒子類との接着性が向上するばかりで
なくコア部に良好な機械的物性を与えることができる。
【0069】成形に際し、型は予め加熱しておくことが
好ましい。型の予熱温度は液状成形樹脂の硬化開始温度
以上とするのが適当である。
【0070】本発明方法では、積層体を型内にセットし
た型を閉じた後、液状成形樹脂を硬化させて成形する。
型の加熱は電熱ヒータや熱媒体を通じるジャケットによ
り行うのが一般的であるが、誘導加熱や誘電加熱等を採
用することもでき、また、樹脂の硬化による発熱を利用
してもよい。この際、型を閉じた周縁をシールするなど
して型内を吸引減圧し、加熱するのが好ましい。
【0071】加熱によって液状成形樹脂が硬化し、成形
が終わった後、型を開いて得られた成形品を取り出し、
目的とするフォームコア・サンドイッチ構造の複合成形
品を得る。
【0072】このバッチ方式は、型内で硬化工程を実施
する方法であるので、丸味のある形状、湾曲した形状、
凹凸のある形状等、特殊な形状の複合成形品を成形する
場合に特に適した方法であるが、平板状、波板状等の比
較的単純な形状の成形品の製造も可能である。
【0073】なお、撓みの小さい複合成形品を製造する
するには、すでに述べたように、コア部の局所に強化材
を配置して成形するのが好ましいが、この場合、強化材
は少なくともその上下端がそれぞれ上下の表層部に内接
することが、コア部に強化材を内在させる効果を発揮さ
せる上で必要である。
【0074】(連続方式による成形)一方、連続方式に
よれば、下記工程; (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
mmの軽量充填粒子を含みかつ該軽量充填粒子が剛性粒
子と圧縮性粒子との混合粒子である含粒子樹脂組成物を
調製する樹脂組成物調製工程、(b)各分離膜の外側に
それぞれ強化用繊維質シートが位置するように2つの分
離膜及び2つの強化用繊維質シートを連続的に供給し、
2つの分離膜の間に前記含粒子樹脂組成物を連続的に供
給して、強化用繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成
物の層/分離膜/強化用繊維質シートよりなる積層体を
連続的に調製する積層体調製工程、(c)引き続き、該
積層体に上下方向からの加圧(好ましくは加圧及び弛
緩)をそれぞれ少なくとも1回連続的に実施して、樹脂
組成物の層中の液状成形樹脂を分離膜を介して上下の強
化用繊維質シート中に浸透させながら、軽量充填粒子中
の気泡以外の気泡を積層体から除去させる含浸工程、及
び(d)次いで、得られた含浸積層体を加圧するか或い
は加圧することなく加熱して硬化させて複合成形品とす
る硬化工程、を順次実施することにより、繊維強化樹脂
からなる表層部の間に、多孔質樹脂層(シンタクチック
フォーム)からなるコア部が存在しかつ全体が一体化し
た複合成形品が製造される。
【0075】この連続方式は、前記硬化工程(d)が、
含浸工程(c)を経た積層体を加圧下又は非加圧下に加
熱して、液状成形樹脂を部分硬化せしめ、形態保持性を
有する予備複合成形品とする工程であってもよい。この
場合は、樹脂が部分硬化(半硬化)した複合成形品の前
駆体が得られる。これはエポキシ樹脂成形品等における
「B−ステージ」の成形品に相当する。
【0076】この予備複合成形品は必要に応じさらに賦
型し、加熱することによって、所望の形状に硬化させる
ことにより、目的とする複合成形品とすることができ
る。この予備成形品は常温において形態保持性を有して
おり、常温下で又は加温することによって変形すること
ができる。したがって、この予備成形品と異なる形状の
複合成形品を製造する場合には、予備成形品を所定の型
に入れて加熱し、型内で樹脂を硬化させることによって
最終成形品とすることができる。
【0077】すなわち、部分硬化させた予備複合成形品
を経る実施態様では、下記工程; (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
mmの軽量充填粒子を含み、かつ該軽量充填粒子が剛性
粒子と圧縮性粒子との混合粒子である含粒子樹脂組成物
を調製する混合物調製工程、(b)各分離膜の外側にそ
れぞれ強化用繊維質シートが位置するように2つの分離
膜及び2つの強化用繊維質シートを連続的に供給し、2
つの分離膜の間に含粒子樹脂組成物を連続的に供給し
て、強化用繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成物の
層/分離膜/強化用繊維質シートよりなる積層体を連続
的に調製する積層体調製工程、(c)引き続き、該積層
体に上下方向からの加圧及び弛緩をそれぞれ少なくとも
1回実施して、樹脂組成物の層中の液状成形樹脂を分離
膜を介して上下の強化用繊維質シート中に浸透させなが
ら、該粒子中の気泡以外の気泡を積層体から除去させる
含浸工程、(d)次いで、得られた含浸積層体を加圧す
るか或いは加圧することなく加熱して樹脂を部分硬化せ
しめ、形態保持性を有する予備複合成形品をとする予備
硬化工程、そして、(e)予備複合成形品を型内で又は
型を用いることなく加熱して、樹脂の硬化を完成させ所
定の形状に成形する硬化工程、を順次実施することによ
って、目的とする、繊維強化樹脂の表層部の間に多孔質
樹脂層のコア部が存在しかつ全体が一体化した複合成形
品が製造される。
【0078】この連続方式では、積層体調整工程
(b)、樹脂含浸工程(c)及び硬化(又は予備硬化)
工程を直結して連続的に実施するのが好ましい。したが
って、この場合、積層体形成ゾーン、樹脂含浸ゾーン及
び硬化(又は予備硬化)ゾーンを順次経ることによって
複合成形品(又は予備複合成形品)が製造される。
【0079】連続方式においては、まず、2つの強化用
繊維質シートを、連続的に上下に並走させて積層体形成
ゾーンに供給するが、その際、上下の強化用繊維質シー
トの相対する面(成形品のコア側の面)の間にそれぞれ
分離膜を添わせるように配置し、さら各分離膜の間(コ
ア部となるべき位置)に軽量充填粒子(混合粒子)と液
状成形樹脂とを混合した含粒子樹脂組成物を層となるよ
う供給し、これを上下から強化用繊維質シートと分離膜
との積層体で挟み込んで、強化用繊維質シート/分離膜
/含粒子樹脂組成物の層/分離膜/強化用繊維質シート
の積層体を形成させる。
【0080】工業的に実施するには、この積層体形成ゾ
ーンにて、連続的に供給されてくる下側の強化用繊維質
シートの上に下側の分離膜を重ね合わせ、その上に前記
含粒子樹脂組成物をほぼ均一な所定の厚さの層となるよ
う連続的に塗布する。この含粒子樹脂組成物は液状成形
樹脂の硬化反応開始温度以下の温度に予熱して塗布して
もよい。そして、含粒子樹脂組成物層を挟み込むよう、
該層の上へ、それぞれ連続的に供給されてくる上側の分
離膜及び強化用繊維質シートを順次重ね合わせて、前記
積層体を形成する。この際、必要に応じて、含粒子樹脂
組成物の層を形成後、上下の分離膜の両端部(耳部)同
士を互いに融着、接着或いは縫合等により接合して筒状
となし、含粒子樹脂組成物層を筒状にした上下の分離膜
の間に封入してもよい。
【0081】供給する含粒子樹脂組成物中にガス(気
泡)が含まれるとボイドやピンホールが生じ易いので、
該組成物調製時にはガスを取り込まないよう配慮し、場
合によっては減圧真空処理等を施すことが好ましい。
【0082】また、撓みの小さいパネル状複合成形品を
製造する上でコア部内の局所にガラス繊維組み紐等の強
化材を配置して成形するのが好ましいが、この場合、強
化材の断面サイズが少なくともその上下端が上下の表層
部に内接する大きさであることが、コア部に強化材を内
在させる効果を発揮させる上で必要である。連続方式に
おいてコア部に強化材を配置する方法としては、上下の
分離膜の間に、成形品の長さ方向(機械の流れ方向)に
伸びる紐状物(ガラス繊維組み紐等)を30〜150m
mの等間隔で配置するのが適当で、間隔が広過ぎると強
化材の効果が減少し、狭すぎるとコスト高及び重量増加
につながるので好ましくない。
【0083】この連続方式でも、次の樹脂含浸ゾーンに
おいて、前記積層体に上下方向から加圧、好ましくは加
圧及び弛緩をそれぞれ少なくとも1回、さらに好ましく
は加圧−弛緩の組み合せを2回以上繰り返して実施す
る。これにより積層体中に残存するガス(気泡)が外部
に排出されると共に液状成形樹脂が上下の繊維質シート
に十分浸透して該シートを樹脂で濡らし、その一部は表
面に到達する。この際、軽量充填粒子の移動は分離膜で
阻止されるので粒子は分離膜内で高密度に充填した状態
となり分離膜内に残留した一部の樹脂と共に多孔質コア
を形成する。
【0084】積層体の加圧(押圧)処理又は/及び弛緩
処理は、例えば、前記積層体調製工程(b)で得られた
積層体を上に凸の円弧状に配置した多数のガイドローラ
上を走行させることにより連続的に加圧及び弛緩を繰り
返し付与する方法、或いは、積層体を上下方向のジグザ
グ状経路を形成するように配置された複数のローラ間を
上下に蛇行させることによって該積層体に加圧及び弛緩
を繰り返し付与する方法、を好適に採用することができ
る。
【0085】これに続く硬化ゾーンにおいて、平坦な表
面をもつ成形品を得るために成形中の積層体に一定の面
圧を付与する機構としては、例えば、積層体の進路に沿
って一定のクリアランスをもつ上下1対のローラ群を複
数組並設するか、該積層体を挟んで搬送する上下1対の
ベルトコンベア、金網コンベア等が採用される。硬化ゾ
ーンの加熱手段は任意に選択でき、例えば、成形部の面
圧付与機構を構成するローラ群やコンベア類自体を加熱
してもよく、加熱函(箱)を設けて周囲から加熱しても
よい。加熱手段としては通常のヒータのほか遠赤外加
熱、高周波加熱、誘導加熱、誘電加熱等を採用してもよ
い。また、成形時の加熱温度は、液状成形樹脂の硬化が
生じる温度以上とするが、外部加熱ばかりでなく樹脂自
身の硬化により生じる反応熱を利用してもよい。
【0086】かくして硬化工程において、液状成形樹脂
の大部分が分離膜を経て上下の強化用繊維質シート層に
浸透しその一部が上下の両表面部まで到達した状態で樹
脂の硬化が進行し、緻密な繊維強化樹脂(FRP)スキ
ン層が形成されると同時にその中間に軽量粒子類を高密
度で充填した多孔質硬化樹脂のコア(シンタクチックフ
ォーム・コア)層が形成され、かつ全体が強固に一体化
した強靭で軽量な多孔質コア・サンドイッチ積層構造の
複合成形品となる。このようにして連続的に成形された
パネル状の複合成形物を硬化ゾーンから連続的に引き出
し、所定のサイズに切断することによって、目的とする
複合成形品を得ることができる。
【0087】このような連続方式にあっては、さらに、
分離膜/強化用繊維質シート/可撓性フィルムよりなる
3層シートを移動させながら、その3層シートの分離膜
表面に含粒子樹脂組成物の層を連続的に形成させ、その
樹脂組成物層の表面上に分離膜及び強化用繊維質シート
をこの順序で積層して、さらに必要により可撓性フィル
ムを積層して、可撓性フィルム/強化用繊維質シート/
分離膜/含粒子樹脂組成物の層/分離膜/強化用繊維質
シート/(必要な可撓性フィルム)よりなる積層体を形
成させ、この積層体を上下の少なくとも1対のローラー
間に通し、その上下から加圧及び弛緩を繰り返し、平坦
な平面を保持して移動させながら含浸工程を実施し、次
いで硬化工程を実施する方法がとくに好ましく採用され
る。このように、少なくとも一方の強化用繊維質シート
層の外側に可撓性フィルムを配置して成形すれば、成形
時の駆動力を補うことができ、かつ均一な圧力を付与し
て成形できるので、より表面性の優れた製品を得ること
が可能となる。
【0088】以下、前述した連続方式の幾つかの実施態
様を図面によって説明する。
【0089】図1は、本発明方法の好適な1つの実施態
様を示す連続成形装置の簡略化した断面図である。この
装置において、含粒子樹脂組成物を混合物供給部(1
0)に入れ、一方、ポリエステルフィルム(3、6)、
ガラスマット等の強化用繊維質シート(2、5)及び分
離膜(ポリエステル系不織布「ユニセル」等)(1、
4)を、それぞれ図1のようにセットして、引取り装置
(16)により一定速度で搬送しながら、圧縮性粒子の
圧縮率(成形前後の圧縮性粒子の体積変化率)が一定
(5〜50体積%)になるように含粒子樹脂組成物を圧
縮して供給することにより、ポリエステルフィルム/強
化用繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成物/分離膜
/強化用繊維質シート/ポリエステルフィルムからなる
積層体を形成する。
【0090】こうして形成された積層体は、1対のニッ
プローラで押圧された後、多数のガイドローラを並べた
上に凸の緩やかな円弧状の積層体搬送路を有する樹脂含
浸部(11)を通過する。この間に各ローラ上及びロー
ラ間で該積層体に加圧と弛緩とが繰り返し付与され、該
積層体における含粒子樹脂組成物中の硬化性液状成形樹
脂が搾り出される。これと同時に該積層体中に含まれる
気泡が排出除去されると共に分離膜を介して上下の強化
用繊維質シートに樹脂が浸透する。この際、上側のポリ
エステルフィルムは含浸部(11)の下流の位置(6
´)から供給してもよい。その後、積層体を上下1対の
金属(スチール)製エンドレスベルト(12)で挟み、
上下の支持ローラ(14)で厚みを調整しつつ加熱炉
(13)を備える硬化ゾーンに導入される。この加熱炉
(13)は樹脂の硬化開始温度以上の温度に加熱されて
おり、積層体をここを通過させながら樹脂を硬化させる
ことによって、シンタクチックフォーム・コア層を有す
る複合成形品(7)となる。
【0091】なお、得られた長尺(エンドレス)の成形
品は、トリミングカッター(15)を経て引取り装置
(16)に引き取られ、必要に応じて、移動式切断機
(17)によって任意の長さに切断され、所定サイズに
カットした所望のパネル状複合成形品となる。
【0092】図2は、さらに別の好適な実施態様を示
し、含粒子樹脂組成物を図2に示す連続成形装置の混合
物供給部(10)に入れ、ポリエステルフィルム(3、
6)、強化用繊維質シート(2、5)及び分離膜(1、
4)を、それぞれ図2のように該装置にセットし、引取
り装置(16)で引取りながら、圧縮性粒子の圧縮率が
一定(5〜50体積%)になるよう含粒子樹脂組成物を
供給する。こうして形成されたポリエステルフィルム/
強化用繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成物の層/
分離膜/強化用繊維質シート/ポリエステルフィルムフ
ィルムからなる積層体を、上下1対のコンベアベルト
(20)で挟持しつつ複数組の加圧ローラ群(21)の
間を図2のようなジグザグ状経路を蛇行させ、加圧と弛
緩とを繰り返しながら脱気を行うと同時に、積層体にお
ける含粒子樹脂組成物中の硬化性液状成形樹脂の一部を
搾り出し、分離膜を介して上下の強化用繊維質シートに
浸透させる。この際も、上側のポリエステルフィルムは
含浸部(11)の下流の位置(6´)から供給してもよ
い。
【0093】積層体の表面層まで該樹脂が十分に滲出し
た状態でローラ押圧により厚みを調整した後、所定温度
に設定された加熱炉(22)からなる硬化ゾーンに移送
し、この硬化ゾーンで、図3又は図4に示す上部型付け
ダイス(23)及び下部型付けダイス(24)の間のス
リットを通して成形品の厚み及び断面形状を調整しなが
ら、硬化性液状成形樹脂の硬化を完了させて、シンタク
チックフォーム・コア層を有する複合成形品(7)を得
る。図2の場合も、必要に応じて移動式移動式切断機
(17)により、任意の長さに切断され、所定サイズの
パネル状複合成形品となる。
【0094】なお、型付けダイス(23、24)として
は、例えば、図3に示す平板成形用型付けダイス、図4
に示す波板成形用型付けダイス等が使用される。
【0095】図5は、樹脂含浸部を簡素化した連続成形
装置であって、図5では、ポリエステルフィルム(3)
がローラ(23)を介して連続的に引き出され、その上
にローラ(22)を介して連続的に引き出された下側の
強化用繊維質シート(2)が重ねられ、その上へローラ
(21)を介して連続的に引き出した下側の分離膜
(1)が重ね合わされて、各層が積層状態で平らに展伸
され搬送される。そして、この上に、圧縮性軽量粒子と
剛性中空粒子と液状成形樹脂とを均一に混合したペース
ト状含粒子樹脂組成物が混合物供給部(10)で一定の
幅及び厚さで塗布される。この際、運転条件を調整して
樹脂混合物中の圧縮性樹脂粒子が一定の圧縮率で圧縮さ
れるようにしておく。
【0096】そして、この樹脂混合物塗布面の上に、ロ
ーラ(24)を経て連続的に引き出したもう一方の分離
膜(4)が重ねられる。この際、必要に応じて、上下の
分離膜(3、4)の両耳部同士を糊等で閉じて、上下の
分離膜を袋帯状となしこの袋帯状物内部に樹脂混合物を
封入するようにしてもよい。
【0097】その上に、ローラ(5)を経て連続的に引
き出した上側の強化用繊維質シート(5)及び連続的に
引き出した上側のポリエステルフィルム(6)が順次重
ね合わされ、ポリエステルフィルム/強化用繊維質シー
ト/分離膜/含粒子樹脂組成物の層/分離膜/強化用繊
維質シート/ポリエステルフィルムフィルムからなる積
層体が形成される。そして、該積層体は一対のニップロ
ーラ及び上下に配置された加熱ドラム(18、19)間
を走行することによって加圧/弛緩が施され、上下の加
熱ローラ(14)及びこれと連動する上下1対の金属製
エンドレスベルト(12)により、加熱しつつ適当な面
圧が加えられ一定の平面を保ちながら搬送され、加熱函
(20)に導入される。該加熱函(20)内では加熱ロ
ーラ(14)によってさらに加圧加熱が行われ、液状成
形樹脂の上下の強化用繊維質シート層へ浸透及び硬化が
進行する。
【0098】かくしてコア部が圧縮性軽量樹脂粒子と剛
性軽量充填粒子を充填し樹脂で固めたシンタクチックフ
ォーム層からなりスキン部が緻密なFRP層からなるサ
ンドイッチ積層体複合成形品が形成され、引取り装置
(16)により引き取られる。そして、必要に応じて、
成形品上下両面のポリエステルフィルム(1、6)を剥
離した後、所望の長さに切断され、パネル形態の製品と
なる。なお、前記加熱函(20)は場合により冷却函と
してもよい。
【0099】コア部にガラス組み紐等の強化材を配置し
て成形する場合は、図6のように、コア部(30)にお
いてガラス組み紐等の強化材(31)の上下端が、分離
膜(32)と強化用繊維質シート(33)とを樹脂で硬
化した表層部に内接するようにして、成形品の長さ方向
に適当な間隔で並べるのが適当である。
【0100】また、本発明方法で、複合成形品の曲げに
対する強度等を向上させるために表層部に畝状もしくは
杭状の突起を形成するか又は溝状もしくは穴状の窪みを
形成し、リブ又はボス付きの複合成形品とすることも可
能である。
【0101】図7はかかるリブ構造を設けた成形品を例
示するもので、図7の(51)がリブ構造部である。
【0102】[複合成形品の特性]前述の各方式によっ
て製造される複合成形品は、繊維強化樹脂により形成さ
れた緻密な表層部の間に、粒子が細密充填に近い密度で
緊密に詰まった均一な多孔質コア層が挟み込まれかつ一
体に成形された複合成形品であって、全体として軽量で
しかも強靭なフォームコア・サンドイッチ構造を有して
いる。その上、ボイドやピンホールを実質的に含まず、
表面特性も優れており、品質の優れた複合成形品であ
る。
【0103】かくして、本発明方法による複合成形品
は、平板状、波板状又は他の所望形状の軽量で強靭な成
形品であり、板状の場合、その平均厚みは1〜100m
m、好適には1.5〜50mmのものである。また、繊
維強化樹脂(FRP)からなる表層部は上下の2層を有
しその間に軽量な多孔質コア層が存在する3層構造を呈
し、該複合成形品の表面方向から直角方向に切断した断
面を観察すると表層部と多孔質コア層とは分離膜を介し
た明確な境界面を有している。表層部の厚さ(上下2層
の合計)/多孔質コア層の厚さの割合は2:1〜1:5
0の範囲、好適には2:1〜30:1の範囲が望まし
い。この割合及び厚みは成形品全体として均一であるこ
とは必ずしも必要でなく、部分的に変化していても差支
えない。例えば、成形品全体の厚みが部分的に変化しそ
れに応じて表層部及び/又は多孔質コア部の厚みが変化
したもの、成形品全体の厚みが均一で部分的に表層部の
厚みと多孔質コア部の厚みの比率が部分的に変化してい
るもの等、任意な断面形状にすることができる。また、
厚みは実質的に同じであっても、波板状或いは凹凸状に
成形されていてもよい。
【0104】本発明方法による複合成形品における多孔
質コア層は軽量充填粒子の充填率が高く、したがって、
コア層中にある軽量充填粒子の割合(容積率)が高く軽
量性に優れるという利点を有する。その容積率は殆んど
の場合50〜85%であり、好ましい成形品では60〜
80%である。一般にこの容積率は軽量充填粒子中に占
める圧縮性粒子の割合が多いほど高くできる。この複合
成形品は軽量であり、その平均比重は0.2〜1.2の
範囲にあり、好ましくは0.25〜1.0の範囲、とく
に好ましくは0.3〜0.8の範囲にある。
【0105】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明方法では、多孔
質コア形成用の樹脂組成物として、熱硬化性の液状成形
樹脂(マトリックス樹脂)と圧縮性軽量粒子と剛性軽量
粒子とを含有する含粒子樹脂組成物を使用するので、成
形時に圧力が加えられた時に圧縮性軽量粒子が適宜圧縮
するため型内又成形ゾーン内に反発する圧力を保持でき
る。この結果、液状成形樹脂の硬化過程での体積収縮が
補なわれるほか、積層体の加圧処理(好ましくは加圧/
弛緩処理の組み合わせ)によって、不要な気泡等を効果
的に系外に排出することができ、ボイドやピンホールの
ない良好な成形品を得ることができる。さらに、圧縮性
軽量粒子の反発力によって成形材料を成形用の型の内壁
面又はコンベアベルト内面等に押し付けた状態で成形す
ることが可能となり、より表面性の優れた成形物を得る
ことができる。
【0106】また、本発明方法で使用する含粒子樹脂組
成物は、成形時に実質的に熱膨張性を有しないため、成
形用の型を使用するバッチ方式だけでなく、コンベア等
で成形材料を挟持して搬送しつつ加熱成形する連続方式
によっても効率的に成形を行うことができるので、工業
的にきわめて有利である。
【0107】さらに、本発明方法では、成形時に熱膨張
性粒子の膨脹を行わないため、液状成形樹脂の選択の幅
が広がり、また、成形時の加熱条件も幅広い温度範囲か
ら任意に選定することが可能となる。
【0108】かくして、本発明方法により製造される多
孔質コアを有する複合成形品は、軽量かつ強靭であり、
しかも、ボイドやピンホール等がなく表面外観にも優れ
ているため、例えば、ビルの床板材、垂直間仕切りパネ
ル、断熱壁材、ベンチ用材等の建築部材、コンクリート
打設型枠、各種構造材料、内外装部材、船舶、航空機、
鉄道車両、自動車等の輸送機器の部材、陸上又は海上コ
ンテナ用材等に適しており、さらには、電気・通信機器
の部材や筐体、スポーツ用品等の各種用途に広く利用す
ることができる。
【0109】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を詳述する
が、これらは本発明の理解を助けるためものであって、
これらの実施例によって本発明の範囲が制限されるもの
ではない。なお、実施例中に単に「部」又は「%」とあ
るは、とくに断わらない限り重量に基づく値である。ま
た、粒子の「圧縮率」とは(成形前後の圧縮性軽量粒子
の体積差/仕込み時の圧縮性軽量粒子の体積)×100
(%)で表わされる値である。
【0110】[実施例1]不飽和ポリエステル樹脂(大
日本インキ化学工業(株)製「ポリライトFG104
N」)100部に、硬化剤としてベンゾイルパーオキサ
イド(BPO)1.0部とクメンハイドロパーオキサイ
ド(CHP)0.4部及び硬化促進剤としてジメチルア
ニリン(DMA)0.6部を添加し、よく混合した後、
軽量充填粒子として圧縮性粒子である松本油脂製薬
(株)製「マツモトマイクロスフェアーMFL−100
CA」(比重0.13、平均粒径0.1mm)の7.8
部及び無機の剛性粒子である住友スリーエム(株)製
「グラスバブルズK−1」(比重0.125、粒径0.
1〜1mm)の10.6部を添加混合して、含粒子樹脂
組成物を調製した。この軽量充填粒子(粒子混合物)に
おける圧縮性粒子と剛性粒子との体積比は41:59で
あり、含粒子樹脂組成物における硬化性液状成形樹脂と
軽量充填粒子との体積比は39:61であった。
【0111】このように調製した含粒子樹脂組成物を用
い、かつ、強化用繊維質シートとして旭ファイバーグラ
ス(株)製ガラス繊維チョップドストランドマット「グ
ラスロンCM305」(目付300g/m2 )、分離膜
としてユニセル(株)製ポリエステル系不織布「ユニセ
ルBT0908W」(目付40g/m2 )を用いて、図
1に示す連続成形装置により成形して、長尺(エンドレ
ス)の複合成形品を製造した。
【0112】すなわち、図1の連続成形装置において、
前記の含粒子樹脂組成物を混合物供給部(10)に入
れ、一方、下側のポリエステルフィルム(3)、強化用
繊維質シート(2)及び分離膜(1)をそれぞれ引取り
装置(16)で0.5m/分で搬送しながら、圧縮性粒
子の圧縮率(成形前後の圧縮性粒子の体積変化率)が1
0(体積)%になるように含粒子樹脂組成物をポリエス
テルフィルム/強化用繊維質シート/分離膜の上に層状
に供給した。
【0113】その上に、上側の分離膜(4)、強化用繊
維質シート(5)及びポリエステルフィルム(6)を順
次重ね合わせ、こうして形成されたポリエステルフィル
ム/強化用繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成物/
分離膜/強化用繊維質シート/ポリエステルフィルムか
らなる積層体を、1対のニップローラで押圧した後、上
に凸の緩やかな円弧状の積層体搬送路を有する樹脂含浸
部(11)に送り、この樹脂含浸部(11)を通過する
間に加圧と弛緩とを繰り返し付与し、積層体における含
粒子樹脂組成物中の硬化性液状成形樹脂を搾り出すと同
時に積層体中に含まれる気泡を排出除去し、樹脂を分離
膜を介して上下(表層部)の強化用繊維質シートに樹脂
を浸透させた後、上下1対のスチールベルト(12)で
挟み多数の支持ローラ(14)で厚みを調整しつつ加熱
硬化炉(13)に導入した。この加熱硬化炉(13)内
は130℃に加熱され、この加熱硬化炉で積層体中の樹
脂を硬化させることによって、緻密なFRPスキン層と
シンタクチックフォーム・コア層を有するサンドイッチ
構造の複合成形品(7)を得た。なお、本実施例でのコ
ア部における圧縮性粒子と剛性粒子との比率は、体積比
にして39:61であった。
【0114】次いで、この長尺(エンドレス)の成形品
は移動式切断機(17)により所定長に切断し、所望サ
イズのパネル状複合成形品を得た。
【0115】かくして得られた平板状の複合成形品は、
表面にボイドやウネリが見られず表面性が良好な、厚み
10mmのパネル構造を呈し、この複合成形品の比重は
0.63(コア部分の比重は0.53)と極めて軽量で
あった。さらに、この複合成形物の曲げ強度は5.1K
gf/mm2 、曲げ弾性率は390Kgf/mm2 であ
り、良好な機械特性を有することが認められた。
【0116】[実施例2]硬化性液状成形樹脂としてエ
ポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製「エピクロ
ン850」)100部と硬化剤(油化シェル(株)製
「エピキュアT」)20部とを混合した後、これに圧縮
性粒子(松本油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフ
ェアーMFL−100CA」:比重0.13)12部及
び無機剛性粒子(住友スリーエム(株)製「グラスバブ
ルズK−1」:比重0.125)27部とを添加混合し
て、含粒子樹脂組成物を調製した。この含粒子樹脂組成
物における圧縮性粒子と剛性粒子との混合比は、体積比
にして30:70、また硬化性液状成形樹脂と軽量充填
粒子との混合比は、体積比にして25:75であった。
【0117】このように調製した含粒子樹脂組成物を図
2に示す連続成形装置の混合物供給部(10)に入れ、
一方、実施例1と同様のポリエステルフィルム(3、
6)、強化用繊維質シート(2、5)及び分離膜(1、
4)をそれぞれ図2のように該装置にセットし、引取り
装置(16)で引取りながら、圧縮性粒子の圧縮率が1
0(体積)%になるような量の含粒子樹脂組成物を供給
した。
【0118】こうして形成されたポリエステルフィルム
/強化用繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成物/分
離膜/強化用繊維質シート/ポリエステルフィルムフィ
ルムからなる積層体を、上下に配置した複数組の加圧ロ
ーラ群(21)の間を通して上下方向にジグザグの経路
を蛇行させ、加圧/弛緩を繰り返しながら脱気を行うと
同時に、加圧により積層体における含粒子樹脂組成物中
の硬化性液状成形樹脂の一部を搾り出し、樹脂を分離膜
を介して上下(表層)の強化用繊維質シートに浸透させ
た。
【0119】積層体の表面層まで該樹脂が十分に滲み出
した状態でロール押圧で厚みを調整した後、140℃に
加熱した加熱硬化炉(22)に移送した。この加熱硬化
炉中では、上部型付けダイス(23)と下部型付けダイ
ス(24)との間を通して成形品の厚みを6.0mmに
調整しながら、硬化性液状成形樹脂の硬化を完了させ
て、緻密なFRPスキン層とシンタクチックフォーム・
コア層を有するサンドイッチ構造の複合成形品(7)を
得た。なお、本実施例のコア部における圧縮性粒子と剛
性粒子との体積比率は28:72である。
【0120】このようにして得られた平板状の複合成形
品は、ボイドやウネリもなく優れた表面性を示した。ま
た、成形品の比重は0.57と極めて軽量であることが
認められた。また、コア部分の比重は0.38であっ
た。
【0121】[実施例3]不飽和ポリエステル樹脂(大
日本インキ化学工業(株)製「ポリライトFG104
N」)100部に、硬化剤としてBPO:1.0部及び
CHP:0.4部と硬化促進剤としてDMA:0.4部
とを混合して、液状の熱硬化性樹脂液を調製した。この
樹脂液の46.8部に対して圧縮性粒子(松本油脂製薬
(株)製「マツモトマイクロスフェアーMFL100C
A」:比重0.13)の7.8部及び無機剛性粒子(住
友スリーエム(株)製品「グラスバブルズK−25」:
比重0.25)の25.0部とを添加・混合して、含粒
子樹脂混合物を調製した。
【0122】この含粒子樹脂組成物を、図2に示す連続
成形装置における混合物供給部(10)に入れ、一方、
軽量充填粒子を含まない前記樹脂液を下側のポリエステ
ルフィルム(3)の上に塗布し、続いて下側の強化用繊
維質シート(2)に樹脂液を浸透させながら積層し、さ
らに下側の分離膜(1)を重ね合わせた。この分離膜
(1)の上に混合物供給部(10)から含粒子樹脂組成
物を圧縮性粒子の圧縮率が10(体積)%になるような
量で供給し、その上へ上側の分離膜(4)及び強化用繊
維質シート(5)をこの順序で積層し、さらに、その上
から軽量充填粒子を含まない前記樹脂液を塗布した後、
上側のポリエステルフィルム(6)を重ね合わせて積層
体を形成した。
【0123】この積層体の厚みを均一にするようにニッ
プローラで加圧し、次いで多数のガイドローラにより上
に凸の円弧状走行路を形成した樹脂含浸部(11)を通
しながら、上下から挟み付けたフィルムで押圧したり弛
緩したりすることによって、積層体内部の硬化性液状成
形樹脂を強化用繊維質シート中に均質に浸透させると共
に、不要な気泡を系外に除去した。
【0124】かくして含浸工程を終了した積層体を、ス
チールベルト(12)で挟んだ状態で120℃に加熱さ
れた硬化炉(13)に導き、ここで硬化を完了させて、
シンタクチックフォーム・コアを有する複合成形品
(7)を得た。
【0125】この成形品の比重は0.68であり、軽量
であることが確認された。なお、コア部の比重は0.5
9であり、また、コア部における圧縮性粒子と剛性粒子
との混合比は、体積比で35:65であった。
【0126】[実施例4]本実施例は、連続方式でいっ
たん予備成形品を作成した後、型に入れて所定の成形品
を製造する例を示す。
【0127】実施例2で用いたものと同じエポキシ樹脂
及び圧縮性粒子と剛性粒子との混合粒子からなる含粒子
樹脂組成物を用い、図2に示す連続成形装置にポリエス
テルフィルム(3、6)、強化用繊維質シート(2、
5)及び分離膜(1、4)をセットして、実施例2と同
様にして積層体を形成した。
【0128】次いで、実施例2と同じように、上記積層
体を上下に配置した複数組の加圧ローラ群(21)の間
を通して上下方向にジグザグの経路を蛇行させ、積層体
中に含まれる不要な気泡を除去すると共に、含粒子樹脂
組成物中の硬化性液状成形樹脂の一部を分離膜を介して
上下の強化繊維質シートに浸透、含浸させた。
【0129】この含浸工程に引き続き、設定温度を50
℃とした硬化炉中に導入し、上下のポリエステルフィル
ムに挟んだ状態で上部型付けダイスと下部型付けダイス
(23、24)の間を通して積層体の厚みを調整しつつ
引き取り装置(16)で引き取った。
【0130】得られた積層体は、この状態では部分硬化
の状態にあり、いわゆる「予備複合成形品」であった。
すなわち、この予備複合成形品は、冷暗所(短期間であ
れば室温で)の保存が可能であって、保存後に、所望の
サイズに切断し、通常の成形方法に準じて金型にセット
し、加圧・加熱を行うことによって硬化を完了させ、シ
ンタクチックフォーム・コアを有する良好な複合成形品
を得ることが確認された。
【0131】[実施例5]フェノール樹脂(大日本イン
キ化学工業(株)製「ダイスリック106」100部に
硬化剤(大日本インキ化学工業(株)製「ダイスリック
102C」)10部をよく混合した後、圧縮性粒子(松
本油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフェアーTE
M−8」をオーブン中で加熱して約20倍に膨脹させて
得た、粒径0.02〜0.05mm、比重0.05の中
空粒子)6.0部と無機剛性粒子(住友スリーエム
(株)製「グラスバブルズK−1」:比重0.125、
粒径0.1〜1mm)8.5部とを添加、混合して含粒
子樹脂組成物を得た。この含粒子樹脂組成物中における
圧縮性粒子と剛性粒子との混合比率は、体積比で、6
4:36であった。また、硬化性液状成形樹脂と軽量充
填粒子との体積比は33:67であった。
【0132】矩形状の金型(300mm×210mm×
10mmt:キャビティー容積630cm3 )に対して
圧縮性粒子の圧縮率が40(体積)%になるような前記
含粒子混合物を計量し、強化用繊維質シート(旭ファイ
バーグラス(株)製ガラス繊維チョップドストランドマ
ット「グラスロンCM455」:目付450g/m2
及び分離膜(「ユニセルBT0908W」:40g/m
2 )とを用いて、強化用繊維質シート/分離膜/含粒子
樹脂組成物/分離膜/強化用繊維質シートからなる積層
体を形成し、これを予め70℃に加熱した金型内にセッ
トし、金型内で加圧/弛緩を繰り返して硬化性液状成形
樹脂を上下の強化用繊維質シートに十分含浸させた後、
型を閉じた。この状態で10分間保持して硬化性樹脂を
硬化させた後、型を開いて成形品を取り出した。
【0133】得られた10mm厚のシンタクチックフォ
ーム・コアを有するサンドイッチ型複合品は、表面にボ
イドやウネリがなく、良好な表面性を示した。また、成
形品の比重は0.66と軽量であることが認められた。
【0134】[実施例6]不飽和ポリエステル樹脂(大
日本インキ化学工業(株)製「ポリライトFG80
1」)70部に、圧縮性粒子(JSP社製ポリプロピレ
ン発泡体粒子「15P」平均粒径約2mm、比重0.0
8)の8.5部及び無機剛性粒子(住友スリーエム
(株)製「グラスバブルズK−1」:比重0.125、
粒径0.1〜1mm)の11.1部を添加・混合して、
含粒子予備樹脂組成物を得た。この予備樹脂組成物は、
ラジカル開始剤を含有せず、また軽量粒子と硬化性液状
成形樹脂との分離も起こさず、保存に際して安定な混合
物である。
【0135】目的とする複合成形品を成形するに際し、
前記の含粒子予備樹脂組成物に対して、前記と同じ不飽
和ポリエステル樹脂の30部とラジカル開始剤(化薬ヌ
ーリー(株)製「カヤエステルO−50」)の0.3部
とを混合したものを追加し、十分に混合して、硬化性の
含粒子樹脂組成物を調製した。
【0136】なお、本実施例における硬化性の含粒子樹
脂組成物における圧縮性粒子と剛性粒子との混合比率
は、体積比で、54:46、硬化性液状成形樹脂と軽量
充填粒子との混合比率は、体積比で31:69であっ
た。
【0137】次いで、実施例5で用いたものと同じ金型
に対して圧縮性粒子の圧縮率が53(容積)%になるよ
うな量の前記硬化性の含粒子樹脂組成物を秤量し、強化
用繊維質シート(旭ファイバーグラス(株)製チョップ
ドストランドマット「グラスロンCM305]:目付3
00g/m2 )と分離膜(帝人ユニセル(株)製「ユニ
セルBT0908W」:目付40g/m2 )を用いて、
強化用繊維質シート/分離膜/含粒子硬化性樹脂組成物
/分離膜/強化用繊維質シートからなる積層体を形成し
た。
【0138】前記積層体を、予め130℃に加熱した前
記金型内にセットして、加圧/弛緩操作を行った後、型
を閉じた状態で7分間保持して硬化・成形を行った。得
られたシンタクチックフォーム・コアを有するサンドイ
ッチ構造の複合成形品(厚み10mm)は、ボイドやウ
ネリもなく表面性に優れ、比重は0.63と軽量である
ことが確認された。
【0139】[実施例7]エポキシ樹脂(油化シェル
(株)製「エピコート828」)100部と硬化剤(油
化シェル(株)製「エピキュアZ」)22部とを室温で
混合した後、圧縮性粒子(松本油脂製薬(株)製「マツ
モトマイクロスフェアーF80ED」:比重0.02、
粒径0.02〜0.08mm)3.3部と無機剛性粒子
(住友スリーエム(株)製「グラスバブルズK−1」:
比重0.125)4.8部とを添加混合して、含粒子樹
脂組成物を調製した。この含粒子樹脂組成物における圧
縮性粒子と剛性粒子との混合比率は、体積比で、81:
19、硬化性液状成形樹脂と軽量充填粒子との混合比率
は、体積比で34:66であった。
【0140】実施例5で用いたものと同じ金型に対して
圧縮性粒子の圧縮率が50(体積)%になるような量の
含粒子樹脂組成物を秤量し、実施例5と同様に、強化用
繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成物/分離膜/強
化用繊維質シートからなる積層体を形成し、予め140
℃に加熱した前記金型内にセットし、金型内で加圧/弛
緩操作を行った後、型を閉じて10分間保持して硬化・
成形を実施した。
【0141】得られたシンタクチックフォーム・コアを
有するサンドイッチ構造の複合成形品の表面性は良好で
あり、比重も0.69と軽量であることが確認された。
(なお、コア部分の比重は0.56であった。) また、該複合成形品の曲げ強度は6.6Kgf/m
2 、曲げ弾性率は440Kgf/mm2 であり、良好
な機械特性を示した。
【0142】[実施例8]エポキシ樹脂(大日本インキ
化学工業(株)製「エピクロン850」)100部、硬
化剤(油化シェル(株)製「エピキュア113」)3
1.7部及び硬化促進剤(三フッ化ホウ素・モノエタノ
ールアミン)1.0部を、室温でよく混合した後、これ
に圧縮性粒子(松本油脂製薬(株)製「マツモトマイク
ロスフェアーTEM−8」をオブーン中で膨脹させ中空
粒子:比重0.05)3.4部及び無機剛性粒子(住友
スリーエム(株)製「グラスバブルズK−37」:比重
0.37)25.2部を添加、混合して含粒子樹脂組成
物を調製した。得られた含粒子樹脂組成物中の圧縮性粒
子と剛性粒子との混合比率は、体積比にして、50:5
0、硬化性液状成形樹脂と軽量充填粒子との混合比率
は、体積比にして、45:55であった。
【0143】次いで、実施例5で用いたものと同じ金型
に対して、圧縮性粒子の圧縮率が50(体積)%になる
ような量の前記含粒子樹脂組成物を秤量し、実施例5で
用いたのと同じ強化用繊維質シート及び分離膜を用い、
強化用繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成物/分離
膜/強化用繊維質シートからなる積層体を形成した。こ
の積層体は、過剰な粘着性がなく、成形に際しての取扱
い性がきわめて良好であった。
【0144】前記積層体を、予め140℃に加熱した前
記金型内にセットし、加圧/弛緩操作を実施した後、型
を閉じて6分間保持し、硬化・成形を行った。かくして
得られたシンタクチックフォームコアを有するサンドイ
ッチ構造の複合成形品の表面性は良好であり、また成形
品の比重も0.85と軽量であった。
【0145】[実施例9]不飽和ポリエステル樹脂(大
日本インキ化学工業(株)製「ポリライトFG104
N」)100部に、硬化剤としてBPOを1.0部及び
CHPを0.4部添加混合し、さらに硬化促進剤として
DMAを0.4部添加、混合した後、圧縮性粒子(松本
油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフェアーMFL
100CA」:比重0.13)16部及び無機剛性粒子
(住友スリーエム(株)製「グラスバブルズK−2
5」:比重0.25)20部を添加、混合して、含粒子
樹脂組成物を調製した。
【0146】この含粒子樹脂組成物における圧縮性粒子
と剛性粒子との混合比率は、体積比で61:39であ
り、また硬化性液状成形樹脂と軽量充填粒子との混合比
率は、体積比で30:70であった。
【0147】次いで、矩形状の金型(300mm×21
0mm×30mm−t:キャビティー容積1890cm
3)に対して、圧縮性粒子の圧縮率が40(体積)%に
なるような量の前記含粒子樹脂組成物を計量し、強化用
繊維質シート(旭ファイバーグラス(株)製ガラス繊維
チョップドストランドマット「グラスロンCM30
5」:目付300g/m2)を2層及び分離膜(帝人ユ
ニセル(株)製「ユニセルBT0908W」)を1層を
重ねた上に供給した後、その上に分離膜1層、強化用繊
維質シート2層を重ねた。
【0148】このように形成した積層体を、予め80℃
に加熱した前記金型内にセットし、金型内で加圧/弛緩
を繰り返して硬化性液状成形樹脂を分離膜を介して強化
用繊維質シートに浸透させた後、型を閉じた。この状態
で10分間保持して硬化反応を完了させ、多孔質コアを
有するサンドイッチ型複合成形品を得た。
【0149】こうして得た30mm厚の板状複合成形品
は、コア部の亀裂やヤケもなく、また、ボイドやウネリ
もなく良好な表面状態を示した。この成形品の比重は
0.63であり軽量であることが確認された。(なお、
コア部の比重は0.57であった。)
【0150】[実施例10]本実施例では、各ローラー
(幅400mm)の間隔が10mmで、上部距離700
mm、下部距離1000mmになるように配置された規
制ローラー群とこれらを加熱するためのプレート状ヒー
ター及び積層体を挟む上下のスチール板から構成される
成形装置を使用して成形を行った。なお、スチール板と
しては400mm×1800mm×1.5mmtのステ
ンレススチール平板を使用した。
【0151】硬化性液状成形樹脂としてのエポキシ樹脂
(大日本インキ化学工業(株)製「エピクロン85
0」)100部に、硬化剤(油化シェル(株)製「エピ
キュアT」)の20部を混合し、ついで圧縮性粒子(松
本油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフェアーMF
L100CA」)の5部及び無機剛性粒子(住友スリー
エム(株)製「グラスバブルズK−1」)の10部を添
加、混合して、含粒子樹脂組成物を調製した。
【0152】図6に示すように、下側のスチール板(4
2)の上に、ポリエチレンテレフタレート(帝人(株)
製「テトロンフィルムタイプS31」:厚み25μm)
(34)/強化用繊維質シート(旭ファイバーグラス
(株)製ガラスマット「CM455」)(33)/分離
膜(ユニセル(株)製ポリエステル系不織布「ユニセル
BT0708W」)(32)を積層して300mm幅の
積層体となし、この上に前記含粒子混合物をほぼ均一に
拡げた後に、長手方向にガラス繊維製組み紐(直径6m
m)(31)を70mm間隔で4本配置した。
【0153】さらにこの上に、分離膜(32)、強化用
繊維質シート(33)及びポリエステルフィルム(3
4)をこの順に積層し、その上へ上側のスチール板(4
1)を重ねた。
【0154】前記の2枚のスチール板(41、42)で
挟んだ積層体を、140℃に加熱しながら70mm/分
の速度でローラ(図示せず)の間を移送した。冷却後、
スチール板(41、42)及びフィルム(34)を剥が
して、300mm×1200mm×7.0mm−tのコ
ア部が部分的にガラス繊維製組み紐で強化されたシンタ
クチックフォーム・コア(30)を有する複合成形品を
得た。
【0155】得られた複合成形品から、コア部のガラス
繊維製組み紐(31)挿入部が中央部に位置するよう
に、30mm×250mmの短冊状の試験片を切り出
し、曲げ特性を測定した。測定は支点間距離210mm
の3点曲げ方法で行った。その結果を、表1に示す。
【0156】なお、この実施例の中でコア部に挿入した
ガラス繊維製組み紐(31)を用いずに、同様なシンタ
クチックフォーム・コアを有する複合成形品の成形も実
施した。その成形品の曲げ特性測定結果もあわせて表1
に示す。
【0157】
【表1】
【0158】[実施例11]本実施例では、一体構造と
してリブ構造を有する軽量な複合成形品を次のようにし
て製造した。
【0159】不飽和ポリエステル樹脂(大日本インキ化
学工業(株)製「ポリライトPS−281」)100部
に、硬化剤としてBPOを1.0部、CHPを0.4部
と、硬化促進剤としてDMAを0.4部を添加、混合し
た後、圧縮性粒子(松本油脂製薬(株)製「マツモトマ
イクロスフェアーMFL100CA」)の20.4部及
び無機剛性粒子(住友スリーエム(株)製「グラスバブ
ルズK−1」)の13.1部を添加混合して、含粒子樹
脂組成物を調製した。該含粒子混合物における圧縮性粒
子と剛性粒子との混合比は、体積比で、60:40であ
り、また硬化性液状成形樹脂と軽量充填粒子との混合比
は、体積比で、25:75であった。
【0160】一方、リブ構造部分に対応する樹脂混合物
を調製するために、前記と同じ不飽和ポリエステル樹脂
の100部、BPOの1.0部、CHPの0.4部及び
DMAの0.4部を混合し、これにガラス繊維パウダー
(日東紡績(株)製「パウダーPFA−101」)の2
21.8部を添加混合して、リブ用樹脂混合物を調製し
た。このリブ用樹脂混合物における硬化性液状成形樹脂
とガラス繊維パウダーとの配合比率は、体積比で、5
0:50であった。
【0161】リブ付き成形品に対応するキャビティーを
持つ100℃に加熱された金型(リブ構造部分に対応す
る凹部を下型として、図7の(51)で示すリブ構造部
分に対応する形状の金型を用い、この部分に前記リブ用
樹脂混合物を供給した後、速やかに強化用繊維質シート
(旭ファイバーグラス(株)製チョップドストランドマ
ット「グラスロンCM305」:目付300g/m2
及び分離膜(ポリエステル系不織布「ユニセルBT09
08W」)をセットし、その上に、圧縮性粒子の圧縮率
が45(体積)%になるような量の前記含粒子混合物を
充填し、さらに分離膜、強化用繊維質シートを重ね合わ
せて、加圧/弛緩操作を行い、型を閉じて10分間保持
した。
【0162】かくして長さ方向に伸びた畝状のリブ(5
1)が一体成形された複合成形品が得られた。また、こ
のリブ付きパネル状成形品の見掛け比重は0.68(パ
ネル部分の比重は0.67)であり、リブ構造導入によ
り剛性の向上された軽量な成形品が得られることが確認
された。
【0163】[実施例12]硬化性液状成形樹脂とし
て、不飽和ポリエステル樹脂(大日本インキ化学工業
(株)製「ポリライトPS281」)100部、硬化剤
としてBPOの1.0部とCHPの0.4部及び硬化促
進剤としてのDMAの0.4部を混合し、さらにこの樹
脂液に対し圧縮性粒子(松本油脂製薬(株)製「マツモ
トマイクロスフェアーMFL100CA」:比重0.1
3)の10.6部と無機剛性粒子(住友スリーエム
(株)製「グラスバブルズK−25」:比重0.25)
の30.5部を添加、混合して、含粒子樹脂組成物を調
製した。この含粒子樹脂組成物における硬化性液状成形
樹脂と軽量充填粒子との混合比率は、体積比で、30:
70であり、圧縮性粒子と剛性粒子との混合比率は、体
積比で、40:60であった。
【0164】この含粒子樹脂組成物を用い、他は実施例
1と同様の材料を用いて、図2に示す連続成形装置によ
り成形を行った。すなわち、図2の装置において、下側
のフィルム(3)及び分離膜(1)を巻き出し、この分
離膜の上に、混合物供給装置(10)から上記含粒子樹
脂組成物を供給してシート状に拡げ、さらにその上に上
側の分離膜(4)とフィルム(6)とを重ね合わせて、
フィルム/分離膜/含粒子樹脂組成物/分離膜/フィル
ムからなる積層体を形成した。(ただし、強化用繊維質
シートは該積層体に含めなかった。) 前記積層体を、複数組の加圧ローラ(21)を備えた樹
脂含浸部(20)に導入し、ここで加圧/弛緩を繰り返
し付与し積層体中の不要な気泡を除去すると共に、含粒
子樹脂組成物中の硬化性液状成形樹脂を上下の分離膜に
浸透させて一体化させ、厚み規制可能なロールを通し
て、積層体の厚みを5mmとなるように調整した。
【0165】次いで、この積層体の上下をフィルムで押
圧しながら、加熱していない上下1対の型付けダイスの
スリット間を通して、硬化性液状成形樹脂が硬化してい
ない状態のフィルム/分離膜/含粒子混合物/分離膜/
フィルムからなる積層体、すなわち、複合成形品製造用
成形材料を得た。そして、この成形材料を、トリミング
用カッター(15)及び移動式切断機(17)を用い
て、所望のサイズにカットした。
【0166】この成形材料は、上下をフィルムでカバー
したまま、好ましくはスチレン架橋剤の飛散を防止する
ために通気性のないフィルム製袋に収納して、保管し
た。
【0167】次に、上記成形材料を用い金型により軽量
複合成形品を成形した。すなわち、キャビティーのサイ
ズが210mm×300mm×6mm−t(スペーサー
で厚み規制)の平板金型に、強化用繊維質シートとして
ガラス繊維チョップドストランドマット(旭ファイバー
グラス(株)製「CM−455」:目付450g/
2 )を配置し、その上に、袋中に保管した前記積層体
を所定寸法にカットして、フィルムを剥がした上で重ね
合わせた。さらにこの上に、前記と同じチョップドスト
ランドマットを載置し、金型を閉じて加圧し、硬化性液
状成形樹脂を金型内の上下の強化用繊維質シート中に均
等に含浸させた。
【0168】こうして、金型の温度を110℃に昇温
し、10分間保持して、硬化を完了させた。得られたシ
ンタクチックフォームコアを有するサンドイッチ型の複
合成形品(6mm厚)は、比重が0.62と軽量であ
り、表面性も良好であった。(なお、コア部の比重は
0.41であった。)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一実施態様を示す成形装置の簡略
化した断面図
【図2】本発明方法の他の実施態様を示す成形装置の簡
略化した断面図
【図3】本発明方法の他の実施態様を示す成形装置の簡
略化した断面図
【図4】図3の装置に装備される型付けダイスの例を示
す正面図
【図5】図3の装置に装備される型付けダイスの他の例
を示す正面図
【図6】コア部に補強材を入れて成形した複合成形品の
簡略化した断面図
【図7】片面にリブ部を設けた複合成形品の簡略化した
見取り図
【符号の説明】
1:下側の分離膜 2:下側の強化用繊維質シート 3:下側のフィルム 4:上側の分離膜 5:上側の強化用繊維質シート 6,6´:上側のフィルム 7:複合成形品(平板、波板) 10:混合物供給部 11:樹脂含浸部 12:スチールベルト 13:硬化(加熱)炉 14:支持ローラ 15:トリミング用カッター 16:引取り装置 17:移動式切断機 20:ベルト 21:加圧ローラー群 22:硬化(加熱)炉 23:上部型付けダイス 24:下部型付けダイス 30:多孔質樹脂からなるコア部 31:コア部強化材(ガラス繊維組み紐) 32:分離膜 33:強化用繊維シート 34:フィルム 41:上側のスチール板 42:下側のスチール板 51:複合成形品の表層部に設けたリブ部

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化樹脂からなる表層部の間に多孔
    質樹脂層からなるコア部が存在しかつ全体が一体化した
    複合成形品を製造するに際し、下記工程; (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
    mmの軽量充填粒子を含み、かつ該軽量充填粒子が剛性
    粒子と圧縮性粒子との混合粒子である含粒子樹脂組成物
    を調製する組成物調製工程、 (b)強化用繊維質シート/分離膜/前記工程(a)で
    調製した組成物の層/分離膜/強化用繊維質シートから
    なる積層体を調製する積層体調製工程、 (c)該積層体に上下方向から少なくとも1回加圧し
    て、含粒子樹脂組成物中の液状成形樹脂を分離膜を介し
    て上下の強化用繊維質シート中に浸透させながら、該積
    層体から軽量充填粒子中の気泡以外の気泡を除去する含
    浸工程、 (d)次いで、得られた含浸積層体を、(d-1)加圧す
    るか或いは加圧することなく、加熱して硬化せしめ、複
    合成形品とする硬化工程、もしくは、(d-2)加圧する
    か或いは加圧することなく、加熱して部分硬化せしめ、
    形態保持性を有する予備複合成形品を得、次いで所望の
    形状にて硬化を完了させ複合成形品とする硬化工程、を
    順次実施することを特徴とする多孔質コアを有する複合
    成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 繊維強化樹脂からなる表層部の間に多孔
    質樹脂層からなるコア部が存在しかつ全体が一体化した
    複合成形品を製造するに際し、下記工程; (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
    mmの軽量充填粒子を含み、かつ該軽量充填粒子が剛性
    粒子と圧縮性粒子との混合粒子である含粒子樹脂組成物
    を調製する組成物調製工程、 (b)強化用繊維質シート/分離膜/前記工程(a)で
    調製した組成物の層/分離膜/強化用繊維質シートから
    なる積層体を調製する積層体調製工程、 (c)該積層体に上下方向からの加圧及び弛緩をそれぞ
    れ少なくとも1回実施して、含粒子樹脂組成物中の液状
    成形樹脂を分離膜を介して上下の強化用繊維質シート中
    に浸透させながら、該積層体から軽量充填粒子中の気泡
    以外の気泡を除去する含浸工程、 (d)次いで、得られた含浸積層体を、(d-1)加圧す
    るか或いは加圧することなく、加熱して硬化せしめ、複
    合成形品とする硬化工程、もしくは、(d-2)加圧する
    か或いは加圧することなく、加熱して部分硬化せしめ、
    形態保持性を有する予備複合成形品を得、次いで所望の
    形状にて硬化を完了させ複合成形品とする硬化工程、を
    順次実施することを特徴とする多孔質コアを有する複合
    成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 繊維強化樹脂からなる表層部の間に多孔
    質樹脂層からなるコア部が存在しかつ全体が一体化した
    複合成形品を製造するに際し、下記工程; (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
    mmの軽量充填粒子を含み、かつ該軽量充填粒子が剛性
    粒子と圧縮性粒子との混合粒子である含粒子樹脂組成物
    を調製する組成物調製工程、(b)強化用繊維質シート
    /分離膜/前記工程(a)で調製した組成物の層/分離
    膜/強化用繊維質シートよりなる積層体を調製する積層
    体調製工程、(c)該積層体に上下方向からの加圧及び
    弛緩をそれぞれ少なくとも1回実施して、含粒子樹脂組
    成物の層中の液状成形樹脂を分離膜を介して上下の強化
    用繊維質シート中に浸透させながら、該積層体から軽量
    充填粒子中の気泡以外の気泡を除去させる含浸工程、
    (d)得られた含浸積層体を所定の温度に加熱された型
    内において加熱することにより液状成形樹脂を硬化させ
    成形する硬化工程、そして、(e)型を開いて、得られ
    た複合成形品を取り出す脱型工程、を順次実施すること
    を特徴とする多孔質コアを有する複合成形品の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 組成物調製工程(a)及び積層体調製工
    程(b)を型外で実施し、含浸工程(c)及び硬化工程
    (d)を型内で実施することを特徴とする請求項3に記
    載の製造方法。
  5. 【請求項5】 組成物調製工程(a)、積層体調製工程
    (b)及び含浸工程(c)を型外で実施し、硬化工程
    (d)を型内で実施することを特徴とする請求項3に記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】 含浸工程(c)において、積層体を一定
    のプレス間隔まで押圧し、その状態で一定時間保持し
    て、圧力を緩和させた後、さらに押圧することにより加
    圧と弛緩とを行うことを特徴とする請求項2、請求項3
    又は請求項4に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 繊維強化樹脂からなる表層部の間に多孔
    質樹脂層からなるコア部が存在しかつ全体が一体化した
    複合成形品を製造するに際し、下記工程; (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
    mmの軽量充填粒子を含み、かつ該軽量充填粒子が剛性
    粒子と圧縮性粒子との混合粒子である含粒子樹脂組成物
    を調製する樹脂組成物調製工程、(b)各分離膜の外側
    にそれぞれ強化用繊維質シートが位置するように2つの
    分離膜及び2つの強化用繊維質シートを連続的に供給
    し、2つの分離膜の間に前記工程(a)で調製した含粒
    子樹脂組成物を連続的に供給して、強化用繊維質シート
    /分離膜/含粒子樹脂組成物の層/分離膜/強化用繊維
    質シートよりなる積層体を連続的に調製する積層体調製
    工程、(c)引き続き、該積層体に上下方向からの加圧
    及び弛緩をそれぞれ少なくとも1回連続して実施して、
    含粒子樹脂組成物層中の液状成形樹脂を分離膜を介して
    上下の強化用繊維質シート中に浸透させながら、軽量充
    填粒子中の気泡以外の気泡を積層体から除去する含浸工
    程、(d)次いで、得られた含浸積層体を加圧するか或
    いは加圧することなく加熱して硬化させ複合成形品とす
    る硬化工程、を順次実施することを特徴とする多孔質コ
    アを有する複合成形品の製造方法。
  8. 【請求項8】 繊維強化樹脂からなる表層部の間に多孔
    質樹脂層からなるコア部が存在しかつ全体が一体化した
    複合成形品を製造するに際し、下記工程; (a)硬化性液状成形樹脂及び平均直径が0.01〜2
    mmの軽量充填粒子を含み、かつ該軽量充填粒子が剛性
    粒子と圧縮性粒子との混合粒子である含粒子樹脂組成物
    を調製する混合物調製工程、(b)各分離膜の外側にそ
    れぞれ強化用繊維質シートが位置するように2つの分離
    膜及び2つの強化用繊維質シートを連続的に供給し、2
    つの分離膜の間に前記工程(a)で調製した組成物を連
    続的に供給して、強化用繊維質シート/分離膜/含粒子
    樹脂組成物の層/分離膜/強化用繊維質シートよりなる
    積層体を連続的に調製する積層体調製工程、(c)引き
    続き、該積層体に上下方向からの加圧及び弛緩をそれぞ
    れ少なくとも1回実施して、含粒子樹脂組成物層中の液
    状成形樹脂を分離膜を介して上下の強化用繊維質シート
    中に浸透させながら、軽量充填粒子中の気泡以外の気泡
    を積層体から除去させる含浸工程、(d)次いで、得ら
    れた含浸積層体を加圧するか或いは加圧することなく加
    熱して樹脂を部分硬化せしめ、形態保持性を有する予備
    複合成形品をとする予備硬化工程、そして、(e)予備
    複合成形品を型内で又は型を用いることなく加熱して、
    樹脂の硬化を完成させ所定の形状に成形する硬化工程、
    を順次実施することを特徴とする多孔質コアを有する複
    合成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 含浸工程(c)において、前記積層体調
    製工程(b)で得られた積層体を、連続的に、走行する
    積層体が上下方向のジグザグ状経路を形成するように配
    置された複数のローラ間を上下に蛇行させることにより
    該積層体に加圧及び弛緩を繰り返し付与することを特徴
    とする請求項7又は請求項8に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 含浸工程(c)において、前記積層体
    調製工程(b)で得られた積層体を、上に凸の円弧状に
    配置したガイドローラ上を走行させることにより、連続
    的に加圧及び弛緩を繰り返し付与することを特徴とする
    請求項7又は請求項8に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 含浸工程(c)を経た積層体を、硬化
    工程(e)において少なくとも上下1対のローラー間に
    通し、平坦な平面を保ちつつ移送しながら加熱・硬化せ
    しめることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 含浸工程(c)を経た積層体を、硬化
    工程(e)においてその上下から面圧をかけ、平坦な平
    面を保持し得る機構中で一定の加圧状態で加熱・硬化を
    実施することを特徴とする請求項7〜請求項11のいず
    れか1項に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 積層体調製工程(b)、含浸工程
    (c)及び硬化工程(d)を、直結した一連の工程で連
    続的に実施することを特徴とする請求項7〜請求項12
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 軽量充填粒子が、硬化条件下において
    実質的に膨脹しない粒子であることを特徴とする請求項
    1〜請求項13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 軽量充填粒子が、平均粒径が0.03
    〜1mmの粒子であることを特徴とする請求項1〜請求
    項14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 軽量充填粒子が、比重0.02〜0.
    8の粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項15
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 軽量充填粒子における剛性粒子と圧縮
    性粒子との混合割合が、体積比で95:5〜5:95で
    あることを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか
    1項に記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 分離膜が、硬化性液状樹脂は通過させ
    るが軽量充填粒子の通過を阻止する目開きを有する繊維
    質シート又は多孔膜であることを特徴とする請求項1〜
    請求項17のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 相対する2つの分離膜の端部を互いに
    接合して袋状又は筒状に形成し、その分離膜の袋状物又
    は筒状物の内部に、含粒子樹脂組成物を封入することを
    特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 強化用繊維質シート/分離膜/含粒子
    樹脂組成物の層/分離膜/強化用繊維質シートよりなる
    積層体を、その下方もしくは上下に可撓性フィルムを接
    触配置して、加圧及び弛緩を実施した後、硬化させるこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項19のいずれか1項に
    記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 含粒子樹脂組成物の層中に局所的に強
    化材を配置して、コア部に強化材が内在する複合成形品
    とすることを特徴とする請求項1〜請求項20のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 表層部に畝状もしくは杭状の突起を形
    成するか又は溝状もしくは穴状の窪みを形成し、リブ又
    はボス付きの複合成形品とすることを特徴とする請求項
    1〜請求項21のいずれか1項に記載の製造方法。
  23. 【請求項23】 分離膜/強化用繊維質シート/可撓性
    フィルムよりなる3層シートを移動させながら、その3
    層シートの分離膜表面に含粒子樹脂組成物の層を連続的
    に形成させ、その樹脂組成物層の表面上に分離膜及び強
    化用繊維質シートをこの順序で積層し、さらに必要によ
    り可撓性フィルムを積層して、可撓性フィルム/強化用
    繊維質シート/分離膜/含粒子樹脂組成物の層/分離膜
    /強化用繊維質シート/必要な可撓性フィルムよりなる
    積層体を形成させ、この積層体を上下の少なくとも1対
    のローラ間に通し、その上下から加圧及び弛緩を繰り返
    し、平坦な平面を保ちつつ移しながら含浸工程を実施
    し、次いで硬化工程を実施することを特徴とする請求項
    7〜請求項22のいずれか1項に記載の製造方法。
JP7340787A 1995-02-09 1995-12-27 多孔質コアを有する複合成形品の製造方法 Pending JPH08276524A (ja)

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