JPH08275823A - 棒状化粧料容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】容器の細径化，小形化が実現でき、かつ、回動
時のがたつきが少ない棒状化粧料容器を提供する。 【構成】棒状化粧料保持用の繰出筒部１１と、この繰出
筒部１１が繰出自在に収容される円筒体１と、この円筒
体１の下端部に、上記円筒体１と相対回動自在に取着さ
れる有底筒状の回動操作部３とを備え、上記繰出筒部１
１の外周面に複数のガイド突部１４を周方向に所定間隔
を隔てて突設し、上記円筒体１の内周面に上記ガイド突
部１４が摺動自在に係合されるらせん溝１０を設け、上
記繰出筒部１１の下端部と上記回動操作部３の底部とを
伸縮連結部１２で連結した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、口紅，リップクリー
ム，チック等の棒状化粧料を容器から繰り出して使用す
る棒状化粧料容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、口紅等の棒状化粧料の容器とし
ては、図１１に示すようなものが使用されている。すな
わち、この容器は、両側にガイド突起３１が突設された
繰出筒３２と、両側に相対峙して縦穴３３が穿設された
内筒３４と、内周面に２本のらせん溝３６が刻設された
外筒３５と、この外筒３５に冠着されるキャップ３７を
備えている。この容器は、縦穴３３を挿通して内筒３４
から側方に突出しているガイド突起３１に、外筒３５の
らせん溝３６を係合させながら外筒３５を内筒３４の外
周面に外嵌することにより組み立てられる。図におい
て、３８は繰出筒３２に固着された棒状化粧料である。
この容器を使用する場合には、上記外筒３５と内筒３４
とを相対回転させることにより、その回転に伴い、外筒
３５のらせん溝３６と内筒３４の縦穴３３との交点を上
下に移動させ、この交点の上下移動に追従して繰出筒３
２が昇降する。これにより内筒３４の上端開口部から棒
状化粧料３８が繰り出されたり繰り下げられたりするこ
とが行われる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
容器では、容器の繰出筒３２を昇降させる部分が、外筒
３５と内筒３４との２重構造になっている。このため、
容器自体の外径寸法は、上記繰出筒３２の外径寸法に、
上記外筒３５および内筒３４の厚みと、内筒３４の外周
面と外筒３５の内周面との間に設けられる微小隙間と、
上記内筒３４の内周面と繰出筒３２の外周面との間に設
けられる微小隙間とを加えたものになる。したがって、
容器自体の外径寸法を細くしようとしても、限界があ
り、小形化の実現は困難である。また、この容器では、
上述したような２重構造であるため、回動時に内筒３４
と外筒３５との間に、がたつきが生じ、棒状化粧料がス
ムーズに繰り出せず、使用感が悪いという問題もある。
特に、各部品の寸法精度が多少悪くなった場合には、上
記微小隙間が少し大きくなってこの傾向が強く現れると
いう問題もある。

【０００４】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、容器の細径化，小形化が実現でき、かつ、回
動時のがたつきが少ない棒状化粧料容器の提供をその目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の棒状化粧料容器は、棒状化粧料保持用の
繰出筒と、この繰出筒が繰出自在に収容される円筒体
と、この円筒体の下端部に、上記円筒体と相対回動自在
に取着される有底筒状の回動操作部とを備え、上記繰出
筒の外周面に複数のガイド突部を周方向に所定間隔を隔
てて突設し、上記円筒体の内周面に上記ガイド突部が摺
動自在に係合されるらせん溝を設け、上記繰出筒の下端
部と上記回動操作部の底部とを伸縮自在の連れ回り用連
結部材で連結したという構成をとる。

【０００６】

【作用】すなわち、この発明の棒状化粧料容器は、繰出
筒が繰出自在に収容される円筒体の下端部に、有底筒状
の回動操作部を設け、上記繰出筒の下端部と上記回動操
作部の底部とを伸縮自在の連れ回り用連結部材で連結し
ている。そして、回動操作部を円筒体に対して相対回動
させることにより、その回動に伴い回動操作部に連結さ
れた連れ回り用連結部材が回動し、この連れ回り用連結
部材の回動により繰出筒が連れ回りする。そして、この
繰出筒の回動に伴って、円筒体のらせん溝に係合された
ガイド突部が、上記らせん溝に沿って上下移動すること
により繰出筒が昇降するとともに、この繰出筒の昇降に
伴って連れ回り用連結部材が伸縮することにより、上記
繰出筒は、円筒体内のどの高さに位置していても回動操
作部と連結されて連れ回りする。この棒状化粧料容器で
は、従来の内筒３４を省くことが可能となり、容器自体
の外径寸法を細くすることができ、小形化が実現でき
る。また、この容器を従来と略同じ大きさで形成した場
合には、内部に収容される棒状化粧料の収容量を多くす
ることができるという利点がある。また、この棒状化粧
料容器では、従来のように外筒３５と内筒３４とに回動
時のがたつきが生じることがない。

【０００７】また、この棒状化粧料容器において、連れ
回り用連結部材が、複数のヒンジ板の側縁を折り曲げ自
在の一体ヒンジ部に形成して構成され、隣合う一体ヒン
ジ部が交互に反対向きに折り曲げ可能に形成されている
場合には、回動操作部の回転力を損なうことなく繰出筒
に伝えて連れ回りさせることができるようになるため、
上記繰出筒の昇降を、さらにスムーズに行えるようにな
る。

【０００８】つぎに、この発明を実施例にもとづいて詳
しく説明する。

【０００９】

【実施例】図１はこの発明の棒状化粧料容器の一実施例
を示している。この棒状化粧料容器は、プラスチック製
の円筒体１と、この円筒体１の内部に収容される棒状化
粧料（図示せず）保持用のプラスチック製の化粧料保持
体２と、上記円筒体１の上方から嵌挿され下側部に外嵌
されるプラスチック製の回動筒５と、この回動筒５の下
端開口に取着されて回動筒５とともに回動操作部３を構
成する底板６と、上記回動操作部３の上側に冠着される
プラスチック製のキャップ４とで構成されている。

【００１０】より詳しく説明すると、円筒体１は、図２
に示すように、外周面に２条の鍔部７ａ，７ｂが形成さ
れ、これら鍔部７ａ，７ｂに挟まれた部分が、Ｏリング
（図示せず）が嵌着される溝部８に形成されている。ま
た、この円筒体１には、その上端の内周縁に、内部に収
容される化粧料保持体２を抜け止めする抜け止め突条９
が形成されている。そして、この円筒体１には、その内
周面の上記突条９の部分を除く全面にわたって、多数の
らせん溝１０が刻設されている。

【００１１】化粧料保持体２は、合成樹脂で形成され、
図３〜図５に示すように、有底円筒状に形成され内部に
棒状化粧料の下端部が保持される繰出筒部１１と、この
繰出筒部１１の底部から垂下する伸縮連結部（連れ回り
用連結部材）１２と、この伸縮連結部１２の下端部に設
けられる円板状部１３とが一体的に形成されて構成され
ている。上記繰出筒部１１には、その対向する外周面に
長円形状のガイド突部１４が形成され、このガイド突部
１４には、その側面に上記円筒体１のらせん溝１０と係
合する複数のらせん状突条１５が形成されている。ま
た、外周面の上部には、上記円筒体１の抜け止め突条９
に当接して抜け止めされる段差部１６が設けられてい
る。そして、上記繰出筒部１１には、その底部に周壁が
くびれた略円柱状の被係合部１７が形成され、この被係
合部１７の下面から、伸縮連結部１２が垂下している。
この、伸縮連結部１２は、複数のヒンジ板１８の側縁が
折り曲げ自在の一体ヒンジ部１９に連結され、隣合う一
体ヒンジ部１９が交互に反対向きに折り曲げ可能に形成
されて、いわば蛇腹のように構成されて図示の上下方向
に伸縮自在に形成されている。上記伸縮連結部１２の下
端部は、円板状部１３の上面の略中央部と連結されてい
る。この円板状部１３は、外径が上記円筒体１の外径と
略同一寸法に形成され、上記繰出筒部１１を円筒体１に
収容した状態で、円板状部１３の外周縁が円筒体１の下
端縁に当接するようにしている。また、上記円板状部１
３には、上下に貫通する一対の長方形状に形成された係
合片２４挿通用の長穴２９が穿設されている。

【００１２】回動操作部３は、回動筒５と、この回動筒
５の下端部に取り付けられる底板６とから構成される。
上記回動筒５には、図６に示すように、その上側部にキ
ャップ４が嵌着される細径部５ａが形成され、この細径
部５ａの外周面には、キャップ４の内周面と係合する複
数の突起２１が形成されている。また、上記回動筒５に
は、その下端部の内周縁部が段落としされ、この部分が
底板６が取り付けられる底板取着部２２に形成されてい
る。そして、上記回動筒５には、その内周面の上側部
に、上記円筒体１が嵌挿された状態で、この円筒体１の
鍔部７ａの外周縁と当接する段差２３が形成されてい
る。上記底板６は、図７および図８に示すように、円板
状に形成され、その上面に一対の係合片２４が突出形成
されている。この係合片２４には、その先端部の内側に
上記化粧料保持体２の底部の被係合部１７と係合する係
合突起２４ａが形成されている。

【００１３】キャップ４は、図９に示すように、先端側
部分が先細状に形成された有天筒状に形成されており、
下側部の内周面に上記回動筒５の細径部５ａの突起２１
と嵌合する複数の凹部２６が形成されている。

【００１４】このような棒状化粧料容器は、つぎのよう
にして組み立てられる。すなわち、まず、化粧料保持体
２の下側に回動操作部３の底板６を配置し、上記化粧料
保持体２の円板状部１３に形成された長穴２９に、底板
６の係合片２４を挿通させて化粧料保持体２の円板状部
１３の下面に底板６を取着する。ついで、伸縮連結部１
２を縮めた状態で、上記係合片２４の先端部の係合突起
２４ａを繰出筒部１１底部の被係合部１７に係合させ
る。つぎに、この底板６が取着された化粧料保持体２
を、円筒体１内にその下方から挿入し、繰出筒部１１の
ガイド突部１４のらせん状突条１５を円筒体１の内周面
のらせん溝１０に係合させ、円板状部１３の外周縁を円
筒体１の下端縁に当接させる。そののち、回動筒５を上
記化粧料保持体２が収容された円筒体１に上方から挿通
させ、上記回動筒５の内周面を円筒体１の溝部８に嵌着
されたＯリング２７に外嵌させる。さらに、円筒体１の
下端縁に当接されている円板状部１３に取着された状態
の底板６の外周縁を、上記回動筒５の下端部の底板取着
部２２に嵌入させて接着固定し、回動操作部３を形成す
る。ついで、この回動操作部３の回動筒５の上部の細径
部５ａにキャップ４を冠着する（図１０参照）。

【００１５】このようにして組み立てられた棒状化粧料
容器は、回動操作部３が円筒体１に対して相対回動自在
であり、回動操作部３を円筒体１に対して相対回動させ
ることにより、その回動に伴い回動操作部３の底板６に
取着された伸縮連結部１２が回動し、この伸縮連結部１
２の回動により繰出筒部１１が連れ回りする。そして、
この繰出筒部１１の回動に伴って、ガイド突部１４が円
筒体１のらせん溝１０に沿って上下移動することにより
繰出筒部１１が昇降する。また、この繰出筒部１１の昇
降に伴って伸縮連結部１２が伸縮することにより、上記
繰出筒部１１は、円筒体１内のどの高さに位置していて
も回動操作部３と連れ回りするようにしている。

【００１６】このように構成された上記棒状化粧料容器
は、不使用時には、繰出筒部１１を下降させてその下降
端位置で、繰出筒部１１の底部の被係合部１７に回動操
作部３の係合片２４と係合させ、不用意に繰出筒部１１
が上昇しないようにし、この状態でキャップ４を回動操
作部３の細径部５ａに冠着させておく。また、使用時に
は、キャップ４を取り外して円筒体１の上側部を露呈さ
せ、回動操作部３を円筒体１に対して相対的に一方向に
回動させる。これにより、繰出筒部１１が回動操作部３
と連れ回りしてらせん溝１０に沿って上昇し、この上昇
に伴い伸縮連結部１２が伸び、繰出筒部１１の段差部１
６が円筒体１の上端開口の抜け止め突条９と当接し、棒
状化粧料２８が円筒体１の上端開口から突出して使用可
能状態になる（図１０において鎖線で示す状態）。この
ようにして棒状化粧料２８で化粧することが行われる。

【００１７】このように、上記実施例では、従来の内筒
を省くことが可能となり、容器自体の外径寸法を細くす
ることができ、小形化が実現できる。また、この容器を
従来と略同じ大きさで形成した場合には、内部に収容さ
れる棒状化粧料２８の収容量を多くすることができると
いう利点がある。また、この実施例では、従来のように
外筒と内筒とに回動時のがたつきが生じることがない。

【００１８】また、上記実施例では、伸縮連結部１２
が、複数のヒンジ板１８の側縁を折り曲げ自在の一体ヒ
ンジ部１９に形成して構成し、隣合う一体ヒンジ部１９
が交互に反対向きに折り曲げ可能に形成したため、回動
操作部３の回転力を損なうことなく繰出筒部１１に伝え
て連れ回りさせることができるようになるため、上記繰
出筒部１１の昇降を、さらにスムーズに行えるようにな
る。

【００１９】また、上記実施例では、円筒体１の内周面
の略全面にわたって多数のらせん溝１０を形成し、繰出
筒部１１のガイド突部１４にこれららせん溝１０に係合
する複数本のらせん状突条１５を形成したことから、繰
出筒部１１と円筒体１とのがたつきがさらに小さくな
り、スムーズな繰り出しを行うことができ、いっそう使
用感がよくなる。また、回動操作筒３と円筒体１とを、
Ｏリングを介して摺接させて回動するようにしているた
め、回動操作の際に適度なトルクが発生し、手指に回動
時の重みが伝わり、使用感がよくなる。

【００２０】

【発明の効果】以上のように、この発明の棒状化粧料容
器によれば、従来の内筒を省くことが可能となり、容器
自体の外径寸法を細くすることができ、小形化が実現で
きる。また、この容器を従来と略同じ大きさで形成した
場合には、内部に収容される棒状化粧料の収容量を多く
することができるという利点がある。また、この棒状化
粧料容器では、従来のように外筒と内筒とに回動時のが
たつきが生じることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す分解斜視図である。

【図２】円筒体を示す説明図である。

【図３】化粧料保持体の側面図である。

【図４】上記化粧料保持体を下から見た図である。

【図５】上記化粧料保持体の縦断面図である。

【図６】回動操作部の回動筒を示す説明図である。

【図７】回動操作部の底板を示す縦断面図である。

【図８】上記底板を示す平面図である。

【図９】キャップを示す説明図である。

【図１０】上記実施例の縦断面図である。

【図１１】従来例の分解斜視図である。

【符号の説明】

１ 円筒体 ３ 回動操作部 １０ らせん溝 １１ 繰出筒部 １２ 伸縮連結部 １４ ガイド突部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 棒状化粧料保持用の繰出筒２と、この繰
   出筒２が繰出自在に収容される円筒体１と、この円筒体
   １の下端部に、上記円筒体１と相対回動自在に取着され
   る有底筒状の回動操作部３とを備え、上記繰出筒２の外
   周面に複数のガイド突部１４を周方向に所定間隔を隔て
   て突設し、上記円筒体１の内周面に上記ガイド突部１４
   が摺動自在に係合されるらせん溝１０を設け、上記繰出
   筒２の下端部と上記回動操作部３の底部とを伸縮自在の
   連れ回り用連結部材１２で連結したことを特徴とする棒
   状化粧料容器。
2. 【請求項２】 連れ回り用連結部材１２が、複数のヒン
   ジ板の側縁を折り曲げ自在の一体ヒンジ部に形成して構
   成され、隣合う一体ヒンジ部が交互に反対向きに折り曲
   げ可能に形成されている請求項１記載の棒状化粧料容
   器。