JPH08274370A - 発光素子及びその製造方法 - Google Patents

発光素子及びその製造方法

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JPH08274370A
JPH08274370A JP7393895A JP7393895A JPH08274370A JP H08274370 A JPH08274370 A JP H08274370A JP 7393895 A JP7393895 A JP 7393895A JP 7393895 A JP7393895 A JP 7393895A JP H08274370 A JPH08274370 A JP H08274370A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 含窒素 III−V族化合物半導体層を発光層と
する高輝度の緑色帯域の発光を呈する発光素子を得る。 【構成】 等電子的で且つ発光の再結合中心となるタリ
ウムが規定された原子濃度範囲内でドーピングされた、
低炭素原子濃度の含窒素 III−V族化合物半導体層を発
光層として発光素子を形成する。低炭素原子濃度のタリ
ウムドーピング含窒素 III−V族化合物半導体層はシク
ロペンタジエニルタリウムをタリウムのドーピング源と
して得る。 【効果】 高輝度の含窒素 III−V族化合物半導体緑色
LEDが得られる。シクロペンタジエニルタリウムをタ
リウムのドーピング源とすることにより、出発原料との
複合体化反応が回避でき、炭素の汚染を低く抑制するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化ガリウム(GaN)
や窒化アルミニウム(AlN)及びそれらの混晶等の窒
素を含む含窒素 III−V族化合物層を発光層として備え
た発光素子に係わり、特に、発光強度の増大を果たすた
め、等電子的で且つ発光の再結合中心となる元素がドー
ピングされた含窒素 III−V族化合物層を備えた発光素
子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の青色或いは青緑色等の短波長発光
ダイオード(LED)には、窒素(元素記号:N)を含
む III−V族化合物半導体(含窒素 III−V族化合物半
導体)が発光層として使用されている。例えば、従来の
青色LEDには、窒化ガリウム(GaN)やGaNと窒
化インジウム(InN)からなる窒化ガリウム・インジ
ウム(GaInN)混晶が発光層材料として利用されて
いる(加藤 久喜、「豊田合成技報」、Vol.35、
No.2(1993)、91頁及びS.Nakamur
a他、Appl.Phys.Lett.、64(13)
(1994)、1687.)。
【0003】これらの含窒素 III−V族化合物半導体層
から構成される従来の短波長LED用の発光層には、元
素周期律表の第II族元素に属する亜鉛(Zn)がドーピ
ングされている(例えば、前出のAppl.Phys.
Lett.、64(1994)、1687.)。室温で
の禁止帯幅を約3.4eVとするGaNでは、亜鉛は価
電子帯より約0.4eVの比較的深いエネルギー位置に
不純物準位を形成する(VonH.G.GRIMMEI
SS他、Z.Naturforsh.,15(196
0)、799.)。GaN等の比較的禁止帯幅が広い含
窒素 III−V族化合物半導体に亜鉛をドーピングする理
由は、亜鉛が形成する再結合中心(recombina
tioncenter)による間接再結合を利用して短
波長の発光を得るためである。
【0004】GaNについて発光の再結合中心となる不
純物には、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、金(A
u)、銅(Cu)、リチウム(Li)等や(Z.Nat
urforsh.,15(1960)、799.)、珪
素(Si)がある(F.KAREL他、phys.st
at.sol.,3(1963)、K78.)。AlN
では、マンガン(Mn)が再結合中心を形成する発光性
不純物として知られている(G.A.Wolff他、P
hys.Rev.,114(5)(1959)、126
2.)。GaNについては更に、イオン注入法によりド
ーピングされたホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、
リン(P)、カルシウム(Ca)、砒素(As)に加
え、次項に記す不純物が発光をもたらす不純物として挙
げられる(J.I.Pankove他、J.Appl.
Phys.,47(12)(1976年12月)、53
87.)。
【0005】即ち、ベリリウム(Be)、炭素(C)、
酸素(O)、ナトリウム(Na)、Al、硫黄(S)、
塩素(Cl)、カリウム(K)、スカンジウム(S
c)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(N
i)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、クリプ
トン(Kr)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム
(Zr)、銀(Ag)、錫(Sn)、テルリウム(T
e)、バリウム(Ba)、ジスポロジウム(Dy)、エ
ルビウム(Er)等が利用できる。
【0006】また、補足中心となるアイソエレクトロニ
ックトラップ(isoelectronic tro
p)による擬間接遷移を利用したLEDも知られてい
る。例えば、窒素をアイソエレクトロニックトラップと
してドーピングしたリン化ガリウム(GaP)を発光層
とする III−V族化合物半導体LEDが代表的な例であ
る(深海 登世司監修、「半導体工学」(1993年東
京電機大学発行)、195頁)。リンと同じく元素周期
律表の第V族元素である窒素のドーピングによって、窒
素とリンの殻外電子の数の差異に基づき、窒素を補足中
心とした擬間接遷移により強い発光が得られるからであ
る。アイソエレクトロニックトラップを利用した発光層
には、窒素をドーピングした砒化リン化ガリウム(Ga
PAs)やリン化ガリウムインジウム(GaInP)が
ある(「半導体工学」、195頁)。アイソエレクトロ
ニックトラップ不純物を発光層として利用した場合、強
度的に優れるLEDが得られるのが特徴である。
【0007】光の3原色は赤、青及び緑である。3原色
を混合させて様々な発色を呈する多色表示器(ディスプ
レイ)等を作製する場合にあっても、これらの3色の発
光光度が同等である発光素子を組み合わせて光を調合す
るのが望ましい。現状に於いて、青色及び赤色を呈する
LEDについては、1(カンデラ)を越える高輝度化が
達成されている。一方、多色表示をするために光の調合
上、是非とも必要である3原色の一色である緑色を発す
るLEDの発光光度は概ね、0.3カンデラ程度と低い
光度に留まっている。多色のLED表示装置を実現する
には、緑色を呈する短波長LEDの発光強度を充分に高
める必要がある。
【0008】或る半導体層を構成する元素と元素周期律
表の同族に属しながら、殻外電子の数を異にする元素が
アイソエレクトロニック不純物となるとすれば、GaN
に対するAl、GaNに対するInやGaNに対するタ
リウム(Tl)などがアイソエレクトロニック不純物と
なり得る。タリウムはまた、発光の再結合中心でもあ
り、タリウムがドーピングされたGaNからは、波長が
約525nmの緑色発光が得られる(全出のZ.Nat
urforsh.,15(1960)、799.)。こ
のことから、タリウムがドーピングされた、タリウム以
外の第 III族元素であるガリウム、アルミニウムやイン
ジウムを構成元素として含む含窒素 III−V族化合物半
導体発光層として利用すれば、より高輝度の緑色帯域の
LEDが期待される。
【0009】しかし、発光強度の増大を主たる目的とし
て、アイソエレクトリックトラップとなり、且つ発光の
再結合中心となり得るタリウムをドーピングした含窒素
III−V族化合物半導体層を発光層として具備させた発
光素子は、未だ実現されていない。よって、タリウムを
ドーピングした含窒素 III−V族化合物半導体からなる
発光層を備えたLEDを得るに際して、高い発光強度の
発光素子を得るために、タリウムがドーピングされた含
窒素 III−V族化合物半導体からなる発光層が備えるべ
き品質要件、例えば、 (I)高い発光強度を得るために必要とされるタリウム
の原子濃度 (II)不純物や結晶欠陥等の発光強度の増大を阻害する
要因の抑制すべき濃度など未だ不明となっている。これ
は、タリウムをドーピングした含窒素 III−V族化合物
半導体層の安定的な形成を阻害する従来の成長技術上の
問題点が充分に解決されていないことに主たる原因があ
る。
【0010】従来より、発光素子用途としてのGaN或
いはAlN等の含窒素 III−V族化合物層はVPE法或
いはMBE法等の気相成長法で主に作製されている。気
相成長法の中でも有機金属化合物を原料とする熱分解気
相成長法(MOCVD、MOVPE(又はOMVPE)
などと略称される。)が従来の主たる気相成長法となっ
ている。GaNのMOCVD成長を一例にすれば、トリ
メチルガリウム((CH33Ga)やトリエチルガリ
ウム((CH3 CH23 Ga)等のトリアルキルガリ
ウム化合物などが、代表的なガリウムの供給原料として
利用されている。タリウムの有機化合物に関しては、ト
リメチルタリウム((CH33 Tl)やトリエチルタ
リウム((CH3 CH23 Tl)が、MOCVD成長
に於ける構成元素或いはドーパント供給源として既に提
示されている。
【0011】MOCVD法に於ける第V族元素の供給源
としては、第V族元素の水素化物が一般的である。含窒
素 III−V族化合物層のMOCVD成長では、アンモニ
ア(NH3 )が代表的な窒素供給源となっている。第 I
II族元素のトリアルキル化合物はルイス酸性である。逆
に、アンモニア等の第V族元素の水素化物は概してルイ
ス塩基性を呈する。ルイス塩基とルイス酸分子は分子相
互間の電子受容・供給反応に基づき極めて容易に結合
し、より高融点の難解離性物質を生成する。例えば、ト
リメチルガリウムとアンモニアとの会合により生成され
るトリメチルガリウム・アミン錯体が、次の化学反応式
(1)に示す経路をもって融点を97℃とするビスアミ
ノ誘導体(複合体)を形成する例が挙げられる。 第 III族元素の有機金属化合物では、それを構成する第
III族元素は結合価を4価とする傾向が強い(G.E.
COATES、Organo−Metallic Co
mpounds、2nd.edi.,(1960)(M
ETHUEN& CO LTD)、p.88)。トリメ
チルタリウムやトリエチルタリウムに代表されるトリア
ルキルタリウム化合物は、Al、Ga及びInのトリア
ルキル化合物に比較すれば、他の分子から電子を受容す
る程度は小さいものの(Organo−Metalli
c Compounds、p.158)、ルイス塩基で
あるアンモニアとの会合により複合体を形成する。MO
CVD用途として提示されている従来のトリアルキルタ
リウム化合物は、ルイス塩基性を呈すアンモニア等の第
V族元素の水素化物と複合体化反応を完全には回避でき
ず、これが従来技術に於いてタリウムドーピング含窒素
III−V族化合物半導体層の成長が充分な安定性をもっ
て実施されない主たる原因となっていた。
【0012】複合体化反応に因りタリウムの原料が不必
要に消費されると、成長反応炉へは意図する量或いは濃
度のタリウムが正確に供給できない。これにより、複合
体化反応によるポリマー状の生成物が発生し、その結
果、(a)表面状態が損なわれるのに加えて、(b)成
長層内のタリウム濃度の充分な制御性が得られないなど
の不具合を招いている。
【0013】MOCVD法にあっては、常圧(大気圧)
や減圧の方式に拘らず、半導体を構成する元素を含むト
リメチルガリウム((CH33 Ga)などの、脂肪族
化合物或いは芳香族化合物等の有機金属化合物原料の熱
分解を利用して成膜を実施する。有機金属化合物原料の
熱分解では、それを構成元する金属元素が放出されると
共に、金属原子に付加している脂肪族基或いは芳香族基
等の炭化水素基の分解に因り炭素(C)が同時に放出さ
れる。例えば、メチル金属化合物にあっては、成長層に
炭素の混入をもたらす主たる原因はメチル基(CH3
−)或いはその熱分解フラグメントであると云われる。
従来のタリウム源の一例であるトリメチルタリウムの熱
分解に於いても、タリウムが成長系内に放出されると共
に、メチル基及びそのフラグメントから炭素が分解、放
出される。バックグランドの炭素濃度に加えて、トリメ
チルタリウムの分解に伴う炭素の混入により、成長層内
の炭素原子濃度は更に高くなる。MOMBE法に於いて
は、トリメチルやトリエチル化合物を原料として使用す
る場合もあるが、通常のVPE法或いはMBE法では有
機金属化合物を含窒素 III−V族化合物半導体を成長さ
せるための出発原料とすることは希有である。しかし、
通常のVPE法或いはMBE法で成長させた含窒素 III
−V族化合物半導体成長層内にも、例えば基板結晶の表
面洗浄に使用した有機溶媒の残査或いは基板表面に吸着
した一酸化及び二酸化炭素等を媒介として炭素が含まれ
ている。バックグランドとしての炭素濃度は、MOCV
Dの場合と極端な差はない。
【0014】良質な膜質の含窒素 III−V族化合物半導
体MOCVD層を得るのに要求される成長温度である8
00℃前後から1200℃の範囲に於いて、炭素原子の
バックグランド濃度は成長温度の上昇と共に増加する。
実用的な成長温度で最も低い800℃に於けるGaNM
OCVD成長層の炭素原子のバックグランド濃度は約4
×1016cm-3程度である。成長温度950℃では、ア
ンドープGaNMOCVD膜のバックグランドの炭素の
原子濃度は約7×1016cm-3に上昇する。従来のトリ
アルキルタリウム化合物をタリウムのドーピング源とし
て得たGaNMOCVD成長層にあっては、炭素原子の
濃度は成長層内へのタリウムドーピング量にほぼ比例し
てバックグランド濃度より顕著に増加する。トリメチル
タリウムをタリウムドーピング源として、常圧方式のM
OCVD法により、温度950℃で成長させたタリウム
ドーピングGaN層のタリウム原子の濃度と炭素原子の
濃度との関係を図4に例示する。成長温度950℃に於
いて、タリウムの原子濃度を5×1017cm-3以上とす
るタリウムドーピングGaNMOCVD層内の炭素の原
子濃度は約1×1018cm-3以上となる。タリウムをド
ーピングする含窒素 III−V族化合物半導体材料に拘ら
ず、一般的な成長温度である800℃前後から1200
℃の範囲内では、同一のタリウム原子濃度に於ける炭素
原子濃度は成長温度の上昇と共に増加する。例えば、成
長温度を1050℃として得たタリウム原子濃度を5×
1017cm-3とするAlN層内の炭素の原子濃度は約2
×1018cm-3であり、成長温度を800℃とした場合
の約4倍となる。従来のトリメチルタリウムをタリウム
源とする限り、従来の一般的な温度に於いて成長させた
タリウムの原子濃度を5×1017cm-3近傍とする含窒
素 III−V族化合物半導体層に於いて、炭素の原子濃度
を約1018cm-3以下にするのは困難が伴っていた。こ
の炭素原子濃度の増加はトリアルキルタリウム化合物の
熱分解に付随した本質的なものであるため、従来のタリ
ウムドーピング源を利用する限り、成長方式を変更して
も充分に回避することができない。
【0015】含窒素 III−V族化合物半導体層内の炭素
濃度の増大はLEDの発光強度の増大に支障を及ぼす。
例えば、過剰な濃度の炭素は含窒素 III−V族化合物半
導体層の内部に炭素不純物に関与する非発光性の欠陥を
促す。非発光性の欠陥が多量に含まれる含窒素III−V
族化合物半導体層を発光素子に用いると、発光構造から
の発光を吸収するため、発光素子の高輝度化に不都合と
なる。このため、LEDの発光強度の増大に支障を来た
す非発光中心等の密度が小さいタリウムをドーピングし
た含窒素 III−V族化合物半導体層を得るには、層内へ
の炭素の汚染量を低減できるタリウムのドーピング源を
選択する必要がある。現状では、従来のトリアルキルタ
リウム化合物に替わる炭素の混入を抑制するに適するタ
リウムのドーピング源は提示されていない。これらのこ
とが、タリウムドーピング含窒素 III−V族化合物半導
体を具備してなる高輝度の緑色LEDを得るに支障とな
っている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】アイソエレクトリック
元素であり且つ発光の再結合中心となり得るタリウムを
発光強度の増大を目的としてドーピングした含窒素 III
−V族化合物半導体を具備した、短波長、特に緑色の発
光を呈する高輝度のLEDを安定して得るには、次の課
題を解決する必要がある。 (1)発光強度の増大を果たすに必要とされる含窒素 I
II−V族化合物半導体層内のタリウムの原子濃度 (2)発光強度の低下を誘起する非発光中心等の欠陥の
発生を低く抑制できる含窒素 III−V化合物半導体層内
の炭素の原子濃度 (3)また、MOCVD法などの気相成長法等により、
表面状態に優れ、低炭素濃度のタリウムドーピング含窒
素 III−V族化合物半導体発光層を安定して形成するた
めに必要とされるタリウムのドーピング源の採用。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明では、以下の手段
をもって課題を解決し、高輝度の緑色発光素子を提供す
る。即ち、本発明は、(イ)ホウ素(B)、アルミニウ
ム(Al)、ガリウム(Ga)若しくはインジウム(I
n)のいずれかの第 III族元素と窒素を第V族の一構成
元素として含み、且つタリウムがドーピングされてなる
含窒素 III−V族化合物半導体層を具備した発光素子を
提供するものであって、特に、(ロ)タリウムがドーピ
ングされてなる含窒素 III−V族化合物半導体層は、タ
リウムの原子濃度を5×1017cm-3以上とし、且つ炭
素の原子濃度は2×1016cm-3以下とし、また、
(ハ)上記(ロ)に記載の含窒素 III−V族化合物半導
体層は、シクロペンタジエニルタリウム化合物をもって
タリウムをドーピングすることを特徴とするものであ
る。
【0018】タリウムをドーピングする対象とする含窒
素 III−V族化合物半導体層はホウ素(B)、アルミニ
ウム(Al)、ガリウム(Ga)若しくはインジウム
(In)の中の少なくとも1種の第 III族元素を構成元
素として含むものとする。これに該当する III−V族2
元化合物には、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム
(AlN)、窒化ガリウム(GaN)及び窒化インジウ
ム(InN)がある。含窒素3元 III−V族化合物混晶
には、窒化アルミニウム・ガリウム(AlGaN)、窒
化ガリウム・インジウム(GaInN)、窒化アルミニ
ウム・インジウム(AlInN)、窒化ホウ素・ガリウ
ム(BGaN)、窒化ホウ素・インジウム(BInN)
等がある。また、含窒素4元 III−V族化合物混晶に
は、窒化アルミニウム・ガリウム・インジウム(AlG
aInN)、窒化ホウ素・ガリウム・インジウム(BG
aInN)等がある。タリウムをドーピングする層は、
窒素と窒素以外の第V族元素を含む含窒素 III−V族化
合物半導体層でも構わない。窒素と窒素以外の第V族元
素を含む含窒素 III−V族化合物半導体の例には、窒化
リン化アルミニウム・ガリウム(AlGaNP)や窒化
ヒ化ガリウム・インジウム(GaInNAs)などがあ
る。
【0019】タリウムをドーピングする含窒素 III−V
族化合物半導体層の伝導形はp形、n形或いは高抵抗の
i形とする。p形のタリウムドーピング含窒素 III−V
族化合物半導体層は、気相成長時に元素周期律表の第II
族に属する亜鉛、マグネシウム、ベリリウム等をドーピ
ングすれば得られる。n形のタリウムドーピング含窒素
III−V族化合物半導体層は、第IV族元素であるシリコ
ンや錫或いはまた第VI族元素である硫黄、セレンやテル
リウム等のドーピングによって得ることができる。例え
ば、MOCVD法による気相成長に於いて、タリウムと
マグネシウムを含窒素 III−V族化合物半導体層を同時
にドーピングすれば、タリウムがドーピングされたp形
の含窒素 III−V族化合物半導体層を得ることができ
る。マグネシウムのドーピング源の例には、ビスシクロ
ペンタジエニルマグネシウム((C552 Mg)等
がある(C.R.LEWIS他、Electron.L
ett.、18(13)(1982)、569.)。第
IV族若しくは第VI族元素のドーピング源としては、従来
のシラン(SiH4)、シ゛シラン(Si26 )、硫化水素(H2
S)、セレン化水素(H2 Se)等の水素化物が利用で
きる。また、これらの元素を含む有機化合物もドーピン
グ源として利用できる。気相成長方法等の成長方法に於
いて、電気的な活性の量を表すドナー濃度及びアクセプ
ター濃度がほぼ同等となる様に上記のn形及びp形の元
素のドーピングを施せば、n形とp形キャリアの補償に
より高抵抗の含窒素 III−V族化合物半導体層を得るこ
とができる。
【0020】タリウムをドーピングした含窒素 III−V
族化合物半導体層を発光層として利用する際には、その
タリウムドーピング層のキャリア濃度は、n形層にあっ
ては約1×1015cm-3から約1×1017cm-3の範囲
とし、望ましくは1×1016cm-3近傍とする。p形層
のキャリア濃度は概ね、約1×1015cm-3から約1×
1017cm-3とし、1×1017cm-3前後であるのが好
ましい。MOCVD法等の気相成長法に於いては、例え
ば、n形或いはp形となるドーパントの含窒素 III−V
族化合物半導体層へのドーピング量を調整すれば、キャ
リア濃度を上記の好ましい値とすることができる。
【0021】タリウムをドーピングして発光層となすn
形或いはp形の含窒素化合物半導体層の層厚は概ね、約
0.01μm以上で数μm以下とし、0.1μm前後と
するのが好ましい。層厚を約0.01μm以上で数μm
以下とする発光層は、含窒素 III−V族化合物半導体層
の堆積速度が既知である気相成長条件下に於いては、成
長(堆積)時間を調整することにより得ることができ
る。
【0022】発光層内のタリウムの原子濃度が比較的低
い濃度である場合は、タリウムの原子濃度に比例してほ
ぼ直線的に発光強度が増大する。タリウムの原子濃度が
或る濃度を越えると発光の強度は飽和する傾向を示す。
図5に一例として、タリウムをドーピングしたマグネシ
ウムドープp形GaN層のフォトルミネッセンス発光強
度のタリウム原子濃度依存性を示す。タリウムの原子濃
度が5×1017cm-3以上となると発光強度は飽和する
傾向を示す。更に、タリウムを原子濃度にして5×10
19cm-3を越えてドーピングすると表面状態の顕著な悪
化を招き、発光強度は逆に低下する。同様のタリウムの
原子濃度と発光強度の関係は、発光層を構成する材質に
依らず認められる。また、この傾向はタリウムをドーピ
ングする含窒素 III−V族化合物半導体層の伝導形並び
にキャリア濃度に殆ど依存せずに得られる。大きなフォ
トルミネッセンス強度が得られるタリウムドーピング含
窒素 III−V族化合物半導体層を発光層とすれば、高輝
度のLEDを得るに優位となる。従って、タリウムの原
子濃度は大きなフォトルミネッセンス発光強度が安定し
てもたらされる範囲とする。よって、発光層にドーピン
グするタリウムの原子濃度は5×1017cm-3以上と
し、成長層の表面状態の悪化を招かない5×1019cm
-3以下とする。この濃度の範囲外では、タリウムをドー
ピングしたことによる発光強度の増大の効果は、タリウ
ム濃度が上記範囲内にある場合に比べ、必ずしも充分で
はない。
【0023】タリウムの原子濃度を大きな発光強度が得
られる領域にある約1×1018cm-3とした場合の、タ
リウムドーピングp形GaN層内の炭素の原子濃度とフ
ォトルミネッセンス発光強度との関係を図6に示す。炭
素の原子濃度が2×1016cm-3を越えるとフォトルミ
ネッセンス発光強度は急激に低下する。炭素原子濃度の
増大に伴う非発光性の結晶欠陥密度の増加と成長層の表
面状態の悪化に伴う光散乱の増大のためである。同様の
炭素の原子濃度と発光強度の関係は、タリウムをドーピ
ングした含窒素III−V族化合物半導体の種類、伝導形
並びにキャリア濃度に殆ど依存しない。発光層とするに
は、大きなフォトルミネッセンス強度を安定して呈する
含窒素III−V族化合物半導体層であるのが都合が良
く、よって、炭素の原子濃度は2×1016cm-3以下と
する。実際には、含窒素 III−V族化合物半導体層の炭
素の原子濃度はバックグランドの炭素濃度以下とはなら
ない。従って、含窒素 III−V族化合物半導体層内の炭
素濃度は実際には、バックグランド濃度以上で2×10
16cm-3以下となる。発光層内に含まれる炭素の濃度
は、例えば2次イオン質量分析法等により簡便に測定
し、管理できる。
【0024】従来のタリウム源であるトリアルキルタリ
ウム化合物を使用する限り、図4に示した如く本発明で
規定するタリウムの原子濃度の範囲に於いて、炭素の原
子濃度を本発明に規定される値以下とするタリウムドー
ピング含窒素 III−V族化合物半導体層は得られない。
特に、気相成長方法に於いて複合体化反応を伴わずにタ
リウムを含窒素 III−V族化合物半導体層にドーピング
し、且つ炭素濃度を2×1016cm-3以下に抑制するた
めに、本発明では、シクロペンタジエニルタリウム化合
物をタリウムのドーピング源として使用する。シクロペ
ンタジエニルタリウム化合物の代表的な例に結合価を1
価とするシクロペンタジエニルタリウム(I)(C5
5 Tl(I))がある。タリウムは第 III族に属する元
素であるため3個の価電子を有する。ところが、シクロ
ペンタジエニルタリウム(I)では、結合に寄与してい
る電子は1個のみであり、結合に寄与しない他の2個の
電子がタリウムの原子の周囲に存在している。この孤立
した電子が存在することによってルイス酸性は薄めら
れ、ルイス塩基との電子供給・受容反応は生じ難くな
る。これにより、含窒素 III−V族化合物半導体層のM
OCVD成長に於いて、窒素源として多用されているア
ンモニアを構成している窒素原子の周囲に存在する孤立
電子対と、タリウムの周囲に存在する非結合性の電子対
とが互いに電気的に反発し、容易には錯体化せず複合体
を形成しない利点がある。よって、平滑な表面状態に優
れる成長層が得られる。
【0025】シクロペンタジエニルタリウム(I)(C
55 Tl(I))は約300℃の比較的低温で分解す
る。分解時には、タリウム原子に結合しているシクロペ
ンタジエニル環(C5−)は放出され、炭素原子と
水素原子には解離せず、シクロペンタジエンとなる。シ
クロペンタジエンは蒸発性が高く成長反応系に容易に排
出される。よって、炭素の汚染源となる熱分解生成物の
成長環境内での濃度を減少させられる利点がある。シク
ロペンタジエン環を付加してなる前記のp形ドーパント
の一種であるビスシクロペンタジエニルマグネシウム
((C52 Mg)と組合せてシクロペンタジエ
ニルタリウム(I)(C55 Tl(I))を併用すれ
ば、本発明に規定する数値以下の炭素濃度を有するタリ
ウムがドーピングされたp形の伝導を呈する含窒素 III
−V族化合物半導体層を得ることができる。シクロペン
タジエニル環を付加した原料の組合わせは、含窒素 III
−V族化合物半導体層の成長に於いて、炭素原子のバッ
クグランド濃度を低減するに優位となり、また、タリウ
ムをドーピングに伴う含窒素 III−V族化合物半導体層
への炭素原子の混入を抑制するに優位である。
【0026】シクロペンタジエニルタリウム(I)をタ
リウムのドーピング原料とした、タリウムドーピング含
窒素 III−V族化合物半導体層は、例えば、MOCVD
法等の気相成長法で形成することができる。MOCVD
成長方式は常圧方式でも減圧方式でも差し支えない。成
長温度としては、成長を実施する際の圧力に依らず約3
00℃から約1200℃程度の範囲で設定できる。この
範囲内の温度であれば、タリウム原子濃度を5×1015
cm-3以上とし5×1019cm-3以下とする範囲に於い
て、炭素濃度が2×1016cm-3以下のタリウムドーピ
ング含窒素 III−V族化合物半導体層を得ることができ
る。この温度範囲では、タリウムの含窒素 III−V族化
合物半導体層へのドーピング効率が良好でタリウムの原
子濃度を制御し易く安定してタリウムドーピング発光層
が形成されるからである。また、炭素の層内への混入も
充分に抑制されることによる。図4にシクロペンタジエ
ニルタリウム(I)をタリウムドーピング源として成長
温度950℃で成長させたGaN層の炭素原子濃度のタ
リウム原子濃度依存性を、従来例と併記させて示す。
【0027】タリウムイオンを注入することによっても
タリウムがドーピングされた上記の含窒素 III−V族化
合物半導体層を得ることができる。タリウムの原子濃度
は被注入体へのタリウムイオンのドーズ量を調節するこ
とにより、5×1017cm-3以上とすることができる。
一方、タリウムイオンの注入によって、タリウムドーピ
ング含窒素 III−V族化合物半導体層を得る場合にあっ
ては、被注入体の炭素原子濃度に然したる変化を及ぼさ
ない。イオン注入法により得られたタリウムドーピング
含窒素 III−V族化合物半導体層の炭素原子濃度はほぼ
その層のバックグランドの炭素原子濃度となる。従来の
実用的な成長温度に於ける含窒素 III−V族化合物半導
体層のバックグランドの炭素原子濃度は最低でも約4×
1016cm-3である。この様な炭素原子のバックグラン
ド濃度を高くする被注入体にタリウムイオンを注入して
も、炭素の原子濃度を本発明の規定の範囲とすることは
困難である。
【0028】タリウムをドーピングした含窒素 III−V
族化合物半導体からなる発光層を備えたLEDは、例え
ば発光層とヘテロ接合するクラッド層等を備えた積層構
造に加工を加えることによって作製できる。LED用途
の積層構造の一例として、結晶基板上にn形の緩衝層と
n形の下部クラッド層とp形のタリウムドーピング発光
層とp形の上部クラッド層とを順次、堆積させてなる構
成を挙げることができる。タリウムドーピング発光層の
伝導形に依存して、それにヘテロ接合させるクラッド層
等の伝導形は変化させれば、pn接合型の発光素子が得
られる。高抵抗であるタリウムドーピング発光層を利用
する場合には、当該発光層の両側にp形層及びn形層を
配置した構成からなるpn接合型の発光素子とすること
ができる。高抵抗のタリウムドーピング III−V族化合
物半導体層はMIS型の発光素子を得るにも利用でき
る。
【0029】積層を構成する含窒素 III−V族化合物半
導体層は全て同一の材料から構成しても良く、或いは異
なる材料から構成しても構わない。積層を構成する層を
全てGaNとすれば同一の材料から構成された積層構造
が得られる。GaNは含窒素 III−V族化合物半導体層
の一例であり、前記した含窒素 III−V族化合物半導体
から適宣、選択された材料をもって積層構造を構成する
ことができる。また、異なる含窒素 III−V族化合物半
導体材料からなる積層構造の例には、AlN層/タリウ
ムドーピングAlGaN発光層/InN層などがある。
【0030】積層構造を構成する各含窒素 III−V族化
合物半導体層の伝導形の組み合わせに制限はない。LE
D用途のpn接合を備えたダブルヘテロ接合構造を得る
にあっては、発光層より下部に位置する各層を例えば、
n形の層より構成し、発光層と発光層より層の膜厚方向
に上部に配置する各層をp形に逆転させた構成とする例
がある。
【0031】LED等の発光素子を作製する際の電極の
形成方法、電極の材料及び電極の形状には種々の方法、
材料及び形状がある。電極の形成方法には、例えば真空
蒸着法やスパッタリング法等の物理的堆積法やCVD法
などの化学的堆積法が挙げられる。複数の形成方法を利
用して電極を形成しても構わない。例えば、真空蒸着法
で数千オングストローム程度の薄い金(Au)蒸着膜を
形成した後、金蒸着膜上に更に、鍍金法などにより金メ
ッキ膜を堆積すれば、リード線のボンデング或いは回路
基板への実装に耐え得る層厚が厚い電極を形成すること
ができる。電極の材料は、例えば、pn接合形のLED
にあっては、電極を形成する層に対し、オーミック性が
得られる材料であれば特に良い。MIS型の発光素子に
あっては、必ずしもオーミック性が得られる材料から電
極を形成する必要はない。既知であるマグネシウム、A
lやAu(G.LEWICKI他、J.Phys.Ch
em.Solids、29(1968)、1255.)
やAg(上村 陽一郎、「応用物理」、第40巻第5号
(1971)、572頁)が電極材料として利用でき
る。金属の単層膜のみでなく、金属膜を多層に積層した
構造からも電極を構成できる。ITOと略称されるイン
ジウム・錫酸化物等の無機化合物や導電性の有機化合物
膜からも電極を構成できる。電極の形状は円形または方
形または多角形などとすることができる。リード線のボ
ンデング性等の発光素子を得るにあたっての工程的な容
易さ等を加味して、電極の形状を決定すれば良い。ま
た、異なる形状の金属膜等を合体させて電極を形成する
こともできる。例えば、平面形状が円形の導電膜と長方
形が直角に交差してなる十字形の導電膜とを組合せた電
極としても構わない。電極とする金属膜の最終的な厚さ
は数千オングストロームから5μm程度とするのが好ま
しい。
【0032】
【作用】タリウムが発光層からの発光の強度をさらに増
大させる元素として作用することを利用したものであ
る。
【0033】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明を実施例を基に説明する。本
実施例では、基板上に堆積させたタリウム(Tl)ドー
ピング窒化ガリウム(GaN)発光層を備えた複数の含
窒素III−V族化合物半導体層からなる積層構造からL
EDを構成する例を挙げる。作製したLEDの平面模式
図及び垂直断面図を各々、図1及び図2に示す。積層構
造を構成するにあたり、基板(101)として5N(9
9.999%)以上の純度を有する板状のアルミニウム
(Al)を使用した。使用したアルミニウム基板(10
1)は50±1mmφの円板であり、厚さは約0.5m
mであった。基板は他の材料から選択しても構わない。
例えば、含窒素 III−V族化合物半導体層の堆積用とし
て従来から、利用されているサファイア等でも差し支え
はない。アルミニウム基板(101)は、その表面を希
酸で処理し、比抵抗を約18メガオームセンチメートル
(MΩ・cm)とする超純水で洗浄した後、室温で乾燥
させた。乾燥後、常圧方式のMOCVD成長装置の反応
炉内に搬入し、載置台上に載置した。
【0034】次に、アルミニウム基板(101)の上方
から、パラジウム(Pd)膜透過式水素精製装置により
純化された高純度の水素ガスをキャリアガスとして供給
し、基板(101)の表面に約10リットル/分の流量
をもって水素ガスを吹き付けた。水素ガスの基板(10
1)への吹き付けを継続しながら、基板(101)の温
度を抵抗加熱型のヒーターを利用して約20分を掛けて
約300℃に加熱し、同温度に15分間保持した。基板
(101)を同温度に保持している間にあっては、上記
の水素キャリアガス以外のガスは反応炉内に供給しなか
った。然る後、同一のヒーターにより基板(101)を
含窒素 III−V族化合物半導体層の堆積を実施する温
度、いわゆる成長温度である600℃に昇温する直前
に、窒素源である気化された1,4−ジアザビシクロ
[2,2,2]オクタン(1,4−Diazabicy
clo[2,2,2]octane)を水素キャリアガ
ス中へドーピングを開始した。この窒素源は温度約60
℃に保持し、昇華した1,4−ジアザビシクロ[2,
2,2]オクタンは上記した如く精製された水素ガスで
随伴し、ドーピングした。1,4−ジアザビシクロ
[2,2,2]オクタンを窒素源として選択した理由
は、同物質がほぼ平衡の状態に於いて約450℃で分解
する、低温分解性の窒素化合物の一種であることによ
る。これにより、融点が比較的低いアルミニウム(A
l)材料を基板として使用することを可能とする。
【0035】昇温により基板(101)の温度を成長温
度である600℃に到達させた後、基板(101)の温
度を安定させるために同成長温度に20分間保持した。
20分間の保持時間を経過した後、ガリウム(Ga)源
としたトリメチルガリウム((CH33 Ga)を水素
キャリアガス中へドーピングを開始し、Al基板(10
1)へn形のGaN層(102)を堆積した。n形のG
aN層(102)は、n形のドーパントとして既に知ら
れているシリコン(Si)を含むシラン(SiH4 )ガ
スを水素キャリアガスにドーピングすることによって得
た。シランガスの水素キャリアガスへのドーピング量
は、n形GaN層(102)のキャリア濃度が約1×1
18cm-3となる様に調整した。体積濃度が5ppmに
高純度水素ガスにより希釈されたドーピング用シランガ
スを使用した際に、当該キャリア濃度を得るに要したシ
ランドーピングガスの流量は12cc/分であった。G
aN層(102)の膜厚は、本実施例では約2μmとし
たが、膜厚及びキャリア濃度共に本実施例の数値に限定
されるものではない。
【0036】GaN層(102)上には、トリメチルガ
リウムをガリウム源及び1,4−ジアザビシクロ[2,
2,2]オクタンを窒素源とし、シクロペンタジエニル
タリウム(I)(C55 Tl(I))をタリウムのド
ーピング源として、タリウムがドーピングされたp形の
GaNからなる発光層を堆積した。成長温度は引き続き
600℃とした。タリウムのドーピング量は、GaN発
光層(103)内のタリウムの濃度が原子濃度にして約
9×1017cm-3となる様にシクロペンタジエニル
(I)の水素キャリアガスへのドーピング量を調整し
た。この原子濃度は上記したタリウム源(126)を収
納する容器(127)の温度を80℃にタリウム源用恒
温槽(128)により調整した際に於いては、タリウム
源(126)へ流通する原料搬送用ガス(117)の流
量を120cc/分とすることによって得た。p形のタ
リウムドーピング発光層(103)は、タリウムドーピ
ング源であるシクロペンタジエニル(I)と同様のシク
ロペンタジエニル環(C55 −)を付加結合した、ビ
スシクロペンタジエニルマグネシウム((C552
Mg)をp形ドーパント源として利用して得た。p形G
aN発光層(103)のキャリア濃度は約1×1017
-3とし、膜厚は約0.1μmとなる様に堆積条件を設
定した。一般的なSIMS分析に依れば、p形GaN発
光層(103)内の炭素不純物の濃度は約2×1016
-3と定量された。
【0037】p形GaN発光層(103)上には、トリ
メチルガリウムをガリウム源及び1,4−ジアザビシク
ロ[2,2,2]オクタンを窒素源とし、ビスシクロペ
ンタジエニルマグネシウムをp形ドーパントのドーピン
グ源として、p形のGaN層(104)を堆積した。膜
厚は約0.1μmとし、キャリア濃度は約3×1017
-3とした。成長温度は600℃に維持し、水素キャリ
アガスの流量は継続して10リットル/分とした。Ga
N層((102)〜(104))の堆積時は一貫して反
応炉内の圧力を760Torr近傍に保持した。
【0038】以上の成長操作により、基板上にタリウム
ドーピング発光層を含む合計3層のGaN層からなるL
ED用途の積層構造を得た。得られた積層構造を母体材
料として以下に記す方法によりLEDを作製した。
【0039】積層構造の最表層であるp形のGaN層
(104)の表面を通常のプラズマCVD法により酸化
珪素膜(105)で被覆した。次に、酸化珪素膜(10
5)の表面を一般のフォトレジスト材で被覆した。次
に、公知のフォトリソグラフィー法を利用して、表面電
極(106)を形成する領域をパターニングし、電極
(106)を形成する領域のみの上記のフォトレジスト
材を剥離した。これにより、電極(106)の形成領域
のみのp形GaN層(104)の表面を露出させた。然
る後、上記のパターニング工程を経て露出させたp形G
aN層(104)の表面と酸化珪素膜(105)表面上
に残存するフォトレジスト材の表面上に通常の真空蒸着
法により高純度(6N)のアルミニウムを被着させた。
アルミニウムの真空蒸着後、酸化珪素膜(105)上に
残存するフォトレジスト材を利用したリフトオフ法によ
り、フォトレジスト材の表面に被着したアルミニウム真
空蒸着膜を除去した。このリフトオフ法により、アルミ
ニウム真空蒸着膜はフォトレジスト材が剥離されている
領域、即ち、電極の形成領域にのみ残存することとな
り、これより表面電極(106)を形成した。表面電極
(106)は直径約130μmの円形電極とした。表面
電極(106)の厚さは約700nmとした。
【0040】LEDを駆動させるに必要なもう一方の対
向電極(107)は、本実施例では基板(101)に導
電性を有する軽金属のアルミニウムを用いていることか
ら基板(101)に兼用させた。これにより。基板を含
めた積層構造の上下に電極が配置され、チップサイズを
約300μm□とするLEDを作製した。
【0041】作製したLEDの電極間((106)及び
(107))に直流電圧を印加し、20mAの順方向の
動作電流を流通させ、LEDを駆動させた。得られた主
たる電気的及び光学的特性を表1に掲げる。発光色は深
緑色であり、発光の中心波長は約527nmであった。
従来の発光の中心波長を約555nmとするGaP緑色
LEDとの輝度の比較では、従来素子が100ミリカン
デラ(mcd)前後であるのに対し、本実施例のタリウ
ムドーピング発光層を備えたLEDにあっては、約80
0mcdと向上が認められた。順方向電流を20mAと
した場合の順方向電圧 (Vf )は約3.2Vと従来の
含窒素 III−V族化合物半導体からなる青色LEDの約
3.5Vに比較すると、約10%のVf の低減が認めら
れた。
【0042】
【表1】
【0043】一般的な半導体素子封止用のエポキシ樹脂
で封上後、20mAの順方向の動作電流を素子へ継続し
て通電しながら、高温高湿環境下での動作信頼性試験を
実施した。信頼性試験(高温高湿放置試験)での温度は
+60℃とし、相対湿度は80%に保持した。本実施例
のLEDにあっては、通電開始から1000時間経過
後、試験実施以前の初期発光輝度に比較して5%を越え
る発光輝度の低下は、被試験体のほぼ全数の数量のLE
Dについて確認されず、動作信頼性に優れるLEDであ
ることが示された。
【0044】(実施例2)本実施例では、タリウムをド
ーピングしてなる窒化アルミニウム・ガリウム(AlG
aN)混晶層の気相成長方法を利用した形成方法を例に
して説明する。図3に本実施例に使用した常圧(大気
圧)MOCVD気相成長装置の模式図である。
【0045】AlGaN混晶層のMOCVD成長にあた
り、本実施例では、ガリウム(Ga)源(108)とし
てトリメチルガリウム((CH33 Ga)を、アルミ
ニウム(Al)源(109)としてトリメチルアルミニ
ウム((CH33 Al)を、また窒素(N)源として
アンモニア(NH3 )を利用した。
【0046】ガリウム源(108)及びアルミニウム源
(109)は個別のステンレス鋼製容器((111)及
び(112))に収納した。ステンレス鋼製容器((1
11)及び(112))はそれぞれに専属の恒温槽
((114)及び(115))を利用して一定の温度に
保持した。ガリウム源(108)用ステンレス鋼製バブ
リング容器(111)は0℃に、及びアルミニウム源
(109)を収納するステンレス鋼製バブリング容器
(112)は20℃に各々、設定した。
【0047】ガリウム源(108)及びアルミニウム源
(109)はパラジウム膜透過式精製装置及び低温吸着
式精製装置で精製された、露点が−95℃から−110
℃の範囲にある高純度水素ガスからなる各源の蒸気を搬
送するための原料搬送用ガス(117)でバブリングし
た。ガリウム源(108)へのバブリング流量は10c
c/分とし、アルミニウム源(109)へのバブリング
流量は25cc/分とした。バブリング後の原料((1
08)及び(109))の蒸気を随伴した原料搬送用ガ
ス(117)は、気密配管((118)及び(11
9))内を流通させ、AlGaN混晶層の堆積を実施す
る反応炉(123)に通ずる主配管(121)か排気用
配管(122)のいずれかに流通できる配管構成とし
た。AlGaN混晶層の堆積を開始する以前にあって
は、配管((118)及び(119))内に流通させた
原料の蒸気を随伴した原料搬送用ガスはバルブ((13
0−1)〜(130−4))の開閉を操作することによ
り、排気用配管(122)に導入しておいた。
【0048】窒素源としては濃度100%のアンモニア
を使用した。液化アンモニアは鋼製ボンベ容器(11
3)に収納した。気化させたアンモニアは減圧装置(1
16)を介して、その圧力をゲージ圧でほぼ1気圧に減
圧した後、主配管(121)に導入させる配管構成とし
た。
【0049】タリウム源(126)には、シクロペンタ
ジエニルタリウム(I)(C55Tl(I))を使用
した。タリウム源(126)はステンレス鋼製容器(1
27)に収納し、その容器(127)は恒温槽(12
8)により75℃に一定に保持した。各源((108)
乃至(110)及び(126))の温度は、後述するタ
リウムをドーピングしたAlGaN層の堆積成長を実施
する約2時間前には一定としておいた。タリウム源(1
26)を収納する容器(127)内には、予め、高純度
の水素ガスを昇華したタリウム源を搬送するための原料
搬送用ガス(117)として流通させた。AlGaN層
の堆積成長を実施する以前にあっては、タリウム源の蒸
気を随伴する原料搬送用ガスは配管(129)を利用し
て排気用配管(122)に導入しておいた。
【0050】基板(101)には、サファイア(アルミ
ナ単結晶)を使用した。基板(101)は希酸により表
面処理を施した後、乾燥させた。前処理を終了した基板
(101)は、断面が円形の反応炉(123)内の水平
方向のほぼ中心の位置に設置した基板の載置台を兼ねる
加熱体(124)の表面上に載置した。基板(101)
を載置後、反応炉(123)内を通常の真空ポンプを使
用して10-3Torr程度の真空に排気した。真空排気
後、アルゴンガスを反応炉(123)内に導入し、反応
炉(123)内の圧力をほぼ大気圧とした。
【0051】反応炉(123)内の圧力をほぼ760T
orrの大気圧とした後、反応炉(123)に導入する
ガスをアルゴンより高純度に精製された水素に切り換え
た。高純度水素はキャリアガス(110)として、主配
管(121)を通して反応炉(123)内に導入した。
キャリアガス(110)の流量は10リットル/分に設
定した。反応炉(123)内に導入されたキャリアガス
は、反応炉(123)内に設けられたノズル(125)
を経由して基板(101)の表面に吹き付けた。
【0052】キャリアガス(110)の反応炉(12
3)内への流通を継続し、反応炉(123)内の圧力を
ほぼ大気圧に保持しながら、抵抗加熱方式の加熱体(1
24)により、加熱体(124)の表面に載置された基
板(101)の温度を一旦400℃に迄加熱した。40
0℃に到達後、20分間同温度に基板(101)を保持
した。同温度に基板(101)を保持している間には、
高純度水素キャリアガス(110)以外の原料ガスは反
応炉(123)内に流通させなかった。
【0053】然る後、キャリアガスの反応炉(123)
への供給流量及び反応炉(123)内の圧力に変化を加
えることなく、減圧装置(116)によって減圧された
窒素源となるアンモニアガスを配管(120)を通じ
て、主配管(121)内に導入した。アンモニアガスの
供給量は2リットル/分とした。窒素源のドーピングを
開始して約10分を経過後、基板(101)の温度を成
長温度である950℃に昇温した。昇温後、水素キャリ
アガス(110)の供給と窒素源ガスのノズル(12
5)内を経由させて基板(101)表面への供給を継続
しながら、基板(101)を20分間、同温度に保持し
た。
【0054】基板(101)の温度を成長温度とした9
50℃に保持した後、反応炉(123)内を圧力をほぼ
大気圧に保持しながら、ガリウム源(108)とアルミ
ニウム源(109)の蒸気を含む原料搬送用ガスをバル
ブ((130−1)〜(130−4))の開閉状態の切
り換えにより、主配管(121)内に継続して流通させ
ていた高純度水素キャリアガス(110)にドーピング
した。また、これと同時にタリウム源(126)の蒸気
を含む原料搬送用ガス(117)の水素キャリアガス
(110)へのドーピングを、バルブ((130−5)
及び(130−6))の開閉状態を切り換えることによ
り開始した。これにより、タリウムがドーピングされた
AlGaN混晶層の成長を開始した。
【0055】各原料をドーピングした水素キャリアガス
(110)をノズル(125)を経由して基板(10
1)の表面上に1時間に亘り継続した。この間、反応炉
(123)内の圧力はほぼ大気圧に保持した。これによ
り、1時間に亘り基板(101)へのAlGaAs混晶
層の堆積を実施した。1時間を経過した後、バルブ
((130−1)〜(130−6))の開閉状態を切り
換え、ガリウム源(108)、アルミニウム源(10
9)及びタリウム源(126)を含む原料搬送用ガスの
主配管(121)内を流れる水素キャリアガス(11
0)へのドーピングを停止し、排気用配管(122)へ
導入した。このバルブ操作によって、AlGaAs混晶
層の堆積を終了させた。AlGaN混晶層表面から窒素
が揮散するのを防止するために、窒素源としたアンモニ
アガスの水素キャリアガス(110)への供給は継続し
た。上記のバルブ操作を実施するのと同時に加熱体(1
24)への通電を中止し、基板(101)の温度を降温
した。基板(101)の温度が約400℃に低下した時
点でバルブ(130−7)の閉とし、窒素源の水素キャ
リアガス(110)へのドーピングを停止し、排気用配
管(122)内に導入した。主配管(121)内を通し
ての反応炉(123)内への水素キャリアガス(11
0)の供給は、室温近傍に温度に低下した基板(10
1)を反応炉(123)から取り出す前迄継続した。以
上の成長操作により、膜厚を約0.7μmとするタリウ
ムドーピングAl0. 15Ga0.85N混晶層を得た。従っ
て、成長速度は約0.7μm/時となった。
【0056】得られた含窒素 III−V族化合物半導体層
の表面には、主に複合体化反応によって生成される粒子
状の異物が殆ど認められず、極めて平滑で平坦となっ
た。SIMS分析に依ればタリウムの原子濃度は約1.
2×1018cm-3であり、一方、炭素濃度は、SIMS
分析によれば、約3×1016cm-3であった。 本発明
に係わるタリウムドーピング源を使用することにより、
表面状態に優れ、高強度の発光が得られるタリウムの原
子濃度の範囲に於いて、発光強度の低下を招く炭素の原
子濃度を極めて低濃度に抑制することができる。
【0057】(比較例)本発明のシクロペンタジエニル
タリウムに代わり、トリエチルタリウム((CH)3
l )をタリウムのドーピング源として、タリウムドー
ピング窒化アルミニウム・ガリウム(Al0.15Ga0.85
N)混晶層を成長させた。本比較例では、図3に示す常
圧方式のMOCVD装置に於いて、タリウム源(12
6)のみをトリエチルタリウムに変更した。その他の条
件は実施例と同じとした。ガリウム源(108)、アル
ミニウム源(109)及び窒素源(110)材料と、各
原料を保持した温度、各原料の蒸気を搬送するための原
料搬送用ガスの流量条件並びに水素キャリアガス等の流
量条件などを含めた成長条件は変更しなかった。バルブ
の開閉操作等の操作も実施例2に記載の方法に統一し
た。
【0058】トリエチルタリウムからなるタリウム源
(126)を収納するステンレス鋼製バブラー容器(1
27)は、恒温槽(128)により5℃に保持した。容
器(127)内に流通させる高純度水素ガスの流量は5
cc/分とした。これにより、実施例2とほぼ同様にタ
リウムの原子濃度を約1×1018cm-3とする膜厚が約
0.7μmのタリウムドーピングAl0.15Ga0.85N混
晶層を得た。SIMS分析に依れば、得られたAl0.15
Ga0.85N混晶層の炭素の原子濃度は約5×1018cm
-3であった。上記と同一の条件下で、タリウムのドーピ
ング量を一定に保ち、タリウムドーピングAl0.15Ga
0.85N混晶層の成長を10回連続して繰り返し実施した
際には、炭素原子濃度は最大値を8×1018cm-3
し、最小値を3×1018cm-3とする濃度範囲内で変動
した。炭素原子濃度についての不十分な再現性は、従来
のタリウム源であるトリエチルタリウムと窒素源とした
アンモニアとの複合体化反応の不安定性に主たる原因が
あると推定された。対照的に、実施例2に記載した本発
明に則るタリウムドーピングAl0.15Ga0.85N混晶層
の形成方法にあっては、炭素原子濃度は再現性をもって
4×1016cm-3未満に抑制され、また、タリウム原子
濃度は1.2×1018cm-3を中心として±6%の範囲
に収納された。本比較例に於いては、実施例2に記載と
同一のAl基板上に成長させたAl0. 15Ga0.85N混晶
層の表面の一部領域、特に表面の中央の領域に微粒子状
堆積物が集中しているため平坦な表面を有する成長層を
得るのは困難であった。
【0059】実施例2と比較例とで得られた結果との比
較により明かな様に、シクロペンタジエニルタリウムを
タリウムのドーピング源とする含窒素 III−V族化合物
半導体層の形成方法は、成長層中の炭素原子濃度を従来
法と比較して約2桁と顕著に減少させる効果がもたらさ
れる。また、従来から多用されている窒素源であるアン
モニアとの気相中での複合体(錯体)化反応が充分に抑
制されることによって、タリウムドーピング含窒素 III
−V族化合物半導体層内の炭素原子及びタリウム原子濃
度の再現性を向上させる効果が認められる。複合体(錯
体)化反応を充分に抑制する作用は、更に、この反応を
主たる原因として発生する微粒子の成長層表面上への堆
積を抑制する。従って、シクロペンタジエニルタリウム
をタリウムのドーピング源とするタリウムドーピング含
窒素III−V族化合物半導体層の形成方法は、平坦で且
つ透明である表面状態に優れる成長層を安定して与える
効果をもたらす。炭素原子濃度を低濃度に規定すること
によってもたらされる光学的に透明なタリウムドーピン
グ含窒素 III−V族化合物半導体層は発光層等の発光構
造を構成する層として利用するに際し、着色した成長層
と比較すれば、発光構造からの発光の透過を妨げないが
故に、発光強度に優れる発光素子を得るに優位となるの
は明かである。よって、本発明のタリウムがドーピング
された含窒素 III−V族化合物半導体層の形成方法は、
発光強度の増大などの素子特性の向上を優位とする波及
効果がある。
【0060】
【発明の効果】タリウムをドーピングした含窒素 III−
V族化合物半導体を発光層として利用することにより、
緑色LEDにあって発光強度の向上がもたらされる。シ
クロペンタジニルタリウムをタリウムのドーピング源と
するタリウムドーピング含窒素 III−V族化合物半導体
層の形成方法は、第 III族及び第V族元素の出発原料相
互の複合体化反応を回避し、表面状態に優れ且つ炭素の
原子濃度が低く抑制された含窒素 III−V族化合物半導
体層を安定して提供する効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係わるLEDの平面模式図
である。
【図2】図1に示すLEDの中央部の断面模式図であ
る。
【図3】本発明の実施に用いた気相成長装置の概略図で
ある。
【図4】タリウムをドーピングしたGaN層のタリウム
原子濃度と炭素原子濃度との関係を示す図である。
【図5】タリウムをドーピングしたGaN層のタリウム
原子濃度とフォトルミネッセンス強度との関係を示す図
である。
【図6】タリウムをドーピングしたGaN層の炭素の原
子濃度とフォトルミネッセンス強度との関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
(101) 基板 (102) n形GaN層 (103) GaN発光層 (104) p形GaN層 (105) 酸化珪素膜 (106) 表面電極 (107) 対向電極 (108) ガリウム源 (109) アルミニウム源 (110) 水素キャリアガス (111) ガリウム源収納用ステンレス鋼製容器 (112) アルミニウム源収納用ステンレス鋼製容器 (113) 窒素源収納用鋼製ボンベ (114) ガリウム源用恒温槽 (115) アルミニウム源用恒温槽 (116) 窒素源用減圧装置 (117) 原料搬送用ガス (118) ガリウム源を含む原料搬送用ガスを流通さ
せるための配管 (119) アルミニウム源を含む原料搬送用ガスを流
通させるための配管 (120) 窒素源を流通させるための配管 (121) 成長反応容器へ通ずる主配管 (122) 排気用配管 (123) 反応炉 (124) 加熱体 (125) ノズル (126) タリウム源 (127) タリウム源収納用ステンレス鋼製容器 (128) タリウム源用恒温槽 (129) タリウム源を含む原料搬送用ガスを流通さ
せるための配管 (130−1) バルブ (130−2) バルブ (130−3) バルブ (130−4) バルブ (130−5) バルブ (130−6) バルブ (130−7) バルブ (131) トリメチルタリウムをタリウムドーピング
源とした場合の炭素原子濃度を示す曲線 (132) 本発明に係わるタリウムドーピング源を使
用した場合の炭素原子濃度を示す曲線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、
    ガリウム(Ga)若しくはインジウム(In)のうち少
    なくとも一つを第 III族を構成元素とし、かつタリウム
    (Tl)がドーピングされてなる含窒素 III−V族化合
    物半導体層を発光層として具備してなることを特徴とす
    る発光素子。
  2. 【請求項2】 タリウムの原子濃度を5×1017cm-3
    以上とし、且つ炭素(C)の原子濃度を2×1016cm
    -3以下とすることを特徴とする請求項1に記載の発光素
    子。
  3. 【請求項3】 シクロペンタジエニルタリウム化合物を
    ドーピング源としてタリウムをドーピングすることを特
    徴とする発光素子の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000055920A (ko) * 1999-02-11 2000-09-15 윤종용 GaN계 발광 다이오드
JP2005285955A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Ngk Insulators Ltd 能動的高抵抗半導体層を有する半導体装置及びその製造方法
JP2014522125A (ja) * 2011-08-08 2014-08-28 イルジン エルイーディー カンパニー リミテッド 電流拡散効果に優れる窒化物半導体発光素子及びその製造方法
JP2016149458A (ja) * 2015-02-12 2016-08-18 ウシオ電機株式会社 半導体発光素子

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