JP4680431B2 - リン化硼素系半導体素子及びその製造方法 - Google Patents

リン化硼素系半導体素子及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4680431B2
JP4680431B2 JP2001197788A JP2001197788A JP4680431B2 JP 4680431 B2 JP4680431 B2 JP 4680431B2 JP 2001197788 A JP2001197788 A JP 2001197788A JP 2001197788 A JP2001197788 A JP 2001197788A JP 4680431 B2 JP4680431 B2 JP 4680431B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxygen
boron phosphide
based semiconductor
layer
semiconductor layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001197788A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003017737A (ja
Inventor
隆 宇田川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2001197788A priority Critical patent/JP4680431B2/ja
Priority to TW91113748A priority patent/TW559900B/zh
Priority to US10/180,059 priority patent/US6797990B2/en
Publication of JP2003017737A publication Critical patent/JP2003017737A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4680431B2 publication Critical patent/JP4680431B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Led Devices (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、素子動作電流の不要な漏洩或いは通流を回避するに効果を奏する高抵抗のリン化硼素(BP)系半導体層を利用して、リン化硼素系半導体素子を構成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
元素周期律のIII族に属する硼素(B)とV族元素とからなるIII−V族化合物半導体としてリン化硼素(BP)が公知である(Nature、179(No.4569)(1957)、1075頁参照)。リン化硼素については、従来より様々な禁止帯幅が報告されている。例えば、B.Stoneらは多結晶BP膜に関して約6エレクトロンボルト(eV)の室温禁止帯幅を得ている(Phys.Rev.Lett.,Vol.4、No.6(1960)、282〜284頁照)。また、Mancaに依れば、4.2eVの禁止帯幅が提示されている(J.Phys.Chem.Solids,20(1961)、268.参照)。しかしながら、リン化硼素の禁止帯幅は従来より約2eVとして通用している(▲1▼RCA Review,25(1964)、159〜167頁、及び▲2▼Z.anorg.allg.chem.,349(1967)、151〜157頁、及び▲3▼寺本 巖著、「半導体デバイス概論」((株)培風館、1995年3月30日発行初版、28頁参照)。
【0003】
また、リン化硼素はフィリップスのイオン結合度が0.006と低く(フィリップス著、「半導体結合論」((株)吉岡書店、1985年7月25日発行、第3刷)、49〜51頁参照)、伝導性半導体層を得られ易い特徴を有している(特開平2−288388号公報参照)。このため、従来では、導電性のBP層をIII族窒化物半導体レーザーダイオード(LD)を構成する電流狭窄層として用いる例が知られている(特開平10−242569号公報参照)。また、発光ダイオード(LED)にあっては、例えば、単結晶基板上の緩衝層として利用されている(特開平2−275682号公報参照)。一方、リン化硼素は電子の有効質量(effective mass)を比較的に大とするため(上記の特開平10−242569号公報参照)、n形の低抵抗BP結晶はそれ程容易には得られないとされる(上記の特開平2−288388号公報参照)。
【0004】
結晶学的な性質から観れば、立方硫化亜鉛鉱型(spharelite)(フィッリプス著、「半導体結合論」((株)吉岡書店、1985年7月25日発行、第3刷)、14〜15頁参照)のリン化硼素は、立方晶(cubic)の窒化ガリウム(c−GaN:格子定数=4.510Å)と略同一の4.538Åの格子定数を有する。また、BPの{110}格子面間隔は約3.209Åであり、六方晶(hexagonal)GaN(h−GaN)のa軸格子定数である3.180Åと略同等である(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)。この良好な格子マッチング性を利用して、従来では、BP緩衝層とGaN結晶層との接合構造を利用してショットキー(Schottky)接合電界効果型トランジスタ(MESFET)が構成されている(特開2000−31164号公報参照)。
【0005】
リン化硼素(BP)は間接遷移型の半導体である(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)。間接遷移型の半導体では、発光をもたらすキャリア(担体)の放射再結合の効率は直接遷移型半導体に比較すれば矮小である(K.Seeger著、「セミコンダクターの物理学(下)」((株)吉岡書店、1991年6月25日発行第1刷、392頁参照)。このため、間接遷移型半導体であるリン化硼素は、LEDやLDの発光層(活性層)としてではなく、上記の如く例えば、電流狭窄層として利用されている。また、電界効果型トランジスタにあっては、緩衝(buffer)層として利用する試みがなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、電界効果型トランジスタ用途の緩衝層を例にして説明するに、緩衝層はドレイン(drain)電流の漏洩を防止するために、高抵抗の結晶層から構成する必要がある。しかしながら、従来のリン化硼素の室温での禁止帯幅は約2eVと低い上に(上記の▲1▼RCA Review,及び▲2▼Z.anorg.allg.chem.参照)、イオン結合性の低い結晶であり伝導性を付与し易いため、従来技術では、MESFET用途に適する高抵抗の緩衝層を簡便に得られない欠点を有していた。
【0007】
また、従来に於いては、禁止帯幅を2eVとするリン化硼素と、窒化アルミニウム(AlN)系混晶との超格子構造を作製して、室温禁止帯幅を2eV以上とする構造体を得る技術が開示されている(上記の特開平2−275682号参照)。しかし、この従来技術手段では、煩雑な手段により超格子構造を形成する必要に迫られる問題点を有している。
【0008】
本発明は上記の従来技術の欠点を克服すべくなされたもので、従来の如く複雑な手法を要せずに高抵抗のリン化硼素系半導体層を形成し、その高抵抗のリン化硼素系半導体層を利用して構成されるリン化硼素系半導体素子とその製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、次の(1)ないし(4)に記載の含酸素リン化硼素系半導体層を具備するリン化硼素系半導体素子を提供するものである。
(1)基板上に積層された、硼素(B)とリン(P)とを構成元素として含み、さらに酸素(O)を含有する含酸素リン化硼素系半導体層を具備するリン化硼素系半導体素子。
(2)含酸素リン化硼素系半導体層中に含有される酸素原子の濃度が1×1018cm-3以上5×1020cm-3未満であることを特徴とする前記(1)に記載のリン化硼素系半導体素子。
(3)含酸素リン化硼素系半導体層の抵抗率が102Ω・cm以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のリン化硼素系半導体素子。
(4)含酸素リン化硼素系半導体層が、非晶質または多結晶のリン化硼素系半導体層上に設けられていることを特徴とする前記(1)ないし(3)の何れか1項に記載のリン化硼素系半導体素子。
【0010】
また本発明は、上記(1)ないし(4)に記載の含酸素リン化硼素系半導体層を具備するリン化硼素系半導体素子のうち、特に以下に記載のトランジスタまたは発光素子であり、さらに発光素子を用いたランプあるいは光源である。
(5)前記(1)ないし(4)の何れか1項に記載の含酸素リン化硼素系半導体層を具備するトランジスタ。
(6)含酸素リン化硼素系半導体層からなる緩衝層を具備することを特徴とする前記(5)に記載のトランジスタ。
(7)トランジスタが、含酸素リン化硼素系半導体層上に設けられたチャネル層を具備する電界効果型トランジスタであることを特徴とする前記(5)または(6)に記載のトランジスタ。
(8)トランジスタが、含酸素リン化硼素系半導体層上に設けられたショットキーゲート電極を備えた電界効果型トランジスタであることを特徴とする前記(5)ないし(7)の何れか1項に記載のトランジスタ。
(9)前記(1)ないし(4)の何れか1項に記載の含酸素リン化硼素系半導体層からなる電流阻止層を具備する発光素子。
(10)発光素子が、含酸素リン化硼素系半導体層からなる電流阻止層上に電極を設けた発光ダイオード(LED)であることを特徴とする前記(9)に記載の発光素子。
(11)前記(10)に記載の発光素子を用いたランプ。
(12)前記(11)に記載のランプを用いた光源。
(13)発光素子が、含酸素リン化硼素系半導体層からなる電流阻止層が対向する様に中央に残置された開口部上に電極を設けたレーザーダイオード(LD)であることを特徴とする前記(9)に記載の発光素子。
【0011】
また本発明は、次の(14)ないし(17)に記載のリン化硼素系半導体素子の製造方法を提供するものである。
(14)基板上に、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)により積層させるリン化硼素系半導体層に、含酸素化合物を原料に用いて酸素を添加して、含酸素リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする前記(1)ないし(4)の何れか1項に記載のリン化硼素系半導体素子の製造方法。
(15)含酸素化合物がアルコキシル(alkoxyl)基(−OR;Rは炭素数1乃至12の直鎖状または分岐状の飽和或いは不飽和アルキル(alkyl)基、炭素数6乃至20の芳香族基または脂環基等の酸素との結合する基(group)を表す。但し、前記芳香族基の基本骨格には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が例示でき、それら芳香族基には、任意にCN、ハロゲン原子、OH、カルボニル基、カルボキシル基等が置換していてもよい。また前記脂環基の基本骨格にはシクロヘキシル環等が例示できる。)を付加した有機化合物であることを特徴とする前記(14)に記載のリン化硼素系半導体素子の製造方法。
(16)含酸素化合物がトリアルコキシ(trialkoxy)硼素化合物であることを特徴とする前記(14)または(15)に記載のリン化硼素系半導体素子の製造方法。
(17)基板上に、250℃以上700℃以下の範囲の温度で非晶質または多結晶を主体とするリン化硼素系半導体層を形成した後、700℃を越え1200℃以下の範囲の温度で含酸素リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする前記(4)に記載のリン化硼素系半導体素子の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明では、例えば一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γ1- δAsδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1)で表記される硼素(B)とリン(P)とを構成元素として含むIII−V族化合物半導体を、リン化硼素系半導体と称する。また例えば、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γ1- δδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1)で表記されるIII−V族化合物半導体も、リン化硼素系半導体とする。本発明の第1の実施形態では、基板上に積層された、硼素(B)とリン(P)とを構成元素として含み、さらに酸素(O)を含有する含酸素リン化硼素系半導体層を利用してリン化硼素系半導体素子を構成する。例えば、リン化硼素系半導体素子を含酸素リン化アルミニウム・硼素混晶(BαAlβP:0<α≦1、α+β=1)を用いて構成する。あるいはリン化硼素系半導体素子を、含酸素リン化硼素・ガリウム混晶(BαGaγP:0<α≦1、α+γ=1)或いは含酸素リン化硼素・インジウム混晶(BαIn1- αP:0<α≦1)を用いて構成する。あるいはリン化硼素系半導体素子を、含酸素窒化リン化硼素(BP1ーXX:0<X<1)などの複数のV族元素を構成元素とする含酸素リン化硼素系半導体を用いて構成する。3種あるいは4種の構成元素からなる3元或いは4元半導体の混晶等よりも2元結晶は簡易に形成できる(上記の「半導体デバイス概論」、24頁参照)。よって、第1の実施形態に係わるリン化硼素系半導体層は、例えば、単量体のリン化硼素(BP:boron monophosphide)から構成するのが好ましい。
【0013】
リン化硼素系半導体層において、アンドープ状態で残留不純物(residual impurity)としての酸素原子が上記(2)の発明に記載の濃度であれば、含酸素リン化硼素系半導体層を形成するためにリン化硼素系半導体層中に酸素を敢えてドーピングする必要はない。一方、残留不純物としての酸素原子の濃度が1×1018cm-3未満である場合、本発明のリン化硼素系半導体素子を作製するために、リン化硼素系半導体層の積層時に酸素を故意に添加(doping)して、酸素原子濃度を1×1018cm-3以上とする含酸素リン化硼素系半導体層を形成する必要がある。本発明の第2の実施形態では、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)(Inst.Phys.Conf.Ser.,No.129(IOP Publishing Ltd.,1993)、157〜162頁参照)、分子線エピタキシャル(MBE)法(J.Solid State Chem.,133(1997)、269〜272頁参照)、ハライド(halide)法(▲1▼「日本結晶成長学会誌」、Vol.24、No.2(1997)、150頁及び▲2▼J.Appl.Phys.,42(1)(1971)、420〜424頁参照)、及びハイドライド(hydride)法等の気相成長手段により、残留する酸素の濃度に鑑みて必要に応じて酸素をドーピングして酸素原子濃度を1×1018cm-3以上とする含酸素リン化硼素系半導体層を形成する。半導体層の良好な結晶性を維持するためには、含酸素リン化硼素系半導体層の酸素原子濃度は大凡、5×1020cm-3未満とするのが望ましい。リン化硼素系半導体層内の酸素の原子濃度は、例えば、一般的な2次イオン質量分析法(SIMS)等の分析手段により定量できる。
【0014】
本発明に係わる抵抗率を102Ω・cm以上とする含酸素リン化硼素系半導体層は、素子動作電流の漏洩を防止できる高抵抗層として半導体素子の構成に有効に利用できる。抵抗率は、リン化硼素系半導体層内部に含まれる酸素原子の濃度に依存して変化する。酸素原子が高濃度である程、得られる抵抗率は高値となる傾向がある。これは、半導体層中の酸素が電子または正孔を電気的に補償(compensation)する作用を発揮するためである。従って、本発明の第3の実施形態では、酸素のドーピング量を適宣調整して102Ω・cm以上の抵抗率を有するリン化硼素系半導体層を用いてリン化硼素系半導体素子を作製する。抵抗率(=比抵抗)は例えば、通常のホール(Hall)効果測定手段等により測定できる。
【0015】
例えば、トリエチル硼素((C253B)/ボラン(BH3)/ホスフィン(PH3)反応系、或いはトリエチル硼素/ジボラン(B26)/ホスフィン反応系、または、トリエチル硼素とターシャリィブチル(tert.−buthyl)ホスフィン等の有機リン化合物との反応系を有する常圧(略大気圧)或いは減圧MOCVD法を利用して酸素ドーピングを実施することにより、酸素原子の濃度が1×1018cm-3以上の含酸素リン化硼素系半導体層が得られる。酸素のドーピング原料として、酸素ガス(O2)を例示できる。例えば、(C253B/PH3/H2反応系のMOCVD法によるリン化硼素系半導体層の成長の際に、酸素を体積百万分率(vol.ppm)にして約50vol.ppm含む水素ガスを毎分20ccの流量で添加すれば、800℃に於ける成長では、抵抗率を約5×103Ω・cm以上とする高抵抗のリン化硼素(BP)単結晶層を得られる。単結晶の含酸素リン化硼素系半導体層を得るには、積層温度は700℃を越える高温とするのが望ましい。但し、リン化硼素半導体層の積層温度が1200℃を越える高温となると、リン化硼素結晶層内で単量体BPから例えばB132等の多量体への変換が顕著となり(J.Amer.Ceramic Soc.,47(1964)p.p.44−46.参照)、均質なリン化硼素層が得られ難くなるため好ましくない。
【0016】
含酸素リン化硼素系半導体層を得るに適当となる他の酸素添加原料としては、酸素を含む官能基(function group)を付加した有機硼素化合物がある。特に、アルコキシル基(−OR;Rは炭素数1乃至12の直鎖状または分岐状の飽和或いは不飽和アルキル(alkyl)基、炭素数6乃至20の芳香族基または脂環基等の酸素との結合する基(group)を表す。但し、前記芳香族基の基本骨格には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が例示でき、それら芳香族基には、任意にCN、ハロゲン原子、OH、カルボニル基、カルボキシル基等が置換していてもよい。また前記脂環基の基本骨格にはシクロヘキシル環等が例示できる。)を付加する有機化合物は酸素添加原料として好適に利用できる。例えば、リン化硼素系半導体層を構成する元素のアルコキシル化合物を酸素添加原料とすれば、リン化硼素系半導体層を積層する際に、簡便に含酸素リン化硼素系半導体層を形成できる利点がある。構成元素のアルコキシル化合物としては、例えば、トリメトキシ硼素(B(OCH33;融点≒−29℃、沸点≒+69℃)、トリエトキシ硼素(B(OC253;融点≒−85℃、沸点≒+117℃)、トリイソブロボキシ硼素(B(i−OC373;沸点≒+140℃)等を例示できる。また、低級のアルキル基を含む硼素アルコキシル化合物は融点が低く、沸点は室温を越えているため、通常のバブリング(発泡)手段により容易に反応系へ添加できる液体原料として利便である。含酸素リン化硼素系半導体層の構成元素であるリン(P)のアルコキシル化合物には、リン酸メチル(PO(OCH33)、亜リン酸トリメチル(P(OCH33)、リン酸トリエチル(PO(OC253)、亜リン酸トリエチル(P(OC253)等が例示できる。これらのリンアルコキシル化合物も室温で液体であり、バブリング手段により反応系へ添加できる。また、砒素(As)のアルコキシル化合物には、トリエトキシ砒素(As(OC253;沸点≒+165℃)等がある。リン化硼素系半導体の構成元素のアルコキシル化合物にあって、上記の硼素アルコキシル化合物は、他のリン或いは砒素化合物と比較して毒性も少なく、酸素添加原料として特に、好適に利用できる。
【0017】
本発明に係わる含酸素リン化硼素系半導体は例えば、珪素単結晶(シリコン)、砒化ガリウム(GaAs)やリン化ガリウム(GaP)または窒化ガリウム(GaN)等のIII−V族化合物半導体単結晶、サファイア(α−Al23単結晶)や酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物単結晶、或いは、モリブデン(Mo)などの金属の結晶基板表面上に設けられる。また、リン化硼素(BP)単結晶も基板として利用できる(J.Electrochem.Soc.,120(1973)、p.p.802〜806.参照)。しかし、BP以外の基板材料とBP系半導体層とは一般に格子不整合の関係にあるため、格子ミスフィットに起因する転位等の結晶欠陥の伝搬により、結晶性に優れるリン化硼素系半導体層を安定して得難い。ここで、本発明の第4の実施形態では、結晶基板上に、含酸素リン化硼素半導体層の下地層として格子不整合性を緩和する作用を発揮するリン化硼素系半導体層を緩衝層として配置することとする。
【0018】
緩衝層とするリン化硼素系半導体層を、単結晶よりも、アズーグローン(as−grown)状態で非晶質(amorphous)或いは多結晶から構成するとより効果的に格子不整合性を緩和する作用が発揮される。as−grown状態に於いて非晶質或いは多結晶であるリン化硼素系半導体からなる緩衝層(リン化硼素系緩衝層)は、上記の気相成長手段に於いて、積層温度を250℃〜700℃とすることで形成できる。積層温度を低くする程、非晶質を主体とするリン化硼素系緩衝層が得られ易くなる。しかし、250℃以下では積層用原料の分解が充分に進行しないため、積層は不安定で不都合である。約450℃を越える積層温度では、多結晶を主体とするリン化硼素系緩衝層が帰結され易くなる。700℃を越える温度では充分な格子不整合の緩和効果を発揮できかねる単結晶層が得られ易くなり不都合である。格子不整合を緩和する目的でのリン化硼素系緩衝層の層厚は約2nm〜約50nm程度が適する。適当な層厚のリン化硼素系緩衝層を基板と含酸素リン化硼素系層との中間に配置すれば、例えば、両材料間の熱膨張率の差異に起因して発生する基板表面からの含酸素リン化硼素系層の剥離をも回避するに効果がある。緩衝層が非晶質層或いは多結晶層であるかは一般的なX線回折法や電子線回折法等に依り解析できる。
【0019】
リン化硼素系緩衝層は、不純物を故意に添加しないアンドープ(undope)層から構成できる。また、リン化硼素系緩衝層を積層する際に、n形或いはp形不純物を添加すれば、導電性の緩衝層を得ることができる。例えば、II族に属する亜鉛(Zn)やマグネシウム(Mg)を添加すればp形のリン化硼素系緩衝層が得られる。また、珪素(Si)や錫(Sn)等の第IV族元素を添加すれば、n形リン化硼素系緩衝層が得られる。また、硫黄(S)やセレン(Se)の添加によってもn形リン化硼素系緩衝層を得ることができる。また、イオン(ion)注入法によりこれらの元素のイオンを注入して添加できる。ドーピングまたはイオン注入の何れの手段に依るにしても、過度に不純物元素を添加するとリン化硼素系緩衝層の結晶性は損なわれるため、元素の添加量は大凡、原子濃度にして5×1019cm-3以下に止めておくのが望ましい。また、酸素(O)をドーピングしてなる高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層からも緩衝層を構成できる。酸素の存在下では、多結晶のリン化硼素層が形成され易い特徴がある(特開2000−351692号公報参照)。
【0020】
上記のn形またはp形不純物と酸素とを併せて含むリン化硼素系緩衝層を得るには、n形またはp形不純物元素を含むアルコキシル化合物が好適に利用できる。例えば、Siのアルコキシル化合物として、テトラメトキシシラン(Si(OCH34;沸点≒+121℃)、テトラエトキシシラン(Si(OC254;融点≒−77℃,沸点≒+166℃)、テトライソブロボキシシラン(Si(i−OC374;沸点≒+226℃)等を例示できる。また、亜鉛(Zn)については、ジメトキシ亜鉛(Zn(OCH32)等を例示できる。これらのアルコキシル化合物では、導電性を付与する元素(上記例ではSi,Zn)とそれを電気的に補償して不活性化する酸素(O)とが1:1の割合で含まれているため、単純には、簡便に高抵抗の含酸素リン化硼素系結晶層を得られると予想される。しかし、結晶層内に取り込まれる確率が不純物元素毎に異なる場合もあり、実際には、取り込まれた不純物の量的不均衡性から必ずしも高抵抗層が得られるとは限らない。従って、例えば、導電性結晶層が帰結される場合には、上記のアルコキシル化合物に加えて、例えば、酸素−水素(H2)、酸素−窒素(N2)、或いは酸素−アルゴン(Ar)等の含酸素混合ガスを別の酸素添加源として利用して、高抵抗層を得るのも一手法である。
【0021】
上記の含酸素リン化硼素系半導体層は、高抵抗であるが故に、素子動作電流の不要な漏洩を抑制するに効果を奏する。従って、本発明の第6の実施形態では、この様な高抵抗層を利用して、特性に優れるトランジスタ、例えば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)や電界効果型トランジスタ(FET)を構成する。例えば、本発明に係わる高抵抗のリン化硼素系半導体層を能動層の直下に緩衝層として接合させて設けたショトッキ(Schottky)接合型FET(MESFET)では、ドレイン(drain)電流の緩衝層への漏洩を抑制できるため、ゲートピンチオフ(gate pinch−off)特性は優れたものとなる。また、波及的に相互コンダクタンス(gm)に優れたMESFETを得られる。また、本発明に係わる含酸素リン化硼素系半導体高抵抗層上に、2次元電子走行層(チャネル層)を備える構成とすると、良好なゲートピンチオフ特性並びに相互コンダクタンス(trans−conductance)を発揮する2次元電子電界効果型トランジスタ(TEGFET)を提供できる。
【0022】
単結晶基板上の非晶質或いは多結晶を主体とする緩衝層上に含酸素リン化硼素系半導体層を設ける構成とすれば、素子動作電流の漏洩を防止するに更に効果を奏する高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層を形成できる。例えば、非晶質の緩衝層の作用により、動作電流の短絡の原因となるミスフィット転位の少ない高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層を得ることができるからである。また、この様な良質の高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体と格子整合をなす半導体材料からチャネル層を構成すると、高い電子移動度を顕現するに優位となるため、良好なピンチオフ特性に加えて、雑音指数(noise−figure)の小さい低雑音MESFETを得るに有効となる。この本発明の第7の実施形態の格子整合系の積層構造の好適な例として、高抵抗の含酸素リン化硼素(BP:格子定数=4.538Å)層上に窒素組成比を3%(=0.03)とする立方晶のn形窒化リン化ガリウム(GaN0.970.03:格子定数=4.538Å)からなるチャネル層を接合させる構成が挙げられる。また、高抵抗の含酸素窒化リン化硼素(BP0.970.03)層上に立方晶窒化ガリウム(c−GaN)からなチャネル層を設ける構成を例示できる。
【0023】
含酸素リン化硼素系半導体高抵抗層は、チャネル層の直下のみに配置するのではなく、ショットキーゲート電極を形成するためのゲート(gate)電極形成層としても有効に利用できる。本発明の第8の実施形態では、ゲート電極は高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層上に形成されることとなるため、漏洩電流の少ないゲート電極を形成できる。従って、相互コンダクタンスが大きくピンチオフ特性に優れる電界効果型トランジスタを提供できる。ゲート電極と併せてソース(source)/ドレイン(drain)両電極をも高抵抗の含酸素リン化水素系半導体層上に設置してMESFETを構成する場合もあるため、高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層の層厚は、これら両オーミック(ohmic)電極を構成する材料のアロイフロント(alloy front)が能動層、或いはTEGFETにあっては電子供給層に充分に浸透、到達できる厚さとするのが最適である。一般的には、ショットキーゲート電極を形成するための高抵抗の含酸素リン化硼素半導体層の層厚は約100ナノメータ(nm)以内とするのが妥当である。また、高周波用途のMESFETのショットキーゲート電極は、チタン(Ti)、白金(Pt)やモリブデン(Mo)等の高融点金属及びそれらから層を重層させた重層構造から構成できる。
【0024】
上記のような電子デバイス用途のみでなく、本発明に係わる第9の実施形態では、高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層を発光素子に適用する。発光素子に於いて、リン化硼素系高抵抗半導体層は、素子動作電流の流通を意志的に阻害するための電流阻止層として特に、有用である。例えば、含酸素リン化硼素系半導体層を電流阻止層として用いれば、外部に開口された発光領域に優先して素子動作電流を流通できる機能を備えた発光ダイオード(LED)を構成できる。所謂、電流阻止作用を発揮するように高抵抗リン化硼素系半導体層を配置すれば、開口発光領域に集中的に素子動作電流を流通させられるため、効率的な光電変換を達成でき、高い発光強度のLEDを提供できる。
【0025】
台座電極の水平断面の最大断面積(=S0;台座電極の被堆積層への射影領域の平面積)と、電流阻止層を敷設する平面積(=S)とに極端な差異があると高発光強度の発光素子を得るに不都合となる。例えば、電流阻止層の平面積が台座電極の平面積に対し極端に小であると(即ち、S/S0《1)、台座電極の直下領域への素子動作電流の短絡的な流通を充分に防止するに至らない。従って、開口発光領域へ効率的に素子動作電流を流通できないために充分な発光強度の発光素子を得るに不都合となる。一方、S/S0》1であると、開口発光領域の大部分を電流阻止層が占有することとなるため、素子動作電流を流通できる領域が縮小される。従って、発光領域面積の減少を招き、高発光強度の発光素子を得るに不都合となる。発光素子、特にLEDにあって、好適となる比率S/S0の範囲は大凡、0.7以上で1.2以下である。
【0026】
本発明に係る電流阻止型のLEDは、本発明の第10の実施形態として、動作電流を流通させるための台座(pad)電極の直下に高抵抗の含酸素リン化硼素半導体層を配置すれば構成できる。すなわち、台座電極の射影領域にあたる例えば、シングルヘテロ(SH)またはダブルヘテロ(DH)接合構造発光部をなすクラッド(clad)層表面上に含酸素リン化硼素半導体層を配置する。台座電極と高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層との中間には、台座電極の射影領域以外の開口発光領域の表面を被覆する様に導電性層を挿入する。この様に配置すれば、台座電極を介して供給される素子動作電流は、高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層の存在により、台座電極の直下の領域(所謂、発光を外部へ取り出すのに不都合となる領域)への流通を阻止でき、逆に開放発光領域へ優先的に流通させられるLEDを構成できる。
【0027】
また、高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層は、レーザダイオード(LD)用途の電流狭窄層として利用できる。本発明の第11の実施形態を具体的に説明すれば、電流狭窄層となす高抵抗の含酸素リン化硼素半導体層は、先ず、例えばDH接合型発光部をなすクラッド層表面に接合させて設ける。次に例えば、周知のフォトリソグラフィー技術に依る選択パターニング技術を利用した湿式或いはプラズマ(plasma)エッチング手段等により、電流狭窄層の中央部を帯状に削除して開口部を設ける。これより、電流狭窄層を帯状の開口部を挟んで対向する様に残置させる。次に、電流狭窄層の開口部に露呈されたクラッド層等の表面に接する様にオーミック電極を敷設する。n形用またはp形用のオーミック電極の平面形状は、開口部の平面形状と相似形とするのが一般的である。電流狭窄層にこの様な加工を施せば、オーミック電極から供給される素子動作電流を、電流狭窄層に依る電流の流通を阻止する作用に依り、電極が接する特定の領域に限定して注入することができる。特定の領域、即ち、上記の開口部は発光部の平面積に比較すれば、表面積を小とするため、高密度の動作電流を開口部の直下の発光部に集中して注入できる。このため、誘導放出によるレーザー光発振を得るに好適となる。
【0028】
従来技術に於いて、LD用途の電流狭窄層は、クラッド層等の下地層とは反対の伝導型のリン化硼素系半導体から構成されていた(上記の特開平10−242569号公報参照)。例えば、p形クラッド層に対して、n形のリン化硼素系半導体層を配置することにより構成されていた。しかし従来の技術では、電子の有効質量の大きさから、p形のリン化硼素系半導体層程、電流狭窄層として適するn形のリン化硼素系半導体層は容易には得られない欠点があった。しかし、本発明の酸素を含有させることにより高抵抗となした含酸素リン化硼素系半導体層を利用すれば、p形下地層に対しても電流狭窄層を簡便に構成できる。即ち、酸素を添加して高抵抗となした含酸素リン化硼素系半導体層には、被堆積層の伝導形に関係なく、汎用的に電流阻止層を構成できる利点がある。
【0029】
本発明に依るLEDからは高輝度の発光ダイオードランプを構成できる。例えば、図4に例示する如く、基板11上に本発明に係わる含酸素リン化硼素系半導体層12を備えたLED10を、台座15上の銀(Ag)或いはアルミニウム(Al)等の金属を鍍金した碗体16の中央部に金属製碗体16と導電性の接合材で固定する。これより、基板11の底面に設けた一方の極性の裏面電極14を台座15に付属する一方の端子17に電気的に接続させる。また、LED10上に設置した表面電極13を他の一方の端子18に結線する。その後、一般的な半導体封止用のエポキシ樹脂19で碗体16を囲繞する様に封止すればランプを構成できる。また、本発明に依れば、約200μm〜約300μm角の小型LEDも形成でき、従って、特に設置容積を小とする表示器等として好適な小型の発光ダイオードランプを構成できる。
【0030】
また、上記のLEDランプを集合させれば、光源を構成できる。例えば、複数のLEDランプを電気的に並列に接続させて、例えば、定電圧駆動型の光源を構成できる。また、電気的に直列にLEDランプを接続して定電流型の光源を構成できる。これらのLEDランプを利用する光源は、従来の白熱型のランプ光源とは異なり、点灯によりさほど放熱を伴わないため、冷光源として特に有用に利用できる。例えば、冷凍食品の展示用光源として利用できる。また、例えば、屋外表示器、交通信号を提示するための信号器、方向指示器或いは照明機器等に好適に用いられる光源を構成できる。
【0031】
【作用】
酸素を含有する含酸素リン化硼素系半導体層にあって、酸素は半導体層内のキャリアを補償して、電気的に不活性化させる作用を有し、高抵抗のリン化硼素系半導体層をもたらす作用を有する。
【0032】
酸素の電気的補償作用を利用して高抵抗となした、含酸素リン化硼素系半導体層は、素子動作電流の不要な漏洩を防止する作用を有する。特に、酸素原子の濃度を1×1018cm-3以上とし、抵抗率を102Ω・cm以上とする含酸素リン化硼素系半導体層はトランジスタ用途の緩衝層、発光素子に於ける電流阻止層或いは電流狭窄層として用いることができる。
【0033】
非晶質または多結晶のリン化硼素系半導体層は、結晶性に優れる連続した高抵抗の含酸素リン化硼素系半導体層をもたらす作用を有する。良質の高抵抗の含リン化硼素系半導体層上には結晶性に優れる能動層をもたらす作用を有する。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
本実施例1では、高抵抗の含酸素リン化硼素(BP)系半導体層を具備した発光ダイオード(LED)を作製した例を用いて、本発明を具体的に説明する。本実施例1に係わるLED110の断面模式図を図1に示す。また、図2にLED110の平面模式図を示す。
【0035】
本発明に係わる発光素子用途の積層構造体111は、種々の結晶材料を基板101として構成できる。本実施例では、硼素(B)ドープでp形の(111)面を有するSi単結晶を基板101として構成した。基板101上には、トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)系常圧MOCVD法により、350℃で成長させたリン化硼素からなる低温緩衝層102を堆積した。低温緩衝層102の層厚は約5nmとした。
【0036】
低温緩衝層102の表面には、上記のMOCVD気相成長手段を利用して、800℃でマグネシウム(Mg)をドーピングしたp形BP層を下部クラッド層103として積層した。マグネシウムのドーピング源にはビス−シクロペンタジエニルマグネシウム(bis−(C542Mg)を用いた。下部クラッド層をなすp形BP層103のキャリア濃度は約8×1018cm-3とした。層厚は700nmとした。低温緩衝層102を下地層としたため、p形BP層103は亀裂も無い連続膜となった。p形BP下部クラッド層103上には、リン化硼素(BP;格子定数=4.538Å)に格子整合する立方晶のn形GaN0.970.03層(格子定数=4.538Å)を発光層104として積層させた。n形のドーパントとして珪素(Si)を用い、キャリア濃度は約1×1017cm-3とした。発光層104の層厚は約180nmとした。n形GaN0.970.03発光層104の表面上には、上記のMOCVD気相成長手段によりn形のBP層からなる上部クラッド層105を積層した。n形のドーパントとしては珪素(Si)を用い、キャリア濃度は約8×1016cm-3とし、層厚は80nmとした。800℃と成長温度を同一として積層したp形BP下部クラッド層103、n形GaN0.970.03発光層104、及びn形BP上部クラッド層105からpn接合型ダブルヘテロ(DH)構造の発光部を形成した。
【0037】
n形BP上部クラッド層105上には、トリエトキシ硼素(B(OC253)を酸素のドーピング原料として加えたMOCVD気相成長手段により、電流阻止層106として一部、残置させる含酸素リン化硼素(BP)層を積層した。トリエトキシ硼素(B(OC253)のMOCVD反応系への添加量は、電流阻止層106内の酸素原子濃度が約2×1018cm-3となる様に設定した。電流阻止層106の室温での抵抗率は、通常のホール(Hall)効果測定法に依れば約3×103Ω・cmとなった。電流阻止層106の層厚は約70nmとした。
【0038】
特定の領域(台座電極108の形成予定領域)に限り、電流阻止層106に公知のフォトリソグラフィー技術を利用して選択パターニングを及ぼした。次ぎに、メタン(CH4)/水素/アルゴン混合ガスを使用するプラズマエッチング手段を利用して、台座電極108の形成予定領域の下方に相当する台座電極の射影領域に限り、電流阻止層106を残置させた。残置させた電流阻止層106の平面形状は台座電極108の底面形状と相似とする直径130μmの円形とした。残置させた電流阻止層106以外の領域には、上部クラッド層105の表面を露呈させた。その後、上部クラッド層105及び残置させた電流阻止層106の表面を導電性のn形インジウム・錫複合酸化物膜(ITO)107で被覆した。インジウム・錫複合酸化物膜107の抵抗率は約6×10-4Ω・cmであり、また、その層厚は約500nmとした。
【0039】
電流阻止層106上のインジウム・錫複合酸化物膜107表面に接して円形の台座電極108を配置した。台座電極108は金(Au)からなる真空蒸着膜から構成した。台座電極108の直径は120μmとした。台座電極108は、その中心を円形に残置させた電流阻止層106に合致させて配置した。電流阻止層の平面積(=S)と台座電極の平面積(=S0)との比率(=S/S0)は約1.17となった。また、p形のSi単結晶基板101の裏面の略全面には、p形オーミック電極109を配置してLED110を構成した。p形オーミック電極109はアルミニウム(Al)からなる真空蒸着膜から構成した。Si単結晶基板101を[211]方向に平行及び垂直な方向に裁断して得たLEDチップ110の平面形状は、一辺を約300μmとする正方形とした。
【0040】
台座電極108とp形オーミック電極109との間に順方向に20ミリアンペア(mA)の動作電流を通流した際のLED110の発光中心波長は約410nmとなった。一般的な積分球を利用して測定されるチップ(chip)状態でのLEDの輝度は約6ミリカンデラ(mcd)となり、高発光強度のリン化硼素系半導体からなるLEDが提供された。I−V特性から求めた順方向電圧(所謂、Vf)は約3.8V(順方向電流=20mA)となった。また、逆方向電圧は約8V(逆方向電流=10μA)であり、高耐圧のLEDが提供された。
【0041】
(実施例2)
本実施例2では、高抵抗の含酸素リン化硼素(BP)系半導体層を緩衝層として備えたショットキー接合型電界効果トランジスタ(MESFET)を作製した例を用いて、本発明を具体的に説明する。本実施例2に係わるMESFET20の断面模式図を図3に示す。
【0042】
MESFET20用途の積層構造体21は、サファイア(α−Al23単結晶)を基板201として構成した。基板201上には、(C253B/トリメチルアルミニウム(CH33Al/PH3/H2系常圧MOCVD法により、400℃でアンドープ(undope)のリン化硼素・アルミニウム(B0.95Al0.05P)からなる低温緩衝層202を堆積した。低温緩衝層202の層厚は約12nmとした。この低温緩衝層202は400℃の低温で堆積されたため、非晶質または多結晶で構成されたものとなった。
【0043】
低温緩衝層202の表面には、(C253B/PH3/H2系常圧MOCVD法により、酸素を20vol.ppm含んだH2を主体とする混合ガスを酸素源として、800℃で酸素ドープで高抵抗のBP層を緩衝層203として積層した。緩衝層203は亀裂も無い連続膜となった。緩衝層203内部の酸素原子濃度は約6×1018cm-3とした。また緩衝層203の室温での抵抗率は約1×104Ω・cmとなった。層厚は約500nmとした。複素誘電率の虚数部(=2・n・k、但しn=屈折率、k=消衰係数)の波長依存性から求めた含酸素高抵抗BP緩衝層203を構成するBPの室温禁止帯幅は約3.1eVであった。
【0044】
含酸素高抵抗BP緩衝層203上には、珪素(Si)をドーピングしたn形の能動層(活性層)204を積層した。能動層204は、下地層の含酸素高抵抗BP緩衝層203構成するBP(格子定数=4.538Å)に格子整合する立方晶のGaN0.970.03から構成した。珪素のドーピング源にはジシラン(Si26)を使用し、キャリア濃度は約1×1017cm-3に設定した。低温緩衝層202の効用により連続膜となった含酸素高抵抗BP緩衝層203を下地層として、それに格子整合する半導体材料(立方晶GaN0.970.03)から能動層204を構成したので、約1000cm2/V・sの高い室温電子移動度が通常のホール効果法で測定された。また能動層204の層厚は250nmとした。
【0045】
能動層204の表面上には、(C253B/PH3/H2系常圧MOCVD法により、酸素を20vol.ppm含む水素を主体とする混合ガスを酸素源として800℃で酸素ドープの含酸素高抵抗BP層をショットキーゲート電極207を形成するためのゲート電極形成層205として積層した。ゲート電極形成層205内部の酸素原子濃度は約5×1018cm-3とした。またゲート電極形成層205の室温での抵抗率は約9×103Ω・cmであった。層厚は約50nmとした。
【0046】
ゲート電極形成層205の表面上には、(C253B/PH3/H2系常圧MOCVD法により、800℃で珪素(Si)ドープでn形のBP層をソース電極208及びドレイン電極209を形成するためのコンタクト層206として積層した。コンタクト層206のキャリア濃度は約2×1018cm-3とした。層厚は約50nmとした。
【0047】
公知のフォトリソグラフィー技術を利用した選択パターニング手段及びメタン(CH4)/水素/アルゴン混合ガスを使用するプラズマエッチング手段を利用して、ゲート電極207の形成予定領域をリセス(recess)構造部210とした。リセス構造部210は、ゲート電極207の形成予定領域にあるコンタクト層206をエッチングにより除去して、底部にゲート電極形成層205を露出させて構成した。リセス構造部210の略中央のゲート電極形成層205の表面上には、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)重層構造から構成したショットキーゲート電極207を配置した。ゲート長は約2μmとした。リセス構造部210の両側に対向して残置させたコンタクト層206上には、ソース電極208及びドレイン電流209を各々、配置してMESFET20を構成した。
【0048】
ソース電極208及びドレイン電極209間に15ボルト(V)のドレイン電圧を印加した際の飽和ドレイン電流(Idss)は約2.5ミリアンペア(mA)であった。本実施例2では、高抵抗の含酸素リン化硼素(BP)層を緩衝層203として採用したことを反映して良好なピンチオフ特性がもたらされた。ゲート電圧を−2.5Vのステップで増加させてドレイン電流特性を計測したところ、ゲートピンチオフ電圧は約−10Vとなった。また、本実施例2では、ショットキーゲート電極207を高抵抗含酸素BP層からなるゲート電極形成層205上に接地させて設けたので、ゲートリーク電流を10μAとした際のゲート耐圧は約25V以上となり、高耐圧のショットキーゲート電極207がもたらされる結果となった。更に、相互コンダクタンス(gm)は、ショットキーゲート電圧への負電圧の変化量に対して略一定の約20ミリシーメンス(mS)であり、静特性(直流(DC)特性)に優れるリン化硼素系MESFETが提供されることとなった。
【0049】
【発明の効果】
本発明に依れば、酸素を添加して高抵抗となしたリン化硼素系半導体層を例えば、電流阻止層として利用して発光素子(LED)を構成することとしたので、LED駆動電流を開口発光領域に限定して優先的に流通させられるため、開口発光領域に高密度の電流を流通させるに有効となり、高い発光強度のリン化硼素系半導体発光素子を提供できる。
【0050】
また、本発明に依れば、酸素を添加して高抵抗となしたリン化硼素系半導体層を例えば、能動層の直下に配置する緩衝層として利用して例えば、電界効果型トランジスタ(MESFET)を構成することとしたので、ドレイン電流の緩衝層への漏洩を抑制でき、良好なピンチオフ特性及び相互コンダクタンス特性を呈するMESFETを提供できる。
【0051】
また、本発明に依れば、酸素を添加して高抵抗となしたリン化硼素系半導体層を例えば、ショットキーゲート電極を形成するためのゲート電極形成層として利用して例えば、電界効果型トランジスタ(MESFET)を構成することとしたので、ゲート電流の漏洩を抑制できるため、ゲート漏洩電流の少ない、高耐圧のショットキーゲート電極を備えたMESFETを提供できる。
【0052】
また、本発明に依れば、含酸素リン化硼素系半導体層を、非晶質または多結晶の緩衝層を介して積層することとしたので、亀裂も無い連続な含酸素リン化硼素系半導体層が得られ、これを下地層として積層した結晶性に優れる半導体層を能動層(活性層)として、高発光強度のリン化硼素系半導体発光素子或いは高電子移動度を反映した相互コンダクタンス(gm)特性に優れる電界効果トランジスタ等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係わるLEDの断面模式図である。
【図2】本発明の実施例1に係わるLEDの平面模式図である。
【図3】本発明の実施例2に係わるMESFETの断面模式図である。
【図4】本発明に係わるランプの断面構造を例示する模式図である。
【符号の説明】
10 発光素子(LED)
11 基板
12 含酸素リン化硼素系半導体層
13 表面電極
14 裏面電極
15 台座
16 碗体
17、18 端子
19 エポキシ樹脂
101 Si単結晶基板
102 低温緩衝層
103 p型BP下部クラッド層
104 n型GaN0.970.03発光層
105 n型BP上部クラッド層
106 電流阻止層
107 インジウム・錫複合酸化物膜
108 台座電極
109 p形オーミック電極
110 LED
111 LED用途積層構造体
20 MESFET
21 MESFET用積層構造体
201 サファイア基板
202 低温緩衝層
203 含酸素高抵抗BP緩衝層
204 能動層
205 ゲート電極形成層
206 コンタクト層
207 ショットキーゲート電極
208 ソース電極
209 ドレイン電極
210 リセス構造部

Claims (15)

  1. 基板上に積層された、硼素(B)とリン(P)とを構成元素として含み、さらに酸素(O)を含有し、酸素原子の濃度が1×10 18 cm -3 以上5×10 20 cm -3 未満であり、抵抗率が10 2 Ω・cm以上である含酸素リン化硼素系半導体層を具備するリン化硼素系半導体素子。
  2. 含酸素リン化硼素系半導体層が、非晶質または多結晶のリン化硼素系半導体層上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリン化硼素系半導体素子。
  3. 請求項1または2に記載の含酸素リン化硼素系半導体層を具備するトランジスタ。
  4. 含酸素リン化硼素系半導体層からなる緩衝層を具備することを特徴とする請求項3に記載のトランジスタ。
  5. トランジスタが、含酸素リン化硼素系半導体層上に設けられたチャネル層を具備する電界効果型トランジスタであることを特徴とする請求項3または4に記載のトランジスタ。
  6. トランジスタが、含酸素リン化硼素系半導体層上に設けられたショットキーゲート電極を備えた電界効果型トランジスタであることを特徴とする請求項3ないし5の何れか1項に記載のトランジスタ。
  7. 請求項1または2に記載の含酸素リン化硼素系半導体層からなる電流阻止層を具備する発光素子。
  8. 発光素子が、含酸素リン化硼素系半導体層からなる電流阻止層上に電極を設けた発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
  9. 請求項8に記載の発光素子を用いたランプ。
  10. 請求項9に記載のランプを用いた光源。
  11. 発光素子が、含酸素リン化硼素系半導体層からなる電流阻止層が対向する様に中央に残置された開口部上に電極を設けたレーザーダイオード(LD)であることを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
  12. 基板上に、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)により積層させるリン化硼素系半導体層に、含酸素化合物を原料に用いて酸素を添加して、含酸素リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のリン化硼素系半導体素子の製造方法。
  13. 含酸素化合物がアルコキシル(alkoxyl)基(−OR;Rは炭素数1乃至12の直鎖状または分岐状の飽和或いは不飽和アルキル(alkyl)基、炭素数6乃至20の芳香族基または脂環基等の酸素との結合する基(group)を表す。但し、前記芳香族基の基本骨格には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が例示でき、それら芳香族基には、任意にCN、ハロゲン原子、OH、カルボニル基、カルボキシル基等が置換していてもよい。また前記脂環基の基本骨格にはシクロヘキシル環等が例示できる。)を付加した有機化合物であることを特徴とする請求項12に記載のリン化硼素系半導体素子の製造方法。
  14. 含酸素化合物がトリアルコキシ(trialkoxy)硼素化合物であることを特徴とする請求項12または13に記載のリン化硼素系半導体素子の製造方法。
  15. 基板上に、250℃以上700℃以下の範囲の温度で非晶質または多結晶を主体とするリン化硼素系半導体層を形成した後、700℃を越え1200℃以下の範囲の温度で含酸素リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする請求項2に記載のリン化硼素系半導体素子の製造方法。
JP2001197788A 2001-06-29 2001-06-29 リン化硼素系半導体素子及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4680431B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001197788A JP4680431B2 (ja) 2001-06-29 2001-06-29 リン化硼素系半導体素子及びその製造方法
TW91113748A TW559900B (en) 2001-06-29 2002-06-24 Boron phosphide-based semiconductor element and process for preparing same
US10/180,059 US6797990B2 (en) 2001-06-29 2002-06-27 Boron phosphide-based semiconductor device and production method thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001197788A JP4680431B2 (ja) 2001-06-29 2001-06-29 リン化硼素系半導体素子及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003017737A JP2003017737A (ja) 2003-01-17
JP4680431B2 true JP4680431B2 (ja) 2011-05-11

Family

ID=19035337

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001197788A Expired - Fee Related JP4680431B2 (ja) 2001-06-29 2001-06-29 リン化硼素系半導体素子及びその製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4680431B2 (ja)
TW (1) TW559900B (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101218687B (zh) 2005-07-05 2012-07-04 昭和电工株式会社 发光二极管及其制造方法
CN102593115A (zh) * 2012-03-15 2012-07-18 深圳市丽晶光电科技股份有限公司 Led表面贴装器件及其制造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3152900B2 (ja) * 1998-04-06 2001-04-03 株式会社東芝 半導体レーザ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003017737A (ja) 2003-01-17
TW559900B (en) 2003-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6797990B2 (en) Boron phosphide-based semiconductor device and production method thereof
US7622398B2 (en) Semiconductor device, semiconductor layer and production method thereof
JP3700609B2 (ja) 化合物半導体発光素子、その製造方法、ランプ及び光源
US6730987B2 (en) Compound semiconductor device, production method thereof, light-emitting device and transistor
JP4680431B2 (ja) リン化硼素系半導体素子及びその製造方法
JP4122871B2 (ja) リン化硼素層の製造方法及びリン化硼素系半導体素子
JP4439400B2 (ja) リン化硼素系半導体発光素子、その製造方法及び発光ダイオード
JP4799769B2 (ja) GaP系発光ダイオード
JP4431290B2 (ja) 半導体素子および半導体層
JP2001068730A (ja) AlGaInP発光ダイオード
JP3646706B2 (ja) リン化硼素系半導体発光ダイオードおよびその製造方法
JP3736401B2 (ja) 化合物半導体素子、その製造方法、発光素子、ランプおよび光源
JP2003229601A (ja) リン化硼素系半導体素子、その製造方法、および発光ダイオード
JP3757827B2 (ja) 積層構造体とその製造方法並びに発光素子、ランプ及び光源
JP3557571B2 (ja) 発光素子用積層構造体、発光素子、ランプ及び光源
JP3659202B2 (ja) 発光素子用積層構造体、その製造方法、発光素子、ランプ及び光源
JP3639275B2 (ja) p形リン化硼素半導体層の製造方法、化合物半導体素子及び発光ダイオード
JP2000031164A (ja) Iii族窒化物半導体素子
JP3698081B2 (ja) 化合物半導体素子、その製造方法、発光素子及びランプ
JP2002305322A (ja) Iii族窒化物半導体発光素子およびその製造方法
JP3843791B2 (ja) 化合物半導体素子、その製造方法、発光素子、ランプおよびトランジスタ
JP2002368259A (ja) リン化硼素系半導体、その製造方法及び半導体素子
JPH08222764A (ja) 発光ダイオード
JP2004014809A (ja) リン化硼素系半導体発光素子、その製造方法およびledランプ
JP2003086506A (ja) 化合物半導体素子、その製造方法、発光素子およびトランジスタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080613

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101224

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20101224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110201

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees