JP4431290B2 - 半導体素子および半導体層 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)層またはそのリン化硼素を含む一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶層、それらBP層またはBP系混晶層を具備する半導体素子、およびそれらBP層またはBP系混晶層の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
元素周期律表のIII族に属する硼素(B)とV族元素とからなるIII−V族化合物半導体として、窒化硼素(BN)、リン化硼素(BP)や砒化硼素(BAs)がある。例えば、六方晶の窒化硼素(BN)は室温での禁止帯幅(bandgap)を7.5エレクトロンボルト(eV)とする間接遷移型の半導体である(寺本 巌著、「半導体デバイス概論」((株)培風館、1995年3月30日発行初版、28頁参照)。砒化硼素(BAs)は、室温での禁止帯幅を約0.85eVとする間接遷移型のIII−V族化合物であるのが知られている(上記の「半導体デバイス概論」参照)。
【0003】
他方、リン化硼素(BP)は一種のIII−V族化合物半導体とされており(Nature、179(No.4569)(1957)、1075頁参照)、間接遷移型半導体の禁止帯幅として数種の値が報告されている。例えば、B.Stoneらは、石英板上に堆積した多結晶のBP膜について光学的吸収法により、約6eVの室温禁止帯幅を得ている(Phys.Rev.Lett.,Vol.4、No.6(1960)、282〜284頁照)。また、J.L.Peretに依れば、BPの禁止帯幅は6.0eVとして纏められている(J.Am.Ceramic Soc.,47(1)(1964)、44〜46頁参照)。また、N.Sclarは、イオン半径値及び共有半径値を基にして絶対零度(=0K)に於ける禁止帯幅として6.20eVを与えている(J.Appl.Phys.,33(10)(1962)、2999〜3002頁参照)。また、Mancaに依れば、4.2eVの禁止帯幅が提示されている(J.Phys.Chem.Solids,20(1961)、268〜273頁参照)。
【0004】
一方、R.J.Archerらは、リン化ニッケル(nickel phosphide)融液から成長させた単結晶BPから、立方晶BPの室温禁止帯幅として2eVを得ている(Phys.Rev.Lett.,12(19)(1964)、538〜540頁参照)。また、結合エネルギー値を基にした理論計算より、2.1eVの禁止帯幅を与えている(J.Appl.Phys.,36(1965)、330〜331頁参照)。リン化硼素(BP)の禁止帯幅には上記の如くの大きな差異があるものの(J.Phys.Chem.Solids、29(1968)、1025〜1032頁参照)、BPの禁止帯幅を約2eVとするのが従来からの通例となっている(▲1▼RCA Review,25(1964)、159〜167頁、▲2▼Z.anorg.allg.chem.,349(1967)、151〜157頁、▲3▼上記のJ.Appl.Phys.,36(1965)、▲5▼上記の「半導体デバイス概論」、及び▲6▼赤崎 勇編著、「III−V族化合物半導体」((株)培風館、1994年5月20日発行初版、150頁参照)。
【0005】
リン化硼素(BP)及び組成式BXAlYGa1-X-Y1-ZZ(0<X≦1、0≦Y<1、0≦X+Y≦1、0<Z≦1)で表記されるBP系混晶は半導体発光素子を構成する機能層として利用されている。例えば、BPからなる単一の層(単層)は短波長可視発光ダイオード(LED)またはレーザダイオード(LD)にあって緩衝層を構成するに用いる従来例がある(特開平2−275682号公報)。また、BP単層とBXAlYGa1-X-Y1-ZZ混晶単層との超格子構造からpn接合型ヘテロ接合構造の発光部を構成する例が知れている(特開平10−242514号公報明細書参照)。また、BXAlYGa1-X-Y1-ZZ混晶単層との超格子構造からクラッド(障壁)層を構成する技術がある(特開平2−288371号公報明細書参照)。室温での禁止帯幅を2eVとするリン化硼素(BP)では、発光層に対して障壁作用を及ぼせないために、上記の従来例では、BPと窒化アルミニウム(AlN)等とを敢えて混晶化させて室温禁止帯幅を例えば、2.7eVと高めた含窒素混晶層を利用している(上記の特開平2−288371号参照)。
【0006】
また、BP単層を利用してヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)を構成する例が知れている(J.Electrochem.Soc.,125(4)(1978)、633〜637頁参照)。この従来のHBTには、ジボラン(B26)/ホスフィン(PH3)系気相成長法手段により(100)面を有するシリコン(Si)結晶基板上に成長させた禁止帯幅を2.0eVとするBP単層が用いられている(上記のJ.Electrochem.Soc.,125(1978)参照)。また、禁止帯幅を2.0eVとするBP単層をウィンドウ(window)層として太陽電池(solar cell)を構成する技術が開示されている(上記のJ.Electrochem.Soc.,125(1978)参照)。
【0007】
上記の如く、従来では、禁止帯幅を約2eVとするリン化硼素(BP)或いはその禁止帯幅のBPを含む混晶から半導体素子が構成されていた。室温禁止帯幅を1.1eVとするSiを母体材料として構成される上記の太陽電池にあって、禁止帯幅を2.0eVとするBP層であっても、母体のSiより禁止帯幅が大であるため、窓層として有効に利用できることが開示されている(上記のJ.Electrochem.Soc.,125(1978)参照)。しかしながら一方では、Siを基板としてBP層を形成する従来技術において、基板とするSi単結晶の面方位に依存して禁止帯幅が狭められることが報告されている(西永 頌、「応用物理」、第45巻第9号(1976)、891〜897頁参照)。(100)面を有するSi基板上に形成したBP層に比較して、(111)面を有するSi基板上のそれは面欠陥密度が大きいため、(111)面を有するSi基板上に形成されたBP層は不透明となると報告されている(上記の「応用物理」、895〜896頁参照)。
【0008】
また、面欠陥の量が多いため格子定数が大となり、バンドギャップはより狭まったものとなると報告されている(上記の「応用物理」、896頁参照)。格子定数と禁止帯幅とには、旧来より相関があるのが知られており、格子定数が小となるにつれ、禁止帯幅が増大するのは周知となっている(上記の「III−V族化合物半導体」、31頁参照)。即ち、従来の研究例に依れば、BP層の形成条件如何に依って、BPの禁止帯幅として通用している約2eVよりも更に小さなバンドギャップのBP層が帰結されることが教示されている。この禁止帯幅の低さから、リン化硼素(BP)結晶層からは高耐圧の耐環境型半導体素子を簡便に構成できない欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、室温での発光波長を450ナノメータ(nm)とするヘテロ接合型の青色LEDまたはLDには、室温禁止帯幅を2.8eVとする発光層が利用される。また、この発光層に対してクラッド(clad)作用を及ぼすには、室温禁止帯を少なくとも約2.8eV以上とする半導体材料から障壁層を構成する必要がある。このため、従来のリン化硼素(BP)系発光素子のヘテロ接合発光部を構成するに際し、室温禁止帯幅を約2eVとするリン化硼素(BP)からはクラッド層を構成出来ない欠点があった。そこで、上記の如くBPを含む混晶を形成して、例えば、BXAlYGa1-X-Y1-ZZ多元混晶として禁止帯幅の高い障壁層とするのが従来技術であった(上記の特開平2−288371号参照)。しかし、構成元素数の多とする混晶程、構成元素の組成比の制御等により高度の技術が要求され、しかも良質の結晶層を得るのがより困難となるのは周知である(上記の「半導体デバイス概論」、24頁参照)。従って、従来では、障壁層たるBP系混晶層は簡便には形成できないと云う成膜技術上の問題点があった。
【0010】
また、例えば、従来のnpn型HBTにおいて、禁止帯幅を2.0eVとするBP層はn形エミッタ(emitter)として利用されている(上記のJ.Electrochem.Soc.,125(1978))。一方、p形ベース(base)層にはp形Si層が用いられている(上記のJ.Electrochem.Soc.,125(1978)参照)。Siの禁止帯幅は約1.1eVであり、従って、BPエミッタ層とSiベース層とのヘテロ接合構造間の禁止帯幅の差異は僅か0.9eVである。エミッタ層をベース層との禁止帯幅の差異を従来より大とするBP層から構成すれば、ベース層からエミッタ層へのベース電流の漏洩が更に抑制されて、電流伝送率(=エミッタ電流/コレクタ(collector)電流)特性が向上され(上記の赤崎 勇編著、「III−V族化合物半導体」、239〜242頁参照)、優れた特性のHBTがもたらされるものと想到される。
【0011】
閃亜鉛鉱(zinc blend)結晶型、正確には立方硫化亜鉛鉱型(spharelite)(フィッリプス著、「半導体結合論」((株)吉岡書店、1985年7月25日発行、第3刷)、14〜15頁参照)であるリン化硼素(BP)単結晶の格子定数は4.538Åである(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)。一方、窒素(N)組成比を0.97とする立方晶の窒化リン化ガリウム混晶(組成式)GaN0.970.03またはインジウム(In)組成比を0.10とする窒化ガリウム・インジウムGa0.90In0.10N等の格子定数を4.538ÅとするIII族窒化物半導体がある。従って、BP層と上記の様なIII族窒素化物半導体とを利用すれば、例えば、高い電子移動度を顕現するに優位となる格子整合積層系の2次元電子電界効果型トランジスタ(TEGFET)(K.シーガー著、「セミコンダクターの物理学(下)」((株)吉岡書店、1991年6月25日発行第1刷、352〜353頁参照)を構成できる。例えば、上記の直接遷移型のIII族窒化物半導体を2次元電子(TEG)電子走行層とし、また、間接遷移型のBP層をスペーサ(spacer)層または電子供給層としてTEGFETを構成できる。BP層を利用するIII族窒化物半導体TEGFETにあって、電子走行層にヘテロ(異種)接合するスペーサ層または電子供給層を禁止帯幅を従来より大とするリン化硼素(BP)から構成すれば、電子走行層とのヘテロ接合界面に於ける障壁差をより大とできる。このため、ヘテロ接合界面近傍の電子走行層内の領域に2次元電子を蓄積するに優位となり、高電子移動度を発現するIII族窒化物半導体TEGFETをもたらせる。
【0012】
室温禁止帯幅を大とするBP層を利用できれば、他の半導体層との伝導帯の不連続性(discontinuity)をより大とすることも可能となる。バンド(band)不連続性が大きく障壁差を大とするヘテロ接合構成は、2次元電子を効率的に蓄積でき、高い電子移動度を発現するに有効となる。磁電変換素子であるホール(Hall)素子にあって、電子移動度が大である構造体を利用すれば、磁気に対する感度のより高い素子を得るに優位である(片岡 昭栄著、「磁電変換素子」(日刊工業新聞社(株)、昭和46年2月1日発行4刷、56〜58頁参照)。従って、禁止帯幅を従来より大とするBP層を備えたヘテロ接合構成の実現は高い積感度(product sensitivity))(上記の「磁電変換素子」、56頁参照)を発揮する高感度のホール素子を構成するにも貢献すると想到される。
【0013】
また、Si単結晶を基板とする例えば、ショットキー(Schottky)障壁(barrier)ダイオードにあって、約2eVを越える室温禁止帯を有するBP層が形成できれば、高い耐電圧性を有するショットキーバリアダイオードの構成に貢献できる。禁止帯幅を大とするほど、半導体の材料特性に於ける真性キャリア密度を低く抑制できるため(上記の「III−V族化合物半導体」、172〜174頁参照)、高温での動作が可能な耐環境素子を構成するに優位となると想到される。
【0014】
上記の従来例の如く、禁止帯幅を約2eVとするBP層を利用して半導体素子を構成するのが従来からの通例である。禁止帯幅をより大とするBP層が形成出来れば、半導体素子特性の改善、向上が達成されると想到される。過去の研究例において、上記の様に約6eVと高い禁止帯幅を有するBP層を形成した例も知れている(上記のPhys.Rev.Lett.,4(6)(1960)参照)。しかし、これは多結晶層であり、半導体素子の活性層や機能層を構成するに必ずしも好適とはならない。しかし、禁止帯幅がこれ程、大であるワイドギャップ(wide gap)半導体となると、不純物ドーピングに依る伝導形の制御並びにキャリア密度の制御が困難である。TEGFETに於けるスペーサ層や電子供給層またはHBTに於けるエミッタ層等の半導体素子の機能層を構成するに好適となるのは、室温禁止帯幅を約3eVとするBP結晶層である。
【0015】
化合物半導体の禁止帯幅に関する過去の研究に依れば、禁止帯幅は構成元素の平均原子番号が小となれば、より大となる傾向が知れている(笛木 和男他著、「応用化学シリーズ3 電子材料の化学」(丸善(株)、昭和56年7月20日発行)、26〜29頁参照)。平均原子番号とは、化合物半導体を構成する元素の原子番号の算術平均値である。図1に種々のIII−V族化合物半導体の室温での禁止帯幅と平均原子番号との関係を示す。例えば、ガリウム(Ga)(原子番号=31)と砒素(原子番号=33)とから成る砒化ガリウム(GaAs)(平均原子番号=32)の室温禁止帯幅の禁止帯幅は1.43eVである(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)。一方、平均原子番号をGaAsよりも小とするリン化ガリウム(GaP)(平均原子番号=23)の室温禁止帯幅は2.26eVと大となる(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)。この関係はII−VI族化合物半導体にも通用し、構成原子の平均原子番号が小となる程、禁止帯幅が大となる傾向が教示されている(K.ジーガー著、「セミコンダクタ−の物理学(上)」((株)吉岡書店、1991年6月10日発行第1刷)、36頁参照)。
【0016】
平均原子番号に係わる室温禁止帯幅の傾向からは、イオン(ion)結合性を比較的に大とするIII−V族化合物半導体の禁止帯幅を推察できるとされている。この傾向が構成元素間の電気陰性度(electronegativity)の差異が少なく、共有(covalent)結合性の強いBP結晶にも通用すると仮定すると、BP単結晶層の禁止帯幅は約3eVと推定される。また、VanVechtenの提案した「誘電体法」に依れば(▲1▼J.A.Van Vechten、Phys.Rev.Lett.,182(1969、891.参照)及び▲2▼赤崎 勇編著、「III族窒化物半導体」((株)培風館、1999年12月8日発行初版、19〜21頁参照)、BP単結晶の禁止帯幅は2.98eVと算出される。この禁止帯幅の理論計算では、炭素(ダイヤモンド)(C)及び珪素(Si)単結晶の格子定数を各々、3.567Å及び4.531Åとしてある。また、C(ダイヤモンド)及びSiの最近接原子間距離を各々、1.54Å及び2.34Åとした(「化学便覧基礎編」(丸善(株)、昭和45年8月20日発行、第3刷)、1259頁参照)。また、計算に必要なその他の値は提示値を利用した(上記の「III族窒化半導体」、20〜21頁参照)。
【0017】
現状において、この様な半導体素子の構成に好都合となる単層において室温禁止帯幅を約3eV前後とするリン化硼素(BP)及びそのBP結晶を含むリン化硼素(BP)系混晶については開示されるに至っていない。これは一重に結晶性に優れるBP結晶層の形成方法が明確となっていないことに因る。即ち、半導体素子を構成するに際し、好適となる禁止帯幅を有するBP系混晶をもたらす形成方法が明確となってはいない。BP結晶層を利用した半導体素子の特性を改善するためには、禁止帯幅を約3eV前後とするBP結晶層の形成方法を創意する必要がある。しかし、従来から気相成長法等を利用してBP結晶層の成膜が実施されているに拘わらず、3eV前後の禁止帯幅をもたらすBP結晶層の形成方法は未だ開示されていない。本発明は上述の従来技術を背景としてなされたものであり、室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)層またはそのリン化硼素を含む一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶層、それらBP層またはBP系混晶層を具備する半導体素子、およびそれらBP層またはBP系混晶層の製造方法の構成を明らかにし、半導体素子特性の改善および向上が達成される半導体素子とそのための半導体層およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層を具備する半導体素子。
(2)リン化硼素(BP)からなる半導体層と、該半導体層と禁止帯幅の異なる他の半導体層とのヘテロ接合を具備することを特徴とする(1)に記載の半導体素子。
(3)リン化硼素(BP)からなる半導体層と、該半導体層とヘテロ接合を形成する半導体層とが格子整合することを特徴とする(2)に記載の半導体素子。
(4)リン化硼素(BP)からなる半導体層とヘテロ接合を形成する半導体層がGaN0.970.03であることを特徴とする(3)に記載の半導体素子。
(5)結晶基板上にリン化硼素(BP)からなる半導体層が積層されていることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1に記載の半導体素子。
である。
【0019】
また本発明は、
(6)室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層を具備する半導体素子。
(7)リン化硼素(BP)系混晶がリン化アルミニウム・硼素混晶(BXAl1-XP:0<X<1)、リン化ガリウム・硼素混晶(BXGa1-XP:0<X<1)またはリン化インジウム・硼素混晶(BXIn1-XP:0<X<1)であることを特徴とする(6)に記載の半導体素子。
(8)リン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層と、該半導体層と禁止帯幅の異なる他の半導体層とのヘテロ接合を具備することを特徴とする(6)または(7)に記載の半導体素子。
(9)リン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層と、該半導体層とヘテロ接合を形成する半導体層とが格子整合することを特徴とする(8)に記載の半導体素子。
(10)結晶基板上にリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層が積層されていることを特徴とする(6)乃至(9)のいずれか1に記載の半導体素子。
である。
【0020】
また本発明は、
(11)pn接合構造を具備することを特徴とする(1)乃至(10)の何れか1に記載の半導体素子。
(12)発光素子であることを特徴とする(11)に記載の半導体素子。
(13)受光素子であることを特徴とする(1)乃至(10)の何れか1に記載の半導体素子。
(14)トランジスタであることを特徴とする(1)乃至(10)の何れか1に記載の半導体素子。
(15)電界効果形トランジスタ(FET)であることを特徴とする(14)に記載の半導体素子。
(16)ヘテロバイポ−ラトランジスタ(HBT)であることを特徴とする(14)に記載の半導体素子。
(17)ホール素子であることを特徴とする(1)乃至(10)の何れか1に記載の半導体素子。
である。
【0021】
また本発明は、
(18)室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層。
(19)結晶基板上にリン化硼素(BP)からなる半導体層が積層されていることを特徴とする(18)に記載の半導体層。
(20)室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層。
(21)リン化硼素(BP)系混晶がリン化アルミニウム・硼素混晶(BXAl1-XP:0<X<1)、リン化ガリウム・硼素混晶(BXGa1-XP:0<X<1)またはリン化インジウム・硼素混晶(BXIn1-XP:0<X<1)であることを特徴とする(20)に記載の半導体層。
(22)結晶基板上にリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層が積層されていることを特徴とする(20)または(21)に記載の半導体層。
である。
【0022】
また本発明は、
(23)半導体層を気相成長方法により成長することを特徴とする(18)乃至(22)のいずれか1に記載の半導体層の成長方法。
(24)半導体層を750℃より高く1200℃以下の温度で成長することを特徴とする(23)に記載の半導体層の成長方法。
(25)気相成長方法が有機金属化学的気相堆積法(MOCVD法)であることを特徴とする(23)または(24)に記載の半導体層の成長方法。
(26)半導体層の成長の際の、硼素(B)を含むIII族元素源の合計の供給量に対するリン(P)を含むV族元素源の合計の供給量の比率を15以上60以下とし、かつ半導体層の成長速度を毎分20Å以上300Å以下とすることを特徴とする(25)に記載の半導体層の成長方法。
である。
【0023】
また本発明は、
(27)結晶基板上に、MOCVD法により250℃以上750℃以下の温度で非晶質を主体とするリン化硼素(BP)またはリン化硼素(BP)系混晶からなる緩衝層を形成し、該緩衝層上に室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層を成長する半導体層の成長方法。
(28)結晶基板上に、MOCVD法により250℃以上750℃以下の温度で非晶質を主体とするリン化硼素(BP)またはリン化硼素(BP)系混晶からなる緩衝層を形成し、該緩衝層上に室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層を成長する半導体層の成長方法。
(29)リン化硼素(BP)系混晶がリン化アルミニウム・硼素混晶(BXAl1-XP:0<X<1)、リン化ガリウム・硼素混晶(BXGa1-XP:0<X<1)またはリン化インジウム・硼素混晶(BXIn1-XP:0<X<1)であることを特徴とする(28)に記載の半導体層の成長方法。
(30)半導体層を気相成長方法により750℃より高く1200℃以下の温度で成長することを特徴とする(27)乃至(29)のいずれか1に記載の半導体層の成長方法。
(31)半導体層をMOCVD法により成長することを特徴とする(27)乃至(30)のいずれか1に記載の半導体層の成長方法。
である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のリン化硼素(BP)またはリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層を具備する半導体素子は、例えば、珪素(シリコン)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)等の半導体単結晶を基板として構成できる。例えば、LEDまたはLD或いは受光素子にあって、導電性を有するこれらの半導体単結晶を基板として利用すれば、電極を簡単に配置できるため、簡便に素子を発・受光素子を構成できる利点がある。III−V族化合物半導体に比較して融点が高いシリコン(Si単結晶)は、1000℃前後の高温でのエピタキシャル成長温度でも耐熱性を有するため基板結晶として好適に利用できる。また、各種の素子を集積する際にしても基板として好適に利用できる。サファイア(α−Al23単結晶)等の酸化物単結晶は、その電気的絶縁性から、例えば、素子動作電流の漏洩を防止する作用が発揮される。このため、例えば、ドレイン(drain)電流の漏洩量を抑制した電界効果型トランジスタ(FET)用途に好ましく用いることができる。また、ダイヤモンド(diamond)或いは炭化珪素(SiC)は熱伝導率が比較的高いため、特に、素子の冷却を必要とする電力(power)用FET等の基板として好適である。
【0025】
基板として好適な表面の面方位は{100}、{110}または{111}等の低次のミラー(miller)指数面である。これら低ミラー指数面より角度に数度から数十度の範囲で傾斜た面を表面とするSi単結晶も基板として利用できる。Si、GaP、またはGaAs等の閃亜鉛鉱(zinc−blend)型結晶の{111}結晶面には、{100}結晶面に比較して結晶を構成する原子が稠密に存在している。このため、エピタキシャル成長層を構成する原子の基板内への拡散、侵入を抑制するに有効となる。{311}や{511}等の高次のミラー指数面を有する単結晶もチャネリング(channeling)(R.G.WILSON and G.R.BREWER、”ION BEAMS With Application to Ion Implantation”(John Wiley & Sons,Inc.、1973)、263〜265頁参照)如きの単結晶基板の内部への成長層構成元素の侵入を抑制するに効果がある。しかし、基板表面の面方位を反映して上層のエピタキシャル成長層の成長方位も高次なものとなり、個別の素子への裁断が複雑となるなどの不都合を生ずる場合がある。
【0026】
本発明のリン化硼素(BP)からなる半導体層を具備する半導体素子は、特定の範囲の禁止帯幅のリン化硼素(BP)半導体層を備えていることを特徴としている。また、本発明のリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層を具備する半導体素子は、特定の禁止帯幅のBPを含んで構成されているBP系混晶を備えていることを特徴としている。BP系混晶層とは、硼素(B)とリン(P)を構成元素として含むIII−V族化合物半導体混晶である。例えば、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記される混晶である。より具体的には、リン化アルミニウム・硼素(BXAl1-XP:0≦X≦1)、リン化ガリウム・硼素(BXGa1-XP:0≦X≦1)、及びリン化インジウム・硼素(BXIn1-XP:0≦X≦1)混晶である。また、窒化リン化硼素(BPY1-Y:0<Y≦1)及び砒化リン化硼素(BPYAs1-Y:0<Y≦1)或いは砒化リン化硼素・ガリウム(BXGa1-XYAs1-Y:0<X≦1、0<Y≦1)等が例示できる。
【0027】
リン化硼素(BP)或いはBP系混晶層の機械的或いは電気的な仕様は素子に依って適宣、選択する。n形の電子走行層を備えたnチャンネル形TEGFETの電子供給層にあっては、例えば、層厚を約10nmから約50nmとし、キャリア濃度を約1×1018cm-3〜約5×1018cm-3とするn形のBP層等を利用する。発光ダイオード(LED)にあって、発光を外部へ効率的に取り出すための窓(ウィンドウ)層は、クラッド層等との下地層の伝導形に対応させてn形、またはp形であり、例えば、約1×1018cm-3を越える良導性のBP層或いはBP系混晶層から構成する。また、レーザーダイオード(LD)にあって、電流狭窄層は上部クラッド層等の下地層とは伝導形を反対とする導電層、または高抵抗のBPまたはBP系混晶層から構成する。リン化硼素(BP)2元半導体は間接(in−direct)遷移型半導体である(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)。反面、BPはフィリップス(Philips)のイオン結合性が0.006と小さい(上記の「半導体結合論」、49〜51頁参照)。従って、ドーパント(dopant)の電気的活性化率が高く、高キャリア濃度で低抵抗のBP結晶層が得られ易い。本発明では、この様な低抵抗のBP層を例えば、LEDの電流拡散層並びにLDまたはFETのオーミックコンタクト(Ohmic contact)層として好ましく利用してBP系半導体素子を構成する。また、導電性の緩衝層を必要とするBP系半導体素子にあって、導電性の緩衝層を構成するに好適に利用する。
【0028】
本発明に係わるBP結晶層及びBP系混晶層は、例えば、周知の有機金属化学的気相堆積法(MOCVD)法(Inst.Phys.Conf.Ser.,No.129(IOP Publishing Ltd.,1993)、157〜162頁参照)、分子線エピタキシャル(MBE)法(J.Solid State Chem.,133(1997)、269〜272頁参照)、ハライド(halide)法、またはハイドライド(hydride)法等の気相成長法に依り成長させられる。有機金属化学的気相堆積法は、硼素(B)の有機化合物を硼素(B)源とする一気相成長法である。MOCVD法では、例えば、リン化硼素・ガリウム(BXGa1-XP:0≦X≦1)混晶は、トリエチル硼素((C253B)、トリメチルガリウム((CH33Ga)またはトリエチルガリウム((C253Ga)、ホスフィン(PH3)またはトリアルキル(trialkyl)リン等の有機リン化合物から構成される原料系を利用して成長する。ハライド法(ハロゲン化物法)でのリン化硼素(BP)結晶層の気相成長では、例えば、三塩化硼素(BCl3)等の硼素(B)のハロゲン化物を硼素(B)源として、また、三塩化リン(PCl3)等のリンのハロゲン化物をリン(P)源として利用できる(「日本結晶成長学会誌」、Vol.24、No.2(1997)、150頁参照)。また、三臭化硼素(BCl3)を硼素(B)源とするハロゲン化物法もある(J.Appl.Phys.,42(1)(1971)、420〜424頁参照)。ハイドライド(水素化物)法では、例えば、ボラン(BH3)またはジボラン(B26)等の硼素水素化物を硼素(B)源とし、ホスフィン(PH3)等のリン水素化物をリン(P)源としてBP結晶層を成長できる(▲1▼J.Crystal Growth、24/25(1974)、193〜196頁、及び▲2▼J.Crystal Growth、132(1993)、611〜613頁参照)。
【0029】
気相成長法に依れば、例えば、旧来のニッケル(Ni)−リン(P)融液或いは銅(Cu)−リン(P)融液からリン化硼素(BP)結晶を育成する、いわゆる液相成長手段に比較して(J.Electrochem.Soc.,120(6)(1973)、802〜806頁参照)、BP系混晶層の層厚や混晶組成比の制御がより簡便に容易に実施できる利点がある。また、気相成長手段に依れば、BP層或いはBP系混晶層と他の半導体結晶層とのヘテロ接合構造体も簡便に形成できる利点がある。特に、成長反応炉へ供給する気体原料種を瞬時に変更できる配管系を備えたMOCVD手段に依れば、結晶層の組成を急峻に変化させられる。ヘテロ(異種)接合界面で組成を急峻に変化させた、いわゆる、急峻なヘテロ接合界面構造は、低次元電子を蓄積するに効率的となる。従って、MOCVD法により形成されたBP層またはBP系混晶層との急峻なヘテロ接合界面構造体からは、例えば、電子移動度に優れたTEGFET等のBP系半導体素子がもたらされる効果がある。
【0030】
BP層或いはBP系混晶層を成長させるための温度は、気相成長方式及び基板とする結晶材料並びに目的とするBP層或いはBP系混晶層の結晶形態に鑑みて決定する。単結晶のBP層を得るためには、上記の気相成長手段に殆ど依存せず、概して750℃を越える高温が必要である。トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)反応系を利用した常圧(略大気圧)或いは減圧MOCVD手段で単結晶のBP層を得るには、750℃より高く1200℃以下の温度が適する(米国特許US−6,069,021号参照)。換言すれば、基板材料はこの様な高温で変質を来さない耐熱性の有る結晶から選択する必要がある。この高温の領域で耐熱性を有する基板材料として、リン化硼素(BP)単結晶(▲1▼上記のZ.anorg.allg.chem.,349(1967)、、▲2▼Kristall und Technik、2(4)(1967)、523〜534頁、▲3▼Kristall und Technik、4(4)(1969)、487〜493頁、及び▲4▼上記のJ.Electrochem.Soc.,120(1973)参照)、サファイア(α−Al23)、炭化珪素(SiC)(上記のJ.Appl.Phys.,42(1)(1971)参照)、並びにシリコン(珪素単結晶)が例示できる。1200℃を越える高温では、分子式B6PやB132で表記されるリン化硼素の多量体が形成され易くなり(J.Am.Ceram.Soc.,47(1)(1964)、44〜46頁参照)、単量体のリン化硼素(boron monophosphide)からなる単結晶層を得るには不都合となる。単結晶のBP層或いはBP系混晶層からは、例えば、TEGFETの電子供給層を構成できる。また、LED或いはLDのクラッド(clad)層を構成できる。成長させたBP層或いはその混晶層の結晶形態(構造)は一般的なX線回折法(XRD)や電子線回折法に依る回折パターンから知れる。単結晶からは斑点(spot)状の回折点が帰結される(J.Crystal Growth、70(1984)、507〜514頁参照)。
【0031】
また、同反応系のMOCVD手段に依り、非晶質或いは多結晶のBP結晶層を得るには、250℃〜750℃の比較的低温が適する(上記のUS−6,069,021号参照)。非晶質(amorphous)を主体としてなるBP層またはBP系混晶層は、基板上に基板をなす結晶とは格子ミスマッチを大とする成長層を含むリン系半導体素子用途の積層構造体を形成するに際し、その格子不整合性を緩和する作用を発揮して結晶性に優れる成長層をもたらす効果を有する。また、基板材料と成長層との熱膨張率の差異に主に起因して発生する、成長層の基板表面からの剥離を防止するに有効に作用をする。従って、例えば、非晶質を主体としてなるBP層は、リン系半導体素子を構成する緩衝層として用いることができる。また、緩衝層は、例えば、低温で成長させた非晶質のリン化硼素層上に、より高温で成長させたリン化硼素(BP)の単結晶層を積層させた重層構造体からも構成できる(上記のUS−6,029,021号参照)。BPとは格子不整合の関係にある基板を用いる際にも、非晶質のBP層を介在させれば、結晶性に優れるBP単結晶層を簡便に得ることができる。例えば、リン化硼素系半導体発光素子にあって、重層構造からなる緩衝層には、高い強度の発光をもたらす発光部が構成できる利点がある。また、例えば、リン化硼素系HBTにあって、重層構造の緩衝層上には、格子ミスマッチ(lattice mismatch)に起因するミスフィット(misfit)転位等の結晶欠陥が小さい良質のコレクタ層或いはサブコレクタ(sub−collector)層等を得るに貢献できる。
【0032】
BP系混晶層からは、また、単結晶基板と格子整合する成長層を構成できる。例えば、硼素組成比を0.02(リン化硼素混晶比=2%)とするリン化硼素・ガリウム混晶(B0.02Ga0.98P)(特開平11−266006号公報明細書参照)は格子定数を5.4309ÅのBP系混晶層である。従って、B0.02Ga0.98P(上記の特開平11−266006号公報参照)からは、Si単結晶(格子定数=5.4309Å)に格子整合する成長層を構成できる。基板とするSi単結晶に格子整合する成長層は、BP混晶比を33%とするリン化硼素インジウム混晶(B0.33In0.67P)からも構成できる。基板と格子整合をなすBP系混晶成長層からは、例えば、良質な緩衝層を構成できる。また、高積感度のホール素子を得るに適する高い電子移動度の発現する感磁層を構成できる。また、受光素子の光透過層(window層)等に好適に利用できる。
【0033】
本発明のリン化硼素(BP)からなる半導体層を具備する半導体素子は、室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)半導体層を利用して構成する。また、本発明のリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層を具備する半導体素子は、室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするBPを含んで構成されているBP系混晶半導体層を利用して構成する。室温とはおよそ20℃である。即ち、従来のBPの禁止帯幅とされている2eVを越え、且つ従来、報告されている4.2eV〜6.0eV程高くはなく、従来では知られていない中間的な禁止帯幅を有するBP層或いはBP混晶層を利用してBP系半導体素子を構成する。室温での禁止帯幅を2.8eV以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)層は、その成長条件を規定することにより形成できる。特に、成長速度と原料の供給比率の双方を規程された範囲内に設定することにより形成できる。リン化硼素(BP)層或いはBP系混晶層の成長速度は、好ましくは、毎分20Å以上で300Å以下とする。成長速度を20Å/min未満の遅い速度とすると、成長層表面からのリン(P)構成元素或いはその化合物が脱離、揮発が充分に抑止されず、成膜が果たせない場合がある。300Å/minを越える速い成長速度に設定すると、得られる禁止帯幅の値が不安定となり好ましくはない。また、成長速度を徒に速くすると多結晶の結晶層となり易い傾向にあり、単結晶層を得る不都合となる。
【0034】
また、成長速度と併せて、原料の供給比率を好ましくは15以上で60以下の範囲に規定する。BP層を形成する場合にあって、原料の供給比率とは、成長反応系への硼素(B)源の供給量に対するリン(P)源の供給量の比率である。また、BP系混晶を形成する場合にあっては、硼素(B)を含むIII族元素源の合計の供給量に対する、リン(P)を含むV族元素源の合計の供給量の比率である。リン化硼素・インジウム(BXIn1-XP:0≦X≦1)混晶を形成する場合を例にすれば、成長反応系に供給するガリウム(Ga)源とインジウム(In)源の総量に対する、リン(P)源の供給量の比率である。即ち、いわゆる、V/III比率である。V/III比率を15未満と小とすると、成長層表面が乱雑となり望ましくはない。また、III/V比率を60を越えて極端に大とすると、化学量論的に観てリン(P)が富裕な状態である成長層が形成され易くなる。過剰なリン(P)は、結晶格子で硼素(B)が占有すべき位置に入り込み、ドナー(donor)として働くとされる(庄野 克房著、「超LSI時代の半導体技術100集〔5〕」((株)オーム社、昭和59年5月1日発行、電子雑誌エレクトロニクス第29巻第5号(昭和59年5月号)付録、121頁参照)。BP或いはBP系混晶が属する閃亜鉛鉱型結晶には、元来、p形半導体層が得られ易い、縮帯した価電子帯構造が備わっている(生駒 俊明、生駒 英明共著、「化合物半導体の基礎物性入門」((株)培風館、1991年9月10日発行初版、14〜17頁参照)。にも拘わらず、化学量論的組成がリン(P)の富裕側に移行してしまえば、低抵抗のp形結晶層の形成に支障を来すので不都合である。
【0035】
従来の気相成長手段に於けるBP層の形成条件を省みるに、ジボラン(B26)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)系ハイドライド法にあっては、約120Å/min〜約700Å/minの成長速度が記されている(上記のJpn.J.Appl.Phys.,13(3)(1974)参照)。一方、このハイドライド系成長手段では、BP層の成長には、V/III比率(=PH3/B26)を約50以上とする必要があるとされている(上記のJpn.J.Appl.Phys.,13(1974)参照)。特に、単結晶のBP層を得るにはV/III比率を250に増加させる必要があると述べられている(上記のJpn.J.Appl.Phys.,13(1974)参照)。また、ジボランとホスフィンを原料としてBP層を形成する他の例では、成長速度は最低でも400Å/minに設定されている(庄野 克房著、「半導体技術(上)」((財)東京大学出版会、1992年6月25日発行9刷)、74〜77頁参照)。また、半導体の性質を呈するBP層を得るには、V/IIIを100倍以上とする必要があるとされる(上記の「半導体技術(上)」、76〜77頁参照)。従って、従来のB26/PH3/H2系ハイドライド法では、本発明の云う低い成長速度は採用できるものの、併せて同時にV/III比率を本発明の規定の範囲に満たすには至らない。
【0036】
また、塩化物を原料とするハロゲン法においてV/III比率を本発明の範囲を満足する様に設定したところで、原料としたハロゲン化物の気相成長時に於ける分解に因り生成したハロゲン化物により成長中のBP層またはSi基板自体がエッチングされ、平坦な表面のBP層が得られ難い問題点を有する。本発明に規定する成長速度とV/III比率との双方を併せて満足する条件下でBP層或いはBP系混晶層を成長させるに好適なのはMOCVD法である。特に、トリアルキル硼素化合物を硼素(B)源とするMOCVD法が好適に利用できる(上記のInst.Phys.Conf.Ser.,No.129.参照)。トリアルキル硼素化合物中でも特に、トリエチル硼素((C253B)を用いるMOCVD手段に依れば、低温で非晶質のBP層或いはBP系混晶層の形成も、また、高温での単結晶層の形成も簡便に実施できる。トリメチル硼素((CH33B)はボランやジボランと同じく常温で気体であり、低温でのBP層或いはBP系混晶層の形成には、トリエチル硼素ほど好適とはならない。低温でのBP層或いはBP結晶層の形成には、沸点が低い常温で液体の有機硼素化合物を硼素(B)源とするのが適する。
【0037】
例えば、トリエチル硼素/ホスフィン/水素MOCVD反応系を利用してリン化硼素(BP)単結晶層を形成する際の成長温度は850℃以上で1150℃以下が望ましい。より望ましくは、900℃以上で1100℃以下の成長温度とする。特に、好ましいのは950℃〜1050℃の温度である。例えば、950℃で、V/III比率を30に設定すれば、禁止帯幅を約2.9eVとするリン化硼素(BP)単結晶層が安定して獲得できる。禁止帯幅(=Eg)は例えば、一般的なフォトルミネッセンス(PL)法、カソードルミネッセンス(CL)、または吸収係数と光子(photon)エネルギーとの関係(上記のジーガー著、「セミコンダクターの物理学(下)」、390〜400頁参照)から求められる。図2に上記の条件で硼素(B)を添加したp形で(111)面を有するSi単結晶基板表面上に形成したアンドープBP層についての吸収係数(absorptioncoefficient)の光子エネルギー依存性を例示する。吸収係数(α:cm-1)と光子ネネルギー(hν:eV)との関係から求められる室温での禁止帯幅は約3.1eVとなる。ちなみに、BP結晶について、禁止帯幅の温度に依る変化率(温度係数)は、単位絶対温度当たりマイナス(−)4.5×10-4eVであるのが知られている(上記のZ.anorg.allg.chem.,349(1967)参照)。この温度係数に於ける負号は低温となる程、禁止帯幅は高まることを意味している。従って、例えば、液体窒素温度(=77K)でのBP層の禁止帯幅は約3.2eVとなる。この様に、成長速度とV/III比率とを本発明の規定する範囲内とすることに依って、本発明のBP層を得ることができる。
【0038】
また、図3に、上記と同一のMOCVD反応系を利用して、温度950℃で、成長速度を100Å/分に、V/III比率を60に各々、設定して成長させたマグネシウム(Mg)ドープp形リン化硼素(BP)層のCLスペクトルを例示する。同スペクトルは温度30Kで測光されたものである。リン化硼素(BP)は間接遷移型半導体であるため、CLスペクトルは、77K或いはそれよりも低温での取得が適する。試料としたp形BP層のキャリア濃度は約8×1018cm-3である。また、層厚は約2.2μmである。図3に例示するCLスペクトルの成分は、一般的なピーク(peak)分離法を利用した解析に依れば、ピーク波長を約3785Åとするスペクトル(図3中に記号「SP1」で示す。)と、ピーク波長を約5696Åとするスペクトル(記号「SP2」で示す)。「SP2」は、「深い」不純物準位に起因するスペクトルと思量される。また、「SP2」で示されるスペクトルの特徴は、経時的な発光強度の減少が認められるのが特徴である。一方、「SP1」は、バンド端吸収と推定されるスぺクトルであり、そのピーク波長(3785Å)からは約3.2eVの禁止帯幅が算出される。
【0039】
トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)系MOCVD手段に依り成長させたアンドープのリン化硼素(BP)層を例にして説明すれば、禁止帯幅は非晶質層の場合が高いのが一般的である。特に、例えば、下地層との格子不整合に起因する歪を内在するBP非晶質層の室温禁止帯幅は大凡、3.0eVから3.4eVと大となる場合がある。成長速度を大きくして成長させたBP多結晶層では、一般に禁止帯幅は小となる傾向にある。特に、約2〜3μmを越える層厚の厚膜では、禁止帯幅は例えば、室温で約2.8eVから約3.0eVに低下する場合がある。また、上記の好適な範囲の成長速度及びV/III比率の条件下で成長させた単結晶のBP層では、非晶質層と多結晶層との中間的な禁止帯幅を取り得る。
【0040】
本発明に記載の禁止帯幅を有するリン化硼素(BP)を利用すれば、従来に無い禁止帯幅を備えた、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0≦δ+ε≦1)で表記されるBP系混晶を形成できる。例えば、禁止帯幅を2.8eV以上で3.4eV以下とする本発明に係わるリン化硼素(BP)を利用すれば、室温での禁止帯幅を約1.5Vを越え3.4eV未満とする、砒化リン化硼素混晶(BPδAsε:0<δ<1、0<ε<1、δ+ε=1)を形成できる。禁止帯幅を約2.0eVとされる従来のBP結晶を利用するのでは、砒化硼素(BAs)の禁止帯幅とされる約1.5eVを越え(上記の「III−V族化合物半導体」、150頁参照)、リン化硼素(BP)の禁止帯幅である約2.0eVの狭い範囲の禁止帯幅を有するBPδAsε混晶(0<δ<1、0<ε<1、δ+ε=1)が形成されるのみである。
【0041】
また、例えば、禁止帯幅を2.8eV以上で3.4eV以下とする本発明に係わるリン化硼素(BP)を利用すれば、室温での禁止帯幅を2.3eVを越え3.4eV未満とする、リン化硼素・ガリウム混晶(BXGa1-XP:0<X<1)を形成できる。リン化ガリウム(GaP)の室温での禁止帯幅は2.3eVであるため(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)、リン化硼素(BP)との混晶化によりBPの混晶比を増大させれば、即ち、硼素(B)組成比(=X)を増加させることに依り、2.3eV以上のBXGa1-XP(0<X<1)混晶を形成できる。因みに、禁止帯幅が約2.0eVとされる従来のBPを利用して形成したBXGa1-XP(0<X<1)混晶では、約2.0eV以上で2.3eV以下の狭い範囲の禁止帯幅を有するBXGa1-XP(0<X<1)混晶しか形成することができない。BXGa1-XP(0<X<1)混晶の如く、砒素(As)を構成元素として含まないBP系混晶からは、環境への汚染を防止する配慮を施したリン化硼素系半導体素子を構成できる利点が生まれる。
【0042】
禁止帯幅を2.8eV以上で3.4eV以下とする本発明のBP結晶から構成されるBP系混晶は、上記の例の様に従来のBP系混晶にはない広い範囲で、高い禁止帯幅を備えている。このため、例えば、短波長光を放射するために設けられた発光層に対する障壁層を構成するに特に、有用となる。例えば、硼素組成比(=X)を0.90とするB0.90Al0.10P混晶からは、立方晶の窒化ガリウム・インジウム混晶(Ga0.75In0.25N)からなる発光層に対するクラッド層が構成され得る。また、リン化硼素(BP)或いはBP系混晶は閃亜鉛光型の結晶であり、その価電子帯のバンド構造(上記の「化合物半導体の基礎物性入門」参照)からp形層が得られ易い状況にある。従って、例えば、六方晶の窒化ガリウム(h−GaN)とは状況が異なり、p形で低抵抗のクラッド層を簡便に形成できる。立方晶のGa0.75In0.25N発光層からは、発光波長を4430Åとする青紫色の近紫外光が放射されるため、B0.90Al0.10P混晶とGa0.75In0.25Nからなるヘテロ接合構造体からは単一(single)或いは多重(double)ヘテロ接合構造の青色帯発光をもたらすpn接合型発光部が構成できる利点がある。更に、B0.90Al0.10P混晶とGa0.75In0.25Nとは同一の格子定数(=4.628Å)を有する(立方晶の窒化インジウム(InN)の格子定数は4.98Åとして計算してある:上記の「III−V族化合物半導体」、330頁参照)。即ち、本発明のBP系混晶からは、発光層に格子整合するクラッド層を構成できるため、格子整合系の発光部を構成できる。相互に格子整合の関係にある結晶層は格子ミスマッチに起因する結晶欠陥の少ない良質な結晶層となる。このため、格子整合系の発光部からは高強度の発光が出射されることとなり、高輝度のリン化硼素系半導体発光素子をもたらすに貢献できる。なお、相互に格子整合の関係にある結晶層とは、格子ミスマッチ度を±0.4%以下とする関係にある結晶層のことをいう。
【0043】
また、本発明のリン化硼素(BP)層或いはBP系混晶層を用いれば、LED或いはLDを構成するに好適となる格子整合系の発光部を構成するのに利便となる。例えば、n形またはp形のリン化硼素(BP:格子定数=4.538Å)からなるクラッド層と、リン(P)組成比を0.03とする窒化リン化ガリウム(GaN0.970.03:格子定数=4.538Å)混晶からなる発光層とから格子整合系の例えば、pn接合型発光部を構成できる。また、リン組成比を0.10とする立方晶のGaN0.900.10からなる発光層とガリウム(Ga)組成比を0.07とする立方晶のリン化硼素・ガリウム(B0.93Ga0.07P)からなるクラッド層とから格子整合系の発光部が簡便に構成できる。同様に砒化窒化ガリウム(GaN1-XAsX:0≦X≦1)を発光層として利用しても格子整合系の発光部を構成できる。しかし、窒化ガリウム(GaN)の生成エネルギーが標準状態で(−)26.2kcal/mol.であるの対し、GaAsの生成エネルギーは(−)19.2kcal/mol.とより大きい(特開平10−53487号公報明細書参照)。一方、GaPの生成エネルギーは(−)29.2kcal/mol.とGaNの生成エネルギーよりも小さい(上記の特開平10−53487号参照)。このため、GaN1-XAsX混晶に比較してGaN1-XX混晶はより容易に形成され得て好都合である。クラッド層は、GaN1-XX発光層に対して、室温でより大きな禁止帯幅を有するのBP層或いはBP系混晶層から構成する。約0.1eV以上、最も好ましくは0.3eV以上の禁止帯幅が高いBP層或いはBP系混晶層からは発光層に障壁作用を充分に及ぼせるクラッド層が構成できる。
【0044】
また、本発明に係わるリン化硼素(BP)或いはBP系混晶では、上記の如く短波長の可視光を透過できる大きな禁止帯幅を備えている。このため、例えば、2.7eV以上の禁止帯幅を与える様に硼素組成比(=X)を調整したBXGa1-XP(室温禁止帯幅を3.0eVとするBP結晶を利用した場合、0.4≦X<1となる。)からは、発光波長を約4590Åより長波長とするLEDの発光透過層(window)層が好適に構成できる。また、禁止帯幅を2.8eVを越え、3.4eV未満の範囲とするリン化硼素・インジウム混晶(BXIn1-XP)に混晶からは、約4430Åよりも長波長の発光を透過できるLED或いは面発光型LD(伊賀、小山共著、「面発光レーザ」((株)オーム社、1990年9月25日発行、第1版第1刷)、4〜5頁参照)の窓層として利用できる。また、LEDまたは面発光レーザ(surface emitting laser)用途の反射鏡を構成するに利用できる(上記の「面発光レーザ」、118〜119頁参照)。
【0045】
より容易に生成できるGaN1-XX混晶と本発明のBP層またはBP系混晶とから構成される積層構造体からは、受光素子用途の受光部を構成できる。例えば、リン化硼素(BP)或いはBP系混晶層と、それらとは格子ミスマッチ度を±0.4%以下とする半導体層との接合構造体は、信号/雑音強度比、いわゆる、S/N比が大きく受光感度に優れる受光素子用途の受光部を構成できる。特に、例えば、リン化硼素(BP)層とそれに格子整合する半導体層、例えば、上記のGaN1-XX層とのヘテロ接合構造体からなる受光部を利用すれば、暗電流が低く受光感度に優れる高感度受光素子用途の受光部を構成できる。また、本発明のBP層或いはBP系混晶からは、測光対象を受光層に効率的に導入できる光透過層として有用である。特に、従来に無い2.8eVを越える比較的高い範囲の禁止帯幅を備えたBP層或いはBP系混晶層は青色等の短波長可視光をも効率的に透過できるため、例えば、短波長可視光を測光対象とする受光素子の窓層として有効に利用できる。
【0046】
リン化硼素(BP)層或いはBP系混晶層とそれと格子整合する半導体層とからなるヘテロ接合構造では、キャリア、例えば電子を高速に移動(transport)できる優位性がある。例えば、BP層或いはBP系混晶層とGaN1-XX混晶とのヘテロ接合構造体は、電子の高速な移動性を必要とするTEGFETの機能層を構成するに好適となる。この場合、直接遷移型のGaN1-XX混晶層では高い電子移動度が発現できるため、特に、TEGFETの電子走行層を構成するに適する。また、BP層或いはBP系混晶層からは、電子走行層とヘテロ接合をなし、電子走行層内へ電子を供給する役目を果たす電子供給層が構成できる。また、本発明のBP層或いはBP系混晶層からは、電子供給層と電子走行層との中間に配置する場合があるスペーサ(spacer)層も構成できる。電子走行層またはスペーサ層は電子走行層の構成材料よりも、0.2eV以上で望ましくは約0.3eV以上に禁止帯幅を大とする一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記される半導体層から構成するのが好適である。特に、GaN1-XX混晶層は上記の理由により砒素化合物に比較して形成が容易である。
【0047】
また、GaN1-XX混晶のリン(P)組成比に依る禁止帯幅の曲折(bowing)を利用すれば(Appl.Phys.Lett.,60(20)(1992)、2540〜2542頁参照)、直接遷移の領域でリン(P)組成を数%程度変化させることにより、禁止帯幅を変化させられる。例えば、リン(P)組成比を5%とすれば禁止帯幅を3.2eVから約2.8eVに低下させられる。また、リン(P)組成比を10%とすれば約2.0eVに低下させられる。即ち、GaN1-XX混晶からはリン(P)組成比に対応して、BP層或いはBP系混晶層からなるスペーサ層または電子供給層との禁止帯幅を上記の好適な禁止帯幅の差異を顕現できる電子走行層を簡便に構成できる利点がある。
【0048】
例えば、図4に模式的に例示する如く、面方位を(0001)(c面)とするサファイアからなる基板401上に、例えば、
(1)2.8eV以上、3.4eV以下の範囲内で禁止帯を望ましくは3eV以上とした、層厚(=d)を約100Åとするアンドープの高抵抗リン化硼素・アルミニウム(BXAl1-XP:0<X<1)からなる非晶質を主体とする低温緩衝層402
(2)低温緩衝層402より高温で形成した、望ましくは禁止帯幅を3eV以上とする、例えば、キャリア濃度(=n)を約5×1015cm-3未満とし、d=3000Åのアンドープn形BPからなる高温緩衝層403
(3)高温緩衝層403をなすBPに格子整合し、且つ、より小さな禁止帯の例えば、立方晶のアンドープn形GaN0.970.03(例えば、n=5×1016cm-3、d=250Å)から構成した電子走行層404
(4)望ましくは禁止帯幅を3eV以上とした、電子走行層104よりも高い禁止帯幅を有する例えば、キャリア濃度(=n)を約5×1015cm-3未満とし、d=50Åのアンドープn形BPからなるスペーサ層405
(5)望ましくは禁止帯幅を3eV以上とした、例えば、キャリア濃度(=n)を約2×1018cm-3未満とし、d=250Åの珪素(Si)ドープn形BPからなる電子供給層406
(6)望ましくは禁止帯幅を電子供給層406以下とした、例えば、キャリア濃度(=n)を約5×1018cm-3とし、d=150Åの珪素(Si)ドープn形BPからなるオーミック電極コンタクト層407
の各層を順次、積層してTEGFET40用途の積層構造体41を形成する。次に、コンタクト層407の一部にリセス(recess)加工を及ぼし、其処にショットキー(Schottky)接合型ゲート(gate)電極408を設ける。また、リセス部411の両側に残存させたコンタクト層407の表面上にオーミック(ohmic)性ソース(source)電極409及びドレイン(drain)電極410を形成してTEGFET40を構成する。
【0049】
また、リン化硼素(BP)或いはBP系混晶上に積層させた、例えば、GaN1-XX混晶層はホール素子の感磁部として利用できる。特に、間接遷移型ではなく直接遷移型の例えば、GaN1-XX混晶層はホール素子の感磁層(磁気感応層)として利用できる。また、GaN1-XX混晶層は、従来のホール素子の感磁層を構成するアンチモン化インジウム(InSb、禁止帯幅=0.18eV)または砒化インジウム(InAs、禁止帯幅=0.36eV)或いは砒素ガリウム(GaAs、禁止帯幅=1.43eV)の何れよりも(室温禁止帯幅の値については、上記の「III−V族化合物半導体」、150頁参照)、リン組成比の如何により大きな禁止帯幅を採り得る(上記のAppl.Phys.Lett.,60(1992)参照)。禁止帯幅が大きな半導体材料は、伝導度に於ける真性領域に到達する温度がより高温となるため(上記の「セミコンダクターの物理学(上)、5〜10頁参照)、高温で動作可能なホール素子を構成するに優位となる。例えば、GaN1-XAsX混晶よりも高い禁止帯幅を採り得る例えば、GaN1-XX混晶からはより高温での素子動作を可能とする感磁層を構成できる。従って、GaN1-XX混晶層とBP層或いはBP系混晶層とからなるヘテロ接合構造体からは高温でも動作する耐環境型のホール素子を構成できる利点がある。特に、BP層或いはBP系混晶層と格子整合する直接遷移型のn形GaN1-XX混晶層では、より向上した電子移動度が帰結されるため、高感度であり、且つ高温で動作可能な耐環境性型ホール素子を得るに貢献できる。
【0050】
本発明に係わるホール素子は、基板と、例えば緩衝層と、感磁層を含む積層構造体から構成する。本発明に係わる耐環境型のホール素子用途の積層構造体の例を図5の断面図に示す。基板501には、例えば、シリコン、サファイア、または炭化珪素(SiC)等の単結晶を用いる。単結晶基板501上に設ける第1の緩衝層502は、低温で成長させた例えば、非晶質のn形リン化硼素(BP)層から構成する。第2の緩衝層503は、第1の緩衝層502より高温で成長させた例えば、珪素(Si)ドープn形BP単結晶層から構成する。感磁層504は例えば、リン化硼素(BP:融点=3000℃(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照)と同様に高融点の窒化ガリウム(GaN:六方晶h−GaNの融点>1700℃(上記の「半導体デバイス概論」、28頁参照))または窒化リン化ガリウム(GaN1-XX:0<X<1)等から構成する。感磁層504は、下地層(図5の積層構造系では第2の緩衝層503である)と格子ミスマッチの少ない、更には格子整合する材料から構成するのが好適である。格子ミスマッチ度の絶対値(Δ:単位%)は、下地層の格子定数(=a0)と堆積層の格子定数(=a)から次式で算出される。
Δ(%)=|(a−a0)/a0|×100
立方晶のGaN(a=4.510Å)とのBP単結晶(a0=4.538Å)との格子ミスマッチは僅か0.6%であり、感磁層を構成するに適する一材料となる。また、本構成例に記載のas−grown状態で非晶質を主体としてなる緩衝層(図5の第1の502)は、格子ミスマッチを緩和する作用を有し、上層の結晶性をより向上させるに寄与する。
【0051】
更に、窒素組成比を0.03とする窒化リン化ガリウム(GaN0.970.03)の格子定数はBP単結晶と一致する4.538Åである。この様な格子整合する材料からなる感磁層は、格子ミスマッチに起因するミスフィット転移等の結晶欠陥の密度が低く、良質な結晶層となる。従って、より高い移動度が発現できるため、耐熱性に優れる高感度ホール素子が提供される。例えば、トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/アンモニア(NH3)/水素(H2)系常圧MOCVD法により、面方位を(100)とするリン(P)ドープn形Si単結晶基板501表面上に順次、次記の成長層を積層する。
(1)層厚(=d)を約70Åとし、室温での禁止帯幅を約3.1eVとするアンドープ(アンドープ)n形BP層からなる第1の緩衝層502
(2)キャリア濃度(=n)を約6×1015cm-3とし、室温禁止帯幅を約3.0eVとするn形BP層からなる第2の緩衝層503(d=0.7μm)
(3)d=0.1μm、n=2×1016cm-3であり、室温での電子移動度を約850cm2/V・sとする立方晶のn形GaN0.970.03からなる感磁層50次に、例えば、メタン(CH4)/アルゴン(Ar)/水素(H2)系プラズマエッチング手段により、感磁層504にメサ(mesa)加工を施す。さらに感磁部(Hall cross部)として十字形に残存させた感磁層504の4端部に、例えば金(Au)またはAu合金等からなるオーミック電極を敷設する。この様な構成からは、積感度(product sennsitivity)は室温で約15mV/mA・kGの耐環境用の高感度ホール素子が提供される。
【0052】
本発明に係わるリン化硼素(BP)は、従来の禁止帯幅(約2eV)を越える大きな禁止帯幅を有しているために、本発明のBPからは従来に無く大きな禁止帯幅のBP系混晶が構成できる。このため、禁止帯幅を異にする他の半導体層とのヘテロ接合構造を構成するに際し、その自由度を拡張でき、種々のヘテロ接合構造を顕現できる。例えば、従来の小さな禁止帯幅のBP(禁止帯幅2eV)では、BPと格子整合するGaN0.970.03(禁止帯幅3eV)に対し障壁作用を及ぼすためのヘテロ接合構造を構成できない。一方、本発明に係わるBPにあって、特に、3eVを越える禁止帯幅のBPからは、GaN0.970.03に対する障壁層を構成できるため、キャリア(carrier)の「閉じ込め」効果を発現する格子整合系ヘテロ接合構造体が構成できる。この様なヘテロ接合体からは、耐環境型のTEGFETやホール素子等のヘテロ接合デバイスをもたらすに有用となるのは上記の如くである。TEGFETにあって、本発明に係わる禁止帯幅の大きなBP或いはBP系混晶を緩衝層として利用すれば、特にゲート電流の漏洩を抑制できるため、相互コンダクタンス(gm)に優れるTEGFETがもたらされる。また、ホール素子にあって、本発明に記す禁止帯幅の大きなBP或いはBP系混晶から緩衝層を構成すれば、動作電流の漏洩を抑制でき、積感度の高いホール素子をもたらさすに効果を奏する。
【0053】
本発明に記載のBP或いはBP系混晶からなる半導体層は、従来に比較してより大きな禁止帯幅を発現できるために、多岐に亘り様々な半導体層とバンドオフセット(band−offset)を従来に無く大とするヘテロ接合構造を創出できる。本発明に記載のBP或いはBP系混晶からなる半導体層を用いたヘテロ接合構造は、上記のようにバンド不連続性の大きなヘテロ接合構造であるため、障壁層として特に優位に用いることができる。。
【0054】
【実施例】
(実施例1)
本実施例1では、本発明のBP半導体層を用いたIII族窒化物半導体LEDを例にして本発明を具体的に説明する。本実施例1に係るpn接合型LED60の断面構造を図6に模式的に示す。
【0055】
LED60用途の積層構造体61は、硼素(B)ドープのp形で(111)面を有するSi単結晶を基板601として構成した。基板601上の低温緩衝層602は、as−grown状態で非晶質を主体とするリン化硼素(BP)から構成した。低温緩衝層602は、トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)系常圧MOCVD法により、350℃で成長させた。低温緩衝層602の層厚は約12nmとした。
【0056】
低温緩衝層602の表面上には、上記のMOCVD気相成長手段を利用して、950℃でマグネシウム(Mg)をドーピングしたp形BP層を下部クラッド層603として積層した。マグネシウムのドーピング源にはビス−シクロペンタジエニルマグネシウム(bis−(C552Mg)を用いた。下部クラッド層603のキャリア濃度は約7×1018cm-3とした。層厚は約0.8μmとした。
【0057】
下部クラッド層603をなすBP層の室温に於ける屈折率(index of refraction)と消衰係数(extinction coefficient)の波長依存性を図7に示す。約450nmより短波長側で消衰係数(=k)は急激に増加する傾向が得られている。また、屈折率(=n)も短波長側でより増加する傾向となっている。例えば、波長450nmでの屈折率は約3.12であり、消衰係数は約0.0029であるのに対し、波長380nmではα=3.28でk=0.1120と計測される。n及びkの値を基に求めた複素誘電率の虚数部(ε2=2・n・k)(上記の「III−V族化合物半導体」、168〜171頁参照)の光子(photon)エネルギーとの関係を図8に示す。光子エネルギーの増加にともないε2値は減少する挙動を呈する。また、ε2値の切片より求めた光子エネルギーは約3.1eVとなった。これより、下部クラッド層603をなすリン化硼素(BP)結晶の室温禁止帯幅は約3.1eVであるのが示された。
【0058】
室温禁止帯幅を約3.1eVとするBP下部クラッド層603上には、リン化硼素(BP)と格子整合するリン(P)組成比を0.03(=3%)とするマグネシウムドープのp形窒化リン化ガリウム(GaN0.970.03)層を発光層604として積層した。下部クラッド層603をなすBPと、GaN0.970.03からなる発光層(室温の禁止帯幅2.9eV)との禁止帯幅の差異は約0.2eVとなった。立方晶のGaN0.970.03からなる発光層604は、トリメチルガリウム((CH33Ga)/PH3/H2系常圧MOCVD法により950℃で成長させた。発光層604のキャリア濃度は約3×1017cm-3とし、層厚は約0.3μmとした。
【0059】
発光層604上には、層厚を約0.3μmとするn形リン化硼素(BP)を上部クラッド層605として積層した。上部クラッド層605は、(C253B/PH3/H2系常圧MOCVD法により950℃で成長させた。発光層605の格子定数は4.538Åであり、上部クラッド層605と発光層604との格子定数は一致させた。上部クラッド層605もまた下部クラッド層603と同じく室温での禁止帯幅を約3.1eVとしたBP結晶から構成した。上部クラッド層605のキャリア濃度は約2×1018cm-3とした。上記の禁止帯幅を約3.1eVとするBP半導体層からなる下部クラッド層603および上部クラッド層605と、GaN0.970.03発光層604とからpn接合型ダブルヘテロ(DH)接合構造型の発光部606を構成した。
【0060】
上部クラッド層605上には、禁止帯幅を約3.1eVとするn形リン化硼素(BP)からなる電流拡散層607を積層させた。電流拡散層607をなすSiドープBP層は、(C253B/PH3/H2系常圧MOCVD法により、950℃で成長させた。電流拡散層607の層厚は約50nmとし、また、キャリア濃度は約8×1018cm-3に設定した。
【0061】
p形Si単結晶基板601の裏面には、アルミニウム(Al)からなるp形オーミック(ohmic)電極609を形成した。また、電流拡散層607の表面の中央には、金・ゲルマニウム(Au・Ge)合金からなるn形オーミック電極608を配置した。n形オーミック電極608の直径は約130μmとした。然る後、基板601としたSi単結晶を[211]方向に平行及び垂直な方向に裁断して、一辺を約300μmとするLEDチップ(chip)60となした。
【0062】
両オーミック電極608〜609間に順方向に駆動用電流を通流して発光させた。電流−電圧(I−V特性)は発光部606の良好なpn接合特性に基づく正常な整流特性を示した。I−V特性から求めた順方向電圧(いわゆる、Vf)は約3.1V(順方向電流=20mA)となった。また、逆方向電圧は約10V(逆方向電流=5μA)となった。順方向に20ミリアンペア(mA)の動作電流を通流した際には、発光中心波長を約430nmとする青色光が出射された。発光スペクトルの半値幅は約23nmであった。一般的な積分球を利用して測定されるチップ状態での発光強度は約14マイクロワット(μW)となり、高発光強度のBP系化合物半導体LEDが提供された。
【0063】
(実施例2)
本実施例2では、本発明に記載のリン化硼素(BP)層を具備したpn接合型ダイオードを例にして、本発明の内容を具体的に説明する。図9に本実施例2のpn接合型ダイオード90の断面構造を模式的に示す。
【0064】
リン(P)ドープでn形の(111)面を有するSi単結晶基板901上に、ジボラン(B26)/(CH33Ga/H2系減圧MOCVD法で400℃でリン化硼素・ガリウム(BXGa1-XP)から構成した低温結晶層902−1を積層させた。硼素(B)組成比(=X)はSi単結晶(格子定数=5.431Å)に格子整合する0.02とした。低温結晶層902−1は約1.3×104パスカル(Pa)の減圧下で成長させた。低温結晶層902−1の層厚は約4nmとした。
【0065】
断面TEM法での観察に依れば、成膜時のアズーグローン(as−grown)状態のB0.02Ga0.98P低温結晶層902−1では、Si単結晶基板901との接合面から大凡、1nmに至る上方の領域は単結晶となっていた。また、B0.02Ga0.98P低温結晶層902−1とn形Si単結晶基板901とには、剥離は認められず良好な密着性が保持された。低温結晶層902−1の上部は非晶質体を主体として構成されていた。
【0066】
0.02Ga0.98P低温結晶層902−1上には、上記の減圧MOCVD反応系を利用して、950℃で硼素組成(=X)に組成勾配を付与したSiドープn形BXGa1-XP高温結晶層902−2を積層した。硼素(B)の組成比は、高温結晶層902−2の層厚の増加方向に0.02より1.0に直線的に増加させた。即ち、硼素(B)の組成に勾配を付してn形高温結晶層902−2の表面はリン化硼素(BP)層とした。この組成勾配を付したn形BXGa1-XP(X=0.02→1.0)層は、室温での禁止帯幅を約3.0eVとするBP結晶を基に構成したので大凡、約3.0eVの結晶層となった。硼素(B)の組成勾配は、MOCVD反応系へのジボランの供給量を経時的に一律に増加させ、逆にトリメチルガリウムの供給量を一律に減少させて付した。層厚は約0.4μmとした。n形高温結晶層902−2の成長時の反応系の圧力は約1.3×104Paに設定した。BXGa1-XP組成勾配(X=0.02→1.0)高温結晶層902−2の成長時には、ジシラン(Si26)−H2混合ガスを使用してSiをドーピングした。キャリア濃度は約1×1018cm-3に設定した。X線回折分析法での解析に依れば、n形高温結晶層902−2は(111)配向性の立方晶のBXGa1-XP(X=0.02→1.0)結晶層であると認められた。
【0067】
n形高温結晶層902−2としたBXGa1-XP組成勾配層の成膜を終了した後では、B0.02Ga0.98P低温結晶層902−1内部の非晶質体の大部分は、as−grown状態でSi単結晶基板901との境界領域に存在していた単結晶層を基として単結晶化した。また、n形BXGa1-XP(X=0.02→1.0)高温結晶層902−2は、Si単結晶基板901と格子整合する組成のB0.02Ga0.98P(格子定数=5.431Å)からなる低温結晶層902−1上に設けたため、剥離することのない連続膜となった。緩衝層902は上記の低温及び高温結晶層902−1、902−2の重層構造から構成した。
【0068】
n形高温結晶層902−2上には、B26/PH3/H2系減圧MOCVD法により950℃でn形リン化硼素(BP)層903を接合させた。n形BP層903の成長時には、Si26−H2混合ガスを使用してSiをドーピングした。n形BP層903のキャリア濃度は約5×1017cm-3とし、また、層厚は約0.3μmとした。n形層903は室温での禁止帯幅を約3.0eVとするBP結晶から構成した。
【0069】
n形BP層903の上には、B26/PH3/H2系減圧MOCVD法により950℃でp形のBP層904を積層した。p形BP層904は禁止帯幅を約3.0eVとするマグネシウム(Mg)ドープBP層から構成した。Mgのドーピング源にはビスシクロペンタジエニルMg(bis−(C552Mg)を利用した。p形層904はワイドバンドギャップ半導体ではあるものの、閃亜鉛鉱結晶型であり、しかもイオン結合性の低いBPから構成したため、キャリア濃度は約3×1018cm-3とすることができた。p形層904の層厚は約0.2μmとした。上記のn形BP層903とp形BP層904とからpn接合構造を構成した。
【0070】
n形Si単結晶基板901の裏面には、アルミニウム(Al)からなるn形オーミック(ohmic)電極906を形成した。また、p形BP層904の表面の中央には、金(Au)からなるp形オーミック電極905を配置した。p形オーミック電極905の直径は約110μmとした。然る後、基板901としたSi単結晶を[211]方向に平行及び垂直な方向に裁断して、一辺を約350μmとするダイオード90のチップ(chip)となした。
【0071】
両オーミック電極905〜906間に順方向に電流を通流して測定した、電流−電圧(I−V特性)を図10に例示する。本実施例2のpn接合型BPダイオードは、良好なpn接合特性に基づく正常な整流特性を呈した。また、逆方向電圧は約15V(逆方向電流=10μA)となり、高耐圧の化合物半導体pn接合型ダイオードが提供された。
【0072】
(実施例3)
本実施例3では、本発明のリン化硼素(BP)を含むBP系混晶を具備したnpn接合型ヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)を例にして、本発明の内容を具体的に説明する。図11は本実施例3のnpn接合型HBT10の断面模式図を示す。
【0073】
リン(P)ドープのn形で(100)面を有するSi単結晶基板101上に、ジボラン(B26)/(CH33Ga/H2系減圧MOCVD法で、350℃でリン化硼素・ガリウム(BXGa1-XP)から構成した低温緩衝層102を積層させた。硼素(B)組成比(=X)はSi単結晶(格子定数=5.431Å)に格子整合する0.02とした。低温緩衝層102は約1.3×104パスカル(Pa)の減圧下で成長させた。低温緩衝層102の層厚は約14nmとした。
【0074】
0.02Ga0.98P低温緩衝層102上には、上記の減圧MOCVD反応系を利用して、成長温度を850℃に固定して次記の各機能層を順次、積層させた。各機能層103〜108のキャリア濃度(n(n形)またはp(p形))及び層厚(t)は下記のようにしてHBT10用途の積層構造体11を構成した。
(1)BP低温緩衝層102との接合界面より層表面に向けて硼素組成比(=X)を0.02から直線的に1.0に増加させた、即ち、表面をリン化硼素(BP)としたSiドープn形BXGa1-XP組成勾配層からなるコレクタ層103(n=9×1017cm-3、t=0.50μm)。
(2)n=2×1018cm-3、t=0.10μmとしたSiドープn形BPからなるサブ(sub)コレクタ層104。
(3)n=3×1018cm-3、t=0.05μmとした立方晶のSiドープn形窒化ガリウム(GaN)からなる中間層105。
(4)p=3×1019cm-3、t=0.01μmとした室温での禁止帯幅を約3eVとするマグネシウム(Mg)ドープp形窒化リン化硼素(BP0.970.03)からなるベース層106。
(5)n=4×1018cm-3、t=0.20μmとした室温での禁止帯幅を約3.2eVとするSiドープn形窒ガリウム(GaN)からなるエミッタ層107。
(6)n=7×1018cm-3、t=0.10μmとした室温での禁止帯幅を約3.2eVとするSiドープn形窒ガリウム(GaN)からなるコンタクト層108。
【0075】
その後アルゴン(Ar)/メタン(CH4)/水素(H2)混合ガスを利用した一般的なプラズマエッチング手段によりHBT用積層構造体11に階段状にエッチングを及ぼし、コンタクト層108、ベース層106及びサブクレクタ層104の各機能層の表面を露出させた。上記の中間層105はサブコレクタ層104に対するエッチングを阻止する作用を及ぼせるため、サブコレクタ層104の表面を明瞭に露呈するに効果が奏された。
【0076】
コンタクト層108の表面上に金・ゲルマニウム(Au97重量%・Ge3重量%)合金からなるエミッタ電極109を設置した。エミッタ電極109の平面形状は一辺の長さを約110μmとする正方形とした。上記のエッチング加工により露呈させたサブコレクタ層104上に上記と同じくAu・Ge合金からなるコレクタ電極110を設置した。n形層用の各電極109、110を一般的な真空蒸着手段により被着した後、420℃で5分間の合金化熱処理(alloy)した。その後、周知のフォトリソグラフィー技術を利用した選択パターニング手法によりp形ベース層106上に金・亜鉛(Au95重量%・Zn5重量%)合金からなる帯状のベース電極111を設置した。その後400℃で2分間、ベース電極111の合金化熱処理を施した。その後、個々の半導体素子に裁断した。
【0077】
得られたHBTのエミッタ電極109及びコレクタ電極110間に2.5Vの電圧(いわゆるコレクタ電圧)を印可した状態で、シート(sheet)抵抗を約360Ω/□としたベース層106のベース電流を0Vから50マイクロアンペア(μA)の範囲で変化させた。直流電流増幅率(β=ICE/VB)はベース電流の変化幅に対して略一定となり、約95であった。これより、本発明に依れば、直流増幅率が高く、且つ安定であるHBTが提供される。
【0078】
(実施例4)
本実施例4では、本発明に記載のリン化硼素(BP)半導体層を具備した紫外帯域用途の受光素子(photodetector))を例にして、本発明の内容を具体的に説明する。図12は本実施例4の受光素子20の構成を示す断面模式図である。
【0079】
(0001)(c面)を有するサファイア基板201上に、トリエチル硼素(C253B/PH3/H2系常圧(略大気圧)MOCVD法で380℃でリン化硼素(BP)からなる低温緩衝層202を堆積した。低温緩衝層202の層厚は約5nmとした。BP低温緩衝層202上には、上記の常圧MOCVD手段を利用して、825℃で珪素(Si)ドープn形リン化硼素(BP)能動層203を積層させて、受光素子20用途の積層構造体21を構成した。能動層203は室温での禁止帯幅を約3.1eVとするBP半導体層から構成した。能動層203のキャリア濃度は約2×1017cm-3とし、層厚は約1.8μmとした。
【0080】
作製した受光素子用積層構造体21にプラズマエッチング加工を施して、能動層203表面の中央部を円形状にエッチングした。エッチングは直径約120μmの円形の領域に施し、エッチング深さは約0.1μmとした。この領域には、直径を約100μmとしたチタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)からなる3層構造のショットキー電極204を形成した。また、ショットキー電極204の外周囲には、金・ゲルマニウム(Au・Ge))/ニッケル(Ni)/金(Au)3層構造からなる円環状のオーミック電極205を配置して受光素子20を構成した。円環状の電極205は、上記のショットキー電極204の中央を中心とする直径約220μmの円周上に形成した。
【0081】
本実施例5では、低温緩衝層202を下地層としてBP能動層203を積層したため、能動層203は良質の結晶層となり、よって、オーミック電極205とショットキー電極204の間に−2Vの逆方向電圧を印可した際の暗電流は1×10-8A/cm2程度に減少した。また、カットオフ(cut−off)波長は約400nmとなり、本発明に依れば、暗電流特性に優れる近紫外帯域の受光素子が提供されることとなった。
【0082】
【発明の効果】
本発明に依れば、室温で2.8eV以上で3.4eV以下とする従来に無い範囲内の高い禁止帯幅のリン化硼素(BP)或いはそのBP結晶との混晶化により得たBP系混晶を利用して化合物半導体素子を構成することとしたので、そのワイドバンドギャップ性に依り、高温で動作できる、しかも高耐圧の半導体素子を構成できる効果がある。特に、ワイドバンドギャップでありながら、イオン結合性の小さな閃亜鉛鉱結晶型のBP或いはBP系混晶を利用することとしたので、高い正孔濃度のp形伝導層を簡便に形成することができるため、低抵抗のp形半導体層を機能層として利用する半導体素子を簡便に提供できる効果がある。
【0083】
本発明のBPからなる半導体層あるいはBP系混晶からなる半導体層を用いたpn接合型ダイオードからは、正常な整流特性を示し、高耐圧のダイオードが得られた。また、本発明のBPからなる半導体層あるいはBP系混晶からなる半導体層を用いたLEDからは、高発光強度の青色発光素子が得られた。また、本発明のBPからなる半導体層あるいはBP系混晶からなる半導体層を用いた受光素子からは、暗電流特性に優れる近紫外帯域の用途に用いられる受光素子が得られた。
【0084】
また、本発明のBPからなる半導体層あるいはBP系混晶からなる半導体層を用いたTEGFETからは、高い電子移動度が発現できる電界効果形トランジスタを得ることができた。また、本発明のBPからなる半導体層あるいはBP系混晶からなる半導体層を用いたHBTからは、直流増幅率が高く、且つ安定であるHBTが得られた。また、本発明のBPからなる半導体層あるいはBP系混晶からなる半導体層を用いたホール素子からは、耐熱性に優れた高感度のホール素子が得られた。
【0085】
本発明のワイドバンドギャップのBP或いはBP系混晶層の形成方法に依れば、室温で2.8eV以上で3.4eV以下とする従来に無い範囲内の高い禁止帯幅のリン化硼素(BP)或いはBP系混晶を安定して形成できる効果がある。このため、他の半導体との種々のヘテロ接合構造体を形成するに効果が奏される。例えば、本発明に記載の範囲の禁止帯幅を有するBPからは、禁止帯幅を約2eVとする従来のBPからは構成し得なかった、窒化リン化ガリウム(GaNP混晶)に障壁作用を及ぼすヘテロ接合構造を構成できる効果が得られる。
【0086】
また、本発明のBP或いはBP系混晶層の形成方法に依れば、格子不整合の関係にある単結晶を基板材料として化合物半導体素子を得るための積層構造体を構成する場合にあっても、基板材料と積層構造体の構成層との不整合性を緩和できるBP或いはBP系混晶からなる緩衝層を構成できる。更に、格子ミスマッチを緩和できる緩衝層上には結晶性に優れるBP層或いはBP系混晶層を形成することが可能である。従って、本発明の形成方法に則れば、結晶性に優れたBP層或いはBP系混晶層を備えた積層構造体を形成でき、特性に優れる化合物半導体素子を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】III−V族化合物半導体の室温の禁止帯幅と構成元素の平均原子番号との相関図である。
【図2】本発明に係わるBP半導体層の吸収係数の光子エネルギー依存性を示す図である。
【図3】本発明に係わるBP半導体層のカソードルミネッセンス(CL)スペクトルである。
【図4】本発明に係わるBP半導体層を利用して構成したTEGFETの断面模式図である。
【図5】本発明に係わるBP半導体層を利用して構成したホール素子用途の積層構造体の断面模式図である。
【図6】本発明の実施例1に係わるpn接合型LEDの断面模式図である。
【図7】本発明の実施例1に係わるBP層の屈折率と消衰係数の波長依存性を示す図である。
【図8】本発明の実施例1に係わるBP層の誘電率の虚数部と光子エネルギーとの関係図である。
【図9】本発明の実施例2に係わるpn接合型ダイオードの断面模式図である。
【図10】本発明の実施例2に係わるpn接合型ダイオードの電流−電圧特性を示す図である。
【図11】本発明の実施例3に係わるnpn接合型HBTの断面構造を示す模式図である。
【図12】本発明の実施例4に係わる受光素子の断面模式図である。
【符号の説明】
10 HBT
11 HBT用積層構造体
101 n形Si単結晶基板
102 低温緩衝層
103 コレクタ層
104 サブコレクタ層
105 中間層
106 ベース層
107 エミッタ層
108 コンタクト層
109 エミッタ電極
110 コレクタ電極
111 ベース電極
20 受光素子
21 受光素子用積層構造体
201 サファイア基板
202 BP低温緩衝層
203 BP能動層
204 ショットキー電極
205 オーミック電極
40 TEGFET
401 基板
402 低温結晶層
403 高温結晶層
404 電子走行層
405 スペーサ層
406 電子供給層
407 コンタクト層
408 ゲート電極
409 ソース電極
410 ドレイン電極
411 リセス部
501 基板
502 第1緩衝層
503 第2緩衝層
504 感磁層
505 スペーサ層
60 LED
61 LED用途積層構造体
601 基板
602 低温緩衝層
603 下部クラッド層
604 発光層
605 上部クラッド層
606 発光部
607 電流拡散層
608 n形オーミック電極
609 p形オーミック電極
90 ダイオード
901 基板
902 緩衝層
902−1 低温結晶層
902−2 高温結晶層
903 n形BP層
904 p形BP層
905 p形オーミック電極
906 n形オーミック電極

Claims (22)

  1. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層を具備する半導体素子であって、前記半導体層は、気相成長方法により成長し、前記半導体層の気相成長の際に、硼素(B)の合計の供給量に対するリン(P)の合計の供給量の比率を15以上60以下とし、かつ前記半導体層の成長速度を毎分20Å以上300Å以下として成長したものである半導体素子
  2. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層と、該半導体層と禁止帯幅の異なる他の半導体層とのヘテロ接合を具備することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
  3. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層と、該半導体層とヘテロ接合を形成する請求項2に記載の半導体層とが格子整合することを特徴とする請求項2に記載の半導体素子。
  4. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層とヘテロ接合を形成する半導体層がGaN0.970.03であることを特徴とする請求項3に記載の半導体素子。
  5. 結晶基板上に室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体素子。
  6. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層を具備する半導体素子であって、前記半導体層は、気相成長方法により成長し、前記半導体層の気相成長の際に、硼素(B)を含むIII族元素源の合計の供給量に対するリン(P)を含むV族元素源の合計の供給量の比率を15以上60以下とし、かつ前記半導体層の成長速度を毎分20Å以上300Å以下として成長したものである半導体素子
  7. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶がリン化アルミニウム・硼素混晶(BXAl1-XP:0<X<1)、リン化ガリウム・硼素混晶(BXGa1-XP:0<X<1)またはリン化インジウム・硼素混晶(BXIn1-XP:0<X<1)であることを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
  8. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層と、該半導体層と禁止帯幅の異なる他の半導体層とのヘテロ接合を具備することを特徴とする請求項6または7に記載の半導体素子。
  9. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層と、該半導体層とヘテロ接合を形成する半導体層とが格子整合することを特徴とする請求項8に記載の半導体素子。
  10. 結晶基板上に室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層が積層されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の半導体素子。
  11. pn接合構造を具備することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の半導体素子。
  12. 発光素子であることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子。
  13. 受光素子であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の半導体素子。
  14. トランジスタであることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の半導体素子。
  15. 電界効果形トランジスタ(FET)であることを特徴とする請求項14に記載の半導体素子。
  16. ヘテロバイポ−ラトランジスタ(HBT)であることを特徴とする請求項14に記載の半導体素子。
  17. ホール素子であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の半導体素子。
  18. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層であって、前記半導体層は、気相成長方法により成長し、前記半導体層の気相成長の際に、硼素(B)の合計の供給量に対するリン(P)の合計の供給量の比率を15以上60以下とし、かつ前記半導体層の成長速度を毎分20Å以上300Å以下として成長したものである半導体層
  19. 結晶基板上に室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)からなる半導体層が積層されていることを特徴とする請求項18に記載の半導体層。
  20. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層であって、前記半導体層は、気相成長方法により成長し、前記半導体層の気相成長の際に、硼素(B)を含むIII族元素源の合計の供給量に対するリン(P)を含むV族元素源の合計の供給量の比率を15以上60以下とし、かつ前記半導体層の成長速度を毎分20Å以上300Å以下として成長したものである半導体層
  21. 室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶がリン化アルミニウム・硼素混晶(BXAl1-XP:0<X<1)、リン化ガリウム・硼素混晶(BXGa1-XP:0<X<1)またはリン化インジウム・硼素混晶(BXIn1-XP:0<X<1)であることを特徴とする請求項20に記載の半導体層。
  22. 結晶基板上に室温での禁止帯幅を2.8エレクトロンボルト(eV)以上で3.4eV以下とするリン化硼素(BP)を含む、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γδAsε1- δ - ε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ≦1、0≦ε<1、0<δ+ε≦1)で表記されるリン化硼素(BP)系混晶からなる半導体層が積層されていることを特徴とする請求項20または21に記載の半導体層。
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