JP4987240B2 - 化合物半導体素子、化合物半導体素子の製造方法、ダイオード素子 - Google Patents

化合物半導体素子、化合物半導体素子の製造方法、ダイオード素子 Download PDF

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本発明は、六方晶の炭化珪素結晶基板上に設けられたリン化硼素系半導体材料を備えた化合物半導体素子、及びその製造方法、並びにそれを用いたダイオード素子に関する。
炭化珪素(SiC)は、立方晶(β型と総称される)と六方晶(α型と総称される)等の多様な結晶型を有し、また広い禁止帯幅(ワイドバンドギャップ)を持つことが知られている(非特許文献1参照。)。
例えば、立方晶β型の炭化珪素からなる結晶基板は、広い禁止帯幅を有し、紫外帯域半導体レーザの発光波長に対して透明であるため、透明な結晶基板として用いられている(特許文献1参照。)。
立方晶β型の炭化珪素からなる結晶基板上に発光層などの構成層が形成されてなる紫外帯域半導体レーザでは、半導体レーザの上面だけでなく、側面や下面からも光を出射でき、優れた光の取り出し効率が得られる。
また、Ramsdellの表記法に依り、2H型(ウルツ鉱結晶型)、4H型、6H型と表記される六方晶(hexagonal)型のα型炭化珪素(SiC)結晶も、窒化ガリウム(GaN)系発光ダイオード(light-emitting diode:LED。以下、LEDとも言う。)などの化合物半導体発光素子を形成するための基板材料として利用されている。
例えば、α型の炭化珪素の{0001}結晶面を表面とする結晶基板が用いられ、この結晶基板上に堆積された窒化ガリウム・インジウム(GaInN:0≦Y,Z≦1、Y+Z=1)を発光層とした青色帯発光素子が開示されている(特許文献2参照。)。
更に炭化珪素(SiC)が基板材料として利用された例としては、炭化珪素(SiC)単結晶基板上に堆積された成長層を備えた化合物半導体素子も開示されている(特許文献3参照。)。
また、六方晶の炭化珪素(SiC)のa軸の格子定数(a)は0.308nmであり、窒化ガリウム(GaN)のa軸の格子定数(a)(0.319nm)と略同一である。このため、六方晶の炭化珪素(SiC)と窒化ガリウム(GaN)とを少ないミスフィット転位で接合できる。
このことを利用してp型の炭化珪素(SiC)層と、n型の六方晶の窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlGaN:0≦X,Y≦1、X+Y=1)層とからなるヘテロ接合構造を備えたpn接合型発光ダイオードが開示されている(特許文献4参照。)。
また、p型及びn型の炭化珪素(SiC)単結晶が相互に接合されて構成された青色発光素子も開示されている(特許文献5参照。)。
このように、炭化珪素(SiC)を発光層として利用する例も開示されているが、一般には炭化珪素(SiC)は基板材料として用いられており、特許文献1乃至3のように炭化珪素(SiC)の結晶基板上に堆積されて形成された成長層からなる化合物半導体素子が種々の分野で利用されている。
炭化珪素(SiC)の結晶基板が用いられている場合、結晶基板上に直接、発光層などの構成層を形成せず、例えば炭化珪素(SiC)の結晶基板上に、緩衝層としてリン化硼素(BP)層を形成した後に発光層などの構成層を形成する発光素子の製造方法が開示されている(特許文献6,7参照。)。
また、炭化珪素(SiC)の結晶基板上に、リン化硼素(BP)層を含む超格子層を備えた化合物半導体発光素子も開示されている(特許文献8参照。)。
熊代幸伸(Y.Kumashiro)、「エレクトリック リフラクトリー マテリアルズ(Electric Refractory Materials」、(米国)、マーセルデッカー社(Marcel Dekker Inc.)、2000年、p.409−411 特開平4−84486号公報 特公昭55−3834号公報 特開昭60−207332号公報 特開平2−177577号公報 特開平2−46779号公報 特開平2−275682号公報 特開平2−288388号公報 特開平2−288371号公報
リン化硼素(BP)は、立方晶閃亜鉛鉱型(sphalerite)の結晶であるため、組成式AlGaN(0≦X,Y≦1、X+Y=1)で表される化合物等の六方晶のIII族窒化物化合物半導体とは対照的に、価電子帯(valence band)が縮退している(特許文献6の明細書2頁下段右欄と第7図参照。)。
このため、リン化硼素(BP)を用いることによって、p型の伝導性を呈する導電層を形成し易く、従来では、特許文献6のように、禁止帯幅が2.0エレクトロンボルト(eV)のp型マグネシウム(Mg)ドープリン化硼素(BP)層は、レーザダイオード(Laser Diode:LD)のコンタククト層として用いられている。
しかしながら、リン化硼素(BP)は、格子定数が0.454nmの立方晶閃亜鉛鉱型の結晶である(寺本 巌著、「半導体デバイス概論」、1995年3月30日、(株)培風館発行初版、p.28参照。)。
例えば、リン化硼素(BP)と6H型(六方晶)の炭化珪素(a軸の格子定数(a)0.308nm)との格子のミスマッチは、6H型(六方晶)の炭化珪素を基準とすれば、47.3%と極めて大きい。
このため、六方晶の炭化珪素(SiC)の結晶基板を用いる場合、結晶性に優れたリン化硼素(BP)層を安定して得られず、例えば、耐電圧性に優れる化合物半導体素子を安定して提供するに充分に至っていない。
本発明は、上記の従来技術の問題点を克服すべくなされたもので、六方晶の炭化珪素の結晶基板上に堆積されたリン化硼素系半導体結晶層を備え、高い耐電圧特性を有する化合物半導体素子と、優れた結晶整合性で炭化珪素の結晶基板上にリン化硼素系半導体結晶層を形成でき、高い耐電圧特性が得られる化合物半導体素子の製造方法、高い耐電圧特性を有するpn接合型ダイオードを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、(1)六方晶の炭化珪素結晶基板と、該炭化珪素結晶基板上に形成されたリン化硼素系半導体層とを備えた化合物半導体素子において、前記炭化珪素結晶基板の表面が{0001}結晶面であり、前記リン化硼素系半導体層が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、該結晶面と平行に積重された{111}結晶体を有し、前記リン化硼素系半導体層の{111}結晶体が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面のa軸に対して線対称に積重されており、前記炭化珪素結晶基板の[0001]結晶方位の原子配列の1周期中に含まれる層数をnとすると、前記{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さが、前記炭化珪素結晶基板のc軸格子定数と同一であることを特徴とする化合物半導体素子である。
)前記リン化硼素系半導体層が、伝導形を制御するための不純物を故意に添加していないアンドープのリン化硼素系半導体から構成されていることを特徴とする(1)に記載の化合物半導体素子である。
)前記リン化硼素系半導体層が、{111}結晶面を双晶面とする双晶を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の化合物半導体素子である。
)六方晶の炭化珪素結晶基板と、該炭化珪素結晶基板上に形成されたリン化硼素系半導体層とを備えた化合物半導体素子の製造方法において、表面が{0001}結晶面である炭化珪素結晶基板を下地として、少なくとも硼素含有化合物とリン含有化合物を気相成長領域に供給し、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、この{0001}結晶面と平行に積重された{111}結晶体を有し、前記リン化硼素系半導体層の{111}結晶体が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面のa軸に対して線対称に積重されており、前記炭化珪素結晶基板の[0001]結晶方位の原子配列の1周期中に含まれる層数をnとすると、前記{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さが、前記炭化珪素結晶基板のc軸格子定数と同一であるリン化硼素系半導体層を形成する工程を有することを特徴とする化合物半導体素子の製造方法である。
)750℃以上で1200℃以下の温度で前記リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする()に記載の化合物半導体素子の製造方法である。
)2nm/分以上で30nm/分以下の成長速度で前記リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする()又は()に記載の化合物半導体素子の製造方法である。
)前記リン化硼素系半導体層を形成する初期段階にて、20nm/分以上で30nm/分以下の成長速度で前記リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする()乃至()のいずれかに記載の化合物半導体素子の製造方法である。
)p型層又はn型層として、六方晶の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に形成されたリン化硼素系半導体層を備え、前記リン化硼素系半導体層が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、該結晶面と平行に積重された{111}結晶体を有し、前記リン化硼素系半導体層の{111}結晶体が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面のa軸に対して線対称に積重されており、前記炭化珪素結晶基板の[0001]結晶方位の原子配列の1周期中に含まれる層数をnとすると、前記{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さが、前記炭化珪素結晶基板のc軸格子定数と同一であることを特徴とするダイオード素子である。
本発明の化合物半導体素子によると、リン化硼素系半導体層の{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さが、炭化珪素結晶基板のc軸格子定数と略同一であることによって、平面方向だけでなく積層方向においても、炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層との間において優れた格子のマッチング性が得られる。このため、例えば、整流特性に優れた高耐電圧特性が得られる。
更に、リン化硼素系半導体層の{111}結晶体が、炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面のa軸に対して線対称に積重されたことによって、炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層との間において更に優れた格子のマッチング性が得られ、ミスフィット転位の少ない良質のリン化硼素系半導体層とすることができ、更に整流特性に優れた高耐電圧特性が得られる。
リン化硼素系半導体層が、伝導形を制御するための不純物を故意に添加していないアンドープのリン化硼素系半導体から構成されたことによって、漏洩電流が少なく、かつ高耐電圧特性が得られる。
リン化硼素系半導体層が、{111}結晶面を双晶面とする双晶を含むことによって、格子のミスマッチが緩和され、更に漏洩電流が少なく、かつ高耐電圧特性が得られる。
前記双晶は、炭化珪素結晶とリン化硼素系半導体層とのヘテロ接合界面の近傍領域に多く含まれていることが好ましく、これにより有効に格子のミスマッチを緩和できる。
本発明の化合物半導体素子の製造方法によると、平面方向だけでなく積層方向においても、炭化珪素結晶基板と優れた格子のマッチング性を有するリン化硼素系半導体層が形成できる。このため、例えば、整流特性に優れた高耐電圧特性を有する化合物半導体素子を製造できる。
本発明のpn接合型ダイオードによると、炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層との間において優れた格子のマッチング性が得られ、また、六方晶の炭化珪素単結晶の優れた耐電圧性を利用できるため、整流特性に優れた高耐電圧特性が得られる。
[化合物半導体素子]
本発明の化合物半導体素子は、六方晶の炭化珪素結晶基板と、この炭化珪素結晶基板上に形成されたリン化硼素系半導体層とを備えたものである。
リン化硼素系半導体層の下地となる結晶基板を構成する六方晶の炭化珪素とは、Ramsdellの表記に従えば(上述した非特許文献1の「Electric Refractory Materials」、p.409-411参照。)、n・H型と表記される。
ここで、前記nは、積層方向の結晶の配置の1周期中に含まれる層数であり、通常、正の偶数であり、具体的には2,4,6,8,10である。また前記Hは、結晶系が六方晶であることを表す。六方晶の炭化珪素としては、例えば2H型、4H型または6H型が挙げられる。
六方晶の炭化珪素結晶基板の表面は、{0001}結晶面、または{0001}結晶面よりも[11−20]結晶方位に10°以内の角度で傾斜した結晶面であることが好ましい。この{0001}結晶面より[11−20]結晶方位に10°以内の角度で傾斜した結晶面としては、例えば、{0001}結晶面より[11−20]結晶方位に3.5°または8.0°傾斜した結晶面が好適である。
化合物半導体素子が発光素子である場合、前記炭化珪素結晶基板としては、n型またはp型導電性の炭化珪素単結晶からなるものが好ましく、これにより素子を駆動させるための電流(素子駆動電流)を通流させるためのオーミック(Ohmic)性電極を炭化珪素結晶基板に形成できる。
また、化合物半導体素子が変調ドープ高電子移動度トランジスタ(略称:MODFET)等のショットキー(Schottky)接合型電界効果トランジスタ(MESFET)である場合、前記炭化珪素結晶基板としては、半絶縁性の炭化珪素単結晶からなるものが適する。
この炭化珪素結晶基板上に形成されたリン化硼素系半導体層を構成するリン化硼素(BP)系半導体は、硼素(B)とリン(P)とを必須の構成元素として含む化合物半導体である。
例えば、組成式BαAlβGaγIn1−α−β−γ1−δAsδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1で表される化合物半導体や、組成式BαAlβGaγIn1−α−β−γ1−εε(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦ε<1)で表される化合物半導体等が挙げられる。
リン化硼素(BP)系半導体としては、構成元素が3種以下のものが好ましく、これにより組成比の安定した良質の混晶層が容易に形成される。例えば、単量体のリン化硼素(BP)や、砒化リン化硼素(組成式BP1−δAsδ:0≦δ<1)や窒化リン化硼素(組成式BP1−εε:0≦ε<1)等の構成元素種が3種以下で、かつ複数(2種)のV族元素を含む化合物半導体が挙げられる。
特に、前記した構成元素が3種以下のリン化硼素(BP)系半導体では、六方晶の炭化珪素のa軸格子定数と略同等である格子定数または格子面間隔の結晶面を有することが更に好ましい。これにより、六方晶の炭化珪素上に、リン化硼素(BP)系半導体層を形成する際、格子ミスマッチが少なく、ミスフィット(misfit)転位の少ない結晶性の良好なリン化硼素系半導体層が容易に得られる。
このようなリン化硼素(BP)系半導体としては、例えば窒素(N)の組成比(ε)が0.2(=20%)の窒化リン化硼素(BP0.80.2)が挙げられる。この窒化リン化硼素(BP0.80.2)は、結晶構造が閃亜鉛鉱結晶型であり、{110}結晶面の格子面間隔が約0.308nmであり、6H型の炭化珪素(SiC)のa軸格子定数(=0.308nm)に一致する結晶面を有する。
また、リン化硼素系半導体層として、不純物を故意に添加しない、所謂、アンドープ(undope)のリン化硼素系半導体からなる層が好ましい。
アンドープ(undope)のリン化硼素系半導体層は、六方晶の炭化珪素結晶基板に対して、平面方向(a軸方向)と鉛直方向(c軸方向)において、所謂3次元的に、結晶格子の大きさの観点からしてマッチングすることができる。また、リン化硼素系半導体層上に発光層等の他の構成層が形成されている場合、他の構成層へ拡散する不純物を低減できる。
次に、本発明の要旨となる六方晶の炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層の結晶構造について、以下に詳細に説明する。
図1は、炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面と、その上に形成されたリン化硼素系半導体層の結晶の配列の様子を模式的に示す平面図である。
六方晶の炭化珪素単結晶の{0001}結晶面は、多数の平面視正六角形状の単位胞(単位的平面結晶格子)が緻密に配列したものである。この炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上には、{0001}結晶面と平行にリン化硼素系半導体層の{111}結晶体が形成されている。
図1に示すように、立方晶閃亜鉛鉱結晶型のリン化硼素系半導体層の{111}結晶面は平面視で正三角形である。また、この正三角形状の{111}結晶面の3辺は、それぞれ{111}結晶面の[110]結晶方位を向いている。
従って、この正三角形状の{111}結晶面の3辺が、それぞれ炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面の平面視正六角形状の底面格子(単位胞)のa軸に平行である場合、リン化硼素系半導体層の{111}結晶体は、その{111}結晶面が炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面の底面格子の平面形状に見合うように配置して積重していることになる。即ち、リン化硼素系半導体層の{111}結晶面は、その[110]結晶方位と、六方晶の炭化珪素結晶基板の底面格子のa軸とが平行であり、炭化珪素結晶基板のa軸を線対称中心として鏡像の関係(線対称の関係)に配置していることが好ましく、これにより炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層との間において最も良好な格子マッチングが得られる。
六方晶の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に形成されたリン化硼素系半導体層の結晶方位は、例えば、X線回折法や電子線回折法により測定できる。
例えば、入射電子線(ビーム)をリン化硼素系半導体層の[110]結晶方位に平行に入射させてリン化硼素系半導体層の電子線回折(Transmission electron diffraction:TED)像を撮像する。この電子線回折像に、炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面の回折点と、リン化硼素系半導体層の{111}結晶面の回折点とが、共に炭化珪素結晶基板のc軸方向に現れ、炭化珪素結晶基板のある晶帯軸(例えばa軸)に対して線対称にリン化硼素系半導体層の{110}結晶面の逆格子が観察された場合、炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上でリン化硼素系半導体層の{111}結晶面が炭化珪素結晶基板の晶帯軸(例えばa軸)を線対称軸として対称に配置していることになる。すなわちリン化硼素系半導体層の{111}結晶体が、炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面のa軸に対して線対称に積重されていることになる。
図2は、6H型の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面と、その上に形成されたリン化硼素層の積層方向の結晶の配列の様子を模式的に示す平面図である。
一例として図2に示された炭化珪素結晶基板は、6H型の炭化珪素単結晶からなる。このため{0001}結晶面に垂直な[0001]結晶方位(c軸方向)の第1層目の原子配列をP、第2層目の原子配列をQ、第3層目の原子配列をRとすると、図2に示された積層順序となり、原子配列の1周期中に含まれる層数nは6層となる。
この6H型の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に形成されたリン化硼素系半導体層では、{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さ(H)が、炭化珪素結晶基板のc軸格子定数(c)と略同一である。図2では、リン化硼素系半導体層としてリン化硼素層が備えられ、その{111}結晶面A1〜A6のn(=6)層分の高さ(h)が丁度、炭化珪素結晶基板をなす6H型の炭化珪素のc軸格子定数(c)に合致している。
このように、リン化硼素系半導体層の{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さが、六方晶のn・H型の炭化珪素結晶基板のc軸格子定数と略同一となるように、炭化珪素結晶基板上にリン化硼素系半導体層が形成されている。
このリン化硼素系半導体層には、{111}結晶面を双晶面とする双晶が含まれていることが好ましい。
特に、炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層との接合界面(ヘテロ接合界面)近傍に多くの双晶を含んでいることが更に好ましい。
炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層との接合界面(ヘテロ接合界面)近傍の双晶、特に{111}結晶面を双晶面とする双晶によって、炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層とのミスマッチを緩和でき、これによりミスフィット転位の少ない結晶性の良好なリン化硼素系半導体層を形成できる。
リン化硼素系半導体層の内部の双晶の存在の有無は、例えば、リン化硼素系半導体層の電子線回折(TED)像に、双晶特有の異常回折点が出現するかどうか調べることによって判断できる(P.Hirsch他著,“ELECTRON MICROSCOPY OF THIN CRYSTAL”、(米国)、Krieger Pub.Com.、1977年、p.141−148参照。)。また、双晶の密度は、例えば、リン化硼素系半導体層の断面透過型電子線顕微鏡像において、一定の領域に存在する双晶粒界の数を計数することによって算出できる。
本発明によると、前記したように、リン化硼素系半導体層の{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さ(H)が、炭化珪素結晶基板のc軸格子定数と略同一であることによって、平面方向だけでなく積層方向においても、炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層との間において優れた格子のマッチング性が得られる。このため、例えば、整流特性に優れた高耐電圧特性が得られる。
このような化合物半導体素子は、以下に示されたように種々の半導体素子として利用できる。
アンドープのリン化硼素系半導体層が形成されている場合、リン化硼素系半導体層は、アンドープであるため、各種半導体素子のn型またはp型の低抵抗層として利用できる。
更に、前述したようにアンドープのリン化硼素系半導体層では、そもそも故意に添加(ドーピング)した不純物量が無いため、例えば、本発明の化合物半導体素子を発光素子に適用した場合、発光層へ拡散する不純物を低減できる。このため、アンドープであり、且つ、広い禁止帯幅のリン化硼素系半導体層は、不純物の外部拡散による発光層の性質を変性させないクラッド層として有効に利用できる。
具体的には、アンドープのリン化硼素系半導体層をクラッド層とし、このアンドープのリン化硼素系半導体層上にIII族窒化物半導体からなる発光層等を備えることによって、III族窒化物半導体発光素子として用いることができる。
この場合、従来のマグネシウム(Mg)ドープAlGaInN(0≦X,Y,Z≦1、X+Y+Z=1)からなるクラッド層の代わりに、本発明の化合物半導体素子のアンドープのリン化硼素系半導体層が備えられたことによって、従来のMgの拡散による発光層のキャリア濃度の変動や発光層の結晶性の劣化が回避され、順方向電圧(Vf)や発光波長が変動がほとんど無く、安定して所定の波長の光を出射できる。
特に、室温での禁止帯幅が2.8eV以上で5.0eV以下のリン化硼素系半導体層を備えた化合物半導体素子を発光素子に適用した場合、発光層から放射される紫外帯光や短波長可視光を外部へ透過するための窓(window)層としてリン化硼素系半導体層を有効に利用できる。また、窒化アルミニウム・ガリウム・インジウム(組成式AlGaInN:0≦X,Y,Z≦1、X+Y+Z=1)や窒化リン化ガリウム(組成式GaP1−εε:0≦ε≦1)等のIII族窒化物半導体からなる発光層に対するクラッド(clad)層としてリン化硼素系半導体層を利用できる。
しかし、禁止帯幅が5.0eVを超えるリン化硼素系半導体層では、発光層との障壁差が大となり、順方向電圧或いは閾値電圧の低い化合物半導体発光素子を得るに不利となる。
また、リン化硼素系半導体層は広い禁止帯幅を有するため、このリン化硼素系半導体層を有する本発明の化合物半導体素子は、2次元電子ガス電界効果型トランジスタ(Two-dimensional Electron Gas Field Effect Transistor:TEGFET)に適用できる。
例えば、リン化硼素系半導体層は、窒化ガリウム・インジウム(組成式GaInN:0≦Y,Z≦1、Y+Z=1)からなるチャネル(channel)層の内部に2次元電子ガス(Two-dimensional Electron Gas:TEG)を形成するためのキャリア(電子)を供給する電子供給層として利用できる。
本発明では、炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、この{0001}結晶面と平行にリン化硼素系半導体層の{111}結晶体が積重されているため、従来のAlGaN(0≦X,Y≦1、X+Y=1)等の六方晶III族窒化物半導体からなる電子供給層とは異なり、リン化硼素系半導体層は、2次元電子の蓄積等に悪影響を及ぼすピエゾ(piezo)効果の少ない電子供給層として用いることができる。
また、n型で低抵抗のリン化硼素系半導体層は、電子供給層上に設けるソース(source)、ドレイン(drain)、オーミック電極を形成するためのコンタクト(contact)層として利用できる。
[化合物半導体素子の製造方法]
まず、{0001}結晶面を表面とする六方晶の炭化珪素単結晶からなる結晶基板を用意する。
この六方晶の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、ハロゲン(halogen)法、ハイドライド(hydride;水素化物)法やMOCVD(有機金属化学的気相堆積)法等の気相成長手段に依り、少なくとも硼素含有化合物とリン含有化合物を気相成長領域に供給し、リン化硼素系半導体層を形成する。
なお、分子線エピタキシャル法も適用できる(「ジャーナル オブ ソリッド ステイト ケミストリー(J. Solid State Chem.)」、1997年、133巻、p.269〜272参照。)。
例えば、リン化硼素系半導体層として、p型又はn型の単量体のリン化硼素(BP)からなる層を形成する場合、トリエチル硼素(分子式:(CB)とホスフィン(分子式:PH)を原料とする常圧(略大気圧)或いは減圧MOCVD法が適用できる。
p型の単量体のリン化硼素(BP)層の形成温度(成長温度)としては、1000℃〜1200℃が適する。形成時の原料供給比率(V/III比率;例えば、PH/(CB)は、10〜50、好ましくは20〜40が適する。
ここで、本明細書において、「V/III比率」は、気相成長領域に供給する硼素等の第III族原子の濃度に対するリン等の第V族原子の濃度の比率を意味しているものとする。
また、n型の単量体のリン化硼素(BP)の形成温度としては、700℃〜1000℃が適する。このn型の単量体のリン化硼素(BP)を得るためのV/III比率としては、200以上、更に好ましくは400以上が適する。V/III比率は2000以下、好ましくは1000以下が適する。
形成温度、V/III比率に加えて、形成速度を精密に制御すれば、禁止帯幅の大きなリン化硼素系半導体層を形成できる。
例えば、MOCVD法に依り、前記した単量体のリン化硼素層を形成する際、形成速度(成長速度)を毎分2nm以上で30nm以下の範囲に設定することによって、室温での禁止帯幅を2.8eV以上とするリン化硼素層が得られる(国際公開第02/097861号パンフレット参照。)。
ここで、禁止帯幅は、吸収係数の光子エネルギー(=h・ν)依存性や、屈折率(n)及び消衰係数(k)の積値(=2・n・k)の光子エネルギー依存性などから求められる。
一例として単量体のリン化硼素層を形成する場合を例示したが、形成温度(成長温度)、V/III比率、及び形成速度(成長速度)を上記した範囲、すなわち形成温度が700℃〜1200℃、V/III比率が10〜50又は200以上(好ましくは2000以下)、成長速度が毎分2nm以上で30nm以下となるように調整することによって、六方晶の炭化珪素結晶基板の{0001}面上に、六方晶炭化珪素のa軸に、[110]結晶方向を平行として積重された{111}結晶体を有するリン化硼素系半導体層を成長させられる。
即ち、六方晶の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面に平行で、かつ炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面のa軸を線対称軸として対称に積重された{111}結晶体を有するリン化硼素系半導体層を得ることができる。
また、成長温度、V/III比率、及び成長速度を上記した範囲となるように調整することによって、六方晶の炭化珪素結晶基板のc軸に略合致する様に{111}結晶体が積重されたリン化硼素系半導体層を得ることができる。
例えば、炭化珪素結晶基板として、4H型の炭化珪素結晶基板を用いた場合、リン化硼素系半導体層の{111}結晶面の4層の積層高さが、炭化珪素結晶基板のc軸の格子定数(=1.005nm)と略同一となるようにリン化硼素系半導体層を形成できる。
また、炭化珪素結晶基板として、6H型の炭化珪素結晶基板を用いた場合、リン化硼素系半導体層の{111}結晶面の6層の積層高さが、炭化珪素結晶基板のc軸の格子定数(c=1.512nm)と略同一となるようにリン化硼素系半導体層を形成できる。
即ち、表面が{0001}結晶面のn・H型の炭化珪素結晶基板を用い、成長温度、V/III比率、及び成長速度を上記した範囲となるように調整することによって、リン化硼素系半導体層の{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さが、炭化珪素結晶基板のc軸の格子定数と略同一となるように、整然と積層してなる{111}結晶体を有するリン化硼素系半導体層を形成できる。このように、高さ方向(炭化珪素結晶基板の表面の鉛直(垂直)方向)にも、炭化珪素結晶基板と格子のマッチング性に優れたリン化硼素系半導体層を形成することができる。
成長温度、V/III比率、及び成長速度の何れかの条件が上記の好適な範囲から外れている場合の一例として、成長温度が1200℃を超える高温である場合を以下に示す。
成長温度が1200℃よりも高い場合、リン化硼素系半導体層の必須の構成要素である硼素(B)及びリン(P)の揮散が顕著に起こる。このため、リン化硼素系半導体層内に多量の積層欠陥(stacking fault)が発生し、乱雑に積層した層となってしまう。また、高温で気相成長させたリン化硼素系半導体層は、{110}結晶面等の{111}結晶面以外の結晶面が混在した多結晶層となる場合がある。
このように、{111}結晶面が規則的に整然と積重し六方晶の炭化珪素結晶基板との格子マッチングに優れたリン化硼素系半導体層を安定して形成することが難しくなってしまうため、好ましくない。前記したリン化硼素系半導体層内の積層欠陥の有無は、電子線回折像を解析することによって確認できる。
本発明では、n・H型(六方晶)の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、上記の好適な範囲の成長速度で、リン化硼素系半導体層を気相成長させる際、その範囲内で比較的速い成長速度でリン化硼素系半導体層を成長させることが好ましい。
これにより、{111}結晶面を双晶面とする双晶を含むリン化硼素系半導体層を形成できる。
例えば、成長速度を毎分20nm以上で毎分30nm以下として、6H型の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、ヘテロ(異種)接合させてリン化硼素系半導体層を気相成長させると、{111}結晶面を双晶面とする双晶を含むリン化硼素系半導体層を形成できる。特に、炭化珪素結晶基板上へリン化硼素系半導体層をヘテロ成長させる初期段階に於いて、上記のような速い成長速度でリン化硼素系半導体層を成長させることによって、炭化珪素結晶基板とリン化硼素系半導体層とのヘテロ接合界面の近傍に多くの双晶を発生させることができる。
[ダイオード素子]
本発明のダイオード素子は、前述した本発明の化合物半導体素子のリン化硼素系半導体層をp型層又はn型層として備えたものである。
例えば、本発明の化合物半導体素子のp型又はn型のリン化硼素系半導体層上に、リン化硼素系半導体層とは逆の導電形の層が形成されたものが挙げられる。
また、本発明の化合物半導体素子の炭化珪素結晶基板として、p型又はn型の炭化珪素からなるものを備え、リン化硼素系半導体層として、炭化珪素結晶基板とは逆の導電形のリン化硼素系半導体からなるのを備えたものも適用できる。
本発明によると、六方晶の炭化珪素単結晶の優れた耐電圧性と相俟って、高耐圧のダイオード素子とすることができる。
特に、リン化硼素系半導体層としては、伝導形を制御するための、所謂、n型またはp型不純物を故意に添加していないアンドープでp型またはn型のリン化硼素系半導体からなる層が好ましい。これにより、素子へ高電圧を印加した際に生ずる添加(ドーピング)不純物のマイグレーション(拡散、移動)を回避することができ、安定して高耐圧を発揮するダイオード素子が提供できる。
4H型(六方晶)の炭化珪素結晶基板上に、リン化硼素系半導体層として窒化リン化硼素半導体層が形成された化合物半導体素子からなるダイオード素子を例にして、本発明を具体的に説明する。
図3は、本実施例に記載する積層構造体11からなるpn接合型ダイオード10の断面構造を示す模式図である。
積層構造体11を以下の方法により形成した。
炭化珪素結晶基板100として、結晶型が4H型でp型の硼素(B)ドープ炭化珪素単結晶からなる基板を用意した。この炭化珪素結晶基板100の表面は、[11−20]結晶方向に8度傾斜した{0001}結晶面である。
この炭化珪素結晶基板100の{0001}結晶面上に、以下に示されたようにアンドープでキャリア濃度が2×1018cm−3のn型の窒化リン化硼素(BP1−εε:0≦ε<1)からなるリン化硼素系半導体層101を堆積した。ここで、窒化リン化硼素は、立方晶閃亜鉛鉱結晶型の結晶構造を有するものである。
トリエチル硼素(分子式:(CB)を硼素(B)源とし、アンモニア(分子式:NH)を窒素源とし、ホスフィン(分子式:PH)をリン源とし、常圧(略大気圧)有機金属化学的気相堆積(MOCVD)手段を利用した。
成長温度は950℃とした。また、4H型の炭化珪素結晶基板100のa軸格子定数(a=0.307nm)に合致した格子定数が得られるように、リン化硼素系半導体層101を構成するBP1−εεの窒素(N)組成比(ε)を0.2とした。
また、リン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101の室温での禁止帯幅が約4.8eVとなるように、成長(形成)時のV/III比率(=(NH+PH)/(CB濃度比率)を600とした。
MOCVD成長反応系へ供給する(CB濃度を調整して、成長初期段階での成長速度を毎分30nmとした。この成長速度で、約20nmの層厚までリン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101を成長させた。
その後、MOCVD成長反応系へ供給する(CB濃度を減少させ、成長速度を毎分15nmに低下させ、この成長速度で結晶成長を引き続き行い、層厚が1500nmのリン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101を形成した。
吸収係数を利用してリン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101の室温での禁止帯幅を測定した結果、約4.8eVであることがわかった。
また、リン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101の制限視野電子線回折像を観察し、この回折像上での異常回折斑点(スポット)が出現する位置から双晶の有無を調べた。その結果、リン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101の内部には、特に、4H型の炭化珪素結晶基板100とのヘテロ接合界面の近傍の領域に{111}結晶面を双晶面とする双晶が存在することが確認された。これは、成長初期において成長速度を速くして結晶成長させたためであると考えられる。
炭化珪素結晶基板100とリン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101とのへテロ接合界面近傍の領域の断面透過型電子顕微鏡(TEM)像を撮像した。このTEM像上の{111}結晶面を双晶面とする双晶粒界の数から同領域での{111}結晶面を双晶面とする双晶の面密度を算出した結果、約5×10cm−2であった。
また、電子プローブマイクロアナリシス(EPMA)手段に依る元素分析を行った結果、ヘテロ接合界面での金属不純物の偏析は特に認められなかった。これは、リン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101がアンドープであったためと考えられる。
また、制限視野電子線回折像に於いて、リン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101からの{111}結晶面の回折斑点は、4H型の炭化珪素結晶基板100の{000m}結晶面の回折斑点(mは整数で−1,1,−2,2,−3,3,・・・−m,m)を結ぶ直線上に現れ、しかも、4H型の炭化珪素結晶基板100の{0004}結晶面の回折斑点と略同一の位置に出現した。
このことから、4H結晶型の炭化珪素結晶基板100の{0001}結晶面上には、その{0001}結晶面と平行に{111}結晶体が積重され、且つ{111}結晶面の4層の積層高さが炭化珪素結晶基板100のc軸格子定数に略合致するようにリン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101が成長されていることが示された。
また、制限視野電子線回折像には、4H型の炭化珪素結晶基板100のa軸方向に対して、線対称にリン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101からの{110}結晶面の逆格子像が出現した。
このことから、リン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101は、その[110]結晶方位を4H型の炭化珪素結晶基板100のa軸方向に対して平行としつつ、かつ炭化珪素結晶基板100のa軸に対して線対称に積重された{111}結晶体を有することが示された。
キャリア濃度を2×1018cm−3とするアンドープのn型のリン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101に、ハロゲン系ガスを用いた一般的なプラズマドライエッチング手段に依り、メサ(mesa)加工を及ぼした。n型のリン化硼素系半導体(BP0.80.2)層101をメサ状に残存させるためのドライエッチング加工は、メサの周囲に4H型の炭化珪素結晶基板100の表層部を露出させる迄、進行させた。
その後、メサ部の表面に、金(Au)・ゲルマニウム(Ge)合金膜、ニッケル(Ni)膜、及び金(Au)膜を、順次、一般の真空蒸着手段に依り被着させて、結線用の台座(pad)電極を兼ねるn型オーミック電極102を形成した。
また、炭化珪素結晶基板100の裏面の略全面には、ニッケル(Ni)からなるp型オーミック電極103を設けて、pn接合型半導体素子10を得た。
pn接合型半導体素子10は、優れた整流特性を示し、順方向の閾値電圧は約3.3ボルト(V)であった。逆方向の漏洩電流は、15Vで10マイクロアンペア(μA)未満と良好であり、高耐電圧のpn接合型ダイオード10が提供されることとなった。
また、六方晶の炭化珪素結晶基板100とのヘテロ接合界面の近傍の領域に{111}結晶面を双晶面とする双晶が生成されたことによって、ミスフィット転位の発生が抑制されており、pn接合型ダイオード10では、局所的な耐電圧不良(local breakdown)が発生しなかった。
本発明の化合物半導体素子は、発光ダイオード、半導体レーザなどの半導体発光素子や、2次元電子ガス電界効果型トランジスタ等の適用できる、また化合物半導体素子のリン化硼素系半導体層は、各種半導体素子のn型またはp型の低抵抗層や、電子供給層上に設けるソース(source)、ドレイン(drain)、オーミック電極を形成するためのコンタクト(contact)層として利用できる。
また本発明のダイオード素子は、整流特性に優れた高耐電圧特性が得られるため、発光ダイオード(LED)に限らず、小信号用ダイオード,整流用ダイオード,スイッチング・ダイオード,定電圧ダイオード(ツェナー・ダイオード),可変容量ダイオード(バリキャップ)など各種pn接合型のダイオードに適用できる。
炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面と、その上に形成されたリン化硼素系半導体層の結晶の配列の様子を模式的に示す平面図である。 6H型の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面と、その上に形成されたリン化硼素層の積層方向の結晶の配列の様子を模式的に示す平面図である。 第1実施例に記載の積層構造体からなるpn接合型ダイオードの断面構造を示す模式図である。
符号の説明
10…高耐電圧ダイオード、11…積層構造体、100…六方晶の炭化珪素結晶基板、101…リン化硼素系半導体層、102…n型オーミック電極、103…p型オーミック電極

Claims (8)

  1. 六方晶の炭化珪素結晶基板と、該炭化珪素結晶基板上に形成されたリン化硼素系半導体層とを備えた化合物半導体素子において、
    前記炭化珪素結晶基板の表面が{0001}結晶面であり、
    前記リン化硼素系半導体層が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、該結晶面と平行に積重された{111}結晶体を有し、
    前記リン化硼素系半導体層の{111}結晶体が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面のa軸に対して線対称に積重されており、
    前記炭化珪素結晶基板の[0001]結晶方位の原子配列の1周期中に含まれる層数をnとすると、前記{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さが、前記炭化珪素結晶基板のc軸格子定数と同一であることを特徴とする化合物半導体素子。
  2. 前記リン化硼素系半導体層が、伝導形を制御するための不純物を故意に添加していないアンドープのリン化硼素系半導体から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体素子。
  3. 前記リン化硼素系半導体層が、{111}結晶面を双晶面とする双晶を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物半導体素子。
  4. 六方晶の炭化珪素結晶基板と、該炭化珪素結晶基板上に形成されたリン化硼素系半導体層とを備えた化合物半導体素子の製造方法において、
    表面が{0001}結晶面である炭化珪素結晶基板を下地として、少なくとも硼素含有化合物とリン含有化合物を気相成長領域に供給し、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、この{0001}結晶面と平行に積重された{111}結晶体を有し、前記リン化硼素系半導体層の{111}結晶体が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面のa軸に対して線対称に積重されており、前記炭化珪素結晶基板の[0001]結晶方位の原子配列の1周期中に含まれる層数をnとすると、前記{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さが、前記炭化珪素結晶基板のc軸格子定数と同一であるリン化硼素系半導体層を形成する工程を有することを特徴とする化合物半導体素子の製造方法。
  5. 750℃以上で1200℃以下の温度で前記リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする請求項に記載の化合物半導体素子の製造方法。
  6. 2nm/分以上で30nm/分以下の成長速度で前記リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする請求項又はに記載の化合物半導体素子の製造方法。
  7. 前記リン化硼素系半導体層を形成する初期段階にて、20nm/分以上で30nm/分以下の成長速度で前記リン化硼素系半導体層を形成することを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の化合物半導体素子の製造方法。
  8. p型層又はn型層として、六方晶の炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に形成されたリン化硼素系半導体層を備え、
    前記リン化硼素系半導体層が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面上に、該結晶面と平行に積重された{111}結晶体を有し、
    前記リン化硼素系半導体層の{111}結晶体が、前記炭化珪素結晶基板の{0001}結晶面のa軸に対して線対称に積重されており、
    前記炭化珪素結晶基板の[0001]結晶方位の原子配列の1周期中に含まれる層数をnとすると、前記{111}結晶体を構成する{111}結晶面のn層の積層高さが、前記炭化珪素結晶基板のc軸格子定数と同一であることを特徴とするダイオード素子。
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