JP4304981B2 - 発光素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体を用いた発光素子、特に青色光あるいは紫外線の発光に適した発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−044500号公報
【特許文献2】
特開2001−048698号公報
【特許文献3】
特開2002−016088号公報
【特許文献4】
特開2002−093821号公報
【特許文献5】
特開2002−105625号公報
【特許文献6】
特開2002−076026号公報
【特許文献7】
特開2002−289918号公報
【0003】
青色光領域の短波長発光を行なう高輝度発光素子が永らく要望されていたが、最近になってAlGaInN系材料を用いることにより、このような発光素子が実現している。また、赤色ないし緑色の高輝度発光素子と組み合わせることにより、フルカラー発光装置や表示装置などへの応用を図ることも急速に進みつつある。しかしながら、AlGaInN系材料は比較的希少な金属であるGaとInとが主成分となるため、コストアップが避けがたい。また、成長温度が700〜1000℃と高く、製造時に相当のエネルギーが消費されるのも大きな問題の一つである。これはコスト低減の観点においてはもちろん、省エネルギーや地球温暖化抑制に関する議論が喧しい昨今では、時流に逆行するという意味においても望ましくない。そこで、特許文献1〜7には、サファイア基板上に、より安価なZnO系化合物半導体層にて発光層部を構成した発光素子が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ZnO層は真空雰囲気中での気相成長により得られるが、酸素欠損を非常に生じやすいため、導電型が必然的にn型となり、導電性キャリアであるn型キャリア(電子)が少ない結晶を得ること自体が難しい問題がある。一方、上記公報に開示された電子デバイスを、ZnOを用いて作成する際には導電型がp型である材料を得ることが不可欠である。しかし、上記の通り、該酸化物結晶は酸素空孔の存在により導電型がn型になる傾向があり、真性半導体に近い半絶縁性の結晶を作成することすら困難である。p型ZnOを形成する方法に関しては、特許文献2、5、7に開示されたNとGaとを同時にドーピングする方法や、特許文献3に開示されたAsをドーピングする方法、あるいは特許文献3、6に開示されたラジカルNをドーピングする方法などがあるが、効果的にドーパントが入らなかったり、再現性が良くないなど、問題点が多い。
【0005】
本発明の課題は、MgZnOからなるp型層を高品質にて確実に形成でき、ひいては高性能で安価な紫外線もしくは青色発光型の発光素子と、その製造方法とを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明の発光素子は、
発光層部がp型酸化物層とn型酸化物層を有し、前記p型酸化物層が、Nと、Nよりも低濃度のTaよりなる補助金属元素とを含有するp型MgZn1−xO(ただし、0<x≦1)層からなることを特徴とする。
【0007】
MgZnOがp型となるためには、適当なp型ドーパントを添加する必要がある。II−VI族化合物半導体であるMgZnOのp型ドーパントとしては、V族元素を使用することが有効である。V族元素はVI族元素であるOを置換することによりp型キャリアである正孔を生じさせる。このうち、Oとイオン半径の近いNを使用することが、良好なp型特性を得る上で有効であると考えられる。しかし、MgZnOにNを単独でドーピングすることは技術的に非常に困難であることが知られており、例えばMOVPE法によりMgZnOを気相成長する際に、有機金属とともにN源となる気体を同時に供給しても、NはMgZnOにはほとんどドーピングされない。
【0008】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、p型酸化物層を、Nと、Nよりも低濃度のTaよりなる補助金属元素とを含有するp型MgZnO層とすることにより、NがMgZnOに効率よくドーピングされることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。これにより、MgZnOからなるp型層を高品質にて確実に形成でき、ひいては高性能で安価な紫外線もしくは青色発光型の発光素子が実現する。
【0009】
補助金属元素は、MgZnO中にp型ドーパントであるNをスムーズにドーピングするための、ドーピング補助元素として機能し、ごく微量であっても、MgZnO中に十分なNを導入する効果を十分に発揮する。しかし、補助金属元素の過剰な添加はMgZnOの半導体特性を却って悪化させたり、また、隣接する半導体層などに拡散して悪影響を及ぼす可能性もあるので、本発明においてp型MgZnO層中にて補助金属元素は、ドーピングされるNよりも低濃度とする。p型MgZnO層中のN濃度は、発光素子として十分な導電特性を得るために、1×1017/cm以上1×1019/cm以下とするのがよく、補助金属元素濃度は5×1014/cm以上1×1017/cm未満とするのがよい。
【0011】
また、p型酸化物層には、N、補助金属元素とともにHを含有させることが、MgZnOからなるp型層をより安定的に得る観点において望ましい。NをMgZnO中にドーピングする際には、Nだけではアクセプタとして活性化することが難しい。そこでHを同時に混入すると、Nが活性化してアクセプタとして安定化し、p型キャリアを効率的かつ安定的に発生させることができる。この場合、p型酸化物層に、N濃度と同等又はそれよりも高濃度にHを含有させることが有効である。この観点において、p型MgZnO層中のH濃度は、5×1017/cm以上5×1020/cm以下とするのがよい。
【0012】
発光層部は、MgZn1−xO(ただし、0<x≦1)層からなるp型酸化物層としてのp型クラッド層と、MgZn1−yO(ただし、0<y≦1)からなる活性層と、MgZn1−zO(ただし、0<z≦1)からなるn型クラッド層がこの順序にて積層されたダブルヘテロ構造を有するものとして構成すると、発光強度の高い素子を実現する上で効果的である。
【0013】
次に、本発明の発光素子の製造方法は、上記本発明の発光素子の製造方法であって、p型酸化物層とn型酸化物層とを成長用基板上にエピタキシャル成長するとともに、p型酸化物層を、Nと、Nよりも低濃度のTaよりなる補助金属元素とを含有するp型MgZn1−xO(ただし、0<x≦1)層として成長することを特徴とする。p型酸化物層を、Nと、Nよりも低濃度のTaよりなる補助金属元素とを含有するp型MgZnO層とすることにより、NがMgZnOに効率よくドーピングされ、MgZnOからなるp型層を高品質にて確実に形成できる。
【0014】
本発明の発光素子において、p型MgZn1−aO層は有機金属気相成長法(MOVPE法)又は分子線エピタキシー法(Molecular Beam Epitaxy:MBE法)により形成することができる。MOVPE法を用いた場合、以下に示す利点がある。MOVPE法では、成長中の酸素分圧を自由に変化させることができるため、雰囲気圧力をある程度上昇させることで酸素離脱ひいては酸素欠損の発生を効果的に抑制できる。その結果、発光素子には不可欠のp型MgZn1−aO層、特に、酸素欠損濃度を10個/cm以下としたp型MgZn1−aO層を実現できるようになる。酸素欠損濃度は低ければ低いほどよい(つまり、0個/cmとなることを妨げない)。
【0015】
MOVPE法によるp型クラッド層あるいは活性層の成長は、10Torr(1.3×10Pa)以上の圧力を有した雰囲気中で行なうことにより、成膜中の酸素欠損発生をより効果的に抑制でき、良好な特性のp型クラッド層あるいは活性層を得ることができる。この場合、より望ましくは、酸素分圧(O以外の酸素含有分子も、含有される酸素をOに換算して組み入れるものとする)が10Torr(1.3×10Pa)以上とするのがよい。
【0016】
他方、MBE法を用いた場合、超高真空(〜10−10Torr)中でp型クラッド層あるいは活性層の成長が行なわれるために、上記MOVPE法に比べて酸素欠損発生を抑制できないが、原子層オーダーでの層制御ができるという利点を有する。その結果、p型クラッド層あるいは活性層の結晶性を高めることが可能である。
【0017】
p型MgZn1−xO層を有機金属気相成長法又はMBE法により成長する際には、MgZn1−xOの原料となる有機金属を、N源となる気体とともに供給することが望ましい。このようにすると、有機金属分子中のHがMgZnOに取り込まれ、N源となる気体によるNドーピングを促進する効果が高められる。この場合、N源となる気体はNO又はNOとすることが望ましい。NO又はNOは、p型ドーパント源であるとともに、MgZnOのO源としても機能し、また酸化性化合物ガスであるため、O源としてOガスを用いる場合よりも有機金属との過度の反応が抑制され、MgZnO層をより高品質にて形成することができる利点がある。
【0018】
p型MgZnO層へNを必要十分な濃度にてドーピングするには、MgZnO層への補助金属元素源の供給が不可欠である。この場合、MgZn1−xOの原料となる有機金属及びN源となる気体とともに、補助金属元素源となる気体を供給する方法を採用すれば、気相反応により成長されるMgZnO層へNを均一かつ効率的にドーピングすることができるので望ましい。
【0019】
この場合、補助金属元素源となる気体は、もちろん有機金属の形でも供給できるが、p型MgZnO層への補助金属元素の添加量は、前述のごとく微量でよいため、より安価な補助金属元素源を用いることもできる。例えば、補助金属元素源となる気体は、p型MgZn1−xO層を成長するための反応容器内に配置された固体補助金属元素源から蒸発供給する方法を採用できる。これにより、有機金属を使用する場合よりも補助金属元素を安価に供給でき、また、補助金属元素の蒸気圧がそれほど高く確保できない固体補助金属元素源であっても、上記のごとく添加量自体は微量でよいため、十分に活用できる。具体的には、固体補助金属元素源は、補助金属元素の酸化物を使用することができる。金属酸化物は安価であり、また、有機金属の合成が困難な補助金属元素であっても、金属酸化物であれば簡単に入手でき、製造コストの低減に寄与する。
【0020】
また、別の方法としては、p型MgZn1−xO層を成長基板上に成長するに先立って、該成長基板の主表面に補助金属元素の濃化部を形成し、該主表面にp型MgZn1−xO層を成長する一方、濃化部から補助金属元素を該p型MgZn1−xO層へ拡散させることも可能であり、Nドーピング促進に十分な量の補助金属元素をMgZnO層へ容易に導入することができる。
【0021】
補助金属元素の濃化部は、例えば、成長基板の主表面に塗付又は堆積された固体補助金属元素源(例えば上述の補助金属元素の酸化物)とすることができる。塗付による場合は、固体補助金属元素源粉末を懸濁させた溶液を成長基板の主表面に塗付し、溶媒を蒸発させることにより、付着した補助金属元素源粉末を上記の濃化部として活用できる。他方、成長基板主表面への固体補助金属元素源の体積は、蒸着やスパッタリングにより行なうことができ、固体補助金属元素源の薄層を成長基板の主表面に形成すればよい。MgZnO層への補助金属元素の導入量を微量に留めることと、成長基板上へのMgZnO層のエピタキシャル成長を妨げないようにするため、該粉末あるいは薄層の成長基板主表面への付着量は、成長基板主表面の半分以上が露出するように調整することが望ましい。
【0022】
他方、補助金属元素の濃化部は、成長基板の主表面を含む表層部に予め形成された補助金属元素の拡散濃縮層とすることもできる。この方法では、補助金属元素の拡散濃縮層を形成しても、成長基板表層部の結晶構造自体は維持されるので、該成長基板上へのMgZnO層のエピタキシャル成長をよりスムーズに行なうことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である発光素子1の要部を、積層構造にて模式的に示すものであり、MgZn1−xO(ただし、0<x≦1)層からなるp型酸化物層としてのp型クラッド層34と、MgZn1−yO(ただし、0<y≦1)からなる活性層33と、MgZn1−zO(ただし、0<z≦1)からなるn型クラッド層32がこの順序にて積層されたダブルヘテロ構造を有する発光層部24を有している。本実施形態において、発光層部24は、成長基板としてのサファイア基板10上に、ZnOバッファ層11を介してp型クラッド層34側からヘテロエピタキシャル成長されている。ただし、図5に示すように、積層順を逆としてもよい。
【0024】
図1に戻り、n型クラッド層32の主表面は、導電性酸化物よりなる透明電極層35により覆われている。本実施形態では、透明電極層35をITO(Indium Tin Oxide)電極35としているが、ZnO系の透明電極(例えばAlを1×1020/cm程度ドーピングしたアモルファス状ZnO透明電極)としてもよい。
【0025】
また、透明電極層35の略中央には、その一部を覆う形でAl/TiやIn、あるいはAu等の金属よりなる金属電極22が配置されている。この金属電極22には、図示しない通電用の電極ワイヤが接合される。他方、n型クラッド層32と活性層33との一部が除去され、露出したp型クラッド層34の表面に、透明電極層35と同様の透明電極層25が形成され、その一部を覆う形で金属電極122が形成されている。
【0026】
MgZnOはウルツ鉱型構造を有し、酸素原子層と金属原子(ZnイオンまたはMgイオン)層とがc軸方向に交互に積層される形となっている。各層34,33,32は、いずれもc軸方向に成長されたものである。MgZnOの結晶にて酸素イオンが欠落すると酸素欠損となり、n型キャリア(電子)を生ずる。酸素欠損は、n型クラッド層32においては、適量であれば害にならず、むしろn型キャリア源として積極活用できる。他方、p型クラッド層34や活性層33は、酸素欠損が多く形成されすぎると、n型キャリアが増加してp型導電性あるいは真性半導体特性を示さなくなるので、酸素欠損の発生抑制を図ることが重要である。
【0027】
n型クラッド層32は、活性層33における発光再結合が最適化されるよう、n型キャリア濃度が例えば1×1017/cm以上1×1019/cm以下の範囲で調整される。n型ドーパントとしては、B、Al、Ga及びInの1種又は2種以上を添加できるが、n型キャリア(電子)源となる酸素欠損を積極形成してドーパントを非添加とすることもできる。
【0028】
他方、p型クラッド層34には、p型ドーパントとしてNが添加され、さらに、Taよりなる補助金属元素が添加されている。N濃度は1×1017/cm以上1×1019/cm以下、望ましくは5×1017個/cm以上5×1018/cm以下の範囲で調整される。また、補助金属元素はN濃度よりも低濃度にて添加され、その濃度は、例えば5×1014/cm以上1×1017/cm未満の範囲で調整される。さらに、p型クラッド層34は、N及び補助金属元素とともにHを含有している。HはN及び補助金属元素のいずれよりも高濃度であり、例えば5×1018/cm以上5×1020/cm以下の範囲で濃度調整されている。
【0029】
活性層33は、要求される発光波長に応じて適宜のバンドギャップを有するものが使用される。例えば、可視光発光に使用するものは、波長400nm〜570nmにて発光可能なバンドギャップエネルギーEg(3.10eV〜2.18eV程度)を有するものを選択する。これは、紫から緑色までをカバーする発光波長帯であるが、特に青色発光に使用する場合は、波長450nm〜500nmにて発光可能なバンドギャップエネルギーEg(2.76eV〜2.48eV程度)を有するものを選択する。また、紫外線発光に使用するものは、波長280nm〜400nmにて発光可能なバンドギャップエネルギーEg(4.43eV〜3.10eV程度)を有するものを選択する。
【0030】
活性層33において、混晶比yの値は、バンドギャップエネルギーEgを決める因子ともなる。例えば、波長280nm〜400nmの紫外線発光を行なわせる場合は0≦y≦0.5の範囲にて選択する。また、両側のクラッド層32,34との間に形成されるバンド端不連続値は、発光ダイオードでは0.1eV〜0.3eV程度、半導体レーザー光源では0.25eV〜0.5eV程度とするのがよい。この値は、p型クラッド層(組成:MgZn1−xO)34、活性層(組成:MgZn1−yO)33及びn型クラッド層(組成:MgZn1−zO)層32の各混晶比x、y、zの数値の選択により決定できる。
【0031】
以下、上記発光素子の製造工程の一例を説明する。まず、サファイア基板10上にZnOからなるバッファ層11をエピタキシャル成長させる。次いで、p型クラッド層34、活性層33及びn型クラッド層32をこの順序にてエピタキシャル成長させる(図2の工程2)。これら各層のエピタキシャル成長は、前述のMOVPE法もしくはMBE法にて成長させることができる。以下、MOVPE法の場合について説明を行なう。
【0032】
MOVPE法により、バッファ層11、p型クラッド層34、活性層33及びn型クラッド層32を同一の反応容器内にて連続的に成長できる。なお、反応容器内の温度は、層形成のための化学反応を促進するため、加熱源(本実施形態では赤外線ランプ)により調整される。各層の主原料としては次のようなものを用いることができる。
・酸素源ガス:酸素ガスを用いることもできるが、酸化性化合物ガスの形で供給することが、後述する有機金属との過度の反応を抑制する観点において望ましい。具体的には、NO、NO、NO、COなど。本実施形態では、NO(亜酸化窒素)を用いている。このガスは、p型ドーパント源であるN源ガスとしても機能する。
・Zn源ガス:ジメチル亜鉛(DMZn)、ジエチル亜鉛(DEZn)など。
・Mg源ガス:ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)など。
【0033】
他方、n型クラッド層32は、成長時の酸素分圧を下げて酸素欠損を積極形成することによりn型導電性を得るようにしてもよいし、B、Al、Ga及びIn等のIII族元素を、n型ドーパントとして単独添加することによりn型導電性を得るようにしてもよい。ドーパントガスとしては、Al、Ga及びInについては、p型ドーパントの項で説明したものが同様に使用できる。また、Bに関しては、例えばジボラン(B)を用いることができる。
【0034】
上記の各原料ガスをキャリアガス(例えばNガス)により適度に希釈し、反応容器内に供給する。なお、各層の混晶比の違いにより、層毎にMg源及びZn源となる有機金属ガスMOの流量比をマスフローコントローラMFC等により制御する。また、酸素源ガスであるNO及びドーパント源ガスの流量もマスフローコントローラMFCにより制御する。
【0035】
バッファ層11の成長は、例えば以下のようにして行なう。まず、層を成長させる基板10は、結晶主軸がc軸のサファイア(つまりアルミナ単結晶)基板であり、酸素原子面側の主表面が層成長面として使用される。該成長は、有機金属ガスMOと酸素源ガスであるNOを反応容器内に供給し、例えば400℃にて通常のMOVPE法により行なう。NOはNを含んでいるが、この段階では補助金属元素源が雰囲気中に存在しないようにすることで、バッファ層11へのNの取り込みは抑制することができる。
【0036】
バッファ層11の成長が終了すれば、発光層部24をなすp型クラッド層34、活性層33及びn型クラッド層32をこの順序にてMOVPE法により形成する。発光層部24の成長温度は例えば700℃以上1000℃以下(本実施形態では800℃)である。
【0037】
まず、p型クラッド層34は、図2の工程1に示すように、反応容器中に、MgZnOの原料となる有機金属及びN源(かつ酸素源)となる気体としてのNOとともに、補助金属元素源となる気体を供給することにより成長する。本実施形態では、補助金属元素源となる気体は、反応容器内に配置された固体補助金属元素源から蒸発供給される。本実施形態では固体補助金属元素源は、補助金属元素の酸化物(Ta)の焼結体が使用される。なお、補助金属元素の単体金属(例えばTa金属)を用いることも可能である。N源ガスであるNOは酸化性ガスであり、酸化性ガス該雰囲気下で上記温度域でMOVPE法により、MgZnO層よりなるp型クラッド層34を成長すると、固体補助金属元素源から補助金属元素であるTaが反応容器雰囲気中に蒸発し、成長途上のMgZnO層に効果的にTaが拡散するとともに、該Ta拡散の効果によってNのMgZnO層へのドーピングが促進される。固体補助金属元素源は、サファイア基板(成長基板)10とともに加熱を行なえばよい。
【0038】
なお、p型クラッド層34をサファイア基板(成長基板)10上に成長するに先立って、成長基板の主表面に補助金属元素の濃化部を形成し、該主表面にp型クラッド層34を成長する一方、濃化部から補助金属元素を該p型クラッド層34へ拡散させることも可能である。図3に示すように、補助金属元素の濃化部は、例えば、サファイア基板10の主表面に塗付又は気相成長された固体補助金属元素源60とすることができる。本実施形態では、固体補助金属元素源粉末としての補助金属元素酸化物粉末(Ta)を懸濁させた溶液をサファイア基板10の主表面に塗付し、溶媒を蒸発させることにより、粉末粒子をさせて濃化部とする。他方、蒸着やスパッタリングにより、補助金属元素酸化物粉末の薄層を成長基板の主表面に、例えば島状に形成すればよい。補助金属元素酸化物粉末あるいは薄層の基板主表面への付着量は、基板主表面の半分以上が露出するように調整しておく。MgZnOよりなる前述のバッファ層11は、基板主表面の露出領域にエピタキシャル成長されるが、粉末あるいは薄層の付着量が微量に留まる限り、バッファ層11は厚さが増加するに従って基板主表面面内方向(いわゆる横方向)に成長し、付着した粉末あるいは薄層を被覆して、結晶欠陥の少ないMgZnO単結晶主表面を形成できるので、以降の発光層部の成長に支障をきたす心配はない。
【0039】
また、図4に示すように、補助金属元素の濃化部は、成長基板の主表面を含む表層部に予め形成された補助金属元素の拡散濃縮層61とすることもできる。拡散濃縮層61は、例えばサファイア基板10上に補助金属元素酸化物の薄層をスパッタリング、蒸着あるいはゾルゲル法により形成し、その後適当な温度で熱処理して補助金属元素を基板側に拡散させ、余剰の補助金属元素酸化物層をエッチング等により除去すればよい。また、基板を雰囲気熱処理炉内に固体補助金属元素源とともに封入して加熱することにより、固体補助金属元素源から補助金属元素を蒸発させ、基板主表面から表層領域に拡散させてもよい。
【0040】
次に、活性層33は、固体補助金属元素源を反応容器内に配置しないか、又は、反応容器内に配置する場合でも、補助金属元素の蒸発を抑制した形で成長を行なう。前者の場合、反応容器を、固体補助金属元素源を配置した第一反応室と配置しない第二反応室とに区切り、成長基板を両室の間で移動可能として、補助金属元素の蒸発を行なう成長と、蒸発を行なわない成長とを順次実施できるようにしておけばよい。他方、後者の場合は、ランプ加熱のパワー調整により、成長雰囲気温度自体を変化させて固体補助金属元素源の温度を変更することができる。また、固体補助金属元素源と成長基板との加熱源を分離し、固体補助金属元素源を固有の加熱源により成長基板とは独立して温度調整することも可能である。なお、活性層33は真性半導体型の特性が要求されるが、酸素欠損のためにn型的な特性に傾きやすい場合は、p型クラッド層よりもドーピング量を減らした形でNをドーピングすることにより、n型キャリアを補償して真性半導体型特性を得るようにしてもよい。
【0041】
図6は上記方法でMOVPE成長したMgZnO層の、成長深さ方向のSIMS分析結果を例示するものである。N濃度は層表面において最も高く、表層部で深さ方向に濃度が一旦減少した後、ある深さ以上で略一定の濃度(1×1018/cm)に安定化している。そして、これに対応してTaも全く同じ傾向の濃度分布を示していることがわかり、NのドーピングにTaの補助的なドーピングが重要な役割を果たしていることがわかる。また、有機金属に由来すると考えられるHも同様の濃度分布を示している。こうして得られたMgZnO層は、ホール効果測定の結果、良好なp型導電性を示すことがわかった。なお、比較のために、固体補助金属元素源であるTaの焼結体を反応容器内に配置せずに成長したMgZnO層についても同様の分析を行なったところ、層内部のN濃度は1×1015/cm以下ときわめて低く、当然p型導電性も全く示さなかった。
【0042】
なお、活性層33及びp型クラッド層34を成長する際は、酸素欠損発生を抑制するために、反応容器内の圧力を10Torr以上に保持することが有効である。これにより酸素の離脱が一層抑制され、酸素欠損の少ないMgZnO層を成長することができる。特に酸素成分源としてNOを使用する場合、上記の圧力設定によりNOの解離が急激に進行することが防止され、酸素欠損の発生をより効果的に抑制することが可能となる。雰囲気圧力は高ければ高いほど酸素離脱抑制効果は高められるが、760Torr(1.01×10Pa又は1気圧)程度までの圧力でも効果は十分顕著である。例えば、760Torr以下であれば、反応容器内が常圧又は減圧となるので容器シール構造が比較的簡略なもので済む利点がある。他方、760Torrを超える圧力を採用する場合は、容器内が加圧となるので内部の気体が漏れ出さないようにやや強固なシール構造を、また、圧力が相当高い場合には耐圧構造等を考慮する必要があるが、酸素離脱抑制効果は一層顕著となる。この場合、圧力の上限は、装置コストと達成できる酸素離脱抑制効果との兼ね合いにより適当な値に定めるべきである(例えば、7600Torr((1.01×10Pa又は10気圧)程度)。
【0043】
このようにして発光層部の成長が終了すれば、図1に示すように活性層33及びn型MgZnO層32の一部をフォトリソグラフィー等により一部除去し、さらに透明電極層35,25及び金属電極層22,122を形成し、その後、基板10とともにダイシングすれば発光素子1が得られる。この発光素子1の光取出は、主として透明なサファイア基板10側から行なうことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子の具体例を積層構造にて示す模式図。
【図2】図1の発光素子の製造工程説明図。
【図3】図2の一部の工程の第一変形例を示す図。
【図4】同じく第二変形例を示す図。
【図5】図1の発光素子の変形例を積層構造にて示す模式図。
【図6】本発明の効果を確認するための実験結果を示す図。
【符号の説明】
1 発光素子
10 サファイア基板(成長基板)
32 n型クラッド層
33 活性層
34 p型クラッド層

Claims (14)

  1. 発光層部がp型酸化物層とn型酸化物層を有し、前記p型酸化物層が、Nと、Nよりも低濃度のTaよりなる補助金属元素とを含有するp型MgZn1−xO(ただし、0<x≦1)層からなることを特徴とする発光素子。
  2. 前記p型酸化物層は、N、前記補助金属元素とともにHを含有することを特徴とする請求項1記載の発光素子。
  3. 前記p型酸化物層は、N濃度と同等又はそれよりも高濃度にHを含有することを特徴とする請求項2記載の発光素子。
  4. 前記発光層部は、Mg Zn 1−x O(ただし、0<x≦1)層からなる前記p型酸化物層としてのp型クラッド層と、Mg Zn 1−y O(ただし、0<y≦1)からなる活性層と、Mg Zn 1−z O(ただし、0<z≦1)からなるn型クラッド層がこの順序にて積層されたダブルヘテロ構造を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光素子。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法であって、p型酸化物層とn型酸化物層とを成長用基板上にエピタキシャル成長するとともに、前記p型酸化物層を、Nと、Nよりも低濃度のTaよりなる補助金属元素とを含有するp型Mg Zn 1−x O(ただし、0<x≦1)層として成長することを特徴とする発光素子の製造方法。
  6. 前記p型Mg Zn 1−x O層を有機金属気相成長法又は分子線エピタキシー法により形成することを特徴とする請求項5記載の発光素子の製造方法。
  7. 前記p型Mg Zn 1−x O層を有機金属気相成長法又は分子線エピタキシー法により成長する際に、Mg Zn 1−x Oの原料となる有機金属を、N源となる気体とともに供給することを特徴とする請求項6記載の発光素子の製造方法。
  8. 前記N源となる気体はN O又はNOであることを特徴とする請求項7記載の発光素子の製造方法。
  9. 前記Mg Zn 1−x Oの原料となる有機金属及びN源となる気体とともに、前記補助金属元素源となる気体を供給することを特徴とする請求項7又は8に記載の発光素子の製造方法。
  10. 前記補助金属元素源となる気体は、前記p型Mg Zn 1−x O層を成長するための反応容器内に配置された固体補助金属元素源から蒸発供給されることを特徴とする請求項9記載の発光素子の製造方法。
  11. 前記固体補助金属元素源は、前記補助金属元素の酸化物よりなることを特徴とする請求項10記載の発光素子の製造方法。
  12. 前記p型Mg Zn 1−x O層を前記成長基板上に成長するに先立って、該成長基板の主表面に前記補助金属元素の濃化部を形成し、該主表面に前記p型Mg Zn 1−x O層を成長する一方、前記濃化部から前記補助金属元素を該p型Mg Zn 1−x O層へ拡散させることを特徴とする請求項7又は8に記載の発光素子の製造方法。
  13. 記補助金属元素の濃化部は、前記成長基板の主表面に塗付又は堆積された固体補助金属元素源であることを特徴とする請求項12記載の発光素子の製造方法。
  14. 前記補助金属元素の濃化部は、前記成長基板の前記主表面を含む表層部に予め形成された前記補助金属元素の拡散濃縮層であることを特徴とする請求項12記載の発光素子の製造方法。
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