JPH08268777A - 装飾用セラミック部材とその製造方法 - Google Patents

装飾用セラミック部材とその製造方法

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JPH08268777A
JPH08268777A JP7188295A JP7188295A JPH08268777A JP H08268777 A JPH08268777 A JP H08268777A JP 7188295 A JP7188295 A JP 7188295A JP 7188295 A JP7188295 A JP 7188295A JP H08268777 A JPH08268777 A JP H08268777A
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JP
Japan
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ceramic member
pattern
parts
ceramic
patterns
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JP7188295A
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English (en)
Inventor
Yoichiro Yoshihara
洋一郎 芳原
Mitsuaki Yoshitome
光明 吉留
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KAGOSHIMA PREF GOV FINE CERAMIC SEIHIN KAIHATSU KYOKAI
Kyocera Corp
Original Assignee
KAGOSHIMA PREF GOV FINE CERAMIC SEIHIN KAIHATSU KYOKAI
Kyocera Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 セラミック部材の素焼き品に着色剤溶液を含
浸させて乾燥することにより、着色剤溶液を含浸させた
部分と他の部分に加工性の相違を生じさせ、次いでこの
セラミック部材の表面に研磨、研削もしくは粗面化など
の加工を施して、このセラミック部材の表面に凹状、凸
状もしくは粗面状の模様を形成し、次いでこのセラミッ
ク部材を焼成することによって前記模様部分を他の部分
とは異なる色彩に発色させる。 【効果】 着色剤溶液が含浸した模様形状にそって色調
と質感の異なる加飾を施すことができ、マーブルや瑪瑙
のような色調と質感を表現できる装飾用セラミック部材
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は装飾用セラミック部材と
その製造方法に関し、特に自然で高級感のある風合いを
もったマーブルや瑪瑙のような装飾用セラミック部材と
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】陶磁器やセラミックは、天然の素材であ
るマーブルのような岩石あるいは瑪瑙のような貴石また
は鉱石に近似した質感をもっている。そして陶磁器やセ
ラミックは工業的に生産することができるので、岩石、
貴石あるいは鉱石よりも容易に目的用途に適した寸法と
形状のものをそろえることができる。したがって、陶磁
器やセラミックを用いてマーブルや瑪瑙のような天然の
素材に近似したものを形成できればその意義は極めて大
きい。
【0003】従来、陶磁器などにマーブルや瑪瑙のよう
な模様を施す場合、一般に練り込み技法が用いられてい
る。すなわち、色彩の異なる原料から充分な可塑性を持
たせた杯土に練り上げ、この複数種の杯土を互いに不規
則に積層もしくは混練して成形し、焼成するものであ
る。
【0004】また、可塑性を持たないセラミックでは、
加圧成形法や鋳込み成形法などでセラミック部材の生成
形体を形成して素焼きし、この素焼き品に着色剤で描画
して焼成することにより、マーブルや瑪瑙のような模様
を形成していた。
【0005】セラミック部材の素焼き品に着色剤で描画
する場合、焼成によって酸化物となる金属塩の水溶液な
どから成る着色剤をセラミック部材の素焼き品に塗布し
て描画したり、撥水性の樹脂を有機溶媒に溶かしたニス
をセラミック部材の素焼き品に塗布した後に、さらに金
属塩の水溶液からなる着色剤を塗布することにより、ニ
スを塗布した領域以外の領域を着色剤で着色したり、撥
水性の樹脂と金属塩の水溶液を溶剤に溶解させた撥水性
液体顔料をセラミック部材の素焼き品に塗布した後に、
同種もしくは異種の金属塩の水溶液からなる着色剤を再
度塗布して描画することにより、マーブルや瑪瑙のよう
な模様に加飾していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】天然素材のマーブルや
瑪瑙などにおいては、単に色調による模様だけではな
く、材質の不均質感あるいは粗密感といったものまで
が、光線の反射具合によってムラやゆらぎとして感じら
れ、これらが色調による模様に加味されて天然の素材に
特有の高級な質感を醸し出している。また、このような
材質の不均質感あるいは粗密感は見ただけではなく手触
りとしても感じとることができる。天然の素材における
模様は、見た目の美しさに微妙な手触りが加味されてさ
らに高級感を高めている。
【0007】ところが、陶磁器やセラミックでは、マー
ブルや瑪瑙のような模様は色調でしか表現できず、天然
素材のマーブルや瑪瑙に特有の不均質感や粗密感といっ
た質感は、陶磁器やセラミックにおける従来の練込み技
法や加飾法では表現できないという問題があった。
【0008】本発明はこのような従来技術の問題点に鑑
みてなされたものであり、マーブルや瑪瑙のような色調
による模様のみならず、不均質感や粗密感といった質感
も表現できる装飾用セラミック部材およびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る装飾用セラミック部材では、セラミッ
ク部材の表面に凹状部、凸状部もしくは粗面状部から成
る模様を有し、この模様部分のセラミック部材が他の部
分とは異なる色彩を呈するようにした。
【0010】また、本発明に係るセラミック部材の製造
方法では、セラミック部材の素焼き品に着色剤溶液を含
浸させて乾燥することにより、着色剤溶液を含浸させた
部分と他の部分に加工性の相違を生じさせ、次いでこの
セラミック部材の表面に研磨、研削もしくは粗面化など
の加工を施して、このセラミック部材の表面に凹状、凸
状もしくは粗面状の模様を形成し、次いでこのセラミッ
ク部材を焼成することによって前記模様部分を他の部分
とは異なる色彩に発色させる。
【0011】
【作用】上記のように、セラミック部材の表面に凹状
部、凸状部もしくは粗面状部から成る模様を形成し、こ
の模様部分のセラミック部材が他の領域とは異なる色彩
を呈するようにすると、マーブルや瑪瑙のような色調に
よる模様のみならず、不均質感や粗密感といった質感も
表現できるようになる。
【0012】また、セラミック部材の素焼き品に着色剤
溶液を含浸させた部分と他の部分に加工性の相違を生じ
させて研磨、研削もしくは粗面化などの加工を施すと、
着色剤溶液が含浸した模様形状にそって色調と質感の異
なる加飾を施すことができ、マーブルや瑪瑙のような色
調と質感を表現できる装飾用セラミック部材となる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づき詳
細に説明する。図1は、本発明に係る装飾用セラミック
部材の一実施例を示す断面図であり、1はセラミック部
材、2はセラミック部材2の表面に形成した凸状部、3
は同じくセラミック部材2の表面に形成した凹状部であ
る。
【0014】セラミック部材1は、例えばアルミナセラ
ミック、ムライトセラミック、或いは硬質磁器などから
なり、板状、柱状、球状、楕円体状、半楕円体状、すり
鉢状、筒状、有底筒状など種々の形態を有する。
【0015】セラミック部材1の表面部に形成した凸状
部2と、凹状部3自体で模様が形成される。また、凸状
部2は、金属酸化物などから成る着色剤を含有してお
り、他の領域とは異なる色彩を呈する。すなわち、凸状
部2の模様形状にそって特定の色彩を呈するように構成
されている。また、凹状部3部分も異なる着色剤を含有
しており、凹状部3の模様形状にそって特定の色彩を呈
するように構成されている。なお、凸状部2もしくは凹
状部3は、粗面状部としてもよい。
【0016】セラミック部材1をアルミナセラミックで
構成する場合、高純度アルミナ粉末100部に、分散剤
0.5〜1部、バインダー2〜5部、水25〜30部を
加え、ボールミルで混合した後、真空脱泡し、例えば鋳
込み成形法などで生成形品を形成する。次に、この生成
形品を乾燥後、脱バインダーのために500℃付近まで
ゆっくりと昇温し、650℃という比較的低温で焼成す
ることにより、図2に示すように、柔らかいセラミック
の素焼き品1aを形成する。
【0017】また、セラミック部材1を例えばムライト
セラミックで構成する場合、微粉アルミナとカオリンを
調合し焼成し粉砕してなる合成ムライト粉末原料100
部に、バインダーとしてパラフィンワックス3〜5部を
加え、撹拌しながら加熱してムライト粉末にワックスを
むらなく混合した後に造粒し、金型に充填して加圧成形
することにより、生成形品を形成する。次に、この生成
形品を脱バインダーのために500℃付近まで時間をか
けて徐々に昇温し、550℃〜600℃という低温で焼
成することにより、図2示すように、セラミックの素焼
き品1aを形成する。
【0018】さらに、セラミック部材1を硬質磁器で構
成する場合、カオリン50部、長石25部、石英25
部、水50部、及び解謬剤として少量の水ガラスを調合
し、ボールミルで粉砕混合して泥漿にし、これをフイル
タープレスで水分20重量%程度に脱水し、さらに真空
土練機で脱泡しながらよく練って円柱状の杯土に形成す
る。この杯土を用いてろくろ等によって生成形品を形成
する。次に、この生成形品を充分に自然乾燥してから、
500℃〜550℃という低温で焼成することにより、
図2に示すように、素焼き品1aを形成する。
【0019】次に、図3に示すように、セラミックの素
焼き品1aに、着色剤溶液を部分的に塗布することによ
り、着色部2aから成る模様を形成する。本発明で用い
る着色剤溶液は、金属塩よりなる着色剤、固化剤、及び
溶剤で構成される。金属塩としては水やアルコールを含
む有機溶剤に溶け、焼成によって酸化物となりセラミッ
クを発色させるものが用いられる。例えば硝酸クロム9
水和物(Cr(No32 ・9H2 O)、硝酸コバルト
6水和物(Co(No3 2 ・6H2 O)、硝酸ニッケ
ル6水和物(Ni(No3 2 ・6H2 O)、硝酸マン
ガン水和物(Mo(No3 2 ・nH2 O)、またはそ
れらの混合物などが用いられる。
【0020】これらの金属塩から成る着色剤がアルミナ
セラミックの素焼き品1aとともに焼成されると、硝酸
クロムはピンク〜赤〜深紅に発色し、硝酸コバルトは淡
青〜濃紺に発色する。また硝酸ニッケルは真空炉で焼成
した場合は灰〜空色に発色し、これをガス炉や電気炉で
再焼成すると黄緑〜暗緑に発色し、硝酸マンガンは真空
炉で焼成した場合はピンク、ガス炉や電気炉で再焼成す
るとオレンジに発色する。また、これらの金属塩から成
る着色剤がムライトセラミックの素焼き品1aとともに
焼成されると、硝酸クロムは灰緑に、硝酸コバルトは青
に、硝酸ニッケルは灰茶に、硝酸マンガンは紫褐色に発
色する。さらに、これらの金属塩から成る着色剤が硬質
磁器の素焼き品1aとともに焼成されると、硝酸クロム
は灰〜灰黒に、硝酸コバルトは青に、硝酸ニッケルは灰
緑に、硝酸マンガンは灰褐色に発色する。
【0021】固化剤には、PVAやCMCのように水溶
性のものと、松脂、バルサム、あるいはシェラック樹脂
のようにアルコールなどの有機溶剤に可溶のものがあ
る。これらは着色剤溶液に適度の粘性を持たせてセラミ
ック部材の素焼き品1aへの塗布作業をしやすくする効
果や、素焼き品1aへの浸透拡散のしすぎを防ぐ作用を
するが、それらは5重量%程度の添加で効果が表れる。
一般には、素焼き品1aの素地を固化しサンドブラスト
などの加工で磨耗に耐えるために、7重量%以上の固化
剤を添加することが好ましい。なお、固化剤の添加量が
20重量%を超えると強く粘り着き、塗布作業が困難に
なる。したがって、固化剤は、7〜20重量%の範囲で
着色剤溶液に添加することが望ましい。この固化剤は互
いに同一の溶剤に溶けるものであればそれらの混合物で
もよい。また、水溶性の固化剤と水を用いた水性の着色
剤溶液は安全性が高く、作業性も良い。松脂、バルサ
ム、シェラック樹脂、あるいはこれらの混合物を有機溶
剤に溶解させてなる油性の着色剤溶液は、塗布後の乾燥
によって素焼き品1aの素地を固化するとともに撥水性
を示す。
【0022】溶剤には水とエチルアルコールやアセトン
などの有機溶剤がある。エチルアルコールやアセトンは
水と油の双方に溶け、着色剤である金属塩(水和物)と
固化剤である撥水性の樹脂の双方にとっての溶剤とな
る。これにテレピン油などの油脂を加えて筆の滑りをよ
くして塗布作業をしやすくすることもできる。
【0023】着色剤溶液をセラミックの素焼き品1aの
素地に塗布するには、筆やスプレーを用いて模様などを
描写したり、海綿、フェルト、脱脂綿などをピンセット
でつまんで筆の代わりにして着色剤溶液を含ませて調子
をとりながらはたきつけて描写したり、素焼き品1aの
素地に模様を切り抜いた型紙を置き、その上から着色剤
溶液をスプレーで塗布するなどして描写していく。この
ような方法では、二色以上の着色剤溶液を順次塗布する
ことで多色模様を形成することもできる。セラミックの
素焼き品1aに着色剤溶液を塗布して形成した着色部2
aは、着色剤とともに樹脂などから成る固化剤も含み、
乾燥後は固化する。
【0024】次に、図4に示すように、セラミック部材
の素焼き品1aの表面に、研磨、研削もしくは粗面化な
どの加工を施す。セラミックの素焼き品1aは、低温で
焼成することで軟らかく作ることができ、彫刻は容易で
ある。広い面積に彫刻を施す場合には、サンドブラスト
マシンを使って空気の流れの中に研磨砥粒を含ませてセ
ラミックの素焼き品1aに吹きつけて磨耗させていく。
彫刻を部分的に施す場合や彫刻の深さをさまざまに変化
させるといった細かい加工を施す場合は、ハンドリュー
タを用いて小さなブラシを回転させ、これを素焼き品に
軽く当てながら磨耗させていく。彫刻の深さや粗面の度
合いは、サンドブラスト加工では砥粒を吹きつける空気
圧と加工時間と砥粒の粗さによって調節され、ブラッシ
ングではブラシの回転速度と時間やブラシの硬さで調節
できる。このような彫刻によれば、セラミック部材の素
焼き品1aで固化した部分は磨耗することなく着色され
た凸状部2として残り、その他の部分は磨耗して粗面化
ないしは凹状部3となる。
【0025】着色剤溶液中に、松脂やバルサムやシェラ
ック樹脂のように乾燥によって素焼き品1aの素地を固
化するとともに撥水性を示す固化剤を入れておけば、そ
の後さらにこれと異なる色調の着色剤を溶解させた水溶
液を含浸したり塗布しても、凸状部2に異なる色調の着
色剤が混入して混合色となることはなく、凸状部2は本
来の色調を示す。
【0026】次に、このような加工を施したセラミック
の素焼き品1aを電気炉で1050℃で仮焼して、素地
の中に浸透している着色剤溶液中の固化剤を燃焼揮散さ
せると共に、浸透している金属塩を酸化させる。次い
で、高温で焼成し焼結する。
【0027】通常、アルミナセラミックはガス炉を用い
て大気中で1600℃以上の高温で焼成し焼結させる
が、透光感を得るために真空炉で焼結させて、さらに好
ましい色調を得るために再度ガス炉や電気炉で再焼結し
て色調を整えることもある。また、ムライトセラミック
はガス炉を用いて1500℃以上の温度で焼結させる。
さらに、硬質磁器はガス炉や電気炉を用いて1400℃
以上の温度で焼結させる。
【0028】最後に、図1に示すように、焼結したセラ
ミック部材1をグラインダーを用いた手研磨またはバレ
ル研磨などによって研磨して美しさと手触りを整える。
手研磨はPVA砥石のような弾力性を持った砥石をグラ
インダーなどで高速回転させ、これにセラミック部材1
の凸状部2の表面を接触させ、この接触部分にダイヤモ
ンド砥粒を分散させたオリーブ油を滴下または筆などで
塗布し、強く摩擦させて少しずつずらしながらムラにな
らないように研磨していく。5ミクロン程度のダイヤモ
ンド砥粒を用いれば、凸状部2は平滑な艶消し面に仕上
がる。いったん洗浄してから同様な作業で2ミクロン程
度のダイヤモンド砥粒を用いれば半光沢に仕上がる。さ
らに洗浄してから同様な作業で0.5ミクロンのダイヤ
モンド砥粒を用いれば鏡面光沢に仕上げることができ
る。
【0029】バレル研磨では、焼結したセラミック部材
1と水とメディアと砥粒をゴムを内張りしたバレルに投
入して回転させ、互いの摩擦によって研磨を行う。メデ
ィアに4ミリ程度のアルミナセラミックの球を用い、砥
粒にはグリーンカーボランダム#1200を用いて数日
バレルを回転させると平滑な面が得られる。この場合、
セラミック表面に形成した凸状部2とともに凹状部3も
磨かれるが、この凹状部3ではメディアの当たり具合が
凸状部2に比して穏やかであるため、彫刻したときの粗
面状態はほぼそのまま残り、立体感も損なわれることは
ない。
【0030】−実験例1− 硝酸ニッケル6水和物(Ni(No3 2 ・6H2 O)
15gを純水に溶解し、全体を30mlにした。CMC
5gを純水70mlと温めて溶解した。この両者を混合
し、淡い緑を呈する透明で粘調な着色剤溶液100ml
を得た。
【0031】次に高純度アルミナ成形体を650℃で素
焼きしたものに、前記着色剤溶液を筆に含ませて模様を
描写した。にじみは少なく明瞭な模様を描くことができ
た。自然乾燥を一昼夜行い、リュータに回転ブラシを装
着して全体をまんべんなくブラッシングして描写した模
様の部分についての磨耗を僅かにとどめて彫刻を施すこ
とができた。これによって、模様を軽く浮かびあがらせ
ることができた。
【0032】これを電気炉で1100℃で仮焼し、真空
炉を用いて1650℃で焼結させ、灰白色の素地に黒色
の模様が浮かび上がったアルミナセラミック部材を得
た。さらに、これをガス炉で1600℃で再焼成し淡い
クリーム色の素地に黄緑〜濃緑の模様が浮かび上がった
アルミナセラミックを得た。
【0033】最後に、このセラミック部材をダイヤモン
ド砥粒を用いた手研磨によって、浮かびあがった凸部を
光沢に仕上げた。これによってクリーム色の素地上の緑
色模様は大層明瞭になり、また手触りでも模様を感じる
ことができた。
【0034】−実験例2− 硝酸マンガン水和物(Mn(No3 2 ・nH2 O)5
0gをエチルアルコール60mlに溶解し、それにカナ
ダバルサム7gとテレピン油を加えて温めながら溶か
し、透明なニス状の着色剤溶液100mlを得た。
【0035】次に、合成ムライトの成形体を550℃で
素焼きしたものに、実験例1と同様の技法で、模様を描
いた。自然乾燥を一昼夜行い、サンドブラストマシンを
用いて全体に均等に軽く砥粒を吹きつけて、模様を描写
した部分を磨耗させることなく彫刻を施し、凸状に浮か
び上がった模様を形成した。
【0036】これを電気炉で1100℃で仮焼し、ガス
炉を用いて1500℃で焼結させ、白地に紫褐色の模様
が浮かびあがったムライト質のセラミックス部材を得
た。
【0037】最後に、バレル研磨機を用いてこの浮かび
上がった凸状部3の表面を平滑な面に仕上げた。これに
よって白地に紫褐色の模様は一層美しくなり、手触りで
も凸状部3で形成される模様をよく感じとることができ
た。
【0038】−実験例3− 硝酸マンガン水和物(Mn(No3 2 ・nH2 O)3
gとバルサム10gをアセトンに溶かし、透明なニス状
の着色剤溶液100mlを得た。
【0039】次に、陶磁器の生成形体を520℃で素焼
きしたものに、着色剤溶液を海綿に含ませてピンセット
でつまみ、はたきつけながらマーブル調の模様を描い
た。自然乾燥を一昼夜行い、実験例1と同様にブラッシ
ングによって、模様を描いた部分を磨耗させることなく
彫刻を施すことにより、凸状に浮かび上がった模様を形
成した。
【0040】これに硝酸コバルト6水和物(Co(No
3 2 ・nH2 O)25gを純水に溶解して全体を10
0mlにした水性の着色剤溶液を含浸させた。これを乾
燥させてから電気炉で1100℃で仮焼し、そのまま昇
温して1430℃で焼結させ、灰色を帯びた青地に肌色
の模様が浮かびあがった硬質な陶磁器部材を得た。
【0041】最後に、バレル研磨機を用いてこの浮かび
上がった凸状部を平滑な面に仕上げた。これによって青
地に肌色の模様はさらに美しくなり、手触りも良く模様
を感じることができた。
【0042】−実験例4− 硝酸クロム9水和物(Cr(No3 2 ・9H2 O)3
0gをエチルアルコール70mlに溶解し、それに松脂
10gを加えて温めて溶解させ、テレピン油を加えて全
体を100mlにして濃緑色を呈する透明なニス状の着
色剤溶液を得た。
【0043】実験例1と同様のアルミナの素焼き品に着
色剤溶液を脱脂綿に付着させて、これをピンセットでつ
まんではたきつけながら模様を描いていき、瑪瑙風の模
様を描くことができた。乾燥を充分に行い実験例3と同
様にサンドブラストマシンで彫刻を施し、描いた模様の
部分を凸状に浮かび上がらせることができた。
【0044】これに硝酸マンガン水和物(Mn(N
3 2 ・nH2 O)6gを純水に溶解して全体を10
0mlにした水性の着色剤溶液を含浸させた。次いで、
乾燥機を用いて充分に乾燥させてから電気炉で1100
℃で仮焼し、真空炉を用いて1700℃で焼結させ、淡
く透明なピンク地に赤色の模様が浮かび上がったアルミ
ナセラミック部材を得た。さらにこれをガス炉で150
0℃で再焼成し、明るいオレンジ色の素地に赤色の模様
が浮かび上がったアルミナセラミック部材を得た。
【0045】最後に、このセラミックをダイヤモンド砥
粒を用いて手研磨し、浮かび上がった凸状部を光沢に仕
上げた。これによってオレンジ色の素地上の瑪瑙状赤色
模様は際立って明瞭になり、また手触りもよく模様を感
じとることができた。
【0046】−実験例5− 硝酸コバルト6水和物(Co(No3 2 ・6H2 O)
20gをエチルアルコール80mlに溶解し、それに松
脂17gを加えて温めて溶解させ、さらにエチルアルコ
ールを加え全体を100mlにし、薄赤色を呈する透明
なニス状の着色剤溶液を得た。
【0047】実験例1と同様の素焼き品に着色剤溶液を
フエルト片に付着させて、これをピンセットでつまみ、
はたきつけながらマーブル模様を描いた。
【0048】これを充分に乾燥させてから、さらに硝酸
ニッケル6水和物(Ni(No3 2 ・6H2 O)5g
を純水に溶解して全体を100mlにした水性の着色剤
溶液を脱脂綿に浸しながら軽くはたきつけて含浸させて
いった。次いで自然乾燥後、さらに乾燥機を用いて充分
に乾燥させてから実験例3と同様にサンドブラストで彫
刻を施し、先に着色剤溶液で描いた模様の部分を浮かび
上がらせた。
【0049】これを電気炉で1100℃で仮焼し、真空
炉を用いて1730℃で焼結させ、灰黒地に紺色の模様
が浮かびあがったアルミナセラミック部材を得た。さら
に、これをガス炉で1630℃で再焼成し、黄緑〜濃緑
色の素地に紺色の模様が浮かび上がったアルミナセラミ
ック部材を得た。
【0050】最後に、バレル研磨機を用いてこのセラミ
ック凸状部を平滑な面に仕上げた。これによって黄緑〜
濃緑地に紺色のマーブル模様はさらに明瞭になり、手触
りもよく模様を感じとることができた。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る装飾用セラ
ミック部材では、セラミック部材の表面に凹状部、凸状
部もしくは粗面状部から成る模様を有し、この模様部分
のセラミック部材が他の部分とは異なる色彩を呈するよ
うにしたことから、マーブルや瑪瑙のような色調による
模様のみならず、不均質感や粗密感といった質感も表現
できるようになる。
【0052】また、本発明に係るセラミック部材の製造
方法では、セラミック部材の素焼き品に着色剤溶液を含
浸させて乾燥することにより、着色剤溶液を含浸させた
部分と他の部分に加工性の相違を生じさせ、次いでこの
セラミック部材の表面に研磨、研削もしくは粗面化など
の加工を施して、このセラミック部材の表面に凹状、凸
状もしくは粗面状の模様を形成し、次いでこのセラミッ
ク部材を焼成することによって前記模様部分を他の部分
とは異なる色彩に発色させることから、着色剤溶液が含
浸した模様形状にそって色調と質感の異なる加飾を施す
ことができ、マーブルや瑪瑙のような色調と質感を表現
できる装飾用セラミック部材となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装飾用セラミック部材の一実施例
を示す図である。
【図2】本発明に係る装飾用セラミック部材の製造方法
の一工程を示す図である。
【図3】本発明に係る装飾用セラミック部材の製造方法
の他の工程を示す図である。
【図4】本発明に係る装飾用セラミック部材の製造方法
のその他の工程を示す図である。
【符号の説明】
1・・・セラミック部材、1a・・・素焼き品、2・・
・凸状部、2a・・・凸状の着色部分、3・・・凹状
部、3a・・・凹状の着色部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉留 光明 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社鹿児島国分工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック部材の表面に凹状部、凸状部
    もしくは粗面状部から成る模様を有し、この模様部分の
    セラミック部材が他の部分とは異なる色彩を呈する装飾
    用セラミック部材。
  2. 【請求項2】 セラミック部材の素焼き品に着色剤溶液
    を含浸させて乾燥することにより、着色剤溶液を含浸さ
    せた部分と他の部分に加工性の相違を生じさせ、次いで
    このセラミック部材の表面に研磨、研削もしくは粗面化
    などの加工を施して、このセラミック部材の表面に凹
    状、凸状もしくは粗面状の模様を形成し、次いでこのセ
    ラミック部材を焼成することによって前記模様部分を他
    の部分とは異なる色彩に発色させる装飾用セラミック部
    材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記着色剤溶液が金属塩、水性もしくは
    油性の固化剤、および溶剤から成ることを特徴とする請
    求項2に記載の装飾用セラミック部材の製造方法。
JP7188295A 1995-03-29 1995-03-29 装飾用セラミック部材とその製造方法 Pending JPH08268777A (ja)

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