JP4820478B2 - 銀焼結体の装飾方法 - Google Patents
銀焼結体の装飾方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4820478B2 JP4820478B2 JP2000131131A JP2000131131A JP4820478B2 JP 4820478 B2 JP4820478 B2 JP 4820478B2 JP 2000131131 A JP2000131131 A JP 2000131131A JP 2000131131 A JP2000131131 A JP 2000131131A JP 4820478 B2 JP4820478 B2 JP 4820478B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- silver
- powder
- sintered body
- sulfide film
- shape
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Adornments (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば銀粘土により作製される銀焼結体の装飾効果を容易に高めることができる銀焼結体の装飾方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀製の指輪、ブローチなどのアクセサリーや装飾品を作製する際に、その装飾効果を高めるために硫化膜を形成させて黒色や褐色などの着色を施す方法が既に知られている。
より詳しくは、鋳造等により作製された銀製品の表面に、予め模様や柄のデザインに応じた溝等を刻設しておき、これを硫黄、生石灰、カゼイン、硫酸カリウムなどを含有する水溶液中に浸漬した後、研磨を施して溝等の内部に形成された硫化膜を残す方法である。
この方法にて得られる銀製品は、銀肌に硫化膜の黒色や褐色が模様や柄のデザイン浮かび上がるものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の方法は、予め模様や柄のデザインに応じて溝等を刻設する必要があるため、そのデザインが細かく精微になるほど熟練した作業を必要とするものであり、工芸やクラフト等における手法としては、到底適用不可能な手法であった。或いは簡易なデザインに限定されてしまうものであった。或いは逆に太幅のデザインでは研磨する際に太幅の溝内に形成された硫化膜を研削(研磨)しないように注意する必要があった。
また、溝等以外の部分に形成された硫化膜を研磨により完全に除去(研削)する必要があり、しかも特に細かく精微な突起形状を有するような物品では形状破壊を生ずる虞もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記に鑑み提案されたもので、純銀粉又は銀合金粉を含有する組成物を所望の形状に造形又は物品に付着させ、乾燥固化させた造形体又は物品付着物を純銀粉又は銀合金粉の融点以下で焼結した銀焼結体の表面に、撥水性のマスキング液を任意形状に塗布した後、硫黄を主成分とする水溶液を塗布して硫化膜を形成させることを特徴とする銀焼結体の装飾方法に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の銀焼結体の装飾方法は、前述のように銀焼結体の表面に、撥水性のマスキング液を任意形状に塗布した後、硫黄を主成分とする水溶液を塗布して硫化膜を形成させる。即ち本発明の第1の工程では、撥水性のマスキング液を塗布し、第2の工程では、硫黄を主成分とする水溶液を塗布する。
【0006】
まず第1の工程に用いられる撥水性のマスキング液としては、特にその組成について何等限定するものではなく、例えば強い撥水性を有するシリコーン系やフッ素系の化合物を有するものなどが好適に利用でき、各種の油性インク等も好適に利用でき、これらをマスキング液とし、筆やペン等の筆記具を用いて模様や柄のデザインを任意に塗布しても良い。さらに後述する第2の工程の後にはこのマスキング液を除去する必要があるため、除去方法を考慮してマスキング液を選定することが望ましい。特に工芸やクラフト等における手法としては、油性ペンが最も好適に利用できる。即ち、油性ペンは太いものから細いものまで各種のタイプが安価に市販されており、汎用性が高いために一般家庭に常備されている場合が多い。またこの油性ペンを本発明の用途に用いても何等機能性が失われることがなく、この油性ペンにて塗布された油性インクは、市販の除光液にて容易に除去することができる。
【0008】
次に第2の工程に用いられる硫黄を主成分とする水溶液としても特にその組成について何等限定するものではないが、容易に入手可能であれば硫黄泉をそのまま用いても良いし、硫黄泉そのものは入手できなくても硫黄泉を模した入浴剤が市販されているので、この入浴剤を(液状入浴剤の場合)水で希釈したもの、或いは(固形入浴剤の場合)溶かしたものを用いても良い。即ち硫黄泉は、HS−、S2O3 2−、H2Sなどを含有することが知られており、これを模した入浴剤中にも同様な成分が含有され、何れにしても常温にて容易に銀と反応して黒色の硫化銀(Ag2S)等の硫化物の膜を形成することができる。これらの硫黄を主成分とする水溶液を、筆やペン、刷毛等の塗布具を用いて過剰量の塗布を避けつつ塗布すれば、撥水性マスキング液の塗布部分でははじかれるが、それ以外の部分にて銀と接触して硫化膜を形成することができる。その際、焼結体の表面は微細な凹凸面となっているため、硫黄を主成分とする水溶液との接触面積が大きく、鮮やかな着色の硫化膜が形成される。
【0009】
その後、撥水性のマスキング液を除去することにより、硫化膜が形成されていない銀肌が表出することになる。
【0010】
このように本発明の銀焼結体の装飾方法は、微細な模様や柄のデザインに対しても太幅のデザインに対してもデザインに何等制限なく銀肌に任意形状の硫化膜の着色を施した意匠性に優れた装飾効果を付与することができる。
また、従来の方法のように、予めデザインに応じて溝等を刻設する必要もないので、それに伴う技術の修練や危険性も回避することができる。
さらに、必要な部分にのみ硫化膜を形成するので、従来の方法のように形成された硫化膜を研磨により完全に除去(研削)する必要もなく、研磨自体を必要としないので、特に細かく精微な突起形状を有するような物品でも形状破壊を生ずる虞がない。
【0011】
本発明に使用する純銀粉又は銀合金粉を含有する組成物については、特に限定するものではなく、例えば純銀粉又は銀合金粉にバインダーを添加して粘土状として所望の形状に造形しても良いし、スラリー状として適宜物品に塗り付けるようにしても良い。バインダーも特に限定するものではないが、水溶性セルロース系樹脂0.022〜3.0wt%と、デンプン0.02〜3.0wt%又はフェニルプロパンを骨格とする構成単位体が縮合してなる網状高分子などの粘稠剤0〜0.5wt%とからなるバインダーを用いることが望ましい。
【0012】
尚、粘土状にした組成物の造形法、スラリー状にした組成物の塗り付け法についても特に限定するものではなく、その後、例えば50〜80℃で1時間程度乾燥するが、この乾燥条件も一例に過ぎず、何等制限されるものではない。
【0013】
そして、使用した純銀粉又は銀合金粉に応じて設定される温度雰囲気にて造形体又は物品付着物を焼成する。
焼成条件は、特に限定するものではなく、例えば純銀粉又は銀合金粉の融点(mp)より70℃低い温度以下〔≦(mp−70℃)〕で30分〜1時間、或いはそれ以上の時間加熱して焼成しても良いし、純銀粉又は銀合金粉の融点から融点より70℃低い温度雰囲気〔(mp−70℃)〜mp〕にて急速加熱して焼成しても良い。特に純銀粉又は銀合金粉の融点より10〜50℃低い温度雰囲気〔(mp−50℃)〜(mp−10℃)〕で30秒〜3分で焼成することが望ましい。或いはガスバーナーを用いて急速加熱して焼成しても良い。
使用する金属粉末、セラミック粉末については、例えば貴金属等の金属単体の粉末でも良いし、合金粉末、金属酸化物粉末等粉末でも良く、何等限定するものではない。
【0014】
【実施例】
[実施例1]
平均粒径20μmの純Ag粉末92wt%、メチルセルロース0.8wt%、デンプン0.6wt%、水6.6wt%からなる造形用粘土組成物を、銀濃度が80%になるように水で希釈してペースト状組成物とした。可燃性のコルク粘土にて所望のブローチ状に造形し、チェーンを挿通させることができるように予めストローを通して造形しておき、この上に、前記ペースト状組成物を厚みがおよそ1mm程度になるように塗布し、80℃×20分の条件にて乾燥した。この乾燥造形体を電気炉にて850℃で20分焼成すると、可燃物であるコルクとストローは燃えて消失し、銀焼結体が得られた。得られた焼結体をステンブラシで磨いた後、油性ペンで図柄を描き、マスキング部とした。さらに『六十〇ハップ』(武藤鉦製薬株式会社製)を70〜80℃のお湯で0.3〜1%程度に希釈し、それを筆で焼結体に塗布した。硫化膜の形成による着色を確認した後、油性ペンで描いた図柄部分を除光液で取り除き、仕上げ用研磨材を少量付けた研磨布で軽く磨くと、油性ペンで描いた図柄部分が光沢のある銀肌となって現れ、細かい線や柄が鮮明な図柄となって現れるものとなった。
【0015】
[実施例2]
平均粒径20μmの純Ag粉末92wt%、メチルセルロース0.8wt%、デンプン0.6wt%、水6.6wt%からなる造形用粘土組成物を指輪に成形し、80℃×20分の条件にて乾燥した。この乾燥造形体を電気炉にて850℃で20分焼成した。得られた焼結体(指輪)をステンブラシで磨いた後、指輪のトップ部に油性ペンで非常に細かな図柄を描き、マスキング部とした。さらに『六十〇ハップ』(武藤鉦製薬株式会社製)を70〜80℃のお湯で0.3〜1%程度に希釈し、それを筆で指輪のトップ部に塗布した。硫化膜の形成による着色を確認した後、油性ペンで描いた図柄部分を除光液で取り除き、仕上げ用研磨材を少量付けた研磨布で指輪のトップ部を軽く磨くと、油性ペンで描いた非常に細かな図柄部分が光沢のある銀肌となって現れるものとなった。
【0017】
以上本発明の実施例を示したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の銀焼結体の装飾方法は、このように本発明の銀焼結体の装飾方法は、微細な模様や柄のデザインに対しても太幅のデザインに対してもデザインに何等制限なく銀肌に任意形状の硫化膜の着色を施した意匠性に優れた装飾効果を付与することができる。
また、従来の方法のように、予めデザインに応じて溝等を刻設する必要もないので、それに伴う技術の修練や危険性も回避することができる。
さらに、必要な部分にのみ硫化膜を形成するので、従来の方法のように形成された硫化膜を研磨により完全に除去(研削)する必要もなく、研削自体を必要としないので、特に細かく精微な突起形状を有するような物品でも形状破壊を生ずる虞がない。
Claims (1)
- 純銀粉又は銀合金粉を含有する組成物を所望の形状に造形又は物品に付着させ、乾燥固化させた造形体又は物品付着物を純銀粉又は銀合金粉の融点以下で焼結した銀焼結体の表面に、撥水性のマスキング液を任意形状に塗布した後、硫黄を主成分とする水溶液を塗布して硫化膜を形成させることを特徴とする銀焼結体の装飾方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000131131A JP4820478B2 (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 銀焼結体の装飾方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000131131A JP4820478B2 (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 銀焼結体の装飾方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010053706A Division JP2010148919A (ja) | 2010-02-22 | 2010-02-22 | 銀焼結体の装飾方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001309808A JP2001309808A (ja) | 2001-11-06 |
JP4820478B2 true JP4820478B2 (ja) | 2011-11-24 |
Family
ID=18640089
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000131131A Expired - Fee Related JP4820478B2 (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 銀焼結体の装飾方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4820478B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4556243B2 (ja) * | 2006-01-17 | 2010-10-06 | 三菱マテリアル株式会社 | 表面に彫刻を施した銀粘土焼結体の製造方法及び銀粘土造形体 |
JP4527683B2 (ja) * | 2006-05-16 | 2010-08-18 | Ntn株式会社 | 軸受構成部材への被膜形成表面処理におけるマスキング |
JP5172373B2 (ja) * | 2008-02-07 | 2013-03-27 | 相田化学工業株式会社 | 装飾金属物品の製造方法及び装飾金属物品 |
CN108558447A (zh) * | 2018-05-28 | 2018-09-21 | 钦州学院 | 坭兴陶与金属大面积连接方法 |
CN108640717A (zh) * | 2018-05-28 | 2018-10-12 | 钦州学院 | 坭兴陶镶银器皿的制作工艺 |
-
2000
- 2000-04-28 JP JP2000131131A patent/JP4820478B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001309808A (ja) | 2001-11-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN1951708B (zh) | 版画制作工艺 | |
US10295961B2 (en) | Process for decorating a timepiece component and timepiece component obtained by such a process | |
CN101357561B (zh) | 一种带有立体图案的金属涂层的涂覆方法 | |
JP4820478B2 (ja) | 銀焼結体の装飾方法 | |
CN111152346A (zh) | 一种金镶玉陶瓷的制备方法 | |
JP2017166005A (ja) | めっき装飾品、筆記具及びめっき装飾品の製造方法 | |
US5418041A (en) | Method of applying a ceramic image to a complex ceramic article | |
US2566735A (en) | Decoration of ceramic ware | |
CN101337832A (zh) | 陶瓷体外表面抛金抛银的工艺方法 | |
JP2010148919A (ja) | 銀焼結体の装飾方法 | |
KR200401854Y1 (ko) | 장식용 자개 | |
KR100330914B1 (ko) | 석재 표면의 문양 형성용 인쇄 잉크, 석재 표면의 문양 형성방법 및 이 방법에 의해 제조된 석재 | |
CN115284782B (zh) | 一种在青铜雕塑表面做珠光金色彩的工艺方法 | |
JPH09142966A (ja) | セラミック部材の製造方法 | |
CN1244460C (zh) | 紫金刻铜雕工艺 | |
JP4297591B2 (ja) | 焼結体の装飾方法及び装飾焼結体 | |
KR910003179B1 (ko) | 수석사진 장식물의 제조방법 | |
Beard | Resist and masking techniques | |
KR20080006738A (ko) | 파스텔을 이용한 장신구 장식방법 및 장신구 | |
Lencaner | THE INCRUSTATION OF CERAMIC WARE 1 | |
JPH0624802A (ja) | 硝子製品の加飾方法 | |
KR19990064924A (ko) | 단추의 문양 형성방법 | |
JPS5872455A (ja) | 印刷蒔絵の転写方法 | |
US798037A (en) | Decoration of metal surfaces. | |
KR100712133B1 (ko) | 채색된 색상 보존성이 우수한 석판 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070110 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081126 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090825 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20091022 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20091124 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100222 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20100323 |
|
A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20100416 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110905 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140909 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |