JPH09110563A - セラミック部材とその製造方法 - Google Patents

セラミック部材とその製造方法

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JPH09110563A
JPH09110563A JP27418095A JP27418095A JPH09110563A JP H09110563 A JPH09110563 A JP H09110563A JP 27418095 A JP27418095 A JP 27418095A JP 27418095 A JP27418095 A JP 27418095A JP H09110563 A JPH09110563 A JP H09110563A
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JP
Japan
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ceramic member
colored
colored portion
ceramic
color
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JP27418095A
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Kenichi Nagata
憲一 永田
Yoichiro Yoshihara
洋一郎 芳原
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミック部材の彩色を施す部分とそうでな
い部分、あるいは彩色を施す部分と他の彩色を施す部分
の境界部に、にじみや混色が発生して不鮮明になる。 【課題解決手段】 部分的に異なる色彩を呈する彩色部
を設けて成るセラミック部材において、前記彩色部の輪
郭部にこの彩色部とは異なる色彩を呈する着色部を設け
た。また、セラミック部材の生成形体もしくは素焼き品
に着色剤を塗布して焼成することにより他の部分とは異
なる色彩を呈する彩色部を形成するセラミック部材の形
成方法において、前記彩色部を形成した後、この彩色部
の輪郭部に、この彩色部とは異なる色彩を呈する着色剤
を塗布して加熱して形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミック部材とそ
の製造方法に関し、特に部分的に異なる色彩を呈する彩
色部を有するセラミック部材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、陶芸品、工芸品あるいは装飾品に
おいてはデザインの自由度を高めると共に、これらの分
野を拡大するために新素材を積極的に用いることが試み
られている。その一つとしてセラミック部材で陶芸品、
工芸品あるいは装飾品を形成することが提案されてい
る。セラミック部材は一般に屈折率の高いものが多く、
光の反射率も高いので、表面を研磨して鏡面光沢に仕上
げると美しい陶芸品、工芸品あるいは装飾品となる。セ
ラミック部材は通常不透明であるが透光性アルミナのよ
うに透光性でしかも金属の酸化物を含ませて焼成して材
質自体を発色させて着色できるセラミックもある。透光
性アルミナ部材は内部で光線をほどよく散乱させて透過
するので、セラミック部材から放出される光は拡散して
柔らかく輝き、美しい。また、セラミック部材による陶
芸品、工芸品あるいは装飾品はセラミック本来の特色で
ある高い強度と硬度を持ち、打ち傷や擦り傷にも強いと
いう性質がある。従って、製作した当初の美しさ(初期
美観)を長期にわたって保ち続けるので価値も高い。
【0003】セラミック部材の原料に金属の酸化物を混
合して焼成すればセラミックの材質自体を発色させるこ
とができる。そこでセラミック部材を複数の色で彩色す
るのに、多孔質なセラミック部材の生成形体又は素焼き
品の素地に、焼成によって酸化物となる各種の金属塩を
溶解した着色剤溶液を筆などで塗布して浸透させて模様
などを描写して、セラミック部材の生成形体又は素焼き
品を焼成することにより、セラミック自体を発色させて
色彩による模様などを形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】このように多孔質な
セラミックの生成形体又は素焼き品の素地に、着色剤溶
液を塗布して描写すると、多孔質な素地に着色剤溶液が
浸透して拡散するので、彩色を施す部分と彩色を施さな
い部分の境界部ににじみが発生したり、彩色を施す部分
と他の彩色を施す部分の境界部で着色剤溶液が混合す
る。このように着色剤溶液がにじんだり、混合した状態
でセラミック部材の生成形体や素焼き品を焼成するとセ
ラミック部材は、本来の美観を損なうという問題があっ
た。
【0005】特に、セラミック部材を透光性のセラミッ
ク部材で形成する場合は、このにじみや混色によって美
観が大きく損なわれる。
【0006】
【発明の目的】本発明は、このような従来技術の欠点に
鑑みて発明されたものであり、セラミック部材の彩色を
施す部分とそうでない部分あるいは彩色を施す部分と他
の彩色を施す部分の境界部ににじみや混色が発生して不
鮮明になることを解消することを目的とする。
【0007】
【問題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係わるセラミック部材では、部分的に異な
る色彩を呈する彩色部を設けて成るセラミック部材にお
いて、前記彩色部の輪郭部にこの彩色部とは異なる色彩
を呈する着色部を設けたことを特徴とする。
【0008】また、本発明に係るセラミック部材の製造
方法によれば、セラミック部材の生成形体もしくは素焼
き品に着色剤を塗布して焼成することにより他の部分と
は異なる色彩を呈する彩色部を形成するセラミック部材
の形成方法において、前記彩色部を形成した後、この彩
色部の輪郭部に、この彩色部とは異なる色彩を呈する着
色剤を塗布して加熱することを特徴とする。
【0009】
【実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面に基
づき詳細に説明する。図1は、本発明に係るセラミック
部材の一実施形態を示す断面図であり、1はセラミック
部材、2a、2bは彩色部、3は着色部である。
【0010】セラミック部材1は、例えばアルミナセラ
ミック、透光性アルミナセラミック、ムライトセラミッ
ク、あるいは硬質磁器などからなり、板状、柱状、球
状、半球状、すり鉢状、筒状、有底筒状など種々の形態
に形成される。
【0011】セラミック部材1には、他の部分と異なる
色彩を呈する彩色部2a、2bが形成されている。この
彩色部2a、2bは、金属酸化物などからなる着色剤を
含有しており、セラミック部材1自体が異なった色彩に
発色する。
【0012】彩色部2a、2bの輪郭部には、着色部3
が設けられている。着色部3は不透明もしくは濃厚な色
調を持ち、彩色部2a、2bと他の領域、あるいは彩色
部2a、2bが接する部分を覆うように設けられてい
る。
【0013】セラミック部材1をアルミナセラミックで
構成する場合、アルミナ粉末100部に、分散剤0.5
〜1部、バインダー2〜5部、水25〜30部を加え、
ボールミルで混合した後、真空脱泡し、例えば鋳込み成
形法などで生成形品を形成する。次に、この生成形品を
乾燥後、脱バインダーのために500℃付近までゆっく
りと昇温し、950℃という低温で焼成することによ
り、図2に示すように、アルミナセラミックの素焼き品
1aを形成する。
【0014】また、アルミナセラミック部材1を例えば
透光性のアルミナセラミックで構成する場合、高純度微
粉アルミナに300〜500PPMのマグネシアを添加
した原料100部に、分散剤0.5〜2部、バインダー
2〜5部、水25〜30部を加え、ボールミルで混合し
た後、真空脱泡し、例えば鋳込み成形法などで生成形品
を形成する。次に、この生成形品を乾燥後、脱バインダ
ーのために500℃付近までゆっくりと昇温し、900
℃という比較的低温で焼成することにより、図2に示す
ように、セラミックの素焼き品1aを形成する。
【0015】また、セラミック部材1を例えばムライト
セラミックで構成する場合、微粉アルミナとカオリンを
所定の比率で調合し焼成し粉砕してなる合成ムライト粉
末原料100部に、バインダーとしてパラフィンワック
ス3〜5部を加え、攪拌しながら加熱してムライト粉末
にワックスをむらなく混合した後に造粒し、金型に充填
して加圧して成形することにより、生成形品を形成す
る。次に、この生成形品を脱バインダーのために500
℃付近まで時間をかけて徐々に昇温し、850℃という
低温で焼成することにより、図2に示すようにセラミッ
クの素焼き品1aを形成する。
【0016】さらに、セラミック部材1を硬質磁器で構
成する場合、カオリン50部、長石25部、石英25
部、水50部、及び解膠剤として少量の水ガラスを調合
し、ボールミルで粉砕混合して泥漿にし、これをフィル
タープレスで水分20重量%程度に脱水し、さらに真空
土練機で脱泡しながら良く練って円柱状の坏土に形成す
る。この坏土を用いてろくろ等によって生成形品を形成
する。次に、この成形品を充分に自然乾燥をして850
℃という低温で焼成することにより、図2に示すよう
に、素焼き品1aを形成する。
【0017】次に、図3に示すように、セラミックの素
焼き品1aに、着色剤溶液を部分的に塗布することによ
り、模様2a’、2b’を形成する。本発明で用いる着
色剤溶液は、金属塩よりなる着色剤、及び溶剤で構成さ
れる。金属塩としては溶剤に溶け、焼成によって酸化物
となりセラミックを発色させるものが用いられる。例え
ば硝酸クロム9水和物(Cr(NO3 2 ・9H
2 O)、硝酸コバルト6水和物(Co(NO3 2 ・6
2 O)、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO3 2
6H2 O)、硝酸マンガン水和物(Mn(NO3 2
nH2 O)、またはそれらの混合物などが用いられる。
通常これらの溶剤には純水を用いる。
【0018】これらの金属塩からなる着色剤がアルミナ
セラミックの素焼き品などとともに焼成されると、硝酸
クロムはピンク〜赤〜深紅に発色し、硝酸コバルトは淡
青〜濃紺に発色する。また硝酸ニッケルは真空炉焼成し
た場合は灰〜空色に発色し、これをガス炉や電気炉で再
焼成すると黄緑〜暗緑に発色する。硝酸マンガンは真空
炉で焼成した場合はピンクに発色し、これをガス炉や電
気炉で再焼成するとオレンジ色に発色する。
【0019】また、これらの金属塩からなる着色剤がム
ライトセラミックの素焼き品などとともにガス炉や電気
炉で焼成されると、硝酸クロムは灰緑に、硝酸コバルト
は青に、硝酸ニケッルは灰茶に、硝酸マンガンは紫褐色
に発色する。
【0020】さらにこれらの金属塩からなる着色剤が硬
質磁器の素焼き品などとともにガス炉や電気炉で焼成さ
れると、硝酸クロムは灰〜灰黒に、硝酸コバルトは青
に、硝酸ニッケルは灰緑に、硝酸マンガンは灰褐色に発
色する。
【0021】着色剤溶液をセラミック部材の素焼き品1
aの素地に塗布するには、筆やスプレーを用いて模様な
どを描写していく。このような方法で二色以上の着色剤
溶液を順次塗布して多色の模様や絵柄を形成することが
できる。
【0022】次に、このような加工を施したセラミック
の素焼き品1aを電気炉を用いて1000℃で仮焼し
て、素地の中に浸透している着色剤溶液中の可燃物を焼
成揮散させるとともに浸透している金属塩を酸化させ
る。
【0023】次いで、高温で焼成して焼結させる。通
常、アルミナセラミックはガス炉を用いて大気中で16
00℃以上の高温で焼成して焼結させる。透光性アルミ
ナセラミックは透光感を得るために真空炉で焼結させ
る。好ましい色調を得るためにガス炉や電気炉で再焼成
して色調を整えることもある。また、ムライトセラミッ
クはガス炉を用いて1500℃以上の温度で焼結させ
る。また、硬質磁器はガス炉や電気炉を用いて1340
℃で焼結するが、透光性を持たせるために1400℃以
上の温度で焼成することもある。
【0024】このようにして焼結させて発色させたセラ
ミック部材を手研磨またはバレル研磨することによっ
て、美しさと手触りのよさを整える。
【0025】最後に、図1に示すようにセラミック部材
1の彩色部2a、2bの輪郭部に着色層3を形成する。
【0026】着色層3を上絵具もしくは色釉薬によって
形成するには、市販の上絵具や色釉薬を溶き油で練って
粘度を調整して筆塗りし、乾燥させた後に、電気炉で焼
成して融着させる。上絵具は通常750〜800℃で融
着し、白釉薬は700〜800℃で融着する。融着温度
を加減して艶消しないし光沢のある着色層3を自在に形
成できる。
【0027】着色層3による輪郭を金彩や銀彩などの金
属によって形成するには、市販の陶芸用の金液、銀液あ
るいはプラチナ液を溶き油で調整して筆塗りし、乾燥さ
せた後に、電気炉を用いて700〜800℃で焼成して
固着させることにより着色層3を形成する。
【0028】着色層3による輪郭を顔料もしくは充填剤
(フィラー)を含む樹脂によって形成するには、漆やカ
シュウなどの耐久性のある塗料をテレピン油などの溶剤
で調整して筆塗りし、これを乾燥させて固着させること
により着色層3を形成する。
【0029】
【実施例】
−実施例1− 純度99%のアルミナ微粉原料100部にバインダーと
してパラフィンワックス5部を加え、加熱しながら攪拌
してむらなく混合し、造粒したのちに金型に充填して加
圧成形して板状の成形品を形成した。次に、950℃で
素焼き品を焼成してアルミナの素焼き品1aを得た。こ
れに、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO3 2 ・6H
2 O)15gを純水に溶解し、全体を100mlにした
淡い緑を呈する透明な着色剤溶液を筆に含ませて模様を
描写した。自然乾燥を一昼夜行い、電気炉で1100℃
で仮焼し、ガス炉を用いて1650℃で焼成して焼結さ
せ、淡いクリーム色の素地に緑の模様が浮かび上がった
アルミナセラミック部材を得た。これをダイヤモンド砥
粒を用いた砥石で平面研削盤によって研磨し光沢に仕上
げた。これによってクリーム色の素地上の緑色模様は美
しくなり、また手触りも良くできた。次に、この部材の
緑色模様の周囲に濃緑色の色釉を用いて輪郭を描き、乾
燥後、電気炉を用いて750℃で焼成して、融着させ、
着色層3による輪郭を形成した。これにより部材の着色
した部分の周囲に境界が加わって色調が強調され、メリ
ハリのある緑色模様をもった路面装飾用セラミックタイ
ルを得た。
【0030】−実施例2− 合成ムライト原料100部にバインダーとしてパラフィ
ンワックス7部を加え、加熱しながら攪拌してむらなく
混合し、造粒したのち金型に充填して加圧成形して板状
の成形品を形成した。次に、900℃で素焼き焼成して
ムライトの素焼き品1aを得た。これに、硝酸マンガン
水和物(Mn(NO3 2 ・nH2 O)50gをエチル
アルコール50mlに溶解し、それにテレピン油50m
lを加えて温めながら溶かし、全体を100mlにした
透明な着色剤溶液を、筆に含ませて模様を描写した。自
然乾燥を一昼夜行い、電気炉を用いて1100℃で仮焼
し、ガス炉を用いて1500℃で焼結させ、白地に紫褐
色の模様が浮かび上がったムライト質のセラミック部材
を得た。バレル研磨機を用いてこの表面を平滑な面に仕
上げ、白地に紫褐色の模様は美しくなり、手触りもよく
することができた。次に、このセラミック部材の模様の
周囲に黒色のカシュー塗料を用いて筆で輪郭を描き、乾
燥機を用いて40℃で12時間乾燥後、さらに重ね塗り
をして同様に乾燥後、再び重ね塗りをして80℃で12
時間乾燥して強固に固着させて着色層による輪郭を形成
したこの後、木工用サンドペーパー1200番で塗料表
面を研ぎ出して手触りのよい着色層による輪郭を形成し
た。これにより白地に黒く縁取りされた紫褐色の模様が
鮮明に浮かび上がった家具用装飾セラミックタイルを得
た。
【0031】−実施例3− 高純度アルミナ(99.99%、粒径0.5μm)10
0部にマグネシア0.05部を添加し、分散剤1部、純
水25〜30部を加え、ボールミルで16時間分散混合
した後、アクリル系のバインダー5部と消泡剤0.2部
を加えさらに1時間ミルで分散混合した後、300メッ
シュの篩を通してから真空脱泡し、アルミナスラリーを
得た。これを半円の椀状の石膏型に流し込み、排泥鋳込
み法によって厚み3mmの成形体を得た。これを乾燥
後、ゆっくりと昇温し900℃という比較的低温で焼成
することにより、椀状のセラミック部材の素焼き品を得
た。これに、硝酸コバルト6水和物(Co(NO3 2
・6H2 O)20gを、純水に溶解し、全体を100m
lにした淡ピンク色を呈する透明な着色剤溶液と、硝酸
クロム9水和物(Cr(NO3 2 ・9H2 O)30g
を純水に溶解し、全体を100mlにした濃紫色を呈す
る透明な着色剤溶液を用いて実施例1及び実施例2と同
様の技法で模様を描写した。自然乾燥を一昼夜行い、電
気炉を用いて1100℃で仮焼し、透光感を得るために
真空炉で1700℃で焼結させてから好ましい色調を得
るために再度ガス炉で1600℃で酸化焼成して透光感
のあるアイボリーの素地に青と赤の模様が浮かび上がっ
た透光性セラミック部材を得た。これをダイヤモンド砥
粒を用いる手研磨によって表面を研磨して光沢の美しさ
と手触りのよさを整えた。次に、透光性セラミック部材
の模様の周囲に陶芸用の緑色の上絵具を用いて輪郭を描
き、乾燥後、電気炉を用いて800℃で焼成し、融着さ
せて着色層による輪郭を形成した。これにより部材の着
色した部分の周囲に、色調の異なる境界部に鮮やかな緑
色で縁取りされた中に青と赤の模様が鮮明に浮かび上が
った透光性セラミックによるランプシェードを得た。
【0032】−実施例4− 実施例3と同様に、セラミック部材1を透光性のアルミ
ナセラミックで構成する場合、実施例3と同様に、アル
ミナスラリーを得て、これを排泥鋳込み法によって厚み
1.5mmの成形体を得た。これを乾燥後、900℃で
焼成して、小さな椀状のセラミック部材の素焼き品を得
た。これに硝酸マンガン6水和物(Mn(NO3 2
6H2 O)20gを純水に溶解し、全体を100mlに
した淡いピンク色を呈する透明な着色剤溶液を用いて実
施例1、2、3と同様の技法で模様を描写し、自然乾燥
を一昼夜行い、電気炉を用いて1100℃で仮焼し、真
空炉で1700℃で焼結させてから再度ガス炉で160
0℃で酸化焼成して透光感のあるアイボリーの地に柿色
の模様がほのかに浮かび上がった透光性セラミックで形
成された酒杯を得た。これをバレル研磨によって表面を
平滑な光沢面に仕上げて手触りのよさを整えた。次に、
この酒杯の模様の周囲に陶芸用の金液を用いて輪郭を描
き、乾燥後、電気炉を用いて800℃で焼成して固着さ
せて、金色の着色層による輪郭を形成した。これにより
部材の着色した部分の周囲に色の滲みがなく、アイボリ
ーの地に柿色の模様がくっきりと美しく浮かび上がった
透光性セラミックで形成された冷酒用酒杯を得た。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るセラミック
部材では、他の部位とは異なる色彩を呈する彩色部の輪
郭部に、この彩色部とは異なる色彩を呈する着色部を設
けたことから、彩色部の輪郭部におけるにじみや、彩色
部と彩色部の境界部における混色をこの着色部で隠蔽す
ることができ、もってセラミック部材の表面に模様など
を力強くメリハリを付けて描写することができると共
に、陶芸品、工芸品あるいは装飾品としての価値を一層
高めることができる。
【0034】また、本発明に係るセラミック部材の製造
方法では、セラミック部材の生成形体もしくは素焼き品
に着色剤溶液を塗布して焼成することにより他の部分と
は異なる色彩を呈する彩色部を形成し、しかる後、この
彩色部の輪郭部に、この彩色部とは異なる色彩を呈する
着色部を形成することから、彩色部の輪郭部ににじみや
混色を発生することなく他の部分と明瞭に区画された着
色部を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミック部材の一実施例を示す
図である。
【図2】本発明に係るセラミック部材の製造方法の一工
程を示す図である。
【図3】本発明に係るセラミック部材の製造方法の他の
工程を示す図である。
【符号の説明】
1・・・セラミック部材、1a・・・セラミック部材の
生成形体、2a、2b・・・彩色部、3・・・着色部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部分的に異なる色彩を呈する彩色部を設
    けて成るセラミック部材において、前記彩色部の輪郭部
    に、この彩色部とは異なる色彩を呈する着色部を設けた
    ことを特徴とするセラミック部材。
  2. 【請求項2】 前記セラミック部材が透光性セラミック
    部材であることを特徴とする請求項1に記載のセラミッ
    ク部材。
  3. 【請求項3】 前記着色部が上絵の具もしく色釉薬で形
    成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載のセラミック部材。
  4. 【請求項4】 前記着色部が金彩もしくは銀彩で形成さ
    れていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    のセラミック部材。
  5. 【請求項5】 前記着色部が顔料もしくは充填剤を含む
    樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載のセラミック部材。
  6. 【請求項6】 セラミック部材の生成形体もしくは素焼
    き品に着色剤溶液を塗布して焼成することにより他の部
    分とは異なる色彩を呈する彩色部を形成するセラミック
    部材の形成方法において、前記彩色部を形成した後、こ
    の彩色部の輪郭部に、この彩色部とは異なる色彩を呈す
    る着色剤を塗布して加熱することを特徴とするセラミッ
    ク部材の形成方法。
JP27418095A 1995-10-23 1995-10-23 セラミック部材とその製造方法 Pending JPH09110563A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9757310B2 (en) 2013-03-12 2017-09-12 3M Innovative Properties Company Fluorescence imparting coloring solution for dental ceramics
US9758435B2 (en) 2011-03-17 2017-09-12 3M Innovative Properties Company Dental ceramic article, process of production and use thereof
US10065895B2 (en) 2007-07-23 2018-09-04 3M Innovative Properties Company Colouring solution for dental ceramic articles and related methods

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