JPH08266292A - 光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents

光学活性アルコールの製造方法

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JPH08266292A
JPH08266292A JP7526895A JP7526895A JPH08266292A JP H08266292 A JPH08266292 A JP H08266292A JP 7526895 A JP7526895 A JP 7526895A JP 7526895 A JP7526895 A JP 7526895A JP H08266292 A JPH08266292 A JP H08266292A
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hydrogen
active alcohol
ketone
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JP7526895A
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Hideo Araki
秀雄 荒木
Wataru Kugimiya
渉 釘宮
Takaaki Matsuo
高明 松尾
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Fuji Oil Co Ltd
Original Assignee
Fuji Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 処理・操作が簡単で、副生物の生成が少な
く、高い化学的及び光学的収率で光学活性アルコールを
製造する方法を提供することにある。 【構成】 ケトンを、水素供与体存在下にて、カルボニ
ル基還元能を有する好熱菌の休止菌体又は粗抽出物を用
いて還元することを特徴とする、光学活性アルコールの
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物を用いたケトン
からの光学活性アルコールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学活性アルコールは、医農薬品や、液
晶の原料として有用であるが、その製造においては、光
学分割、不斉合成等を必要とするため入手が困難であ
り、入手できたとしてもかなり高価である。例えば、光
学活性アルコールを得る方法として、例えば、不斉触媒
として光学活性アミノ酸を用いる方法(特開昭60-16192
7号公報)や、2-ピロリジンメタノール誘導体を用いる
方法(特開平5-97735号公報)等の化学的還元方法が知
られている。しかしながら、これらの方法は、一般的に
触媒が高価であり、化学的収率、光学的収率が低い等の
問題がある。
【0003】また、例えば、乳酸菌のアルコールデヒド
ロゲナーゼを用いる(特開平4-330278号公報)等の微生
物から分離・精製した還元酵素を用いる方法が知られて
いるが、この方法は、反応後の酵素の除去や光学活性ア
ルコールの分離・精製が煩雑である等の問題がある。更
に、酵母やカビを用いて発酵製造する方法(Appl. Micr
obiol. Biotechnol.24, 175〜177, 1986)等の微生物を
用いる方法が知られている。しかしながら、発酵製造方
法は、微生物の栄養源存在下に反応を行うことから、反
応に関係のない副生物が生じて還元反応が阻害される等
の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、処理
・操作が簡単で、副生物の生成が少なく、高い化学的及
び光学的収率で光学活性アルコールを製造する方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決する為に鋭意検討を行った結果、カルボニル基
還元能を有する好熱菌の休止菌体又は粗抽出物を用いる
と、ケトンを還元する際に糖やアルコール等の栄養源を
必要としないことから、還元反応を阻害するような副生
物の生成を極力抑えることができ、高い化学的及び光学
的収率で光学活性アルコールを簡単に得ることができる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、ケトンを、水素供与
体存在下にて、カルボニル基還元能を有する好熱菌の休
止菌体又は粗抽出物を用いて還元することを特徴とす
る、光学活性アルコールの製造方法を提供する。以下、
本発明について、詳述する。本発明で使用する好熱菌
は、50〜60℃で生育できる菌であり、カルボニル基の還
元能を有しアルコールを生成する還元酵素及び電子伝達
体の再生酵素を有する嫌気性の好熱菌であれば特に限定
されない。具体的には、例えば、クロストリジウム(Cl
ostridium )属、サーモアンアエロバクター(Thermoan
aerobacter)属等に属する好熱菌が挙げられる。さらに
具体的には、サーモアンアエロバクター
【0007】サーモヒドロスルフリカス (Thermoanaero
bacter thermohydrosulufuricus) ATCC35045、クロスト
リジウム サーモアセチカム(Clostridium thermoaceti
cum)ATCC 35608 、39289 、クロストリジウム サーモ
オートトロピカム(Clostridium thermoautotrophicum)A
TCC 33924 、クロストリジウム サーモサッカロリティ
カム(Clostridium thermosacchrolyticum )ATCC 7956
等が挙げられる。上記好熱菌の培養は、例えば、水素下
或いは、水素と二酸化炭素混合下で行うのが好ましい。
また、二酸化炭素源として培地に炭酸水素ナトリウム等
の炭酸塩を加えても良い。更に、培養中に、菌体の生育
を著しく阻害しない量のケトンを添加することにより還
元酵素活性を高めることもできる。ケトンを添加する場
合、培地中に0.1 〜10%(V/V) 添加するのが好ましい。
【0008】本発明では、上記好熱菌の休止菌体又は粗
抽出物を使用する。休止菌体とは、増殖を行わない状態
にある培養菌体をいい、上記好熱菌の培養終了後、収穫
して保存したものをいう。保存は、凍結、冷蔵、凍結乾
燥等で行うことができる。かかる休止菌体は、そのまま
か、或いは固定化した形で使用する。固定化担体として
は、一般に用いられているものであれば何れでもよく、
例えば、セルロース、アガロース、デキストラン、κ−
カラギナン、アルギン酸、ゼラチン、酢酸セルロース等
の多糖類;例えば、グルテン等の天然高分子;例えば、
活性炭、ガラス、白土、カオリナイト、アルミナ、シリ
カゲル、ベントナイト、ヒドロキシアパタイト、リン酸
カルシウム等の無機物;ポリアクリルアミド、ポリビニ
ルアルコール、ポリプロピレングリコール、ウレタン等
の合成高分子などが例示される。また、好熱菌の粗抽出
物とは、例えば、pH5〜8、0.1〜0.5M程度の緩衝液に
休止菌体を懸濁させ、得られた懸濁液をフレンチプレ
ス、超音波、ホモジナイザー等の物理的方法、更にはリ
ゾチーム等の酵素的方法を組み合わせて休止菌体を破砕
することにより得られた菌体破砕物をいう。この破砕物
はそのまま使用してもよく、また、更に遠心して上清液
を使用してもよい。
【0009】本発明において、基質として用いられる化
合物はケトンであり、還元されて光学活性アルコールを
生じるものであれば特に限定されない。具体的には、例
えば、2-ブタノン、4-ヒドロキシ-2-ブタノン、2-ペン
タノン、2-ヘキサノン、2-オクタノン等のアルカノン、
3-ケトブタン酸エチル等のケトエステル、アセチルアセ
トン等のジケトン等の好ましくは炭素原子数4〜12の脂
肪族ケトン;例えば、アセトフェノン、プロピオフェノ
ン、フェノキシアセトン、ベンジルアセトン、ベンゾイ
ルアセトン、4-フェニル-2-ブタノン、2-クロロプロピ
オフェノン、2-ブロモアセトフェノン、p-メチル-アセ
トフェノン、p-クロロ-アセトフェノン、p-エトキシ-ア
セトフェノン、トリフルオロアセトフェノン等の芳香族
ケトン;例えば、シクロヘキサノン等の脂環式ケトンが
例示される。
【0010】本発明における還元は、通常、水中、或い
は水と実質的に水に不溶性ないし難溶解性の有機溶媒と
の液体二相系で行われ、基質であるケトンが水に溶解す
る場合は、水又は上記の液体二相系で行うのが好まし
い。水は上記好熱菌の休止菌体又は粗抽出物を分散させ
るものであり、通常、pH4〜9であり、好ましくはpH6
〜8である。また、pHを安定させるために緩衝液を使用
することもできる。さらに、pHを調節するために、酸、
塩基を使用して調節することもできる。
【0011】実質的に水に不溶性ないし難溶解性である
有機溶媒は、水に不溶性ないし難溶解性の基質及び/又
は還元生成物を溶解するためのものであり、水と不溶性
ないし難溶解性である限り特に限定されないが、具体的
には、例えば、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテ
ル等のエーテル類;例えば、ペンタノール、ヘキサノー
ル等の好ましくは炭素原子数4〜12のアルコール類;例
えば、ヘキサン、ヘプタン等の好ましくは炭素原子数5
〜10のアルカン類;ベンゼン;アミン類等が挙げられ
る。基質の濃度は特に限定されない。基質が水に不溶性
ないし難溶性の場合は、その濃度は有機溶媒に対する溶
解性により決定される。基質の有機溶媒中の濃度は、具
体的には、通常、1〜20%(W/V) であり、好ましくは1
〜10%(W/V) である。
【0012】本発明においては、還元は、水素供与体存
在下で行われる。水素供与体は、電子伝達体を再生する
もの、即ち基質に水素を与えて酸化された電子伝達体に
水素を与え、還元するものである。水素供与体として
は、電子伝達体の再生の結果基質の還元反応において有
害な物質を生成することのないものを使用し、好ましく
は、水素、一酸化炭素並びにギ酸及びその塩からなる群
から選ばれる少なくとも1種を用いる。水素供与体とし
て水素及び/又は一酸化炭素を用いる場合には、還元を
行う容器を密閉して水素及び/又は一酸化炭素で置換す
ればよい。また、反応速度を高めるために、水素及び/
又は一酸化炭素の圧力を高めることも可能である。水素
供与体としてギ酸及び/又はその塩を用いる場合には、
それらを還元反応液に添加すればよい。
【0013】また、本発明においては、電子伝達体を添
加して還元を行うことが好ましい。好熱菌は、電子伝達
体を有しているが、外部から電子伝達体を添加すること
により反応性をより高めることができる。ここで、電子
伝達体とは、基質に水素を与えて基質を還元し、それ自
身は酸化されるものである。また、外部から添加する電
子伝達体としては、酸化還元反応において可逆的に酸化
型及び還元型の状態で存在可能な酸化還元化合物であれ
ば、天然に存在するもの、合成されたものの何れのもの
も使用することができ、好ましくは標準酸化還元電位
(pH7)が−100 〜−500mV のものを使用する。具体的に
は、例えば、メチルビオロゲン(標準酸化還元電位:−
440mV )、ベンジルビオロゲン(同−358mV )等のビオ
ロゲン化合物、アントラキノン-2.6- ジスルホン酸-2-
ナトリウム(同−184mV )、ニュートラルレッド(同−
325mV )、フェノサフラニン(同−252mV )等が用いら
れる。この電子伝達体は、そのまま反応系に添加する
か、或いは固定化した形で使用される。固定化担体とし
ては、一般に用いられているものであれば何れであれば
よく、例えば、ポリエチレングリコール等の合成高分
子;例えば、デキストリン等の天然高分子などが例示さ
れる。また、本発明における還元反応の温度は、好熱菌
に含まれる酵素活性が失活しない範囲の温度であれば何
れでもよく特に限定されないが、好ましくは30〜70℃で
行う。
【0014】以下、本発明の一般的な還元方法を例示す
る。まず、反応容器を密閉し、容器内の空気を窒素で置
換した後、水素、一酸化炭素又は窒素で置換する。次
に、該反応容器内に休止菌体を分散した水及び有機溶媒
を注入する。続いて該反応容器に基質、電子伝達体及び
必要に応じてギ酸又はその塩を添加する。尚、前記基質
の添加時期、方法は特に限定されず。反応容器密閉前に
単独で、又は水又は有機溶媒に混合ないし分散させて添
加してもよく、或いは、反応中に逐次添加したり、連続
的に添加することも可能である。また、前記電子伝達体
の添加時期、方法も特に限定されず、水及び/又は有機
溶媒に予め混合してから添加することも可能である。次
いで、反応容器を好ましくは30〜70℃の温度で静置する
か、振とうしたり、攪拌することにより還元反応を行
う。更に、還元生成物が有機相に存在する場合には、該
有機相を連続的に取り出しながら還元反応を行うことに
より、反応速度を高めることもできる。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し、本発明がこれらの例示に限定されるものでは
ない。 〔実施例1〕休止菌体1の調製 内容積 125mlの容器に、表1に示す組成の培地(pH7.2)
100mlを入れて窒素気流下で殺菌した後、該容器内を水
素で置換し、サーモアエロバクター サーモヒドロスル
フリカス(Thermoanaerobacter thermohydrosulufuricu
s) ATCC 35045を接種して、58℃で静置培養を行ない、
種培養液を得た。
【0016】次いで、内容積2Lの容器に、前記と同様
の培地2Lを入れて殺菌した後、窒素ガスで該容器内を
十分置換し、更に、該容器内を二酸化炭素と水素ガスの
混合ガス(CO2 :H2 =1:4)で置換し、前記種培養液
100mlを添加して温度58℃で40時間静置培養を行った。
培養後、その培養液を遠心分離(12000G、20分間)し
た。遠心分離により回収した培養菌体を、0.01Mのリン
酸緩衝液(pH 7.0)を添加して洗浄した後、再度遠心分
離して湿菌体 20.5gを得た。得られた菌体を凍結して保
存した。このようにして、休止菌体1を得た。
【0017】
【表1】
【0018】休止菌体2の調製 内容積2Lの容器に培地2Lを入れて殺菌した後室温に
冷却し、培地ににメチルエチルケトンを1%(V/V) にな
るように添加してから容器内を窒素ガスで置換した以外
は、休止菌体1の調製と同様の方法で休止菌体2を18.6
g 得た。休止菌体3の調製 サーモアエロバクター サーモヒドロスルフリカス(The
rmoanaerobacter thermohydrosulufuricus) ATCC 35045
の代わりに、クロストリジウム サーモオートトロピカ
ム(Clostridium thermoautotrophicum) ATCC 33924を使
用した以外は休止菌体1の調製と同様の方法で休止菌体
3を15.0g 得た。
【0019】休止菌体4の調製 サーモアエロバクター サーモヒドロスルフリカス(The
rmoanaerobacter thermohydrosulufuricus) ATCC 35045
の代わりに、クロストリジウム サーモアセチカム(Clo
stridium thermoaceticum) ATCC 35608 を使用した以外
は休止菌体1の調製と同様の方法で休止菌体4を24.0g
得た。休止菌体5の調製 サーモアエロバクター サーモヒドロスルフリカス(The
rmoanaerobacter thermohydrosulufuricus) ATCC 35045
の代わりに、クロストリジウム サーモサッカロリティ
カム(Clostridium thermosacchrolyticum)ATCC 7956
を使用した以外は休止菌体1の調製と同様の方法で休止
菌体5を18.2g得た。
【0020】〔実施例2〕 (実験No.101〜106)各実験において、休止菌体1を用
いて以下のようにして還元を行った。尚、以下の操作は
すべて窒素雰囲気下において嫌気的に行った。まず、内
容積30mlのバイアル瓶に、基質としてアセトフェノンを
入れて、該バイアル瓶をブチルゴム栓及びアルミシール
で密閉した。尚、前記バイアル瓶に入れたアセトフェノ
ンの量は、後述のイソプロピルエーテル 3.0mlに対して
表2に示す濃度〔%(W/v) 〕となるような量とした。次
に、前記バイアル瓶内を窒素で置換した後、水素ガスで
十分置換した。次に、休止菌体0.4gに、加熱脱気後、窒
素置換した 0.3Mリン酸緩衝液(pH6.7) を添加して3.0m
l の菌体懸濁液を調製し、これを前記バイアル瓶に注入
した。次いで、該バイアル瓶にイソプロピルエーテル
3.0mlを注入し、続いて、電子伝達体としてベンジルビ
オロゲンの0.3M水溶液を20μl注入した。次いで該バイ
アル瓶を振とうしながら45℃で6日間還元反応を行っ
た。反応終了後、有機相に含まれる還元生成物(1-フェ
ニルエタノール)量をガスクロマトグラフィにて測定し
て基質の還元生成物への変換率を求めた。次に、還元生
成物の光学純度とその旋光性を、光学異性体カラム(CH
IRACEL OB-H 、ダイセル化学社製)と、旋光度計(Shod
ex OR-1 、昭和電工社製)を用いて測定した。その結果
を表2に示す。尚、変換率は、以下の式により求めた。 変換率(%)=還元生成物 (μmol)÷最初の基質量 (μ
mol)×100
【0021】
【表2】
【0022】〔実施例3〕 (実験No.201〜205)各実験において、アセトフェノン
の量をイソプロピルエーテルに対して3.6 %〔(W/V) 〕
となるような量とし、0.3Mリン酸緩衝液のpHを表3に示
すpHに調整した以外は実施例2と同様の方法で還元反応
を行った。各実験における変換率を実施例2と同様の方
法で測定した。また、得られた還元生成物(1-フェニル
エタノール)の光学純度及び旋光性を実施例2と同様の
方法で測定した。その結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】〔実施例4〕 (実験No.301)本実験において、アセトフェノンの量を
イソプロピルエーテルに対して3.6 %〔(W/V) 〕となる
ような量とし、休止菌体1の代わりに休止菌体2を使用
し、還元反応を55℃で3日間行った以外は実施例2と同
様の方法で還元反応を行った。変換率を実施例2と同様
の方法で測定した。また、得られた還元生成物(1-フェ
ニルエタノール)の光学純度及び旋光性を実施例2と同
様の方法で測定した。その結果を表4に示す。
【0025】(実験No.302)本実験において、アセトフ
ェノンの量をイソプロピルエーテルに対して3.6 %〔(W
/V) 〕となるような量とし、還元反応を55℃で3日間行
った以外は実施例2と同様の方法で還元反応を行った。
変換率を実施例2と同様の方法で測定した。また、得ら
れた還元生成物(1-フェニルエタノール)の光学純度及
び旋光性を実施例2と同様の方法で測定した。その結果
を表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】〔実施例5〕 (実験No.401〜404)各実験において、基質として表5
に示す基質を使用し、基質の量をイソプロピルエーテル
に対して3.6 %〔(W/V) 〕となるような量とし、還元反
応を55℃で3日間行った以外は実施例2と同様の方法で
還元反応を行った。変換率を実施例2と同様の方法で測
定した。また、得られた還元生成物(表5参照)の光学
純度及び旋光性を実施例2と同様の方法で測定した。実
験No.404については、還元生成物を脱水、乾燥し、3,5-
ジニトロフェニルイソシアネートで誘導化した後実施例
2と同様の方法で光学純度及び旋光性を測定した。その
結果を表5に示す。
【0028】〔実施例6〕 (実験No.501)本実験において、有機相であるイソプロ
ピルエーテルを添加せず、基質として表5に示す基質を
使用し、基質の量を菌体懸濁液3.0ml に対して、3.6 %
〔(W/V) 〕となるような量とし、還元反応を55℃で3日
間行った以外は実施例2と同様の方法で還元反応を行っ
た。反応終了後、菌体懸濁液を遠心分離し、その上澄液
を採取し、ガスクロマトグラフィにて還元生成物(1,3-
ブタンジオール)の量を測定して変換率を求めた。次
に、還元生成物をアセチル化後、その光学純度とその旋
光性を実施例2と同様の方法で測定した。その結果を表
5に示す。
【0029】
【表5】
【0030】〔実施例7〕 (実験No.601)本実験において、休止菌体1の代わりに
休止菌体2を用い、基質の量をイソプロピルエーテルに
対して3.6%〔(W/V) 〕となるような量とした以外は実
施例2と同様の方法で還元反応を行った。変換率を実施
例2と同様の方法で測定した。また、得られた還元生成
物の光学純度及び旋光性を実施例2と同様の方法で測定
した。その結果を表6に示す。
【0031】(実験No.602)本実験において、休止菌体
1の代わりに休止菌体2を用い、基質の量をイソプロピ
ルエーテルに対して3.6%〔(W/V) 〕となるような量と
し、ベンジルビオロゲンを添加しなかった以外は実施例
2と同様の方法で還元反応を行った。変換率を実施例2
と同様の方法で測定した。また、得られた還元生成物の
光学純度及び旋光性を実施例2と同様の方法で測定し
た。その結果を表6に示す。
【0032】(実験No.603)本実験において、休止菌体
1の代わりに休止菌体2を用い、基質の量をイソプロピ
ルエーテルに対して3.6%〔(W/V) 〕となるような量と
し、水素の代わりに一酸化炭素を用いた以外は実施例2
と同様の方法で還元反応を行った。変換率を実施例2と
同様の方法で測定した。また、得られた還元生成物の光
学純度及び旋光性を実施例2と同様の方法で測定した。
その結果を表6に示す。
【0033】(実験No.604)本実験において、休止菌体
1の代わりに休止菌体2を用い、基質の量をイソプロピ
ルエーテルに対して3.6%〔(W/V) 〕となるような量と
し、バイアル瓶内の水素置換を行わずに菌体懸濁液をバ
イアル瓶に注入する前に2Mギ酸ナトリウム水溶液 1.0
mlを注入した以外は実施例2と同様の方法で還元反応を
行った。変換率を実施例2と同様の方法で測定した。ま
た、得られた還元生成物の光学純度及び旋光性を実施例
2と同様の方法で測定した。その結果を表6に示す。
【0034】
【表6】
【0035】〔実施例8〕 (実験No.701〜703)各実験において、休止菌体1の代
わりに表7に示す休止菌体を使用し、基質の量をイソプ
ロピルエーテルに対して1.8 %〔(W/V) 〕となるような
量とし、還元反応を55℃で2日間行った以外は実施例2
と同様の方法で還元反応を行った。変換率を実施例2と
同様の方法で測定した。また、得られた還元生成物の光
学純度及び旋光性を実施例2と同様の方法で測定した。
その結果を表7に示す。
【0036】
【表7】
【0037】
【発明の効果】本発明の方法は、化学的な方法により還
元を行う場合と異なり、高価な不斉触媒や特別な装置を
必要とせず、容易にケトンを還元して光学活性アルコー
ルを製造することができるという利点がある。しかも、
得られる光学活性アルコールの化学的及び光学的収率が
高いという利点がある。更に、外部から電子伝達体を添
加して還元を行うと、より反応性を高めることができ
る。
【0038】また、本発明の方法においては、菌体中の
還元酵素を精製して用いる必要はなく、菌体の状態で使
用できるので、精製酵素を使用する場合に比べ、煩雑な
分離精製を必要としない。更に、本発明は、好熱菌の休
止菌体又はその粗抽出物を用いることから栄養源となる
糖やアルコールを必要とせず、電子伝達体の再生の結果
還元反応を阻害するような物質が生ずることのない水素
供与体を使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:145) (C12P 7/22 C12R 1:01) (C12P 7/22 C12R 1:145)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケトンを、水素供与体存在下にて、カル
    ボニル基還元能を有する好熱菌の休止菌体又は粗抽出物
    を用いて還元することを特徴とする、光学活性アルコー
    ルの製造方法。
  2. 【請求項2】 水素供与体が、水素、一酸化炭素並びに
    ギ酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種
    である、請求項1に記載の光学活性アルコールの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 電子伝達体を添加して還元を行う、請求
    項1又は2に記載の光学活性アルコールの製造方法。
  4. 【請求項4】 電子伝達体が、標準酸化還元電位−100
    〜−500mV の化合物である、請求項3に記載の光学活性
    アルコールの製造方法。
  5. 【請求項5】 好熱菌がクロストリジウム(Clostridiu
    m) 属及びサーモアンアエロバクター(Thermoanaerobact
    er)属からなる群から選ばれる、請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の光学活性アルコールの製造方法。
JP7526895A 1995-03-31 1995-03-31 光学活性アルコールの製造方法 Pending JPH08266292A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000037666A1 (fr) * 1998-12-18 2000-06-29 Kaneka Corporation Procede de production de derive (r)-2-hydroxy-1-phenoxypropane
JP2009508499A (ja) * 2005-09-23 2009-03-05 アイイーピー ゲーエムベーハー 酵素を用いたケトン化合物を光学異性体選択的に還元する方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000037666A1 (fr) * 1998-12-18 2000-06-29 Kaneka Corporation Procede de production de derive (r)-2-hydroxy-1-phenoxypropane
JP2009508499A (ja) * 2005-09-23 2009-03-05 アイイーピー ゲーエムベーハー 酵素を用いたケトン化合物を光学異性体選択的に還元する方法

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