JPH08238099A - 光学活性スルホキシド化合物の製造方法 - Google Patents
光学活性スルホキシド化合物の製造方法Info
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- JPH08238099A JPH08238099A JP4459895A JP4459895A JPH08238099A JP H08238099 A JPH08238099 A JP H08238099A JP 4459895 A JP4459895 A JP 4459895A JP 4459895 A JP4459895 A JP 4459895A JP H08238099 A JPH08238099 A JP H08238099A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】クロストリジウム(Clostridium )属、サーモ
アンアエロバクター属等に属する還元酵素を有する微生
物またはその抽出物を、電子伝達体の存在下、ラセミ体
のスルホキシド化合物を還元処理して、光学活性スルホ
キシド化合物を製造する。 【効果】還元酵素を精製することなく、光学活性スルホ
キシド化合物を高光学純度、高収率で、簡便に製造する
ことができる。また電子伝達体の再生を、水素、一酸化
炭素、ギ酸を使用して行うことにより、生成する副産物
は、水や二酸化炭素であるので、還元反応を阻害しな
い。
アンアエロバクター属等に属する還元酵素を有する微生
物またはその抽出物を、電子伝達体の存在下、ラセミ体
のスルホキシド化合物を還元処理して、光学活性スルホ
キシド化合物を製造する。 【効果】還元酵素を精製することなく、光学活性スルホ
キシド化合物を高光学純度、高収率で、簡便に製造する
ことができる。また電子伝達体の再生を、水素、一酸化
炭素、ギ酸を使用して行うことにより、生成する副産物
は、水や二酸化炭素であるので、還元反応を阻害しな
い。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、微生物またはその抽
出物を用いて、ラセミ体のスルホキシド化合物から、光
学活性なスルホキシド化合物を製造する方法に関する。
出物を用いて、ラセミ体のスルホキシド化合物から、光
学活性なスルホキシド化合物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学活性なスルホキシド化合物は、医農
薬品、液晶等の原料として有用であるがその製造に光学
分割、不斉合成等を必要とするため製造が困難であり、
入手できるものも高価である。
薬品、液晶等の原料として有用であるがその製造に光学
分割、不斉合成等を必要とするため製造が困難であり、
入手できるものも高価である。
【0003】また、還元反応で光学活性なスルホキシド
化合物を得る方法は、精製DMSO(ジメチルスルホキシ
ド)還元酵素を用いる方法(Biosci. Biotech. Bioche
m., 58(3),596〜597,1994) が知られている。しかしな
がら、この方法では、酵素の分離精製が煩雑であり、チ
オ硫酸ナトリウムを多量に使用する(コストが高くまた
塩が系中に残り繰り返し使用しがたい)為に到底簡便な
方法とは言えない。
化合物を得る方法は、精製DMSO(ジメチルスルホキシ
ド)還元酵素を用いる方法(Biosci. Biotech. Bioche
m., 58(3),596〜597,1994) が知られている。しかしな
がら、この方法では、酵素の分離精製が煩雑であり、チ
オ硫酸ナトリウムを多量に使用する(コストが高くまた
塩が系中に残り繰り返し使用しがたい)為に到底簡便な
方法とは言えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、上
記の問題点を解決しようとするもので、光学活性スルホ
キシド化合物を高光学純度、高収率で製造する方法を提
供するものである。
記の問題点を解決しようとするもので、光学活性スルホ
キシド化合物を高光学純度、高収率で製造する方法を提
供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決する為に鋭意検討を行った結果、微生物または
その抽出物を用いて還元を行うことにより、光学活性ス
ルホキシド化合物を高光学純度、高収率で得ることがで
き、還元酵素を精製すること必要なく、又、還元剤とし
て、チオ硫酸ナトリウムを必要とすることなく、簡便に
光学活性スルホキシドを製造することができることを見
出し、この発明を完成するに至った。
題を解決する為に鋭意検討を行った結果、微生物または
その抽出物を用いて還元を行うことにより、光学活性ス
ルホキシド化合物を高光学純度、高収率で得ることがで
き、還元酵素を精製すること必要なく、又、還元剤とし
て、チオ硫酸ナトリウムを必要とすることなく、簡便に
光学活性スルホキシドを製造することができることを見
出し、この発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、この発明は、還元酵素を有する
微生物またはその抽出物を、電子伝達体の存在下、ラセ
ミ体のスルホキシド化合物に作用させることを特徴とす
る光学活性スルホキシド化合物の製造方法である。
微生物またはその抽出物を、電子伝達体の存在下、ラセ
ミ体のスルホキシド化合物に作用させることを特徴とす
る光学活性スルホキシド化合物の製造方法である。
【0007】以下、この発明について、詳述する。この
発明で使用する微生物は、ラセミ体のスルホキシド化合
物に作用させるに、ラセミ体の一方の光学異性体のみを
選択的に還元させるもので、結果として光学活性なスル
ホキシド化合物を得ることができる。
発明で使用する微生物は、ラセミ体のスルホキシド化合
物に作用させるに、ラセミ体の一方の光学異性体のみを
選択的に還元させるもので、結果として光学活性なスル
ホキシド化合物を得ることができる。
【0008】この微生物またはその抽出物はスルフィニ
ル基の還元能を有し、スルフィドを生成する還元酵素
(DMSOレダクターゼ等)、及び前記の電子伝達体の
再生酵素(ヒドロゲナーゼ、一酸化炭素脱水素酵素、ギ
酸脱水素酵素等)を有する微生物であれば細菌類、酵
母、放線菌、カビ類等のいずれの由来でもよい。
ル基の還元能を有し、スルフィドを生成する還元酵素
(DMSOレダクターゼ等)、及び前記の電子伝達体の
再生酵素(ヒドロゲナーゼ、一酸化炭素脱水素酵素、ギ
酸脱水素酵素等)を有する微生物であれば細菌類、酵
母、放線菌、カビ類等のいずれの由来でもよい。
【0009】具体的には、クロストリジウム(Clostrid
ium )属、サーモアンアエロバクター(Thermoanaeroba
cter)属、デスルホビブリオ(Desulfovibrio) 属、アセ
トバクテリウム(Acetobacterium)属、プロテウス(Prote
us) 属、エシェリヒア属(Escherichia) 、カンジダ(Can
dida) 属、ジオトリカム(Geotricum) 属、シュードモナ
ス(Psudomonas)属、ロドトルラ (Rhodotorula)、バチル
ス(Bacillus)属、アルカリゲネス(Alcarigenes) 属等に
属する微生物が好適である。より具体的には、サーモア
ンアエロバクター サーモヒドロスルフリカス(Thermoa
naerobacter thermohydrosulufuricus) ATCC 35045、ク
ロストリジウム サーモアセチカム(Clostridium therm
oaceticum) ATCC 35608 、同39289 、クロストリジウム
サーモオートトロピカム(Clostridium thermoautotro
phicum) ATCC 33924、クロストリジウム サーモサッカ
ロリティカム(Clostridium thermosacchrolyticum ) A
TCC 7956等が例示される。
ium )属、サーモアンアエロバクター(Thermoanaeroba
cter)属、デスルホビブリオ(Desulfovibrio) 属、アセ
トバクテリウム(Acetobacterium)属、プロテウス(Prote
us) 属、エシェリヒア属(Escherichia) 、カンジダ(Can
dida) 属、ジオトリカム(Geotricum) 属、シュードモナ
ス(Psudomonas)属、ロドトルラ (Rhodotorula)、バチル
ス(Bacillus)属、アルカリゲネス(Alcarigenes) 属等に
属する微生物が好適である。より具体的には、サーモア
ンアエロバクター サーモヒドロスルフリカス(Thermoa
naerobacter thermohydrosulufuricus) ATCC 35045、ク
ロストリジウム サーモアセチカム(Clostridium therm
oaceticum) ATCC 35608 、同39289 、クロストリジウム
サーモオートトロピカム(Clostridium thermoautotro
phicum) ATCC 33924、クロストリジウム サーモサッカ
ロリティカム(Clostridium thermosacchrolyticum ) A
TCC 7956等が例示される。
【0010】この発明では、上記微生物をそのまま、又
は、担体に固定化した形で使用することができる。また
微生物は粗抽出物であってもよい。更に、微生物は、休
止菌体として好適に用いることができる。休止菌体と
は、増殖を行わない状態にある培養菌体をいい、上記微
生物の培養終了後、収穫し、凍結、冷蔵、凍結乾燥等で
保存した後のものを使用することができる。
は、担体に固定化した形で使用することができる。また
微生物は粗抽出物であってもよい。更に、微生物は、休
止菌体として好適に用いることができる。休止菌体と
は、増殖を行わない状態にある培養菌体をいい、上記微
生物の培養終了後、収穫し、凍結、冷蔵、凍結乾燥等で
保存した後のものを使用することができる。
【0011】固定化担体としては、一般に用いられてい
るものであれば何れでもよく、セルロース,アガロー
ス,デキストラン,κ−カラギナン,アルギン酸,ゼラ
チン,酢酸セルロース等の多糖類;グルテン等の天然高
分子;活性炭,ガラス,白土,カオリナイト,アルミ
ナ,シリカゲル,ベントナイト,ヒドロキシアパタイ
ト,リン酸カルシウム等の無機物;ポリアクリルアミ
ド.ポリビニルアルコール.ポリプロピレングリコー
ル.ウレタン等の合成高分子などが例示される。
るものであれば何れでもよく、セルロース,アガロー
ス,デキストラン,κ−カラギナン,アルギン酸,ゼラ
チン,酢酸セルロース等の多糖類;グルテン等の天然高
分子;活性炭,ガラス,白土,カオリナイト,アルミ
ナ,シリカゲル,ベントナイト,ヒドロキシアパタイ
ト,リン酸カルシウム等の無機物;ポリアクリルアミ
ド.ポリビニルアルコール.ポリプロピレングリコー
ル.ウレタン等の合成高分子などが例示される。
【0012】かかる微生物は、例えば、嫌気性菌の場合
は、水素下、或いは、水素と二酸化炭素混合下で培養し
て得ることができる。また、炭酸水素ナトリウム等の炭
酸塩を加えた培養であっても良い。また、還元酵素の活
性を高める為に、培養中に、菌体の生育を著しく阻害し
ない量のスルホキシド化合物を0.1 〜10%(V/V) 程度添
加して培養しても良い。
は、水素下、或いは、水素と二酸化炭素混合下で培養し
て得ることができる。また、炭酸水素ナトリウム等の炭
酸塩を加えた培養であっても良い。また、還元酵素の活
性を高める為に、培養中に、菌体の生育を著しく阻害し
ない量のスルホキシド化合物を0.1 〜10%(V/V) 程度添
加して培養しても良い。
【0013】微生物またはその抽出物を基質に作用させ
る処理は、水性溶媒単一で行ってもよいが、多くの場
合、基質と還元反応物とでは水への溶解性が異なるの
で、水性溶媒と、水不溶性ないし水難溶性の有機溶媒と
の液体二相系で行うと、目的物の分離が容易であり、か
つ酵素活性を阻害しにくいことが多い。
る処理は、水性溶媒単一で行ってもよいが、多くの場
合、基質と還元反応物とでは水への溶解性が異なるの
で、水性溶媒と、水不溶性ないし水難溶性の有機溶媒と
の液体二相系で行うと、目的物の分離が容易であり、か
つ酵素活性を阻害しにくいことが多い。
【0014】水性溶媒は、上記の微生物をも分散させ、
通常pH4〜9、好ましくはpH5〜8である。また、水性
溶媒のpHを安定させるために緩衝液を使用することがで
き、酸、アルカリを使用してpHを調節してもよいのは勿
論である。
通常pH4〜9、好ましくはpH5〜8である。また、水性
溶媒のpHを安定させるために緩衝液を使用することがで
き、酸、アルカリを使用してpHを調節してもよいのは勿
論である。
【0015】また水不溶性ないし水難溶性の有機溶媒
は、非水溶性ないし水難性の基質及び還元生成物を溶解
させるのに有用である。該溶媒は、ジエチルエーテル,
イソプロピルエーテル等のエーテル類;ペンタノール,
ヘキサノール等好ましくは炭素原子数4〜12のアルコー
ル類;ヘキサン、ヘプタン等の好ましくは炭素原子数5
〜10のアルカン類;ベンゼン;アミン類等が例示され
る。
は、非水溶性ないし水難性の基質及び還元生成物を溶解
させるのに有用である。該溶媒は、ジエチルエーテル,
イソプロピルエーテル等のエーテル類;ペンタノール,
ヘキサノール等好ましくは炭素原子数4〜12のアルコー
ル類;ヘキサン、ヘプタン等の好ましくは炭素原子数5
〜10のアルカン類;ベンゼン;アミン類等が例示され
る。
【0016】この発明において使用する電子伝達体は、
天然の補酵素の如く作用するもので、可逆的に酸化型及
び還元型の状態で存在可能な酸化還元化合物であれば何
れのものでも使用することができる。電子伝達体は好ま
しくは標準酸化還元電位 (pH7)が−100 mV〜−700 mVの
ものを使用する。具体的には、例えば、メチルビオロゲ
ン(標準酸化還元電位:−440 mV) 、ベンジルビオロゲ
ン(同:−358 mV)等のビオロゲン化合物、アントラキ
ノン-2.6- ジスルホン酸酸-2- ナトリウム(同:−184
mV)、ニュートラルレッド(同:−325 mV)、フェノサ
フラニン((同:−252 mV)等が用いられる。この電子
伝達体は、そのまま反応系に添加するか、或いは固定化
した形で使用される。固定化担体としては、一般に用い
られているものであれば何れであればよく、ポリエチレ
ングリコール等の合成高分子;デキストリン等の天然高
分子などが例示される。
天然の補酵素の如く作用するもので、可逆的に酸化型及
び還元型の状態で存在可能な酸化還元化合物であれば何
れのものでも使用することができる。電子伝達体は好ま
しくは標準酸化還元電位 (pH7)が−100 mV〜−700 mVの
ものを使用する。具体的には、例えば、メチルビオロゲ
ン(標準酸化還元電位:−440 mV) 、ベンジルビオロゲ
ン(同:−358 mV)等のビオロゲン化合物、アントラキ
ノン-2.6- ジスルホン酸酸-2- ナトリウム(同:−184
mV)、ニュートラルレッド(同:−325 mV)、フェノサ
フラニン((同:−252 mV)等が用いられる。この電子
伝達体は、そのまま反応系に添加するか、或いは固定化
した形で使用される。固定化担体としては、一般に用い
られているものであれば何れであればよく、ポリエチレ
ングリコール等の合成高分子;デキストリン等の天然高
分子などが例示される。
【0017】また、この発明の、還元処理は、水素含有
及び/もしくは一酸化炭素含有雰囲気中、並びに/又
は、ギ酸及び/もしくはギ酸塩を溶媒に添加した系で行
われるのがよい。また、反応速度を高めるために、水素
又は一酸化炭素の圧力を高めることも可能である。かか
る条件下で還元を行うことにより、前記電子伝達体を酸
化型から還元型に再生できる。
及び/もしくは一酸化炭素含有雰囲気中、並びに/又
は、ギ酸及び/もしくはギ酸塩を溶媒に添加した系で行
われるのがよい。また、反応速度を高めるために、水素
又は一酸化炭素の圧力を高めることも可能である。かか
る条件下で還元を行うことにより、前記電子伝達体を酸
化型から還元型に再生できる。
【0018】この発明の基質は、ラセミ体のスルホキシ
ド化合物であり、メチルフェニスルホキシド,メチル−
p−トルイルスルホキシド,p−メチル−エチルフェニ
ルスルホキシド等の芳香族スルホキシド化合物;メチル
ブチルスルホキシド等の脂肪族スルホキシド化合物等が
例示される。
ド化合物であり、メチルフェニスルホキシド,メチル−
p−トルイルスルホキシド,p−メチル−エチルフェニ
ルスルホキシド等の芳香族スルホキシド化合物;メチル
ブチルスルホキシド等の脂肪族スルホキシド化合物等が
例示される。
【0019】上記基質の濃度は特に限定されない。これ
らの化合物が水に不溶性ないし難溶性の場合は、その濃
度は有機溶媒に対する溶解性により決定される。基質の
有機溶媒中の濃度は、具体的には、通常、1〜20%(W/
V) であり、好ましくは1〜10%(W/V) である。
らの化合物が水に不溶性ないし難溶性の場合は、その濃
度は有機溶媒に対する溶解性により決定される。基質の
有機溶媒中の濃度は、具体的には、通常、1〜20%(W/
V) であり、好ましくは1〜10%(W/V) である。
【0020】この発明の反応温度は、微生物中の酵素活
性が失活しない範囲の温度であれば、何れでもよく特に
限定されないが、好ましくは30〜70℃で行うのが良い。
性が失活しない範囲の温度であれば、何れでもよく特に
限定されないが、好ましくは30〜70℃で行うのが良い。
【0021】また還元処理の操作方法は特に限定されな
いが、例えば次の操作が例示される。まず、密閉反応容
器内の空気を一旦窒素で置換した後、水素又は一酸化炭
素又は窒素で置換する。次に、該容器内に微生物または
その抽出物を分散した水性溶媒及び要すれば有機溶媒を
注入し、さらに基質及び電子伝達体を添加することがで
きる。或いは、反応容器密閉前に基質を単独で、又は前
記水性溶媒もしくは有機溶媒に混合ないし分散させて添
加してもよく、或いは、反応中に逐次添加したり、連続
的に添加することも可能である。また、前記電子伝達体
も、前記水性溶媒及び/又は有機溶媒に予め混合してか
ら添加してもよい。
いが、例えば次の操作が例示される。まず、密閉反応容
器内の空気を一旦窒素で置換した後、水素又は一酸化炭
素又は窒素で置換する。次に、該容器内に微生物または
その抽出物を分散した水性溶媒及び要すれば有機溶媒を
注入し、さらに基質及び電子伝達体を添加することがで
きる。或いは、反応容器密閉前に基質を単独で、又は前
記水性溶媒もしくは有機溶媒に混合ないし分散させて添
加してもよく、或いは、反応中に逐次添加したり、連続
的に添加することも可能である。また、前記電子伝達体
も、前記水性溶媒及び/又は有機溶媒に予め混合してか
ら添加してもよい。
【0022】或いは、下部から気体のバブリング導入を
可能とした固定化カラムに、媒体とともに基質を連続的
に供給し、水性媒体中に還元されずに残存するスルホキ
シドと、還元されて有機溶媒に移行したスルフィドとを
連続的に取り出す操作であってもよい。またスルフィド
に還元された副反応生成物は回収し、化学的方法により
ラセミ体のスルホキシドに酸化させ、循環再使用するこ
とができる。
可能とした固定化カラムに、媒体とともに基質を連続的
に供給し、水性媒体中に還元されずに残存するスルホキ
シドと、還元されて有機溶媒に移行したスルフィドとを
連続的に取り出す操作であってもよい。またスルフィド
に還元された副反応生成物は回収し、化学的方法により
ラセミ体のスルホキシドに酸化させ、循環再使用するこ
とができる。
【0023】
【実施例】以下、この発明を実施例により説明する。但
し、この発明がこれらの例示に限定されるものではな
い。
し、この発明がこれらの例示に限定されるものではな
い。
【0024】〔実施例1〕内容積 125 ml の容器に、表
1に示す組成の培地(pH7.2) 100mlを入れて窒素気流下
で殺菌した後、該容器内を水素で置換し、クロストリジ
ウム サーモアセチカム(Clostridium thermoaceticum)
ATCC 35608 を接種して、58℃で静置培養を行ない、
種培養液を得た。
1に示す組成の培地(pH7.2) 100mlを入れて窒素気流下
で殺菌した後、該容器内を水素で置換し、クロストリジ
ウム サーモアセチカム(Clostridium thermoaceticum)
ATCC 35608 を接種して、58℃で静置培養を行ない、
種培養液を得た。
【0025】次いで、内容積2Lの容器に、前記と同様
の培地1.8 Lを入れて窒素気流下で殺菌した後、該容器
内を二酸化炭素と水素ガスの混合ガス(CO2 :H2 =1:
4)で置換し、前記種培養液 100mlを添加して温度58℃
で40時間静置培養を行った。培養後、その培養液を遠心
分離(12000G、20分間)した。遠心分離により回収した
培養菌体を、0.01Mのリン酸緩衝液(pH 7.0)を添加し
て洗浄した後、再度遠心分離して湿菌体 24.0gを得た。
得られた菌体を凍結して保存した。このようにして、休
止菌体1が得られた。
の培地1.8 Lを入れて窒素気流下で殺菌した後、該容器
内を二酸化炭素と水素ガスの混合ガス(CO2 :H2 =1:
4)で置換し、前記種培養液 100mlを添加して温度58℃
で40時間静置培養を行った。培養後、その培養液を遠心
分離(12000G、20分間)した。遠心分離により回収した
培養菌体を、0.01Mのリン酸緩衝液(pH 7.0)を添加し
て洗浄した後、再度遠心分離して湿菌体 24.0gを得た。
得られた菌体を凍結して保存した。このようにして、休
止菌体1が得られた。
【0026】
【表1】
【0027】〔実施例2〕休止菌体2の調製 クロストリジウム サーモアセチカム(Clostridium the
rmoaceticum) ATCC 35608 の代わりに、クロストリジウ
ム サーモオートトロピカム(Clostridium thermoautot
rophicum) ATCC 33924を使用した以外は休止菌体1の調
製と同様の方法で湿菌体2を15.0g 得た。
rmoaceticum) ATCC 35608 の代わりに、クロストリジウ
ム サーモオートトロピカム(Clostridium thermoautot
rophicum) ATCC 33924を使用した以外は休止菌体1の調
製と同様の方法で湿菌体2を15.0g 得た。
【0028】休止菌体3の調製 クロストリジウム サーモアセチカム(Clostridium the
rmoaceticum) ATCC 35608 の代わりに、サーモアンアエ
ロバクター サーモヒドロスルフリカス(Thermoanaerob
acter thermohydrosulufuricus) ATCC 35045を使用した
以外は休止菌体1の調製と同様の方法で湿菌体3を24.0
g得た。
rmoaceticum) ATCC 35608 の代わりに、サーモアンアエ
ロバクター サーモヒドロスルフリカス(Thermoanaerob
acter thermohydrosulufuricus) ATCC 35045を使用した
以外は休止菌体1の調製と同様の方法で湿菌体3を24.0
g得た。
【0029】休止菌体4の調製 クロストリジウム サーモアセチカム(Clostridium the
rmoaceticum) ATCC 35608 の代わりに、クロストリジウ
ム サーモサッカロリティカム(Clostridium thermosac
chrolyticum) ATCC 7956を使用した以外は休止菌体1の
調製と同様の方法で湿菌体3を18.2g得た。
rmoaceticum) ATCC 35608 の代わりに、クロストリジウ
ム サーモサッカロリティカム(Clostridium thermosac
chrolyticum) ATCC 7956を使用した以外は休止菌体1の
調製と同様の方法で湿菌体3を18.2g得た。
【0030】〔実施例3〕 (実験No.101〜104 ) 各実験において、休止菌体1を用いて以下のようにして
還元を行った。尚、以下の操作はすべて窒素雰囲気下に
おいて嫌気的に行った。まず、内容積30mlのバイアル瓶
に基質として、メチルフェニルスルホキシドを入れて、
該バイアル瓶をブチルゴム栓及びアルミシールで密閉し
た。尚、前記バイアル瓶に入れたメチルフェニルスルホ
キシドの量は、後述の菌体懸濁液 3.0mlに対して表2に
示す濃度〔%(W/V) 〕となるような量とした。次に、前
記バイアル瓶内を窒素で置換した後、水素ガス又は、一
酸化炭素で十分置換した。次に、休止菌体0.4gに、加熱
脱気後、窒素置換した 0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5) を添
加して3.0ml の菌体懸濁液を調製し、これを前記バイア
ル瓶に注入した。次いで、該バイアル瓶にイソプロピル
エーテル 3.0mlを注入し、続いて、電子伝達体としてベ
ンジルビオロゲンの0.3M水溶液を20μl 注入した。次い
で該バイアル瓶を振とうしながら55℃で8時間反応を行
った。反応終了後、水相に含まれる還元されずに残った
基質(メチルフェニルスルホキシド)をガスクロマトグ
ラフィにて測定した。次に、前記の残存している基質を
光学異性体分離カラム (CHIRACEL OB-H ダイセル化学社
製) で測定し、光学純度を求めた。表2にこれらの結果
を示す( 表中 ee はenantio excess、残存率は、以下の
式より求めた) 。 残存率(%)=反応終了後の基質量 (μmol)÷反応前の
基質量 (μmol)×100
還元を行った。尚、以下の操作はすべて窒素雰囲気下に
おいて嫌気的に行った。まず、内容積30mlのバイアル瓶
に基質として、メチルフェニルスルホキシドを入れて、
該バイアル瓶をブチルゴム栓及びアルミシールで密閉し
た。尚、前記バイアル瓶に入れたメチルフェニルスルホ
キシドの量は、後述の菌体懸濁液 3.0mlに対して表2に
示す濃度〔%(W/V) 〕となるような量とした。次に、前
記バイアル瓶内を窒素で置換した後、水素ガス又は、一
酸化炭素で十分置換した。次に、休止菌体0.4gに、加熱
脱気後、窒素置換した 0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5) を添
加して3.0ml の菌体懸濁液を調製し、これを前記バイア
ル瓶に注入した。次いで、該バイアル瓶にイソプロピル
エーテル 3.0mlを注入し、続いて、電子伝達体としてベ
ンジルビオロゲンの0.3M水溶液を20μl 注入した。次い
で該バイアル瓶を振とうしながら55℃で8時間反応を行
った。反応終了後、水相に含まれる還元されずに残った
基質(メチルフェニルスルホキシド)をガスクロマトグ
ラフィにて測定した。次に、前記の残存している基質を
光学異性体分離カラム (CHIRACEL OB-H ダイセル化学社
製) で測定し、光学純度を求めた。表2にこれらの結果
を示す( 表中 ee はenantio excess、残存率は、以下の
式より求めた) 。 残存率(%)=反応終了後の基質量 (μmol)÷反応前の
基質量 (μmol)×100
【0031】
【表2】
【0032】〔実施例4〕 (実験No.201〜203 ) 各実験において、メチルフェニルスルホキシド濃度を菌
体懸濁液に対して4.0%〔(W/V) 〕になるような量と
し、表3に示す休止菌体を使用し、6時間反応した以外
は実施例3と同様の方法で還元反応を行い、反応終了
後、同様の方法で測定した。その結果を表3に示す。
体懸濁液に対して4.0%〔(W/V) 〕になるような量と
し、表3に示す休止菌体を使用し、6時間反応した以外
は実施例3と同様の方法で還元反応を行い、反応終了
後、同様の方法で測定した。その結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】〔実施例5〕 (実験No.301〜303 ) 各実験において、スルホキシド濃度を菌体懸濁液に対し
て1.0 %〔(W/V) 〕になるような量とし、表4に示す各
基質で、55℃、8時間反応した以外は実施例3と同様の
方法で還元反応を行い、反応終了後、同様の方法で測定
した。その結果を表4に示す。
て1.0 %〔(W/V) 〕になるような量とし、表4に示す各
基質で、55℃、8時間反応した以外は実施例3と同様の
方法で還元反応を行い、反応終了後、同様の方法で測定
した。その結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】〔実施例6〕 (実験No.401〜403 ) 各実験において、メチルフェニルスルホキシド濃度を菌
体懸濁液に対して4.0%〔(W/V) 〕になるような量と
し、表5に示す各温度、22時間反応した以外は実施例3
と同様の方法で還元処理を行い、反応終了後、同様の方
法で測定した。その結果を表5に示す。
体懸濁液に対して4.0%〔(W/V) 〕になるような量と
し、表5に示す各温度、22時間反応した以外は実施例3
と同様の方法で還元処理を行い、反応終了後、同様の方
法で測定した。その結果を表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】〔実施例7〕 (実験No.501〜503 ) 各実験において、メチルフェニルスルホキシド濃度を菌
体懸濁液に対して4.0%〔(W/V) 〕になるような量と
し、表6に示す各ガスで、窒素ガスで置換後、十分に置
換した。また、実験No.503においては、更に、2Mのギ酸
ナトリウム水溶液を1.0ml 加えた。反応は55℃、22時間
反応した。それ以外は実施例3と同様の方法で還元反応
を行い、反応終了後、同様の方法で測定した。その結果
を表6に示す。
体懸濁液に対して4.0%〔(W/V) 〕になるような量と
し、表6に示す各ガスで、窒素ガスで置換後、十分に置
換した。また、実験No.503においては、更に、2Mのギ酸
ナトリウム水溶液を1.0ml 加えた。反応は55℃、22時間
反応した。それ以外は実施例3と同様の方法で還元反応
を行い、反応終了後、同様の方法で測定した。その結果
を表6に示す。
【0039】
【表6】
【0040】
【発明の効果】この発明は、微生物を用いて還元を行う
点が、酵素を用いた還元と異なり、煩雑な酵素の分離精
製を必要とせず、簡便に還元を行うことができ、得られ
る光学活性スルホキシドの光学純度が高い等の利点があ
る。
点が、酵素を用いた還元と異なり、煩雑な酵素の分離精
製を必要とせず、簡便に還元を行うことができ、得られ
る光学活性スルホキシドの光学純度が高い等の利点があ
る。
【0041】また、還元されて得られたスルフィドは、
回収し、酸化することで再度基質として使用できる。更
に、有機相と水相の2相系で反応させる場合には、適当
な有機溶媒を選択することでスルフィドは有機相に移行
し容易に回収できる。また同時に、この還元生成物によ
る反応阻害を防ぐことができる。
回収し、酸化することで再度基質として使用できる。更
に、有機相と水相の2相系で反応させる場合には、適当
な有機溶媒を選択することでスルフィドは有機相に移行
し容易に回収できる。また同時に、この還元生成物によ
る反応阻害を防ぐことができる。
【0042】更に、還元反応に必要な電子伝達体の再生
は、水素、一酸化炭素、ギ酸を使用して行う為に、副産
物は、水や二酸化炭素であり、還元反応を阻害すること
なく反応を行うことができる。
は、水素、一酸化炭素、ギ酸を使用して行う為に、副産
物は、水や二酸化炭素であり、還元反応を阻害すること
なく反応を行うことができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 還元酵素を有する微生物またはその抽出
物を、電子伝達体の存在下、ラセミ体のスルホキシド化
合物に作用させることを特徴とする光学活性スルホキシ
ド化合物の製造方法。 - 【請求項2】 電子伝達体が、標準酸化還元電位−100
mV〜−700 mVの化合物である請求項1記載の光学活性ス
ルホキシド化合物の製造方法。 - 【請求項3】 電子伝達体を、水素含有もしくは一酸化
炭素含有雰囲気中、並びに/又は、ギ酸もしくはその塩
類を用いて再生する請求項1記載の光学活性スルホキシ
ド化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4459895A JPH08238099A (ja) | 1995-03-03 | 1995-03-03 | 光学活性スルホキシド化合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4459895A JPH08238099A (ja) | 1995-03-03 | 1995-03-03 | 光学活性スルホキシド化合物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08238099A true JPH08238099A (ja) | 1996-09-17 |
Family
ID=12695900
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4459895A Pending JPH08238099A (ja) | 1995-03-03 | 1995-03-03 | 光学活性スルホキシド化合物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08238099A (ja) |
-
1995
- 1995-03-03 JP JP4459895A patent/JPH08238099A/ja active Pending
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