JP3233878B2 - L−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents

L−アスパラギン酸の製造方法

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JP3233878B2
JP3233878B2 JP21494797A JP21494797A JP3233878B2 JP 3233878 B2 JP3233878 B2 JP 3233878B2 JP 21494797 A JP21494797 A JP 21494797A JP 21494797 A JP21494797 A JP 21494797A JP 3233878 B2 JP3233878 B2 JP 3233878B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素によりマレイ
ン酸をフマル酸に変換する方法、並びにマレイン酸とア
ンモニアとからL−アスパラギン酸を生産する方法にお
いて、基質媒体中の酸素濃度を低下させることにより、
反応に用いる酵素の寿命を延ばすことを特徴とするL−
アスパラギン酸の製造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、マレイン酸をフマル酸に転換する
微生物として、シュードモナス属、バチルス属、アエロ
バクター属、ブレビバクテリウム属に属する微生物(特
公昭42−11993、特公昭42−11994)が知
られている。酵素を用いた反応においては、長時間の使
用により酵素活性が低下する事により、ある一定期間反
応を行った後、酵素の交換を行わざるを得ないのが現状
である。このような酵素の活性低下は、酵素が蛋白質で
ある以上避けられないことであるが、特にマレイン酸と
アンモニアからのL−アスパラギン酸の生成においては
用いるマレイン酸異性化酵素が酸素に対し不安定である
ため、酵素の交換も煩雑に行わなければならない。この
ような方式で連続反応を行うと設備的な負担あるいは人
件費の負担が大きくなってしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、安価
な原料を用い、工程が簡単であり、かつ長時間にわたり
安定にマレイン酸からフマル酸を連続的に変換する方
法、並びにマレイン酸とアンモニアからアスパラギン酸
を製造する方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、連続生体
触媒反応において酵素反応学的見地から、鋭意検討を行
った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は、マレイン酸に、反応器に充填されたマレイン酸イ
ソメラーゼ活性を有する酵素含有物を作用せしめること
によりフマル酸に連続的に変換する方法において、脱酸
素剤及び/又は不活性ガスにより酸素濃度を低減化させ
た基質媒体を反応器に導入することを特徴とするフマル
酸の生成方法、並びにこれを応用した、マレイン酸とア
ンモニアからアスパラギン酸を製造する方法、に関する
ものである。
【0005】本発明によると、高濃度のマレイン酸を含
有する基質媒体を反応器に導入するにあたり、基質媒体
中の酸素濃度を脱酸素剤及び/または不活性ガスにより
低減化する事により、酵素の活性の低下につながる酸素
の濃度を低く保ち、酵素の寿命を延ばし、効率よくフマ
ル酸を生成できる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施実態を説明す
るが本発明はかかる実施実態のみに限定されるものでは
ない。本発明に使用する微生物としてはマレイン酸イソ
メラーゼ活性を有する微生物であれば特に限定されない
が例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)
属に属する微生物(アルカリゲネス・フェーカリス(A
lcaligenesfaecalis)ATCC87
50)、エンテロバクター属に属する微生物(エンテロ
バクター・アグロメランス NSM−1)、シトロバク
ター属に属する微生物(シトロバクター・フロインディ
ア NSM−2)、クレブシェラ属に属する微生物(ク
レブシェラ・プランティコラ NSM−3)、シュード
モナス属に属する微生物(シュードモナス・フルオレセ
ンスNSM−4)等、マレイン酸よりL−アスパラギン
酸を収率よく生成する特徴を有する微生物が好適に用い
られる。エンテロバクター・アグロメランス NSM−
1、シトロバクター・フロインディア NSM−2、ク
レブシェラ・プランティコラ NSM−3及びシュード
モナス・フルオレセンスNSM−4は、工業技術院生命
工学工業技術研究所にそれぞれ寄託番号FERM P−
14447(寄託日平成6年7月21日)、FERM
P−14448(寄託日平成6年7月21日)、FER
M P−15144(寄託日平成7年8月30日)、及
びFERM P−15560(寄託日平成8年4月12
日)として寄託されている。
【0007】なお、NSM−1株及びNSM−2株の菌
学的性質は次の通りである。
【0008】
【表1】
【0009】また、NSM−3株の菌学的性質は次の通
りである。
【0010】
【表2】
【0011】
【表3】
【0012】本発明者等は、つくば市内の土壌より、N
SM−4株を分離した。NSM−4株の菌学的性質は、
以下の通りである。
【0013】
【表4】
【0014】
【表5】
【0015】
【表6】
【0016】以上の菌学的性質について、バージイズ・
マニュアル・オブ・システマティク・バクテリオロジー
vol.1〜4(1986年)をもとに検索を行った結
果、NSM−1株は、OFテスト、VPテスト、インド
ール生成、各種糖からの酸生成、クエン酸の利用等の点
から、エンテロバクター・アグロメランスに属するもの
と判明し、NSM−2株は、OFテスト、VPテスト、
クエン酸の利用、硫化水素の生成等の点から、シトロバ
クター・フロインディに属するものと判明し、NSM−
3株は、運動性、ウレアーゼテスト、クエン酸の利用、
m−ヒドロキシ安息香酸資化性、メチルレッドテスト等
の点から、クレブジェラ・プランティコラに属するもの
と判明し、そしてNSM−4株は、グラム陰性、運動性
+、OFテスト−、オキシダーゼ+、糖の資化性、有機
酸の資化性、アルギニンデヒドロラーゼ+、蛍光色素の
産生等の点から、シュードモナス・フルオレセンスに属
するものと判明した。
【0017】培養して得られた微生物菌体は遠心または
濾過により集め、水または適当な緩衝液を用いて洗浄
し、本発明の反応に使用する。微生物は更に、超音波、
摩砕、凍結融解、界面活性剤処理などにより物理的また
は生化学的に処理して破砕した菌体破砕物、さらに、硫
酸アンモニウム塩析、アセトン沈殿等定法により得られ
る酵素に精製することができる。本発明の反応に用いる
酵素含有物としては、微生物菌体または菌体破砕物もし
くは酵素をセルロース、アルギン酸、κ−カラギーナン
などの適当な天然高分子、あるいはイオン交換樹脂やポ
リアクリルアミド等の適当な合成高分子を担体として定
法により固定化して用いる。
【0018】本発明に用いる基質となるカルボン酸は無
水マレイン酸、マレイン酸あるいはマレイン酸塩から選
ばれる少なくとも1つである。また、メルカプトエタノ
ール、グルタチオン、システイン、ジチオスレイトール
などのSH基を有する化合物を0.1〜50mM、好まし
くは1〜10mMの濃度で添加することが好ましい。
【0019】基質媒体に含まれる酸素によりマレイン酸
イソメラーゼやアスパルターゼが失活することが知られ
ており、メルカプトエタノールなどのSH化合物を添加
しているが、それだけでは安定化の効果は高くない。そ
のため、酵素は基質溶液中の酸素濃度を低減化すること
を行ったところ、酵素の寿命を延ばすことができること
が判明した。
【0020】酸素濃度は通常の濃度で25℃で8ppm で
あるが、これを1ppm 好ましくは0.1ppm 、更に好ま
しくは0.01ppm 以下に保つことにより酵素の寿命を
のばすことができる。基質媒体中の酸素を除去する方法
は、(1)脱酸素剤を基質媒体に添加する方法、(2)
不活性ガスにより酸素を除去する方法がある。脱酸素剤
としては、亜硫酸イオンを用いることができる。亜硫酸
イオン源としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム等の塩ま
たは亜硫酸、あるいはハイドロサルファイトを用いるこ
とができる。亜硫酸イオン、又はハイドロサルファイト
としては、20ppm 以上1%以下、好ましくは100pp
m 以上0.5%以下の濃度で添加する事が好ましい。亜
硫酸又は亜硫酸塩を添加して酸素を除去する効率は、基
質媒体の温度に依存する。20℃より低温では、酸素の
除去速度は遅く、酸素除去率も悪いが、30℃以上に基
質媒体を昇温することにより極めて効率よく酸素を除去
できる。脱酸素剤の基質媒体への添加は、基質媒体調整
時に調製タンクに添加してもよいし、基質媒体保存容器
へ、または、反応器への導入ラインで添加してもよい。
また、ハイドロサルファイトは低温においても酸素除去
効率が高いため、特に低温で反応を行うときに有利であ
る。
【0021】不活性ガスにより基質媒体中の酸素濃度を
低減化する方法では、不活性ガスとして窒素、アルゴ
ン、ヘリウム等が用いられる。不活性ガスの投入方法と
しては、基質媒体を調製した後、保存容器に入れ、気相
部を不活性ガスで置換し、気相部中の酸素濃度を下げる
方法、また、基質媒体に不活性ガスを導入し溶存酸素を
除去する方法等特に方法は限定しない。保存容器の気相
部を不活性ガスで置換するとき気相部の酸素濃度は5%
以下、好ましくは3%以下更に好ましくは1%以下であ
る。基質媒体を保存する容器は、材質は特に限定しない
が、ステンレス、鉄、プラスティック、ガラス等を用い
ることができる。形状は特に限定しないが、蓋付きで密
閉できるか、不活性ガスで気相部を保つことができる構
造が好ましい。
【0022】基質媒体中の酸素を除去する方法は、上記
の脱酸素剤を基質媒体に添加する方法と不活性ガスによ
り酸素を除去する方法があるが、これらを組み合わせる
こともでき、組み合わせることにより、更に効果的とな
る。酵素反応の速度は温度に依存するため、あまり低い
温度で反応を行うと反応が遅いため、収率を上げるため
には大量の酵素が必要となる。また、マレイン酸イソメ
ラーゼは、温度が高くなると活性低下が起こりやすいた
め、酵素の活性低下を抑えるためには、反応器内の温度
を高くできない。これらのことから、反応器内の温度
は、5〜50℃、好ましくは10〜40℃、更に好まし
くは、15〜35℃の範囲であることが望ましい。
【0023】また、生成したフマル酸とアンモニアより
アスパルターゼ活性を有する酸素含有物を用いて連続的
酵素反応によりL−アスパラギン酸を製造することもで
きる。アスパルターゼ活性を有する微生物としては例え
ばエッシェリシア(Escherichia)属に属す
る微生物(エシェリシア・コリ(Escherichi
a coli)ATCCATCC11303,ATCC
9637,ATCC27325)、ブレビバクテリウム
(Brevibacterium)属に属する微生物で
あれば特に限定されない。
【0024】マレイン酸よりフマル酸に変換しさらにア
スパラギン酸を製造する方法においては、原料のマレイ
ン酸の濃度は5−40重量%が好ましいが、マレイン酸
塩の溶解性と生体触媒の反応性を考えると特に10から
30重量%の範囲で反応させるのが効果的であり、より
好ましくは10−25重量%の範囲で反応させるのが効
果的である。また、基質媒体には、更に塩化マンガン、
硫酸マンガン等のマンガン塩、または塩化マグネシウ
ム、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩または、亜
鉛塩、カルシウム塩、ニッケル塩、コバルト塩、鉄塩等
の金属塩を0.1−50mM、好ましくは1−10mMの濃
度で添加することが好ましい。
【0025】以上のように、反応器に充填されたマレイ
ン酸イソメラーゼ活性を有する酵素含有物をマレイン酸
に作用させてフマル酸に転換する方法、並びにマレイン
酸とアンモニア、及び/またはマレイン酸アンモニウム
を含有する基質媒体に、反応器に充填されたマレイン酸
イソメラーゼ活性とアスパルターゼ活性を有する酵素含
有物、またはマレイン酸イソメラーゼ活性を有する酵素
含有物とアスパルターゼ活性を有する酵素含有物を作用
させて、連続的酵素反応によりL−アスパラギン酸を製
造する方法において、脱酸素剤や不活性ガスにより基質
媒体中の溶存酸素濃度を下げて、当該原料を反応器に連
続的に供給しながらL−アスパラギン酸を製造すること
を特徴とする方法を提供するものである。
【0026】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。なお反応
生成物は、液体クロマトグラフィーにより分析した。実施例1. 表4に示す培地100mlを入れて滅菌した坂
口フラスコにエンテロバクター・アグロメランスNMS
−1株(FERM P−14447)を接種し、24時
間培養後、同組成の培地1Lを仕込んで滅菌した2Lジ
ャーファメンターに全量接種し、30℃で通気攪拌培養
を行った。培養中40%マレイン酸水溶液を用いて培地
のpHを7.5以下にコントロールした。培養8時間後
に10000rpm で遠心分離することにより菌体を回収
し、0.1Mリン酸緩衝液で菌体を洗浄後、0.1Mリ
ン酸緩衝液200mlを加え、ホモジナアイザーにより菌
体をつぶし、その上澄みを粗酵素液として用いた。粗酵
素液1mlと所定量の亜硫酸ナトリウムを含む表5に示す
マレイン酸水溶液9mlを20mlの試験管に入れ、30℃
で振とうし、経時的に試験管の基質液を採取し、反応液
の分析を行った。
【0027】結果を表6に示す。マレイン酸は時間とと
もに減少し、フマル酸及びリンゴ酸に変化し、亜硫酸ナ
トリウムを入れた系では、30時間以降においてもマレ
イン酸変換活性は保っていた。30時間後の酸素濃度
は、亜硫酸ナトリウムの添加量が10g/1Lの時、0
ppm であった。
【0028】
【表7】
【0029】
【表8】
【0030】
【表9】
【0031】比較例1.基質液として、表7に示す組成
を使用する以外は実施例1と同様の実験を行った。結果
を表6に示す。初期においてはマレイン酸は時間ととも
に減少し、フマル酸及びリンゴ酸に変化したが、5時間
後、マレイン酸変換活性はほぼなくなった。また、この
ときの反応液中の酸素濃度は約7.5ppm であった。
【0032】
【表10】
【0033】実施例2.シトロバクター・フロインディ
NSM−2株(FERMP−14448)を菌体として
用いる以外実施例1と同様の操作を行った。結果を表8
に示す。30時間後の反応液を分析したところ、フマル
酸は6.1%、リンゴ酸は4.5%生成していた。
【0034】
【表11】
【0035】比較例2.基質液として、表7に示す組成
を使用する以外は実施例2と同様の実験を行った。結果
を表8に示す。初期においてはマレイン酸は時間ととも
に減少し、フマル酸及びリンゴ酸に変化したが、5時間
後、マレイン酸変換活性はほぼなくなった。また、この
ときの反応液中の酸素濃度は約7.5ppm であった。
【0036】実施例3.実施例1と同様にして、エンテ
ロバクター・アグロメランスNSM−1様の粗酵素液を
作成した。粗酵素液1mlと所定量の亜硫酸ナトリウムを
含む表9に示すマレイン酸アンモニウム水溶液9mlを2
0mlの試験管に入れ、30℃で振とうし、経時的に試験
管の基質を採取し、反応液の分析を行った。
【0037】結果を表10に示す。マレイン酸は時間と
ともに減少し、L−アスパラギン酸に変化し、亜硫酸ナ
トリウムを入れた系では、30時間以降においてもマレ
イン酸変換活性は保っていた。30時間後の酸素濃度
は、亜硫酸ナトリウムの添加量が1g/L,5g/L及
び10g/1Lの時それぞれ、1ppm ,0ppm 及び0pp
m であった。
【0038】
【表12】
【0039】
【表13】
【0040】
【表14】
【0041】比較例3.基質液として、表11に示す組
成を使用する以外は実施例3と同様の実験を行った。結
果を表10に示す。初期においてはマレイン酸は時間と
ともに減少し、L−アスパラギン酸に変化したが、5時
間後、マレイン酸変換活性はほぼなくなった。また、ア
スパルターゼ活性は、30時間後失活していなかった。
このときの反応液中の酸素濃度は約8ppm であった。
【0042】実施例4.実施例1と同様の方法によりエ
ンテロバクター・アグロメランスNSM−1株(FER
M P−14447)の粗酵素液を作成した。粗酵素液
1mlと所定量の表7に示すマレイン酸水溶液9mlを20
mlの試験管に入れ、試験管内を窒素で置換した後密栓し
た。30℃で振とうし、経時的に試験管内の反応液を採
取し、反応液の分析を行った。また、反応液の採取ごと
に窒素置換を行った。結果を表12に示す。
【0043】
【表15】
【0044】比較例4.試験管を窒素で置換せず、30
℃で反応を行う以外は実施例2と同様の実験を行った。
結果を表12に示す。
【0045】実施例5.表4に示す培地100mlを入れ
た滅菌した坂口フラスコにエンテロバクター・アグロメ
ランスNMS−1株(FERM P−14447)を接
種し、24時間培養後、同組成の培地1Lを仕込んで滅
菌した2Lジャーファメンターに全量接種し、30℃で
通気攪拌培養を行った。培養中40%マレイン酸水溶液
を用いて培地のpHを7.5以下にコントロールした。
培養8時間後に10000rpm で遠心分離することによ
り菌体を回収し、0.1Mリン酸緩衝液で菌体を洗浄
後、40℃の3%カラギーナン水溶液100mlに加えて
混合し、2%塩化カリウム水溶液500ml中にシリンジ
から滴下して直径約4mmの球状ゲルとし、固定化菌体を
調製した。
【0046】この固定化菌体を25℃に保った外部ジャ
ケット付きカラム(直径10cm、長さ30cm)に詰めて、表
13に示すマレイン酸アンモニウム水溶液1Lを調製
し、2Lのガラス瓶に入れ、SV=0.2で連続的に反
応器に通塔した。また、基質液を入れたガラス瓶には常
に窒素を流した。反応液を採取し分析を行った。マレイ
ン酸は消失しており、L−アスパラギン酸が22.8重
量%の濃度で生成していた。L−アスパラギン酸への変
換率は99%以上であった。マレイン酸変換率は2日後
においても99%以上であった。また、2日後のマレイ
ン酸アンモニウム水溶液中の溶存酸素は検出限界以下で
あった。
【0047】
【表16】
【0048】比較例5.基質液に亜硫酸ナトリウムを入
れず、基質液を入れたガラス瓶は蓋をせず用いた以外実
施例5と同様の実験を行った。反応液を分析したとこ
ろ、初期においてマレイン酸は99%以上消失し、L−
アスパラギン酸に変換したが、1日後にはマレイン酸の
変換率は0%になった。
【0049】実施例6.表14に示す培地100mlを入
れた滅菌した坂口フラスコに、Pseudomonas
fluorescens NSM−4株(FERM
P−15560)を接種し、24時間培養後、同組成の
培地1Lを仕込んで滅菌した2Lジャーファーメンター
に全量接種し、30℃で通気攪拌培養を行った。培養中
40%マレイン酸水溶液を用いて培地のpHを7.5以下
にコントロールした。培養8時間後に10000rpm で
遠心分離することにより菌体を回収し、0.1Mリン酸
緩衝液で菌体を洗浄後、40℃の3%カラギーナン水溶
液100mlに加えて混合し、2%塩化カリウム水溶液5
00ml中にシリンジから滴下して直径4mmの球状ゲルと
し、固定化菌体を調製した。
【0050】半減期測定法 先に調製した固定化生体触媒を、ジャケット付きカラム
に充填し、ジャケットに30℃の温水を循環させて反応
器の温度を30℃に設定した。表15に示すマレイン酸
アンモニウム水溶液1Lを調製し、21のふた付きガラ
ス瓶に入れ、SV=0.2で連続的に反応器に通塔した。
また基質液を入れたガラス瓶には窒素を流した。反応開
始後12時間目に反応後の分析を行ったところ、反応生
成物として、消費マレイン酸と等量のL−アスパラギン
酸が生成していた。転化率が90%以下になった時か
ら、転化率をHPLCで分析し、転化率の時間変化を追
跡した。この転化率の対数値を反応時間に対してプロッ
トした傾きから、マレイン酸をL−アスパラギン酸に変
換する酵素活性の半減期を計算したところ、34.6時
間であった。この結果を表16に示す。
【0051】
【表17】
【0052】
【表18】
【0053】
【表19】
【0054】実施例7.表17に示したマレイン酸基質
液を用いた以外は実施例6と同様にして活性半減期を計
算したところ、72.2時間であった。
【0055】
【表20】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 13/20 (C12P 13/20 C12R 1:39) C12R 1:39) (56)参考文献 特開 平8−332092(JP,A) 特開 平9−322791(JP,A) 特開 平10−52288(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 13/20 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マレイン酸をマレイン酸イソメラーゼ活
    性を有する酵素含有物に作用せしめることにより、フマ
    ル酸を生成する方法において、脱酸素剤及びまたは不活
    性ガスを用いて反応器内の反応液中の溶存酸素濃度を1
    ppm 以下にし、ここで上記酵素が、エンテロバクター・
    アグロメランスNSM−1(寄託番号FERM P−1
    4447)、シトロベクター・フロインディアNSM−
    2(寄託番号 FERM P−14448)、クレブシ
    ェラ・プランティコラNSM−3(寄託番号 FERM
    P−15144)、及びシュードモナス・フルオレセ
    ンスNSM−4(寄託番号 FERM P−1556
    0)から成る群から選ばれる微生物に由来することを特
    徴とする方法。
  2. 【請求項2】 マレイン酸とアンモニア及び/またはマ
    レイン酸アンモニウムを含有する基質媒体に、反応器に
    充填されたマレイン酸イソメラーゼ活性とアスパルター
    ゼ活性を有する酵素含有物、またはマレイン酸イソメラ
    ーゼ活性を有する酵素含有物とアスパルターゼ活性を有
    する酵素含有物とを作用せしめることによりL−アスパ
    ラギン酸を連続的に製造する方法において、脱酸素剤及
    び/又は不活性ガスを用いて、反応器内の基質媒体中の
    溶存酸素濃度が1ppm 以下であり、ここで上記酵素が、
    エンテロバクター・アグロメランスNSM−1(寄託番
    号 FERM P−14447)、シトロベクター・フ
    ロインディアNSM−2(寄託番号 FERM P−1
    4448)、クレブシェラ・プランティコラNSM−3
    (寄託番号 FERM P−15144)、及びシュー
    ドモナス・フルオレセンスNSM−4(寄託番号 FE
    RM P−15560)から成る群から選ばれる微生物
    に由来することを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 基質媒体に含有する脱酸素剤が、亜硫
    酸、亜硫酸塩、及び/またはハイドロサルファイトであ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
JP21494797A 1996-08-09 1997-08-08 L−アスパラギン酸の製造方法 Expired - Fee Related JP3233878B2 (ja)

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WO2013151139A1 (ja) * 2012-04-05 2013-10-10 三井化学株式会社 1,5-ペンタメチレンジアミンの製造方法、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートの製造方法、ポリイソシアネート組成物の製造方法、および、触媒菌体の保存方法

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