JPH08264112A - 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法

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JPH08264112A
JPH08264112A JP8775995A JP8775995A JPH08264112A JP H08264112 A JPH08264112 A JP H08264112A JP 8775995 A JP8775995 A JP 8775995A JP 8775995 A JP8775995 A JP 8775995A JP H08264112 A JPH08264112 A JP H08264112A
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正人 山野辺
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子放出素子の電子放出効率及び耐久性の向
上を図る。 【構成】 絶縁性基板1上に素子電極4,5を形成し、
該素子電極間を連絡して導電性膜3を形成し、該導電性
膜3に通電処理して電子放出部2を形成し、更に、炭素
化合物の存在下で素子電極間に交流電圧を印加し、高結
晶性の炭素を含む被膜6を電子放出部2及びその近傍の
両電位側に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子放出素子、特に表
面伝導型電子放出素子と、該電子放出素子を複数用いた
電子源、それを用いた表示装置や露光装置等の画像形成
装置、更には該電子源及び画像形成装置の製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子放出素子の一つとして表面伝導型電
子放出素子があるが、該表面伝導型電子放出素子は、絶
縁性の基板上に形成された導電性膜に、膜面に平行に電
流を流すことにより電子放出が生ずる現象を利用するも
のである。
【0003】表面伝導型電子放出素子の典型的な構成例
としては、絶縁性の基板上に設けた一対の素子電極間を
連絡する金属酸化物等の導電性膜に、予めフォーミング
と称される通電処理により電子放出部を形成したものが
挙げられる。フォーミングは、導電性膜の両端に電圧を
印加通電することで通常行われ、導電性膜を局所的に破
壊、変形もしくは変質させて構造を変化させ、電気的に
高抵抗な状態の電子放出部を形成する処理である。電子
放出は、上記電子放出部が形成された導電性薄膜に電圧
を印加して電流を流すことにより、電子放出部に発生し
た亀裂付近から行われる。
【0004】上記電子放出素子は、構造が単純で製造も
容易であることから、大面積に亙って多数配列形成でき
る利点がある。そこで、この特徴を活かすための種々の
応用が研究されている。例えば表示装置等の画像形成装
置への利用が挙げられる。
【0005】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に該電子放出素子を配列
し、個々の電子放出素子の両端(両素子電極)を配線
(共通配線とも呼ぶ)にて夫々結線した行を多数行配列
(梯型配置とも呼ぶ)した電子源が挙げられる(特開平
1−31332号公報、同1−283749号公報、同
2−257552号公報)。また、特に表示装置におい
ては、液晶を用いた表示装置と同様の平板型表示装置と
することが可能で、しかもバックライトが不要な自発光
型の表示装置として、表面伝導型電子放出素子を多数配
置した電子源と、この電子源からの電子線の照射により
可視光を発光する蛍光体とを組み合わせた表示装置が提
案されている(アメリカ特許第5066883号明細
書)。
【0006】上記表面伝導型電子放出素子を利用した表
示装置において、高品位、高精細な画像を大画面で得る
ためには、電子放出素子の行・列の数が夫々数百〜数千
となり、非常に多くの電子放出素子を配列する必要があ
る。従って、各電子放出素子の電気特性が均一で制御し
やすいことが望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
表面伝導型電子放出素子は長時間駆動すると、強電界も
しくはジュール熱による電子放出部の自己発熱により、
電子放出部近傍の導電性膜が変形もしくは破壊される場
合があった。導電性膜に変形や破壊が生じると、素子の
寿命が低下し、該素子を複数用いてなる電子源を利用し
た画像形成装置においては表示品位の低下を引き起こ
す。
【0008】また、従来の表面伝導型電子放出素子にお
いては、素子電流として観測される電流の中には無効電
流が存在し、電子放出効率向上のため、該無効電流を除
去する必要があった。
【0009】本発明の目的は上記のような導電性膜の変
形や破壊を防止し、安定した表示品位の画像形成装置を
提供することにある。また本発明の目的は、上記した無
効電流を除去し、電子放出効率を向上させ、画像形成装
置の表示品位の向上を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】請求項1〜3の
発明は、電子放出素子の製造方法であり、電子放出部を
形成した後に、炭素化合物の存在下で素子電極間に両極
性電圧を印加することを特徴とする。
【0011】また請求項4〜7の発明は、上記製造方法
により製造したことを特徴とする電子放出素子である。
【0012】更に請求項8、9は上記電子放出素子を複
数用いてなる電子源、請求項10、11は該電子源を用
いてなる画像形成装置、請求項12〜14はこれらの製
造方法の発明である。以下、表面伝導型電子放出素子を
例に挙げて本発明を説明する。
【0013】表面伝導型電子放出素子には平面型と垂直
型があり、まず、平面型の電子放出素子の基本的な構成
について説明する。
【0014】図1(a)、(b)は、平面型表面伝導型
電子放出素子の基本的な構成を示す図である。
【0015】図1において1は基板、2は電子放出部、
3は導電性膜、4と5は素子電極、6は被膜である。
【0016】基板1としては、例えば石英ガラス、Na
等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青
板ガラスにスパッタ法等によりSiO2 を積層した積層
体、アルミナ等のセラミックス等が挙げられる。
【0017】対向する素子電極4,5の材料としては、
一般的導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、
Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属ある
いは合金及びPd、Ag、Au、RuO2 、Pd−Ag
等の金属あるいは金属酸化物とガラス等から構成される
印刷導体、In23 −SnO2 等の透明導電体及びポ
リシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択される。
【0018】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
膜3の形状等は、応用される形態等によって設計され
る。
【0019】素子電極間隔Lは、数百Å〜数百μmであ
ることが好ましく、より好ましくは、素子電極4,5間
に印加する電圧等により、数μm〜数十μmである。
【0020】素子電極長さWは、電極の抵抗値や電子放
出特性を考慮すると、好ましくは数μm〜数百μmであ
り、また素子電極厚dは、数百Å〜数μmである。
【0021】尚、図1に示される表面伝導型電子放出素
子は、基板1上に、素子電極4,5、導電性膜3の順に
積層されたものとなっているが、基板1上に、導電性膜
3、素子電極4,5の順に積層したものとしてもよい。
【0022】導電性膜3は、良好な電子放出特性を得る
ためには、微粒子で構成された微粒子膜であることが特
に好ましく、その膜厚は、素子電極4,5へのステップ
カバレージ、素子電極4,5間の抵抗値及び後述するフ
ォーミング条件等によって適宜選択される。この導電性
膜3の膜厚は、好ましくは数Å〜数千Åで、特に好まし
くは10Å〜500Åであり、その抵抗値は、103
107 Ω/□のシート抵抗値である。
【0023】導電性膜3を構成する材料としては、例え
ばPd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、
Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、P
dO、SnO2 、In23 、PbO、Sb23 等の
酸化物、HfB2 、ZrB2、LaB6 、CeB6 、Y
4 、GdB4 等の硼化物、TiN、ZrN、HfN等
の窒化物、Si、Ge等の半導体等が挙げられる。
【0024】尚、上記微粒子膜とは、複数の微粒子が集
合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あ
るいは重なり合った状態(島状も含む)の膜をさす。微
粒子膜である場合、微粒子の粒径は、数Å〜数千Åであ
ることが好ましく、特に好ましくは10Å〜200Åで
ある。
【0025】電子放出部2には亀裂が含まれており、電
子放出はこの亀裂付近から行われる。この亀裂を含む電
子放出部2及び亀裂自体は、導電性膜3の膜厚、膜質、
材料及び後述するフォーミング条件等の製法に依存して
形成される。従って、電子放出部2の位置及び形状は図
1に示されるような位置及び形状に特定されるものでは
ない。
【0026】亀裂は、数Å〜数百Åの粒径の導電性微粒
子を有することもある。この導電性微粒子は、導電性膜
3を構成する材料の元素の一部、あるいは総てと同様の
ものである。
【0027】また、本発明においては亀裂を含む電子放
出部2及びその近傍の両電位側に高結晶性の炭素を含む
被膜6を有する。
【0028】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子の基
本的な構成について説明する。
【0029】図2は、垂直型電子放出素子の基本的な構
成を示す図で、図中21は段差形成部材で、その他図1
と同じ符号は同じ部材を示すものである。
【0030】基板1、電子放出部2、導電性膜3及び素
子電極4,5、被膜6は、前述した平面型電子放出素子
と同様の材料で構成されたものである。
【0031】段差形成部材21は、例えば真空蒸着法、
印刷法、スパッタ法等で付設されたSiO2 等の絶縁性
材料で構成されたものである。この段差形成部材21の
膜厚は、先に述べた平面型電子放出素子の素子電極間隔
L(図1参照)に対応するもので、段差形成部材21の
作成法や素子電極4,5間に印加する電圧等により設定
されるが、好ましくは数百Å〜数十μmであり、特に好
ましくは数百Å〜数μmである。
【0032】導電性膜3は、通常、素子電極4,5の作
成後に形成されるので、素子電極4,5の上に積層され
るが、導電性膜3の形成後に素子電極4,5を作成し、
導電性膜3の上に素子電極4,5が積層されるようにす
ることも可能である。また、平面型電子放出素子の説明
においても述べたように、電子放出部2の形成は、導電
性膜3の膜厚、膜質、材料及び後述するフォーミング条
件等の製法に依存するので、その位置及び形状は図2に
示されるような位置及び形状に特定されるものではな
い。
【0033】尚、以下の説明は、上述の平面型電子放出
素子と垂直型電子放出素子の内、平面型を例にして説明
するが、平面型電子放出素子に代えて垂直型電子放出素
子としてもよい。
【0034】表面伝導型電子放出素子の製法としては様
々な方法が考えられるが、その一例を図3に基づいて説
明する。尚、図3において図1と同じ符号は同じ部材を
示すものである。
【0035】1)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤によ
り十分に洗浄した後、真空蒸着法、スパッタ法等により
素子電極材料を堆積させた後、フォトリソグラフィー技
術により基板1の面上に素子電極4,5を形成する(図
3(a))。
【0036】2)素子電極4,5を設けた基板1上に有
機金属溶液を塗布して放置することにより、素子電極4
と素子電極5間を連絡して有機金属薄膜を形成する。
尚、有機金属溶液とは、前述の導電性膜3の構成材料の
金属を主元素とする有機化合物の溶液である。この後、
有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチン
グ等によりパターニングされた導電性膜3を形成する
(図3(b))。尚、ここでは、有機金属溶液の塗布法
により説明したが、これに限ることなく、例えば真空蒸
着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、デ
ィッピング法、スピンナー法等によって有機金属膜を形
成することもできる。
【0037】3)続いて、フォーミングと呼ばれる通電
処理を施す。素子電極4,5間に、不図示の電源より通
電すると、導電性膜3の部位に構造の変化した電子放出
部2が形成される(図3(c))。この通電処理により
導電性膜3を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、
構造の変化した部位が電子放出部2である。
【0038】フォーミングの電圧波形の例を図4に示
す。
【0039】電圧波形は、特にパルス波形が好ましく、
パルス波高値を定電圧とした電圧パルスを連続的に印加
する場合(図4(a))と、パルス波高値を増加させな
がら電圧パルスを印加する場合(図4(b))とがあ
る。
【0040】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図4(a)で説明する。
【0041】図4(a)におけるT1 及びT2 は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、例えば、T1 を1μ
sec〜10msec、T2 を10μsec〜100m
secとし、波高値(フォーミング時のピーク電圧)を
前述した電子放出素子の形態に応じて適宜選択して、適
当な真空度の真空雰囲気下で、数秒から数十分印加す
る。尚、印加する電圧波形は、図示される三角波に限定
されるものではなく、矩形波等の所望の波形を用いるこ
とができる。
【0042】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図4(b)で説明する。
【0043】図4(b)におけるT1 及びT2 は図4
(a)と同様であり、波高値(フォーミング時のピーク
電圧)を、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させ、
図4(a)の説明と同様の適当な真空雰囲気下で印加す
る。
【0044】尚、パルス間隔T2 中に、導電性膜3(図
1及び図2参照)を局所的に破壊、変形もしくは変質さ
せない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧で素子電
流を測定して抵抗値を求め、例えば1MΩ以上の抵抗を
示した時にフォーミングを終了する。
【0045】4)次に、フォーミング工程が終了した素
子に炭素化合物の存在下で両極性の電圧パルスを印加し
電子放出部2及びその近傍の両電位側に高結晶性の炭素
を含む被膜6を堆積させる活性化工程を施す。
【0046】本発明において活性化工程とは、例えば真
空排気装置等を発生源とする炭化水素などの炭素化合
物、もしくはガスボンベ等から供給される炭素化合物を
適当な分圧で導入し、10-4〜10-5torr程度の真
空度で、先のフォーミング工程を終了した素子の素子電
極4,5に例えば図18(a)或いは図19(a)に示
されるパルス波高値を一定に保った電圧を印加し、素子
を駆動することにより行なわれる。図18(a)は一方
極性パルス電圧の極性を工程途中で反転するもので、図
19(a)は交流パルス電圧である。当該工程により、
素子電流If 、放出電流Ie が著しく変化する。本工程
はIf とIe とを測定しながら行ない、例えば、Ie
飽和した時点で工程を終了する。
【0047】上記炭素化合物を導入する場合、例えば、
アルカン、アルケン、アルキン等の脂肪族炭化水素類、
芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケト
ン類、アミン類、フェノール、カルボン酸、スルホン酸
等の有機酸、更にこれらの誘導体等が挙げられる。
【0048】図18(a)、図19(a)におけるV
p 、Vn はそれぞれの正極性及び負極性パルスのパルス
波高値であり、電子放出可能な電圧、即ち後述する図6
(a)における閾値電圧Vthに対して、 Vm >Vth及びVn <−Vth であることが望ましく、更に好ましくは、大きさが動作
駆動電圧に等しい電圧である。
【0049】また、両図においてT1p(T1n)は正極性
(負極性)のパルス幅であり、図18(a)においてT
2p(T2n)は正極性(負極性)のパルス間隔、図19
(a)においてTpn、Tnpはパルス間隔であるが、素子
の形態、雰囲気等に応じてそれぞれ適宜設定され、パル
ス幅は1μsec〜10msec、パルス間隔は10μ
sec〜100msecが望ましい。尚、パルス波形は
三角波、矩形波に限定されることはなく、サイン波など
所望の波形を用いることができる。
【0050】図18(b)及び図19(b)はそれぞれ
図18(a)、図19(a)の電圧波形における、活性
化処理中の素子電流If と放出電流Ie の時間変化を示
す模式図であるが、処理の途中で駆動電圧の極性反転を
伴う極性反転活性化駆動(図18)では、極性の反転に
際して、一時的なIf 及びIe の減少を伴い、交流活性
化駆動(図19)ではこのような変化は見られない。
尚、図18(b)、図19(b)における縦軸の素子電
流、放出電流は任意の値である。
【0051】このように炭素化合物を気相中に含む雰囲
気下において、電子放出部2より電子を放出することに
より、電子放出部2近傍に存在する炭素化合物分子を放
出電子により分解することで、電子放出部2とその両電
位側近傍の導電性膜3上に炭素及び炭素化合物を堆積さ
せる。
【0052】また、これと同時に、堆積された炭素及び
炭素化合物に対しても放出電子が引き続き照射されるこ
とで、該炭素及び炭素化合物をより結晶性の高い状態に
する。これによって、電子放出部及びその近傍の導電性
膜3上には、高融点で強電界に対する耐性の高い被膜が
形成される。更に、本発明においては、活性化処理を極
性反転或いは交流電圧により行なっているので、電子放
出部2の両電位側に上記被膜が形成されるため、片側の
みに形成された場合に比べてより耐性の高い構成になっ
ている。
【0053】更に、交流駆動により活性化処理を施した
本発明の電子放出素子の電子放出特性を後述の測定法に
より測定すると、直流もしくは単一極性のパルス波の駆
動による活性化処理に比較して、電子放出効率(放出電
流/素子電流)が向上するという結果が得られた。これ
は交流活性化(図19)において特に顕著であった。
【0054】尚、上記炭素及び炭素化合物とは、グラフ
ァイト(単結晶及び多結晶の双方を指す)、非晶質カー
ボン(非晶質カーボン及びこれと多結晶グラファイトと
の混合物を指す)である。また、その堆積膜厚は、好ま
しくは数Å〜数千Å、より好ましくは数十Å〜数百Åで
ある。
【0055】5)更に好ましくは、こうして作製した電
子放出素子を、フォーミング工程、活性化工程での真空
度より高い真空度の真空雰囲気にして動作駆動する。ま
た、より好ましくは、このより高い真空度の真空雰囲気
下で80℃〜150℃の加熱後、動作駆動する。
【0056】尚、フォーミング工程、活性化処理した真
空度より高い真空度の真空雰囲気とは、例えば約10-6
torr以上の真空度を有する真空度であり、より好ま
しくは、超高真空系であり、炭素及び炭素化合物が新た
に堆積しない真空度である。
【0057】上記5)の工程によりこれ以上の炭素及び
炭素化合物の堆積が抑制され、素子電流及び放出電流が
安定する。
【0058】このようにして得られる表面伝導型電子放
出素子の基本特性を以下に説明する。
【0059】図5は、表面伝導型電子放出素子の電子放
出特性を測定するための測定評価系の一例を示す概略構
成図で、まずこの測定評価系を説明する。
【0060】図5において、図1と同じ符号は同じ部材
を示す。また、51は素子に素子電圧Vf を印加するた
めの電源、50は素子電極4,5間の導電性膜3を流れ
る素子電流If を測定するための電流計、54は電子放
出部より放出される放出電流Ie を捕捉するためのアノ
ード電極、53はアノード電極54に電圧を印加するた
めの高圧電源、52は放出電流Ie を測定するための電
流計、55は真空装置、56は排気ポンプである。
【0061】電子放出素子及びアノード電極54等は真
空装置55内に設置され、この真空装置55には不図示
の真空系等の必要な機器が具備されていて、所望の真空
下で電子放出素子の測定評価ができるようになってい
る。
【0062】排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とから構成されている。
また、真空装置55全体及び電子放出素子の基板1は、
ヒーターにより200℃程度まで加熱できるようになっ
ている。尚、この測定評価系は、後述するような表示パ
ネル(図8における201参照)の組み立て段階におい
て、表示パネル及びその内部を真空装置55及びその内
部として構成することで、前述のフォーミング工程、活
性化工程及び後述するそれ以後の工程における測定評価
及び処理に応用することができるものである。
【0063】以下に述べる表面伝導型電子放出素子の基
本特性は、上記測定評価系のアノード電極54の電圧を
1kV〜10kVとし、アノード電極54と電子放出素
子の距離Hを2〜8mmとして行った測定に基づくもの
である。
【0064】まず、放出電流Ie 及び素子電流If と、
素子電圧Vf との関係の典型的な例を図6に示す。尚、
図6において、放出電流Ie は素子電流If に比べて著
しく小さいので、任意単位で示されている。
【0065】図6から明らかなように、電子放出素子
は、放出電流Ie に対する次の3つの特徴的特性を有す
る。
【0066】まず第1に、電子放出素子はある電圧(し
きい値電圧と呼ぶ:図6中のVth)以上の素子電圧Vf
を印加すると急激に放出電流Ie が増加し、一方しきい
値電圧Vth以下では放出電流Ie が殆ど検出されない。
即ち、放出電流Ie に対する明確なしきい値電圧Vth
持った非線形素子である。
【0067】第2に、放出電流Ie が素子電圧Vf に対
して単調増加する特性(MI特性と呼ぶ)を有するた
め、放出電流Ie は素子電圧Vf で制御できる。
【0068】第3に、アノード電極54(図5参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vf を印加する時間に
依存する。即ち、アノード電極54に捕捉される電荷量
は、素子電圧Vf を印加する時間により制御できる。
【0069】放出電流Ie が素子電圧Vf に対してMI
特性を有すると同時に、素子電流If も素子電圧Vf
対してMI特性を有する場合もある。このような表面伝
導型電子放出素子の特性の例が図6(a)で示す特性で
ある。一方、図6(b)に示すように、素子電流If
素子電圧Vf に対して電圧制御型負性抵抗特性(VCN
R特性と呼ぶ)を示す場合もある。いずれの特性を示す
かは、電子放出素子の製法及び測定時の測定条件等に依
存する。但し、素子電流If が素子電圧Vf に対してV
CNR特性を有する電子放出素子でも、放出電流Ie
素子電圧Vf に対してMI特性を有する。
【0070】次に、本発明の電子源における表面伝導型
電子放出素子の配列について説明する。
【0071】本発明の電子源における表面伝導型電子放
出素子の配列方式としては、従来の技術の項で述べたよ
うな梯型配置の他、m本のX方向配線の上にn本のY方
向配線を層間絶縁層を介して設置し、電子放出素子の一
対の素子電極に夫々X方向配線、Y方向配線を接続した
配置方式が挙げられる。これを以後単純マトリクス配置
と呼ぶ。まず、この単純マトリクス配置について詳述す
る。
【0072】前述した表面伝導型電子放出素子の基本的
特性によれば、単純マトリクス配置された電子放出素子
における放出電子は、しきい値電圧を超える電圧では、
対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と
パルス幅で制御できる。一方、しきい値電圧以下では殆
ど電子は放出されない。従って、多数の電子放出素子を
配置した場合においても、個々の素子に上記パルス状電
圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて電子放出素子を
選択し、その電子放出量が制御でき、単純なマトリクス
配線だけで個別の電子放出素子を選択して独立に駆動可
能となる。
【0073】単純マトリクス配置はこのような原理に基
づくもので、本発明の電子源の一例である、この単純マ
トリクス配置の電子源の構成について図7に基づいて更
に説明する。
【0074】図7において基板1は既に説明したような
ガラス板等であり、この基板1上に配列された表面伝導
型電子放出素子104の個数及び形状は用途に応じて適
宜設定されるものである。
【0075】m本のX方向配線102は、夫々外部端子
x1,Dx2,……,Dxmを有するもので、基板1上に、
真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成した導電性金
属等である。また、多数の電子放出素子104にほぼ均
等に電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線幅が設
定されている。
【0076】n本のY方向配線103は、夫々外部端子
y1,Dy2,……,Dynを有するもので、X方向配線1
02と同様に作成される。
【0077】これらm本のX方向配線102とn本のY
方向配線103間には、不図示の層間絶縁層が設置さ
れ、電気的に分離されて、マトリクス配線を構成してい
る。尚、このm,nは共に正の整数である。
【0078】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等であり、X方
向配線102を形成した基板1の全面或は一部に所望の
形状で形成され、特に、X方向配線102とY方向配線
103の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材
料、製法が適宜設定される。
【0079】更に、電子放出素子104の対向する素子
電極(不図示)が、m本のX方向配線102と、n本の
Y方向配線103と、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法
等で形成された導電性金属等からなる結線105によっ
て電気的に接続されているものである。
【0080】ここで、m本のX方向配線102と、n本
のY方向配線103と、結線105と、対向する素子電
極とは、その構成元素の一部あるいは全部が同一であっ
ても、また夫々異なっていてもよく、前述の素子電極の
材料等より適宜選択される。これら素子電極への配線
は、素子電極と材料が同一である場合は素子電極と総称
する場合もある。また、電子放出素子104は、基板1
あるいは不図示の層間絶縁層上どちらに形成してもよ
い。
【0081】また、詳しくは後述するが、前記X方向配
線102には、X方向に配列された電子放出素子104
の行を入力信号に応じて走査するために、走査信号を印
加する不図示の走査信号印加手段が電気的に接続されて
いる。
【0082】一方、Y方向配線103には、Y方向に配
列された電子放出素子104の列の各列を入力信号に応
じて変調するために、変調信号を印加する不図示の変調
信号発生手段が電気的に接続されている。更に、各電子
放出素子104に印加される駆動電圧は、当該電子放出
素子104に印加される走査信号と変調信号の差電圧と
して供給されるものである。
【0083】次に、以上のような単純マトリクス配置の
本発明の電子源を用いた本発明の画像形成装置の一例
を、図8〜図10を用いて説明する。尚、図8は表示パ
ネル201の基本構成図であり、図9は蛍光膜114を
示す図であり、図10は図8の表示パネル201で、N
TSC方式のテレビ信号に応じてテレビジョン表示を行
うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0084】図8において、1は上述のようにして表面
伝導型電子放出素子を配置した電子源の基板、111は
基板1を固定したリアプレート、116はガラス基板1
13の内面に蛍光膜114とメタルバック115等が形
成されたフェースプレート、112は支持枠であり、リ
アプレート111、支持枠112及びフェースプレート
116にフリットガラス等を塗布し、大気中あるいは窒
素中で、400〜500℃で10分以上焼成することで
封着して外囲器118を構成している。
【0085】図8において、2は図1における電子放出
部に相当する。102、103は、電子放出素子104
の一対の素子電極4,5と接続されたX方向配線及びY
方向配線で、夫々外部端子Dx1〜Dxm,Dy1〜Dynを有
している。
【0086】外囲器118は、上述の如く、フェースー
プレート116、支持枠112、リアプレート111で
構成されている。しかし、リアプレート111は主に基
板1の強度を補強する目的で設けられるものであり、基
板1自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート
111は不要で、基板1に直接支持枠112を封着し、
フェースプレート116、支持枠112、基板1にて外
囲器118を構成してもよい。また、フェースプレート
116、リアプレート111の間にスぺーサーと呼ばれ
る不図示の支持体を更に設置することで、大気圧に対し
て十分な強度を有する外囲器118とすることもでき
る。
【0087】蛍光膜114は、モノクロームの場合は蛍
光体122のみからなるが、カラーの蛍光膜114の場
合は、蛍光体122の配列により、ブラックストライプ
(図9(a))あるいはブラックマトリクス(図9
(b))等と呼ばれる黒色導伝材121と蛍光体122
とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリ
クスが設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる
三原色の各蛍光体122間の塗り分け部を黒くすること
で混色等を目立たなくすることと、蛍光膜114におけ
る外光反射によるコントラストの低下を抑制することで
ある。黒色導伝材121の材料としては、通常良く用い
られている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電性
があり、光の透過及び反射が少ない材料であれば他の材
料を用いることもできる。
【0088】ガラス基板113に蛍光体122を塗布す
る方法としては、モノクローム、カラーによらず、沈澱
法や印刷法が用いられる。
【0089】また、図8に示されるように、蛍光膜11
4の内面側には通常メタルバック115が設けられる。
メタルバック115の目的は、蛍光体122(図9参
照)の発光のうち内面側への光をガラス基板113側へ
鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビー
ム加速電圧を印加するための電極として作用すること、
外囲器118内で発生した負イオンの衝突によるダメー
ジからの蛍光体122の保護等である。メタルバック1
15は、蛍光膜114の作製後、蛍光膜114の内面側
表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行
い、その後Alを真空蒸着等で堆積することで作製でき
る。
【0090】フェースプレート116には、更に蛍光膜
114の導電性を高めるため、蛍光膜114の外面側に
透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0091】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体122と電子放出素子104とを対応させなくて
はいけないため、十分な位置合わせを行なう必要があ
る。
【0092】外囲器118内は、不図示の排気管を通
じ、1×10-7torr程度の真空度にされ、封止され
る。また、外囲器118の封止を行う直前あるいは封止
後に、ゲッター処理を行うこともある。これは、外囲器
118内の所定の位置に配置したゲッター(不図示)を
加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常
Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、例
えば1×10-5〜1×10-7torrの真空度を維持す
るためのものである。
【0093】尚、前述したフォーミング及びこれ以降の
電子放出素子の各製造工程は、通常、外囲器118の封
止直前又は封止後に行われるもので、その内容は前述の
通りである。
【0094】上述の表示パネル201は、例えば図10
に示されるような駆動回路で駆動することができる。
尚、図10において、201は表示パネル、202は走
査回路、203は制御回路、204はシフトレジスタ、
205はラインメモリ、206は同期信号分離回路、2
07は変調信号発生器、Vx 及びVa は直流電圧源であ
る。
【0095】図10に示されるように、表示パネル20
1は、外部端子Dx1〜Dxm、外部端子Dy1〜Dyn及び高
圧端子Hvを介して外部の電気回路と接続されている。
この内、外部端子Dx1〜Dxmには前記表示パネル201
内に設けられている電子放出素子、即ちm行n列の行列
状にマトリクス配置された電子放出素子群を1行(n素
子)ずつ順次駆動して行くための走査信号が印加され
る。
【0096】一方、外部端子Dy1〜Dynには、前記走査
信号により選択された1行の各電子放出素子の出力電子
ビームを制御するための変調信号が印加される。また、
高圧端子Hvには、直流電圧源Va より、例えば10k
Vの直流電圧が供給される。これは電子放出素子より出
力される電子ビームに、蛍光体を励起するのに十分なエ
ネルギーを付与するための加速電圧である。
【0097】走査回路202は、内部にm個のスイッチ
ング素子(図10中S1 〜Sm で模式的に示す)を備え
るもので、各スイッチング素子S1 〜Sm は、直流電圧
電源Vx の出力電圧もしくは0V(グランドレベル)の
いずれか一方を選択して、表示パネル201の外部端子
x1〜Dxmと電気的に接続するものである。各スイッチ
ング素子S1 〜Sm は、制御回路203が出力する制御
信号Tscanに基づいて動作するもので、実際には、例え
ばFETのようなスイッチング機能を有する素子を組み
合わせることにより容易に構成することが可能である。
【0098】本例における前記直流電圧源Vx は、前記
表面伝導型電子放出素子の特性(しきい値電圧)に基づ
き、走査されていない電子放出素子に印加される駆動電
圧がしきい値電圧以下となるような一定電圧を出力する
よう設定されている。
【0099】制御回路203は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる働きを持つものである。次に説明する
同期信号分離回路206より送られる同期信号Tsync
基づいて、各部に対してTscan、Tsft 及びTmry の各
制御信号を発生する。
【0100】同期信号分離回路206は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分を分離するための回路で、よく知られてい
るように、周波数分離(フィルター)回路を用いれば、
容易に構成できるものである。同期信号分離回路206
により分離された同期信号は、これもよく知られるよう
に、垂直同期信号と水平同期信号よりなる。ここでは、
説明の便宜上Tsyncとして図示する。一方、前記テレビ
信号から分離された画像の輝度信号成分を便宜上DAT
A信号と図示する。このDATA信号はシフトレジスタ
204に入力される。
【0101】シフトレジスタ204は、時系列的にシリ
アル入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御
回路203より送られる制御信号Tsft に基づいて作動
する。この制御信号Tsft は、シフトレジスタ204の
シフトクロックであると言い換えてもよい。また、シリ
アル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素
子のn素子分の駆動データに相当する)のデータは、I
d1〜Idnのn個の並列信号として前記シフトレジスタ2
04より出力される。
【0102】ラインメモリ205は、画像1ライン分の
データを必要時間だけ記憶するための記憶装置であり、
制御回路203より送られる制御信号Tmry に従って適
宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶された内容は、I
d'1 〜Id'n として出力され、変調信号発生器207に
入力される。
【0103】変調信号発生器207は、前記画像データ
d'1 〜Id'n の各々に応じて、電子放出素子の各々を
適切に駆動変調するための信号源で、その出力信号は、
端子Dy1〜Dynを通じて表示パネル201内の電子放出
素子に印加される。
【0104】前述したように、電子放出素子は電子放出
に明確なしきい値電圧を有しており、しきい値電圧を超
える電圧が印加された場合にのみ電子放出が生じる。ま
た、しきい値電圧を超える電圧に対しては電子放出素子
への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化して行く。
電子放出素子の材料、構成、製造方法を変えることによ
り、しきい値電圧の値や印加電圧に対する放出電流の変
化度合いが変わる場合もあるが、いずれにしても以下の
ことがいえる。
【0105】即ち、電子放出素子にパルス状の電圧を印
加する場合、例えばしきい値電圧以下の電圧を印加して
も電子放出は生じないが、しきい値電圧を超える電圧を
印加する場合には電子放出を生じる。その際、第1には
電圧パルスの波高値を変化させることにより、出力され
る電子ビームの強度を制御することが可能である。第2
には、電圧パルスの幅を変化させることにより、出力さ
れる電子ビームの電荷の総量を制御することが可能であ
る。
【0106】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式とが挙げられる。電圧変調方式を行う場合、変調信号
発生器207としては、一定の長さの電圧パルスを発生
するが、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値
を変調できる電圧変調方式の回路を用いる。また、パル
ス幅変調方式を行う場合、変調信号発生器207として
は、一定の波高値の電圧パルスを発生するが、入力され
るデータに応じて適宜パルス幅を変調できるパルス幅変
調方式の回路を用いる。
【0107】シフトレジスタ204やラインメモリ20
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でもよく、画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が
所定の速度で行えるものであればよい。
【0108】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路206の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要がある。これは同期信号分離回路206の出力
部にA/D変換器を設けることで行える。
【0109】また、これと関連して、ラインメモリ20
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器207に設けられる回路が若干異なるも
のとなる。
【0110】即ち、デジタル信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器207には、例えばよく知られてい
るD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付
け加えればよい。また、デジタル信号でパルス幅変調方
式の場合、変調信号発生器207は、例えば高速の発振
器及び発振器の出力する波数を計数する計数器(カウン
タ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較す
る比較器(コンパレータ)を組み合わせた回路を用いる
ことで容易に構成することができる。更に、必要に応じ
て、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を電
子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器
を付け加えてもよい。
【0111】一方、アナログ信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器207には、例えばよく知られてい
るオペアンプ等を用いた増幅回路を用いればよく、必要
に応じてレベルシフト回路等を付け加えてもよい。ま
た、アナログ信号でパルス幅変調方式の場合、例えばよ
く知られている電圧制御型発振回路(VCO)を用いれ
ばよく、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧にまで電
圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0112】以上のような表示パネル201及び駆動回
路を有する本発明の画像形成装置は、端子Dx1〜Dxm
びDy1〜Dynから電圧を印加することにより、必要な電
子放出素子から電子を放出させることができ、高圧端子
Hvを通じて、メタルバック115あるいは透明電極
(不図示)に高電圧を印加して電子ビームを加速し、加
速した電子ビームを蛍光膜114に衝突させることで生
じる励起・発光によって、NTSC方式のテレビ信号に
応じてテレビジョン表示を行うことができるものであ
る。
【0113】尚、以上説明した構成は、表示等に用いら
れる本発明の画像形成装置を得る上で必要な概略構成で
あり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述の内容
に限られるものではなく、画像形成装置の用途に適する
よう、適宜選択されるものである。また、入力信号とし
てNTSC方式を挙げたが、本発明に係る画像形成装置
はこれに限られるものではなく、PAL、SECAM方
式等の他の方式でもよく、更にはこれらよりも多数の走
査線からなるTV信号、例えばMUSE方式を初めとす
る高品位TV方式でもよい。
【0114】次に、前述の梯型配置の電子源及びこれを
用いた本発明の画像形成装置の一例について図11及び
図12を用いて説明する。
【0115】図11において、1は基板、104は表面
伝導型電子放出素子、304は電子放出素子104を接
続する共通配線で10本設けられており、各々外部端子
1〜D10を有している。
【0116】電子放出素子104は、基板1上に並列に
複数個配置されている。これを素子行と呼ぶ。そしてこ
の素子行が複数行配置されて電子源を構成している。
【0117】各素子行の共通配線304(例えば外部端
子D1 とD2 の共通配線304)間に適宜の駆動電圧を
印加することで、各素子行を独立に駆動することが可能
である。即ち、電子ビームを放出させたい素子行にはし
きい値電圧を超える電圧を印加し、電子ビームを放出さ
せたくない素子行にはしきい値電圧以下の電圧を印加す
るようにすればよい。このような駆動電圧の印加は、各
素子行間に位置する共通配線D2 〜D9 について、夫々
相隣接する共通配線304、即ち夫々相隣接する外部端
子D2 とD3 ,D4 とD5 ,D6 とD7 ,D8 とD9
共通配線304を一体の同一配線としても行うことがで
きる。
【0118】図12は、本発明の電子源の他の例であ
る、上記梯型配置の電子源を備えた表示パネル301の
構造を示す図である。
【0119】図12中302はグリッド電極、303は
電子が通過するための開口、D1 〜Dm は各電子放出素
子に電圧を印加するための外部端子、G1 〜Gn はグリ
ッド電極302に接続された外部端子である。また、各
素子行間の共通配線304は一体の同一配線として基板
1上に形成されている。
【0120】尚、図12において図8と同じ符号は同じ
部材を示すものであり、図8に示される単純マトリクス
配置の電子源を用いた表示パネル201との大きな違い
は、基板1とフェースプレート116の間にグリッド電
極302を備えている点である。
【0121】基板1とフェースプレート116の間に
は、上記のようにグリッド電極302が設けられてい
る。このグリッド電極302は、電子放出素子104か
ら放出された電子ビームを変調することができるもの
で、梯型配置の素子行と直行して設けられたストライプ
状の電極に、電子ビームを通過させるために、各電子放
出素子104に対応して1個ずつ円形の開口303を設
けたものとなっている。
【0122】グリッド電極302の形状や配置位置は、
必ずしも図12に示すようなものでなければならないも
のではなく、開口303をメッシュ状に多数設けること
もあり、またグリッド電極302を、例えば電子放出素
子104の周囲や近傍に設けてもよい。
【0123】外部端子D1 〜Dm 及びG1 〜Gn は不図
示の駆動回路に接続されている。そして、素子行を1列
ずつ順次駆動(走査)して行くのと同期してグリッド電
極302の列に画像1ライン分の変調信号を印加するこ
とにより、各電子ビームの蛍光膜114への照射を制御
し、画像を1ラインずつ表示することができる。
【0124】以上のように、本発明の画像形成装置は、
単純マトリクス配置及び梯型配置のいずれの本発明の電
子源を用いても得ることができ、上述したテレビジョン
放送の表示装置のみならず、テレビ会議システム、コン
ピューター等の表示装置として好適な画像形成装置が得
られる。更には、感光ドラムとで構成した光プリンター
の露光装置としても用いることができるものである。
【0125】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示す
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、
本発明の目的が達成される範囲内での各要素の置換や設
計変更がなされたものをも包含する。
【0126】[実施例1]本発明第1の実施例として、
図1に示した平面型の表面伝導型電子放出素子を同一基
板上に2個(素子A、B)、図3の工程に沿って形成し
た。
【0127】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5μmのシリコン酸
化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、素子電極4,
5間ギャップLとなるべきパターンをフォトレジスト
(RD−2000N−41,日立化成社製)形成し、真
空蒸着法により、厚さ50ÅのTi、1000ÅのNi
を順次堆積した。フォトレジストパターンを有機溶剤で
溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電極間
隔L=10μm、W=300μmを有する素子電極4,
5を形成した(図3(a))。
【0128】工程−b 工程−aで形成した素子電極4,5を含む基板表面全面
に、膜厚500ÅのCr膜を真空蒸着により堆積し、更
にフォトレジストを全面に塗布した後、素子電極間及び
この近傍に、長さL以上で幅が100μmの開口を有す
る不図示のマスクを使用して、パターンニング・現像・
開口部のCrのエッチングにより、電極ギャップL及び
素子電極4,5の一部を露出し、幅100μmのCrマ
スクを作製した。その上に有機Pd(ccp4230;
奥野製薬(株)製)をスピンナーにより回転塗布し、3
00℃で10分間の加熱焼成処理を行なった。この後、
酸エッチャントでCrをエッチングし、リフトオフする
ことにより導電性膜3を形成した(図3(b))。こう
して形成された主成分としてPdOよりなる微粒子から
なる導電性膜3の膜厚は120Å、シート抵抗値は1.
5×104 Ω/□であった。尚ここで述べる微粒子膜と
は、上述したように、複数の微粒子が集合した膜であ
り、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置した
状態のみならず、微粒子が互いに隣接、或いは重なり合
った状態(島状も含む)の膜をさし、その粒径は前記状
態で粒子形状が認識可能な微粒子についての径をいう。
【0129】以上の工程により基板1上に素子電極4,
5及び導電性膜3を形成した。
【0130】工程−c 次に、図5の測定評価系に上記基板を設置し、真空ポン
プにて排気し、2×10-5torrの真空度に達した
後、電源51より素子電極4,5間に電圧を印加し、フ
ォーミング処理を施した。フォーミング処理の電圧波形
は図4(b)に示すもので、T1 を1msec、T2
10msecとし、電圧パルスの波高値は0.1Vステ
ップで昇圧し、フォーミング処理を行なった。処理中は
0.1Vの電圧でT2 間に抵抗測定パルスを挿入し、抵
抗を測定し、該測定値が約1MΩ以上になった時にフォ
ーミング処理を終了した(図3(c))。
【0131】フォーミング処理を開始してから終了する
までの間に、If は最大値をとる。その値をImax 、こ
の時印加された電圧(パルス電圧の場合はその波高値)
をVformと呼ぶ。本実施例の素子A、素子Bのフォーミ
ング電圧Vformは約7.0Vであった。
【0132】工程−d 続いて、フォーミング処理した素子Aには図19(a)
に示される交流パルス波形で、波高値を±18Vとして
通電し、活性化処理を施した。もう一方の素子Bには図
4(a)に示される単一極性パルス波形で波高値を+1
8Vとして通電し、活性化処理を施した。
【0133】活性化処理はいずれも1.5×10-5to
rrの真空度でIe を測定しながら行ない、Ie が約3
0分で飽和したため活性化処理を終了した。
【0134】上述の工程で作製した素子A、Bの特性
を、1×10-6torr、印加電圧+18Vで評価し
た。その結果、If が素子Aで1.0mA、素子Bで
1.2mA、Ie が素子Aで0.9μA、素子Bで0.
6μAとなり、電子放出効率η=Ie /If (%)は素
子Aで0.09%、素子Bで約0.05%であった。ま
た、両素子をこのまま100時間駆動した後、あらため
て測定すると、If が素子Aでは0.7mA、素子Bで
0.6mA、Ie が素子Aで0.5μA、素子Bで0.
2μAであった。
【0135】このように、本発明の表面伝導型電子放出
素子は電子放出効率が高く、耐久性にも優れるが、特
に、交流パルスによる活性化処理を施した素子Aが優れ
ていた。
【0136】この後、表面伝導型電子放出素子の形態を
把握するために、素子A、Bそれぞれを電子顕微鏡で観
察した。その結果、素子Aでは電子放出部2の近傍で、
主に導電性膜3と基板1との境界付近の両電位側に被膜
が形成されているのが観察された。素子Bにおいても同
様の被膜が観察されたが、主に片側、活性化処理におい
て高電位を印加した側に存在していた。
【0137】更に、高倍率のFE−SEMで観察する
と、素子B即ち単一極性パルスで活性化処理をした素子
の電子放出部2の近傍で、被膜がほとんど形成されてい
ない領域、即ち活性化処理において低電位を印加した側
の領域で微粒子及び導電性膜3の一部の変形・移動が観
察された。一方、交流パルスで活性化処理を施した素子
Aでは、このような部位はほとんど観察されなかった。
【0138】またこの被膜をTEM、ラマン等で観察す
ると、グラファイト、アモルファスカーボンを主成分と
する、炭素及び炭素化合物からなる被膜が観察された。
【0139】これらの観察から、素子Bでは強電界によ
り長時間駆動により、電界破壊もしくは発熱等により、
微粒子及び導電性膜の一部が変形・移動するなどの電子
放出部の部分的破壊を引き起こし、その結果、電子放出
特性の劣化が顕著となった。一方素子Aでは、交流パル
スによる活性化処理により電子放出部近傍両端に形成し
た高結晶性の炭素を含む被膜により、電子放出部の強電
界及び熱などへの耐性が高まり、比較的長時間良好な電
子放出を行なうということがわかった。
【0140】[実施例2]本実施例では、実施例1で作
製した素子Aタイプの表面伝導型電子放出素子を多数単
純マトリクス配置した電子源を有する画像形成装置を構
成した。
【0141】本実施例の電子源の一部の平面図を図13
に示す(被膜6は不図示)。また、図中のA−A’断面
図を図14に示す。但し、図13〜16中で同じ符号を
付したものは同じものを示す。ここで、141は層間絶
縁層、142はコンタクトホールである。
【0142】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5μmのシリコン酸
化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、真空蒸着によ
り厚さ50ÅのCr、厚さ6000ÅのAuを順次積層
した後、フォトレジスト(AZ1370,ヘキスト社
製)をスピンナーにより回転塗布、ベークした後、フォ
トマスク像を露光、現像して、下配線102のレジスト
パターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウエットエッチ
ングして、所望の形状の下配線102を形成した(図1
5(a))。
【0143】工程−b 次に、厚さ1.0μmのシリコン酸化膜からなる層間絶
縁層141をRFスパッタ法により堆積した(図15
(b))。
【0144】工程−c 工程−bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール
142を形成するためのフォトレジストパターンを作
り、これをマスクとして層間絶縁層141をエッチング
してコンタクトホール142を形成した。エッチングは
CF4 とH2 ガスを用いたRIE(Reactive
Ion Etching)法によった(図15
(c))。
【0145】工程−d その後、素子電極4,5と素子電極間ギャップLとなる
べきパターンをフォトレジスト(RD−2000N−4
1,日立化成社製)形成し、真空蒸着法により、厚さ5
0ÅのTi、1000ÅのNiを順次堆積した。フォト
レジストパターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積
膜をリフトオフし、素子電極間隔Lが5μm、幅Wが3
00μmの素子電極4,5を形成した(図15
(d))。
【0146】工程−e 素子電極4,5の上に上配線103のフォトレジストパ
ターンを形成した後、厚さ50ÅのTi、5000Åの
Auを順次真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不
要の部分を除去して、所望の形状の上配線103を形成
した(図16(e))。
【0147】工程−f 次に、不図示のマスクを用いて、導電性膜3を形成した
(図16(f))。上記マスクは、素子電極間ギャップ
L及びこの近傍に開口を有するマスクであり、このマス
クにより膜厚1000ÅのCr膜161を真空蒸着によ
り堆積・パターンニングし、その上に有機Pd(ccp
4230,奥野製薬(株)製)をスピンナーにより回転
塗布、300℃で10分間の加熱焼成処理を行なった。
また、こうして形成された主成分としてPdOよりなる
微粒子からなる導電性膜3の膜厚は100Å、シート抵
抗値は1.8×104 Ω/□であった。
【0148】工程−g Cr膜161及び焼成後の導電性膜3を酸エッチャント
によりエッチングして所望のパターンを形成した。ま
た、導電性膜3の幅は200μmとした(図16
(g))。
【0149】工程−h コンタクトホール142部分以外にレジストを塗布する
ようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ50Åの
Ti、5000ÅのAuを順次堆積した。リフトオフに
より不要の部分を除去することによりコンタクトホール
142を埋め込んだ(図16(h))。
【0150】以上の工程により絶縁性基板1上に下配線
102、層間絶縁層141、上配線103、素子電極
4,5、電子放出部形成用の導電性膜3を形成した。
【0151】以上のようにして作製した未フォーミング
の電子源を用いて図8に示す表示パネルを構成し、本発
明の画像表示装置を形成した。
【0152】上記工程で作製した未フォーミングの電子
源基板1をリアプレート111に固定した後、電子源1
の5mm上方に、フェースプレート116(ガラス基板
113の内面に蛍光膜114とメタルバック116が形
成されている)を支持枠112を介して十分に位置合わ
せをして配置し、フェースプレート116、支持枠11
2、リアプレート111の接合部にフリットガラスを塗
布し、大気中で400℃〜500℃で10分以上焼成す
ることで封着した。またリアプレート111への電子源
基板1の固定もフリットガラスで行なった。
【0153】本実施例では蛍光体はストライプ形状(図
9(a)参照)を採用し、ブラックストライプの材料と
しては黒鉛を主成分とする材料を用い、ガラス基板11
3に蛍光体を塗布する方法としてはスラリー法を用い
た。
【0154】また、蛍光膜114の内面側に設けられる
メタルバック115は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側
表面の平滑化処理(フィルミング)を行ない、その後A
lを真空蒸着することで作製した。フェースプレート1
16には、更に蛍光膜114の導電性を高めるため、蛍
光膜114の外面側に透明電極が設けられる場合もある
が、本実施例では、メタルバック115のみで十分な導
電性が得られたため省略した。
【0155】以上のようにして完成したガラス容器内の
雰囲気を排気管(不図示)を通じ真空ポンプにて1×1
-6torrまで排気した後、容器外端子Dx1〜Dxm
いしDy1〜Dynを通じて素子電極間に電圧を印加し、フ
ォーミング処理を行ない、電子放出部を形成した。この
時フォーミング処理の電圧波形は図4(b)のもので、
1 =1msec、T2 =10msecで0.1Vずつ
昇圧した。また、工程中、0.1Vの電圧でT2 間に抵
抗測定パルスを挿入し、抵抗値が約1MΩ以上になった
時にフォーミング処理を終了した。フォーミング電圧V
formは約6.5Vであった。
【0156】このようにして形成された電子放出部2は
PdOを主成分とする微粒子が分散配置された状態とな
り、その微粒子の平均粒径は30Åであった。
【0157】次に1.5×10-5torrの真空雰囲気
下において容器外端子Dx1〜DxmないしDy1〜Dynを通
じ、素子電極間に図19(a)で示される交流パルスを
印加し、高結晶性の炭素を含む被膜を形成する活性化処
理を施した。本実施例では活性化処理パルスの波高値を
p =−Vn =18Vとした。また、パルス幅及びパル
ス間隔については、T1p=T1n=1msec、Tpn=T
np=10msecとした。活性化処理は、放出電流Ie
を測定しながら行ない、約30分でIe が飽和したた
め、この時点で処理を終了した。
【0158】約1×10-6.5torr程度の真空度ま
で、排気し、不図示の排気管をガスバーナーで熱するこ
とで融着し、外囲器118の封止を行なった。
【0159】最後に、封止後の真空度を維持するため
に、高周波加熱法でゲッター処理を行なった。
【0160】以上のようにして作製した表示パネルの容
器外端子Dx1〜DxmないしDy1〜D yn、及び高圧端子H
vをそれぞれ必要な駆動系に接続し、画像形成装置を完
成した。各素子に容器外端子Dx1〜DxmないしDy1〜D
ynを通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手
段によりそれぞれ印加することにより、電子放出を行な
い、高圧端子Hvを通じ、メタルバック115に数kV
以上の高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜11
4に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示し
た。本実施例の画像形成装置においては、表示安定性が
高く、画像品位の良い表示画像が得られた。
【0161】[実施例3]図17は実施例2の表示装置
を、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々の画像
情報源より提供される画像情報を表示できるように構成
した表示装置の一例を示すための図である。図中280
はディスプレイパネル、261はディスプレイパネルの
駆動回路、262はディスプレイコントローラ、263
はマルチプレクサ、264はデコーダ、265は入出力
インターフェース回路、266はCPU、267は画像
生成回路、268、269及び270は画像メモリイン
ターフェース回路、271は画像入力インターフェース
回路、272及び273はTV信号受信回路、274は
入力部である。尚、本表示装置は、例えばテレビジョン
信号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を受
信する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生す
るものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声情
報の受信、分離、再生、処理、記憶などに関する回路や
スピーカーなどについては説明を省略する。
【0162】以下、画像信号の流れに沿って各部を説明
してゆく。
【0163】先ず、TV信号受信回路273は、例えば
電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝送
されるTV画像信号を受信するための回路である。受信
するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例え
ば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式などの
諸方式でも良い。また、これらよりさらに多数の走査線
よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとする
いわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適し
た前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好適な信
号源である。TV信号受信回路273で受信されたTV
信号は、デコーダ264に出力される。
【0164】また、画像TV信号受信回路272は、例
えば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送
系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回
路である。前記TV信号受信回路273と同様に、受信
するTV信号の方式は特に限られるものではなく、また
本回路で受信されたTV信号もデコーダ264に出力さ
れる。
【0165】また、画像入力インターフェース回路27
1は、例えばTVカメラや画像読取スキャナーなどの画
像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回
路で、取り込まれた画像信号はデコーダ264に出力さ
れる。
【0166】また、画像メモリインターフェース回路2
70は、ビデオテープレコーダー(以下VTRと略す)
に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた画像信号はデコーダ264に出力される。
【0167】また、画像メモリインターフェース回路2
69は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取
り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ
264に出力される。
【0168】また、画像メモリ−インターフェース回路
268は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画像
データを記憶している装置から画像信号を取り込むため
の回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ26
4に出力される。
【0169】また、入出力インターフェース回路265
は、本表示装置と、外部のコンピュータ、コンピュータ
ネットワークもしくはプリンタなどの出力装置とを接続
するための回路である。画像データや文字・図形情報の
入出力を行なうのはもちろんのこと、場合によっては本
表示装置の備えるCPU266と外部との間で制御信号
や数値データの入出力などを行なうことも可能である。
【0170】また、画像生成回路267は、前記入出力
インターフェース回路265を介して外部から入力され
る画像データや文字・図形情報や、或いはCPU266
より出力される画像データや文字・図形情報に基づき表
示用画像データを生成するための回路である。本回路の
内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄積す
るための書き換え可能メモリや、文字コードに対応する
画像パターンが記憶されている読み出し専用メモリや、
画像処理を行なうためのプロセッサなどをはじめとして
画像の生成に必要な回路が組み込まれている。
【0171】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ264に出力されるが、場合によっては前
記入出力インターフェース回路265を介して外部のコ
ンピュータネットワークやプリンターに出力することも
可能である。
【0172】また、CPU266は、主として本表示装
置の動作制御や、表示画像の生成、選択、編集に関わる
作業を行なう。
【0173】例えば、マルチプレクサ263に制御信号
を出力し、ディスプレイパネル280に表示する画像信
号を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際
には表示する画像信号に応じてディスプレイパネルコン
トローラ262に対して制御信号を発生し、画面表示周
波数や走査方法(例えばインターレースかノンインター
レースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を
適宜制御する。
【0174】また、前記画像生成回路267に対して画
像データや文字・図形情報を直接出力したり、或いは前
記入出力インターフェース回路265を介して外部のコ
ンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・
図形情報を入力する。
【0175】尚、CPU266は、むろんこれ以外の目
的の作業にも関わるものであっても良い。例えば、パー
ソナルコンピュータやワードプロセッサなどのように、
情報を生成したり処理する機能に直接関わっても良い。
【0176】或いは、前述したように入出力インターフ
ェース回路265を介して外部のコンピュータネットワ
ークと接続し、例えば数値計算などの作業を外部機器と
協同して行なっても良い。
【0177】また、入力部274は、前記CPU266
に使用者が命令やプログラム、或いはデータなどを入力
するためのものであり、例えばキーボードやマウスの
他、ジョイスティック、バーコードリーダー、音声認識
装置など多様な入力機器を用いることが可能である。
【0178】また、デコーダ264は、前記267ない
し273より入力される種々の画像信号を3原色信号、
または輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するための回
路である。尚、同図中に点線で示すように、デコーダ2
64は内部に画像メモリを備えるのが望ましい。これ
は、例えばMUSE方式をはじめとして、逆変換するに
際して画像メモリを必要とするようなテレビ信号を扱う
ためである。また、画像メモリを備えることにより、静
止画の表示が容易になる、或いは前記画像生成回路26
7及びCPU266と協同して画像の間引き、補間、拡
大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が容易に
行なえるようになるという利点が生まれるからである。
【0179】また、マルチプレクサ263は前記CPU
266より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜
選択するものである。即ち、マルチプレクサ263はデ
コーダ264から入力される逆変換された画像信号のう
ちから所望の画像信号を選択して駆動回路261に出力
する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を切
り換えて選択することにより、いわゆる多画面テレビの
ように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異な
る画像を表示することも可能である。
【0180】また、ディスプレイパネルコントローラ2
62は、前記CPU266より入力される制御信号に基
づき駆動回路261の動作を制御するための回路であ
る。
【0181】先ず、ディスプレイパネルの基本的な動作
に関わるものとして、例えばディスプレイパネルの駆動
用電源(不図示)の動作シーケンスを制御するための信
号を駆動回路261に対して出力する。
【0182】また、ディスプレイパネルの駆動方法に関
わるものとして、例えば画面表示周波数や走査方法(例
えばインターレースかノンインターレースか)を制御す
るための信号を駆動回路261に対して出力する。
【0183】また、場合によっては表示画像の輝度、コ
ントラスト、色調、シャープネスといった画質の調整に
関わる制御信号を駆動回路261に対して出力する場合
もある。
【0184】また、駆動回路261は、ディスプレイパ
ネル280に印加する駆動信号を発生するための回路で
あり、前記マルチプレクサ263から入力される画像信
号と、前記ディスプレイパネルコントローラ262より
入力される制御信号に基づいて動作するものである。
【0185】以上、各部の機能を説明したが、図17に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル2
70に表示することが可能である。即ち、テレビジョン
放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ264に
おいて逆変換された後、マルチプレクサ263において
適宜選択され、駆動回路261に入力される。一方、デ
ィスプレイコントローラ262は、表示する画像信号に
応じて駆動回路261の動作を制御するための制御信号
を発生する。駆動回路261は、上記画像信号と制御信
号に基づいてディスプレイパネル280に駆動信号を印
加する。これにより、ディスプレイパネル280におい
て画像が表示される。これらの一連の動作は、CPU2
66により統括的に制御される。
【0186】また、本表示装置においては、前記デコー
ダ264に内蔵する画像メモリや、画像生成回路267
及びCPU266が関与することにより、単に複数の画
像情報の中から選択したものを表示するだけでなく、表
示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回転、移
動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、画像の縦横比
変換などをはじめとする画像処理や、合成、消去、接
続、入れ替え、はめ込みなどをはじめとする画像編集を
行なうことも可能である。また、本実施例の説明では、
特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と同様
に、音声情報に関しても処理や編集を行なうための専用
回路を設けても良い。
【0187】従って、本表示装置は、テレビジョン放送
の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像及び動画
像を扱う画像編集機器、コンピューターの端末機器、ワ
ードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、ゲーム
機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業用
或いは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0188】尚、上記図17は、本発明の画像形成装置
の一例を示したに過ぎず、これのみに限定されるもので
ないことは言うまでもない。例えば図17の構成要素の
うち使用目的上必要のない機能に関わる回路は省いても
差し支えない。またこれとは逆に、使用目的によっては
さらに構成要素を追加しても良い。例えば、本表示装置
をテレビ電話機として応用する場合には、テレビカメ
ラ、音声マイク、照明機、モデムを含む送受信回路など
を構成要素に追加するのが好適である。
【0189】本表示装置においては、とりわけ表面伝導
型電子放出素子を電子源とするディスプレイパネルの薄
型化が容易なため、表示装置の奥行きを小さくすること
ができる。それに加えて、表面伝導型電子放出素子を電
子源とするディスプレイパネルは大画面化が容易で輝度
が高く視野角特性にも優れるため、本表示装置は臨場感
あふれ迫力に富んだ画像を視認性良く表示することが可
能である。また安定で高効率な電子放出特性が実現され
た電子源を用いることにより、長寿命で明るい高品位な
カラーフラットテレビが実現された。
【0190】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、素
子の耐久性が向上して寿命が延び、また電子放出効率が
向上した。これにより、本発明の電子放出素子を用いた
電子源、及びこれを用いた画像表示装置においては、長
時間に亙り高輝度の良好な画像を表示することが可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面伝導型電子放出素子の一実施態様
を示す断面図である。
【図2】本発明の表面伝導型電子放出素子の他の実施態
様を示す断面図である。
【図3】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造工程例
を示す図である。
【図4】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造に係る
通電処理の電圧波形を示す図である。
【図5】本発明の表面伝導型電子放出素子の電子放出特
性を評価するための測定評価系を示す図である。
【図6】本発明の表面伝導型電子放出素子の電子放出特
性を示す図である。
【図7】本発明の単純マトリクス電子源の模式図であ
る。
【図8】本発明の画像形成装置の表示パネルの一実施態
様を示す図である。
【図9】本発明の画像形成装置に用いる蛍光膜を示す図
である。
【図10】本発明の画像形成装置の一実施態様のブロッ
ク図である。
【図11】本発明の梯子型電子源の模式図である。
【図12】梯子型電子源を用いた本発明の画像形成装置
の表示パネルを示す図である。
【図13】本発明の実施例2の表示装置に用いた電子源
を示す図である。
【図14】本発明の実施例2に係る電子源の部分断面図
である。
【図15】実施例2に係る電子源の製造工程図である。
【図16】実施例2に係る電子源の製造工程図である。
【図17】本発明の実施例3の画像形成装置のブロック
図である。
【図18】本発明の活性化処理における極性反転パルス
電圧波形例を示す図である。
【図19】本発明の活性化処理における交流電圧波形例
を示す図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 電子放出部 3 導電性膜 4,5 素子電極 6 被膜 21 段差形成部材 50 電流計 51 電源 52 電流計 53 高圧電源 54 アノード電極 55 真空装置 56 排気ポンプ 102 X方向配線 103 Y方向配線 104 表面伝導型電子放出素子 105 結線 111 リアプレート 112 支持枠 113 ガラス基板 114 蛍光膜 115 メタルバック 116 フェースプレート 118 外囲器 121 黒色導伝材 122 蛍光体 141 層間絶縁層 142 コンタクトホール 161 Cr膜 201 表示パネル 202 走査回路 203 制御回路 204 シフトレジスタ 205 ラインメモリ 206 同期信号分離回路 207 変調信号発生器 261 駆動回路 262 ディスプレイパネルコントローラ 263 マルチプレクサ 264 デコーダ 265 入出力インターフェース 266 CPU 267 画像生成回路 268 画像メモリーインターフェース 269 画像メモリーインターフェース 270 画像メモリーインターフェース 271 画像入力メモリーインターフェース 272 TV信号受信回路 273 TV信号受信回路 274 入力部 280 ディスプレイパネル 301 表示パネル 302 グリッド電極 303 開口 304 共通配線 401 表示パネル

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極間に、電子放出部が形成された導電
    性膜を有する電子放出素子の製造方法において、電子放
    出部が形成された導電性膜に、炭素化合物の存在下、両
    極性電圧を印加する工程を有することを特徴とする電子
    放出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記両極性電圧が交流電圧である請求項
    1の電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記両極性電圧が、一方極性電圧を工程
    途中で少なくとも1回極性反転させる電圧である請求項
    1の電子放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 電極間に、電子放出部を有する導電性膜
    を有する電子放出素子において、前記導電性膜の電子放
    出部の両電位側に、高結晶性の炭素を含む被膜を有する
    ことを特徴とする電子放出素子。
  5. 【請求項5】 表面伝導型電子放出素子である請求項4
    の電子放出素子。
  6. 【請求項6】 素子電極が同一面上に形成された平面型
    の素子であることを特徴とする請求項4又は5の電子放
    出素子。
  7. 【請求項7】 素子電極が絶縁層を介して上下に位置
    し、該絶縁層の側面に導電性膜が形成された垂直型の素
    子であることを特徴とする請求項4又は5の電子放出素
    子。
  8. 【請求項8】 請求項4〜7のいずれかの電子放出素子
    を複数個並列に配置し結線してなる素子列を少なくとも
    1列以上有し、各素子を駆動するための配線がはしご状
    配置されていることを特徴とする電子源。
  9. 【請求項9】 請求項4〜7のいずれかの電子放出素子
    を複数個配列してなる素子列を少なくとも1列以上有
    し、該素子を駆動するための配線がマトリクス配置され
    ていることを特徴とする電子源。
  10. 【請求項10】 請求項8の電子源と、画像形成部材、
    及び情報信号により各素子から放出される電子線を制御
    する制御電極を有することを特徴とする画像形成装置。
  11. 【請求項11】 請求項9の電子源と画像形成部材とを
    有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 【請求項12】 請求項1〜3いずれかの製造方法で同
    一基板上に複数の電子放出素子を形成してなることを特
    徴とする電子源の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12の製造方法で得られた電子
    源を、該電子源から放出される電子線を制御する制御電
    極と、該電子源からの電子線の照射により画像を形成す
    る画像形成部材と組み合わせることを特徴とする画像形
    成装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12の製造方法で得られた電子
    源を、該電子源からの電子線の照射により画像を形成す
    る画像形成部材と組み合わせることを特徴とする画像形
    成装置の製造方法。
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