JPH08264111A - 冷電子放出素子の作製方法 - Google Patents

冷電子放出素子の作製方法

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JPH08264111A
JPH08264111A JP6571495A JP6571495A JPH08264111A JP H08264111 A JPH08264111 A JP H08264111A JP 6571495 A JP6571495 A JP 6571495A JP 6571495 A JP6571495 A JP 6571495A JP H08264111 A JPH08264111 A JP H08264111A
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cold electron
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Junji Ito
順司 伊藤
Takeshi Okano
健 岡野
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2201/00Electrodes common to discharge tubes
    • H01J2201/30Cold cathodes
    • H01J2201/304Field emission cathodes
    • H01J2201/30446Field emission cathodes characterised by the emitter material
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 先端頂角が小さく、尖鋭かつ小型なエミッタ
を持つ冷電子放出素子を提供する。 【構成】 予め (111)面方位の四つの側面から成る逆ピ
ラミッド型凹部15の形成されたシリコン基板11を弗酸溶
液に浸漬する。次いで、ダイアモンド微粉末を含有した
アセトン溶液によりシリコン基板を超音波振動法で傷付
け処理した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
溶液中にシリコン基板11を浸漬して異方性エッチング
し、尖鋭化逆ピラミッド型凹部21を形成する。尖鋭化逆
ピラミッド型凹部21中にエミッタ材料16であるダイアモ
ンドを化学気相成長法で形成した後、シリコン基板11を
除去し、尖鋭な先端22を有する冷電子放出素子用エミッ
タ17を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にフラットパネルデ
ィスプレイ(FPD)型の画像表示装置や光プリンタ、
電子顕微鏡、電子ビーム露光装置等々、種々の電子ビー
ム利用装置の電子源ないし電子銃として、あるいはまた
簡単な場合、単なる照明ランプ等の超小型照明用電子放
出源としても用い得る冷電子放出素子の作製方法に関
し、特にそのエミッタ(冷陰極ないしカソードとも呼ば
れる)の先端を尖鋭化するに好適な作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在なお、唯一汎用されている真空管と
言っても良い陰極線管(カソードレイチューブ:CR
T)に認められるように、カソードに大きな熱エネルギ
を与えて熱電子放出を起こすのではなく、金属表面に対
し一般に106 〜107 V/cm以上の強電界を印加することで
当該金属表面から冷電子(電界放出電子とか強電界放出
電子とも呼ばれる)の放出を起こさせるタイプの電界放
出型電子放出素子、すなわち冷電子放出素子の研究も、
昨今、富みに盛んになってきている。こうしたタイプの
素子が各所で実用化されれば、CRT等におけるカソー
ド加熱用ヒータに要するような極めて大きな電力消費を
伴う熱エネルギが不要となり、素子自体も極めて小型に
なり得るので、応用デバイスの消費電力も大いに低減
し、筺体も飛躍的に小型化(薄型化)、軽量化する。
【0003】しかるに、電場はポアソンの方程式に支配
されるため、冷電子放出端となるエミッタ先端をできる
だけ尖鋭化し(エミッタ頂角をできるだけ小さくし)、
電界集中を局所化すればする程、比較的低い引き出し電
圧でも効率的に電界放出を起こすことができ、実用化は
より現実性を増す。そこで従来においても、エミッタ先
端を如何にして尖鋭化するかにつき、種々の工夫が為さ
れてきた。その中に、エミッタを再現性良く、かつまた
材料的な制約も少なく作製できる手法として、図2に示
すようなモールド法と呼ばれる従来法がある。
【0004】作成過程を順を追って説明すると、まず図
2(A) に示すように、シリコン基板11の面方位(100) の
主面上に 0.3μm 厚程度の熱酸化膜(シリコン酸化膜)
12を形成し、その上にフォトレジスト13を形成した後、
図2(B) に示す通り、面内一次元方向あるいは面内二次
元方向に適当なピッチで飛び飛びに複数の正方形開口が
整列するように、当該フォトレジスト13を一般的なリソ
グラフィ技術によってパターニングする。各正方形開口
は、次のエッチング工程を減ることにより若干の寸法差
は出るものの、最終的に形成されるそれぞれピラミッド
形状(四角錐形状)の各エミッタの底面にほぼ相当す
る。
【0005】このようにパターニングしたフォトレジス
ト13をエッチングマスクとして、例えば緩衝弗酸を用い
る等したこれも公知のリソグラフィ技術を適用してシリ
コン酸化膜12をエッチングし、図2(C) に示すようにシ
リコン基板11の表面を露呈する開口14を開ける。その状
態で、水酸化カリウム(KOH)溶液中にて異方性エッチン
グを行なうと、図2(D) に示すように、各開口14を介し
て露呈したシリコン基板11には、4回対象の (111)面を
各側面とする逆ピラミッド型(逆四角錐型)の凹部15が
形成される。
【0006】その後、例えば弗酸溶液に浸漬する等して
シリコン基板11の表面上に残っている熱酸化膜12及びフ
ォトレジスト13を除去すると、図2(E) に示されるよう
なエミッタ作製用モールド(鋳型)が完成する。そこで
次いで、図2(F) に示すように、エミッタを作製すべき
エミッタ材料16、例えば高融点金属とかダイアモンドを
各逆ピラミッド型凹部15内に一連に充填する。ただ、高
融点金属よりも、どちらかと言えばダイアモンドが好ま
れる。その側面が負の電子親和力を持つ (111)面とな
り、化学的、物理的にも極めて安定だからである。ま
た、充填手法として望ましい手法には、例えば熱フィラ
メントCVD(化学気相成長法)がある。
【0007】その後、例えば水酸化カリウム溶液に浸漬
してシリコン基板11を溶解、除去する等、シリコン基板
11を除去すれば、図2(G) に示すように、それぞれ先端
18がある程度鋭く尖ったエミッタ17を形成することがで
きる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】こうした従来法にも、
(a) 原則としてエミッタ材料16に制約は少なく、多様な
材料が使用できる,(b) 従って上述のように、高融点金
属の外、エミッタ材料として電気特性的には望ましいが
化学的、物理的に極めて安定がであるがため、むしろ他
の加工手法では加工し難いダイアモンドエミッタ等も作
製できる,(c) 鋳型形状がシリコン基板の面方位に依存
するために精度が良く、作製されるエミッタ形状の再現
性、均一性に優れている,等の利点がある。
【0009】しかし、逆に言うと、シリコン基板の面方
位に依存して形成された鋳型を用いる場合、作製される
エミッタの頂角は必然的に70°程度となり、頂角をより
小さくしたくても、より急峻な側面を持つピラミッド形
状は得ることができない。また、エミッタ先端における
曲率半径(一般には尖鋭度に直接関与し、小さい程良
い)も、厳密な測定は難しいが、概略1000Å程度に留ま
っていた。
【0010】さらに、この種の冷電子放出素子は、原理
的には単一エミッタでも素子として動作可能ではある
が、実用的な見地からは、単位面積当たりの高い電子流
密度を得るために、複数個ないし多数個のエミッタを高
密度で集積形成することが要求される。これを満たすに
は当然、各エミッタの底面四角形の面積が小さい程、換
言すれば当該底面四角形の一辺の長さが短い程、隣接す
るエミッタ間の間隔を小さくできるので良いことにな
る。しかし上述した従来法では、既述のようにシリコン
基板の面方位に従ってのみ、ほぼ一義的に頂角が決定さ
れてしまうので、ピラミッド型エミッタ17の高さ(逆ピ
ラミッド型凹部15の深さ)を十分取ろうとすると底面四
角形の一辺の寸法を余り小さくすることはできず、実用
的な素子として必要な高さを取るためには当該底面四角
形の一辺寸法はせいぜい20数μm、どんなに小さくしても
10数μm 程度が限界であった。
【0011】本発明はこうした点に鑑みてなされたもの
で、上述した従来法の長所はそのままに、より尖鋭な先
端を持ち、占有面積もより小さい冷電子放出素子用エミ
ッタを持つ冷電子放出素子を作製せんとするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】しかるに、上記の目的を
達成するためになされた本発明でも、既に図2(E) に示
したように、シリコン基板の一主面にそれぞれ (111)面
方位の四つの側面から成る逆ピラミッド型凹部を形成す
る所までは、既述した従来法におけると同様の手順に従
って良い。言い換えると本発明の特徴的な作製工程は、
予め (111)面方位の四つの側面から成る逆ピラミッド型
凹部の形成されたシリコン基板を出発部材とし、これに
対して施される。
【0013】まず、上記の出発部材であるシリコン基板
を表面酸化膜除去溶液、好ましくは弗酸容積に適当時
間、好ましくは例えば10分間程、浸漬し、逆ピラミッド
型凹部の側面に自然形成されているかも知れない表面酸
化膜を除去し、結晶表面を露呈させる。既述したよう
に、出発部材が図2に即して説明した工程に従って作製
されたシリコン基板であり、図2(E) の構造を得るため
のその前の図2(D) の工程で残存していたシリコン酸化
膜12やその上のフォトレジスト13を除去するために弗酸
溶液を用いており、かつ、その後、大気環境等の汚染環
境に晒されていなければ、この本発明の最初の工程であ
る表面酸化膜除去工程に関する限り、当該前工程におけ
る弗酸溶液への浸漬工程で兼ねることもできる。ただし
浸漬時間に関しては任意で、上記した時間より長目に採
る方が好ましいこともある。
【0014】次いで、適当なる平均粒子径、好ましくは
平均粒子径 0.1μm から 0.5μm までで高硬度の微粉
末、好ましくはダイアモンド微粉末を含有し、かつシリ
コン基板を少なくとも物理的、化学的に損傷し難い溶
液、好ましくはアセトン溶液中で適当時間、好ましくは
60分間程、超音波洗浄等の物理的ないし機械的振動方法
により洗浄処理する。この洗浄処理工程は、溶液中に高
硬度微粉末を混入して行なわれるので、逆ピラミッド型
凹部の各側面の研磨処理工程、ないしもっと積極的には
傷付け処理工程と言える。なお、シリコン基板を少なく
とも物理的、化学的に損傷し難い溶液とは、もちろん、
全く損傷しない溶液をも含む。また、超音波振動法によ
ることが簡易かつ均一な傷付け処理ができるので望まし
いものの、機械的な溶液撹拌手法等も採用することがで
きる。
【0015】上記の傷付け処理工程の後、テトラメチル
アンモニウムヒドロキシド溶液(以下、TMAH溶液と
略称)により異方性エッチングを施す。エッチング条件
は、好ましくは溶液濃度15%、溶液温度90℃で適当時
間、好ましくは一分間程度である。
【0016】このような工程を減ることにより、出発部
材における逆ピラミッド型凹部は、深さ方向の途中から
さらに急峻に傾く側面によって規定され、凹部の底での
対向側面のなす角度は40°を下回り、ほぼ30°程度にま
で尖鋭化され得る。この理由は、今の所確証はないもの
の、おそらくは逆ピラミッド型凹部の最深底部の近傍が
(111)面ではなく、より高次の (301)面となったが故と
思われる。
【0017】本発明に従ってこのような尖鋭化逆ピラミ
ッド型凹部を持つ鋳型が完成したならば、その後は必要
に応じ、純水やアセトン等の洗浄溶液を用いての洗浄工
程や乾燥工程を付与してから、再び従来法と同様の工程
に戻って良く、当該凹部をエミッタ材料で充填する。こ
れに関し好ましいのは、化学気相成長法により高融点金
属、望ましくはダイアモンドを凹部側面上に成長させる
ことである。エミッタ材料充填後は、例えば水酸化カリ
ウム溶液に浸漬しての溶解、除去等、適当なる手法でシ
リコン基板を除去すれば、本発明に従って作製された冷
電子放出素子用エミッタを得ることができる。
【0018】本発明者はまた、上述した表面酸化膜の除
去工程、逆ピラミッド型凹部側面の傷付け処理工程、そ
して異方性エッチング用TMAH溶液を用いてのエッチ
ング工程を一組の単位連続工程群とし、この単位連続工
程群を二回以上、必要回数繰返す方法も提案する。これ
により、最終的に形成されるエミッタの頂角を尖鋭に保
ったまま、逆ピラミッド型凹部の深さを深く取ることが
できる。
【0019】もちろん、シリコン基板に形成する逆ピラ
ミッド型凹部の数やピッチは任意設計的な事項である。
エミッタはただ一個であっても原理的には冷電子放出素
子として動作させることができる。しかし、より一般的
には既述のようにエミッタを多数個集積する。そしてこ
の場合、本発明に従うと、上述のようにピラミッド型エ
ミッタの頂角を最小でほぼ30°程度にまで十分小さくで
きるので、ピラミッドの高さを十分に取っても裾野の底
面四角形の一辺寸法は小さく留めることができる。従っ
て、隣接するピラミッド同志をより近付けることができ
るようになり、既述した従来法に従う場合よりも高密度
化を図ることができる。
【0020】
【実施例】以下、図1に即し、本発明に従う実施例につ
き説明する。ただし、図1は本発明により従来法に追加
されるか変更される特徴的な工程群をのみ示しており、
図1(A) に示されるように、本発明の適用される出発部
材としてのシリコン基板11は、予め (111)面方位の四つ
の側面から成る逆ピラミッド型凹部15の形成されたシリ
コン基板である。すなわち、図1(A) に示されているシ
リコン基板11は、例えば既に説明した図2(A) 〜図2
(E) までの工程に従って作製された逆ピラミッド型凹部
15を有するシリコン基板11であって良い。
【0021】本発明のこの実施例では、このように予め
逆ピラミッド型凹部15の形成されているシリコン基板11
を、まず弗酸溶液中に10分間程、浸漬し、基板表面や逆
ピラミッド型凹部15の側面に自然形成されているかも知
れないシリコン酸化膜を除去する。ただし、出発部材と
してのシリコン基板11が、図2に即して説明された従来
法により形成されたものであって、図2(E) の一工程前
の図2(D) の工程で残存していたシリコン酸化膜12やそ
の上のフォトレジスト13を除去するために弗酸溶液を用
いており、かつ、その後、大気等の汚染環境に晒されて
いなければ、本実施例の最初の工程である表面酸化膜除
去工程は、当該前工程における弗酸溶液への浸漬工程で
兼ねても良い。浸漬時間に関しても原則としては任意
で、上記した時間より長目に採る方が好ましいこともあ
る。
【0022】次いで、適当なる平均粒子径、好ましくは
平均粒子径 0.1μm から 0.5μm のダイアモンド微粉末
を含有するアセトン溶液中にて超音波洗浄する。ただ
し、この洗浄処理工程は、溶液中にダイアモンド微粉末
を混入して行なわれるので、逆ピラミッド型凹部15の各
側面の研磨処理工程、ないしもっと積極的には傷付け処
理工程となる。
【0023】この傷付け処理工程の後、TMAH溶液に
より異方性エッチングを施す。エッチング条件は、好ま
しくは溶液濃度15%、溶液温度90℃で一分間程度であ
る。
【0024】このような工程を減ることで、図1(B) に
示されるように、出発部材における逆ピラミッド型凹部
15は、深さ方向の途中からさらに急峻に傾く側面によっ
て規定され、凹部の底での対向側面のなす角度が少なく
とも40°以下、最小ではほぼ30°程度にまで尖鋭化され
た尖鋭化逆ピラミッド型凹部21となったことが確認さ
れ、先端曲率半径も 500Å以下にまでなっていた。この
理由は、今の所は定量的検証はなされていないが、おそ
らくは逆ピラミッド型凹部の最深底部の極く近傍が (11
1)面ではなく、より高次の (301)面となったが故と思わ
れ、また、上記の傷付け処理工程とこの異方性エッチン
グ工程との相乗効果により、従来法よりも深く、かつ、
先端曲率半径の小さい良好な尖鋭化逆ピラミッド型凹部
形状が得られたものと思われる。
【0025】このような尖鋭化逆ピラミッド型凹部21を
持つ鋳型が完成したならば、その後は必要に応じ、純水
やアセトン等の洗浄溶液を用いての洗浄工程や乾燥工程
を付与してから、再び従来法と同様の工程に戻って良
く、図1(C) に示すように当該尖鋭化逆ピラミッド型凹
部21をエミッタ材料16で充填する。これに関し好ましい
のは、化学気相成長法により高融点金属、好ましくはダ
イアモンドを凹部側面上に成長させることである。
【0026】そして、このエミッタ材料16の充填後、例
えば水酸化カリウム溶液に浸漬してシリコン基板11を溶
解、除去するとか、あるいは図示しない適当なる機械的
剥離方法等、適当なる除去手法でシリコン基板11を除去
すれば、図1(D) に示されるように、本発明に従って作
製された冷電子放出素子用エミッタ17を得ることができ
る。
【0027】このようにしてモールド成形されたエミッ
タ17は、モールド形状に良く整合しており、頂角は最小
でほぼ30°程度にまで尖鋭化し、先端22の曲率半径も 5
00Å以下となっていた。これはもちろん、既述した従来
法により作製されたものに比し、遥かに優れた値であ
る。また、ダイアモンド微粉末を含有する溶液を用いて
の傷付け処理工程は、異方性エッチング工程との相乗効
果により逆ピラミッド型凹部の最深部の尖鋭化に寄与す
るだけではなく、エミッタ材料16を尖鋭化逆ピラミッド
型凹部21内に例えば化学気相成長法により成長させる場
合には、その成長の「核」を形成し易くし、モールド形
状に対し最終的に形成されるピラミッド型エミッタ17の
形状整合性を良好にする働きもあるように思われる。
【0028】いずれにしても本発明により形成されたエ
ミッタ17はその頂角が小さくなるので、電界集中効果が
高まるのみならず、エミッタ17の高さ(尖鋭化逆ピラミ
ッド型凹部21の深さ)を素子として必要な寸法に取る場
合、同じ要求高さであるならば図2に即して説明した従
来法に比し、裾野の底面四角形の一辺寸法は相当小さく
できる。例えば従来法によった場合、底面寸法を20μm
程度とした時のエミッタ高さと同じ高さを得るにも、本
発明によった場合には底面寸法は 6μm 程度で済んだ。
これは当然、原理的に単一エミッタでの動作を図る素子
とてしても小型化を図ることができるので望ましいし、
より実用的に、エミッタ17を複数個(多数個)集積した
冷電子放出素子を構築するに際し、その集積密度を高
め、素子の小型化を図る上で極めて有利である。
【0029】なお、上述した表面酸化膜除去工程、逆ピ
ラミッド型凹部側面の傷付け処理工程、そしてTMAH
溶液を用いての異方性エッチング工程を一組の単位連続
工程群とし、この単位連続工程群を二回以上、必要回数
繰返す方法も提案する。これにより、繰返し回数に応
じ、最終的に形成されるエミッタの頂角を尖鋭に保った
まま、逆ピラミッド型凹部の深さ、ひいては最終的に形
成されるエミッタ17の高さを必要な寸法に調整すること
ができる。
【0030】以上、本発明の一実施例につき説明した
が、本発明の要旨構成に即する限り、当業者にとっての
任意の改変は自由である。例えば上記の実施例では尖鋭
化逆ピラミッド型凹部21の側面の傷付け処理工程におい
てダイアモンド微粉末を利用したが、他の高硬度微粉末
により代替も可能である。微粉末の分散媒も、アセトン
溶液には限らず、少なくともシリコン基板11を物理的、
化学的に損傷し難い溶液であれば良い。エミッタ材料16
についても、ダイアモンドが望ましいものの、他の高融
点金属であっても良い。
【0031】
【発明の効果】本発明によると、極めて尖鋭な先端のエ
ミッタを持つ冷電子放出素子を再現性良く提供できる。
尖鋭なエミッタ先端は電界集中効率を高め、結局は冷電
子放出素子としての動作効率を高める。省電力にも繋が
る。また、アスペクト比の高い(底面寸法に対する高さ
寸法比の高い)エミッタ形状を得ることができるので、
必要とする高さが同じならば従来法によって作製された
場合よりも底面寸法の小さなエミッタを作製でき、素子
寸法を小型化できる。要すればエミッタを多数個集積す
る際にも、隣接するエミッタ同志をずっと近付けること
ができ、高い集積密度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明作製方法の一実施例における工程群の説
明図である。
【図2】従来の作製方法に従いピラミッド型エミッタを
持つ冷電子放出素子を作製する場合の工程順に従った説
明図である。
【符号の説明】
11 シリコン基板, 12 シリコン酸化膜, 13 フォトレジスト, 14 開口, 15 逆ピラミッド型凹部, 16 エミッタ材料, 17 エミッタ, 21 尖鋭化逆ピラミッド型凹部, 22 エミッタ先端.

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エミッタ先端に電界を集中させることで
    該エミッタから冷電子を放出させる冷電子放出素子の作
    製方法であって;予め (111)面方位の四つの側面から成
    る逆ピラミッド型凹部の形成されたシリコン基板を表面
    酸化膜除去溶液に浸漬する表面酸化膜除去工程と;高硬
    度微粉末を含有し、該シリコン基板を少なくとも物理
    的、化学的に損傷し難い溶液中に該シリコン基板を浸漬
    して該溶液を該シリコン基板に対し相対的に振動させ、
    該高硬度微粉末により上記逆ピラミッド型凹部の側面を
    傷付ける傷付け処理工程と;テトラメチルアンモニウム
    ヒドロキシド溶液中に該シリコン基板を浸漬し、上記逆
    ピラミッド型凹部をさらに異方性エッチングし、尖鋭化
    逆ピラミッド型凹部を形成するエッチング工程と;該尖
    鋭化逆ピラミッド型凹部中にエミッタ材料を充填的に形
    成するエミッタ材料充填工程と;該エミッタ材料の充填
    後、上記シリコン基板を除去する工程と;を含んで成る
    冷電子放出素子の作製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の作製方法であって;上記
    エッチング工程後で上記エミッタ材料充填工程前に上記
    尖鋭化逆ピラミッド型凹部の形成された上記シリコン基
    板を洗浄、乾燥する工程を含むこと;を特徴とする冷電
    子放出素子の作製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の作製方法であっ
    て;上記表面酸化膜除去工程、上記傷付け処理工程、そ
    して上記エッチング工程を単位連続工程群とし、該単位
    連続工程群を複数回繰返すこと;を特徴とする冷電子放
    出素子の作製方法。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3記載の作製方法で
    あって;上記表面酸化膜除去溶液は弗酸溶液であるこ
    と;を特徴とする冷電子放出素子の作製方法。
  5. 【請求項5】 請求項1,2または3記載の作製方法で
    あって;上記高硬度微粉末はダイアモンド微粉末である
    こと;を特徴とする冷電子放出素子の作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項1,2または3記載の作製方法で
    あって;上記高硬度微粉末の平均粒子径は 0.1μm から
    0.5μm までであること;を特徴とする冷電子放出素子
    の作製方法。
  7. 【請求項7】 請求項1,2または3記載の作製方法で
    あって;上記高硬度微粉末を含有し、上記シリコン基板
    を少なくとも物理的、化学的に損傷し難い溶液はアセト
    ン溶液であること;を特徴とする冷電子放出素子の作製
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項1,2または3記載の作製方法で
    あって;上記傷付け処理工程において上記溶液を上記シ
    リコン基板に対し相対的に振動させるために超音波振動
    を用いること;を特徴とする冷電子放出素子の作製方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1,2または3記載の作製方法で
    あって;上記傷付け処理工程において上記溶液を上記シ
    リコン基板に対し相対的に振動させるのに代え、該溶液
    を撹拌すること;を特徴とする冷電子放出素子の作製方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項1,2または3記載の作製方法
    であって;上記尖鋭化逆ピラミッド型凹部中に充填され
    るエミッタ材料は高融点金属であること;を特徴とする
    冷電子放出素子の作製方法。
  11. 【請求項11】 請求項1,2または3記載の作製方法
    であって;上記尖鋭化逆ピラミッド型凹部中に充填され
    るエミッタ材料はダイアモンドであること;を特徴とす
    る冷電子放出素子の作製方法。
  12. 【請求項12】 請求項1,2または3記載の作製方法
    であって;上記尖鋭化逆ピラミッド型凹部中にエミッタ
    材料を充填的に形成する工程は、該尖鋭化逆ピラミッド
    型凹部中にエミッタ材料を化学気相成長させる工程であ
    ること;を特徴とする冷電子放出素子の作製方法。
  13. 【請求項13】 請求項1,2または3記載の作製方法
    であって;上記エミッタ材料の充填後、上記シリコン基
    板を除去する工程は、該シリコン基板を水酸化カリウム
    溶液に浸漬することで該シリコン基板を溶解、除去する
    工程であること;を特徴とする冷電子放出素子の作製方
    法。
  14. 【請求項14】 エミッタ先端に電界を集中させること
    で該エミッタから冷電子を放出させる冷電子放出素子の
    作製方法であって;予め (111)面方位の四つの側面から
    成る逆ピラミッド型凹部の形成されたシリコン基板を弗
    酸溶液中に浸漬し、表面酸化膜を除去する工程と;平均
    粒子径 0.1μm から 0.5μm までのダイアモンド微粉末
    を含有するアセトン溶液中に該シリコン基板を浸漬し、
    該アセトン溶液を超音波振動により振動させ、該ダイア
    モンド微粉末により上記逆ピラミッド型凹部の側面を傷
    付ける傷付け処理工程と;溶液濃度15%、溶液温度90℃
    のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液中に該シ
    リコン基板を浸漬し、上記逆ピラミッド型凹部をさらに
    異方性エッチングして尖鋭化逆ピラミッド型凹部を形成
    するエッチング工程と;該尖鋭化逆ピラミッド型凹部の
    形成された上記シリコン基板を純水及びアセトンを用い
    て洗浄、乾燥する工程と;該尖鋭化逆ピラミッド型凹部
    中にエミッタ材料としてのダイアモンドを化学気相成長
    させる工程と;該ダイアモンドの充填後、上記シリコン
    基板を水酸化カリウム溶液に浸漬し、該シリコン基板を
    溶解、除去する工程と;を含んで成る冷電子放出素子の
    作製方法。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の作製方法であって;
    上記表面酸化膜除去工程、上記傷付け処理工程、そして
    上記エッチング工程を単位連続工程群とし、該単位連続
    工程群を複数回繰返すこと;を特徴とする冷電子放出素
    子の作製方法。
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