JP3556263B2 - 微小多極真空管およびその製造方法 - Google Patents

微小多極真空管およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3556263B2
JP3556263B2 JP4415994A JP4415994A JP3556263B2 JP 3556263 B2 JP3556263 B2 JP 3556263B2 JP 4415994 A JP4415994 A JP 4415994A JP 4415994 A JP4415994 A JP 4415994A JP 3556263 B2 JP3556263 B2 JP 3556263B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
emitter
insulating layer
electrode layer
gate electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4415994A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07254367A (ja
Inventor
正幸 中本
富男 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP4415994A priority Critical patent/JP3556263B2/ja
Publication of JPH07254367A publication Critical patent/JPH07254367A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3556263B2 publication Critical patent/JP3556263B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電界放出型の微小多極真空管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体スイッチング素子の動作速度は、固体中におけるキャリアの移動度によって決まるため、真空中において電子を移動させる3極真空管のそれより大幅に遅い。現在、半導体スイッチング素子の動作速度を向上させるべく種々の研究がなされているが、すでに限界に近付いている。
【0003】
このような事情から、最近では半導体加工技術を利用して形成された電界放出型の冷陰極(エミッタ)を用いる微小多極真空管の研究が活発に行なわれている。その代表的な例としては、スピント(C.A.Spindt)らが、Journal of AppliedPhysics, Vol.47,5248(1976) に記載したものが知られている。
【0004】
上記文献に記載されているものは、Si単結晶基板上にSiO 絶縁層とゲート電極層とを形成した後、両層に直径約1.5 μm程度の穴をあけ、この穴の中に電界放出を行なう円錐状のエミッタを蒸着法によって形成している。具体的には、Si単結晶基板上にSiO 絶縁層をCVD法等の堆積法で形成し、その上にMo層あるいはAl層からなるゲート電極層をスパッタリング法で形成する。そして、両層にエッチングによってピンホールをあけた後、基板を回転させながらエミッタとなる金属、たとえばMoを垂直方向から真空蒸着し、ゲート電極上にMoが堆積されるにしたがってピンホールの開口端の直径が徐々に小さくなる現象を利用して、ピンホール内の基板上に円錐型のエミッタを堆積形成する。そして、これらエミッタに対向させてアノード電極を配置して微小多極真空管を完成させるようにしている。
【0005】
しかし、この方法では、回転蒸着法を利用して、ピンホール内に円錐状のエミッタを形成しているため、多数のエミッタを同一基板上に同時に形成したとき、各エミッタの高さや先端部の形状にばらつきが生じ易いばかりか、電界放出効率の向上に不可欠なエミッタ先端部の尖鋭度を上げることが困難であった。
【0006】
一方、他の代表的な例としては、応用物理、Vol.59,p146(1990) に記載されているように、Si単結晶基板に対する異方性エッチングを用いて円錐状の電界放出型エミッタを作製したものも知られている。
【0007】
図5にその作製プロセスおよび構造を示す。
まず、同図(a) に示すように、Si単結晶基板1の上面にSiN膜2を約 4μmの厚さにスパッタリングで堆積し、このSiN膜2上に、同図(b) に示すように、フォトレジスト3を円形に設ける。次に、SF を用いた反応性イオンエッチング法によって異方性エッチング用のマスク4を作製する。次に、同図(c) に示すように、異方性エッチング液を使ってマスク4の下部をアンダーエッチングして、マスク4が付いたままの円錐形状のエミッタ5を作製する。
【0008】
次に、同図(d) に示すように、SiO からなる絶縁層6,7とTa等からなる電極層8,9を交互に2回ずつ蒸着する。電極層8はゲート電極用であり、電極層9はアノード電極用である。
【0009】
最後に、同図(e) に示すように、絶縁層6,7および電極層8,9におけるマスク4の上方に位置している部分、マスク4、絶縁層6におけるマスク4の下方に位置している部分をそれぞれ除去し、続いて異方性エッチング液および弗酸によってエミッタ5の先端の最終加工と絶縁層の軽いエッチングを行い、微小多極真空管を完成させるようにしている。
【0010】
この方法では、Si単結晶に対する異方性エッチング法を用いているので、前述した回転蒸着法に比較して、エミッタの先端部尖鋭化、形状の均一化をある程度向上させることができる。しかし、アンダーエッチング時間の制御が難しいばかりか、マスク4の剥離にばらつきが生じ易く、エミッタ先端部の尖鋭度、形状の均一性、再現性ともに充分なものではなかった。また、この方法においても、マスク4の存在が障害となり、ゲートをエミッタに十分近付けることができず、しかも電界放出効率に大きな影響を与えるエミッタ・ゲート間の距離を正確に設定できない問題があった。アノードについても同様で、マスク4の存在が障害となり、エミッタ5に対向する部分にエミッタ5の基定部の径より大きい孔10を設ける必要がある。このため、アノードにおいて、エミッタ5から放出された電子流を受ける部分が孔10の周縁部でエミッタ側に位置するエッジ部に限られ、この部分が熱的損傷を受け易く、耐久性に劣るばかりか、電子流の一部がゲートに流れ易く、効率が悪いという問題があった。さらに、エミッタ材料には、仕事関数の値が小さく、物理的・化学的に安定なことが要求されるが、この方法では2つの性質がともに不満足なSiしかエミッタ材料として用いることができない問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、従来の電界放出型の微小多極真空管にあっては、エミッタの先端部尖鋭度を増すことが困難で、電界放出効率を向上させることが困難であったり、エミッタの形状を均一にすることが困難であったり、ゲート・エミッタ間の距離を高精度に設定することが困難であったり、アノードの耐久性に欠けたり、効率が悪かったり、エミッタ材料が特定化されたりするなどの問題があった。
そこで本発明は、上述した不具合を解消できる電界放出型の微小多極真空管およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、
仕事関数が小さく、且つ、物理的・化学的に安定な材料で作られた表材層と上記表材層の構成材料より固有抵抗の大きい材料で形成された芯材層との複合構成に形成され、先端部が先鋭な凸状のエミッタ部を有するエミッタ部材と、
このエミッタ部材の前記エミッタ部が突出している側の表面上で前記エミッタ部の先端部を除く部分に設けられた第1の絶縁層と、
この第1の絶縁層の上に設けられ、上記第1の絶縁層を介して前記エミッタ部を囲む部分が上記エミッタ部の周面部に沿った先細り筒状に形成されてなるゲート電極層と、
このゲート電極層の上に設けられた第2の絶縁層と、
この第2の絶縁層上に設けられ、上記第2の絶縁層、前記ゲート電極層および前記第1の絶縁層を介して前記エミッタ部を囲む部分が上記エミッタ部の周面部に沿った先細りの筒状に形成されてなるアノード電極と、
を具備し、前記エミッタ部の先端から見通せる立体角内に前記ゲート電極層および前記アノード電極層の前記筒状に形成された部分の少なくとも先端部内周面が夫々露出状態に位置していることを特徴とする微小多極真空管が提供される。
【0013】
また、この発明によれば、
補助基板に低部を尖らせた凹部を設ける工程と、
前記凹部の内面を含む前記補助基板の表面に第1の絶縁層を設ける工程と、
前記第1の絶縁層の露出している一方の面上に仕事関数が小さく、且つ、物理的・化学的に安定な材料からなる表材層を形成し、前記前記表材層の露出している面上に上記表材層を構成している材料より固有抵抗の大きい材料からなる芯材層を形成して前記第1の絶縁層の露出している一方の面上にエミッタ部材層を形成する工程と、
前記補助基板を除去して前記第1の絶縁層の他方の面を露出させる工程と、
前記第1の絶縁層の前記他方の面上にゲート電極層を形成する工程と、
前記ゲート電極層の露出している面上に第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第2の絶縁層の露出している面上にアノード電極層を形成する工程と、
前記凹部に起因して前記エミッタ部材層に形成された凸部をエミッタ部とし、前記第1の絶縁層、前記ゲート電極層、前記第2の絶縁層及び前記アノード電極層の上記エミッタ部を覆っている部分を対象にして、上記各層が上記エミッタ部の周面部に沿って上記エミッタ部を先細り筒状に囲み、且つ上記エミッタ部の先端から見通せる立体角内に上記ゲート電極層及び上記アノード電極層の上記筒状部分の少なくとも先端部内周面が夫々露出状態に位置するように上記各層の一部を夫々除去する工程と、
を具備してなることを特徴とする微小多極真空管の製造方法が提供される。
【0017】
【作用】
請求項1に係る微小多極真空管では、ゲート電極層におけるエミッタ部を囲んでいる部分を、エミッタ部の周面部に沿って先細りとなる筒状に形成しているので、第1の絶縁層の厚みを調整することによって、ゲートをエミッタに十分近付けることができ、しかもゲート・エミッタ間の距離を正確に設定できるので、電界放出効率を向上させることが可能となる。また、アノード電極層についても、エミッタ部を囲んでいる部分を、エミッタ部の周面部に沿って先細りとなる筒状に形成しているので、第2の絶縁層の厚みを調整することによって、ゲート・アノード間距離およびエミッタ・アノード間距離を正確に設定できる。
【0018】
また、この場合には、上記形状の採用によってエミッタの先端延長線にアノードを近付けることができ、これによってエミッタから放出された電子流を受ける部分の面積を広くできる。したがって、アノードの熱破壊を防止でき、耐久性を向上させることができるばかりか、エミッタから放出された電子流のうち、ゲートに向かう分の割合を少なくできるので、効率を向上させることができる。
【0020】
また、エミッタ部材を、仕事関数が小さく、かつ物理的・化学的に安定な材料で形成された表材層と上記表材層の構成材料より固有抵抗の大きい材料で形成された芯材層との複合構成に形成すると、アレイ化したときに各微小多極真空管を安定に動作させることができる。すなわち、エミッタ部の先端へと流れる電流は、芯材層および表材層を経由して流れる。芯材層は表材層より固有抵抗の大きい材料で形成されているので、アレイ化したときに特定のエミッタ部に電流が集中して流れようとすると、芯材層における上記特定のエミッタ部に対応する部分での電圧降下が自動的に大きくなり、この結果として特定のエミッタ部への電流集中が緩和される。したがって、各微小多極真空管を安定に動作させることができる。
【0021】
請求項3に係る微小多極真空管の製造方法では、最初に補助基板に設ける凹部を高精度に設けておきさえすれば、エミッタ部を高精度に、かつ尖鋭度よく、しかも均一に作製することができる。
【0022】
たとえば、補助基板として、Si単結晶基板を用い、この基板の結晶方位を利用して異方性エッチングを行えば、精度の高い、たとえば逆ピラミッド状の凹部を形成することができる。そして、上記補助基板の凹部の内面を含む表面にSiO 熱酸化膜を形成し、これを第1の絶縁層とする。SiO 熱酸化膜は、緻密で膜厚の制御が容易であり、しかも凹部先端部における内側への成長作用により、SiO 熱酸化膜で囲まれた逆ピラミッド状空間の先端部をより尖鋭化させる。
【0023】
請求項3に係る製造方法に従うと、最終的に、エミッタ部は、先端部が尖鋭化された上述の逆ピラミッド状空間を埋めるように設けられたエミッタ部材層で形成されることとになる。従って、高精度で、かつ尖鋭度が高く、形状の均一なエミッタ部を製造することが可能となる。しかも、仕事関数の値が小さく、物理的・化学的に安定な材料でエミッタ部を製作することができるので、効率および耐久性を向上させることができる。
【0024】
なお、エミッタ部材層を形成する工程において、補助基板の表面上に形成された第1の絶縁層の露出している一方の面上に仕事関数が小さく、かつ物理的・化学的に安定な材料からなる表材層を形成し、続いて表材層の露出している面上に表材層を構成している材料より固有抵抗の大きい材料からなる芯材層を形成するようにすると、前述のように各エミッタ部へ流れる電流をバランスさせる機能を備えたものを製造できる。
【0025】
仕事関数が小さく、物理的・化学的に安定な材料としては、W,Mo,Ta等を挙げることができる。これらの材料を使って、たとえばスパッタリング法で表材層を形成した場合、成膜内の応力が大きいので、厚膜にすることができないが、芯材層の付加によって、実質的に緻密で、肉厚の厚いエミッタ部材層を形成することができる。芯材層としては、固有抵抗の大きい材料としてはルテニウム、カーボン、シリコンなどを用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
図1(a) 〜(h) には本発明の一実施例に係る微小多極真空管の製造プロセスが示されている。同図に基づいて、この実施例に係る微小多極真空管の製造方法および構造を説明する。なお、この図では1つの微小多極真空管を取出して示しているが、実際には複数の微小多極真空管をアレイ状に配列したものが作られる。
【0027】
まず、図1(a) に示すように補助基板としてのSi単結晶基板11を用意し、このSi単結晶基板11の片側表面に底部を尖らせた凹部12を形成する。
このような凹部12を形成する方法としては、Si単結晶基板11への異方性エッチングを利用する。すなわち、まず、p型で(100) 結晶面方位のSi単結晶基板11上に厚さ0.1 μmのSiO 熱酸化膜をドライ酸化法で形成し、この熱酸化膜上にフォトレジストをスピンコート法で塗布する。次に、光ステッパを用いて、フォトレジスト層にたとえば0.8 μm角の正方形開口部が得られるよう露光、現像等のパターニングを行った後、露出したSiO 熱酸化膜をNH F・HF混合溶液によってエッチングする。フォトレジストを除去した後、30wt%KOH水溶液を用いて異方性エッチングを行い、図1(a) に示すように、深さ0.56μmの逆ピラミッド状の凹部12をSi単結晶基板11に形成する。
【0028】
次に、NH F・HF混合溶液を用いて、残っているSiO 酸化膜を除去する。次に、図1(b) に示すように、凹部12の内面を含めてSi単結晶基板11の表面上にSiO 熱酸化膜(以後、単に第1の絶縁層と呼称する。)13を形成する。この実施例では、厚さ0.2 μmとなるように、第1の絶縁層13をドライ酸化法で形成した。なお、第1の絶縁層13を形成するに当たり、CVD法等によりSiO を堆積することによっても形成できるが、SiO 熱酸化膜は緻密で厚さの制御も容易なうえ、凹部12の内側への成長作用により、SiO 熱酸化膜で囲まれた逆ピラミッド状空間の先端部をより尖鋭化させるので好ましい。
【0029】
次に、第1の絶縁層13の露出している一方の面上に、エミッタ部材層14の表層となる表材層15を、たとえばW,Mo,Ta等の層で形成する。これらの材料は仕事関数の値が小さく、物理的・化学的に安定している。この実施例では表材層15となる厚さ0.2 μmのW層をスパッタリング法で形成した。次に、表材層15の上に、エミッタ部材層14の芯材となる芯材層16を表材層15の構成材より固有抵抗の大きいLu,C,Si等で表面が平坦となる程度の厚さにスパッタリング法で形成し、この芯材層16の上にITO等の導電層17をスパッタリング法により、たとえば厚さ1 μmとなるように形成する。なお、この導電層17は芯材層16の材質によっては省くことができ、その場合には芯材層16がカソード電極層を兼ねることになる。
【0030】
一方、図1(c) に示すように、構造基板として、背面に厚さ0.4 μmのAl層18をコートした厚さ 1mmのパイレックスガラス基板19を用意し、このガラス基板19と導電層17とを接着する。この接着には、たとえば静電接着法を適用することもできる。静電接着法は、最終的に出来上がった真空管の軽量化や薄型化に寄与する。
【0031】
次に、図1(d) に示すように、ガラス基板19の背面のAl層18をHNO ・CH COOH・HFの混酸溶液で除去した後、エチレンジアミン・ピロカテコール・ピラジンから成る水溶液(エチレンジアミン:ピロカテコール:ピラジン:水=75cc:12g :3mg :10cc)でSi単結晶基板11のみをエッチング除去し、第1の絶縁層13の他方の面を露出させる。この第1の絶縁層13の他方の面の露出によって、表面が第1の絶縁層13で覆われたピラミッド状の凸部20が突出したものとなる。このピラミッド状の凸部20内は、前述したエミッタ部材層14で形成されている。
【0032】
次に、図1(e) に示すように、第1の絶縁層13の上に凸部20の形状に沿わせて、ゲート電極層21となる厚さ0.2 μmのW層をスパッタリング法によって形成する。その後、ゲート電極層21の上に第2の絶縁層22となる厚さ0.4 μmのSiO 膜を電子ビーム蒸着法によって形成し、続いて第2の絶縁層22の上にアノード電極層23となる厚さ0.3 μmのW層をスパタリング法によって形成する。続いて、アノード電極層23の上にフォトレジスト24をスピンコート法で約0.3 μm厚程度、つまりピラミッド状部分の先端が隠れる程度の厚さに塗布する。
【0033】
次に、図1(f) に示すように、酸素プラズマによるドライエッチングを行い、ピラミッド状部分の先端部が0.4 μm程現れるように、フォトレジスト24をエッチング除去する。
【0034】
次に、図1(g) に示すように、反応性イオンエッチングにより、アノード電極層23におけるピラミッド先端部を構成している部分を除去し、この部分に開口部25を設ける。
【0035】
次に、フォトレジスト24を除去した後、NH F・HF混合溶液を用い、第2の絶縁層22で開口部25の下に位置する部分およびその周辺に位置する部分を除去する。次に、フォトレジストを再び塗布する。そして、ゲート電極層21で開口部25の下に位置する部分が0.2 μm程度現れるように上記フォトレジストを酸素プラズマによるドライエッチングで除去し、第1の絶縁層13における開口部25の下に位置する部分を露出させる。
【0036】
次に、フォトレジストを除去し、続いてNH F・HF混合溶液を用い、第1の絶縁層13における露出部分を除去し、図1(h) に示すように、凸部20内に存在しているピラミッド状のエミッタ部材層14、つまりエミッタ部26の先端部を露出させる。
【0037】
これらの一連の工程によって、先端部が尖鋭な凸状のエミッタ部26を有するエミッタ部材層14と、このエミッタ部材層14のエミッタ部26が突出している側の表面上でエミッタ部26の先端部を除く部分に設けられた第1の絶縁層13と、この第1の絶縁層13の上に設けられ、第1の絶縁層13を介してエミッタ部26を囲む部分がエミッタ部26の周面部に沿った先細りの筒状に形成されてなるゲート電極層21と、このゲート電極層21の上に設けられた第2の絶縁層22と、この第2の絶縁層22の上に設けられ、第2の絶縁層22、ゲート電極層21および第1の絶縁層13を介してエミッタ部26を囲む部分がエミッタ部26の周面部に沿った先細りの筒状に形成されてなるアノード電極層23とを備え、エミッタ部26の先端から見通せる立体角内にゲート電極層21およびアノード電極層23の前記筒状に形成された部分の少なくとも先端部内周面がそれぞれ露出状態に位置している微小多極真空管が形成されたことになる。
【0038】
図2には、図1(h) に示す工程を終了した時点におけるエミッタ部26の近傍を一部切欠した斜視図が示されている。そして、このようにして形成された微小多極真空管は、真空雰囲気内に収容されて使用される。
【0039】
このように、上記実施例に係る微小多極真空管では、まず補助基板としてのSi単結晶基板11に異方性エッチングによって凹部12を形成し、その後に凹部12を含むSi単結晶基板11の表面にSiO 熱酸化膜からなる第1の絶縁層13を形成し、この第1の絶縁層13の表面上にエミッタ部材層14を形成している。このため、凹部12の形状に応じたエミッタ部26を再現性良く形成することができる。さらに、上述した異方性エッチングによる形状再現性は勿論のこと、SiO 熱酸化膜からなる第1の絶縁層13による凹部12の内側空間への成長作用により、先端部が鋭く尖り、かつ高さの均一性に優れたピラミッド状のエミッタ部26を安定して形成することができる。したがって、電界放射効率の向上および各エミッタ部26の電界放射効率の均一性を向上させることができる。
【0040】
また、ゲート電極層21におけるエミッタ部26を囲んでいる部分を、エミッタ部26の周面部に沿って先細りとなる筒状に形成しているので、第1の絶縁層13の厚みを調整することによって、ゲートをエミッタに十分近付けることができるとともにゲート・エミッタ間の距離を正確に設定できる。このため、電界放出効率を向上させることが可能となる。
【0041】
また、アノード電極層23についても、エミッタ部26を囲んでいる部分を、エミッタ部26の周面部に沿って先細りとなる筒状に形成しているので、第2の絶縁層22の厚みを調整することによって、ゲート・アノード間距離およびエミッタ・アノード間距離を正確に設定できる。
【0042】
また、上記形状を採用しているので、エミッタ部26の先端延長線にアノード電極層23を十分に近付けることができ、これによってエミッタ部26から放出された電子流を受ける部分の面積を広くできる。したがって、アノードの熱破壊を防止でき、耐久性を向上させることができるばかりか、エミッタから放出された電子流のうち、ゲートに向かう分の割合を少なくできるので、効率を向上させることができる。上述した説明から判るように、アノード電極層23に設けられる開口部25の径は小さい程よい。その程度としては、図3に示すように、エミッタ部26における基部の径をD とし、開口部25の内径をD としたとき、D /D ≦0.8 を満たす関係、特にD /D <0.5 を満たすことが好ましい。
【0043】
また、エミッタ部材層14を表材層15と芯材層16との複合構成としているので、エミッタに要求される特性を満たす材料の使用が可能となる。すなわち、実施例のように、表材層15として仕事関数が小さく、物理的・化学的に安定な材料の使用が可能となる。また、実施例のように、表材層15の構成材より固有抵抗の大きい材料で芯材層16を形成すると、この芯材層16によって各エミッタ部26へ流れる電流をバランスさせることができる。すなわち、アレイ化したときに特定のエミッタ部26に電流が集中して流れようとすると、芯材層16における上記特定のエミッタ部に対応する部分での電圧降下が自動的に大きくなり、この結果として特定のエミッタ部への電流集中が緩和される。したがって、アレイ化されている各微小多極真空管を安定に動作させることができるとともに電流集中によって起こる熱破壊の発生を防止できる。
【0044】
なお、上述した実施例においては、エミッタ部26をピラミッド形に形成しているが、電流容量を持たせようとするときには、図4に示すように、エミッタ部26aを屋根形に形成するとよい。このような形状は、Si単結晶補助基板に異方性エチング処理を施すときに、マスクの開口部形状を長方形に設定することによって実現できる。また、第1の絶縁層13とゲート電極層21との間にボロンを含む半導体層を介在させ、Si単結晶補助基板をエッチングで除去するときに上記半導体層をエッチング停止層として使用してもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電界放出効率が高く、アレイ化したときの均一性を満たすことができ、アレイ化したときの動作の信頼性および耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る微小多極真空管の製造プロセスを説明するための図
【図2】同製造プロセスを経て製造された微小多極真空管を一部切欠して示す斜視図
【図3】同製造プロセスを経て製造された微小多極真空管の拡大縦断面図
【図4】エミッタ部の別の形状を示す斜視図
【図5】従来の微小多極真空管の製造プロセスの一例を説明するための図
【符号の説明】
11…補助基板 12…凹部
13…第1の絶縁層 14…エミッタ部材層
15…表材層 16…芯材層
17…導電層 20…凸部
21…ゲート電極層 22…第2の絶縁層
23…アノード電極層 25…開口部
26,26a…エミッタ部

Claims (3)

  1. 仕事関数が小さく、且つ、物理的・化学的に安定な材料で作られた表材層と上記表材層の構成材料より固有抵抗の大きい材料で形成された芯材層とから構成され、先端部が先鋭な凸状のエミッタ部を有するエミッタ部材と、
    このエミッタ部材の前記エミッタ部が突出している側の表面上で前記エミッタ部の先端部を除く部分に設けられた第1の絶縁層と、
    この第1の絶縁層の上に設けられ、上記第1の絶縁層を介して前記エミッタ部を囲む部分が上記エミッタ部の周面部に沿った先細り筒状に形成されてなるゲート電極層と、
    このゲート電極層の上に設けられた第2の絶縁層と、
    この第2の絶縁層上に設けられ、上記第2の絶縁層、前記ゲート電極層および前記第1の絶縁層を介して前記エミッタ部を囲む部分が上記エミッタ部の周面部に沿った先細りの筒状に形成されてなるアノード電極と、
    を具備し、前記エミッタ部の先端から見通せる立体角内に前記ゲート電極層および前記アノード電極層の前記筒状に形成された部分の少なくとも先端部内周面が夫々露出状態に位置していることを特徴とする微小多極真空管。
  2. 前記エミッタ部における基部の径を とし、前記アノード電極層における前記筒状の部分の先端部径を としたとき、 /D ≦0.8を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の微小多極真空管。
  3. 補助基板に低部を尖らせた凹部を設ける工程と、
    前記凹部の内面を含む前記補助基板の表面に第1の絶縁層を設ける工程と、
    前記第1の絶縁層の露出している一方の面上に仕事関数が小さく、且つ、物理的・化学的に安定な材料からなる表材層を形成し、前記表材層の露出している面上に上記表材層を構成している材料より固有抵抗の大きい材料からなる芯材層を形成して前記第1の絶縁層の露出している一方の面上にエミッタ部材層を形成する工程と、
    前記補助基板を除去して前記第1の絶縁層の他方の面を露出させる工程と、
    前記第1の絶縁層の前記他方の面上にゲート電極層を形成する工程と、
    前記ゲート電極層の露出している面上に第2の絶縁層を形成する工程と、
    前記第2の絶縁層の露出している面上にアノード電極層を形成する工程と、
    前記凹部に起因して前記エミッタ部材層に形成された部をエミッタ部とし、前記第1の絶縁層、前記ゲート電極層、前記第2の絶縁層及び前記アノード電極層の上記エミッタ部を覆っている部分を対象にして、上記各層が上記エミッタ部の周面部に沿って上記エミッタ部を先細り筒状に囲み、且つ上記エミッタ部の先端から見通せる立体角内に上記ゲート電極層及び上記アノード電極層の上記筒状部分の少なくとも先端部内周面が夫々露出状態に位置するように上記各層の一部を夫々除去する工程と、
    を具備してなることを特徴とする微小多極真空管の製造方法。
JP4415994A 1994-03-15 1994-03-15 微小多極真空管およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3556263B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4415994A JP3556263B2 (ja) 1994-03-15 1994-03-15 微小多極真空管およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4415994A JP3556263B2 (ja) 1994-03-15 1994-03-15 微小多極真空管およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07254367A JPH07254367A (ja) 1995-10-03
JP3556263B2 true JP3556263B2 (ja) 2004-08-18

Family

ID=12683837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4415994A Expired - Fee Related JP3556263B2 (ja) 1994-03-15 1994-03-15 微小多極真空管およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3556263B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07254367A (ja) 1995-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5228877A (en) Field emission devices
US6097138A (en) Field emission cold-cathode device
US5627427A (en) Silicon tip field emission cathodes
JP3249288B2 (ja) 微小真空管およびその製造方法
JPH06267403A (ja) 電界放出型冷陰極およびその製造方法
JP3388870B2 (ja) 微小3極真空管およびその製造方法
KR100243990B1 (ko) 전계방출 캐소드와 그 제조방법
US6036565A (en) Method of fabricating a field emmision cold cathode
JP3556263B2 (ja) 微小多極真空管およびその製造方法
JP3231528B2 (ja) 電界放出型冷陰極およびその製造方法
JPH03295131A (ja) 電界放出素子およびその製造方法
JPH0574327A (ja) 電子放出素子
EP0569671A1 (en) Field emission cold cathode and method for manufacturing the same
JP3405584B2 (ja) 微小多極真空管の製造方法
JP3625297B2 (ja) 微小真空管およびその製造方法
JP3184890B2 (ja) 電子放出素子及びその製造方法
KR100441489B1 (ko) 마이크로 히팅 구조를 갖는 전계방출소자 및 그 제조방법
JPH0541152A (ja) 電界放出陰極の製造方法
JP3144297B2 (ja) 真空マイクロデバイス及びその製造方法
JP3460376B2 (ja) 微少冷電子源の製造方法
KR100313780B1 (ko) 냉전자 전계방출용 다이아몬드 팁 및 그 제조방법
KR100274793B1 (ko) 선형 전계방출 이미터 및 그의 제조방법
KR100215217B1 (ko) 단결정 몰드를 이용한 필드에미터 제조방법
JP3143679B2 (ja) 電子放出素子及びその製造方法
JPH0887958A (ja) 電界放出型冷陰極装置及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040203

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040402

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040427

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040512

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees