JP3405584B2 - 微小多極真空管の製造方法 - Google Patents
微小多極真空管の製造方法Info
- Publication number
- JP3405584B2 JP3405584B2 JP04433794A JP4433794A JP3405584B2 JP 3405584 B2 JP3405584 B2 JP 3405584B2 JP 04433794 A JP04433794 A JP 04433794A JP 4433794 A JP4433794 A JP 4433794A JP 3405584 B2 JP3405584 B2 JP 3405584B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- insulating layer
- substrate
- emitter
- forming
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界放出型の微小多極
真空管の製造方法に関する。
真空管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体スイッチング素子の動作速度は、
固体中におけるキャリアの移動度によって決まるため、
真空中において電子を移動させる3極真空管のそれより
大幅に遅い。現在、半導体スイッチング素子の動作速度
を向上させるべく種々の研究がなされているが、すでに
限界に近付いている。
固体中におけるキャリアの移動度によって決まるため、
真空中において電子を移動させる3極真空管のそれより
大幅に遅い。現在、半導体スイッチング素子の動作速度
を向上させるべく種々の研究がなされているが、すでに
限界に近付いている。
【0003】このような事情から、最近では半導体加工
技術を利用して形成された電界放出型の冷陰極(エミッ
タ)を用いる微小多極真空管の研究が活発に行なわれて
いる。その代表的な例としては、スピント(C.A.Spind
t)らが、Journal of AppliedPhysics, Vol.47,5248(19
76) に記載したものが知られている。
技術を利用して形成された電界放出型の冷陰極(エミッ
タ)を用いる微小多極真空管の研究が活発に行なわれて
いる。その代表的な例としては、スピント(C.A.Spind
t)らが、Journal of AppliedPhysics, Vol.47,5248(19
76) に記載したものが知られている。
【0004】上記文献に記載されているものは、Si単
結晶基板上にSiO2 絶縁層とゲート電極層とを形成し
た後、両層に直径約1.5 μm程度の穴をあけ、この穴の
中に電界放出を行なう円錐状のエミッタを蒸着法によっ
て形成している。具体的には、Si単結晶基板上にSi
O2 絶縁層をCVD法等の堆積法で形成し、その上にM
o層あるいはAl層からなるゲート電極層をスパッタリ
ング法で形成する。そして、両層にエッチングによって
ピンホールをあけた後、基板を回転させながらエミッタ
となる金属、たとえばMoを垂直方向から真空蒸着し、
ゲート電極上にMoが堆積されるにしたがってピンホー
ルの開口端の直径が徐々に小さくなる現象を利用して、
ピンホール内の基板上に円錐型のエミッタを堆積形成す
る。そして、これらエミッタに対向させてアノード電極
を配置して微小多極真空管を完成させるようにしてい
る。
結晶基板上にSiO2 絶縁層とゲート電極層とを形成し
た後、両層に直径約1.5 μm程度の穴をあけ、この穴の
中に電界放出を行なう円錐状のエミッタを蒸着法によっ
て形成している。具体的には、Si単結晶基板上にSi
O2 絶縁層をCVD法等の堆積法で形成し、その上にM
o層あるいはAl層からなるゲート電極層をスパッタリ
ング法で形成する。そして、両層にエッチングによって
ピンホールをあけた後、基板を回転させながらエミッタ
となる金属、たとえばMoを垂直方向から真空蒸着し、
ゲート電極上にMoが堆積されるにしたがってピンホー
ルの開口端の直径が徐々に小さくなる現象を利用して、
ピンホール内の基板上に円錐型のエミッタを堆積形成す
る。そして、これらエミッタに対向させてアノード電極
を配置して微小多極真空管を完成させるようにしてい
る。
【0005】しかし、この方法では、回転蒸着法を利用
して、ピンホール内に円錐状のエミッタを形成している
ため、多数のエミッタを同一基板上に同時に形成したと
き、各エミッタの高さや先端部の形状にばらつきが生じ
易いばかりか、電界放出効率の向上に不可欠なエミッタ
先端部の尖鋭度を上げることが困難であった。また、こ
の方法では、原理的にゲートをエミッタに十分近付ける
ことができず、しかも上記のようにエミッタの高さや先
端部の形状にばらつきが生じるので、やはり電界放出効
率に大きく影響を与えるエミッタ・ゲート間の距離を正
確に設定することができないという問題があった。ま
た、この方法で製作されたものでは、格別に真空容器を
用意し、この真空容器内に動作素子を収容しなければな
らず、特にアレイ化した場合において、全体を小型化す
ることが困難であった。
して、ピンホール内に円錐状のエミッタを形成している
ため、多数のエミッタを同一基板上に同時に形成したと
き、各エミッタの高さや先端部の形状にばらつきが生じ
易いばかりか、電界放出効率の向上に不可欠なエミッタ
先端部の尖鋭度を上げることが困難であった。また、こ
の方法では、原理的にゲートをエミッタに十分近付ける
ことができず、しかも上記のようにエミッタの高さや先
端部の形状にばらつきが生じるので、やはり電界放出効
率に大きく影響を与えるエミッタ・ゲート間の距離を正
確に設定することができないという問題があった。ま
た、この方法で製作されたものでは、格別に真空容器を
用意し、この真空容器内に動作素子を収容しなければな
らず、特にアレイ化した場合において、全体を小型化す
ることが困難であった。
【0006】一方、他の代表的な例としては、応用物
理、Vol.59,p146(1990) に記載されているように、Si
単結晶基板に対する異方性エッチングを用いて円錐状の
電界放出型エミッタを作製したものも知られている。
理、Vol.59,p146(1990) に記載されているように、Si
単結晶基板に対する異方性エッチングを用いて円錐状の
電界放出型エミッタを作製したものも知られている。
【0007】図7にその作製プロセスおよび構造を示
す。まず、同図(a) に示すように、Si単結晶基板1の
上面にSiN膜2を約 4μmの厚さにスパッタリングで
堆積し、このSiN膜2上に、同図(b) に示すように、
フォトレジスト3を円形に設ける。次に、SF6 を用い
た反応性イオンエッチング法によって異方性エッチング
用のマスク4を作製する。次に、同図(c) に示すよう
に、異方性エッチング液を使ってマスク4の下部をアン
ダーエッチングして、マスク4が付いたままの円錐形状
のエミッタ5を作製する。
す。まず、同図(a) に示すように、Si単結晶基板1の
上面にSiN膜2を約 4μmの厚さにスパッタリングで
堆積し、このSiN膜2上に、同図(b) に示すように、
フォトレジスト3を円形に設ける。次に、SF6 を用い
た反応性イオンエッチング法によって異方性エッチング
用のマスク4を作製する。次に、同図(c) に示すよう
に、異方性エッチング液を使ってマスク4の下部をアン
ダーエッチングして、マスク4が付いたままの円錐形状
のエミッタ5を作製する。
【0008】次に、同図(d) に示すように、SiO2 か
らなる絶縁層6,7とTa等からなる電極層8,9を交
互に2回ずつ蒸着する。電極層8はゲート電極用であ
り、電極層9はアノード電極用である。
らなる絶縁層6,7とTa等からなる電極層8,9を交
互に2回ずつ蒸着する。電極層8はゲート電極用であ
り、電極層9はアノード電極用である。
【0009】最後に、同図(e) に示すように、絶縁層
6,7および電極層8,9におけるマスク4の上方に位
置している部分、マスク4、絶縁層6におけるマスク4
の下方に位置している部分をそれぞれ除去し、続いて異
方性エッチング液および弗酸によってエミッタ5の先端
の最終加工と絶縁層の軽いエッチングを行い、微小多極
真空管を完成させるようにしている。
6,7および電極層8,9におけるマスク4の上方に位
置している部分、マスク4、絶縁層6におけるマスク4
の下方に位置している部分をそれぞれ除去し、続いて異
方性エッチング液および弗酸によってエミッタ5の先端
の最終加工と絶縁層の軽いエッチングを行い、微小多極
真空管を完成させるようにしている。
【0010】この方法では、Si単結晶に対する異方性
エッチング法を用いているので、前述した回転蒸着法に
比較して、エミッタの先端部尖鋭化、形状の均一化をあ
る程度向上させることができる。しかし、アンダーエッ
チング時間の制御が難しいばかりか、マスク4の剥離に
ばらつきが生じ易く、エミッタ先端部の尖鋭度、形状の
均一性、再現性ともに充分なものではなかった。また、
この方法においても、マスク4の存在が障害となり、ゲ
ートをエミッタに十分近付けることができず、しかも電
界放出効率に大きな影響を与えるエミッタ・ゲート間の
距離を正確に設定できない問題があった。また、エミッ
タ材料には、仕事関数の値が小さく、物理的・化学的に
安定なことが要求されるが、この方法では2つの性質が
ともに不満足なSiしかエミッタ材料として用いること
ができない問題があった。また、この方法で製作された
ものにあっても、格別な真空容器を用意しなければなら
ず、アレイ化した場合において小型化することが困難で
あった。
エッチング法を用いているので、前述した回転蒸着法に
比較して、エミッタの先端部尖鋭化、形状の均一化をあ
る程度向上させることができる。しかし、アンダーエッ
チング時間の制御が難しいばかりか、マスク4の剥離に
ばらつきが生じ易く、エミッタ先端部の尖鋭度、形状の
均一性、再現性ともに充分なものではなかった。また、
この方法においても、マスク4の存在が障害となり、ゲ
ートをエミッタに十分近付けることができず、しかも電
界放出効率に大きな影響を与えるエミッタ・ゲート間の
距離を正確に設定できない問題があった。また、エミッ
タ材料には、仕事関数の値が小さく、物理的・化学的に
安定なことが要求されるが、この方法では2つの性質が
ともに不満足なSiしかエミッタ材料として用いること
ができない問題があった。また、この方法で製作された
ものにあっても、格別な真空容器を用意しなければなら
ず、アレイ化した場合において小型化することが困難で
あった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来の電
界放出型の微小多極真空管にあっては、エミッタの先端
部尖鋭度を増すことが困難で、電界放出効率を向上させ
ることが困難であったり、エミッタの形状を均一にする
ことが困難であったり、ゲート・エミッタ間の距離を高
精度に設定することが困難であったり、アレイ化したと
きの小型化が困難であったり、エミッタ材料が特定化さ
れたりするなどの問題があった。そこで本発明は、上述
した不具合を解消できる電界放出型の微小多極真空管の
製造方法を提供することを目的としている。
界放出型の微小多極真空管にあっては、エミッタの先端
部尖鋭度を増すことが困難で、電界放出効率を向上させ
ることが困難であったり、エミッタの形状を均一にする
ことが困難であったり、ゲート・エミッタ間の距離を高
精度に設定することが困難であったり、アレイ化したと
きの小型化が困難であったり、エミッタ材料が特定化さ
れたりするなどの問題があった。そこで本発明は、上述
した不具合を解消できる電界放出型の微小多極真空管の
製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る微小多極真空管の製造方法では、基板
の周縁部を除く領域に低部を尖らせた凹部を複数設ける
工程と、前記各凹部の内面を含む前記基板の表面に絶縁
層を設ける工程と、前記絶縁層の前記基板に接している
一方の面で前記周縁部を除く部分を露出させるべく上記
基板を枠状に加工するとともに前記絶縁層の他方の面上
にエミッタ部材層を形成する工程と、前記絶縁層の前記
一方の面で露出している部分およびこれに繋がる前記基
板の表面上にゲート電極層を形成する工程と、前記各凹
部に起因して前記エミッタ部材層に形成された凸部をエ
ミッタ部とし、これらエミッタ部の先端部を露出させる
べく前記ゲート電極層の一部および前記絶縁層の一部を
除去する工程と、枠状に残っている前記基板の開口部を
真空中においてアノード電極を兼ねた封止部材で気密に
封止する工程とを備えている。
に、本発明に係る微小多極真空管の製造方法では、基板
の周縁部を除く領域に低部を尖らせた凹部を複数設ける
工程と、前記各凹部の内面を含む前記基板の表面に絶縁
層を設ける工程と、前記絶縁層の前記基板に接している
一方の面で前記周縁部を除く部分を露出させるべく上記
基板を枠状に加工するとともに前記絶縁層の他方の面上
にエミッタ部材層を形成する工程と、前記絶縁層の前記
一方の面で露出している部分およびこれに繋がる前記基
板の表面上にゲート電極層を形成する工程と、前記各凹
部に起因して前記エミッタ部材層に形成された凸部をエ
ミッタ部とし、これらエミッタ部の先端部を露出させる
べく前記ゲート電極層の一部および前記絶縁層の一部を
除去する工程と、枠状に残っている前記基板の開口部を
真空中においてアノード電極を兼ねた封止部材で気密に
封止する工程とを備えている。
【0017】また、本発明に係る微小多極真空管の製造
方法では、基板の周縁部を除く領域に低部を尖らせた凹
部を複数設ける工程と、前記各凹部の内面を含む前記基
板の表面に第1の絶縁層を設ける工程と、前記第1の絶
縁層の前記基板に接している一方の面で前記周縁部を除
く部分を露出させるべく上記基板を枠状に加工するとと
もに前記第1の絶縁層の他方の面上にエミッタ部材層を
形成する工程と、前記第1の絶縁層の前記一方の面で露
出している部分およびこれに繋がる前記基板の表面上に
ゲート電極層を形成する工程と、前記ゲート電極層の露
出している面上に第2の絶縁層を形成する工程と、前記
第2の絶縁層の露出している面上にアノード電極層を形
成する工程と、前記各凹部に起因して前記エミッタ部材
層に形成された凸部をエミッタ部とし、これらエミッタ
部の先端部を露出させるべく前記アノード電極層、前記
第2の絶縁層、前記ゲート電極層および前記第1の絶縁
層の一部をそれぞれ除去する工程と、枠状に残っている
前記基板の開口部を真空中において封止部材で気密に封
止する工程とを備えている。
方法では、基板の周縁部を除く領域に低部を尖らせた凹
部を複数設ける工程と、前記各凹部の内面を含む前記基
板の表面に第1の絶縁層を設ける工程と、前記第1の絶
縁層の前記基板に接している一方の面で前記周縁部を除
く部分を露出させるべく上記基板を枠状に加工するとと
もに前記第1の絶縁層の他方の面上にエミッタ部材層を
形成する工程と、前記第1の絶縁層の前記一方の面で露
出している部分およびこれに繋がる前記基板の表面上に
ゲート電極層を形成する工程と、前記ゲート電極層の露
出している面上に第2の絶縁層を形成する工程と、前記
第2の絶縁層の露出している面上にアノード電極層を形
成する工程と、前記各凹部に起因して前記エミッタ部材
層に形成された凸部をエミッタ部とし、これらエミッタ
部の先端部を露出させるべく前記アノード電極層、前記
第2の絶縁層、前記ゲート電極層および前記第1の絶縁
層の一部をそれぞれ除去する工程と、枠状に残っている
前記基板の開口部を真空中において封止部材で気密に封
止する工程とを備えている。
【0018】なお、本発明に係る製造方法において、前
記エミッタ部材層を形成する工程は、前記第1の絶縁層
の前記他方の面上に仕事関数が小さく、かつ物理的・化
学的に安定な材料からなる表材層を形成する工程と、前
記表材層の露出している面上に上記表材層を構成してい
る材料より固有抵抗の大きい材料からなる芯材層を形成
する工程とを含んでいてもよい。
記エミッタ部材層を形成する工程は、前記第1の絶縁層
の前記他方の面上に仕事関数が小さく、かつ物理的・化
学的に安定な材料からなる表材層を形成する工程と、前
記表材層の露出している面上に上記表材層を構成してい
る材料より固有抵抗の大きい材料からなる芯材層を形成
する工程とを含んでいてもよい。
【0019】
【作用】本発明に係る微小多極真空管では、エミッタ部
材の上で各エミッタ部の先端部を除く部分に絶縁層を設
け、この絶縁層の上にエミッタ部の先端部周面を囲むよ
うにゲート電極層を設けているので、絶縁層の厚み制御
によって、ゲート電極層をエミッタ部の先端部に十分接
近させることができ、かつゲート電極層とエミッタ部と
の間の距離を高精度に設定することができる。なお、絶
縁層としては、緻密で膜厚制御の容易なSiO2 熱酸化
膜が好ましい。
材の上で各エミッタ部の先端部を除く部分に絶縁層を設
け、この絶縁層の上にエミッタ部の先端部周面を囲むよ
うにゲート電極層を設けているので、絶縁層の厚み制御
によって、ゲート電極層をエミッタ部の先端部に十分接
近させることができ、かつゲート電極層とエミッタ部と
の間の距離を高精度に設定することができる。なお、絶
縁層としては、緻密で膜厚制御の容易なSiO2 熱酸化
膜が好ましい。
【0020】また、絶縁層の上に各エミッタ部の形成さ
れている領域を囲むように枠状基板を設け、この枠状基
板の開口部を封止部材で気密に封止するようにしている
ので、エミッタ部材そのものを真空容器の一部に兼用さ
せることができ、真空雰囲気に保つための格別な容器を
必要としない。したがって、全体の小型化を図ることが
できる。
れている領域を囲むように枠状基板を設け、この枠状基
板の開口部を封止部材で気密に封止するようにしている
ので、エミッタ部材そのものを真空容器の一部に兼用さ
せることができ、真空雰囲気に保つための格別な容器を
必要としない。したがって、全体の小型化を図ることが
できる。
【0021】また、エミッタ部材を、仕事関数が小さ
く、かつ物理的・化学的に安定な材料で形成された表材
層と上記表材層の構成材料より固有抵抗の大きい材料で
形成された芯材層との複合構成に形成すると、動作の信
頼性および耐久性の向上を図ることができる。すなわ
ち、各エミッタ部の先端部へと流れる電流は、芯材層お
よび表材層を経由して流れる。芯材層は表材層より固有
抵抗の大きい材料で構成されているので、特定のエミッ
タ部に電流が集中して流れようとすると、芯材層におけ
る上記特定のエミッタ部に対応する部分での電圧降下が
自動的に大きくなり、この結果として特定のエミッタ部
への電流集中が緩和される。したがって、各微小多極真
空管を安定に動作させることができるとともに電流集中
によって起こる熱破壊の発生を防止できる。なお、この
場合、エミッタ毎または複数のエミッタ毎に分離して芯
材層を設けると、電流集中緩和効果をさらに向上させる
ことができる。また、表材層として、エミッタに要求さ
れる特性、つまり仕事関数が小さく、かつ物理的・化学
的に安定な材料の使用が可能となる。
く、かつ物理的・化学的に安定な材料で形成された表材
層と上記表材層の構成材料より固有抵抗の大きい材料で
形成された芯材層との複合構成に形成すると、動作の信
頼性および耐久性の向上を図ることができる。すなわ
ち、各エミッタ部の先端部へと流れる電流は、芯材層お
よび表材層を経由して流れる。芯材層は表材層より固有
抵抗の大きい材料で構成されているので、特定のエミッ
タ部に電流が集中して流れようとすると、芯材層におけ
る上記特定のエミッタ部に対応する部分での電圧降下が
自動的に大きくなり、この結果として特定のエミッタ部
への電流集中が緩和される。したがって、各微小多極真
空管を安定に動作させることができるとともに電流集中
によって起こる熱破壊の発生を防止できる。なお、この
場合、エミッタ毎または複数のエミッタ毎に分離して芯
材層を設けると、電流集中緩和効果をさらに向上させる
ことができる。また、表材層として、エミッタに要求さ
れる特性、つまり仕事関数が小さく、かつ物理的・化学
的に安定な材料の使用が可能となる。
【0022】本発明に係る微小多極真空管の製造方法で
は、最初に基板に設ける凹部を高精度に設けておきさえ
すれば、エミッタ部を高精度に、かつ尖鋭度よく、しか
も均一に作製することができる。
は、最初に基板に設ける凹部を高精度に設けておきさえ
すれば、エミッタ部を高精度に、かつ尖鋭度よく、しか
も均一に作製することができる。
【0023】たとえば、基板として、Si単結晶基板を
用い、この基板の結晶方位を利用して異方性エッチング
を行えば、精度の高い、たとえば逆ピラミッド状の凹部
を形成することができる。そして、上記基板の凹部の内
面を含む表面にSiO2 熱酸化膜を形成し、これを絶縁
層(第1の絶縁層)とする。SiO2 熱酸化膜は、緻密
で膜厚の制御が容易であり、しかも凹部先端部における
内側への成長作用により、SiO2 熱酸化膜で囲まれた
逆ピラミッド状空間の先端部をより尖鋭化させる。
用い、この基板の結晶方位を利用して異方性エッチング
を行えば、精度の高い、たとえば逆ピラミッド状の凹部
を形成することができる。そして、上記基板の凹部の内
面を含む表面にSiO2 熱酸化膜を形成し、これを絶縁
層(第1の絶縁層)とする。SiO2 熱酸化膜は、緻密
で膜厚の制御が容易であり、しかも凹部先端部における
内側への成長作用により、SiO2 熱酸化膜で囲まれた
逆ピラミッド状空間の先端部をより尖鋭化させる。
【0024】本発明に係る製造方法にしたがうと、最終
的に、エミッタ部は、先端部が尖鋭化された上述の逆ピ
ラミッド状空間を埋めるように設けられたエミッタ部材
層で形成されることになる。したがって、高精度で、か
つ尖鋭度が高く、形状の均一なエミッタ部を作製するこ
とが可能となる。しかも、仕事関数の値が小さく、物理
的・化学的に安定な材料でエミッタ部を作製することが
できるので、効率および耐久性を向上させることができ
る。
的に、エミッタ部は、先端部が尖鋭化された上述の逆ピ
ラミッド状空間を埋めるように設けられたエミッタ部材
層で形成されることになる。したがって、高精度で、か
つ尖鋭度が高く、形状の均一なエミッタ部を作製するこ
とが可能となる。しかも、仕事関数の値が小さく、物理
的・化学的に安定な材料でエミッタ部を作製することが
できるので、効率および耐久性を向上させることができ
る。
【0025】なお、仕事関数の値が小さく、物理的・化
学的に安定な材料としては、W,Mo,Ta等を挙げる
ことができる。これらの材料を使って、たとえばスパッ
タリング法でエミッタ部材層を形成した場合、成膜内の
応力が大きいので、厚膜にすることが困難である。しか
し、エミッタ部材層を表材層と芯材層との複合構成にす
ると、W,Mo,Ta等を表材層として使用することが
可能となる。この場合、表材層の構成材より固有抵抗の
大きい材料で芯材層を形成すると、この芯材層によって
各エミッタ部へ流れる電流をバランスさせることができ
る。なお、芯材層の構成材としては、ルテニウム、カー
ボン、シリコンなどを用いることができる。
学的に安定な材料としては、W,Mo,Ta等を挙げる
ことができる。これらの材料を使って、たとえばスパッ
タリング法でエミッタ部材層を形成した場合、成膜内の
応力が大きいので、厚膜にすることが困難である。しか
し、エミッタ部材層を表材層と芯材層との複合構成にす
ると、W,Mo,Ta等を表材層として使用することが
可能となる。この場合、表材層の構成材より固有抵抗の
大きい材料で芯材層を形成すると、この芯材層によって
各エミッタ部へ流れる電流をバランスさせることができ
る。なお、芯材層の構成材としては、ルテニウム、カー
ボン、シリコンなどを用いることができる。
【0026】また、本発明に係る製造方法にしたがう
と、エミッタ部の上に設けられた絶縁層(第1の絶縁
層)の上にゲート電極層を設け、このゲート電極層およ
び絶縁層の一部を除去してエミッタ部の先端部を露出さ
せ、これによってエミッタ部の先端部周面に対してゲー
ト電極層を対向させるようにしているので、膜厚制御の
容易な前述のSiO2 熱酸化膜で絶縁層を形成すること
により、ゲート電極層とエミッタ部との間の距離を正確
に設定することが可能となる。
と、エミッタ部の上に設けられた絶縁層(第1の絶縁
層)の上にゲート電極層を設け、このゲート電極層およ
び絶縁層の一部を除去してエミッタ部の先端部を露出さ
せ、これによってエミッタ部の先端部周面に対してゲー
ト電極層を対向させるようにしているので、膜厚制御の
容易な前述のSiO2 熱酸化膜で絶縁層を形成すること
により、ゲート電極層とエミッタ部との間の距離を正確
に設定することが可能となる。
【0027】さらに、本発明に係る製造方法にしたがう
と、最終的に基板の周縁部を枠状に残し、この枠状の基
板を封止部材の支持材として用いているので、基板およ
びエミッタ部材そのものを真空容器の一部に兼用させる
ことができ、真空雰囲気に保つための格別な容器を必要
としない。したがって、全体の小型化を図ることができ
る。
と、最終的に基板の周縁部を枠状に残し、この枠状の基
板を封止部材の支持材として用いているので、基板およ
びエミッタ部材そのものを真空容器の一部に兼用させる
ことができ、真空雰囲気に保つための格別な容器を必要
としない。したがって、全体の小型化を図ることができ
る。
【0028】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例を説明す
る。図1(a) 〜(e) および図2(a) 〜(d) には本発明に
係る微小多極真空管の製造プロセスが示されている。同
図に基づいて、この実施例に係る微小多極真空管の製造
方法および構造を説明する。
る。図1(a) 〜(e) および図2(a) 〜(d) には本発明に
係る微小多極真空管の製造プロセスが示されている。同
図に基づいて、この実施例に係る微小多極真空管の製造
方法および構造を説明する。
【0029】まず、図1(a) に示すように、基板として
のSi単結晶基板31を用意し、このSi単結晶基板3
1の片側表面で周縁部を除いた領域に、図1(c) に示す
ように、底部を尖らせた逆ピラミッド状の凹部32を複
数等間隔に形成する。
のSi単結晶基板31を用意し、このSi単結晶基板3
1の片側表面で周縁部を除いた領域に、図1(c) に示す
ように、底部を尖らせた逆ピラミッド状の凹部32を複
数等間隔に形成する。
【0030】このような凹部32を形成する方法として
は、Si単結晶基板への異方性エッチングを利用する。
すなわち、まず、p型で(100) 結晶面方位のSi単結晶
基板31の一表面に、図1(a) に示すように、厚さ0.1
μmのSiO2 熱酸化膜33をドライ酸化法により形成
し、この熱酸化膜33の上にフォトレジスト34をスピ
ンコート法で塗布する。
は、Si単結晶基板への異方性エッチングを利用する。
すなわち、まず、p型で(100) 結晶面方位のSi単結晶
基板31の一表面に、図1(a) に示すように、厚さ0.1
μmのSiO2 熱酸化膜33をドライ酸化法により形成
し、この熱酸化膜33の上にフォトレジスト34をスピ
ンコート法で塗布する。
【0031】次に、図1(b) に示すように、光ステッパ
を用いて、フォトレジスト34にたとえば1 μm角の正
方形開口部35が得られるように露光、現像等のパター
ニングを行った後、NH4 F・HF混合溶液により、露
出しているSiO2 熱酸化膜33のエッチングを行な
う。フォトレジスト34を除去した後、30wt%KOH
水溶液を用いて異方性エッチングを行い、図1(c) に示
すように、Si単結晶基板31に深さがたとえば0.71μ
mの逆ピラミッド状の凹部32を形成する。
を用いて、フォトレジスト34にたとえば1 μm角の正
方形開口部35が得られるように露光、現像等のパター
ニングを行った後、NH4 F・HF混合溶液により、露
出しているSiO2 熱酸化膜33のエッチングを行な
う。フォトレジスト34を除去した後、30wt%KOH
水溶液を用いて異方性エッチングを行い、図1(c) に示
すように、Si単結晶基板31に深さがたとえば0.71μ
mの逆ピラミッド状の凹部32を形成する。
【0032】次に、NH4 F・HF混合溶液を用いて、
熱酸化膜33を除去した後、図1(d) に示すように、S
i単結晶基板31の凹部32が形成されている一方の表
面に凹部32の内面を含めてSiO2 熱酸化膜(以後、
絶縁層と略称する。)36を形成する。この実施例で
は、ウエット酸化法により、厚さ0.3 μmの絶縁層36
を形成した。
熱酸化膜33を除去した後、図1(d) に示すように、S
i単結晶基板31の凹部32が形成されている一方の表
面に凹部32の内面を含めてSiO2 熱酸化膜(以後、
絶縁層と略称する。)36を形成する。この実施例で
は、ウエット酸化法により、厚さ0.3 μmの絶縁層36
を形成した。
【0033】次に、図1(e) に示すように、Si単結晶
基板31の他方の表面にフォトレジストを塗布し、この
フォトレジストの凹部形成領域に対向する部分、つまり
Si単結晶基板31の周縁部を除く部分に開口部が形成
されるようにパターニングする。次に、上記開口部を使
って反応性イオンエッチングによってSi単結晶基板3
1をエッチングし、絶縁層36のピラミッド状に尖った
部分の外面を露出させるための穴37を形成する。この
工程によって、Si単結晶基板31は周縁部38だけを
残した枠状基板39に加工されたことになる。
基板31の他方の表面にフォトレジストを塗布し、この
フォトレジストの凹部形成領域に対向する部分、つまり
Si単結晶基板31の周縁部を除く部分に開口部が形成
されるようにパターニングする。次に、上記開口部を使
って反応性イオンエッチングによってSi単結晶基板3
1をエッチングし、絶縁層36のピラミッド状に尖った
部分の外面を露出させるための穴37を形成する。この
工程によって、Si単結晶基板31は周縁部38だけを
残した枠状基板39に加工されたことになる。
【0034】次に、フォトレジストを除去した後、図2
(a) に示すように、枠状基板39の内周面上および端面
上に絶縁層40を形成する。本実施例では、絶縁層40
としてのSiO2 熱酸化膜を厚さ0.2 μmとなるように
形成した。
(a) に示すように、枠状基板39の内周面上および端面
上に絶縁層40を形成する。本実施例では、絶縁層40
としてのSiO2 熱酸化膜を厚さ0.2 μmとなるように
形成した。
【0035】次に、絶縁層36の表面で凹部の形成され
ている側の表面にエミッタ部材層41の表層をなす表材
層42としてのたとえばWやMoなどの層を形成する。
本実施例では、スパッタリング法によりW層を厚さ0.3
μmとなるように形成した。
ている側の表面にエミッタ部材層41の表層をなす表材
層42としてのたとえばWやMoなどの層を形成する。
本実施例では、スパッタリング法によりW層を厚さ0.3
μmとなるように形成した。
【0036】次に、表材層42の上に、表材層42の構
成材より固有抵抗の大きいLu,C,Si等からなる芯
材層43を表面が平坦となる程度の厚さにスパッタリン
グ法で形成し、この芯材層43の上にITO等の導電層
44をスパッタリング法により、たとえば厚さ1 μmと
なるように形成する。なお、この導電層44は芯材層4
3の材質によっては省くことができ、その場合には芯材
層43がカソード電極層を兼ねることになる。これらの
工程によって、絶縁層36で覆われたピラミッド状の突
部、つまりエミッタ部45が形成される。次に、導電層
44の表面に構造基板となるパイレックスガラス46を
静電接着等で接着する。なお、図2(a)の工程を図1(e)
で示した工程の前に行ってもよい。
成材より固有抵抗の大きいLu,C,Si等からなる芯
材層43を表面が平坦となる程度の厚さにスパッタリン
グ法で形成し、この芯材層43の上にITO等の導電層
44をスパッタリング法により、たとえば厚さ1 μmと
なるように形成する。なお、この導電層44は芯材層4
3の材質によっては省くことができ、その場合には芯材
層43がカソード電極層を兼ねることになる。これらの
工程によって、絶縁層36で覆われたピラミッド状の突
部、つまりエミッタ部45が形成される。次に、導電層
44の表面に構造基板となるパイレックスガラス46を
静電接着等で接着する。なお、図2(a)の工程を図1(e)
で示した工程の前に行ってもよい。
【0037】次に、図2(b) に示すように、絶縁層36
の露出している表面上および絶縁層40の表面上にゲー
ト電極層47としてのたとえばW層を形成する。本実施
例では厚さ0.9 μmとなるようにスパッタリング法によ
りW層を形成した。
の露出している表面上および絶縁層40の表面上にゲー
ト電極層47としてのたとえばW層を形成する。本実施
例では厚さ0.9 μmとなるようにスパッタリング法によ
りW層を形成した。
【0038】次に、図2(c) に示すように、ゲート電極
層47の上にSiO2 からなる絶縁層48を形成し、そ
の上にフォトレジスト層49を堆積させる。続いて、酸
素プラズマによるドライエッチングを施し、ゲート電極
層47におけるエミッタ部45の先端部を覆っている部
分が0.7 μm程現れるように、フォトレジスト層49お
よび絶縁層48を除去する。その後に、反応性イオンエ
ッチングで、ゲート電極層47におけるエミッタ部45
の先端部を覆っている部分を除去する。
層47の上にSiO2 からなる絶縁層48を形成し、そ
の上にフォトレジスト層49を堆積させる。続いて、酸
素プラズマによるドライエッチングを施し、ゲート電極
層47におけるエミッタ部45の先端部を覆っている部
分が0.7 μm程現れるように、フォトレジスト層49お
よび絶縁層48を除去する。その後に、反応性イオンエ
ッチングで、ゲート電極層47におけるエミッタ部45
の先端部を覆っている部分を除去する。
【0039】次に、フォトレジスト層49とNH4 F・
HF混合溶液を用いて、図2(d) に示すように、絶縁層
36におけるエミッタ部45の先端部を覆っている部分
を除去し、続いてフォトレジスト層49を除去する。
HF混合溶液を用いて、図2(d) に示すように、絶縁層
36におけるエミッタ部45の先端部を覆っている部分
を除去し、続いてフォトレジスト層49を除去する。
【0040】これらの一連の工程によって、先端部が尖
鋭な凸状のエミッタ部45を複数有するエミッタ部材層
41と、このエミッタ部材層41の各エミッタ部45が
突出している側の表面上で各エミッタ部45の先端部を
除く部分に設けられた絶縁層36と、この絶縁層36の
上に設けられ、絶縁層36を介して各エミッタ部45を
囲む部分がエミッタ部46の周面部に沿った先細りの筒
状に形成されてなるゲート電極層47と、このゲート電
極層47の上に設けられた絶縁層48とを備えた要素が
形成されたことになる。
鋭な凸状のエミッタ部45を複数有するエミッタ部材層
41と、このエミッタ部材層41の各エミッタ部45が
突出している側の表面上で各エミッタ部45の先端部を
除く部分に設けられた絶縁層36と、この絶縁層36の
上に設けられ、絶縁層36を介して各エミッタ部45を
囲む部分がエミッタ部46の周面部に沿った先細りの筒
状に形成されてなるゲート電極層47と、このゲート電
極層47の上に設けられた絶縁層48とを備えた要素が
形成されたことになる。
【0041】次に、図2(d) に示すように、真空雰囲気
中において、枠状基板39の開口部側をアノード電極を
兼ねた導電性の封止板50で気密に封止する。本実施例
ではITO付きのガラス板を封止板とし、これをガラス
フリットで枠状基板39の端面(正確には上記端面を覆
っている絶縁層48に)に接着して封止した。勿論、静
電接着も採用できる。また、封止材50をして、Al板
や導電性Si板を使用できる。このようにして、微小多
極真空管アレイを製造した。
中において、枠状基板39の開口部側をアノード電極を
兼ねた導電性の封止板50で気密に封止する。本実施例
ではITO付きのガラス板を封止板とし、これをガラス
フリットで枠状基板39の端面(正確には上記端面を覆
っている絶縁層48に)に接着して封止した。勿論、静
電接着も採用できる。また、封止材50をして、Al板
や導電性Si板を使用できる。このようにして、微小多
極真空管アレイを製造した。
【0042】図3には上記工程を経て製作された微小多
極真空管アレイのエミッタ部近傍を一部切欠して示す斜
視図が示されており、図4には封止材50で封止する前
の時点における微小多極真空管アレイの斜視図が示され
ている。
極真空管アレイのエミッタ部近傍を一部切欠して示す斜
視図が示されており、図4には封止材50で封止する前
の時点における微小多極真空管アレイの斜視図が示され
ている。
【0043】このように、上記実施例に係る微小多極真
空管アレイでは、Si単結晶基板31への異方性エッチ
ングによって基板31の周縁部を除く領域に低部を尖ら
せた凹部32を複数設けた後に、各凹部32の内面を含
む基板31の表面に絶縁層36を設け、この絶縁層36
の基板31に接している一方の面で周縁部を除く部分を
露出させるために基板31を枠状に加工して枠状基板3
9とし、続いて絶縁層36の他方の面上にエミッタ部材
層41を形成し、さらに絶縁層36の前記一方の面で露
出している部分およびこれに繋がる枠状基板39の表面
上にゲート電極層47を設け、この上に絶縁層48を設
けている。そして、各凹部32に起因してエミッタ部材
層41に形成された凸部をエミッタ部45とし、これら
エミッタ部45の先端部を露出させるべく絶縁層48、
ゲート電極層47および絶縁層36の一部をそれぞれ除
去し、最後に枠状基板39の開口部を真空中においてア
ノード電極を兼ねた封止材50で気密に封止するように
している。
空管アレイでは、Si単結晶基板31への異方性エッチ
ングによって基板31の周縁部を除く領域に低部を尖ら
せた凹部32を複数設けた後に、各凹部32の内面を含
む基板31の表面に絶縁層36を設け、この絶縁層36
の基板31に接している一方の面で周縁部を除く部分を
露出させるために基板31を枠状に加工して枠状基板3
9とし、続いて絶縁層36の他方の面上にエミッタ部材
層41を形成し、さらに絶縁層36の前記一方の面で露
出している部分およびこれに繋がる枠状基板39の表面
上にゲート電極層47を設け、この上に絶縁層48を設
けている。そして、各凹部32に起因してエミッタ部材
層41に形成された凸部をエミッタ部45とし、これら
エミッタ部45の先端部を露出させるべく絶縁層48、
ゲート電極層47および絶縁層36の一部をそれぞれ除
去し、最後に枠状基板39の開口部を真空中においてア
ノード電極を兼ねた封止材50で気密に封止するように
している。
【0044】したがって、凹部12の形状に応じたエミ
ッタ部45を再現性良く形成することができる。さら
に、上述した異方性エッチングによる形状再現性は勿論
のこと、SiO2 熱酸化膜からなる絶縁層36による凹
部32の内側空間への成長作用により、先端部が鋭く尖
り、かつ高さの均一性に優れたピラミッド状のエミッタ
部45を安定して形成することができる。したがって、
電界放射効率の向上および各エミッタ部45の電界放射
効率の均一性を向上させることができる。
ッタ部45を再現性良く形成することができる。さら
に、上述した異方性エッチングによる形状再現性は勿論
のこと、SiO2 熱酸化膜からなる絶縁層36による凹
部32の内側空間への成長作用により、先端部が鋭く尖
り、かつ高さの均一性に優れたピラミッド状のエミッタ
部45を安定して形成することができる。したがって、
電界放射効率の向上および各エミッタ部45の電界放射
効率の均一性を向上させることができる。
【0045】また、エミッタ部45に表面上にSiO2
熱酸化膜からなる絶縁層36を挟んゲート電極層47を
形成しているので、絶縁層36の厚み制御によって、ゲ
ート電極をエミッタ部45に十分に近付けることがで
き、しかもゲート・エミッタ間距離を高精度に設定で
き、電界放射効率を一層向上させることができる。
熱酸化膜からなる絶縁層36を挟んゲート電極層47を
形成しているので、絶縁層36の厚み制御によって、ゲ
ート電極をエミッタ部45に十分に近付けることがで
き、しかもゲート・エミッタ間距離を高精度に設定で
き、電界放射効率を一層向上させることができる。
【0046】また、エミッタ部材層41を表材層42と
芯材層43との複合構成としているので、エミッタに要
求される特性を満たす材料の使用が可能となり、実施例
のように、表材層42として仕事関数が小さく、物理的
・化学的に安定な材料の使用が可能となる。また、実施
例のように、表材層42の構成材より固有抵抗の大きい
材料で芯材層43を形成すると、この芯材層43によっ
て各エミッタ部45へ流れる電流をバランスさせること
ができる。すなわち、特定のエミッタ部45に電流が集
中して流れようとすると、芯材層43における上記特定
のエミッタ部に対応する部分での電圧降下が自動的に大
きくなり、この結果として特定のエミッタ部への電流集
中が緩和される。なお、各エミッタ毎または複数のエミ
ッタをまとめたセグメント毎に抵抗を形成することによ
って、この効果をさらに増大させることができる。した
がって、各微小多極真空管を安定に動作させることがで
きるとともに電流集中によって起こる熱破壊の発生を防
止できる。
芯材層43との複合構成としているので、エミッタに要
求される特性を満たす材料の使用が可能となり、実施例
のように、表材層42として仕事関数が小さく、物理的
・化学的に安定な材料の使用が可能となる。また、実施
例のように、表材層42の構成材より固有抵抗の大きい
材料で芯材層43を形成すると、この芯材層43によっ
て各エミッタ部45へ流れる電流をバランスさせること
ができる。すなわち、特定のエミッタ部45に電流が集
中して流れようとすると、芯材層43における上記特定
のエミッタ部に対応する部分での電圧降下が自動的に大
きくなり、この結果として特定のエミッタ部への電流集
中が緩和される。なお、各エミッタ毎または複数のエミ
ッタをまとめたセグメント毎に抵抗を形成することによ
って、この効果をさらに増大させることができる。した
がって、各微小多極真空管を安定に動作させることがで
きるとともに電流集中によって起こる熱破壊の発生を防
止できる。
【0047】また、尖鋭なエミッタ部45の形成に用い
た基板31を最終的に枠状に加工して枠状基板39と
し、この枠状基板39の開口部をアノード電極を兼ねた
封止材50で気密に封止するようにしているので、基板
31とエミッタ部材層41とを真空容器の一部に兼用さ
せることができ、真空雰囲気に保つための格別な容器を
必要としないので、全体の小型化を図ることができる。
た基板31を最終的に枠状に加工して枠状基板39と
し、この枠状基板39の開口部をアノード電極を兼ねた
封止材50で気密に封止するようにしているので、基板
31とエミッタ部材層41とを真空容器の一部に兼用さ
せることができ、真空雰囲気に保つための格別な容器を
必要としないので、全体の小型化を図ることができる。
【0048】なお、上述した実施例においては、エミッ
タ部45をピラミッド形に形成しているが、電流容量を
持たせようとするときには、図5に示すように、エミッ
タ部45aを屋根形に形成するとよい。このような形状
は、Si単結晶基板に異方性エチング処理を施すとき
に、マスクの開口部形状を長方形に設定することによっ
て実現できる。
タ部45をピラミッド形に形成しているが、電流容量を
持たせようとするときには、図5に示すように、エミッ
タ部45aを屋根形に形成するとよい。このような形状
は、Si単結晶基板に異方性エチング処理を施すとき
に、マスクの開口部形状を長方形に設定することによっ
て実現できる。
【0049】また、上述した実施例では、封止材50に
アノード電極を兼用させているが、この封止材に蛍光物
質等を付加することによって、さらに表示材としての機
能を発揮させるようにしてもよい。また、図6に示すよ
うに、絶縁層48を第2の絶縁層とし、この上にアノー
ド電極層51を設け、このアノード電極層51の上にさ
らに絶縁層52を設けることによって、封止材には封止
機能だけを発揮させるようにしてもよい。ここで、アノ
ード電極層51はエミッタ電極41の先端部上で開口さ
れているが、この開口がなく、閉じた形状のものでもよ
い。
アノード電極を兼用させているが、この封止材に蛍光物
質等を付加することによって、さらに表示材としての機
能を発揮させるようにしてもよい。また、図6に示すよ
うに、絶縁層48を第2の絶縁層とし、この上にアノー
ド電極層51を設け、このアノード電極層51の上にさ
らに絶縁層52を設けることによって、封止材には封止
機能だけを発揮させるようにしてもよい。ここで、アノ
ード電極層51はエミッタ電極41の先端部上で開口さ
れているが、この開口がなく、閉じた形状のものでもよ
い。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電界放出効率が高く、アレイ化したときの均一性を満た
すことができ、動作の信頼性および耐久性を向上させる
ことができ、しかも小型化を図ることができる。
電界放出効率が高く、アレイ化したときの均一性を満た
すことができ、動作の信頼性および耐久性を向上させる
ことができ、しかも小型化を図ることができる。
【図1】本発明の一実施例に係る微小多極真空管アレイ
の製造プロセスの前半分を説明するための図
の製造プロセスの前半分を説明するための図
【図2】同製造プロセスの後半分を説明するための図
【図3】同製造プロセスを経て製造された微小多極真空
管アレイを一部切欠して示す斜視図
管アレイを一部切欠して示す斜視図
【図4】同製造プロセスを経て製造された微小多極真空
管アレイの分解斜視図
管アレイの分解斜視図
【図5】エミッタ部の別の形状を示す斜視図
【図6】微小多極真空管の別の構造例を説明するため一
部切欠斜視図
部切欠斜視図
【図7】従来の微小多極真空管の製造プロセスの一例を
説明するための図
説明するための図
31…基板 32…凹部
36…絶縁層 39…枠状基板
40…絶縁層 41…エミッタ部
材層 42…表材層 43…芯材層 45,45a…エミッタ部 46…構造基板 47…ゲート電極層 48…絶縁層 50…封止材 51…アノード電
極層 52…絶縁層
材層 42…表材層 43…芯材層 45,45a…エミッタ部 46…構造基板 47…ゲート電極層 48…絶縁層 50…封止材 51…アノード電
極層 52…絶縁層
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01J 1/304
H01J 9/02
H01J 19/24
H01J 21/10
H01J 31/12
Claims (3)
- 【請求項1】基板の周縁部を除く領域に低部を尖らせた
凹部を複数設ける工程と、前記各凹部の内面を含む前記
基板の表面に絶縁層を設ける工程と、前記絶縁層の前記
基板に接している一方の面で前記周縁部を除く部分を露
出させるべく上記基板を枠状に加工するとともに前記絶
縁層の他方の面上にエミッタ部材層を形成する工程と、
前記絶縁層の前記一方の面で露出している部分およびこ
れに繋がる前記基板の表面上にゲート電極層を形成する
工程と、前記各凹部に起因して前記エミッタ部材層に形
成された凸部をエミッタ部とし、これらエミッタ部の先
端部を露出させるべく前記ゲート電極層の一部および前
記絶縁層の一部を除去する工程と、枠状に残っている前
記基板の開口部を真空中においてアノード電極を兼ねた
封止部材で気密に封止する工程とを具備してなることを
特徴とする微小多極真空管の製造方法。 - 【請求項2】基板の周縁部を除く領域に低部を尖らせた
凹部を複数設ける工程と、前記各凹部の内面を含む前記
基板の表面に第1の絶縁層を設ける工程と、前記第1の
絶縁層の前記基板に接している一方の面で前記周縁部を
除く部分を露出させるべく上記基板を枠状に加工すると
ともに前記第1の絶縁層の他方の面上にエミッタ部材層
を形成する工程と、前記第1の絶縁層の前記一方の面で
露出している部分およびこれに繋がる前記基板の表面上
にゲート電極層を形成する工程と、前記ゲート電極層の
露出している面上に第2の絶縁層を形成する工程と、前
記第2の絶縁層の露出している面上にアノード電極層を
形成する工程と、前記各凹部に起因して前記エミッタ部
材層に形成された凸部をエミッタ部とし、これらエミッ
タ部の先端部を露出させるべく前記アノード電極層、前
記第2の絶縁層、前記ゲート電極層および前記第1の絶
縁層の一部をそれぞれ除去する工程と、枠状に残ってい
る前記基板の開口部を真空中において封止部材で気密に
封止する工程とを具備してなることを特徴とする微小多
極真空管の製造方法。 - 【請求項3】前記エミッタ部材層を形成する工程は、前
記第1の絶縁層の前記他方の面上に仕事関数が小さく、
かつ物理的・化学的に安定な材料からなる表材層を形成
する工程と、前記表材層の露出している面上に上記表材
層を構成している材料より固有抵抗の大きい材料からな
る芯材層を形成する工程とを含んでいることを特徴とす
る請求項1または2に記載の微小多極真空管の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04433794A JP3405584B2 (ja) | 1994-03-15 | 1994-03-15 | 微小多極真空管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04433794A JP3405584B2 (ja) | 1994-03-15 | 1994-03-15 | 微小多極真空管の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07254368A JPH07254368A (ja) | 1995-10-03 |
JP3405584B2 true JP3405584B2 (ja) | 2003-05-12 |
Family
ID=12688709
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04433794A Expired - Fee Related JP3405584B2 (ja) | 1994-03-15 | 1994-03-15 | 微小多極真空管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3405584B2 (ja) |
-
1994
- 1994-03-15 JP JP04433794A patent/JP3405584B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07254368A (ja) | 1995-10-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS62172631A (ja) | カソ−ドルミネツセンス型表示手段の製造方法 | |
JP3249288B2 (ja) | 微小真空管およびその製造方法 | |
US5378182A (en) | Self-aligned process for gated field emitters | |
JPH06223707A (ja) | シリコン電界放出素子及びその製造方法 | |
JP3388870B2 (ja) | 微小3極真空管およびその製造方法 | |
JP2000500266A (ja) | 電界エミッタ装置、およびそれを製作するためのベールプロセス | |
JP2969081B2 (ja) | 水平電界効果を有する電子放出素子及びその製造方法 | |
JP3079993B2 (ja) | 真空マイクロデバイスおよびその製造方法 | |
JP3405584B2 (ja) | 微小多極真空管の製造方法 | |
US6083069A (en) | Method of making a micro vacuum tube with a molded emitter tip | |
JPH07111132A (ja) | 電界放出型冷陰極およびその製造方法 | |
JPH0574327A (ja) | 電子放出素子 | |
JP3084768B2 (ja) | 電界放出型陰極装置 | |
JPH08306302A (ja) | 電界放射型電子源及びその製造方法 | |
JP3556263B2 (ja) | 微小多極真空管およびその製造方法 | |
JPH05314891A (ja) | 電界放出冷陰極およびその製造方法 | |
JP3625297B2 (ja) | 微小真空管およびその製造方法 | |
JP3460376B2 (ja) | 微少冷電子源の製造方法 | |
JPH0541152A (ja) | 電界放出陰極の製造方法 | |
JP3097523B2 (ja) | 電界放射型素子の製造方法 | |
KR100569269B1 (ko) | 전계방출 표시소자의 제조방법 | |
JPH1092296A (ja) | 電子放出素子及びその製造方法 | |
JP3144297B2 (ja) | 真空マイクロデバイス及びその製造方法 | |
KR940011723B1 (ko) | Fed의 제조방법 | |
KR100222436B1 (ko) | 내부에 자체 진공을 보유하는 필드 에미션 증폭소자 및 그 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080307 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090307 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |