JPH1092296A - 電子放出素子及びその製造方法 - Google Patents

電子放出素子及びその製造方法

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JPH1092296A
JPH1092296A JP24208696A JP24208696A JPH1092296A JP H1092296 A JPH1092296 A JP H1092296A JP 24208696 A JP24208696 A JP 24208696A JP 24208696 A JP24208696 A JP 24208696A JP H1092296 A JPH1092296 A JP H1092296A
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JP
Japan
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layer
emitter
substrate
diamond
electron
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JP24208696A
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English (en)
Inventor
Tomio Ono
富男 小野
Tadashi Sakai
忠司 酒井
Hisashi Sakuma
尚志 佐久間
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エミッタとゲートとの間の距離を基板内で均
一にかつ短くすることができ、電子放出の均一化及び動
作電圧の低電圧化をはかる。 【解決手段】 電界放出型のエミッタを有する電子放出
素子において、先端部が尖鋭な凸形状のダイアモンドエ
ミッタ14と、このエミッタ14の周囲に該エミッタ1
4と接して設けられ、かつ該エミッタ14の先端部が露
出するように設けられたp型Si層102と、エミッタ
14の周囲に該エミッタ14と離間しp型Si層102
と接して設けられ、かつエミッタ14の先端部が露出す
るように設けられたn型Si層101とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界放出型冷陰極
(エミッタ)を有する電子放出素子及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、Si半導体の微細加工技術を用い
て、半導体デバイスと同程度の微細な電界放出型の電子
放出素子の開発が行われており、超高速マイクロ波デバ
イス,パワーデバイス,電子線デバイス,平板型画像表
示装置等への応用が進められている。
【0003】ところで、この種の電子放出素子のエミッ
タ材料として、ダイアモンドが最近特に注目を集めてい
る。これは、ダイアモンドは電子親和力が負であり電子
を放出しやすいと考えられること、表面が化学的に安定
であり雰囲気の影響を受けにくいこと、強度が大きく機
械的に強いこと、熱伝導率が大きく大きな電流を流せる
こと等、エミッタとして優れた性質を有しているためで
ある。
【0004】このような優れた特性を有するダイアモン
ドを用いて、電子放出素子を作製した例として、次のよ
うな文献が知られている(平成6年春季第41回応用物
理学関係連合講演会予稿集第2分冊、p544,29a-ZN-8
)。
【0005】ここに記載されている電子放出素子では、
まず図8(a)に示すように、Si基板10に底部を尖
らせた凹部12を形成する。このような凹部12は、S
iの異方性エッチングを利用して作製できる。その後、
熱フィラメントCVD法によりダイアモンド層13を成
長させる。次いで、図8(b)に示すように、弗酸と硝
酸の混合溶液を用いてSi基板10を除去することによ
って、ダイアモンドの凸部(エミッタ)14が完成す
る。
【0006】この例では、これ以上の工程は行われてい
ないが、実用的な電子放出素子を作製するためには、ダ
イアモンドエミッタ14の先端部周辺に電子を引き出す
ためのゲート電極が必須である。ゲート電極を形成する
ための工程としては、以下のような方法が考えられる。
【0007】図8(c)に示すように、例えばスパッタ
リングによりSiO2 よりなる絶縁層15を形成し、続
いてMoよりなるゲート層16を形成する。次いで、図
8(d)に示すように、フォトレジスト17をスピンコ
ートし、露光・現像処理によりエミッタ14に沿ったゲ
ート層16の先端がある程度現れるようにする。次い
で、図8(e)に示すように、エミッタ14に沿った絶
縁層15の先端がある程度現れるように、ゲート層16
をエッチングする。
【0008】次いで、図8(f)に示すように、エミッ
タ14の先端がある程度現れるように、絶縁層15をエ
ッチングする。その後、フォトレジスト17を除去する
ことによって、ダイアモンドのエミッタを有する電子放
出素子が完成する。
【0009】上述の方法以外には、フォトレジストをス
ピンコートした後、プラズマエッチング等の方法でフォ
トレジストの全面を、エミッタに沿ったゲート層の先端
がある程度まで現れるようにエッチング(エッチバッ
ク)して、電子放出素子を作製する方法がある。この方
法は上述の方法に比較すると、露光プロセスの回数を減
らせるという利点を有している。
【0010】電子放出素子の動作電圧を下げ、基板内で
均一な電子放出を得るためには、エミッタとゲート間の
距離を小さく、かつ基板内で均一にする必要がある。し
かしながら、前述の露光プロセスによりゲート開口を形
成する方法では、エミッタとゲート間の距離が露光プロ
セスの解像度により決まってしまうため、エミッタとゲ
ート間の距離を小さくできないという問題が生じる。ま
た、2回目の露光においては、1回目の露光に対する位
置決めが必要となり、位置決め精度の問題も生じる。そ
して、エミッタの集積度を上げるためエミッタを小型化
するにつれ、これらの問題はさらに大きなものとなる。
【0011】また、前述のレジストをエッチバックする
ことによりゲート開口を形成する方法では、露光の問題
は生じないが、基板内で均一にレジストエッチングを行
い、エミッタとゲート間の距離が小さくなるようにエッ
チングを停止するのは困難である。大型の基板を使用し
大面積の素子を作製する場合や、エミッタの集積度を上
げるためエミッタを小型化する場合は、上記エッチング
停止の制御が特に困難となる。
【0012】一方、電子放出素子を作製する場合、エミ
ッタ層とゲート層との間には絶縁層(ゲート絶縁層)を
介在させる必要がある。通常、ゲート絶縁層には酸化膜
を用いている。しかしながら、ダイアモンドをエミッタ
材料に使用する場合、2つの問題が生じる。一つは酸化
膜上へのダイアモンドの成長が非常に困難であること、
もう一つはダイアモンド上に酸化膜を形成するとダイア
モンド表面が酸素と反応し、ダイアモンドエミッタの最
大の特徴である低電圧駆動が不可能となることである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、電子
放出素子の動作電圧を下げ基板内で均一な電子放出を得
るためには、エミッタとゲート間の距離を小さく基板内
で均一にする必要があるが、露光プロセスによりゲート
開口を形成する方法では、エミッタとゲート間の距離を
小さくできず、位置決め精度の問題も生じる。さらに、
レジストをエッチバックすることによりゲート開口を形
成する方法では、基板内で均一にレジストエッチングを
行い、エミッタとゲート間の距離が小さくなるようにエ
ッチングを停止するのは困難あった。
【0014】また、エミッタ材料にダイアモンドを使用
する場合、ゲート絶縁層としての酸化膜上へのダイアモ
ンドの成長が非常に困難であり、またダイアモンド表面
の酸化によりダイアモンドエミッタの最大の特徴である
低電圧駆動が不可能となる問題があった。
【0015】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、エミッタとゲート間の
距離を基板内で均一にかつ短くすることができ、電子放
出の均一化及び動作電圧の低電圧化をはかり得る電子放
出素子及びその製造方法を提供することにある。
【0016】また、本発明の他の目的は、エミッタ材料
としてダイアモンドを使用した場合に、ダイアモンド本
来の特性を十分活用可能な新しい電子放出素子を提供す
ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
(構成)上記課題を解決するために本発明は、次のよう
な構成を採用している。即ち、本発明(請求項1)は、
電界放出型のエミッタを有する電子放出素子において、
先端部が尖鋭な凸形状のエミッタと、このエミッタの周
囲に該エミッタと接して設けられ、かつ該エミッタの先
端部が露出するように設けられたp型半導体層と、前記
エミッタの周囲に該エミッタと離間し前記p型半導体層
と接して設けられ、かつ前記エミッタの先端部が露出す
るように設けられたn型半導体層とを具備してなること
を特徴とする。
【0018】また、本発明(請求項2)は、上記構成の
電子放出素子の製造方法において、表面にn層が形成さ
れたp型の半導体基板に、底部がn層よりも深い尖った
凹部を設ける工程と、前記凹部を含めた前記半導体基板
表面に前記n層よりも浅くp層を形成する工程と、前記
半導体基板の凹部内を埋め込むようにエミッタを形成す
る工程と、前記半導体基板のp型部分を選択的にエッチ
ングして、前記エミッタの先端部を露出させる工程とを
含むことを特徴とする。
【0019】また、本発明(請求項3)は、先端部が尖
鋭な凸状に形成されて電子を電界放出するエミッタと、
このエミッタの周囲にゲート絶縁層を介して設けられ、
該エミッタからの電子の放出を制御するゲート電極とを
備えた電子放出素子において、前記エミッタはn型不純
物をドープした低抵抗ダイアモンド層で形成され、前記
ゲート絶縁層はノンドープの高抵抗ダイアモンド層で形
成されてなることを特徴とする。
【0020】ここで、本発明の望ましい実施態様として
は、次のものがあげられる。 (1) 請求項1,2において、エミッタはダイアモンドで
あること。 (2) 請求項1,2において、p層の露出部分に陽極酸化
膜を形成すること。 (3) 請求項1,2において、基板のp型部分のエッチン
グを途中まで行い、その後に基板のp型部分の残りのエ
ッチングとp層部分の一部のエッチングを行うこと。 (4) n層及びp層を、それぞれ不純物のドーピング(イ
オン注入,拡散)により形成すること。 (5) 請求項3において、ゲート絶縁層であるノンドープ
の高抵抗ダイアモンド層とエミッタ材としての低抵抗n
型ダイアモンド層を、連続して成長すること。 (6) 請求項3において、ゲート絶縁層である高抵抗ノン
ドープダイアモンド層とエミッタ材としての低抵抗n型
ダイアモンド層との間には、ダイアモンド以外のゲート
絶縁層又はエミッタ層及び両者が介在しないこと。 (作用)本発明(請求項1,2)においては、ゲート層
の形状は不純物のドーピングプロファイルにより決定さ
れ、ドーピングはLSI製造の基本プロセスとして、基
板内で均一にしかも精度良く行える。従って、エミッタ
とゲート間の距離を均一に小さくでき、電子放出素子の
動作電圧を下げ、均一な電子放出を得ることができる。
【0021】また、本発明(請求項3)では、Si等の
基板に異方性エッチングなどによって形成した尖端型鋳
型にゲート絶縁層として高抵抗ノンドープダイアモンド
を形成し、更にエミッタとして低抵抗n型ダイアモンド
を連続して形成する。このような構成によれば、ゲート
絶縁層とダイアモンドエミッタ層との界面での不整合性
はなくなる。そして、ダイアモンド表面が酸素と反応す
る等の不都合もなく、ダイアモンドエミッタ層はダイア
モンドの本来の特性である低電圧での電子放出を可能に
する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図示の実施
形態によって説明する。 (第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に
係わる電子放出素子の製造工程を示す断面図である。
【0023】まず、図1(a)に示すように、p型の
(100)結晶方位のSi基板10の表面に、薄いn層
101を熱拡散又はイオン注入により形成し、続いて薄
い熱酸化SiO2 層(図示せず)を形成し、これにパタ
ーニングを行って正方形開口を形成する。その後、例え
ばKOH水溶液を用いて、基板10の異方性エッチング
を行い、底部を尖らせた例えば四角錐状の凹部12を形
成する。この際、凹部12の底部は薄いn層101より
も深くなるように設定する。
【0024】次いで、図1(b)に示すように、Si基
板10の表面に凹部12内を含めて、p層102を熱拡
散又はイオン注入により形成する。この際、p層102
はn層101よりも浅く形成する。次いで、図1(c)
に示すように、Si基板10上に凹部12内を含めて、
ダイアモンド層13を形成する。ここで、ダイアモンド
層13の凹部12内に形成された部分がエミッタ14と
なる。
【0025】次いで、図1(d)に示すように、電気化
学エッチングを用いてSi基板10のp型部分を除去す
る。これは、例えばKOH水溶液中で、Si基板中に形
成されたpn接合が逆バイアスとなるように、即ち溶液
に対しn層101に正電圧を印加しつつエッチングを行
うことで、p型の部分のみを選択的に除去することによ
り行う。この際、エミッタ14の先端部を覆うp層10
2がエッチングされた直後にエッチングを終了し、p層
102が一部残るようにして、電子放出素子が完成す
る。
【0026】このようにして形成された本実施形態の電
子放出素子においては、n層101をゲート電極層とし
て使用する。ダイアモンド層13に対し、n層101に
正の電圧を印加する場合、n層101と残余のp層10
2が形成するpn接合は逆バイアス状態になるので、n
層101をゲート電極層として使用することが可能とな
る。なお、印加できる電圧は、pn接合の降伏電圧によ
り制限されるが、特にダイアモンド等の材料では電子放
出電圧が低いので、問題とはならない。
【0027】また、本実施形態における電子放出素子の
製造方法においては、ゲート層の形状は不純物のドーピ
ングのプロファイルにより決定され、ドーピングはLS
I製造の基本プロセスとして、基板内で均一にしかも精
度良く行える。このため、エミッタとゲート間の距離を
均一に小さくでき、電子放出素子の動作電圧を下げ、均
一な電子放出を得ることができる。 (第2の実施形態)図2は、本発明の第2の実施形態に
係わる電子放出素子の製造工程を示す断面図である。な
お、図1と対応する部分には同一の符号を付して、その
詳しい説明を省略する。
【0028】ダイヤモンド層13を形成するまでの工程
は、第1の実施形態の図1(a)〜(c)と同じであ
る。この実施の形態の特徴は、これ以降に図2(a)に
示すように、エミッタ先端が露出する直前で基板10の
エッチングを一時停止することにある。これは、大面積
の基板内に複数のエミッタ14を作製する場合、エッチ
ングが基板内で不均一に進行するため、基板内に形成さ
れた全てのエミッタ14の先端を露出させ、かつp層1
02が一部残るようにすることが困難なためである。
【0029】電気化学エッチングにおいては、エッチン
グ時に印加する電圧により、エッチング停止位置をある
程度制御できるので、図に示すようにエミッタ先端が露
出する直前でエッチングを停止することができる。この
エッチング停止位置は基板内で均一である。次いで、エ
ッチングの電圧を変えて、エッチングがもう少し進行す
るようにし、図2(b)に示すように、エミッタ14の
先端を覆うp層102がエッチングされ、p層102の
一部が残った状態でエッチングを終了する。
【0030】本実施形態では、2回目のエッチング量は
僅かなので、大面積の基板であっても容易に、基板内で
均一にエミッタ14の先端を露出させかつp層102が
一部残るようにすることができる。 (第3の実施形態)図3は、本発明の第3の実施形態に
係わる電子放出素子の構成を示す断面図である。なお、
図1と対応する部分には同一の符号を付して、その詳し
い説明を省略する。
【0031】本実施形態の特徴は、第1の実施形態又は
第2の実施形態で得られた電子放出素子に対し、更に酸
化膜形成工程を付加することにある。即ち、図3に示す
ように、露出したp層102の部分に陽極酸化膜103
を形成することにある。これは、電気化学エッチング終
了後に、弗酸とエタノールの混合溶液中で、p層102
に混合溶液に対し正電圧を印加する陽極酸化により行
う。陽極酸化はp層に対してのみ選択的に生じるので、
p層102の露出した部分のみに陽極酸化膜103が形
成される。
【0032】このような実施形態によれば、第1及び第
2の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、
露出したpn接合界面でのリークを防ぐことができ、電
子放出素子としての素子特性及び信頼性の向上をはかる
ことができる。
【0033】なお、第1〜第4の実施形態ではエミッタ
としてダイアモンドを用いたが、これに限らず、GaN
等の電子親和力の低い半導体材料、W,Mo等の高融点
の金属材料を用いることも可能である。また、p層,層
の形成及び凹部の形成に供される基板はSiに限らず、
各種の半導体基板を用いることが可能である。 (第4の実施形態)図4は、本発明の電子放出素子を用
いて作製した平面型画像表示装置の一例を示す断面図で
ある。ダイアモンド層13の突起部からなるエミッタは
マトリックス状に配置されており、ダイアモンド層13
は複数に分離されている。また、複数のSiのn層より
なるゲート電極104は紙面に平行に走り、分割された
ダイアモンド層13の底部には、Ti/Auよりなる複
数のエミッタ電極105が設けられている。エミッタ電
極105は、絶縁性の接着層106によりガラス基板1
07に接合され、紙面に垂直に走っている。
【0034】また、エミッタ電極105を接合したガラ
ス基板107の上側にはガラス基板109が離間対向配
置されており、これらの基板間にはスペーサ108が挿
入されている。ガラス基板109の下面側には透明電極
(アノード電極)110が形成され、更にこの下面に蛍
光体層111が形成されている。そして、エミッタから
の電子をゲート電極104及びアノード電極110によ
り引き出し、蛍光体111に衝突させて発光させるもの
となっている。
【0035】このような構成において、一つのゲート電
極104と一つのエミッタ電極106を選択し、その間
に電圧を印加すれば両電極の交点のエミッタ群のみが動
作する。そして、エミッタ群より放出された電子は、ガ
ラス基板109上に形成された透明電極110に印加さ
れた電圧により、選択されたエミッタ群に対応した位置
の蛍光体層111に達してこれを発光させる。このよう
にしてエミッタ電極106とゲート電極104により走
査を行い、画像表示が可能となる。 (第5の実施形態)図5及び図6は、本発明の第5の実
施形態に係わる電子放出素子の製造工程を示す断面図で
ある。
【0036】まず、図5(a)に示すように、第1の基
板201に底部を尖らせた凹部202を形成する。この
ような凹部の形成方法としては、以下に示すようなSi
単結晶基板の異方性エッチングを利用する方法が挙げら
れる。即ち、(100)結晶方位のSi単結晶基板上
に、厚さ0.1μm程度の熱酸化SiO2 層を形成し、
更にレジストをスピンコート法により塗布する。続い
て、露光・現像を行い、NH4 F・HF混合溶液により
SiO2 熱酸化膜のエッチングを行う。そして、レジス
トを除去した後、KOH水溶液を用いて異方性エッチン
グを行うことによって、Si基板201上に逆ピラミッ
ド状の凹部202を形成する。
【0037】次いで、図5(b)に示すように、基板2
01上に高抵抗ノンドープダイアモンド層203を形成
し、さらに低抵抗n型ダイアモンド層204を形成す
る。本実施形態では、ダイアモンドの形成には熱フィラ
メント法を用い、各層203,204を順次連続して成
長形成した。ノンドープダイアモンド層203の形成に
は、H2 流量100sccm,アセトン流量0.5sccmから
なる混合ガスを用い、圧力150Torr,基板温度800
℃とし、膜厚0.2μmに形成した。n型ダイアモンド
層204の形成では、ノンドープダイアモンド層形成条
件に尿素をドーパントとしてアセトン中に溶解させて使
用し、厚さは1μm形成した。その後、n型ダイアモン
ド層204上にAl層400を形成した。
【0038】一方、第2の基板となる構造基板として、
背面に厚さ0.3μmのAl層206をコートしたパイ
レックスガラス基板(厚さ1mm)205を用意し、図
5(c)に示すように、このガラス基板205と上記S
i基板201とをAl層400を介するように接着す
る。この接着法には、静電接着法を使用した。そして、
ガラス基板205の背面のAl層206をHNO3 ・C
3 COOH・HF混合液で除去した後、KOH水溶液
等でSi基板201のみエッチングし、図5(d)に示
すようにゲート絶縁層となるノンドープダイアモンド層
203を露出させる。
【0039】次いで、図6(e)示すように、ゲート電
極層として例えばW層207をノンドープダイアモンド
層203上に形成する。この実施形態では、スパッタ法
によりW層207を厚さ0.5μm形成した。さらに、
図6(f)に示すように、ゲート電極層であるW層20
7とゲート絶縁層であるノンドープダイアモンド層20
3に覆われたピラミッド状凸部208の先端が僅かに隠
れる程度に、レジスト209を形成する。
【0040】これ以降の工程は、従来方法(例えば特開
平6−36682号公報)と同一であり、図6(g)に
示すように酸素プラズマによるドライエッチングを行
い、ピラミッド状凸部208に沿ったゲート電極層20
7の先端がある程度現れるようにレジスト209をエッ
チングする。次いで、図6(h)に示すように、ピラミ
ッド状凸部208に沿ったノンドープダイアモンド層2
03の先端がある程度現れるように、ゲート電極層20
7をエッチングする。
【0041】次いで、図6(i)に示すように、ピラミ
ッド状凸部208の先端、この場合エミッタ層である低
抵抗n型ダイアモンド層204がある程度現れるように
高抵抗ノンドープダイアモンド絶縁層203をリアクテ
ィブイオンエッチングにより除去する。その後、レジス
ト209を除去することによって、電子放出素子が完成
する。
【0042】このように本実施形態によれば、ゲート絶
縁層203として高抵抗ノンドープダイアモンド層を用
いているので、ゲート絶縁層203とダイアモンドエミ
ッタ層204との界面での不整合性はなくなり、且つダ
イアモンドエミッタ層204がSiO2 層表面に接して
いないため、ダイアモンドエミッタ層表面での酸素暴露
がない。このため、電子親和力が0に近いというダイア
モンドエミッタの特性を最大限に活かした、即ち低電圧
においての電子放出が可能となる。
【0043】なお、図6に示した製造工程は本発明を何
等限定するものではなく、適宜変更可能である。例え
ば、エミッタとしてのn型ダイアモンド層を形成する際
のドーパントに窒素を用いたが、n型を形成するリンを
ドーパントに用いることも可能である。さらに、エミッ
タとしてのダイアモンド層に、低抵抗のp型ダイアモン
ド層を用いることも可能である。また、ゲート電極層に
はタングステン(W)以外にもモリブデン(Mo)等を
用いることも可能である。
【0044】次に、本実施形態による電子放出素子を用
いた平板型画像表示装置の一例について、簡単に説明し
ておく。この平板型画像表示装置は、図7に示すよう
に、電子放出素子のピラミッド状エミッタが多数形成さ
れたガラス基板(以下真空マイクロ素子部200と記
す)と、蛍光体層303及びITOから成る透明電極
(アノード電極)層302が順次形成されたガラスフェ
ースプレート301とが所定の間隔を設けて対向配置さ
れており、これらにより真空筐体が構成されている。即
ち、真空マイクロ素子部200は真空筐体の一部として
用いられている。なお、上記した平板型画像表示装置へ
の適用は単なる一例にすぎず、種々の変形が可能である
のは勿論のことである。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように本発明(請求項1,
2)によれば、ゲート層の形状は不純物のドーピングの
プロファイルにより決定され、不純物のドーピングはL
SI製造の基本プロセスとして、基板内で均一にしかも
精度良く行えるので、エミッタとゲート間の距離を均一
に小さくでき、電子放出素子の動作電圧を下げ、均一な
電子放出を得ることができる。
【0046】また、本発明(請求項3)によれば、エミ
ッタをn型不純物をドープした低抵抗ダイアモンド層で
形成し、ゲート絶縁層をノンドープの高抵抗ダイアモン
ド層で形成しているので、ゲート絶縁層とダイアモンド
エミッタ層との界面での不整合性をなくし、電子親和力
が0に近いというダイアモンドエミッタの特性を最大限
に活かした、即ち低電圧において電子放出が可能な電子
放出素子を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる電子放出素子の製造工
程を示す断面図。
【図2】第2の実施形態に係わる電子放出素子の製造工
程を示す断面図。
【図3】第3の実施形態に係わる電子放出素子の製造工
程を示す断面図。
【図4】本発明の電子放出素子を用いて作製した平面型
画像表示装置の一例を示す断面図。
【図5】第5の実施形態に係わる電子放出素子の製造工
程の前半を示す断面図。
【図6】第5の実施形態に係わる電子放出素子の製造工
程の後半を示す断面図。
【図7】第5の実施形態の電子放出素子を用いた平板型
画像表示装置の一例を示す断面図。
【図8】従来の電子放出素子の製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
10…Si基板 12…凹部 13…ダイアモンド層 14…エミッタ 101…n層(ゲート電極層) 102…p層(ゲート絶縁層) 103…陽極酸化膜 104…ゲート電極 105…エミッタ電極 106…接着層 107…ガラス基板 108…スペーサ 109…ガラス基板 110…透明電極(アノード電極) 111…蛍光体層 201…第1の基板 202…凹部 203…高抵抗ノンドープダイアモンド層 204…低抵抗n型ダイアモンド層 205…ガラス基板 206…Al層 207…ゲート電極層 208…ピラミッド状凸部 209…レジスト

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先端部が尖鋭な凸形状のエミッタと、この
    エミッタの周囲に該エミッタと接して設けられ、かつ該
    エミッタの先端部が露出するように設けられたp型半導
    体層と、前記エミッタの周囲に該エミッタと離間し前記
    p型半導体層と接して設けられ、かつ前記エミッタの先
    端部が露出するように設けられたn型半導体層とを具備
    してなることを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】表面にn層が形成されたp型の半導体基板
    に、底部がn層よりも深い尖った凹部を設ける工程と、
    前記凹部を含めた前記半導体基板表面に前記n層よりも
    浅くp層を形成する工程と、前記半導体基板の凹部内を
    埋め込むようにエミッタを形成する工程と、前記半導体
    基板のp型部分を選択的にエッチングして、前記エミッ
    タの先端部を露出させる工程とを含むことを特徴とする
    電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】先端部が尖鋭な凸状に形成されて電子を電
    界放出するエミッタと、このエミッタの周囲にゲート絶
    縁層を介して設けられ、エミッタからの電子の放出を制
    御するゲート電極とを備えた電子放出素子において、 前記エミッタはn型不純物をドープした低抵抗ダイアモ
    ンド層で形成され、前記ゲート絶縁層はノンドープの高
    抵抗ダイアモンド層で形成されてなることを特徴とする
    電子放出素子。
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