JP3097522B2 - 電界放射型素子の製造方法 - Google Patents
電界放射型素子の製造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電界放射型素子
の製造方法に関する。
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路の微細加工技術を
利用して微小な冷陰極電子源を作り、これを超微細な増
幅素子や集積回路、フラットディスプレイ等に応用する
真空マイクロデバイス技術が注目されている。真空マイ
クロデバイスの実用化には、低電圧で大きな電流を安定
に放射できる冷陰極電子源の開発が不可欠である。冷陰
極電子源には大きく分けて、電界集中を利用して先鋭な
エミッタ電極先端から電子を放出させる電界放射型と、
半導体中でアバランシェ等により高エネルギー電子を生
成してこれを外部に取り出す方式とがある。またエミッ
タ電極構造には、針状の先鋭な突起を基板に垂直方向に
形成する縦型エミッタと、基板面に沿って平面的に形成
する横型エミッタとがある。
利用して微小な冷陰極電子源を作り、これを超微細な増
幅素子や集積回路、フラットディスプレイ等に応用する
真空マイクロデバイス技術が注目されている。真空マイ
クロデバイスの実用化には、低電圧で大きな電流を安定
に放射できる冷陰極電子源の開発が不可欠である。冷陰
極電子源には大きく分けて、電界集中を利用して先鋭な
エミッタ電極先端から電子を放出させる電界放射型と、
半導体中でアバランシェ等により高エネルギー電子を生
成してこれを外部に取り出す方式とがある。またエミッ
タ電極構造には、針状の先鋭な突起を基板に垂直方向に
形成する縦型エミッタと、基板面に沿って平面的に形成
する横型エミッタとがある。
【0003】従来提案されている縦型エミッタの電界放
射型電子源の製造法として、図23に示すように、基板
に垂直側壁をもつ凹部を形成し(a)、層状均一堆積法
によって犠牲膜を堆積した後エミッタ電極材料膜を堆積
し(b)、基板及び犠牲膜を除去してエミッタを形成す
る(c)方法がある(S. Zimmerman, Abs. 3rd Int.Vac
uum Microelectronics Conf., Monterey, 1990, 1-4参
照)。この方法では、犠牲膜により逆円錐状のエミッタ
成形型を得る為には、堆積させる犠牲膜を充分厚くする
事が必要である。しかし厚い犠牲膜を1工程で堆積する
と、成膜後の冷却時に熱ストレスによってクラックが入
りやすい。このクラックにエミッタ材料が入り込むと、
所望形状のエミッタが得られず、所望性能の電界放射型
素子を得ることができない。
射型電子源の製造法として、図23に示すように、基板
に垂直側壁をもつ凹部を形成し(a)、層状均一堆積法
によって犠牲膜を堆積した後エミッタ電極材料膜を堆積
し(b)、基板及び犠牲膜を除去してエミッタを形成す
る(c)方法がある(S. Zimmerman, Abs. 3rd Int.Vac
uum Microelectronics Conf., Monterey, 1990, 1-4参
照)。この方法では、犠牲膜により逆円錐状のエミッタ
成形型を得る為には、堆積させる犠牲膜を充分厚くする
事が必要である。しかし厚い犠牲膜を1工程で堆積する
と、成膜後の冷却時に熱ストレスによってクラックが入
りやすい。このクラックにエミッタ材料が入り込むと、
所望形状のエミッタが得られず、所望性能の電界放射型
素子を得ることができない。
【0004】また図24の方法は、層状均一堆積法、即
ちステップカバレージの良好な膜堆積法で犠牲膜を堆積
する。この方法によると、図24(a)示すように、犠
牲膜に形成される凹部先端Aの曲率半径が50nm程度
と大きくなり、先鋭な先端を持つエミッタを作ることが
難しい。逆に、ステップカバレージの悪い膜堆積法を用
いると、(a)と同じ膜厚の犠牲膜を形成しても、図2
4(b)に示すように、逆円錐状のエミッタ成形型を得
ることができない。この方法でも犠牲膜をより厚くすれ
ば、図24(c)に示すように逆円錐状のエミッタ成形
型が得られるが、その先端頂角が大きくなってしまい、
またクラックの発生が一層顕著になる。
ちステップカバレージの良好な膜堆積法で犠牲膜を堆積
する。この方法によると、図24(a)示すように、犠
牲膜に形成される凹部先端Aの曲率半径が50nm程度
と大きくなり、先鋭な先端を持つエミッタを作ることが
難しい。逆に、ステップカバレージの悪い膜堆積法を用
いると、(a)と同じ膜厚の犠牲膜を形成しても、図2
4(b)に示すように、逆円錐状のエミッタ成形型を得
ることができない。この方法でも犠牲膜をより厚くすれ
ば、図24(c)に示すように逆円錐状のエミッタ成形
型が得られるが、その先端頂角が大きくなってしまい、
またクラックの発生が一層顕著になる。
【0005】別の縦型エミッタの製造法として、図25
に示すように、結晶基板にエッチングマスクを形成し
(a)、基板を異方性エッチングによりエッチングして
凹部を形成し(b)、エミッタ電極材料膜を堆積し
(c)、不要部を除去してエミッタを完成する(d)方
法も提案されている(例えば、特開平4−61729号
公報,特開平5−225895号公報等参照)。この方
法では、形成される凹部は四角錘状となり、また基板の
結晶面のなす角度によって凹部の頂角が決定される。従
って異方性エッチングにより得られる凹部をそのままエ
ミッタ成形型として用いる場合、小さい頂角のエミッタ
を得ることはできない。また四角錘状のエミッタでは安
定な放出電流特性が得られない。更に異方性エッチング
ができる基板は、(100)面を有する単結晶シリコン
やGaAs等に限られ、エッチング法もウエットエッチ
ングになるから、設計の自由度が小さく、素子の微細化
も難しい。
に示すように、結晶基板にエッチングマスクを形成し
(a)、基板を異方性エッチングによりエッチングして
凹部を形成し(b)、エミッタ電極材料膜を堆積し
(c)、不要部を除去してエミッタを完成する(d)方
法も提案されている(例えば、特開平4−61729号
公報,特開平5−225895号公報等参照)。この方
法では、形成される凹部は四角錘状となり、また基板の
結晶面のなす角度によって凹部の頂角が決定される。従
って異方性エッチングにより得られる凹部をそのままエ
ミッタ成形型として用いる場合、小さい頂角のエミッタ
を得ることはできない。また四角錘状のエミッタでは安
定な放出電流特性が得られない。更に異方性エッチング
ができる基板は、(100)面を有する単結晶シリコン
やGaAs等に限られ、エッチング法もウエットエッチ
ングになるから、設計の自由度が小さく、素子の微細化
も難しい。
【0006】異方性エッチングを利用する別の従来法と
して、図26示すように、シリコン層にエッチングマス
クを形成して異方性エッチングを行い(a)、その後エ
ッチングマスクを除去して熱酸化を行って酸化膜を形成
してその表面に小さい頂角の凹部を得て、エミッタ電極
膜を堆積する(b)方法が提案されている(特開平5−
174703号公報参照)。この方法は、凹部を酸化し
てエミッタ成形型とすることで、先端頂角を小さくでき
るものの、酸化前の頂角は前述のように決まっているか
ら、任意の頂角を得ることはできない。また、上述の方
法と同様に、四角錘状のエミッタしか得られず、使用基
板も限定されていて設計自由度が低く、素子の微細化も
難しいという難点がある。
して、図26示すように、シリコン層にエッチングマス
クを形成して異方性エッチングを行い(a)、その後エ
ッチングマスクを除去して熱酸化を行って酸化膜を形成
してその表面に小さい頂角の凹部を得て、エミッタ電極
膜を堆積する(b)方法が提案されている(特開平5−
174703号公報参照)。この方法は、凹部を酸化し
てエミッタ成形型とすることで、先端頂角を小さくでき
るものの、酸化前の頂角は前述のように決まっているか
ら、任意の頂角を得ることはできない。また、上述の方
法と同様に、四角錘状のエミッタしか得られず、使用基
板も限定されていて設計自由度が低く、素子の微細化も
難しいという難点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように犠牲膜堆
積により縦型エミッタの成形型を得る従来法では、曲率
半径の小さい先端を得ようとすると、犠牲膜にクラック
が入り易く、高い歩留まりや信頼性を得ることができな
い。また、異方性エッチングを利用してエミッタ成形型
を得る方法では、設計の自由度が限られて、先端の曲率
半径及び頂角が小さい任意形状のエミッタを得ることが
できなず、素子の微細化も難しいという難点がある。
積により縦型エミッタの成形型を得る従来法では、曲率
半径の小さい先端を得ようとすると、犠牲膜にクラック
が入り易く、高い歩留まりや信頼性を得ることができな
い。また、異方性エッチングを利用してエミッタ成形型
を得る方法では、設計の自由度が限られて、先端の曲率
半径及び頂角が小さい任意形状のエミッタを得ることが
できなず、素子の微細化も難しいという難点がある。
【0008】この発明は、上記した点に鑑みなされたも
ので、先端の曲率及び頂角が小さいエミッタを任意の形
状にできる電界放射型素子の製造方法を提供することを
目的としている。
ので、先端の曲率及び頂角が小さいエミッタを任意の形
状にできる電界放射型素子の製造方法を提供することを
目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電界放射
型素子の製造方法は、基板の表面にゲート電極となる第
1の導電膜を堆積する工程と、前記第1の導電膜に前記
基板に達する垂直またはほぼ垂直な側壁をもつ凹部を形
成する工程と、前記凹部が形成された基板上に前記第1
の導電膜と共にゲート電極となる第2の導電膜を堆積す
る工程と、前記第2の導電膜をエッチングして前記凹部
の側壁にサイドスペーサを形成する工程と、前記第1の
導電膜及びサイドスペーサが形成された基板上に絶縁膜
を堆積する工程と、前記絶縁膜上に第3の導電膜を堆積
してエミッタを形成する工程と、前記絶縁膜のうち少な
くとも前記エミッタの先端部周囲にある部分を選択的に
除去する工程とを有することを特徴としている。
型素子の製造方法は、基板の表面にゲート電極となる第
1の導電膜を堆積する工程と、前記第1の導電膜に前記
基板に達する垂直またはほぼ垂直な側壁をもつ凹部を形
成する工程と、前記凹部が形成された基板上に前記第1
の導電膜と共にゲート電極となる第2の導電膜を堆積す
る工程と、前記第2の導電膜をエッチングして前記凹部
の側壁にサイドスペーサを形成する工程と、前記第1の
導電膜及びサイドスペーサが形成された基板上に絶縁膜
を堆積する工程と、前記絶縁膜上に第3の導電膜を堆積
してエミッタを形成する工程と、前記絶縁膜のうち少な
くとも前記エミッタの先端部周囲にある部分を選択的に
除去する工程とを有することを特徴としている。
【0010】この発明の方法では、ゲート電極となる導
電膜に垂直またはほぼ垂直な側壁を持つ凹部を形成し、
更にその側壁に導電膜によりサイドスペーサを形成する
ことで、エミッタ成形型の下地の凹部側壁に滑らかな傾
斜を与え、且つ凹部容積を小さくしている。これによ
り、その後堆積されるエミッタ成形型となる犠牲膜とし
ての絶縁膜を薄くすることができる。従ってその絶縁膜
をステップカバレージのよい膜堆積法で形成しても成膜
後の冷却時に受ける熱ストレスを小さく抑えて、クラッ
クが入ることを防止することができる。以上により、所
望形状のエミッタを持つ電界放射型素子を歩留まりよく
製造することができる。
電膜に垂直またはほぼ垂直な側壁を持つ凹部を形成し、
更にその側壁に導電膜によりサイドスペーサを形成する
ことで、エミッタ成形型の下地の凹部側壁に滑らかな傾
斜を与え、且つ凹部容積を小さくしている。これによ
り、その後堆積されるエミッタ成形型となる犠牲膜とし
ての絶縁膜を薄くすることができる。従ってその絶縁膜
をステップカバレージのよい膜堆積法で形成しても成膜
後の冷却時に受ける熱ストレスを小さく抑えて、クラッ
クが入ることを防止することができる。以上により、所
望形状のエミッタを持つ電界放射型素子を歩留まりよく
製造することができる。
【0011】またこの発明の方法では、サイドスペーサ
により凹部開口を順テーパ状にするので、その後堆積す
るエミッタ形成型となる犠牲膜としての絶縁膜をステッ
プカバレージのよくない膜堆積法によって形成して、先
端の曲率半径及び頂角が小さい逆円錐状のエミッタ成形
型を得ることができ、したがって先端の曲率半径及び頂
角が小さい円錐状のエミッタを得ることができる。
により凹部開口を順テーパ状にするので、その後堆積す
るエミッタ形成型となる犠牲膜としての絶縁膜をステッ
プカバレージのよくない膜堆積法によって形成して、先
端の曲率半径及び頂角が小さい逆円錐状のエミッタ成形
型を得ることができ、したがって先端の曲率半径及び頂
角が小さい円錐状のエミッタを得ることができる。
【0012】更にこの発明によると、ゲート電極が、第
1の導電膜に形成した凹部の側壁に第2の導電膜による
サイドスペーサを形成して得られるから、加工した凹部
の径より小さい開口とすることができる。即ち、光ステ
ッパや電子ビーム描画装置等の露光装置の限界解像度で
凹部を形成した場合に、ゲート開口をその限界解像度以
下のサイズとすることができる。これにより、エミッタ
先端部で大きな最大電界強度を得ることができるから、
低いゲート・エミッタ間電圧で大きな放射電流が得られ
る高性能の電界放射型素子が実現できる。
1の導電膜に形成した凹部の側壁に第2の導電膜による
サイドスペーサを形成して得られるから、加工した凹部
の径より小さい開口とすることができる。即ち、光ステ
ッパや電子ビーム描画装置等の露光装置の限界解像度で
凹部を形成した場合に、ゲート開口をその限界解像度以
下のサイズとすることができる。これにより、エミッタ
先端部で大きな最大電界強度を得ることができるから、
低いゲート・エミッタ間電圧で大きな放射電流が得られ
る高性能の電界放射型素子が実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施例を説明する。図1及び図2は、3極素子に適用
したこの発明の実施例の製造工程である。出発基板10
は、図1(a)に示すように、シリコン酸化物、ソーダ
ライム等のガラス、アルマイト等の絶縁物からなる絶縁
体基板10aに150nmのアノード電極10bと45
0nmの絶縁膜10cを積層したものである。アノード
電極10bはリン、ボロン等の不純物をドープした多結
晶シリコンであり、絶縁膜10cはシリコン酸化膜であ
る。この基板10上に、エミッタ成形型の下地膜として
用いられ、同時にゲート電極ともなる第1の導電膜11
として、リン、ボロン等の不純物をドープした多結晶シ
リコン膜を250nm堆積し、これをi線ステッパを用
いたリソグラフィとRIEによりエッチングして、基板
に達する垂直側壁をもつ凹部12を形成する。凹部12
の直径は約0.45μm とする。なお第1の導電膜11
として、ポリシリコンの他、リン、ボロン等をドープし
たアモルファスシリコン膜、W,Mo,Ti,Ta,C
r等の高融点金属、WSi,MoSi等の高融点金属シ
リサイド等を用いることができる。
の実施例を説明する。図1及び図2は、3極素子に適用
したこの発明の実施例の製造工程である。出発基板10
は、図1(a)に示すように、シリコン酸化物、ソーダ
ライム等のガラス、アルマイト等の絶縁物からなる絶縁
体基板10aに150nmのアノード電極10bと45
0nmの絶縁膜10cを積層したものである。アノード
電極10bはリン、ボロン等の不純物をドープした多結
晶シリコンであり、絶縁膜10cはシリコン酸化膜であ
る。この基板10上に、エミッタ成形型の下地膜として
用いられ、同時にゲート電極ともなる第1の導電膜11
として、リン、ボロン等の不純物をドープした多結晶シ
リコン膜を250nm堆積し、これをi線ステッパを用
いたリソグラフィとRIEによりエッチングして、基板
に達する垂直側壁をもつ凹部12を形成する。凹部12
の直径は約0.45μm とする。なお第1の導電膜11
として、ポリシリコンの他、リン、ボロン等をドープし
たアモルファスシリコン膜、W,Mo,Ti,Ta,C
r等の高融点金属、WSi,MoSi等の高融点金属シ
リサイド等を用いることができる。
【0014】次いで、図1(b)に示すように、第1の
導電膜11と同じリン、ボロン等の不純物をドープした
多結晶シリコンからなる第2の導電膜13を150nm
堆積し、これをエッチバックして図1(c)に示すよう
に凹部12の側壁にサイドスペーサ14を形成する。こ
のサイドスペーサ14もゲート電極の一部となるもので
あり、これにより小さいゲート開口が得られる。実際
に、直径0.05μm 以下の小さいゲート開口が得られ
た。続いてサイドスペーサ14及び第1の導電膜11を
マスクとして、図1(d)に示すように基板10の表面
の絶縁膜10cをエッチングする。なお第2の導電膜1
3としても、ポリシリコンの他、リン、ボロン等をドー
プしたアモルファスシリコン膜、W,Mo,Ti,T
a,Cr等の高融点金属、WSi,MoSi等の高融点
金属シリサイド等を用いることができる。
導電膜11と同じリン、ボロン等の不純物をドープした
多結晶シリコンからなる第2の導電膜13を150nm
堆積し、これをエッチバックして図1(c)に示すよう
に凹部12の側壁にサイドスペーサ14を形成する。こ
のサイドスペーサ14もゲート電極の一部となるもので
あり、これにより小さいゲート開口が得られる。実際
に、直径0.05μm 以下の小さいゲート開口が得られ
た。続いてサイドスペーサ14及び第1の導電膜11を
マスクとして、図1(d)に示すように基板10の表面
の絶縁膜10cをエッチングする。なお第2の導電膜1
3としても、ポリシリコンの他、リン、ボロン等をドー
プしたアモルファスシリコン膜、W,Mo,Ti,T
a,Cr等の高融点金属、WSi,MoSi等の高融点
金属シリサイド等を用いることができる。
【0015】次に図2(a)に示すように、絶縁膜15
として、減圧CVD法によるシリコン酸化膜を150n
m形成する。これによりこの絶縁膜15の表面に先鋭な
先端をもつ凹部16が形成される。そして次に図2
(b)に示すように、エミッタ電極となるTiN/Wの
積層構造からなる第3の導電膜17を堆積する。
として、減圧CVD法によるシリコン酸化膜を150n
m形成する。これによりこの絶縁膜15の表面に先鋭な
先端をもつ凹部16が形成される。そして次に図2
(b)に示すように、エミッタ電極となるTiN/Wの
積層構造からなる第3の導電膜17を堆積する。
【0016】次に図2(c)に示すように、第3の導電
膜17を選択エッチングしてエミッタ17aの両側にス
リット開口18を開ける。そしてこのスリット開口18
を通して、鋳型として用いた絶縁膜15及び基板10の
表面の絶縁膜10cを緩衝弗酸(BHF)溶液を用いて
エッチングして、エミッタ先端部、ゲート端面及びアノ
ード面を露出させる。
膜17を選択エッチングしてエミッタ17aの両側にス
リット開口18を開ける。そしてこのスリット開口18
を通して、鋳型として用いた絶縁膜15及び基板10の
表面の絶縁膜10cを緩衝弗酸(BHF)溶液を用いて
エッチングして、エミッタ先端部、ゲート端面及びアノ
ード面を露出させる。
【0017】この実施例によると、エミッタ成形型とな
る絶縁膜15は、下地にサイドスペーサ14を設けたこ
とによってそれ程厚くすることなく、表面に先鋭な先端
を持つ凹部16を形成することができる。従って絶縁膜
15にクラックが入ることも防止され、頂角が20°以
下、先端の曲率半径が10nm以下のエミッタを持つ電
界放射型素子を歩留まり良く作ることができる。
る絶縁膜15は、下地にサイドスペーサ14を設けたこ
とによってそれ程厚くすることなく、表面に先鋭な先端
を持つ凹部16を形成することができる。従って絶縁膜
15にクラックが入ることも防止され、頂角が20°以
下、先端の曲率半径が10nm以下のエミッタを持つ電
界放射型素子を歩留まり良く作ることができる。
【0018】図3は、この実施例により得られた素子の
斜視図を示している。この素子を真空封入することによ
り小型の3極真空素子が得られる。ゲート電極開口は、
第1の導電膜11に形成した凹部の側壁にサイドスペー
サ14を形成して得られるため、小さくなっている。従
って比較的小さいゲート・エミッタ間電圧で大きな放射
電流が得られる素子ができる。
斜視図を示している。この素子を真空封入することによ
り小型の3極真空素子が得られる。ゲート電極開口は、
第1の導電膜11に形成した凹部の側壁にサイドスペー
サ14を形成して得られるため、小さくなっている。従
って比較的小さいゲート・エミッタ間電圧で大きな放射
電流が得られる素子ができる。
【0019】図4及び図5は、別の実施例の製造工程で
ある。先の図1及び図2の実施例と対応する部分には、
それらと同一符号を付して詳細な説明は省略する。この
実施例では、図5(a)に示すように、シリコン基板2
0aにアノード電極を設けず絶縁膜20bとしてシリコ
ン酸化膜を形成したものを出発基板20としている。こ
の基板20上に、先の実施例と同様に、ゲート電極とな
る第1の導電膜11を堆積して凹部12を形成し(図4
(a))、第2の導電膜13を堆積して(図4
(b))、エッチバックによりサイドスペーサ14を形
成する(図4(c))。
ある。先の図1及び図2の実施例と対応する部分には、
それらと同一符号を付して詳細な説明は省略する。この
実施例では、図5(a)に示すように、シリコン基板2
0aにアノード電極を設けず絶縁膜20bとしてシリコ
ン酸化膜を形成したものを出発基板20としている。こ
の基板20上に、先の実施例と同様に、ゲート電極とな
る第1の導電膜11を堆積して凹部12を形成し(図4
(a))、第2の導電膜13を堆積して(図4
(b))、エッチバックによりサイドスペーサ14を形
成する(図4(c))。
【0020】次いでサイドスペーサ14及び第1の導電
膜11をマスクとして基板の絶縁膜20bをエッチング
して凹部を形成する(図4(d))。次に図5(a)に
示すように、先の実施例と同様の条件で絶縁膜15を堆
積する。図示のように絶縁膜15の表面にはサイドスペ
ーサ14により形状が制御されて先鋭な凹部16が形成
される。続いてエミッタ電極となる第3の導電膜17を
堆積し(図5(b))、その後シリコン基板20aをエ
ッチング除去する(図5(c))。最後に下から絶縁膜
15のエッチングを行い、図5(d)に示すようにエミ
ッタ電極17、ゲート電極11及びゲート電極の一部と
なるサイドスペーサ14を露出させる。
膜11をマスクとして基板の絶縁膜20bをエッチング
して凹部を形成する(図4(d))。次に図5(a)に
示すように、先の実施例と同様の条件で絶縁膜15を堆
積する。図示のように絶縁膜15の表面にはサイドスペ
ーサ14により形状が制御されて先鋭な凹部16が形成
される。続いてエミッタ電極となる第3の導電膜17を
堆積し(図5(b))、その後シリコン基板20aをエ
ッチング除去する(図5(c))。最後に下から絶縁膜
15のエッチングを行い、図5(d)に示すようにエミ
ッタ電極17、ゲート電極11及びゲート電極の一部と
なるサイドスペーサ14を露出させる。
【0021】なお図では省略したが、実際の工程では、
図5(b)の工程終了後、エミッタ電極となる第3の導
電膜17側に支持基板となるガラス基板等を例えば陽極
接合により接着することが好ましい。これより薄い素子
の保護を図り、またその後の取扱いを容易にすることが
できる。
図5(b)の工程終了後、エミッタ電極となる第3の導
電膜17側に支持基板となるガラス基板等を例えば陽極
接合により接着することが好ましい。これより薄い素子
の保護を図り、またその後の取扱いを容易にすることが
できる。
【0022】図6は、この実施例の方法により得られる
FEAの斜視図を示している。この実施例によって、微
細で高性能のエミッタをもち、且つそのエミッタ先端に
対して微小間隔を保ってゲート電極がセルフアラインさ
れたFEAが歩留まり良く実現できる。
FEAの斜視図を示している。この実施例によって、微
細で高性能のエミッタをもち、且つそのエミッタ先端に
対して微小間隔を保ってゲート電極がセルフアラインさ
れたFEAが歩留まり良く実現できる。
【0023】上の実施例において、ゲート電極の一部と
なる第1の導電膜11をシリコン酸化膜、シリコン窒化
膜等の下地絶縁膜を有する二層構造とすることもでき
る。この場合下地絶縁膜を、鋳型とした用いる絶縁膜1
5と同種の材料として、最終的に絶縁膜15のエッチン
グ工程で除去されるようにすれば、最終構造は、図5
(d)に対して、図7(a)のようになる。また上の実
施例において、第1の導電膜11と第2の導電膜13と
を異種材料、例えば前者をリン、ボロン等の不純物をド
ープした多結晶シリコンやアモルファスシリコン、後者
をWSi,MoSi,TaSi,TiSi等のシリサイ
ドとして、図5(c)に示すサイドスペーサ14を形成
するエッチバック工程で第1の導電膜11が一部エッチ
ングされるようにしてもよい。このときの最終構造は、
図7(b)のようになる。
なる第1の導電膜11をシリコン酸化膜、シリコン窒化
膜等の下地絶縁膜を有する二層構造とすることもでき
る。この場合下地絶縁膜を、鋳型とした用いる絶縁膜1
5と同種の材料として、最終的に絶縁膜15のエッチン
グ工程で除去されるようにすれば、最終構造は、図5
(d)に対して、図7(a)のようになる。また上の実
施例において、第1の導電膜11と第2の導電膜13と
を異種材料、例えば前者をリン、ボロン等の不純物をド
ープした多結晶シリコンやアモルファスシリコン、後者
をWSi,MoSi,TaSi,TiSi等のシリサイ
ドとして、図5(c)に示すサイドスペーサ14を形成
するエッチバック工程で第1の導電膜11が一部エッチ
ングされるようにしてもよい。このときの最終構造は、
図7(b)のようになる。
【0024】ところで図1,図2の実施例においては、
図1(c)に示すように第2の導電膜13をエッチバッ
クしてサイドスペーサ14を形成した後、更に絶縁膜1
0cのエッチングを行って図1(d)の状態を得てい
る。この絶縁膜10cのエッチングを行うことにより、
サイドスペーサ14が裾をひいた状態で残ることがなく
なり、図2(a)の絶縁膜15の堆積工程で凹部16の
先端を先鋭なものとすることができる。従って絶縁膜1
0cのエッチングは、サイドスペーサ14が裾を残こさ
ないようにオーバーエッチングすれば良く、必ずしも膜
厚全体にわたるエッチングを行う必要はない。
図1(c)に示すように第2の導電膜13をエッチバッ
クしてサイドスペーサ14を形成した後、更に絶縁膜1
0cのエッチングを行って図1(d)の状態を得てい
る。この絶縁膜10cのエッチングを行うことにより、
サイドスペーサ14が裾をひいた状態で残ることがなく
なり、図2(a)の絶縁膜15の堆積工程で凹部16の
先端を先鋭なものとすることができる。従って絶縁膜1
0cのエッチングは、サイドスペーサ14が裾を残こさ
ないようにオーバーエッチングすれば良く、必ずしも膜
厚全体にわたるエッチングを行う必要はない。
【0025】図1(c)の状態から、絶縁膜10cのエ
ッチングを行うことなく、次の絶縁膜15の堆積を行え
ば、図8のようになる。このような工程としても、サイ
ドスペーサ14が裾を引いていなけば、凹部16の先端
は充分先鋭なものとすることができる。この場合、絶縁
膜15の堆積には、ステップカバレージのよくない膜堆
積法、例えば減圧CVD法、スパッタ法等を用いること
が好ましい。同様のことは、図4,図5の実施例に付い
て言える。即ち図4(c)の工程の後、絶縁膜20bの
エッチング工程を行うことなく、絶縁膜15の堆積を行
って、図9のようにしても良い。但しこの構造は、ゲー
ト電極中心位置からエミッタ先端が離れるため、後述す
るように特性が若干悪くなり、また電子放出に必要なゲ
ート・エミッタ間電圧が高くなる。
ッチングを行うことなく、次の絶縁膜15の堆積を行え
ば、図8のようになる。このような工程としても、サイ
ドスペーサ14が裾を引いていなけば、凹部16の先端
は充分先鋭なものとすることができる。この場合、絶縁
膜15の堆積には、ステップカバレージのよくない膜堆
積法、例えば減圧CVD法、スパッタ法等を用いること
が好ましい。同様のことは、図4,図5の実施例に付い
て言える。即ち図4(c)の工程の後、絶縁膜20bの
エッチング工程を行うことなく、絶縁膜15の堆積を行
って、図9のようにしても良い。但しこの構造は、ゲー
ト電極中心位置からエミッタ先端が離れるため、後述す
るように特性が若干悪くなり、また電子放出に必要なゲ
ート・エミッタ間電圧が高くなる。
【0026】図10は、この発明の方法により得られる
素子の具体的な応用例であるフラットパネルディスプレ
イを示す。電子源はこの発明の方法を用いて作られたも
ので、絶縁基板41上にAlまたはCu等の導電膜42
と多結晶シリコン等の抵抗体膜43が形成され、その上
に微細エミッタ44が、サイドスペーサ52が開口端に
残された状態のゲート電極45の開口に配列されて構成
されている。
素子の具体的な応用例であるフラットパネルディスプレ
イを示す。電子源はこの発明の方法を用いて作られたも
ので、絶縁基板41上にAlまたはCu等の導電膜42
と多結晶シリコン等の抵抗体膜43が形成され、その上
に微細エミッタ44が、サイドスペーサ52が開口端に
残された状態のゲート電極45の開口に配列されて構成
されている。
【0027】この電子源に対向して、石英、ガラス等の
透明基板46にアノード電極となるITO等の透明導電
膜47と蛍光体膜48を形成した対向基板が配置され
る。なおゲート電極45、サイドスぺーサ52、導電膜
42、抵抗体膜43、蛍光体膜48及び透明導電膜47
は、例えば画素に対応したパターンに分離されていても
よい。電子源側には、放出ガスがエミッタ表面に再付着
するのを防止するため、Ti,Al,Mg等からなるゲ
ッター材51が設けられている。
透明基板46にアノード電極となるITO等の透明導電
膜47と蛍光体膜48を形成した対向基板が配置され
る。なおゲート電極45、サイドスぺーサ52、導電膜
42、抵抗体膜43、蛍光体膜48及び透明導電膜47
は、例えば画素に対応したパターンに分離されていても
よい。電子源側には、放出ガスがエミッタ表面に再付着
するのを防止するため、Ti,Al,Mg等からなるゲ
ッター材51が設けられている。
【0028】電子源と対向基板とは、アノード電極とな
る透明導電膜47とエミッタ44の間の距離が0.1〜
5mm程度に保たれるように、接着剤を塗布したガラス
板からなるスペーサ50を介して接合される。接着剤に
は例えば低融点ガラスが用いられる。なお、スペーサと
してガラス板等を用いることなく、エポキシ樹脂等の接
着剤中にガラスビーズ等を分散させてスペーサとするこ
ともできる。
る透明導電膜47とエミッタ44の間の距離が0.1〜
5mm程度に保たれるように、接着剤を塗布したガラス
板からなるスペーサ50を介して接合される。接着剤に
は例えば低融点ガラスが用いられる。なお、スペーサと
してガラス板等を用いることなく、エポキシ樹脂等の接
着剤中にガラスビーズ等を分散させてスペーサとするこ
ともできる。
【0029】対向基板側には予め排気管49が接続され
ている。そして基板接着後に、この排気管49を利用し
てパネル内部を10-5〜10-9Torr程度まで真空排気し
た後、バーナー等で排気口を封入する。その後アノー
ド、エミッタ、ゲートの各電極配線を取り付けて、フラ
ットパネルディスプレイが完成する。
ている。そして基板接着後に、この排気管49を利用し
てパネル内部を10-5〜10-9Torr程度まで真空排気し
た後、バーナー等で排気口を封入する。その後アノー
ド、エミッタ、ゲートの各電極配線を取り付けて、フラ
ットパネルディスプレイが完成する。
【0030】図11は、別のフラットパネル構成例であ
る。図8と対応する部分には図8と同一符号を付して詳
細な説明は省く。この実施例では、排気管49が電子源
側に付けられている。またスペーサ50として、シリコ
ン基板をエッチングにより加工したものを用いている。
る。図8と対応する部分には図8と同一符号を付して詳
細な説明は省く。この実施例では、排気管49が電子源
側に付けられている。またスペーサ50として、シリコ
ン基板をエッチングにより加工したものを用いている。
【0031】次に、この発明の有効性を示すデータを説
明する。最初にエミッタ形状等と放射特性との関係につ
いてのデータを説明する。図12は、用いたパラメータ
を示している。エミッタは、Z軸を中心とする回転対称
のポイント型であり、エミッタのテーパ角がθ、エミッ
タの先端曲率半径がre、エミッタとゲート電極間距離
がra、ゲート電極厚がta、ゲート電極下の酸化膜厚
がtoxである。各パラメータは、変数としない場合、
θ=60°、re=10nm、ra=0.4μm 、ta
=0.4μm 、tox=1μm とした。エミッタの高さ
は、1μm 固定である。
明する。最初にエミッタ形状等と放射特性との関係につ
いてのデータを説明する。図12は、用いたパラメータ
を示している。エミッタは、Z軸を中心とする回転対称
のポイント型であり、エミッタのテーパ角がθ、エミッ
タの先端曲率半径がre、エミッタとゲート電極間距離
がra、ゲート電極厚がta、ゲート電極下の酸化膜厚
がtoxである。各パラメータは、変数としない場合、
θ=60°、re=10nm、ra=0.4μm 、ta
=0.4μm 、tox=1μm とした。エミッタの高さ
は、1μm 固定である。
【0032】図13は、先端の曲率半径reをパラメー
タとして、テーパ角θとエミッタ先端に得られる最大電
界Emaxの関係を示している。テーパ角θが大きくな
ればなる程、即ちエミッタの頂角が小さくなればなる
程、最大電界Emaxが大きくなっている。また、re
=15nmよりも、re=10nmの方が3割程度、最
大電界Emaxが大きくなる。
タとして、テーパ角θとエミッタ先端に得られる最大電
界Emaxの関係を示している。テーパ角θが大きくな
ればなる程、即ちエミッタの頂角が小さくなればなる
程、最大電界Emaxが大きくなっている。また、re
=15nmよりも、re=10nmの方が3割程度、最
大電界Emaxが大きくなる。
【0033】図14は、ゲート電極厚taをパラメータ
として、エミッタ・ゲート電極間距離raと最大電界E
maxの関係を示している。エミッタ・ゲート電極間距
離raが小さい程、最大電界Emaxが大きくなること
が分かる。ゲート電極厚taが0.3μm の場合と0.
4μm の場合とでは、ほとんど有意差はない。以上の図
13及び図14のデータから、エミッタとしては頂角が
小さく且つ先端の鋭いウィスカー状のものが好ましいこ
とが分かる。
として、エミッタ・ゲート電極間距離raと最大電界E
maxの関係を示している。エミッタ・ゲート電極間距
離raが小さい程、最大電界Emaxが大きくなること
が分かる。ゲート電極厚taが0.3μm の場合と0.
4μm の場合とでは、ほとんど有意差はない。以上の図
13及び図14のデータから、エミッタとしては頂角が
小さく且つ先端の鋭いウィスカー状のものが好ましいこ
とが分かる。
【0034】図15は、より小さい範囲でのエミッタ・
ゲート電極間距離raと、最大電界Emax及びエミッ
タからの放射電流Ifnとの関係である。エミッタ・ゲ
ート間電圧は、Va=30V及びVa=40Vを選び、
エミッタ材料の仕事関数は4.5eVと仮定した。ra
=0.4μm のとき、Jfn=1.3A/cm2 の電流
を得るためには、Va=40Vとする必要がある。しか
し、ra=0.18μm にすると、Va=30Vまで下
げても、同じ放出電流が得られる。同一エミッタ・ゲー
ト間電圧であれば、距離raを小さくする程、放出電流
が増大することが分かる。
ゲート電極間距離raと、最大電界Emax及びエミッ
タからの放射電流Ifnとの関係である。エミッタ・ゲ
ート間電圧は、Va=30V及びVa=40Vを選び、
エミッタ材料の仕事関数は4.5eVと仮定した。ra
=0.4μm のとき、Jfn=1.3A/cm2 の電流
を得るためには、Va=40Vとする必要がある。しか
し、ra=0.18μm にすると、Va=30Vまで下
げても、同じ放出電流が得られる。同一エミッタ・ゲー
ト間電圧であれば、距離raを小さくする程、放出電流
が増大することが分かる。
【0035】図16及び図17は、ゲート電極とエミッ
タのz方向位置関係とエミッタ先端部の等電位線分布の
関係を示す。等電位線分布の密なところ程電界が強い。
図16は、ゲート電極のz方向中心位置からエミッタ先
端までの距離zgeが、zge=−0.3μm の場合であ
る。図17は、zge=0の場合である。zge=0のと
き、zge=−0.3μm の場合に比べてエミッタ先端周
辺に強い電界が集中していることが分かる。
タのz方向位置関係とエミッタ先端部の等電位線分布の
関係を示す。等電位線分布の密なところ程電界が強い。
図16は、ゲート電極のz方向中心位置からエミッタ先
端までの距離zgeが、zge=−0.3μm の場合であ
る。図17は、zge=0の場合である。zge=0のと
き、zge=−0.3μm の場合に比べてエミッタ先端周
辺に強い電界が集中していることが分かる。
【0036】図18は、上述のエミッタ・ゲート電極間
の位置関係、即ちz方向距離zgeをzge=−0.35μ
m から0.25μm まで変化させたときの、エミッタ先
端の最大電界強度Emaxの変化を示している。zge=
−0.1μm において、Emaxが極大値1.16×1
07 V/cmを示す。
の位置関係、即ちz方向距離zgeをzge=−0.35μ
m から0.25μm まで変化させたときの、エミッタ先
端の最大電界強度Emaxの変化を示している。zge=
−0.1μm において、Emaxが極大値1.16×1
07 V/cmを示す。
【0037】次にこの発明の方法により、先鋭な先端を
もつエミッタが安定に得られることを示すシミュレーシ
ョンデータを図19〜図22に示す。これは、垂直側壁
をもつ凹部が形成された基板に直接犠牲膜を堆積する従
来法と、ゲート電極材料膜によりサイドスペーサを形成
して、凹部側壁に傾斜をもたせた後に犠牲膜としての絶
縁膜を堆積するこの発明の実施例の方法の場合につい
て、犠牲膜堆積の様子をシミュレーションした結果であ
る。各図の左側の凹部がサイドスペーサにより傾斜が付
けられた実施例の方法の場合であり、傾斜は直線近似と
している。
もつエミッタが安定に得られることを示すシミュレーシ
ョンデータを図19〜図22に示す。これは、垂直側壁
をもつ凹部が形成された基板に直接犠牲膜を堆積する従
来法と、ゲート電極材料膜によりサイドスペーサを形成
して、凹部側壁に傾斜をもたせた後に犠牲膜としての絶
縁膜を堆積するこの発明の実施例の方法の場合につい
て、犠牲膜堆積の様子をシミュレーションした結果であ
る。各図の左側の凹部がサイドスペーサにより傾斜が付
けられた実施例の方法の場合であり、傾斜は直線近似と
している。
【0038】シミュレーション条件は各図中に示してあ
る。凹部径は凹部上端での径である。マイグレーション
長は、分子又は分子の集合が基板上を移動する距離であ
って、ステップカバレージのよい膜ほどマイグレーショ
ン長が大きいという関係がある。各図において、凹部
径,凹部深さ及びマイグレーション長は、実施例と従来
例とで等しい。基板に垂直な方向に0.1μm 毎に膜堆
積の様子を破線で示し、先鋭な先端が得られる膜厚位置
を実線で示している。
る。凹部径は凹部上端での径である。マイグレーション
長は、分子又は分子の集合が基板上を移動する距離であ
って、ステップカバレージのよい膜ほどマイグレーショ
ン長が大きいという関係がある。各図において、凹部
径,凹部深さ及びマイグレーション長は、実施例と従来
例とで等しい。基板に垂直な方向に0.1μm 毎に膜堆
積の様子を破線で示し、先鋭な先端が得られる膜厚位置
を実線で示している。
【0039】例えば、図19の結果を見ると、実施例の
場合、0.35μm 厚で良好なエミッタ成形型が得ら
れ、従来例の場合には0.45μm 厚で初めて良好なエ
ミッタ成形型が得られることが分かる。図20の条件で
は、実施例の場合0.4μm 厚で良好なエミッタ成形型
が得られるのに対し、従来例では0.6μm 厚で良好な
エミッタ成形型が得られる。図21の条件ではそれほど
の有意差はない。図22の条件では、実施例の場合0.
2μm 厚で良好なエミッタ成形型が得られるのに対し、
従来例では0.55μm 厚で良好なエミッタ成形型が得
られる。
場合、0.35μm 厚で良好なエミッタ成形型が得ら
れ、従来例の場合には0.45μm 厚で初めて良好なエ
ミッタ成形型が得られることが分かる。図20の条件で
は、実施例の場合0.4μm 厚で良好なエミッタ成形型
が得られるのに対し、従来例では0.6μm 厚で良好な
エミッタ成形型が得られる。図21の条件ではそれほど
の有意差はない。図22の条件では、実施例の場合0.
2μm 厚で良好なエミッタ成形型が得られるのに対し、
従来例では0.55μm 厚で良好なエミッタ成形型が得
られる。
【0040】図19〜図21は、実施例も従来例もzge
は正であり、実施例のzgeは従来例のそれよりも小さい
値をとっている。図22では、従来例はzge=0.3μ
m に対し、実施例はzge=−0.1μm となっている。
つまりこのとき、図18から明らかなように、zgeは最
適値をとっている。一方、最大電界強度Emaxは、ゲ
ート電極の厚さに殆ど依存しないことは図14で示され
ている。従って図22の条件における実施例の方が、エ
ミッタ先端の最大電界強度Emaxは従来例よりも大き
い。以上の図19〜図22のシミュレーション結果か
ら、サイドスペーサを形成するこの発明の方法により、
成膜する犠牲膜が薄くても、適切なエミッタ型が得ら
れること、凹部深さやマイグレーション長が変化して
も、エミッタ成形型の形状は大きく変化しないことが分
かる。
は正であり、実施例のzgeは従来例のそれよりも小さい
値をとっている。図22では、従来例はzge=0.3μ
m に対し、実施例はzge=−0.1μm となっている。
つまりこのとき、図18から明らかなように、zgeは最
適値をとっている。一方、最大電界強度Emaxは、ゲ
ート電極の厚さに殆ど依存しないことは図14で示され
ている。従って図22の条件における実施例の方が、エ
ミッタ先端の最大電界強度Emaxは従来例よりも大き
い。以上の図19〜図22のシミュレーション結果か
ら、サイドスペーサを形成するこの発明の方法により、
成膜する犠牲膜が薄くても、適切なエミッタ型が得ら
れること、凹部深さやマイグレーション長が変化して
も、エミッタ成形型の形状は大きく変化しないことが分
かる。
【0041】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、基
板上に形成されたゲート電極となる第1の導電膜に垂直
側壁をもって凹部を形成し、その凹部側壁にゲート電極
となる第2の導電膜でサイドスペーサを形成して滑らか
な傾斜が与えることにより、その後微小エミッタの鋳型
となる絶縁膜を堆積したときにクラックが入ることを効
果的に防止することができ、先端が小さい曲率半径と頂
角をもつ高性能の微小冷陰極をもつ電界放射型電子源を
得ることができる。またこの発明によると、ゲート電極
が、第1の導電膜に形成した凹部の側壁に第2の導電膜
によるサイドスペーサを形成して得られるから、加工し
た凹部の径より小さい開口とすることができる。これに
より、エミッタ先端部で大きな最大電界強度を得ること
ができ、従って低いゲート・エミッタ間電圧で大きな放
射電流が得られる高性能の電界放射型素子が実現でき
る。
板上に形成されたゲート電極となる第1の導電膜に垂直
側壁をもって凹部を形成し、その凹部側壁にゲート電極
となる第2の導電膜でサイドスペーサを形成して滑らか
な傾斜が与えることにより、その後微小エミッタの鋳型
となる絶縁膜を堆積したときにクラックが入ることを効
果的に防止することができ、先端が小さい曲率半径と頂
角をもつ高性能の微小冷陰極をもつ電界放射型電子源を
得ることができる。またこの発明によると、ゲート電極
が、第1の導電膜に形成した凹部の側壁に第2の導電膜
によるサイドスペーサを形成して得られるから、加工し
た凹部の径より小さい開口とすることができる。これに
より、エミッタ先端部で大きな最大電界強度を得ること
ができ、従って低いゲート・エミッタ間電圧で大きな放
射電流が得られる高性能の電界放射型素子が実現でき
る。
【図1】 この発明の一実施例の電界放射型素子の製造
工程を示す。
工程を示す。
【図2】 同実施例の製造工程を示す。
【図3】 同実施例により得られる素子構造を示す。
【図4】 この発明の他の実施例による電界放射型素子
の製造工程を示す。
の製造工程を示す。
【図5】 同実施例の製造工程を示す。
【図6】 同実施例により得られる素子構造を示す。
【図7】 他の実施例により得られる素子構造を示す。
【図8】 他の実施例により得られる素子構造を示す。
【図9】 他の実施例により得られる素子構造を示す。
【図10】 この発明のディスプレイへの応用例を示
す。
す。
【図11】 この発明のディスプレイへの応用例を示
す。
す。
【図12】 この発明の有効性を明らかにするためのデ
ータ条件を示す。
ータ条件を示す。
【図13】 最大電界強度と傾斜角の関係を示す。
【図14】 同じく最大電界強度とエミッタ・ゲート間
距離の関係を示す。
距離の関係を示す。
【図15】 同じく最大電界強度とエミッタ・ゲート間
距離の関係を示す。
距離の関係を示す。
【図16】 同じくエミッタ・ゲートの位置関係と等電
位線分布を示す。
位線分布を示す。
【図17】 同じくエミッタ・ゲートの位置関係と等電
位線分布を示す。
位線分布を示す。
【図18】 同じくエミッタ・ゲートの位置関係と最大
電界強度の関係を示す。
電界強度の関係を示す。
【図19】 この発明と従来法の膜堆積のシミュレーシ
ョン結果を示す。
ョン結果を示す。
【図20】 この発明と従来法の膜堆積のシミュレーシ
ョン結果を示す。
ョン結果を示す。
【図21】 この発明と従来法の膜堆積のシミュレーシ
ョン結果を示す。
ョン結果を示す。
【図22】 この発明と従来法の膜堆積のシミュレーシ
ョン結果を示す。
ョン結果を示す。
【図23】 従来例のエミッタ製造法を示す。
【図24】 従来例による膜堆積の様子を示す。
【図25】 従来例のエミッタ製造法を示す。
【図26】 従来例のエミッタ製造法を示す。
10…基板、11…第1の導電膜、12…凹部、13…
第2の導電膜、14…サイドスペーサ、15…絶縁膜、
16…凹部、17…第3の導電膜。
第2の導電膜、14…サイドスペーサ、15…絶縁膜、
16…凹部、17…第3の導電膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−71142(JP,A) 特表 平5−507580(JP,A) Steven M.Zimmerma n and Wayne T.Babi e,“A Fabrication M ethod for the Inte gration of Vacuum Microelectronic De vices”,IEEE TRANSA CTIONS ON ELECTRON DEVICES ,1991年8月,第38 巻,第10号,p.2294−2303 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H01J 1/30
Claims (1)
- 【請求項1】 基板の表面にゲート電極となる第1の導
電膜を堆積する工程と、 前記第1の導電膜に前記基板に達する垂直またはほぼ垂
直な側壁をもつ凹部を形成する工程と、 前記凹部が形成された基板上に前記第1の導電膜と共に
ゲート電極となる第2の導電膜を堆積する工程と、 前記第2の導電膜をエッチングして前記凹部の側壁にサ
イドスペーサを形成する工程と、 前記第1の導電膜及びサイドスペーサが形成された基板
上に絶縁膜を堆積する工程と、 前記絶縁膜上に第3の導電膜を堆積してエミッタを形成
する工程と、 前記絶縁膜のうち少なくとも前記エミッタの先端部周囲
にある部分を選択的に除去する工程とを有することを特
徴とする電界放射型素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28789695A JP3097522B2 (ja) | 1994-10-11 | 1995-10-09 | 電界放射型素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6-271755 | 1994-10-11 | ||
JP27175594 | 1994-10-11 | ||
JP28789695A JP3097522B2 (ja) | 1994-10-11 | 1995-10-09 | 電界放射型素子の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08212913A JPH08212913A (ja) | 1996-08-20 |
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1995
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Title |
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Steven M.Zimmerman and Wayne T.Babie,"A Fabrication Method for the Integration of Vacuum Microelectronic Devices",IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES ,1991年8月,第38巻,第10号,p.2294−2303 |
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Publication number | Publication date |
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JPH08212913A (ja) | 1996-08-20 |
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