JP3097523B2 - 電界放射型素子の製造方法 - Google Patents

電界放射型素子の製造方法

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JP3097523B2
JP3097523B2 JP28789795A JP28789795A JP3097523B2 JP 3097523 B2 JP3097523 B2 JP 3097523B2 JP 28789795 A JP28789795 A JP 28789795A JP 28789795 A JP28789795 A JP 28789795A JP 3097523 B2 JP3097523 B2 JP 3097523B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電界放射型素子
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路の微細加工技術を
利用して微小な冷陰極電子源を作り、これを超微細な増
幅素子や集積回路、フラットディスプレイ等に応用する
真空マイクロデバイス技術が注目されている。真空マイ
クロデバイスの実用化には、低電圧で大きな電流を安定
に放射できる冷陰極電子源の開発が不可欠である。冷陰
極電子源には大きく分けて、電界集中を利用して先鋭な
エミッタ電極先端から電子を放出させる電界放射型と、
半導体中でアバランシェ等により高エネルギー電子を生
成してこれを外部に取り出す方式とがある。またエミッ
タ電極構造には、針状の先鋭な突起を基板に垂直方向に
形成する縦型エミッタと、基板面に沿って平面的に形成
する横型エミッタとがある。
【0003】従来提案されている縦型エミッタの電界放
射型電子源の製造法として、図24に示すように、基板
に垂直側壁をもつ凹部を形成し(a)、層状均一堆積法
によって犠牲膜を堆積した後エミッタ電極材料膜を堆積
し(b)、基板及び犠牲膜を除去してエミッタを形成す
る(c)方法がある(S. Zimmerman, Abs. 3rd Int.Vac
uum Microelectronics Conf., Monterey, 1990, 1-4参
照)。この方法では、犠牲膜により逆円錐状のエミッタ
成形型を得る為には、堆積させる犠牲膜を充分厚くする
事が必要である。しかし厚い犠牲膜を1工程で堆積する
と、成膜後の冷却時に熱ストレスによってクラックが入
りやすい。このクラックにエミッタ材料が入り込むと、
所望形状のエミッタが得られず、所望性能の電界放射型
素子を得ることができない。
【0004】また図24の方法は、層状均一堆積法、即
ちステップカバレージの良好な膜堆積法で犠牲膜を堆積
する。この方法によると、図25(a)示すように、犠
牲膜に形成される凹部先端Aの曲率半径が50nm程度
と大きくなり易く、先鋭な先端を持つエミッタを作るこ
とが難しい。逆に、ステップカバレージの悪い膜堆積法
を用いると、(a)と同じ膜厚の犠牲膜を形成しても、
図25(b)に示すように、逆円錐状のエミッタ成形型
を得ることができない。この方法でも犠牲膜をより厚く
すれば、図25(c)に示すように逆円錐状のエミッタ
成形型が得られるが、その先端頂角が大きくなってしま
い、またクラックの発生が一層顕著になる。
【0005】別の縦型エミッタの製造法として、図26
に示すように、結晶基板にエッチングマスクを形成し
(a)、基板を異方性エッチングによりエッチングして
凹部を形成し(b)、エミッタ電極材料膜を堆積し
(c)、不要部を除去してエミッタを完成する(d)方
法も提案されている(例えば、特開平4−61729号
公報,特開平5−225895号公報等参照)。この方
法では、形成される凹部は四角錘状となり、また基板の
結晶面のなす角度によって凹部の頂角が決定される。従
って異方性エッチングにより得られる凹部をそのままエ
ミッタ成形型として用いる場合、小さい頂角のエミッタ
を得ることはできない。また四角錘状のエミッタでは安
定な放出電流特性が得られない。更に異方性エッチング
ができる基板は、(100)面を有する単結晶シリコン
やGaAs等に限られ、エッチング法もウエットエッチ
ングになるから、設計の自由度が小さく、素子の微細化
も難しい。
【0006】異方性エッチングを利用する別の従来法と
して、図27に示すように、シリコン層にエッチングマ
スクを形成して異方性エッチングを行い(a)、その後
エッチングマスクを除去して熱酸化を行って酸化膜を形
成してその表面に小さい頂角の凹部を得て、エミッタ電
極膜を堆積する(b)方法が提案されている(特開平5
−174703号公報参照)。この方法は、凹部を酸化
してエミッタ成形型とすることで、先端頂角を小さくで
きるものの、酸化前の頂角は前述のように決まっている
から、任意の頂角を得ることはできない。また、上述の
方法と同様に、四角錘状のエミッタしか得られず、使用
基板も限定されていて設計自由度が低く、素子の微細化
も難しいという難点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように犠牲膜堆
積により縦型エミッタの成形型を得る従来法では、曲率
半径の小さい先端を得ようとすると、犠牲膜にクラック
が入り易く、高い歩留まりや信頼性を得ることができな
い。また、異方性エッチングを利用してエミッタ成形型
を得る方法では、設計の自由度が限られて、先端の曲率
半径及び頂角が小さい任意形状のエミッタを得ることが
できなず、素子の微細化も難しいという難点がある。
【0008】この発明は、上記した点に鑑みなされたも
ので、先端の曲率及び頂角が小さいエミッタを任意の形
状にできる電界放射型素子の製造方法を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電界放射
型素子の製造方法は、基板の表面にゲート電極となる第
1の導電膜を堆積する工程と、前記第1の導電膜が堆積
された基板上に第1の絶縁膜を堆積する工程と、前記第
1の絶縁膜に前記第1の導電膜に達する垂直またはほぼ
垂直の側壁を持つ凹部を形成する工程と、前記凹部が形
成された第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜を堆積する工程
と、前記第2の絶縁膜をエッチングして前記凹部の側壁
にサイドスペーサを形成する工程と、前記第2の絶縁膜
からなるサイドスペーサおよび前記第1の絶縁膜をマス
クとして前記第1の導電膜を選択エッチングしてゲート
電極をパターン形成する工程と、前記凹部を覆うように
第3の絶縁膜を堆積する工程と、前記第3の絶縁膜上に
第2の導電膜を堆積してエミッタを形成する工程と、前
記第3の絶縁膜のうち少なくとも前記エミッタの先端部
周囲にある部分を選択的に除去する工程とを有すること
を特徴としている。
【0010】この発明の方法では、エミッタの成形型を
作るに際して、垂直またはほぼ垂直な側壁を持つ凹部に
サイドスペーサを形成することで、凹部側壁に滑らかな
傾斜を与え、且つ凹部容積を小さくしている。これによ
り、比較的薄い絶縁膜で所望のエミッタ成形型を得るこ
とができる。従ってエミッタ成形型となる絶縁膜をステ
ップカバレージのよい膜堆積法で成膜しても、成膜後の
冷却時に受ける熱ストレスを小さく抑えて、クラックが
入ることを防止することができる。以上により、所望形
状のエミッタを持つ電界放射型素子を歩留まりよく製造
することができる。
【0011】またこの発明の方法では、サイドスペーサ
により凹部開口を順テーパ状にするので、その後堆積す
る絶縁膜をステップカバレージのよくない膜堆積法によ
って形成して、先端の曲率半径及び頂角が小さい逆円錐
状のエミッタ成形型を得ることができ、したがって先端
の曲率半径及び頂角が小さい円錐状のエミッタを得るこ
とができる。
【0012】更にこの発明によると、凹部を形成した第
1の絶縁膜とその側壁に第2の絶縁膜により形成したサ
イドスペーサをマスクとして導電膜エッチングを行って
ゲート電極をパターニングしているので、ゲート電極の
開口径を加工した凹部径よりも小さくすることができ
る。従って、光ステッパや電子ビーム描画装置等の露光
装置の限界解像度で凹部を形成した場合に、ゲート電極
の径をその限界解像度以下にすることが可能になり、ゲ
ート・エミッタ間距離が小さい微細エミッタを得ること
ができる。以上によりこの発明によると、エミッタ先端
部で大きな最大電界強度を得ることができる、また低い
ゲート・エミッタ間電圧で大きな放射電流が得られる高
性能の電界放射型素子が実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施例を説明する。図1及び図2は、一実施例の電界
放射型素子の製造工程である。図1(a)に示すよう
に、基板10は、シリコン酸化物、ソーダライム等のガ
ラス、アルマイト等の絶縁物からなる絶縁体基板10a
に150nmのアノード電極10bと450nmの絶縁
膜10cとが積層された積層基板である。具体的には、
アノード電極10bは多結晶シリコン、アモルファスシ
リコン、Wシリサイド、Moシリサイド、W、Mo、T
i、Ta、Cr等であり、絶縁膜10cはシリコン酸化
膜である。絶縁膜10cとして、シリコン窒化膜やアル
マイト等を用いても良い。
【0014】この基板10上にまず、図1(a)に示す
ようにゲート電極となる第1の導電膜11として、リン
やボロン等の不純物をドープした150nmの多結晶シ
リコン膜と100nmのWシリサイドの積層膜を堆積す
る。但しWシリサイドは省略することができる。続いて
第1の絶縁膜12として400nmのシリコン窒化膜を
堆積する。そしてこの第1の絶縁膜12にi線ステッパ
を用いたリソグラフィとRIEにより、直径約0.45
μm の第1の導電膜11に達する深さの垂直側壁または
ほぼ垂直側壁を持つ凹部13を形成する。i線ステッパ
と透過率80%のハーフトーンマスクを組み合わせるこ
とにより、直径約0.25μm の凹部13も形成でき
た。
【0015】次に、凹部13が形成された基板に、図1
(b)に示すように、第2の絶縁膜14を堆積形成す
る。この第2の絶縁膜14は、ステップカバレージの良
好な膜堆積法、具体的には減圧CVD法により形成した
シリコン窒化膜とする。そしてこの第2の絶縁膜14を
RIEによりエッチバックして、図1(c)に示すよう
にサイドスペーサ15を形成する。
【0016】次に図1(d)に示すように、サイドスペ
ーサ15及び第1の絶縁膜12をマスクとして用いて、
凹部13に露出した第1の導電膜11をドライエッチン
グにより選択エッチングして、ゲート電極をパターン形
成する。これによりゲート電極には、サイドスペーサ1
5により規定されて当初の凹部13より径が絞られた開
口13bが形成される。実際にゲート開口部13bとし
て、直径0.096μm まで加工することができた。こ
の実施例ではゲート電極下の基板表面絶縁膜10cをも
エッチングしている。
【0017】なお絶縁膜10cのエッチングは必ずしも
必要ではないが、この絶縁膜10cまでエッチングする
には、第1の導電膜11のエッチングと異なるエッチン
グガスが用いられる。またこのとき絶縁膜10cと、第
1の絶縁膜12及びサイドスペーサ15とに異なる材料
を用いているため、第1の絶縁膜12及びサイドスペー
サ15との選択比が充分大きいエッチング条件を選ぶこ
とができる。従って第1の絶縁膜12及びサイドスペー
サ15をエッチングすることなく、絶縁膜10cをエッ
チングすることができる。一方、絶縁膜10cと、第1
の絶縁膜12及びサイドスペーサ15とのエッチング選
択比がほぼ1の場合、即ちこれらが同種の材料である場
合にも、第1の絶縁膜12及びサイドスペーサ15につ
いて予めエッチングによる後退を見込んで厚くしておけ
ば、絶縁膜10cをエッチングできる。実際絶縁膜10
cが950nm程度まで問題なく加工できた。
【0018】次に、図2(a)に示すように、エミッタ
成形型となる第3の絶縁膜16を堆積する。この実施例
では、この第3の絶縁膜16は、ステップカバレージの
良い膜堆積法、具体的には、TEOS、O3 及びO2
原料として、基板温度400℃で常圧CVD法を用いて
形成した、基板内の絶縁膜10cと同じシリコン酸化膜
とする。この第3の絶縁膜16の表面には図示のよう
に、先端が先鋭な凹部17が形成される。次いでこの上
に、図2(b)に示すように、エミッタ電極膜である第
2の導電膜18を堆積する。具体的にはこの第2の導電
膜18は、TiN/Wの積層膜とする。
【0019】続いて図2(c)に示すように、第2の導
電膜18を選択エッチングして、実際にエミッタ18a
として機能する部分の両側にスリット開口19を開け
る。そしてこのスリット開口19を通して、鋳型とした
用いた第3の絶縁膜16を、ゲート電極11の端面及び
アノード電極10bが露出するまでエッチングする。こ
れにより、エミッタ18aからアノード電極10bまで
の間の不要物が除去されて空間ができる。このとき第1
の絶縁膜12及びサイドスペーサ15に対してエッチン
グ選択比の大きいエッチング法として緩衝弗酸(BH
F)溶液を用いたウェットエッチングを利用することに
より、図示のようにサイドスペーサ15及び第2の絶縁
膜12をエッチングすることなく、エミッタ下の第3の
絶縁膜16及びアノード上の絶縁膜10cを横方向にも
エッチングして適度に後退させることができる。
【0020】図3は、図2(c)の状態を斜視図で示し
たものである。この様にして得られた3極素子を真空封
入することにより、微小な3極真空管が得られる。以上
のようにこの実施例によると、高性能の冷陰極エミッタ
が、ゲート電極とセルフアラインされて一体に形成され
た電界放射型素子が得られる。エミッタ先端を囲むゲー
ト電極11の開口13bは、サイドスペーサ15をマス
クとして加工されているため元の凹部13の径に比べて
小さくなる。実際に、直径0.1μm 以下の開口13b
を加工することができた。これはゲート電極11とエミ
ッタ18aの先端の間の距離を小さくしたことになるか
ら、ゲート電極11に印加する制御電圧を低くしてしか
も、効率よく電子放出させることを可能とする。実際の
試作品では、電子放出のためのエミッタ・ゲート間しき
い値電圧が約10Vで、エミッタ・ゲート間印加電圧を
17Vとして、1000個のエミッタから0.5μAの
放射電流が測定されている。
【0021】なお図2(c)の工程の後、更に第1の絶
縁膜12及びサイドスペーサ15をウェットエッチング
によりエッチングすれば、図4に示すような素子構造が
得られる。また、基板内の絶縁膜10c、第1の絶縁膜
12、サイドスペーサ15を形成する第2の絶縁膜1
4、及びエミッタ形成型となる第3の絶縁膜16を全て
シリコン酸化膜とすれば、図2(c)のエッチング工程
でBHF溶液を用いたウェットエッチングを利用するこ
とにより、図4に示す素子構造を得ることができる。
【0022】図5及び図6は、別の実施例の製造工程で
ある。先の図1及び図2の実施例と対応する部分には、
それらと同一符号を付して詳細な説明は省略する。この
実施例では、図5(a)に示すように、シリコン基板2
0aに絶縁膜20bを形成したものを出発基板20とし
ている。この基板30上に、先の実施例と同様に、第1
の導電膜11及び第1の絶縁膜12を堆積して第1の絶
縁膜12を選択エッチングして凹部13を形成し(図5
(a))、第2の絶縁膜14を堆積して(図5
(b))、エッチバックによりサイドスペーサ15を形
成し(図5(c))、ゲート電極をパターン形成する
(図5(d))。この実施例においても、ゲート電極を
パターニングした後、露出した基板表面の絶縁膜20c
をエッチング除去している。
【0023】更に第3の絶縁膜16を堆積し(図6
(a))、エミッタ電極となる第2の導電膜18を堆積
する(図6(b))ことも、同様である。この後、図6
(c)に示すように、シリコン基板20aをエッチング
除去する。そして露出した絶縁膜20b及び鋳型として
用いた第3の絶縁膜16を図の下方からエッチングする
ことにより、図6(d)に示すように、エミッタ先端及
びゲート電極端面を露出させる。このときも、絶縁膜2
0b及び第3の絶縁膜16のエッチング速度をサイドス
ペーサ15や第1の絶縁膜12に比べて充分速くなるよ
うに条件設定する。これにより、図示のように第3の絶
縁膜16の端面を適度に後退させて、エミッタ先端を露
出させることができる。
【0024】なお実際には、図6(b)の工程終了後、
それ以降の処理を容易にするため、及び素子全体を保持
するために、エミッタ電極である第2の導電膜18側に
ガラス等の絶縁支持基板を接合することが好ましい。具
体的には例えば、陽極接合を利用してガラス基板を接着
すればよい。
【0025】図7は、この実施例の方法により得られる
FEAの斜視図である。ゲート電極11の開口13b
が、当初の凹部13に比べて小さく絞られて、その中心
にエミッタ電極18の先端が露出した状態が得られる。
この様に形成されたFEAを例えば、別途用意した蛍光
体付きのアノードに対向させて真空封入すれば、フラッ
トパネルディスプレイが得られる。また用いる絶縁膜材
料とエッチングの組み合わせを選択すれば、図6(d)
の工程で、サイドスペーサ15及び第1の絶縁膜12を
第3の絶縁膜16と同時にエッチングして、図8の素子
構造を得ることができる。
【0026】なおここまでの実施例では、エミッタ電極
をTiN/W/Alの積層構造としたが、これに限られ
るわけではなく、各種金属材料(Al,Cu,W,M
o,Au,Pt,Ag,Ti,Ta,Re,Cr,H
f,Y,Bi,Sr,Tl,Pb,Ca,Sn,Ge
等)やこれらの化合物を単独であるいは積層構造として
用いることができる。またエミッタ先端部とベース部の
間に多結晶シリコン等の抵抗体層を挟んだ構造とするこ
ともできる。ゲート電極やアノード電極材料にも他の導
電材料を用いることが可能である。
【0027】図1,図2の実施例においては、図1
(d)に示すようにサイドスペーサ15をマスクとして
ゲート電極をパターン形成する際、ゲート電極下の絶縁
膜10cのエッチングも行っている。この絶縁膜10c
のエッチング工程は必須ではなく、これを省略して次の
第3の絶縁膜16の堆積を行っても良い。その場合の構
造は、図2(a)に対して、図9のようになる。但しこ
の構造は、先の実施例に比べてゲート電極中心位置から
エミッタ先端が離れるので、後に説明するように特性が
若干悪くなる。同様に、図5,図6の実施例において、
ゲート電極パターニングの後、絶縁膜エッチングを行わ
ずに次の絶縁膜堆積を行ってもよく、その場合の構造は
図6(a)に対して、図10のようになる。これら図9
及び図10においては、第3の絶縁膜16をステップカ
バレージのよくない膜堆積法例えば、減圧CVD法やス
パッタ法等により堆積して、凹部17の先端を先鋭にす
ることができる。
【0028】図11は、この発明の方法により得られる
素子の具体的な応用例であるフラットパネルディスプレ
イを示す。電子源はこの発明の方法を用いて作られたも
ので、絶縁基板41上にAlまたはCu等の導電膜42
と多結晶シリコン等の抵抗体膜43が形成され、その上
に微細エミッタ44がゲート電極45の開口に配列され
て構成されている。
【0029】この電子源に対向して、石英、ガラス等の
透明基板46にアノード電極となるITO等の透明導電
膜47と蛍光体膜48を形成した対向基板が配置され
る。なお蛍光体膜48及び透明導電膜47は、例えば画
素に対応したパターンに分離されていてもよい。電子源
側には、放出ガスがエミッタ表面に再付着するのを防止
するため、Ti,Al,Mg等からなるゲッター材51
が設けられている。
【0030】電子源と対向基板とは、アノード電極とな
る透明導電膜47とエミッタ44の間の距離が0.1〜
5mm程度に保たれるように、接着剤を塗布したガラス
板からなるスペーサ50を介して接合される。接着剤に
は例えば低融点ガラスが用いられる。なお、スペーサと
してガラス板等を用いることなく、エポキシ樹脂等の接
着剤中にガラスビーズ等を分散させてスペーサとするこ
ともできる。
【0031】対向基板側には予め排気管49が接続され
ている。そして基板接着後に、この排気管49を利用し
てパネル内部を10-5〜10-9Torr程度まで真空排気し
た後、バーナー等で排気口を封入する。その後アノー
ド、エミッタ、ゲートの各電極配線を取り付けて、フラ
ットパネルディスプレイが完成する。
【0032】図12は、別のフラットパネル構成例であ
る。図11と対応する部分には図11と同一符号を付し
て詳細な説明は省く。この実施例では、排気管49が電
子源側に付けられている。またスペーサ50として、シ
リコン基板をエッチングにより加工したものを用いてい
る。
【0033】次に、この発明の有効性を示すデータを説
明する。最初にエミッタ形状等と電界放射特性との関係
を示すデータを説明する。図13は、用いたパラメータ
を示している。エミッタは、Z軸を中心とする回転対称
のポイント型であり、エミッタのテーパ角がθ、エミッ
タの先端曲率半径がre、エミッタとゲート電極間距離
がra、ゲート電極厚がta、ゲート電極下の酸化膜厚
がtoxである。各パラメータは、変数としない場合、
θ=60°、re=10nm、ra=0.4μm 、ta
=0.4μm 、tox=1μm とした。エミッタの高さ
は、1μm 固定である。
【0034】図14は、先端の曲率半径reをパラメー
タとして、テーパ角θとエミッタ先端に得られる最大電
界Emaxの関係を示している。テーパ角θが大きくな
ればなる程、即ちエミッタの頂角が小さくなればなる
程、最大電界Emaxが大きくなっている。また、re
=15nmよりも、re=10nmの方が3割程度、最
大電界Emaxが大きくなる。
【0035】図15は、ゲート電極厚taをパラメータ
として、エミッタ・ゲート電極間距離raと最大電界E
maxの関係を示している。エミッタ・ゲート電極間距
離raが小さい程、最大電界Emaxが大きくなること
が分かる。ゲート電極厚taが0.3μm の場合と0.
4μm の場合とでは、ほとんど有意差はない。以上の図
14及び図15のデータから、エミッタとしては頂角が
小さく且つ先端の鋭いウィスカー状のものが好ましいこ
とが分かる。
【0036】図16は、より小さい範囲でのエミッタ・
ゲート電極間距離raと、最大電界Emax及びエミッ
タからの放射電流Ifnとの関係である。エミッタ・ゲ
ート間電圧は、Va=30V及びVa=40Vを選び、
エミッタ材料の仕事関数は4.5eVと仮定した。ra
=0.4μm のとき、Jfn=1.3A/cm2 の電流
を得るためには、Va=40Vとする必要がある。しか
し、ra=0.18μm にすると、Va=30Vまで下
げても、同じ放出電流が得られる。同一エミッタ・ゲー
ト間電圧であれば、距離raを小さくする程、放出電流
が増大することが分かる。
【0037】図17及び図18は、ゲート電極とエミッ
タのz方向位置関係とエミッタ先端部の等電位線分布の
関係を示す。等電位線が密なところ程電界が強い。図1
7は、ゲート電極のz方向中心位置からエミッタ先端ま
での距離zgeが、zge=−0.3μm の場合である。図
18は、zge=0の場合である。zge=0のとき、zge
=−0.3μm のときに比べてエミッタ先端周辺に強い
電界が集中していることが分かる。
【0038】図19は、上述のエミッタ・ゲート電極間
の位置関係、即ちz方向距離zgeをzge=−0.35μ
m から0.25μm まで変化させたときの、エミッタ先
端の最大電界強度Emaxの変化を示している。zge=
−0.1μm において、Emaxが極大値1.16×1
7 V/cmを示す。
【0039】次にこの発明の方法により、先鋭な先端を
もつエミッタが安定に得られることを示すシミュレーシ
ョンデータを図20〜図23に示す。これは、垂直側壁
をもつ凹部が形成された基板に直接犠牲膜を堆積した従
来法と、第1の絶縁膜に形成した凹部に第2の絶縁膜で
サイドスペーサを形成して凹部側壁に傾斜をもたせた
後、エミッタ成形型の最終犠牲膜としての第3の絶縁膜
を形成するこの発明の実施例の方法の場合について、犠
牲膜堆積の様子をシミュレーションした結果である。各
図の左側の凹部がサイドスペーサにより傾斜が付けられ
た実施例の方法の場合であり、傾斜は直線近似としてい
る。
【0040】シミュレーション条件は各図中に示してあ
る。凹部径は凹部上端での径である。マイグレーション
長は、分子又は分子の集合が基板上を移動する距離であ
って、ステップカバレージのよい膜ほどマイグレーショ
ン長が大きいという関係がある。各図において、凹部
径,凹部深さ及びマイグレーション長は、実施例と従来
例とで等しい。基板に垂直な方向に0.1μm 毎に膜堆
積の様子を破線で示し、先鋭な先端が得られる膜厚位置
を実線で示している。
【0041】例えば、図20の結果を見ると、実施例の
場合、0.35μm 厚で良好なエミッタ成形型が得ら
れ、従来例の場合には0.45μm 厚で初めて良好なエ
ミッタ成形型が得られることが分かる。図21の条件で
は、実施例の場合0.4μm 厚で良好なエミッタ成形型
が得られるのに対し、従来例では0.6μm 厚で良好な
エミッタ成形型が得られる。図22の条件ではそれほど
の有意差はない。図23の条件では、実施例の場合0.
2μm 厚で良好なエミッタ成形型が得られるのに対し、
従来例では0.55μm 厚で良好なエミッタ成形型が得
られる。
【0042】図20〜図22は、実施例も従来例もzge
は正であり、実施例のzgeは従来例のそれよりも小さい
値をとっている。図23では、従来例はzge=0.3μ
m に対し、実施例はzge=−0.1μm となっている。
つまりこのとき、図19から明らかなように、zgeは最
適値をとっている。一方、最大電界強度Emaxは、ゲ
ート電極の厚さに殆ど依存しないことは図13で示され
ている。従って図23の条件における実施例の方が、エ
ミッタ先端の最大電界強度Emaxは従来例よりも大き
い。以上の図20〜図23のシミュレーションデータか
ら、サイドスペーサを形成するこの発明の方法により、
成膜する犠牲膜が薄くても、適切なエミッタ型が得ら
れること、凹部深さやマイグレーション長が変化して
も、エミッタ成形型の形状は大きく変化しないことが分
かる。
【0043】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、ゲ
ート電極膜が形成された基板に第1の絶縁膜を堆積し、
これに垂直側壁を持つ凹部を形成した後に第2の絶縁膜
によりサイドスペーサを形成して、これらサイドスペー
サと第1の絶縁膜をマスクとしてゲート電極をパターン
形成し、その後第3の絶縁膜を堆積してこれをエミッタ
成形型としてエミッタ形成を行う。従ってエミッタ成形
型の下地にサイドスペーサにより滑らかな傾斜が与えら
れるため、微小エミッタの成形型となる絶縁膜にクラッ
クが入ることを効果的に防止することができ、先端が小
さい曲率半径と頂角をもつ高性能の微小冷陰極をもつ電
界放射型素子を歩留まり良く得ることができる。またこ
の発明によると、凹部の径より小さいゲート電極開口が
得られるから、エミッタとゲート間の距離が小さく、従
ってエミッタ先端部の電界強度を高めて、大きな放射電
流を得ることができ、またより低いゲート・エミッタ間
電圧で電流放射ができる電界放射型素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例の電界放射型素子の製造
工程を示す。
【図2】 同実施例の製造工程を示す。
【図3】 同実施例により得られる素子の斜視図を示
す。
【図4】 他の実施例による素子の断面図を示す。
【図5】 他の実施例による電界放射型素子の製造工程
を示す。
【図6】 同実施例の製造工程を示す。
【図7】 同実施例により得られる素子の斜視図を示
す。
【図8】 他の実施例により得られる素子の断面図を示
す。
【図9】 他の実施例により得られる素子の断面図を示
す。
【図10】 他の実施例により得られる素子の断面図を
示す。
【図11】 フラットパネルディスプレイへの応用例を
示す。
【図12】 フラットパネルディスプレイへの応用例を
示す。
【図13】 この発明の有効性を説明するためのパラメ
ータを示す。
【図14】 エミッタテーパ角と最大電界強度の関係を
示す。
【図15】 同じくエミッタ・ゲート間距離と最大電界
強度の関係を示す。
【図16】 同じくエミッタ・ゲート間距離と最大電界
強度の関係を示す。
【図17】 同じくエミッタ電極位置とその先端の等電
位線分布を示す。
【図18】 同じくエミッタ電極位置とその先端の等電
位線分布を示す。
【図19】 同じくエミッタ電極位置と最大電界強度の
関係を示す。
【図20】 同じくこの発明と従来法による犠牲膜堆積
の様子を示す。
【図21】 同じくこの発明と従来法による犠牲膜堆積
の様子を示す。
【図22】 同じくこの発明と従来法による犠牲膜堆積
の様子を示す。
【図23】 同じくこの発明と従来法による犠牲膜堆積
の様子を示す。
【図24】 従来のエミッタ製造法の一例を示す。
【図25】 従来法の問題点を説明する為の図である。
【図26】 従来のエミッタ製造法の他の例を示す。
【図27】 従来のエミッタ製造法の他の例を示す。
【符号の説明】
10,20…基板、11…第1の導電膜(ゲート電極
膜)、12…第1の絶縁膜、13…凹部、14…第2の
絶縁膜、15…サイドスペーサ、16…第3の絶縁膜、
17…凹部、18…第2の導電膜(エミッタ電極膜)。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−174703(JP,A) 特開 平4−71142(JP,A) 特表 平5−507580(JP,A) Steven M.Zimmerma n and Wayne T.Babi e,“A Fabrication M ethod for the Inte gration of Vacuum Microelectronic De vices”,IEEE TRANSA CTIONS ON ELECTRON DEVICES ,1991年8月,第38 巻,第10号,p.2294−2303 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H01J 1/30 H01J 31/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の表面にゲート電極となる第1の導
    電膜を堆積する工程と、 前記第1の導電膜が堆積された基板上に第1の絶縁膜を
    堆積する工程と、 前記第1の絶縁膜に前記第1の導電膜に達する垂直また
    はほぼ垂直の側壁を持つ凹部を形成する工程と、 前記凹部が形成された第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜を
    堆積する工程と、 前記第2の絶縁膜をエッチングして前記凹部の側壁にサ
    イドスペーサを形成する工程と、 前記第2の絶縁膜からなるサイドスペーサおよび前記第
    1の絶縁膜をマスクとして前記第1の導電膜を選択エッ
    チングしてゲート電極をパターン形成する工程と、 前記凹部を覆うように第3の絶縁膜を堆積する工程と、 前記第3の絶縁膜上に第2の導電膜を堆積してエミッタ
    を形成する工程と、 前記第3の絶縁膜のうち少なくとも前記エミッタの先端
    部周囲にある部分を選択的に除去する工程とを有するこ
    とを特徴とする電界放射型素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Steven M.Zimmerman and Wayne T.Babie,"A Fabrication Method for the Integration of Vacuum Microelectronic Devices",IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES ,1991年8月,第38巻,第10号,p.2294−2303

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