JP3231528B2 - 電界放出型冷陰極およびその製造方法 - Google Patents

電界放出型冷陰極およびその製造方法

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    • H01J1/00Details of electrodes, of magnetic control means, of screens, or of the mounting or spacing thereof, common to two or more basic types of discharge tubes or lamps
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  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電界放出型冷陰極および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年発達の著しい半導体の加工技術を利
用して、たとえばJournal of AppliedPhysics,Vol.47,5
248(1976)に発表されているような電界放出型冷陰極の
開発が、活発に進められている。
【0003】この種の電界放出型冷陰極は、たとえば図
6(a)〜(c)に製造工程を模式的に示すような手段
を経て製作されている。
【0004】先ず、Si単結晶基板1上に、SiO2
2およびゲート電極層3aおよび犠牲層3bを順次積層
・形成した後、直径 1.5μm程度の孔4を形成し、この
孔4内に、電界放出を行なうエミッタ材料5を、蒸着法
などによって円錐状に形成配置することにより作製して
いる。
【0005】さらに具体的に説明すると、Si単結晶基
板1上に、CVD法などの堆積法によりSiO2 層2
を、またスパッタリング法等によりMo層3aおよびA
l層3bを、順次に積層形成する。その後、図6(a)
に示すごとく、前記のSiO2層2およびゲート電極層
(Mo層)3aおよび犠牲層(Al層)3bを選択的に
エッチングして、直径 1.5μm程度のピンホール4を穿
設する。
【0006】次いで図6(b)に示すごとく、前記Si
単結晶基板1をほぼ水平に配置してこれを回転させなが
ら、エミッタ機能を有する金属、たとえばMoを垂直方
向から真空蒸着する。このMoの真空蒸着により前記の
ピンホール4内およびAl層3b上にMoが堆積して行
き、この堆積の進行に伴ってピンホール4開口面は順次
閉塞されるので、ピンホール4内にはMoが先端の尖っ
た円錐状に堆積されることになる。
【0007】こうしてピンホール4内に所要のエミッタ
材料を先端の尖った円錐状に被着・配置した後、Al層
3bを除去することにより、図6(c)に示すような電界
放出型冷陰極が形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電界放出型冷陰極には、実用上、下記のような不都合な
問題が認められる。
【0009】先ず第1には、前記構成の電界放出型冷陰
極はピンホール4開口部の縮径化現象を利用して、Si
2 層2のピンホール4内に回転蒸着法によってエミッ
タ材料5を円錐状に堆積した構造を成している。そして
前記先端の尖った円錐状に堆積したエミッタ材料5の高
さや先端部の形状等はゲート電極層3aの材質や厚さ、
および穿設したピンホール4の形状・状態、回転蒸着法
の条件設定などに起因して、円錐状先端部の高さや形状
にバラツキが起こり易く、一般的に電界放出の均一性が
劣るという問題がある。
【0010】特に、先端部の形状が鋭さ(尖鋭さ)に欠
け、電界放出効率の低下や消費電力の増大を招くといっ
た問題がある。
【0011】また、前記バラツキの問題は、いわゆる再
現性や歩留まりなどに大きく影響し、たとえば同一支持
基板面に多数個の電界放出型冷陰極を同一工程で製作
(製造)する場合にコストアップを招くという問題もあ
る。
【0012】第2には、絶縁体層としてのSiO2 層2
をCVD法などにより比較的厚く形成しているため、電
界放出の効率を大きく左右するゲート−エミッタ間の距
離を精度よく制御することが困難なため、電界放出の均
一性が劣る(バラツキが発生する)という問題がある。
【0013】また、前記ゲート−エミッタ間の距離を近
接させることにより低電圧での電界放出型冷陰極(素
子)の駆動を可能とし得ると考えられるが、前記のよう
にゲート−エミッタ間の距離を精度よくは制御し得ない
ので、理論的には可能な作用・効果も実際的には得られ
ないという問題がある。
【0014】本発明は、上記のような問題を解決するた
めに成されたもので、良好な電界放出の均一性を呈し、
また低電圧駆動も可能で、高い電界放出効率を得ること
ができ、しかも高集積化が容易で生産性のすぐれた電界
放出型冷陰極およびその製造方法を提供することを目的
としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電界放出型
冷陰極は、支持基板と、前記支持基板面に先端を尖らせ
て形設されたエミッタ材料製凸部と、前記エミッタ材料
製凸部の先端部を露出させてエミッタ材料製凸部表面を
被覆する絶縁体層と、前記エミッタ材料製凸部の先端部
を露出させ絶縁体層を被覆するSi単結晶不純物拡散層
またはGe単結晶不純物拡散層とを具備することを特徴
としている。
【0016】また、本発明に係る電界放出型冷陰極の製
造方法は、第1の支持基板の第1主面側に、先端を尖ら
せた凹部を形成する工程と、前記凹部内壁面を含む第1
の支持基板面に高濃度の不純物拡散層を形成する工程
と、前記不純物の拡散層面に絶縁体層を形成する工程
と、前記絶縁体層面に凹部を埋めつつエミッタ材料を被
着する工程と、前記エミッタ材料層面に第2の支持基板
を接合一体化する工程と、前記第1の支持基板を第2主
面側からエッチング除去し凸部を含む不純物の拡散層を
露出させる工程と、前記凸部先端部の不純物の拡散層お
よび絶縁体層を選択的に除去しエミッタ材料製の凸部の
先端部を露出させる工程とを具備することを特徴として
いる。
【0017】あるいは、第1の支持基板の第1主面側
に、底部が尖った形状の凹部を刻設する工程と、前記第
1の支持基板の前記凹部内壁面を含む第1主面上に絶縁
層を形成する工程と、前記絶縁層面上に前記凹部を埋め
つつエミッタ材料を被着して、先端が尖った形状の凸部
を有するエミッタ材料層を形成する工程と、前記エミッ
タ材料層の凸部が形成された面とは反対側の面に第2の
支持基板を接合して該第2の支持基板により前記エミッ
タ材料層を支持する工程と、前記エミッタ材料層の凸部
を被覆している前記絶縁層の少くとも先端部が露出する
まで、前記第1の支持基板を該基板の第2主面側からエ
ッチング除去する工程と、前記第1の支持基板から露出
した部分からエッチングを進行させて前記絶縁層を選択
的にエッチング除去して行き、該絶縁層に被覆されてい
た前記エミッタ材料層の凸部の先端部を露出させてエミ
ッタを形成するとともに、前記第1の支持基板を少なく
とも前記エミッタの先端部と間隙を有して対置するよう
に残存させてゲート層を形成する工程とを具備すること
を特徴としている。
【0018】あるいは、第1の支持基板の第1主面上に
エッチング停止層を形成する工程と、前記第1の支持基
板の第1主面側に、前記エッチング停止層を貫通して前
記第1の支持基板の厚さの途中にまで達する深さで、底
部が尖った形状の、凹部を刻設する工程と、前記凹部の
内壁面として露出している前記エッチング停止層および
前記第1の支持基板を含む前記エッチング停止層上に絶
縁層を形成する工程と、前記絶縁層の面上に前記凹部を
埋めつつエミッタ材料を被着して、先端が尖った形状の
凸部を有するエミッタ材料層を形成する工程と、前記第
1の支持基板を該基板の第2主面側から前記エッチング
停止層までエッチング除去して、前記エミッタ材料層の
凸部を被覆している前記絶縁層の先端部を前記エッチン
グ停止層の表面から露出させる工程と、前記エッチング
停止層から露出した部分からエッチングを進行させて前
記絶縁層を選択的にエッチング除去して行き、該絶縁層
に被覆されていた前記エミッタ材料層の凸部の先端部を
露出させてエミッタを形成するとともに、前記エッチン
グ停止層を少なくとも前記エミッタの先端部と間隙を有
して対置するように残存させてゲート層を形成する工程
とを具備することを特徴としている。
【0019】本発明に係る電界放出型冷陰極の製造方法
は、たとえばSi単結晶板などの支持基板面に、エッチ
ングの異方性を利用して先端の尖ったピラミッド状や円
錐状の凹部を形成し得ること、不純物拡散層化領域がエ
ッチング停止層として機能すること、この不純物拡散層
はその抵抗値によってはゲート電極層としても機能する
こと、熱酸化法を利用すると所定面に沿った尖鋭な酸化
物層(絶縁体層)が形成されることなど着目してなさ
れたものである。
【0020】また、本発明に係る電界放出型冷陰極
造方法において、支持基板は、先端の尖った凹部の選択
的な形設が可能で、かつ一体化される絶縁性支持基板や
高濃度不純物拡散層などに対して、選択的なエッチング
性を有する材質ならいずれでもよい。しかし、高濃度不
純物拡散層の形成し易さ、あるいは膜厚や形状など精度
のよい絶縁体層の形成を制御し易いSi,Geなどの単
結晶板が望ましい。さらに、高濃度不純物拡散層の形成
は、たとえばB(ボロン)を濃度 3×1019cm-3以上のp
型不純物を含むSi層であり、この不純物の濃度がたと
えば1020〜1021cm-3程度と高く、抵抗率が10-4Ω・cm程
度と低い場合は、ゲート電極層として利用(兼用)する
ことも可能である。なお、不純物の拡散層は、支持基板
エッチング除去するときのエッチング停止層として機
能するものであれば、前記p型に限らずn型やi型など
でもよい。
【0021】さらにまた、絶縁体層の形成は、たとえば
CVD法などによって前記不純物拡散層面にSiO2
堆積して形成する方式を採ってもよいが、緻密で厚さの
制御も容易なこと、たとえばピラミッド型凹部内壁面に
沿って先端部の尖った絶縁体層の形成が可能なことなど
から、前記のように不純物拡散層の表面を熱酸化する熱
酸化法を用いることが好ましい。
【0022】
【作用】本発明に係る電界放出型冷陰極製造方法にお
いては、たとえばSi単結晶基板などの支持基板面に形
設した凹部を含む面にエッチング停止層となる高濃度の
不純物拡散層、および絶縁体層たとえば薄い熱酸化絶縁
層を形成し、その後エミッタ材料層を被着形成するた
め、ゲート−エミッタ間距離を、前記熱酸化絶縁層など
形成・制御が可能なことに伴い精度よく制御することが
可能である。また、ゲート−エミッタ間距離を近接させ
るため、熱酸化絶縁層などの層厚を極力薄くした場合で
も、不純物拡散層がエッチング停止層として機能するの
で、絶縁体層,さらにはエミッタ材料層が侵されること
なく、支持基板をエッチング除去できる。そして、前記
熱酸化絶縁層およびエミッタ材料層がエッチング液の侵
食から保護され、またゲート−エミッタ間距離の近接化
も可能なことは、電界放出効率および均一性の大幅な向
上をもたらす。
【0023】一方、支持基板面に形設した凹部内に、エ
ミッタ材料は埋め込み(充填)配置され、かつ前記凹部
が高精度に形設され得るため、高さ,形状,先端の尖鋭
さなどが一様な(均一な)エミッタが、再現性良好に形
成されることになる。また、支持基板面に形設した凹部
内においては、その内壁面の熱酸化絶縁層の凹部内部へ
の成長作用により、凹部先端が尖鋭となるため、前記凹
部内を埋め込み・充填して形成するエミッタの先端部も
より尖鋭になる。
【0024】さらに、高濃度の不純物拡散層は、エッチ
ング停止層として機能するものであるが、P型不純物濃
度が高く電気導性が良好な場合は、そのままゲート電
極層として利用することも可能である。そしてこのエッ
チング停止層にゲート電極層を兼用させる形とした場合
は、良好に制御されて形成された絶縁体層とあいまっ
て、ゲート−エミッタ間距離を間隙を有しながら近接し
て形成する際の精密な制御が可能となると同時に、ゲー
ト電極層形成の工程も不要となるため、その分の労力、
製造作業時間、材料費などの節減を図ることができ、そ
の結果、製造コストを低コスト化することができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明に係る電界放出型冷陰極および
その製造方法の実施例を、図1、図2(a)〜(h)に
基づいて詳細に説明する。
【0026】(実施例1)図1は、本発明に係る第1の
実施例の電界放出型冷陰極の構造の概要を、その断面的
構造を含んで斜視図で示したものである。
【0027】図1において、6は例えばパイレックスガ
ラス板のような耐熱性の高い絶縁性支持基板、7は前記
絶縁性支持基板6面に先端を尖らせ一体的に形設された
エミッタ材料製凸部(つまりエミッタ本体部)であっ
て、例えばW、Mo、Taなどの金属材料から形成され
た先端が尖った凸部状に(言うなればピラミット形状
に)形成されている。8は前記のエミッタ材料製凸部7
を被覆するとともにその先端部は露出させている絶縁体
層であって、この絶縁体層はたとえばSiO2 層から形
成される。9は絶縁体層8面を被覆するとともに前記の
エミッタ材料製凸部7の先端部を露出させている高濃度
の不純物拡散層であって、例えばB(ボロン)を拡散し
てなるSi層から形成される。そして10は前記エミッ
タ材料製凸部7の先端部を露出させるとともに、不純物
拡散層9の面上を被覆するように形成されたゲート電極
層である。
【0028】このように、本発明に係る電界放出型冷陰
極は、絶縁性支持基板6の一方の面に上記のような例え
ばピラミッド型のエミッタ材料製凸部7がエミッタ本体
部として形成されている。そしてこのピラミッド型のエ
ミッタ材料製凸部7の先端部を絶縁性支持基板6面に対
してほぼ垂直方向に電子を放出することができるように
露出させるとともに、エミッタ材料製凸部7の先端部に
対して間隙(ギャップ)を有して対峙するようにゲート
電極層10が形成されている。
【0029】上記のような構造にその主要部が形成され
た本発明に係る電界放出型冷陰極は、たとえば図2
(a)〜(h)に模式的に示すような工程を経て製造さ
れる。次に、図2に基づいてその製造方法の一例を詳述
する。
【0030】先ず第1の支持基板としてSi単結晶基板
11を用意し、図2(a)に示すごとくこのSi単結晶
基板11の一方の平面(これを第1主面と呼ぶ)を異方
性エッチングによりエッチングして、所要のピッチで底
部に向かって尖鋭に尖った形状の(図中で逆ピラミット
型に見える)凹部11aを刻設する。
【0031】これは、例えばp型で (100)結晶面方位の
Si単結晶基板11の第1主面側から例えばドライ酸化
法などによる熱酸化処理を施して、厚さ 0.1μm程度の
薄い熱酸化膜(SiO2 )膜を形成し、この熱酸化膜面
上にフォトレジストをスピンコート法等により塗布す
る。そして例えばステッパを用いて 0.8μmの矩形の開
口部が得られるように露光・現像処理等を施してフォト
レジストのパターニングを行なった後、例えばNH4
・HF混合溶液をエッチャントとして用いて前記熱酸化
膜(SiO2 )の露出領域の選択エッチングを行なう。
そしてフォトレジストを除去した後、さらに30%のKO
H水溶液で異方性エッチング処理を行なうことにより、
前記の図2(a)に示すような逆ピラミッド状で深さ約
0.56μmの凹部11aをSi単結晶基板11の第1主面
側に形成する。
【0032】その後、NH4 F・HF混合溶液をエッチ
ャントとして用いて前記マスクとして機能した熱酸化膜
を除去した後、逆ピラミッド状の凹部11aを含むSi
単結晶基板11面上に、p型不純物として例えば 3×10
19cm-3以上の濃度のB(硼素)を含むB拡散Si層12
を、ほぼ一様な厚さで例えば厚さ 0.3μmの厚さに形成
する。このB拡散Si層12は、後述する工程でSi単
結晶基板11をその第2主面側からエッチング除去する
際にエッチング停止層(あるいは犠牲層)である図1に
示したような高濃度不純物拡散層10として機能するも
のであるが、p型不純物の濃度を例えば1020〜1021cm-3
程度と高くして抵抗率を10-4Ω・cm程度と低くした場
合には、そのままゲート電極層10として利用すること
も可能である。その場合には工程数が低減されるばかり
でなく、ゲート−エミッタ間距離のさらなる近接化、換
言すればゲート−エミッタ間ギャップのさらなる微細化
を図ることができるというメリットもある。
【0033】次いで、Si単結晶基板11に熱酸化処理
を施して前記B拡散Si層12の表面を熱酸化し、厚さ
0.2μmの絶縁体層13を形成する。この絶縁体層13
が図1に示した絶縁体層8のとなる層である。
【0034】続いて、絶縁体層13の上に、たとえば
W、Mo、Taのような金属材料をスパッタリングして
前記のピラミッド型凹部11aを埋めながら厚さ 0.8μ
m程度のエミッタ材料層14を形成する。このエミッタ
材料層14のうちピラミッド型凹部11aの部分を埋め
るように形成された凸状の部分が、図1に示したエミッ
タ材料製凸部7となる。
【0035】さらにエミッタ材料層14の上に、スパッ
タリング法などによりたとえば厚さ1μm程度のITO
(インジウム−錫系酸化物)を堆積して導電層15を形
成して、図2(b)に示すような積層体を作成する。こ
こで、上記のITOなどからなる導電層15は、エミッ
タ材料層14の材質によっては省略してもよい。ただし
その場合にはエミッタ材料層14の表面に導電層15と
しての機能を兼用させることになる。
【0036】一方、第2の支持基板として、裏面(背
面)に厚さ 0.4μm程度の静電接合電極用のAl層16
をコーティングした厚さ 1mm程度のパイレックスガラ
ス板17を用意し、図2(c)に示すごとく導電層15
の表面にパイレックスガラス板17を貼り合わせるよう
に配置して、導電層15とAl層16との間に数百V程
度の電圧を印加していわゆる静電接着法によってこれら
の界面を貼り合わせる。この接合は接着剤で行なっても
よいが、製造する電界放出型冷陰極の軽量化や薄型化な
どの点から、上記のような静電接着法が好ましい。こう
してパイレックスガラス板17を貼り合わせた後、パイ
レックスガラス板17の裏面にコーティングされたAl
層16を、例えばHNO3 ・CH3 COOH・HF混酸
溶液でエッチング除去する。
【0037】その後、エチレンジアミン・ピロカテコー
ル・ピラジンから成る水溶液(混合比は75cc:12g:
3mg:10cc)をエッチャントとして用いて、支持板
としてのSi単結晶基板11をその第2主面側からエッ
チング除去して、図2(d)に示すように絶縁体層13
とB拡散Si層12との積層によって被覆されたエミッ
タ材料製凸部18(すなわち図1の凹部11aとなる部
分)を有する形の積層体を得る。このエッチング工程に
おいては、B拡散Si層12はSi単結晶基板11のエ
ッチング停止層として機能するとともに、膜厚の薄い絶
縁体層13および先端が尖ったピラミッド型のエミッタ
材料製凸部18を前記エッチング液による侵食から保護
する役割を果たす。
【0038】次に、前記Si単結晶基板11をエッチン
グ除去して露出したB拡散Si層12の面上に、例えば
スパッタリング法によりW層19を厚さ 0.5μm程度に
成膜する。そしてこのW層19の面上に、例えばスピン
コート法により、図2(e)に示すようにピラミッド型
のエミッタ材料製凸部18の先端部が隠れる程度の厚
さ、例えば厚さ 0.9μm程度の厚さにフォトレジスト層
20を塗布する。
【0039】その後、酸素プラズマによるドライエッチ
ング処理を施して、図2(f)に示すごとく、エミッタ
材料製凸部18の先端部が 0.7μm程度露出するように
フォトレジスト層20の一部をエッチング除去する。
【0040】そして反応性イオンエッチング処理を施し
て、図2(g)に示すように、フォトレジスト層20の
エッチング除去で露出したW層19の先端部を選択的に
除去する。こうしてエミッタ材料製凸部18の先端部を
露出するようにW層19に開口部を開けて、図1に示し
たようなゲート電極層10を得る。次いで、フォトレジ
スト層20の残余分、つまりW層19先端部の選択的エ
ッチングの際にマスクとして機能した後にもまだW層1
9上に残されているフォトレジスト層20を除去する。
【0041】そして、NH4 F・HF混合溶液を用いて
前記エミッタ材料製凸部18の先端部に対応する領域の
B拡散Si層12および絶縁体層13を選択的にエッチ
ング除去して、エミッタ材料製凸部18の先端部を露出
させる。
【0042】すなわち、図2(h)に示すごとく、W層
19を用いて形成されたゲート電極層10の開口部19
aから、ピラミッド型のエミッタ材料製凸部18の先端
部が露出した構造の本発明に係る電界放出型冷陰極が得
られる。
【0043】上記のような本発明に係る製造方法によれ
ば、異方性エッチングによって刻設された底面(先端)
が尖鋭な凹部を有する支持基板11の第1主面側に、B
のような不純物をドーピンクし高濃度の不純物として拡
散してなるB拡散Si層12を形成し、さらに熱酸化法
により絶縁体層13を形成した後、前記凹部を埋めるよ
うにエミッタ材料層14を形成する。この過程により先
端が尖鋭な凹部を異方性エッチングによって再現性よく
刻設することができるとともに、絶縁体層13を形成す
る際の熱酸化による緻密なSiO2 の成長、さらにはB
拡散Si層12による絶縁体層13およびエミッタ材料
層14に対する耐エッチング性などにより、先端部が鋭
く尖り、かつ高さや形状が均一で一様性に優れたエミッ
タを困難無く簡易に形成することができる。
【0044】従って、本発明によれば、品質的に安定し
た電界放出型冷陰極の提供が可能となる。また前記エミ
ッタ機能部に対するゲート電極層10の距離(エミッタ
−ゲート間隔)も、前記熱酸化法によって精度よく制御
された厚さで絶縁体層13の形成が可能であることによ
り、比較的低電圧駆動でかつ電子の放射効率が高い電界
放出型冷陰極の提供が可能となる。
【0045】なお、上記ではB拡散Si層12面上に、
ゲート電極層10としてW層19を配置した構造を一例
として示したが、前記のB拡散Si層12の不純物濃度
が高くその抵抗値が低い場合には、そのB拡散Si層1
2をゲート電極層として機能させても、あるいは支持基
板11の選択エッチングに主として関与する不純物拡散
層12を除去し、これにより露出する絶縁体層13面上
にW層19を配設した構造を採っても、同様の作用・効
果が得られる。
【0046】なお、前記不純物はp型のB、,Al、G
a、Inや、あるいはn型のP、As、Ti、あるいは
i型のGe、Snなどでもほぼ同様な傾向の効果を得る
ことができる。
【0047】 また、前記Si単結晶板の代りにCaA
s基板などを第1の支持基板として用いる、あるいはW
の代りにMo、Ta、Siや、仕事関数が低くエミッタ
として使用可能な材料をエミッタ材料として用いてもよ
い。
【0048】さらには、上記のパイレックスガラス板の
代りにソーダガラス板などを第2の支持基板として用い
た場合にも、上記実施例とほぼ同様の効果を得ることが
できる。
【0049】さらには、上記実施例においては電界放出
型冷陰極を単体の素子として説明したが、例えば 1枚の
Si単結晶板上に上記のような構造の本発明に係る電界
放出型冷陰極を複数個、例えばマトリックス状に配設し
て用いてもよいことは言うまでもない。
【0050】(実施例2)図3は、本発明に係る第2の
実施例の電界放出型冷陰極の製造工程を示す図である。
この図3に基づいて第2の実施例の製造方法を説明す
る。
【0051】まず、図3(a)に示すように、第1の支
持基板として低抵抗の(100)結晶面方位のSi単結
晶基板301を準備する。
【0052】次に、図3(b)に示すように、Si単結
晶基板301の一方の平面(この面を第1主面とする)
に、底部に向かって尖鋭な形状の凹部302を刻設す
る。このような凹部302の刻設方法としては、以下に
示すようなSiの異方性エッチングを用いる方法が適用
できる。即ち、(100)結晶面方位のSi単結晶から
なるSi単結晶基板301上に、その第1主面側から厚
さ0.1 μm程度のSiO2 熱酸化膜301bをドライ酸
化法により形成する。そしてさらにフォトレジストをス
ピンコート法により塗布する。次いでステッパ等を用い
て、例えば1 μm角の矩形状の開口部が得られるように
フォトレジストの露光及びその現像等を行なってパター
ニングし、その後、NH4 F/HF混合溶液をエッチャ
ントとして用いて、SiO2 熱酸化膜301bのエッチ
ングを行なう。そして前記のフォトレジストを除去した
後、30wt%のKOH水溶液をエッチャントとして用い
て異方性エッチングを行なうことにより、Si単結晶基
板301の第1主面側に例えば深さ0.71μmの逆ピラミ
ッド型の凹部302を刻設することができる。そして例
えばNH4 F/HF混合溶液を用いてSi単結晶基板3
01の表面に残されているSiO2 熱酸化膜301bを
一旦除去する。
【0053】続いて、図3(c)に示すように、Si単
結晶基板301の第1主面上に前記の凹部302の内壁
面上を含めて熱酸化処理を施し、熱酸化層303を形成
する。本実施例ではこの熱酸化層303は厚さ0.5 μm
となるようにウェット熱酸化法により形成した。次い
で、この熱酸化層303上にエミッタ材料層304とし
て、例えばW層やMo層を形成する。このエミッタ材料
層304は、凹部302を埋めつつ熱酸化層303の上
面を覆うように形成する。本実施例では凹部302以外
の熱酸化層303上で厚さが2 μmとなるようにエミッ
タ材料層304をスパッタリング法により形成した。
【0054】次に、図3(d)に示すように、第2の支
持基板として、背面に厚さ0.3 μmのAl層305がコ
ーティングされたパイレックスガラスのような耐熱性の
高い材料からなるガラス基板306を用意する。このガ
ラス基板306を、上記のエミッタ材料層304の先端
が尖った凸部307が形成された面とは反対側の面に重
ね合わせるように配置し、接着する。この接着には、例
えば静電接着法を適用することができる。そしてガラス
基板306の背面のAl層305をHNO3 −CH3
OH−HFの混酸溶液で除去する。
【0055】次に、図3(e)に示すようにここで基板
全体を裏返して(表裏を反転させて)、Si単結晶基板
301の前記第1主面とは反対側の(裏側の)第2主面
を上にしてEDPと呼ばれるエチレンジアミン、ピロカ
テコール及びピラジンの混合水溶液(この実施例ではエ
チレンジアミン:ピロカテコール:ピラジン:水=75m
l:12g:0.45g:10ml)をエッチャントとして用い
て、Si単結晶基板301の前記第1主面とは反対側の
第2主面側からエッチング除去する。このときエッチン
グ時間を制御して、Si単結晶基板301の厚さ方向に
わたって全部がエッチングされるのではなく(e)に示
すようにエミッタ材料層304の凸部307の先端部が
部分的に露出されるとともにそれ以下の部分は被覆され
るような厚さのSi単結晶層308として残るようにす
る。このSi単結晶層308をゲート電極として使用す
る。こうして、エミッタ材料層304の凸部307の尖
った先端部を覆う熱酸化層303をSi単結晶層308
から部分的に露出させる。
【0056】次に、図3(f)に示すように、NH4
/HF混合溶液をエッチャントとして用いて、エミッタ
材料層304の凸部307の先端部を覆っている部分の
熱酸化層303をエッチング除去して、凸部307の尖
った先端部をSi単結晶層308から部分的に露出させ
る。こうしてエミッタを得る。
【0057】上記のような製造方法によれば、第1の実
施例の製造方法の有する効果に加えて、本発明に係る電
界放出型冷陰極をさらに簡易に形成することができる。
【0058】(実施例3)図4は、本発明に係る電界放
出型冷陰極の製造方法の第3の実施例を示す図である。
【0059】なお、同図においては第1および第2の実
施例と同一の部分には同一の符号を付して示した。本実
施例の製造方法は、上述の第1および第2の実施例にお
いて、高濃度にB(ホウ素)を拡散した薄いエッチング
停止層を設けて、Si単結晶基板301の第2主面側か
らのエッチングの進行を、このエッチング停止層で停止
させるようにしたことを特徴としている。従って第2の
実施例のようなエッチング時間の煩雑な制御を行なう必
要がなくなるので、さらに簡易に本発明に係る電界放出
型冷陰極を形成することが可能である。
【0060】まず、図4(a)に示すように、(10
0)結晶面方位のSi単結晶基板301の第1主面上に
例えば1019cm3 以上の高濃度にB(硼素)のような不
純物イオンを拡散して、薄いエッチング停止層401を
形成する。この高濃度の不純物拡散は、例えば熱拡散法
あるいはイオン注入法などによって行なう。
【0061】次に、図4(b)に示すように、第1の実
施例と同様に、Si単結晶基板301上に形成されたエ
ッチング停止層401の一方の平面(第1主面)側か
ら、底部に向かって尖鋭な形状の凹部302を刻設す
る。この凹部302の刻設方法としては、第2の実施例
と同様に、Siの異方性エッチングを用いる方法が適用
できる。即ち、エッチング停止層401の表面上および
凹部302で露出している部分のSi単結晶基板301
表面上にドライ酸化法による熱酸化処理を施して、その
表面から厚さ0.1 μm程度のSiO2 熱酸化膜301b
を形成する。さらにその上にフォトレジスト(図示省
略)をスピンコート法により塗布する。次いでステッパ
等を用いて、例えば1 μm角の矩形状の開口部が得られ
るようにフォトレジストを露光及びその現像等を行なっ
てパターニングする。そしてNH4 F/HF混合溶液を
エッチャントとして用いてSiO2 熱酸化膜301bの
パターニングを行なう。その後、前記のフォトレジスト
を除去し、SiO2 熱酸化膜301bのパターンをエッ
チングマスクとして用いるとともに30wt%のKOH水
溶液をエッチャントとして用いて、異方性エッチングを
行なう。こうしてエッチング停止層401にSi単結晶
基板301の第1主面以上に達する例えば深さ0.71μm
の逆ピラミッド型の凹部302を刻設する。そして例え
ばNH4 F/HF混合溶液を用いてSi単結晶基板30
1の表面に残されているSiO2 熱酸化膜301bを除
去する。
【0062】ここで、KOH水溶液は、Bを高濃度に拡
散したエッチング停止層401におけるエッチングレー
トがSi単結晶に対するエッチングレートと大差ないた
め、エッチング停止層401をSi単結晶基板301の
上に形成した場合でも良好なエッチングスピードを得る
ことができる。従って本実施例のようなエッチング停止
層401をSi単結晶基板301上に形成した場合に
も、凹部302を良好に刻設することができるのであ
る。もちろんエッチャントとしてはこの他にもエッチン
グ停止層401をエッチングすることが可能なものであ
れば、この他のエッチャントを用いることもできる。
【0063】次に、図4(c)に示すように、凹部30
2によって露出しているエッチング停止層401及びS
i単結晶基板301の壁面及びエッチング停止層401
の平面に熱酸化処理を施して熱酸化層303を形成す
る。この熱酸化時にエッチング停止層401は厚くなる
が、このように膨脹した後でも、ピラミッド状の凸部3
07の先端部を覆っている部分の熱酸化層303がこの
エッチング停止層401から突出するように、エッチン
グ停止層401の厚さをSi単結晶基板301に成膜す
る際に前もって設定しておく。そして上述の第2の実施
例等と同様に熱酸化層303上にエミッタ材料として好
適な例えばWやMoなどの材料を堆積などにより成膜し
て、エミッタ材料層304を形成する。
【0064】次に、図4(d)に示すように、第2の実
施例と同様に、第2の支持基板として、背面に厚さ0.3
μmのAl層305がコーティングされたパイレックス
ガラスのような耐熱性の高い材料からなるガラス基板3
06を用意する。このガラス基板306を、上記のエミ
ッタ材料層304の先端が尖った(ピラミッド状の)凸
部307が形成された面とは反対側の面に重ね合わせる
ように配置して、接着する。この接着には第2の実施例
と同様に例えば静電接着法を適用することができる。そ
してガラス基板306の背面のAl層305をHNO3
−CH3 OOH−HFの混酸溶液で除去する。
【0065】次に、図4(e)に示すように、EDPと
呼ばれるエチレンジアミン、ピロカテコール及びピラジ
ンの混合水溶液(この実施例ではエチレンジアミン:ピ
ロカテコール:ピラジン:水=75ml:12g:0.45g:
10ml)をエッチャントとして用いて、Si単結晶基板
301の前記第1主面とは反対側の(裏側の)第2主面
側からエッチング除去する。
【0066】ここで、エッチング停止層401は高濃度
のBを拡散してなるSi材料から形成されているので、
第2の実施例で用いたEDPのようなエッチャントに対
してはエッチングレートが単結晶Siに比べてかなり低
い。したがってこのエッチング停止層401でSi単結
晶基板301の第2主面側からのエッチングは停止さ
れ、エッチング停止層401はほぼそのままの形で残る
ことになる。こうして、エミッタ材料層304の凸部3
07の尖った先端部を覆う熱酸化層303をエッチング
停止層401から部分的に露出させることができる。
【0067】次に、図4(f)に示すように、NH4
/HF混合溶液をエッチャントとして用いて、エミッタ
材料層304の凸部307の先端部を覆っている部分の
熱酸化層303をエッチング除去して、凸部307の尖
った先端部をエッチング停止層401から部分的に露出
させる。こうしてエミッタを得る。
【0068】一方、エッチング停止層401は高濃度の
Bを拡散してなるSi材料から形成されているために導
電性が良好であることから、エッチング停止層401は
そのまま残して、ゲート電極として使用することができ
る。
【0069】上記のような第3の実施例の製造方法によ
れば、第1および第2の実施例の製造方法の有する効果
に加えて、第2の実施例のようなSi単結晶基板301
の第2主面側からのエッチングの際のエッチング深さの
煩雑な制御等は不要とすることができるため、本発明に
係る電界放出型冷陰極をさらに簡易に形成することがで
きる。
【0070】(実施例4)図5は、本発明に係る電界放
出型冷陰極の製造方法の第4の実施例を示す図である。
なお、説明の簡潔化のために、この図5においては既述
の各実施例と同一の部分には同じ符号を付して示した。
またこの第4の実施例では既述の実施例とは異なった特
徴的な部分を中心として説明する。
【0071】本実施例の製造方法は、上述の第3の実施
例のエッチング停止層401の代りにn型Si材料で形
成されたエッチング停止層501を用いて、このエッチ
ング停止層501に逆電圧を印加することにより、Si
単結晶基板301の第2主面からのエッチングを停止さ
せることを特徴としている。
【0072】まず、図5(a)に示すように、p型の
(100)結晶面方位のSi単結晶からなるSi単結晶
基板301上にn型のSi層501を、熱換拡散法ある
いはイオン注入法などにより薄い膜厚に形成し、Si単
結晶基板301とSi層501との界面でpn接合を形
成する。
【0073】これに続く図5(b)から(d)に示した
工程は、上述の第3の実施例とほぼ同様である。
【0074】そして本実施例においては、図5(e)に
示すSi単結晶基板301を除去する工程において電気
化学エッチングを用いることを特徴としている。
【0075】これは、例えばKOH水溶液中で、エッチ
ング停止層501とSi単結晶基板301との界面に生
じているpn接合に対して逆電圧を印加してp型のSi
単結晶基板301のみを選択的にエッチングし、n型の
Si層501についてはエッチングを進行させずそのま
ま残すという方法である。
【0076】このようにして、図5(e)で示すような
Si単結晶基板301をその第2主面側からエッチング
して行き、Si単結晶基板301をほぼ全厚さにわたっ
て削除して、エミッタ材料層304の凸部307の先端
部分だけをエッチング停止層501から露出させる。
【0077】そしてそれ以降の工程は、上述の各実施例
と同様である。即ち、図5(f)に示すように、NH4
F/HF混合溶液をエッチャントとして用いてエミッタ
材料層304の凸部307の先端部を覆っている部分の
熱酸化層303をエッチング除去する。こうして凸部3
07の尖った先端部をSi単結晶層308から部分的に
露出させて、エミッタを得る。
【0078】このような第4の実施例に示した製造方法
によっても、既述の各実施例と同様に、エミッタ−ゲー
ト電極間の間隙(ギャップ)を高精度に、かつ簡易に形
成することができる。
【0079】なお、上記の第2乃至第5の実施例におい
て、高濃度にBを拡散したエッチング停止層401ある
いはn型のSi層501を、図4、図5の(a)の工程
にてすでにSi単結晶基板301の第1主面上にエピタ
キシャル成長させて形成しておいてもよい。
【0080】その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で、各部位の形成材料やその成膜、パターニング方法等
の種々変更が可能であることは言うまでもない。
【0081】
【発明の効果】以上、詳細な説明で明示したように、
発明に係る電界放出型冷陰極は、常に良好な電界放出の
均一性および安定性を呈し、また低電圧駆動も可能で、
かつ高い電界放出効率を得られるという優れた性能を備
えている。そして本発明に係る電界放出型冷陰極の製造
方法によれば、前記したような機能的な特長を備え、か
つ高集積化なども容易な電界放出型冷陰極を、良好な歩
留まりおよび生産性(量産性)を以て製造することが可
能である。
【0082】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電界放出型冷陰極の要部構成例を
示す一部断面的な斜視図。
【図2】本発明に係る第1の実施例の電界放出型冷陰極
の製造工程を示す図。
【図3】本発明に係る第2の実施例の電界放出型冷陰極
の製造工程を示す図。
【図4】本発明に係る第3の実施例の電界放出型冷陰極
の製造工程を示す図。
【図5】本発明に係る第4の実施例の電界放出型冷陰極
の製造工程を示す図。
【図6】従来の電界放出型冷陰極の製造工程の概要を示
す図。
【符号の説明】
1…………Si単結晶基板, 2…………SiO2 堆積層, 3a………Mo層(ゲート電極層), 3b………Al層(エッチング停止層), 4…………孔(ピンホール), 5…………エミッタ材料, 6,17…絶縁性支持基板, 7,18…エミッタ材料製の凸部, 8,13…熱酸化物層(絶縁体層), 9,12…高濃度の不純物拡散層, 10, 19' …ゲート電極層, 11a……凹部, 14………エミッタ材料層, 15………導電層, 16………静電接合用電極層, 19………W被覆層, 19a……開口部, 20………フォトレジスト層, 301……Si単結晶基板, 301b…SiO2 熱酸化膜, 302……凹部, 303……Si熱酸化層, 304……エミッタ層, 305……Al層, 306……ガラス基板, 307……エミッタ層の凸部, 308……Si単結晶層, 401……Bを高濃度に拡散してなるエッチング停止
層, 501……n型Si材料を用いて形成されたエッチング
停止層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−94762(JP,A) 特表 平4−501934(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/304 H01J 9/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基板と、前記支持基板面に先端を尖
    らせて形設されたエミッタ材料製凸部と、 前記エミッタ材料製凸部の先端部を露出させてエミッタ
    材料製凸部表面を被覆する絶縁体層と、 前記エミッタ材料製凸部の先端部を露出させ絶縁体層を
    被覆するSi単結晶不純物拡散層またはGe単結晶不純
    物拡散層とを具備することを特徴とする電界放出型冷陰
    極。
  2. 【請求項2】 第1の支持基板の第1主面側に、先端を
    尖らせた凹部を形成する工程と、 前記凹部内壁面を含む第1の支持基板面に高濃度の不純
    物拡散層を形成する工程と、 前記不純物の拡散層面に絶縁体層を形成する工程と、 前記絶縁体層面に凹部を埋めつつエミッタ材料を被着す
    る工程と、 前記エミッタ材料層面に第2の支持基板を接合一体化す
    る工程と、前記第1の支持基板を第2主面側からエッチ
    ング除去し凸部を含む不純物の拡散層を露出させる工程
    と、 前記凸部先端部の不純物の拡散層および絶縁体層を選択
    的に除去しエミッタ材料製の凸部の先端部を露出させる
    工程とを具備することを特徴とする電界放出型冷陰極の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 第1の支持基板の第1主面側に、底部が
    尖った形状の凹部を刻設する工程と、 前記第1の支持基板の前記凹部内壁面を含む第1主面上
    に絶縁層を形成する工程と、 前記絶縁層面上に前記凹部を埋めつつエミッタ材料を被
    着して、先端が尖った形状の凸部を有するエミッタ材料
    層を形成する工程と、 前記エミッタ材料層の凸部が形成された面とは反対側の
    面に第2の支持基板を接合して該第2の支持基板により
    前記エミッタ材料層を支持する工程と、 前記エミッタ材料層の凸部を被覆している前記絶縁層の
    少くとも先端部が露出するまで、前記第1の支持基板を
    該基板の第2主面側からエッチング除去する工程と、 前記第1の支持基板から露出した部分からエッチングを
    進行させて前記絶縁層を選択的にエッチング除去して行
    き、該絶縁層に被覆されていた前記エミッタ材料層の凸
    部の先端部を露出させてエミッタを形成するとともに、
    前記エミッタの先端部と間隙を有して対峙するように前
    記第1の支持基板を残存させてゲート層を形成する工程
    とを具備することを特徴とする電界放出型冷陰極の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 第1の支持基板の第1主面上にエッチン
    グ停止層を形成する工程と、 前記第1の支持基板の第1主面側に、前記エッチング停
    止層を貫通して前記第1の支持基板の厚さの途中にまで
    達する深さで、底部が尖った形状の、凹部を刻設する工
    程と、 前記凹部の内壁面として露出している前記エッチング停
    止層および前記第1の支持基板を含む前記エッチング停
    止層上に絶縁層を形成する工程と、 前記絶縁層の面上に前記凹部を埋めつつエミッタ材料を
    被着して、先端が尖った形状の凸部を有するエミッタ材
    料層を形成する工程と、 前記第1の支持基板を該基板の第2主面側から前記エッ
    チング停止層までエッチング除去して、前記エミッタ材
    料層の凸部を被覆している前記絶縁層の先端部を前記エ
    ッチング停止層の表面から露出させる工程と、 前記エッチング停止層から露出した部分からエッチング
    を進行させて前記絶縁層を選択的にエッチング除去して
    行き、該絶縁層に被覆されていた前記エミッタ材料層の
    凸部の先端部を露出させてエミッタを形成するととも
    に、前記エミッタの先端部に対して間隙を有して対峙す
    るように前記エッチング停止層を残存させてゲート層を
    形成する工程とを具備することを特徴とする電界放出型
    冷陰極の製造方法。
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