JPH08261341A - 弁装置 - Google Patents

弁装置

Info

Publication number
JPH08261341A
JPH08261341A JP35414995A JP35414995A JPH08261341A JP H08261341 A JPH08261341 A JP H08261341A JP 35414995 A JP35414995 A JP 35414995A JP 35414995 A JP35414995 A JP 35414995A JP H08261341 A JPH08261341 A JP H08261341A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve
valve body
lever
lever holder
valve device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35414995A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuichi Nakamura
勝一 中村
Satoru Fukuzawa
覚 福澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP35414995A priority Critical patent/JPH08261341A/ja
Publication of JPH08261341A publication Critical patent/JPH08261341A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding Valves (AREA)
  • Multiple-Way Valves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 弁座に対し弁体を摺動させる弁装置の弁体上
面とレバーホルダとの間から流体が漏れないようにする
と共に、弁装置のレバーの回転トルクを低く安定させて
弁装置の操作性を長時間阻害しないようにすることであ
る。 【解決手段】 弁座2に温水用と冷水用の2つの長穴状
の弁孔4、5を上下方向に貫通させて設け、弁体3の下
部には流出路6を形成し、その上面には筒状のレバーホ
ルダ1を弁箱8内周面に対して回転自在に取り付け、レ
バーホルダ1の弁体3と摺接する端面を一段盛り上げて
リング状に形成すると共に、その端面を均等に膨潤させ
た状態でラップ加工してその内周縁が外周縁より5〜5
0μm盛り上がった中高の鏡面に形成し、この端面に複
数の周溝16を同心円状に形成する。前記周溝には潤滑
油または潤滑グリースを保持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、水道水用水栓、
温・冷水水栓、便器用温水洗浄器の流路切り換え栓など
に用いられる弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】温・冷水を混合する従来のスライド弁タ
イプの弁装置Bを、図5および図6を参照して説明する
と、このものは、円盤状の弁座2に温水用と冷水用の2
つの長穴状の弁孔4、5を上下方向に貫通させて設け、
弁体3の下部にはその周縁の一部を切り欠いた形状に流
出路6を形成し、この弁体3の上面にはゴム製のシール
用のOリング19を介して筒状のレバーホルダ20を弁
箱8内周面に対して回転自在に取り付けている。
【0003】前記した筒状のレバーホルダ20に貫通す
るレバー軸10は、レバーホルダ20の内側に支持され
た回転軸9の周りに揺動可能に取り付けられており、レ
バーホルダ20と一体になって弁箱8内部で回転可能で
ある。
【0004】また、レバーホルダ20は、弁箱8の下向
き内面の周溝内に嵌め入れたゴム製のOリング18の弾
性力で下方に押圧されており、この押圧力でシール用の
Oリング22が弁体3の上面に圧接している。
【0005】弁座2は、弁箱8の下部に設けた図外の突
起と嵌まり合っておりベース11上で固定されている。
なお、図4中の番号17は混合水の取り出し口である吐
水口、番号15はゴム製のリング状パッキンを示してい
る。
【0006】このような従来の弁装置Bは、レバー21
を回転軸9およびレバー軸10の周りに任意方向に回転
させることによって、弁体3を前後左右に動作させる。
【0007】このとき、流出路6は図6に示すように、
流入路4、5と遮断されるか、または図5に示す位置か
らさらに変位して、流入路4、5とそれぞれ適当な開口
面積で連通することになり、温水もしくは冷水またはこ
れらの混合水の吐水口17からの取り出しと閉栓が行な
える。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の弁装置は、シール用のOリング19を介して弁体3と
レバーホルダ20が液密状態を保っており、弁装置に通
水時にシール用Oリング19に過剰な流体圧が負荷され
易く、この場合にOリング19の周辺から漏水し易いと
いう問題点がある。
【0009】また、弁体とゴム製Oリング19との摩擦
抵抗が大きいので、通常、シリコーン油などの人体に無
害の潤滑油やグリースをOリング19に塗布して使用し
ているが、長期間使用すると潤滑油等が流失してレバー
の上下左右の回転トルクが増し、すなわち弁装置の操作
性が悪化するという問題がある。
【0010】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決して、弁体をレバーホルダに対して摺動させる
弁装置において、弁体とレバーホルダとの間から流体が
漏れないようにすると共に、レバーの回転トルクを低く
長時間安定させて弁装置の操作性を長時間良好に保つこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、弁孔を有する弁座に弁体を重
ね合わせ、この弁体の上にレバーの軸を貫通した筒状の
レバーホルダの端面を密接させ、レバーの操作により前
記レバーホルダおよび弁座に対して前記弁体を摺動させ
て弁孔を開閉する弁装置において、前記レバーホルダの
弁体に接する端面のレバー軸貫通穴の周囲に複数の周溝
を同心円状に配置形成したのである。
【0012】また、前記レバーホルダを合成樹脂で形成
すると共に、そのリング状の端面を均等に膨潤させた状
態で内周縁が外周縁より盛り上がった中高形状に形成し
たのである。前記周溝には潤滑油または潤滑グリースを
保持させることが好ましい。
【0013】この発明に係る弁装置は、レバーホルダの
弁体に接する端面のレバー軸貫通穴の周囲に、同心円状
に複数の周溝が形成されているので、レバー軸貫通穴の
周囲に独立した複数のリング状の摺接面が形成される。
【0014】このような複数のリング状の摺接面は、弁
体に押圧された状態で、摺接面積が限定された分だけ高
い圧力で弁体上面に密接するため、各リング状の摺接面
が、効率よく堤防の役割を果たし、摺接面の外周縁から
内周縁に進入しようとする流体を阻止してレバー軸貫通
穴内への漏水を防止する。
【0015】また、レバーホルダを合成樹脂で形成して
いると共に、そのリング状の端面を均等に膨潤させた状
態で内周縁が外周縁より盛り上がった中高形状に形成し
た弁装置に係る発明では、装着されたレバーホルダのリ
ング状の端面が、周囲から吸水して周縁が厚くなるよう
に不均等に膨潤すると、最終的に端面は平滑面になって
弁体と均密に密接する。この場合、前記した独立した複
数のリング状の摺接面は、弁体上面により確実に密接す
るので、漏水防止効果はさらに高まる。
【0016】前記周溝に潤滑油または潤滑グリースを保
持させた弁装置では、レバーの回転トルクは充分に低く
安定し、弁装置の操作性を長時間良好に保つ。
【0017】
【発明の実施の形態】この発明の実施例を、以下に添付
図面に基づいて説明する。図1および図2に示すよう
に、実施例の弁装置Aは、前記した従来例の弁装置Bの
レバーホルダ3を改良し、その他の部品は従来同様の形
状の部品を採用したものである。
【0018】すなわち、弁装置Aは、円盤状の弁座2に
温水用と冷水用の2つの長穴状の弁孔4、5をハの字型
に配置すると共に上下方向に貫通させて設け、弁体3の
下部にはその周縁の一部を切り欠いた形状で流出路6を
形成し、この弁体3の上面には筒状のレバーホルダ1を
弁箱8内周面に対して回転自在に取り付けている。
【0019】前記した筒状のレバーホルダ1に貫通する
レバー軸10は、レバーホルダ1の内側に支持された回
転軸9の周りに揺動可能に取り付けられており、レバー
ホルダ1と一体になってレバー軸10周りに回転可能で
ある。レバーホルダ1は、弁箱8の下向きの周溝内に嵌
め入れたゴム製のOリング18の弾性力で下方に押圧さ
れており、この押圧力でレバーホルダ1の下端面が弁体
3の上面に圧接している。
【0020】なお、弁座2は、弁箱8の下部に設けた図
外の突起と嵌まり合っておりベース11上で固定されて
いる。なお、図4中の番号17は混合水の取り出し口で
ある出水口、番号15はゴム製のリング状パッキンを示
している。
【0021】ここで、前記したレバーホルダ1は、合成
樹脂を図示したように略筒状に射出成形したものからな
り、その弁体3に摺接する端面を一段盛り上げてリング
状に形成していると共に、その面をラップ加工して内周
縁が外周縁より盛り上がった中高の鏡面に形成し、2本
以上の周溝16を同心円状に形成している。
【0022】このように中高形状とすることで、レバー
ホルダー1と弁体3とは、各々の略中心部に面圧が集中
し、実質的に上記2つの部材は、中心部付近で円環状の
線接触に近い状態となりながらも、レバーホルダー1の
適度な硬度により、レバーホルダー1と弁体3とが良好
に面接触を維持しているものと考えられる。このため、
摩擦が比較的少なくなり、軽快なレバーの操作性を有し
ながらも、良好なシール性、長寿命を有する弁装置を提
供できる。
【0023】このような周溝の断面形状は、図1に示す
V字型以外であってもよく、例えばU字型、角型その他
の周知形状であってよい。また周溝の数と幅寸法は漏出
防止効果が良好に得られるように設定する。
【0024】すなわち、周溝の断面形状をまとめて示す
と、例えば図3の(a)〜(h)に示すような形状であ
る。この場合のシール面24と周溝22の面とのなす角
度θは、鈍角(90°を越えて180°未満)であれば
射出成形によって発生するバリ等の除去が容易であり、
このような傾向から角度θは、好ましくは105°〜1
50°、より好ましくは120°〜135°程度であ
る。
【0025】これらの周溝16の深さ(H1 )は、約
0.2〜1.0mm、好ましくは約0.3〜0.8m
m、幅(B1 )は溝の底部および開口部とも0.1〜
1.0mm、好ましくは0.3〜0.8mm程度の微細
なものであり、図2に示したように、約0.2〜2.0
mm、好ましくは0.4〜1.0mm程度の等間隔で1
〜5箇所、好ましくは3〜5箇所程度設けてもシール性
を損なわない。また、角度θを調整することにより、任
意の溝開口端の面積に形成してもよい。
【0026】周溝22の断面形状は、図3の(a)や
(f)に示したように、偶部角型のものの他、図3
(c)〜(f)、(g)、(h)のような略U字形状で
あってもよい。例えば、溝偶部のR形状は、R値が約
0.05〜0.5mm、好ましくは約0.1〜0.4m
mの連続または楕円形状等の非連続の曲率形状であれば
よい。このような溝形状とすれば、例えばバレル研磨時
に研磨用粒子が溝につまり難く効率よく研磨できる。
【0027】上記角度θや溝幅や溝隅部のR値が所定範
囲より小さい場合、すなわち所定幅内での溝の本数が多
すぎたり、溝が深くなりすぎると、研磨工程で砥粒や塵
埃が目詰まりし、その排除も困難である。また、溝が深
くて溝間隔が狭い場合には、溝間隔部分が欠損する可能
性があり、好ましくない。また、上記角度θや溝深さや
溝隅部のR値が所定範囲より大きくて溝の本数が少ない
ものは、溝内に所要量のオイルやグリースを保持でき
ず、所期の良好なシール性、潤滑性が得られない。ま
た、溝幅や溝間隔が所定範囲より広すぎると、形成でき
る溝の本数が少なくなって、確実にシールできなくな
り、弁体および弁装置を小型化することはできない。
【0028】レバーホルダに用いるポリエチレン系樹脂
は、−CH2 −CH2 −を含む主鎖からなり、結晶化の
度合いにより、低密度、直鎖状低密度、中密度、高密
度、超高分子量のものを問わず採用でき、直鎖状のもの
や、CH3 の分岐が含まれる分岐状のものであってもよ
い。この場合のCH3 は、例えば約1〜50%、約3〜
10%または約10〜30%程度(重量%またはモル
%)配合されていてもよく、最適な配合割合を選定でき
る。このようなポリエチレン樹脂は、熱可塑性樹脂に適
用される射出成形や押出し成形等の溶融成形、圧縮成形
などの成形法を採用できるものである。
【0029】具体的には、低密度ポリエチレンは、約2
000〜3000気圧、約150〜300℃の高温高圧
で製造され、比重が約0.91〜0.925と他のポリ
エチレンより小さく、結晶化度も約45〜55%、融点
約100〜120℃で、高圧法ポリエチレン、軟質ポリ
エチレンとも呼ばれるものである。中・高密度ポリエチ
レンは、0〜100気圧、約50〜200℃の低温低圧
で製造され、比重が約0.926〜0.94、結晶化度
約50〜60%、融点約120〜125℃であり、中・
低圧法ポリエチレンや硬質ポリエチレン、または直鎖状
低密度ポリエチレンとも呼ばれるものである。なお、比
重量が0.926〜0.94のものを中密度ポリエチレ
ンとも呼ぶ。また、高密度ポリエチレンのなかでも約1
0〜60気圧、約100〜170℃の中低温中圧で製造
されるものもあり、比重が約0.941〜0.97、結
晶化度約65〜85%、融点約65〜85℃のものは、
中圧法ポリエチレンや硬質ポリエチレンとも呼ばれる。
【0030】高圧法ポリエチレンは、長い線状分子に分
岐が多くついており、熱や紫外線に強い。中・低圧法ポ
リエチレンは、若干の分岐を有し、二重結合部も存在
し、分子配向性もよく、適度に硬質であり、成形時の成
形体としての成立性、成形性や耐摩耗性等が優れてい
る。高圧法ポリエチレンは、その粘度平均分子量を約1
〜50万、約1〜15万または10〜40万程度にする
ことができる。
【0031】一方、超高分子量ポリエチレンの粘度平均
分子量は、約50〜800万、約100〜600万また
は約100〜400万にすることができるが、溶液粘度
法による極限粘度は約8〜40dl/gであり、粘度平均分
子量は約1〜8×106 であり、密度は約0.92〜
0.94となり、結晶化度は前記と略同程度である。
【0032】このように高密度、高分子量化により、耐
摩耗性、自己潤滑性、耐衝撃性、耐薬品性、水の比重よ
りも軽いという軽量性、低吸水性による寸法安定性等の
各諸特性に優れる。
【0033】なお、ポリエチレン系樹脂は、上記したも
の以外に低分子量ポリエチレン、グラフトコポリマ−で
ある変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、架橋ポリ
エチレン、発泡ポリエチレン等を例示できる。また、上
記したポリエチレン系樹脂は、単独または2種類以上の
各々のポリエチレンを、例えば主成分のポリエチレン約
100重量部に対して、約1〜80重量部、好ましくは
約5〜50重量部、より好ましくは約25〜60重量部
配合すればよい。
【0034】これらのポリエチレン系樹脂のなかでも、
結晶化度が50〜90%以上、比重または密度が約0.
926〜0.97以上(ASTM D792)、デュロ
メ−タまたはショア硬さで約D50〜72以上(AST
M D2240)、またはロックウェル硬度で約R35
〜45(ASTM D785)融点が約120〜140
℃以上(ASTM D2117)ビカット軟化点が90
〜135℃以上(ASTM D1525)、熱変形温度
が約49〜88℃以上(ASTM D648、4.6k
g/cm2 )吸水率が約0.015%以下、好ましく
は、約0.01%以下(ASTM D570、厚み3m
m、24時間)を満足するものが好ましい。なお、
( )内は好ましい測定方法ではあるが、特に限定され
る試験条件ではない。
【0035】ところで、結晶温度や比重、密度、硬さが
低すぎると、レバーホルダにかかるゴム製Oリングの反
発力による負荷で、レバーホルダが変形することも考え
られ、高すぎると弁体の摩耗、低寿命の原因となること
が考えられる。融点、ビカット軟化点、熱変形温度が低
すぎると、約100℃の熱水に接した場合に熱変形が予
想され、高すぎると成形が困難になる。
【0036】また、吸水率は低い方が成形時の巣(多孔
質部分)の発生を少なくでき、また、回転体の長期の寸
法安定性も期待できる。また、例えばメルトインデック
ス値(メルトフローレイト)にて溶融粘度が0.01〜
23g/10min (ASTMD1238)、良好な物性値
とするに3〜13g/10min 程度であれば、効率がよく
連続的に物性に優れ、また、後述のシリコ−ン系オイル
との摺動特性に優れた成形体を製造することができる。
上記値が小さすぎると成形が困難になり、大きすぎると
耐熱性・耐摩耗性が低下する。
【0037】各種の成形方法のうち圧縮成形は、流動性
の比較的少ない超高分子量ポリエチレン系樹脂に適して
いる。押出成形は、若干、流動性のよい中・高密度系ポ
リエチレン系樹脂に適し、圧縮成形よりも生産効率に優
れながらも、物性的にも優れた回転体を提供できる。射
出成形は、流動性のよい比較的分子量の低いポリエチレ
ン系樹脂に適し、押出成形よりも生産効率に優れてい
る。なお、超高分子量ポリエチレンも射出成形できるも
のがある。
【0038】ここで、上記の周溝に保持させる潤滑剤と
しては、潤滑油または潤滑グリースが一般的である。
【0039】潤滑グリースの基油成分、またはこれを単
独で用いる場合の潤滑油としては、シリコーン系油、脂
肪酸エステル油、フルオロカーボン油、流動パラフィン
油などの人体に害のない成分からなる潤滑油が好まし
い。シリコーン系油の具体的な成分としては、ジメチル
シリコーン、メチルフェニルシリコーン、フロロシリコ
ーンなどが挙げられる。
【0040】具体的には、非ポリマー型の潤滑油とし
て、合成ナフテン系、アルキルベンゼン系、リン酸エス
テル系、ポリオールエステル系、ジエステル系、ケイ酸
エステル系などのエステル系潤滑油を挙げることができ
る。
【0041】この他にも、潤滑油としてリン酸エステル
系油、脂肪酸エステル系油(ポリオールエステル油)、
水グリコール系油等も挙げられる。リン酸エステル系油
は、難燃性と耐摩耗性に優れ、脂肪酸エステル系油は準
難燃性を示すと共に低価格であって好ましく、水グリコ
ール系油は、粘度指数が170〜210と適当な粘性で
ある。また、例えば40℃粘度が、10〜40cStの
オレフィン系合成炭化水素油等を採用することもでき
る。
【0042】また、飲料水以外の液体使用する弁装置で
あれば、上記した以外の石油系潤滑油、合成潤滑油を使
用することもでき、これらはレバーホルダを成形する樹
脂に混ぜて成形してもよい。
【0043】そのような場合にも用い得るポリマー型の
潤滑油としては、ポリグリコール、オレフィンのオリゴ
マー、シリコーン、パーフルオロアルキルエーテル、パ
ーフルオロポリエーテル、クロロフルオロカーボン、ポ
リフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは、価格
は比較的高いが、分子量を変えることで低粘度のものか
ら高粘度のものまで設定できる。
【0044】ポリマー型の潤滑油は、平均分子量が少な
くとも約300以上であるが、1000以上のものであ
れば適度な粘性があって好ましい。このような理由か
ら、2000以上のものは特に好ましいものである。
【0045】また、このような潤滑油の粘度の下限につ
いてみると、ポリマー型および非ポリマー型としては共
に100℃での粘度は約2cSt以上のものが好まし
く、より好ましくは約10cSt以上のもの、または粘
度指数が約20以上であるものが好ましく、より好まし
くは約100以上のものである。このような特性の種類
は、その一種以上を有するものであればよい。
【0046】このように、被加熱時に適当な粘度を有す
る潤滑油であれば、約80〜100℃の熱水にさらされ
ても潤滑油の粘度が低下して潤滑油や潤滑グリースが溝
から急激に滲み出てくることはなく、潤滑油や潤滑グリ
ースは、適度に周溝内に保持されている。
【0047】潤滑油の粘度の上限については特に限定さ
れるものではないが、レバーを軽快に操作できるよう
に、ポリマー型の潤滑油は、平均分子量が約50000
以下、好ましくは約10000以下のものが好ましく、
非ポリマー、ポリマー型とも40℃粘度では10000
cSt以下、好ましくは1000cSt以下、100℃
粘度では5000cSt以下、好ましくは500cSt
以下のものである。粘度指数は、1000以下、好まし
くは500以下である。このような潤滑油であれば、適
度な粘度であるので、粘性抵抗は適当であってレバーの
操作性が阻害されることはないと考えられる。
【0048】これらの潤滑油は、100℃の熱水に接し
た場合でも充分な耐熱水性の熱特性を有する潤滑油であ
ることが好ましい。このような潤滑油の代表的な発熱温
度や燃焼温度などの熱特性は、粘度特性と共にまとめて
下記の表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】表1中、シリコーン油は、Si−O−Si
を主鎖とするポリマー型の合成潤滑油であり、その分子
量を変えることによって、幅広く粘度を設定でき、また
分子構造上、酸化する部分が少ないので、酸化安定性が
良好で耐熱性に優れたものである。分子中にフェニル基
を導入することによって酸化安定性をさらに向上させる
こともできる。
【0051】なお、表1中に示した以外にも、トリフル
オロプロピルメチルシリコーン(発熱温度233℃、燃
焼温度313℃)、アルキルメチルシリコーン(発熱温
度192℃、燃焼温度249℃)が挙げられる。
【0052】以上のように適当な粘度の潤滑油を選択使
用することで、レバーホルダ内の潤滑油は、早期に滲み
出すぎることがなく、外部に流出、蒸発、乾燥して潤滑
不良となることも少なくなり、しかも分散性の良い均一
な成形体を得ることができる。
【0053】以上述べた潤滑油は、1種類以上を用いて
よく、すなわち必要に応じて諸種の特性をひきだすため
に、2種類以上を1:1から1:10の範囲(重量比)
で混合して使用してもよい。
【0054】この発明における弁体、弁座またはレバー
ホルダ等の成形体は、耐熱性樹脂、強化繊維、マイカな
どの充填剤からなる樹脂組成物を成形することにより得
られる。
【0055】前記耐熱性樹脂は、耐熱性を有していれ
ば、どのような樹脂でもよいが、例えば、ポリシアノア
リールエーテル系樹脂(以下、PENと略記する。)ポ
リエーテル・エーテルケトン樹脂(以下、PEEKと略
記する。)等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂(以
下、PEKと略記する。)、芳香族系熱可塑性ポリイミ
ド樹脂(以下、TPIと略記する。)などのポリイミド
系樹脂(以下、PIと略記する。)、ポリアミド4−6
系樹脂(以下、PA−46と略記する。)などのポリア
ミド系樹脂(以下、PAと略記する。)、ポリフェニレ
ンサルファイド系樹脂(以下、PPSと略記する。)な
どのポリアリーレンサルファイド系樹脂(以下、PAS
と略記する。)などが挙げられる。
【0056】これらは、高い耐熱性に加え、断熱性、難
燃性、機械的性質、電気的性質、耐薬品性にも優れてお
り、しかも適度な溶融粘度特性を示すので、比較的易形
性に優れた射出成形法での製造方法にも適している。こ
れらの耐熱性熱可塑性樹脂の融点は、280℃以上であ
れば、この発明に好適に使用することができる。
【0057】前記PENは、下記化1の式で示す繰り返
し単位からなる化合物、またはこの繰り返し単位と共に
下記化2の式で示す他の繰り返し単位とが、PEN本来
の特性を失われない範囲で、約20モル%以下の比率で
共存した重合体である。
【0058】また、PENは、融点340℃、ガラス転
移温度145℃の結晶性樹脂で結晶化速度は230〜2
40℃の時に最大となる。圧縮強さは約2100kgf
/cm2 前後で良好な耐クリープ特性を有する。また、
摩擦摩耗特性に加え、耐熱水性にも優れるため、弁体と
して使用するには好適である。
【0059】
【化1】
【0060】
【化2】
【0061】このようなPENは、たとえば、p−クロ
ルフェノールを溶媒とする0.2g/dl濃度の溶液の
60℃における還元粘度(ηsp/C)が0.3dl/
g以上のものが好ましい。これらは、たとえば出光興産
社から、ポリエーテルニトリル(ID300)として市
販されている。なお、PENの製造方法は、特開昭63
−3059号公報の実施例においても開示されているよ
うに、ジハロゲノベンゾニトリル(2,4−ジハロゲノ
ベンゾニトリルまたは2,6−ジハロゲノベンゾニトリ
ルが好ましく、ハロゲンはフッ素または塩素が好まし
い)と、レゾルシンのアルカリ金属塩(ナトリウムまた
はカリウムが好ましい)とを、中性極性溶媒中で反応さ
せることにより、容易に調製できる。
【0062】また、PEN100重量部に対して、ガラ
ス状カーボン40〜165重量部を添加し、さらにフッ
素系樹脂粉末を添加してもよい。フッ素系樹脂粉末を添
加することによって、組成物の摺動性が向上し、弁装置
の弁体または弁座に採用した場合は操作性(ハンドルト
ルク)が軽減されると共に、操作時に発生しやすい摺動
音(異音)も解消できるからである。
【0063】前記PASは、下記の化3で示される合成
樹脂である。
【0064】
【化3】
【0065】PASの代表例として挙げられるPPS
は、下記の化4で示される繰り返し単位からなる周知の
重合体であり、前記成形体に好ましい特性を与えるに
は、このような繰り返し単位を70モル%以上、好まし
くは90モル%以上含む重合体である。
【0066】
【化4】
【0067】なお、このような重合体の結晶性に影響を
与えないように、下記の化5で示されるような共重合成
分を30モル%未満、好ましくは1〜10モル%以下の
割合で含んでもよい。
【0068】
【化5】
【0069】PPSは、周知の縮合反応によって合成さ
れるが、反応直後は白色に近い未架橋品であり、このま
までは低分子量で低粘度であるから、押出成形、射出成
形などを行なうために、例えば空気中において融点以下
に加熱し、酸化架橋させて分子量を高めて適当な溶融粘
度にする。このような処理をして溶融成形用に市販され
ているライトンP−4(フィリップスペトローリアム社
製)の溶融粘度(オリフィス:直径1mm、長さ2m
m、荷重10kg)は、1000〜5000ポイズであ
る。
【0070】しかしこのようなPPSは、前述したよう
に、低分子量のものを酸化架橋させたものであるから、
組成によっては脆弱となり、衝撃強度が低く、摺動部に
異物が混入した際にも摺動面の一部が欠落して、摺動面
の摩耗を促進する可能性がある。これらの脆弱性を改良
するためには、直鎖状のPPSを使用することが好まし
い。なお、このような直鎖状PPSは、特開昭61−7
332号公報、特開昭61−66720号公報等に記載
された周知の方法で製造され、重合後の高温下の熱処理
および架橋剤の添加などを行なうことなしに、重合段階
で直鎖状に分子鎖を高分子量まで成長させたものであ
り、市販品として呉羽化学工業社製:KPS−W214
が挙げられる。
【0071】例えば、PPSを部分的交差結合をさせる
ために架橋するには、空気中における融点以下での加熱
または架橋剤、分岐剤を添加することによって行なう。
このようにして生成した架橋性PPS樹脂の溶融粘度
は、2000〜4000ポアズであり、好ましくは14
00〜20000ポアズであればよく、さらに好ましく
は2000〜4000ポアズであれば一層よい。その場
合、溶融粘度が2000ポアズより小さい架橋性PPS
樹脂は、150℃以上の高温域で耐クリープ特性などの
機械的特性が低下し、変形しやすいので好ましくない。
4000ポアズより大きい架橋性PPS樹脂は成形性が
劣り、また柔軟性が低下する。
【0072】なお、この場合の溶融粘度の測定条件は、
測定温度300℃、オリフィス:穴径直径1mm、長さ
10mm、荷重20kg/cm2 、測定機:高化式フロ
ーテスタ、予熱時間6分である。
【0073】また、架橋性PPSの熱安定性は、上記の
溶融粘度測定条件にて、予熱6分後と30分後の溶融粘
度の変化率が−50〜150%の範囲であることが好ま
しい。変化率は、下記の式で表わされるものである。
【0074】 変化率={(P30−P6 )/P6 }×100 (式中、P30、P6 はそれぞれ予熱30分または6分後
の測定値を示す。) 以上のような条件を満たす架橋性PPSとしては、トー
プレン社製:PPS−T4、T−4、TX −007など
が挙げられる。
【0075】直鎖型PPSは、架橋型PPSが茶褐色で
硬く脆いという物性を有することに対して、白色で架橋
型PPSに比べて特定の方向での引張り強さ、曲げ強
さ、曲げ弾性率、伸び率に優れる。しかし、耐熱性や耐
クリープ特性などは、架橋型PPSの方が直鎖型PPS
に比べて優れている。
【0076】なお、PPSの融点は、280〜290℃
であるが、この発明に用いる耐熱性樹脂材は、前記以上
の融点を有するものであれば、100℃の熱水下でも殆
ど軟化しないので好ましい。すなわち、この発明に用い
る耐熱性樹脂材の融点の上限は、特に限定されず、射出
成形可能な熱可塑性樹脂の融点500℃程度が実用的な
上限になると考えられる。
【0077】上述のような耐熱性樹脂の配合量は、全配
合量の20〜70重量%、好ましくはの25重量%以
上、好ましくは50重量%以上であれば、後述するよう
な繊維類、潤滑剤などを良好に結着できる。
【0078】前記強化繊維としての炭素繊維は、現在汎
用されている1000℃以上、好ましくは1200〜1
500℃の高温に耐えるものであれば、レーヨン、ポリ
アクリロニトリル、リグニン−ポバール系混合物、特殊
ピッチなど原料の種類の如何によらず使用することがで
きる。そして、その形状は長短いずれの単繊維であって
もよく、クロス、フェルト、ペーパー、ヤーンなどのよ
うに一次加工を経た編織布、糸、紐などの製品形体をし
たものであってもよい。
【0079】具体的な前記炭素繊維は、ピッチ系、PA
N系、カーボン質のいずれであってもよく、例えば繊維
径約4〜20μm、繊維長約10〜1000μm、好ま
しくは約10〜500μmのものであれば、樹脂組成物
中に均一に分散し、これを充分に補強するので適当であ
る。
【0080】炭素繊維は、適度な弾性率、引張強度等の
機械的特性と弁座やレバーホルダなどの相手材への攻撃
性、また成形時の溶融樹脂組成物の流動性などを考慮し
て、平均5〜14μm、また繊維長は平均10〜500
μmであることが好ましい。
【0081】このような炭素繊維は、種々の有機高分子
繊維を平均1000〜3000℃程度に焼成して生成さ
れる。この構造は、主に炭素原子六角網平面から構成さ
れる。この網平面が繊維軸に平行に近く配列したものと
して、高配向、異方性を有するPAN系や液晶ピッチ系
の炭素繊維が挙げられ、一方、この網平面が乱雑に集合
したものとして、等方性を有するピッチ系炭素繊維が挙
げられる。
【0082】また、高配向、異方性の炭素繊維は、特定
の方向の弾性率や引張強度に対して優れており、等方性
の炭素繊維は全方向から受ける荷重に対しても比較的耐
えうる。
【0083】前記したピッチ系炭素繊維は、例えば、石
油精製で副生される石油ピッチなどのような構造上無定
形の等方性ピッチ系炭素繊維と、一定方向の構造、例え
ば光学異方性の異方性ピッチ系炭素繊維が挙げられる。
【0084】また、等方性ピッチ系炭素繊維は、石油
系、石炭系、合成品系、液化石炭系等に分類され、それ
らの原料を溶融紡糸でピッチ繊維にして、不融化処理を
した後に炭素化することにより製造される。
【0085】また、液晶ピッチ系炭素繊維は、ピッチ類
を不活性化気相中で加熱し、350〜500℃で液晶状
態とした後、固化してコークスとする。これを溶融紡糸
して酸化雰囲気で加熱すると酸化繊維となって不溶不融
の繊維となり、更にこれを例えば不活性気相中で約10
00℃以上に加熱する方法により製造される。
【0086】これらは、平均30〜50GPa程度の低
弾性率から平均240〜500GPa程度の中・高弾性
率のものを適宜選択でき、その他に引張強度などの機械
的特性に優れた繊維を所定の樹脂組成物に混合すること
により、適切な機械的強度を有するシール材を得ること
ができる。
【0087】ピッチ系炭素繊維としては、例えば呉羽化
学社製の商品名:クレハシリーズ全般としてクレハM2
07S繊維長約12〜13μm等が挙げられる。
【0088】また、PAN系炭素繊維は、ポリアクリロ
ニトリル繊維等のアクリル繊維を加熱して焼く方法で製
造することができる。加熱温度によって所定の弾性率を
得ることができ、例えば、約1000〜1500℃で加
熱すると弾性率は、平均200〜300GPa、強度は
平均3000〜6000MPaとなる。また、約200
0℃で加熱して弾性率を少なくとも平均約35000〜
50000kgf/mm2 以上、平均400〜500G
Paとすることもできる。
【0089】したがって、PAN系炭素繊維は、高い引
張強度の繊維で、加熱温度により強度は平均500〜6
000MPaの範囲のものも得られ、要求により平均5
00〜3000MPaの範囲のものをも製造することが
できると考えられる。これらの数値が低すぎると、圧縮
クリープ等に関する補強効果が期待できず、これらの数
値が高すぎると、弁座やレバーホルダなどの相手材を攻
撃することも予想される。
【0090】PAN系炭素繊維としては、例えば、東邦
レーヨン社製の商品名「ベスファイト」シリーズ全般と
してベスファイトHTA−CMF−0040−E、ベス
ファイトHTA−CMF−0160−E、ベスファイト
HTA−CMF−1000−E、ベスファイトHTA−
C6−E、繊維長約7〜8μm等や東レ社製の「トレ
カ」シリーズ全般として、トレカMLD−300、トレ
カMLD−1000等が挙げられる。
【0091】これらの炭素繊維は、酸、アルカリ等の薬
品類の影響を受け難く、また耐摩耗性も有しており、2
0〜40重量%配合すれば、良好な補強効果が得られ
る。
【0092】なお、これらの炭素繊維と前記樹脂との密
着性を高め、成形体の機械的特性等を向上させるため
に、炭素繊維の表面をエポキシ系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂な
ど含有の処理剤や、シラン系カップリング剤などにより
表面処理を施してもよい。また、これら以外にマイカ、
タルク、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、二硫化タ
ングステン、四フッ化エチレン樹脂等の平均粒径1〜1
00μm、好ましくは10〜70μmの固体潤滑剤を1
〜60重量%混入すれば良好な摺動特性が得られる。
【0093】また、弁体をセラミックス系材料で形成す
る場合には、下記の表2に示したニューセラミックス等
のセラミックス系材料を用いて成形することが好まし
く、適度な強度や硬度を有し、これらの数値の範囲内の
セラミックス系材料からなる弁体としてもよい。
【0094】また、これらの材料の強度、熱特性等を改
質するために、約1〜10重量%程度のSiO2 、Y2
3 、Al2 7 、AlN、TaN、TiC、Co等、
その他希土類などの無害なものを1種類以上添加しても
よい。
【0095】
【表2】
【0096】上記したセラミックス系材料は、超耐熱性
であり、断熱性は樹脂材のほうが比較的優れるものの、
線膨張係数は、樹脂材よりも約1/10程度小さいた
め、弁体と弁体の隙間を比較的小さくし易く、すきま精
度の高い弁装置を提供できることにもつながる。
【0097】このように線膨張係数が比較的小さく、断
熱性を有し、また例えば耐熱衝撃抵抗が少なくとも約1
00℃以上、安全性を考慮して約150℃以上、さらに
安全性を考慮した場合には約200℃以上の材質を弁体
に適用することで、弁体と弁座間の隙間の精度を高くす
ることができ、水と湯を混合するという使用温度差の大
きい弁装置に適用してもガタが少なく、また、低トルク
で長寿命の弁装置を提供することができる。
【0098】セラミックス系材料のなかでも代表的なフ
ァインセラミックであるアルミナ(酸化アルミニウム、
Al2 3 )については、結晶形、添加剤の使用などに
よって、前記の特性と共に下記の表3に示す特性を備え
たものがあり、このものは機械的強度、耐熱性、寸法安
定性など、弁装置の弁として過剰のスペックでなく充分
に使用可能であり、価格の点でも比較的平均しており、
総合的に優れている。
【0099】
【表3】
【0100】前記の圧縮強さ、曲げ強度、硬度、線膨張
係数、熱伝導率、耐熱衝撃抵抗等の範囲のセラミックス
系材料からなる弁体であれば、例えば約17.5kgf
/cm2 程度の水圧が弁体や弁座にかかっても、弁体や
弁座の曲げ強度や硬度が充分であるので、弁体や弁座は
変形することがなく、また断熱性や耐熱衝撃抵抗等に優
れることから、熱が逃げ難く、安定した湯温を保つこと
ができ、約100℃程度の沸騰水と低温の水とに同時に
さらされても、弁体や弁座として充分な熱衝撃性を有
し、耐食性も有する弁装置を提供できる。
【0101】また、マイカは、耐熱性の向上と補強効果
を上げるために添加することが好ましい。
【0102】この発明に用いるレバーホルダ、弁座およ
び弁体は、図1に示すように、Oリング23、15また
はパッキンなどからなる付勢体と共に用いられる。この
付勢体によりレバーホルダ、弁座および弁体は、互いに
密に圧接してシール性を保っている。このような付勢体
としては、Oリングのようなテンションリングが用いら
れる。上記付勢体により、弁装置に例えば約10〜20
kgf/cm2 以上の水圧がかかってもシール性が維持
されると考えられる。
【0103】上記テンションリングは、適度な弾性を有
する重合体からなるが、その例として、天然ゴム(N
R)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、ブチル
系ゴム(IIR)、エチレンプロピレン系ゴム(EP
M、EPDM)、クロロプレン系ゴム(CR)、ニトリ
ル系ゴム(NBR)、ウレタン系ゴム(AU)、エピク
ロルヒドリン系ゴム(CHC、CHR)、アクリル系ゴ
ム(ANM、ACM)、シリコン系ゴム(MVQ、MP
VQ)、フッ素ゴム(FPM)等が挙げられ、さらにそ
の他にもイソプレン系ゴム(IR)、ブタジエン系ゴム
(BR)、クロロスルホン系ポリエチレンゴム(CS
M)、多硫化系ゴム(T)、塩素化系ポリエチレン(C
M)などのエラストマー類が挙げられる。これらのなか
でも、耐熱性とゴム弾性、耐老化性、量産性、低価格性
などを平均して総合的に評価すると、エチレンプロピレ
ン系ゴム、ニトリル系ゴム、アクリル系ゴムが好まし
い。これらは、それぞれの単量体が、例えば1:1から
10:1の割合の範囲で重合された共重合体や三元共重
合体であってもよい。
【0104】また、レバーホルダ、弁体、弁座などの成
形体と相手部材の少なくとも一方の摺動面の中高形状部
の表面粗さ・形状は、JISで定義された算術平均粗さ
(Ra)によって3〜25μm、好ましくは3〜8μm
である。なぜなら、表面粗さが前記所定範囲を越える
と、摺動面に傷が多く付くようになり、これが摩耗の原
因になることも考えられるからである。
【0105】なお、前記した表面粗さの下限値は、実用
性を考慮して設定しており、本来的には特に限定できる
ものではなく、好ましくはRaが0.01μm、または
0.1μm程度であれば、摩擦等の摺動特性がより優れ
たものになる。また、相手材表面の仕上げ加工などの工
程に長時間を要するので、効率的でないことや樹脂材の
転移膜の形成に影響される可能性もあるため、摩耗に影
響されないような仕様や条件であれば、中高形状部の表
面形状は、3〜8μmの範囲であっても良い。
【0106】
【実施例】実施例に用いた弁体は、ポリフェニレンサル
ファイド(トープレン社製:PPS−T4)60重量
%、炭素繊維(東邦レーヨン社製:ベスファイトHM、
平均繊維径7μm、平均繊維長6mm)30重量%、マ
イカ(カナダマイカ社製:プロゴパイトマイカ)10重
量%からなる合成樹脂で成形した。また、弁座は、セラ
ミックス製のものを採用した。
【0107】レバーホルダは、超高分子量ポリエチレン
を用いて射出成形で図1中に示した筒状に形成し、弁体
3と摺接する端面を一段盛り上げてリング状に形成する
と共に、その端面をラップ加工してその内周縁が外周縁
より盛り上がった中高の鏡面に形成し、この端面に4本
の周溝16を同心円状に形成した。
【0108】レバーホルダ1の下端面に対するラップ加
工は、以下の要領で行なった。すなわち、レバーホルダ
1を90℃の熱湯に12時間浸漬して端面を均一に膨潤
させ、その後、ラップ機で摺接面をラップ盤に密着する
ようにチャックし、リング状の端面を回転させながら研
磨して、内周縁1aが外周縁1bより5〜50μm盛り
上がった中高の鏡面に形成した。この形状は、表面粗さ
測定機(テーラホプソン社製:タリーサーフ6)で測定
端子を直径方向に走らせて測定し確認した。
【0109】そして、レバーホルダの弁体3と摺接する
端面には、以下の寸法で同心円状に4本の周溝16(図
1および図2に示す)を形成した。周溝16は、断面V
字型に形成し、その寸法は、溝幅0.5mm、深さ0.
6mmとし、各溝を0.7mmの等間隔で配置形成し
た。
【0110】また、実施例の弁装置には、レバーホルダ
の弁体との摺接面にシリコーンオイルを基油として、テ
トラフルオロエチレン系フルオロカーボン樹脂であり、
パーフルオロ系フルオロカーボン樹脂であるポリテトラ
フルオロエチレンで増稠したグリースを塗布して、周溝
16に潤潤滑グリースを保持させた。
【0111】このような構成からなる実施例について、
以下のような機能性試験を行ない、その結果を表4に示
した。
【0112】[機能性試験] (1)止水性と操作性 弁装置(内部構造は図1および図2に示したものと同
じ)を図4に示すようなシングルレバー式混合水栓に組
み込んで、止水性と操作性を調べた。
【0113】止水性は、レバーを中央下部(止水状態)
にし、ポンプによって水圧を17.5kgf/cm2
けて30秒間保持し、30秒後の漏水による圧力降下量
(kgf/cm2 )を測定した。このときの圧力降下量
が0.3kgf/cm2 以下であれば良好と判定した。
【0114】操作性は、レバーの上下(止水、吐水、流
量調節)、左右(湯温の調節)のトルクを、トルク測定
器(シンボ工業社製:DFG−2K)を用いて測定し
た。このときのトルク測定値(操作力)が300〜10
00gfであれば良好と判定した。トルクが300gf
より小さい場合は使用中にハンドルが自重で下がる不具
合があり、トルクが1000gfを越えると円滑な操作
性が得られないからである。
【0115】このような止水性と操作性を、以下に示す
とおりの初期試験および耐久試験で確認した。
【0116】 初期試験:耐久試験前に初期の止水性
と操作性を測定した。 耐久試験:初期試験で使用した弁体を使用して、耐
久試験機(NTN精密樹脂社製)にレバーを連結し、第
4図に示すように、レバーを右端上部Ru(止水)から
右端下部Rd(冷水)→左端下部Ld(熱湯90℃)→
左端上部Lu(止水)→左端下部Ld(熱湯90℃)→
中央下部Cd(温水45℃)→中央上部Cu(止水)→
中央下部Cd(温水45℃)→右端下部Rd(冷水)→
右端上部Ru(止水)を1サイクル(所要時間約25
秒)として行ない、20万サイクル後の止水性と操作性
を確認した。
【0117】
【表4】
【0118】〔比較例〕図5に示した従来例の構造のと
おり、レバーホルダ20と弁体3とをゴム製のOリング
19を介して取り付けたこと以外は、実施例と全く同様
にして弁装置を製造し、これを図4に示すようなシング
ルレバー式混合水栓に組み込んで、実施例と全く同様に
して止水性と操作性を調べ、結果を表4中に併記した。
【0119】表4の結果からも明らかなように、比較例
の弁装置は上記した20万サイクルの動作試験後に漏水
による圧力降下量が多く、操作性を評価するトルクが初
期の2倍を越えて大きくなった。
【0120】これに対して、全ての条件を満足する実施
例は、20万サイクルの動作試験後にも漏水による圧力
降下量は極めて少なく、操作性を評価するトルクも比較
例に比べて小さく、軽快に使用できるものであった。
【0121】
【効果】以上説明したように、レバーホルダの弁体に接
する端面のレバー軸貫通穴の周囲に同心円状に複数の周
溝が形成した発明は、摺接面の外周縁から内周縁に進入
しようとする流体の進出が複数のリング状の摺接面で効
率よく阻止されて漏水が防止され、かつ摺接面積が小さ
いので、弁装置の操作性は阻害されない利点がある。
【0122】また、レバーホルダのリング状の端面を所
定の状態で中高形状に形成した弁装置は、前記端面が使
用時に平滑面になって独立した複数のリング状の摺接面
がより確実に弁体上面に密接するので、漏水の防止効果
は、さらに高くなる利点がある。
【0123】また、周溝に潤滑油または潤滑グリースを
保持させた発明では、レバーの回転トルクがより低く安
定し、弁装置の操作性を長時間阻害しない利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態を示す縦断面図
【図2】実施の形態を示すレバーホルダの底面図
【図3】実施の形態を示すレバーホルダの周溝の断面図
【図4】機能性試験に用いた混合栓の斜視図
【図5】従来例の縦断面図
【図6】弁体の動作を説明する図5のVI−VI線断面図
【符号の説明】
1 レバーホルダ 1a 内周縁 1b 外周縁 2 弁座 3 弁体 4、5 弁孔 6 流出路 8 弁箱 9 回転軸 10 レバー軸 11 ベース 12、13 連結口 15 パッキン 16、22 周溝 17 吐水口 18、19 Oリング 24 シール面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁孔を有する弁座に弁体を重ね合わせ、
    この弁体の上にレバーの軸を貫通した筒状のレバーホル
    ダの端面を密接させ、前記レバーの操作によりレバーホ
    ルダおよび弁座に対して前記弁体を摺動させて弁孔を開
    閉する弁装置において、 前記レバーホルダの弁体に接する端面のレバー軸貫通穴
    の周囲に複数の周溝を同心円状に形成したことを特徴と
    する弁装置。
  2. 【請求項2】 前記レバーホルダを合成樹脂で形成する
    と共に、そのリング状の端面を均等に膨潤させた状態で
    内周縁が外周縁より盛り上がった中高形状に形成した請
    求項1記載の弁装置。
  3. 【請求項3】 前記リング状の端面の中高形状は、内周
    縁が外周縁より3〜50μm盛り上がった中高形状であ
    る請求項2に記載の弁装置。
  4. 【請求項4】 前記周溝に潤滑油または潤滑グリースを
    保持させた請求項1〜3のいずれか1項に記載の弁装
    置。
JP35414995A 1994-12-29 1995-12-29 弁装置 Pending JPH08261341A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35414995A JPH08261341A (ja) 1994-12-29 1995-12-29 弁装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34019694 1994-12-29
JP6-340196 1994-12-29
JP35414995A JPH08261341A (ja) 1994-12-29 1995-12-29 弁装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08261341A true JPH08261341A (ja) 1996-10-11

Family

ID=26576639

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35414995A Pending JPH08261341A (ja) 1994-12-29 1995-12-29 弁装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08261341A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002005316A (ja) * 2000-06-26 2002-01-09 Ntn Corp バルブスライドおよび樹脂製部品
JP2005151930A (ja) * 2003-11-28 2005-06-16 Daiwa Seiko Inc 釣り用品
JP2010096206A (ja) * 2008-10-14 2010-04-30 Canon Inc インクジェット用インク製造用合流弁
JP2012240228A (ja) * 2011-05-16 2012-12-10 Goss Internatl Corp 印刷機用インクバルブアセンブリ
JP2014173176A (ja) * 2013-03-12 2014-09-22 Sumitomo Electric Ind Ltd 溶融塩電解めっき装置及びアルミニウム膜の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002005316A (ja) * 2000-06-26 2002-01-09 Ntn Corp バルブスライドおよび樹脂製部品
JP2005151930A (ja) * 2003-11-28 2005-06-16 Daiwa Seiko Inc 釣り用品
JP2010096206A (ja) * 2008-10-14 2010-04-30 Canon Inc インクジェット用インク製造用合流弁
JP2012240228A (ja) * 2011-05-16 2012-12-10 Goss Internatl Corp 印刷機用インクバルブアセンブリ
JP2014173176A (ja) * 2013-03-12 2014-09-22 Sumitomo Electric Ind Ltd 溶融塩電解めっき装置及びアルミニウム膜の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO1995027162A1 (fr) Systeme de vanne
EP3246583B1 (en) Water-lubricated bearing material
US5823540A (en) Polymer reinforced fluid seal
CN103477130A (zh) 密封环
JPH07268126A (ja) 潤滑性樹脂組成物
US5882012A (en) Oil seal ring
JPH08261341A (ja) 弁装置
US5435348A (en) Valve assembly
JP7405599B2 (ja) 流量制御バルブ用シールおよび流量制御バルブ装置
JP5444420B2 (ja) シール部材
JPH09100919A (ja) シールリング
JP4303403B2 (ja) バルブスライド
JP3694540B2 (ja) 摺動部材及びこれを用いた摺動装置
JP2703025B2 (ja) 水栓用弁装置
JP2716289B2 (ja) 切替弁
JPH11201304A (ja) 切換弁および樹脂製部品
JP4638397B2 (ja) シール部材
JPH0920883A (ja) スクロール型コンプレッサ用シール部材組成物
JP4109822B2 (ja) 流体潤滑用樹脂組成物
JPH03265769A (ja) 湯水混合水栓
JP2005307090A (ja) 油中摺動材用樹脂組成物、油中摺動材およびシールリング
JP3053756B2 (ja) 水中摺動性樹脂組成物および弁装置
JP2604062Y2 (ja) 水栓用弁装置
JP2002081551A (ja) シールリング
JPH10184950A (ja) 弁装置の弁体または弁座の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040120