JPH08261261A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

ディスクブレーキ装置

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Publication number
JPH08261261A
JPH08261261A JP6434795A JP6434795A JPH08261261A JP H08261261 A JPH08261261 A JP H08261261A JP 6434795 A JP6434795 A JP 6434795A JP 6434795 A JP6434795 A JP 6434795A JP H08261261 A JPH08261261 A JP H08261261A
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JP
Japan
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brake pad
disc rotor
disc
spring
urging force
Prior art date
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Pending
Application number
JP6434795A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Hamabe
勉 浜辺
Mitsuhiro Doi
三浩 土井
Kazuto Sato
一人 佐藤
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】大型な板バネや反発力の初期設定が大きな板バ
ネ等を用いることなく、ブレーキパッドが摩耗しても制
動解除に伴うブレーキパッドをディスクロータから引き
離す力を略一定に維持することを目的としている。 【構成】 アンチラトルクリップ10が、トルクメンバ
3のP2方向を向く各トルク受け面3aにそれぞれ係止
されている。アンチラトルクリップ10には、リテーナ
スプリングである板バネ11が設けられている。板バネ
11の摺接部13は、根元部14からディスクロータ2
に近づく方向に向かうと同時にブレーキパッド9に近づ
く斜め方向に延在してブレーキパッド9に摺接してい
る。上記摺接部13は、その延在方向の途中に折り目1
3cが形成されてブレーキパッド9側に折れ曲がってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リテーナスプリングに
特徴を有するディスクブレーキ装置装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のディスクブレーキ装置としては、
例えば、実開昭56−4037号公報等に記載されてい
るものがある。この装置では、ブレーキパッドが、車輪
と共に回転するディスクロータの摩擦摺動面に対向配置
し、そのディスクロータに向けて摺動可能にトルクメン
バに支持される。また、上記ブレーキパッドは、ピスト
ンを備えたシリンダボディによって、上記ディスクロー
タの摩擦摺動面に向けて押圧されるようになっている。
さらに、上記ブレーキパッドは、トルクメンバに取り付
けられたリテーナスプリングによってディスクロータか
ら離れる方向に付勢されることで、非制動状態ではブレ
ーキパッドとディスクロータの摩擦摺動面との間に所定
のクリアランスが確保可能となっている。
【0003】上記リテーナスプリングは、板バネから構
成されている。その板バネ11は、ディスクロータ2の
外周側からみた平面図である図24に示すように、トル
クメンバ3に支持される支持部12と、この支持部12
におけるディスクロータ2から離れた側14の端部(根
元部)に連続してブレーキパッド9に摺接する摺接部1
3と、を有する。上記摺接部13は、ディスクロータ2
側が支持部12側から離れる斜め方向に延在すること
で、ブレーキパッド9の裏金9aに斜めに摺接してい
る。
【0004】そして、上記板バネ11は、制動に伴うブ
レーキパッド9のディスクロータ2への変位に従いトル
クメンバ3側に弾性変形する。続いて、該板バネ11
は、制動の解除に伴い上記弾性変形に応じた付勢力Fを
ブレーキパッド9に入力する。これにより、付勢力Fの
うちのディスクロータ2軸方向成分F1によって当該ブ
レーキパッド9をディスクロータ2から引き離す。
【0005】なお、上記付勢力Fは、摺接部13におけ
るブレーキパッド9との摺接点での法線方向に作用す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような構成のデ
ィスクブレーキ装置では、図24中の破線で示すよう
に、ブレーキパッド9の摩擦材の摩耗に伴い、制動状態
におけるブレーキパッド9の裏金9aの位置がディスク
ロータ2側に接近すると、板バネ11は弾性変形する。
この弾性変形によって、裏金9aに摺接する摺接部13
はディスクロータ2軸方向P1に対する傾きが小さくな
る方向に旋回する。このため、摺接部13の法線方向を
向く付勢力Fの向きはディスクロータ2側に傾いてしま
い、付勢力F自体は大きくなるにもかかわらずディスク
ロータ2軸方向成分F1が小さくなってしまう。
【0007】このように、ブレーキパッド9が摩耗する
と、板バネ11の付勢力Fのうちのディスクロータ2軸
方向成分、即ち、制動解除に伴ってブレーキパッド9を
ディスクロータ2から離隔する力が弱くなる。このた
め、所定の付勢力を持たせるには、大型の板バネを使用
するか、初期のバネ力が大きな板バネを使用しなければ
ならなかった。
【0008】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、これらのバネを用いることなく、ブレ
ーキパッドが摩耗しても制動解除に伴うブレーキパッド
をディスクロータから引き離す力を略一定に維持するこ
とを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1に記載されたディスクブレー
キ装置は、車輪と共に同軸に回転するディスクロータの
摩擦摺動面に対向して配置されるブレーキパッドと、車
体側部材に固定されてブレーキパッドからの制動トルク
を受けるトルクメンバと、上記車軸に平行な上記ディス
クロータの軸と平行な方向に向けて上記ブレーキパッド
を押圧可能な押圧手段と、上記ブレーキパッドを上記デ
ィスクロータから離れる方向に付勢するリテーナスプリ
ングと、を備えたディスクブレーキ装置において、上記
ブレーキパッドの変位に伴う上記リテーナスプリングの
付勢力のディスクロータ軸方向成分の増減を抑制する離
隔力調整手段を備えることを特徴としている。
【0010】また、請求項2に記載した発明は、請求項
1に記載された構成に対し、上記離隔力調整手段は、上
記ブレーキパッドの変位に伴う上記付勢力の増減に応じ
て、該付勢力のディスクロータ軸方向に対する傾きを変
化させる付勢力方向調整手段を備えたことを特徴とす
る。また、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載
された構成に対し、上記付勢力方向調整手段は、上記ブ
レーキパッドの変位に伴う上記付勢力の増大に応じて該
付勢力のディスクロータ軸方向に対する傾きを大きく且
つ上記ブレーキパッドの変位に伴う上記付勢力の減少に
応じて該付勢力のディスクロータ軸方向に対する傾きを
小さくさせることを特徴とする。
【0011】また、請求項4に記載した発明は、請求項
2又は請求項3に記載された構成に対し、上記リテーナ
スプリングは、板バネからなることを特徴とする。ま
た、請求項5に記載した発明は、請求項4に記載された
構成に対し、上記付勢力方向調整手段は、上記板バネの
上記ブレーキパッドと摺接する部分を、その延在方向に
沿った一箇所又は複数箇所で、上記ブレーキパッドに接
近又は離隔する方向に折り曲げた構造であることを特徴
とする。
【0012】また、請求項6に記載した発明は、請求項
4に記載された構成に対し、上記付勢力方向調整手段
は、上記板バネの上記ブレーキパッドと摺接する部分
を、その延在方向に沿った円弧形状とした構造であるこ
とを特徴とする。また、請求項7に記載した発明は、請
求項2から請求項4のいずれかに記載された構成に対
し、上記付勢力方向調整手段は、上記板バネに対してデ
ィスクロータ軸方向のバネ定数が小さい部分を設けた構
造であることを特徴とする。
【0013】また、請求項8に記載した発明は、請求項
1から請求項7のいずれかに記載された構成に対し、上
記離隔力調整手段は、上記リテーナスプリングのバネ定
数を上記ブレーキパッドの変位に伴って増減させるバネ
定数変更機構を備えることを特徴とする。また、請求項
9に記載した発明は、請求項1から請求項8のいずれか
に記載された構成に対し、上記ブレーキパッドの揺動を
抑えるアンチラトルクリップを設けると共に、該アンチ
ラトルクリップに上記リテーナスプリングを設けること
を特徴とする。
【0014】
【作用】請求項1に記載した発明においては、ブレーキ
パッドがディスクロータ側に変位しても、離隔力調整手
段が、リテーナスプリングからブレーキパッドに入力さ
れる付勢力のうちのディスクロータ軸方向成分の増減を
抑制する。この結果、付勢力のうちのディスクロータ軸
方向成分は略一定の状態に維持される。従って、リテー
ナスプリングを大型化することなく、ブレーキパッドが
摩耗して制動時のブレーキパッドの位置がディスクロー
タ側に変位しても、制動解除に伴ってブレーキパッドを
ディスクロータから離す力は、略一定に維持される。
【0015】また、請求項2に記載した発明において
は、付勢力方向調整手段によって、上記付勢力のディス
クロータ軸方向に対する傾きを積極的に変化させること
で、付勢力のディスクロータ軸方向成分が、ブレーキパ
ッドの変位に伴い所望方向に変化する。これによって、
該ディスクロータ軸方向成分の増減を抑制可能となる。
このとき、請求項3に記載した発明では、上記ブレーキ
パッドの変位に伴い上記付勢力が増加すると、付勢力方
向調整手段によって該付勢力のディスクロータ軸方向に
対する傾きが大きくなる方向に変化する。この結果、付
勢力自体が増加しても該付勢力のディスクロータ軸方向
成分の変化分は小さく抑えられ、上記付勢力のディスク
ロータ軸方向成分が一定又は略一体に保たれる。また、
上記ブレーキパッドの変位に伴い上記付勢力が減少する
と、付勢力方向調整手段によって該付勢力のディスクロ
ータ軸方向に対する傾きが小さくなる方向に変化する。
この結果、付勢力自体が減少しても該付勢力のディスク
ロータ軸方向成分の変化は小さくなり、上記付勢力のデ
ィスクロータ軸方向成分が一定又は略一体に保たれる。
【0016】また、請求項4に記載した発明では、リテ
ーナスプリングを加工しやすい板バネで構成すること
で、該板バネに離隔力調整手段を備えることが容易とな
る。また、請求項5に記載した発明では、板バネのブレ
ーキパッドと摺接する部分は、その延在方向に沿った一
箇所又は複数箇所が折り曲げられているので、当該部分
のディスクロータ軸方向に対する傾きは、ディスクロー
タ側に接近するにつれて各折り目を通過する度に段階的
に大きく又は小さくなる。
【0017】このため、ブレーキパッドが摩耗し制動時
のブレーキパッドの位置がディスクロータ側に移動する
ことで、板バネが弾性変形して、上記ブレーキパッドと
摺接する部分全体がディスクロータ軸方向に対する傾き
が小さく又は大きくなる方向に旋回しても、上記摩耗に
つれてブレーキパッドの裏金との摺接点位置はディスク
ロータ側に移動し、当該摺接点位置におけるディスクロ
ータ軸方向に対する傾きは上記折り目を通過する度に大
きく又は小さくなる方向に補正される。この結果、上記
弾性変形によるディスクロータ軸に対する傾きの変化が
抑えられるか、上記傾きは逆方向に変化する。
【0018】上記折り曲げは、例えば、ブレーキパッド
の摩耗に伴い付勢力のディスクロータ軸方向成分が減少
する板バネであれば、ブレーキパッド側に折り曲げる。
これにより、折り目を通過する度にディスクロータ軸方
向成分が増加するようになる。また、ブレーキパッドの
摩耗に伴い付勢力のディスクロータ軸方向成分が増加す
る板バネであれば、ブレーキパッド側から離れる方向に
折り曲げる。これにより、折り目を通過する度にディス
クロータ軸方向成分が減少するようになる。
【0019】これによって、ブレーキパッドが摩耗して
ディスクロータ側に移動しても、上記折り曲げの向きや
屈曲角を調整することで、板バネの付勢力の方向は、段
階的に任意の方向に補正される。つまり、該付勢力のデ
ィスクロータ軸方向成分の増減が段階的に抑制されるこ
ととなる。また、請求項6に記載した発明では、板バネ
のブレーキパッドと摺接する部分は、その延在方向に沿
って円弧形状となっているので、当該部分のディスクロ
ータ軸方向に対する傾きは、ディスクロータ側に接近す
るにつれて連続的に大きく又は小さくなる。
【0020】このため、板バネが弾性変形して、ブレー
キパッドと摺接する部分全体がディスクロータ軸方向に
対する傾きが小さく又は大きくなる方向に変化しても、
ブレーキパッドとの摺接点位置はディスクロータ側に移
動するため、ブレーキパッドに付勢力を入力する摺接点
位置にあっては、ディスクロータ軸方向に対する傾きが
大きく又は小さくなる方向に常に補正される。この結
果、上記弾性変形によるディスクロータ軸に対する傾き
の変化が抑えられたり逆方向に補正される。
【0021】このように、上記円弧の曲率や向きを調整
することで、ブレーキパッドの摩耗が進行しても、制動
解除に伴う付勢力のディスクロータ軸方向成分の増減が
連続的に抑制される。上記円弧形状は、例えば、ブレー
キパッドの摩耗に伴い付勢力のディスクロータ軸方向成
分が減少する板バネであれば、ブレーキパッド側に凹と
なる曲率を持たせる。これにより、連続的にディスクロ
ータ軸方向成分の減少を抑えるようになる。また、ブレ
ーキパッドの摩耗に伴い付勢力のディスクロータ軸方向
成分が増加する板バネであれば、ブレーキパッド側に凸
となる曲率を持たせる。これにより、連続的にディスク
ロータ軸方向成分の増加を抑えるようになる。
【0022】また、請求項7に記載した発明において
は、ブレーキパッドのディスクロータ側への変位に伴っ
て板バネが弾性変形して、板バネのブレーキパッドと摺
接する部分が、ディスクロータ軸方向に対する傾きが大
きくなる方向に変化しようとしても、バネ定数の小さい
部分がディスクロータ軸方向に弾性変形する。この結
果、当該部分のディスクロータ軸方向に対する傾きは小
さくする方向に補正される。これによって、板バネによ
る付勢力の向きが補正されて、ブレーキパッドが摩耗し
ても板バネの付勢力のディスクロータ軸方向成分の増減
が抑えられる。
【0023】また、請求項8に記載した発明において
は、ブレーキパッドが摩耗してディスクロータ側に変位
することで、板バネが弾性変形してブレーキパッドへの
付勢力の向きや大きさが変化し、該付勢力のディスクロ
ータ軸方向成分が増減しようとしても、バネ定数変更機
構によって板バネのバネ定数が変更されることで、上記
ブレーキパッドへの板バネによる付勢力全体の大きさ等
が変化する。この結果、ブレーキパッドの変位に伴う該
付勢力のディスクロータ軸方向成分の増減が抑えられ
る。
【0024】また、請求項9に記載した発明において
は、リテーナスプリングがアンチラトルクリップに設け
られているので、該アンチラトルクリップを組み付ける
ことでリテーナスプリングもディスクブレーキ装置に組
み付けられる。従って、上記のような離隔力調整手段を
備えたリテーナスプリングを採用しても、ディスクブレ
ーキの組み付け作業性に影響を与えることはない。
【0025】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
まず、本実施例に係るディスクブレーキ装置の構成につ
いて、図1から図5に基づき説明する。本実施例のディ
スクブレーキ装置Xは、ディスクブレーキ装置をディス
クロータの外周側からみた平面図である図1に示すよう
に、車輪1の回転軸P0に平行なディスクロータ軸方向
をP1方向とすれば、車輪1と共に同軸に回転するディ
スクロータ2をP1方向で挟むように配置される。その
ディスクブレーキ装置Xのトルクメンバ3は、図示しな
い車輪支持部材(車体側部材)に固定されている。その
トルクメンバ3には、一対のスライドピン4を介してP
1方向にのみ摺動可能にシリンダボディ5が支持されて
いる。
【0026】そのシリンダボディ5は、P1方向でディ
スクロータ2を跨ぐように配置され、ディスクブレーキ
装置Xを図1のA方向からみた図2に示すように、爪部
5aと基部5bとがディスクロータ2を挟んでP1方向
で対向している。また、上記基部5bに形成されたシリ
ンダ孔6に同軸に配置されているピストン7が、シリン
ダ孔6内に給排される作動油に応じてP1方向に進退可
能となっている。なお、図2中、8は、制動の際に弾性
変形することで制動解除の際に上記ピストン7を一定距
離だけ後退させるシールリングである。
【0027】ここで、上記爪部5a、ピストン7、シリ
ンダ孔6を備えたシリンダボディ5によって、押圧手段
が構成されている。また、上記シリンダボディ5のピス
トン7と爪部5aとの間には、一対のブレーキパッド9
が、ディスクロータ2を挟んで対向配置されている。各
ブレーキパッド9は、爪部5a又はピストン7によって
押圧される裏金9aと、その裏金9aに固着してディス
クロータ2の摩擦摺動面2aに対向する摩擦材9bとか
ら構成されている。
【0028】上記ブレーキパッド9は、ブレーキパッド
9をディスクロータ2の摩擦摺動面2a側からみた図3
に示すように、P1方向へ摺動可能にアンチラトルクリ
ップ10を介して上記トルクメンバ3に支持されてい
る。そして、ディスクロータ2の摩擦摺動面2aに平行
な方向であってブレーキパッド9の配置位置におけるデ
ィスクロータ2の正逆回転方向をP2方向とすれば、ブ
レーキパッド9のP2方向を向く各周方向端面9cに
は、対向するトルクメンバ3のトルク受け面3aに向け
て突設する耳部9dが形成されている。その耳部9d
と、トルク受け面3a側に形成され上記耳部9dを遊嵌
可能な凹部3bとによって、上記ブレーキパッド9はP
1方向に移動可能に規制されている。
【0029】上記アンチラトルクリップ10は、トルク
メンバ3のP2方向を向く各トルク受け面3aにそれぞ
れ係止されると共にディスクロータ2内周側にあるパッ
ド保持部10aによって上記ブレーキパッド9を保持す
る。これによって、ブレーキパッド9のガタツキが防止
されている。また、ディスクロータ2の正転方向P3で
の回入側に位置するアンチラトルクリップ10には、リ
テーナスプリングである板バネ11が設けられている。
その板バネ11は、図3におけるB−B線位置での拡大
図である図4やアンチラトルクリップ10をブレーキパ
ッド9側からみた斜視図である図5に示すように、アン
チラトルクリップ10の凹部10bに配設されている。
この板バネ11は、凹部10bに固定される支持部12
と、ブレーキパッド9の裏金9aと摺接する部分である
摺接部13と、両者のディスクロータ2から離れた端部
間12,13を連結してバネ力を発揮可能な根元部14
とからなる。摺接部13は、根元部14からディスクロ
ータ2に近づく方向に向かうと同時にブレーキパッド9
に近づく斜め方向に延在して上記トルク受け面3aに向
けて旋回可能となっている。
【0030】さらに、上記摺接部13には、その延在方
向の途中にディスクロータ1径方向に延びる折り目13
cが形成されている。そして、その折り目13cを境に
して、先端部側(ディスクロータ2側)がブレーキパッ
ド9側に折れ曲がっており、かかる構造により離隔力調
整手段としての付勢力方向調整手段が構成されている。
【0031】上記摺接部13のうち、折り目13cを境
として、ディスクロータ2から離れている部分を第1摺
接部13aと、ディスクロータ2側を第2摺接部13b
とすると、ブレーキパッド9が新品の状態では、ブレー
キパッド9の周方向端面9cにおける耳部9d位置は常
に第1摺接部13aと当接するように設定されている。
【0032】次に、上記ディスクブレーキ装置Xの動作
等について図6及び図7に基づき説明する。非制動状態
では、ブレーキパッド9はアンチラトルクリップ10に
よって揺動が抑えられた状態でトルクメンバ3に弾性保
持されている。この状態から制動が掛かると、各ブレー
キパッド9は、シリンダボディ5の爪部5aやピストン
7に押圧されてディスクロータ2に接近し該ディスクロ
ータ2を挟み込む。このとき、制動開始時によるブレー
キパッド9のディスクロータ2側への変位に伴い、板バ
ネ11は、板バネ11をディスクロータ2の外周側から
みた拡大図である図6に示すように、弾性変形する。こ
の状態では、ブレーキパッド9の周方向端面9cは板バ
ネ11の第1摺接部13aに摺接している。
【0033】上記ディスクロータ2を挟み込んだブレー
キパッド9は、ディスクロータ2からの制動トルクによ
ってディスクロータ2の正転方向P3に移動し、トルク
メンバ3におけるディスクロータの正転方向P3での出
側に位置するトルク受け面に当接する。これによって、
ブレーキパッド9に入力された制動トルクはトルクメン
バ3で支持される。
【0034】この状態から制動を解除すると、シールリ
ング8によってピストン7等はディスクロータ2から一
定距離だけ後退する。この結果、該ピストン7等による
押圧が解除されたブレーキパッド9は、板バネ11の第
1摺接部13aの面に直交する方向に付勢され、該付勢
力FのP1方向成分F1によってディスクロータ2から
引き離される。
【0035】上記制動及び制動解除が繰り返されブレー
キパッド9の摩擦材9bの摩耗が進行するにつれて、制
動時の裏金9aの位置が、図6中一点鎖線で示すよう
に、ディスクロータ2側に接近する。このため、該裏金
9aに押圧された摺接部13は、摩擦材9bの摩耗が進
行するにつれてトルク受け面3a側に旋回してP1方向
に対する傾きが小さくなり、付勢力Fの向きがディスク
ロータ2側に傾く。このように、摩擦材9bの摩耗が進
行し制動時の裏金9aの位置がディスクロータ2に接近
するにつれて、上記付勢力Fが大きくなるにもかかわら
ずP1方向成分F1が徐々に小さくなる。
【0036】しかし、上記摩擦材9bの摩耗がさらに進
んで裏金9aと摺接する摺接部13の位置が折り目13
cを越えて第2摺接部13bに移動した時点で、図7に
示すように、ブレーキパッド9との摺接位置におけるP
1方向に対する傾きが再び増加する。この結果、付勢力
FにおけるP1方向成分F1が増加するように補正され
る。これによって、ブレーキパッド9の摩擦材9bが摩
耗して制動時のブレーキパッド9の位置がディスクロー
タ2側に変位しても、付勢力FのP1方向成分F1が極
端に小さくなることが抑えられる。
【0037】このように、ブレーキパッド9が摩耗して
も制動解除に伴うブレーキパッド9をディスクロータ2
から引き離す力が極端に減少することは抑制される。こ
のため、上記板バネ11を大型化したり該板バネ11の
初期のバネ力を大きく設定することなく、ブレーキパッ
ド9が摩耗しても制動解除に伴いブレーキパッド9を確
実に引き離すことができる。
【0038】ここで、摩擦材9bが摩耗して制動時にお
ける裏金9aの位置がディスクロータ2側に変位するほ
ど、上記のように付勢力F自体は大きくなり、ブレーキ
パッド9と板バネ11との間の摺動抵抗が大きくなる。
このことに考慮して、ブレーキパッド9の摩耗に伴いP
1方向成分F1を若干大きくするようにチューニングし
てもよい。
【0039】また、本実施例では、リテーナスプリング
である板バネ11を折り曲げるという簡単な加工によっ
て離隔力調整手段である付勢力方向調整手段を設けるこ
とができる。このため、離隔力調整手段を設けてもディ
スクブレーキ装置Xを構成する部品点数の増加が回避さ
れる。さらに、アンチラトルクリップ10に板バネ11
が設けられているので、該アンチラトルクリップ10を
組み付けるだけでリテーナスプリング及び離隔力調整手
段(付勢力方向調整手段)がディスクブレーキ装置に組
み付けられる。従って、該離隔力調整手段である付勢力
方向調整手段を設けても、ディスクブレーキ装置の組付
け性に影響を与えることはない。
【0040】なお、上記実施例では、摺接部13の延在
方向に沿った一箇所にのみ折り目を設けているが、摺接
部13の延在方向に沿った複数箇所に折り目を設け、該
摺接部13を段階的にブレーキパッド9側に折り曲げて
もよい。このようにすると、上記実施例に比べてブレー
キパッド9の変位に伴う付勢力FのP1方向成分F1の
増減をより多段階的に抑制可能となる。
【0041】また、リテーナスプリングとしての板バネ
11の摺接部13が、ディスクロータ2側の根元部14
からディスクロータ2より離れる方向に向かうと同時に
ブレーキパッド9から離れる方向に斜めに延在するもの
を採用する場合には、板バネ11をディスクロータ2外
周側からみた図8に示すように、摺接部13をブレーキ
パッド9から離れる方向に折り曲げて離隔力調整手段で
ある付勢力方向調整手段を構成する。
【0042】このようにすることで、ブレーキパッド9
が摩耗して制動時の裏金9aの位置がディスクロータ2
に接近するにつれてリテーナスプリング11の付勢力F
のP1方向成分は徐々に増大しても、折り目13cを通
過するほど摩耗が進行した段階で付勢力Fの方向がディ
スクロータ2側に傾くように変更される。この結果、上
記付勢力FのP1方向成分F1が極端に増大することが
抑えられる。これによって、ブレーキパッド9が摩耗し
てもリテーナスプリング11によるブレーキパッド9の
ディスクロータ2から引き離す力は、所定以上に増大す
ることが抑えられる。
【0043】次に、第2実施例について図9から図11
に基づいて説明する。なお、上記第1実施例と同様な部
材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。第
2実施例のディスクブレーキ装置Xの基本構成は、上記
第1実施例と同じであり、リテーナスプリング11であ
る板バネ11の摺接部13の形状が相違しているだけで
ある。
【0044】第2実施例の板バネ11は、ディスクブレ
ーキ装置Xをディスクロータの外周側からみた平面図で
ある図9やアンチラトルクリップ10をブレーキパッド
9側からみた斜視図である図10に示すように、摺接部
13の形状が、その延在方向に沿ってブレーキパッド9
側に連続して折れ曲がるように、即ち、ブレーキパッド
9側に凹の曲率をもつ円弧形状に成形され、これによっ
て離隔力調整手段である付勢力方向調整手段が構成され
ている。
【0045】この実施例では、板バネ11をディスクロ
ータ2外周側からみた拡大図である図11に示すよう
に、上記第1実施例の折り曲げを連続的に成形した場合
に相当する。そして、ブレーキパッド9の摩擦材9bが
摩耗して裏金9aがディスクロータ2側に変位すると、
図11中破線で示すように、摺接部13自身がトルクメ
ンバ3にトルク受け面3a側に旋回するように、板バネ
11が弾性変形する。しかし、付勢力FのP1方向に対
する傾きが小さくなる方向に変化しても、裏金9aに摺
接する摺接部13での位置では、上記弾性変形によるP
1方向に対する傾きが連続的に大きくなる方向に補正さ
れる。この結果、該裏金9aが摺接する位置での摺接部
13のP1方向に対する傾きが小さくなることが抑えら
れる。
【0046】これによって、制動時におけるブレーキパ
ッド9がディスクロータ2側に変位することに伴う付勢
力Fのディスクロータ2側に傾くことが小さく抑えられ
て、摩擦材9bの摩耗によってブレーキパッド9がディ
スクロータ2側に変位することによる付勢力FのP1方
向成分F1の増減が抑制される。特に、本実施例では、
上記ブレーキパッド9の変位の伴う付勢力FのP1方向
成分F1の増減の抑制が連続的に実施されるために、ブ
レーキパッド9の摩耗が進行しても常に略一定の力でブ
レーキパッド9をディスクロータ2から引き離すことが
可能となる。また、明確な折り目が形成されないので、
P1方向成分F1が不連続的に変化することは回避され
る。
【0047】なお、根元部14がディスクロータ2側に
配置され且つ摺接部13が該根元部14からディスクロ
ータ2より離れる方向に向かうと同時にブレーキパッド
9から離れる斜め方向に延在する形状をした板バネをリ
テーナスプリングとして採用する場合には、離隔力調整
手段である付勢力方向調整手段として、摺接部13の曲
率がブレーキパッド9側に凸となるような円弧形状を採
用する。
【0048】このようにすることで、摩耗によってブレ
ーキパッド9がディスクロータ2側に変位して付勢力F
のP1方向成分F1が増加しようとしても上記摺接部1
3の形状によって連続的に上記増加が抑制されるように
なる。次に、第3実施例について図12から図15に基
づいて説明する。なお、上記第1実施例と同様な部材に
は同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】第3実施例のディスクブレーキ装置Xの基
本構成は、上記第1実施例と同じであり、リテーナスプ
リングの摺接部13の延在方向及び形状が相違してい
る。第3実施例のリテーナスプリング11である板バネ
11は、ディスクブレーキ装置をディスクロータの外周
側からみた平面図である図12やアンチラトルクリップ
10をブレーキパッド9側からみた斜視図である図13
に示すように、根元部14がディスクロータ2側に位置
している。また、該根元部14に連続する摺接部13
が、折り曲げられずに、ディスクロータ2側から該ディ
スクロータ2より離れる方向に向かうと同時にブレーキ
パッド9から離れる斜め方向に直線状に延在している。
【0050】また、根元部14よりも支持部12側の位
置15(以下、湾曲部と呼ぶ)は、P1方向に湾曲した
形状となってP1方向のバネ定数が小さくなるように設
定され、P1方向に容易に弾性変形可能となっている。
その湾曲部15を設けることで離隔力調整手段である付
勢力方向調整手段が板バネ11に装備される。次に、本
実施例の動作等について図14及び図15に基づき説明
する。
【0051】ブレーキパッド9の摩擦材9bが摩耗して
いない状態では、板バネ11をディスクロータ2外周側
からみた拡大図である図14に示すように、ブレーキパ
ッド9の裏金9aは、ディスクロータ2から離れた位置
で板バネ11の摺接部13に摺接し、その摺接点での摺
接部13に直交する方向に付勢力Fが向いている。そし
て、その付勢力FのP1方向成分F1によって、制動解
除に伴いブレーキパッド9はディスクロータ2から引き
離されるようになっている。
【0052】この状態から、ブレーキパッド9の摩擦材
9bの摩耗が進行して制動時の裏金9aがディスクロー
タ2側に変位すると、図15に示すように、摺接部13
自身は、根元部14の弾性変形に伴い、該根元部14を
中心にトルクメンバ3のトルク受け面3a側に、P1方
向に対する傾きが大きくなる方向に旋回する。これによ
って、付勢力FのP1方向成分F1は増大しようとする
が、ブレーキパッド9のディスクロータ2側への移動に
よって上記バネ定数の低い湾曲部15がディスクロータ
2側に変形する。このため、上記摺接部13はディスク
ロータ2側に変位して、付勢力FのP1方向に対する傾
きが大きくなる方向に変化することが抑えられる。
【0053】これによって、ブレーキパッド9がディス
クロータ2側に変位することによる付勢力Fの傾きの変
化が抑えられる。この結果、摩擦材9bの摩耗によって
ブレーキパッド9がディスクロータ2側に接近しても、
付勢力FのP1方向成分F112減が抑制される。つま
り、ブレーキパッド9が摩耗しても、制動解除に伴う引
き離す力が極端に増大することが抑えられることとな
る。従って、制動時にブレーキパッド9をディスクロー
タ2側に押圧する力に対抗する力が増大することが回避
されて、その分を考慮してマスタシリンダの出力を上げ
る必要がない。
【0054】次に、第4実施例について図16から図1
9に基づいて説明する。なお、上記第1実施例と同様な
部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
第4実施例のディスクブレーキ装置Xの基本構成は、上
記第1実施例と同じであり、板バネ11の摺接部13の
形状が相違しているだけである。第4実施例のリテーナ
スプリングである板バネ11は、ディスクブレーキ装置
Xをディスクロータの外周側からみた平面図である図1
6やアンチラトルクリップ10をブレーキパッド9側か
らみた斜視図である図17に示すように、摺接部13に
第1実施例のような折り目を形成せず、その延在方向先
端部(ディスクロータ2側)に対して支持部12側へ円
弧状に折り返した折り返し部16を設けている。
【0055】この折り返し部16は、P2方向に大きな
バネ力を有してしている。この折り返し部16は、離隔
力調整手段であるバネ定数変更機構を構成して、ブレー
キパッド9の摩擦材9bが摩耗していない状態では、先
端部が支持部12に非接触状態となっている。次に、本
実施例の動作等について図18及び図19に基づき説明
する。
【0056】ブレーキパッド9の摩擦材9bが摩耗して
いない状態では、板バネ11をディスクロータ2外周側
からみた拡大図である図18に示すように、ブレーキパ
ッド9の裏金9aは、ディスクロータ2から離れた位置
で板バネ11の摺接部13に摺接して、その摺接点での
摺接部13の面に直交する方向に付勢力Fが向いてい
る。そして、その付勢力FのP1方向成分F1によっ
て、ブレーキパッド9はディスクロータ2から引き離さ
れるようになっている。この状態では、折り返し部16
の先端部側は浮いている状態であるので、板バネ11の
バネ定数になんら寄与していない。
【0057】この状態から、ブレーキパッド9の摩擦材
9bの摩耗が進行して制動時の裏金9aの位置がディス
クロータ2側に変位すると、摺接部13自身はトルクメ
ンバ3のトルク受け面3a側に旋回する。この結果、P
1方向に対する傾きが小さくなる方向に変化して付勢力
FのP1方向成分F1が小さくなろうとする。しかし、
ブレーキパッド9の摩耗が進行して摺接部13が支持部
12側に所定以上旋回すると、図19に示すように、折
り返し部16がトルクメンバ3の当接部側に当接してバ
ネ力を発揮する。この結果、根元部14のバネ力と折り
返し部16のバネ力が並列状態となり、該板バネ11の
バネ定数が大きくなる。これによって、付勢力F自体が
大きくなりP1方向成分F1の減少が抑制される。
【0058】なお、上記折り返し部16のバネ力を、根
元部14のバネ力よりも大きなバネ定数に設定すると、
摺接部13におけるブレーキパッド9と摺接する位置で
は、ディスクロータ2から離れる側に撓んでP1方向に
対する傾きが増大する。このP1方向成分F1が更に増
大することによって、摩耗に伴うブレーキパッド9のデ
ィスクロータ2への移動に伴う付勢力FのP1方向成分
F1の減少が抑制される。この結果、ブレーキパッド9
が摩耗しても、略一定の力でブレーキパッド9をディス
クロータ2から引き離すことが可能となる。
【0059】次に、第5実施例について図20から図2
3に基づいて説明する。なお、上記第1実施例と同様な
部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
第5実施例のディスクブレーキ装置Xの基本構成は、上
記第1実施例と同じであり、リテーナスプリング11が
相違しているだけである。第5実施例のリテーナスプリ
ング11は、ディスクブレーキ装置をディスクロータの
外周側からみた平面図である図20やアンチラトルクリ
ップ10をブレーキパッド9側からみた斜視図である図
21に示すように、2個の第1板バネ17と1個の第2
板バネ18とから構成されている。第2板バネ18は、
離隔力調整手段であるバネ定数変更機構を構成してい
る。
【0060】上記2個の第1板バネ17と第2板バネ1
8とは、2個の第1板バネ17が第2板バネ18を挟む
ようにして、それぞれアンチラトルクリップ10の凹部
10bに対してディスクロータ2の径方向に並んで固定
される。さらに、上記2個の第1板バネ17と第2板バ
ネ18の各摺接部17a,18aは、ディスクロータ2
から離れた側から、それぞれ該ディスクロータ2に接近
すると同時にブレーキパッド9に接近する斜め方向に延
在している。但し、第2板バネ18の方が第1板バネ1
7に比べて小型であると共にP1方向において第1板バ
ネ17よりもディスクロータ2側にずれて配置されてい
る。
【0061】これによって、摩擦材9bが摩耗していな
い状態では、板バネ11をディスクロータ2外周側から
みた拡大図である図22に示すように、ブレーキパッド
9の裏金9aは、一対の第1板バネにのみ摺接してい
て、該第1板バネによる付勢力FのP1方向成分F1に
よってブレーキパッド9はディスクロータ2から引き離
されるようになっている。
【0062】この状態から摩擦材9bが摩耗して制動時
の裏金9aの位置がディスクロータ2側に変位すると、
該第1板バネは弾性変形して、該第1板バネによる付勢
力F2のP1方向成分が減少する。しかし、図23に示
すように、摩耗が進行して上記制動時の裏金9aが第2
板バネ18に当接すると、リテーナスプリング11全体
としてのバネ定数が増大して、該第2板バネ18の付勢
力F2によるP1方向成分が付加される。この結果、上
記リテーナスプリング11全体としてのP1方向成分F
3の減少を抑える。そして、摩耗によってブレーキパッ
ド9がディスクロータ2側に変位しても、ブレーキパッ
ド9を略一定の力でディスクロータ2から引き離すこと
が可能となる。
【0063】なお、上記第2板バネ18の向きを第1板
バネ17の向きとは反対方向を向くように設定してもよ
い。即ち、該第2板バネ18として、その根元部18b
側がディスクロータ2側に位置する共に摺接部18部が
該根元部18側からディスクロータ2から離れる方向に
向かうと同時にブレーキパッド9から離れる方向に延在
する板バネを採用してもよい。この場合には、第2板バ
ネ18は、弾性変形するほど、P1方向成分が大きくな
り、よりリテーナスプリング11全体のP1方向成分F
1の減少を抑えることが可能となる。
【0064】なお、上記第4実施例又は第5実施例の摺
動部の形状を、第1実施例から第3実施例に基づいて、
折り曲げたり円弧形状に成形することで付勢力方向調整
手段も備えた形状として、付勢力の向きも該付勢力の増
減に応じて変化させるように設定してもよい。また、上
記各実施例では、トルクメンバ3におけるディスクロー
タ2の正転方向P3での入側位置のみに上記離隔力調整
手段を装備したリテーナスプリング11を配している
が、出側位置にも同様に配置して、より有効にブレーキ
パッド9をディスクロータ2から引き離すようにしても
よい。
【0065】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のディ
スクブレーキ装置においては、摩耗によってブレーキパ
ッドが制動時の位置がディスクロータ側に変位しても、
離隔力調整手段によって、大きな板バネや初期反力の大
きなバネを用いることなく、該ブレーキパッドをディス
クロータ側から引き離す力は略一定に維持することがで
きるという効果がある。
【0066】このとき、請求項2に記載した発明では、
付勢力の向きを所望方向に変化させるだけで、該ブレー
キパッドをディスクロータ側から引き離す力は略一定に
維持されることが可能となるという効果がある。例え
ば、請求項3に記載した発明を採用すれば、確実に、該
ブレーキパッドをディスクロータ側から引き離す力は略
一定に維持される。
【0067】また、請求項4に係る発明を採用すると、
上記離隔力調整手段がリテーナスプリングに設け易くな
り、コストや作業上、有利となるという効果がある。ま
た、請求項5に記載した発明では、リテーナスプリング
としての板バネを折り曲げるだけで簡単に離隔調整手段
である付勢力方向調整手段が設けられる。さらに、ブレ
ーキパッドが摩耗しても制動解除に伴いブレーキパッド
をディスクロータから引き離す力の増減が段階的に補正
させるように抑制されるので、ブレーキパッドをディス
クロータから引き離す力が極端に大きく又は小さくなる
ことがないという効果がある。
【0068】また、上記のように離隔力調整手段として
新たな部品を追加しないので、該離隔力調整手段を設け
ても、ディスクブレーキ装置の組付け作業等に影響を与
えることはない。また、請求項6に記載した発明では、
リテーナスプリングとして板バネを円弧形状に成形する
だけで付勢力方向調整手段が設けられる。さらに、ブレ
ーキパッドが摩耗しても制動解除に伴うブレーキパッド
をディスクロータから引き離す力の増減が連続的に補正
させるように抑制されるので、ブレーキパッドをディス
クロータから引き離す力を常に略一定に維持可能となる
という効果がある。
【0069】また、請求項7に記載した発明では、ディ
スクロータ軸方向へのバネ定数が小さい部分を設けるだ
けで付勢力方向調整手段が設けられる。さらに、ブレー
キパッドが摩耗しても、該ブレーキパッドをディスクロ
ータから引き離す力を略一定に維持可能となるという効
果がある。また、請求項8に記載した発明では、板バネ
の弾性変形によるブレーキパッドをディスクロータから
引き離す力が増減しても、ブレーキパッドの変位に伴っ
て付勢力自体の大きさ等が変更される。このため、ブレ
ーキパッドが摩耗しても、該ブレーキパッドをディスク
ロータから引き離す力を略一定に維持可能となるという
効果がある。
【0070】また、請求項9に記載した発明では、アン
チラトルクリップにリテーナスプリングを設けるので、
アンチラトルクリップを組み付けるだけで、離隔力調整
手段を備えたリテーナスプリングをディスクブレーキ装
置に組み付けられる。このため、該離隔力調整手段を備
えたリテーナスプリングを採用してもディスクブレーキ
装置の組み付け性に影響を及ぼさないという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例のディスクブレーキ装置を
ディスクロータ外周側からみた図である。
【図2】図1におけるA側からみた図である。
【図3】ディスクロータの摩擦摺動面側からみた図であ
る。
【図4】図3でのB−B線での拡大図である。
【図5】アンチラトルクリップをブレーキパッド側から
見た図である。
【図6】本発明に係る第1実施例のリテーナスプリング
の作動を示す図である。
【図7】ブレーキパッドが摩耗したときの状態を示す図
である。
【図8】第1実施例の別例を示す図である。
【図9】本発明に係る第2実施例のディスクブレーキ装
置をディスクロータ外周側からみた図である。
【図10】本発明に係る第2実施例のアンチラトルクリ
ップをブレーキパッド側から見た図である。
【図11】本発明に係る第2実施例のリテーナスプリン
グの作動を示す図である。
【図12】本発明に係る第3実施例のディスクブレーキ
装置をディスクロータ外周側からみた図である。
【図13】本発明に係る第3実施例のアンチラトルクリ
ップをブレーキパッド側から見た図である。
【図14】本発明に係る第3実施例のリテーナスプリン
グの作動を示す図である。
【図15】ブレーキパッドが摩耗したときの状態を示す
図である。
【図16】本発明に係る第4実施例のディスクブレーキ
装置をディスクロータ外周側からみた図である。
【図17】本発明に係る第4実施例のアンチラトルクリ
ップをブレーキパッド側から見た図である。
【図18】本発明に係る第4実施例のリテーナスプリン
グの作動を示す図である。
【図19】ブレーキパッドが摩耗したときの状態を示す
図である。
【図20】本発明に係る第5実施例のディスクブレーキ
装置をディスクロータ外周側からみた図である。
【図21】本発明に係る第5実施例のアンチラトルクリ
ップをブレーキパッド側から見た図である。
【図22】本発明に係る第5実施例のリテーナスプリン
グの作動を示す図である。
【図23】ブレーキパッドが摩耗したときの状態を示す
図である。
【図24】従来のリテーナスプリングを示す図である。
【符号の説明】
P1 ディスクロータ軸方向 F 付勢力 F1 ディスクロータ軸方向成分 1 車輪 2 ディスクロータ 3 トルクメンバ 5 シリンダボディ 7 ピストン 9 ブレーキパッド 9a 裏金 9b 摩擦材 10 アンチラトルクリップ 11 板バネ(リテーナスプリング) 13 摺接部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪と共に同軸に回転するディスクロー
    タの摩擦摺動面に対向して配置されるブレーキパッド
    と、車体側部材に固定されてブレーキパッドからの制動
    トルクを受けるトルクメンバと、上記車軸に平行な上記
    ディスクロータの軸と平行な方向に向けて上記ブレーキ
    パッドを押圧可能な押圧手段と、上記ブレーキパッドを
    上記ディスクロータから離れる方向に付勢するリテーナ
    スプリングと、を備えたディスクブレーキ装置におい
    て、上記ブレーキパッドの変位に伴う上記リテーナスプ
    リングの付勢力のディスクロータ軸方向成分の増減を抑
    制する離隔力調整手段を備えることを特徴とするディス
    クブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 上記離隔力調整手段は、上記ブレーキパ
    ッドの変位に伴う上記付勢力の増減に応じて、該付勢力
    のディスクロータ軸方向に対する傾きを変化させる付勢
    力方向調整手段を備えたことを特徴とする請求項1に記
    載されたディスクブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 上記付勢力方向調整手段は、上記ブレー
    キパッドの変位に伴う上記付勢力の増大に応じて該付勢
    力のディスクロータ軸方向に対する傾きを大きく且つ上
    記ブレーキパッドの変位に伴う上記付勢力の減少に応じ
    て該付勢力のディスクロータ軸方向に対する傾きを小さ
    くさせることを特徴とする請求項2に記載されたディス
    クブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 上記リテーナスプリングは、板バネから
    なることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載され
    たディスクブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 上記付勢力方向調整手段は、上記板バネ
    の上記ブレーキパッドと摺接する部分を、その延在方向
    に沿った一箇所又は複数箇所で、上記ブレーキパッドに
    接近又は離隔する方向に折り曲げた構造であることを特
    徴とする請求項4に記載されたディスクブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 上記付勢力方向調整手段は、上記板バネ
    の上記ブレーキパッドと摺接する部分を、その延在方向
    に沿った円弧形状とした構造であることを特徴とする請
    求項4に記載されたディスクブレーキ装置。
  7. 【請求項7】 上記付勢力方向調整手段は、上記板バネ
    に対してディスクロータ軸方向のバネ定数が小さい部分
    を設けた構造であることを特徴とする請求項2から請求
    項4のいずれかに記載されたディスクブレーキ装置。
  8. 【請求項8】 上記離隔力調整手段は、上記リテーナス
    プリングのバネ定数を上記ブレーキパッドの変位に伴っ
    て増減させるバネ定数変更機構を備えることを特徴とす
    る請求項1から請求項7のいずれかに記載されたディス
    クブレーキ装置。
  9. 【請求項9】 上記ブレーキパッドの揺動を抑えるアン
    チラトルクリップを設けると共に、該アンチラトルクリ
    ップに上記リテーナスプリングを設けることを特徴とす
    る請求項1から請求項8のいずれかに記載されたディス
    クブレーキ装置。
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