JPH08261054A - エンジンの失火診断装置 - Google Patents

エンジンの失火診断装置

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JPH08261054A
JPH08261054A JP6770295A JP6770295A JPH08261054A JP H08261054 A JPH08261054 A JP H08261054A JP 6770295 A JP6770295 A JP 6770295A JP 6770295 A JP6770295 A JP 6770295A JP H08261054 A JPH08261054 A JP H08261054A
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洋一 岸本
Yukihiro Ino
幸宏 猪野
Atsushi Shoji
淳 庄司
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 診断の機会を増やす。 【構成】 計測手段11は燃焼行程に対応する所定のク
ランク角度区間に要する時間を気筒別に計測し、この計
測値の気筒毎のバラツキを補正するための学習値を学習
値演算手段12が演算する。この学習値の演算回数を計
測手段13が計測し、この学習値の演算回数に応じて失
火判定の許可領域を設定手段14が設定する。この設定
された許可領域に運転条件が属するかどうかを判定手段
15が判定し、この判定結果より運転条件が許可領域に
属するとき前記学習値で前記計測値を補正した値の変動
状態から前記失火判定を失火判定手段16が行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はエンジンの失火診断装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】失火によるクランクシャフトのトルク変
動を、リングギアに対向して設けた磁気ピックアップに
より周期変動として検出することで、失火したかどうか
の診断を行うものがある(特開平4−113244号公
報参照)。
【0003】これについて説明すると、図2に示すa、
b、cの各区間は、V型6気筒エンジンの各燃焼行程に
対応させて設けた所定のクランク角度区間で、この各区
間に要する時間の計測値TINTが最新のものからTI
NT1、TINT2、……、TINT9としてサンプリ
ングされる。
【0004】たとえば減速時に1番気筒で失火を生じた
とき、失火の前後で計測値に図13に示すように段差が
生じる。ただし、点火順序は1−2−3−4−5−6と
している。
【0005】この場合に、1番気筒と4番気筒とは同じ
区間で計測されるため、4番気筒どうし(つまりTIN
T3とTINT9)を結んだ斜めの直線より上方にはみ
出す部分の時間増加ΔTINT1が1番気筒の失火によ
るものと推定することができる。同図の時間増加ΔTI
NT1は図形処理により、 ΔTINT1={3(TINT6−TINT9) +3(TINT6−TINT3)}/6 …(1) の式で計算されるので、1番気筒と4番気筒のように燃
焼行程が同じ区間にある計測値を比較するための失火パ
ラメーターMISBを、 MISB=6×ΔTINT1/(TINT9)3 …(2) の式で定義すると、失火パラメーターMISBは最終的
に次の式で与えられる。 MISB={3(TINT6−TINT9) +3(TINT6−TINT3)}/(TINT9)3 …(3)
【0006】なお、(2)式分母の(TINT9)3
エンジン回転数の相違による影響をなくすための補正分
である。
【0007】図13より1番気筒に失火を生じてTIN
T6が大きくなると、失火パラメーターMISBが大き
くなるので、MISBが所定値を超える場合に失火が生
じたと判断することができる。MISBを用いての失火
判定では、リングギアの同じ歯を用いるので、リングギ
アの形状バラツキの影響を受けることがないという特質
を有する。
【0008】しかしながら、1番気筒と4番気筒がとも
に失火したときは、TINT3、TINT6、TINT
9のすべてが同じように大きくなるため、ΔTINT1
≒0(つまりMISB≒0)となって失火が判定できな
くなるので、他の失火パラメーターを考える必要が出て
くる。
【0009】そこで、図14に示したように、今度は1
番気筒のひとつ前の6番気筒の計測値を用いて失火によ
る時間増加ΔTINT2を計算する。ΔTINT2も図
形処理により、 ΔTINT2={5(TINT6−TINT7) +(TINT6−TINT1)}/6 …(4) の式で計算されるので、1番気筒と6番気筒のように燃
焼行程が異なる区間にある計測値を比較するための失火
パラメーターMISAを、 MISA=6×ΔTINT1/(TINT9)3 …(5) の式で定義すると、失火パラメーターMISAは最終的
に次の式で与えられる。 MISA={5(TINT6−TINT7) +(TINT6−TINT1)}/(TINT9)3 …(6)
【0010】このようにして得られた失火パラメーター
MISAによれば、1番気筒と4番気筒がともに失火し
たときでも、MISAが所定値を超えることから失火と
判断することができる。
【0011】ところで、上記a,b,cの各区間は、リ
ングギアの所定の歯数分に対応させたもので、この所定
の歯数分を磁気ピックアップによりカウントした時間を
計測値TINTとしているので、リングギアの精度によ
っては、クランクシャフトが一定速度で回転していなが
ら、a、b,cの各区間の計測値が同じでなく、失火パ
ラメーターMISAに誤差を生じ、これによって誤診断
が生じることがある。
【0012】そこで、特開平4−101071号公報で
は、リングギア精度の学習値を導入しており、学習値が
収束した時点で失火判定に入ることを許可するようにし
ている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、失火に伴う
計測値の時間増加(具体的には上記のΔTINT1やΔ
TINT2のこと)と、発生トルク、エンジン回転数と
の間には一定の関係があり、発生トルクが大きいほど、
また回転数が小さくなるほど時間増加のはね上がり代が
大きくなる。これを要求精度を満たせるかどうかでみれ
ば、発生トルクが大きいほど、また回転数が小さくなる
ほど要求精度を満たせる程度が高いということであり、
こうした要求精度を学習値の演算回数と関連させれば、
学習値の演算回数が増えていくほど、発生トルクが小さ
くなる方向に向かって、また回転数が大きくなる方向に
向かって要求精度を満たせる領域がそれぞれ拡大してい
くことを意味する。
【0014】また、磁気ピックアップによるクランク角
の検出精度には公差(許容誤差上限値)があり、それを
積み上げてもある程度の精度は学習値が収束してなくて
も確保できる。
【0015】こうした点に着目して机上検討を行ったと
ころ、学習値の収束前であっても要求精度を満たせる領
域があることがわかった。
【0016】しかしながら、従来装置では、学習値の収
束前に要求精度を満たせる領域がありながら、学習値が
収束するまでは失火判定に入ることが許可されないので
あり、これによって診断の機会を無用に制限することに
なっている。
【0017】そこでこの発明は、学習値の演算回数に応
じて失火判定の許可領域を設定することにより、診断の
機会を増やすことを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図15に
示すように、燃焼行程に対応する所定のクランク角度区
間に要する時間を気筒別に計測する手段11と、この計
測値の気筒毎のバラツキを補正するための学習値を演算
する手段12と、この学習値の演算回数を計測する手段
13と、この演算回数に応じて失火判定の許可領域を設
定する手段14と、この設定された許可領域に運転条件
が属するかどうかを判定する手段15と、この判定結果
より運転条件が許可領域に属するとき前記学習値で前記
計測値を補正した値の変動状態から前記失火判定を行う
手段16とを設けた。
【0019】第2の発明は、第1の発明において、前記
失火判定の許可領域を、学習値の演算回数が増えていく
ほどエンジン負荷が小さくなる方向に向かって拡大す
る。
【0020】第3の発明は、第1または第2の発明にお
いて、前記失火判定の許可領域を、学習値の演算回数が
増えていくほどエンジン回転数が大きくなる方向に向か
って拡大する。
【0021】
【作用】失火に伴う計測値の時間増加と発生トルク、エ
ンジン回転数との間には一定の関係があり、発生トルク
と回転数に応じて時間増加のはね上がり代が異なる。こ
れを要求精度を満たせるかどうかでみれば、発生トルク
と回転数が異なれば、要求精度を満たせる程度も異なる
ということであり、こうした要求精度を学習値の演算回
数と関連させれば、学習値の演算回数により要求精度を
満たせる領域が変化することを意味する。つまり、要求
精度を満たせる領域があるのであれば、学習値が収束す
る前であっても失火判定が可能となる。
【0022】しかしながら、従来例では、学習値の収束
前に要求精度を満たせる領域があっても学習値が収束す
るまでは失火判定に入ることが許可されないので、診断
の機会を無用に制限することになっている。
【0023】これに対して、第1の発明では、学習値の
演算回数に応じて失火判定の許可領域を設定するので、
つまり学習値の演算回数により変化する、要求精度を満
たせる領域を失火判定の許可領域とするので、失火判定
の機会を増やすことができる。
【0024】また、未学習の状態で計測値に小さくない
気筒間バラツキがある場合にも、要求精度を満たせる領
域をもつときは未学習の状態で失火判定が行われること
になり、失火判定の機会が増える。
【0025】要求精度を満たせる領域は、学習値の演算
回数が増えていくほど発生トルクが小さくなる方向に向
かって拡大していくことから、この要求精度を満たせる
領域の増加に合わせて、第2の発明により、失火判定の
許可領域を、学習値の演算回数が増えていくほどエンジ
ン負荷が小さくなる方向に向かって拡大することで、失
火判定の機会を増やすことができる。
【0026】要求精度を満たせる領域はまた、学習値の
演算回数が増えていくほどエンジン回転数が大きくなる
方向に向かって拡大していくことから、この要求精度を
満たせる領域の増加に合わせて、第3の発明により、失
火判定の許可領域を、学習値の演算回数が増えていくほ
どエンジン回転数が大きくなる方向に向かって拡大する
ことで、失火判定の機会を増やすことができる。
【0027】
【実施例】図1において、1はエンジン本体、2はクラ
ンクシャフト、4はクランクシャフト端のフライホイー
ル3の外周に形成されるリングギアである。リングギア
4の歯に対向して、鉄心とコイルからなる磁気ピックア
ップ5が設置され、クランクシャフト2が回転すると、
この歯が磁気ピックアップ5の鉄心に発生する磁界を断
続するため、磁気ピックアップ5のコイルに磁力変化が
生じて、交流電流が誘導される。この交流信号はコント
ロールユニット7内で波形成型されて矩形波のON、O
FFパルスに変換され、クランク角度信号として使用さ
れる。
【0028】また、クランクシャフト2によって駆動さ
れるカム軸(図示しない)に公知のクランク角センサー
6が設けられ、このセンサー6からのRef信号(基準
位置信号)とPos信号(1°信号)もコントロールユ
ニット7に送られる。
【0029】コントロールユニット7では、クランク角
センサー6の1番気筒用のRef信号の入力から所定数
のパルス(磁気ピックアップ5により得られるパルス)
をカウントした時点を基準として、図2に示したよう
に、クランクシャフト2の所定角度区間当たりに要する
時間TINTをクランクシャフトの1回転当たり3回サ
ンプリングし、そのサンプリング値を用いて失火判定を
行う。ただし、図2はV型6気筒エンジンのもので、点
火順序を1−2−3−4−5−6としたとき、aの区間
は1番気筒および4番気筒の、bの区間は2番気筒およ
び5番気筒の、cの区間は3番気筒および6番気筒の各
燃焼行程に対応する。
【0030】この場合に、リングギア3について、製作
時の歯の粗密あるいは経時劣化に伴う歯の摩耗や歯欠け
があると、クランクシャフトが一定速度で回転していて
も、図3に示すようにa,b,cの各区間でTINTの
値がバラツク波形となる。TINTの計測は、詳細には
リングギア4の各歯に対応して発生するパルスをカウン
トすることによって行うので、a区間の歯列が規定値よ
りたとえば粗く、またb区間の歯列が規定値よりたとえ
ば密に形成されているとき、規定値と同数のパルスをカ
ウントしても、a区間でTINTの値が規定値より大き
くなり、またb区間でTINTの値が規定値より小さく
なるわけである。図3に示したこのような波形に重なっ
て失火以外の要因による回転変動があるときは、図4の
ように、見かけの回転変動(図4上段の実線参照)が実
際の回転変動よりも大きくなり、失火と誤判定してしま
うことにもなる。
【0031】これに対処するため、リングギア精度の学
習値を導入し、これで計測値TINTを補正する。
【0032】この場合、失火によるTINTの時間増加
ΔTINTは、実験や理論解析によりエンジン回転数の
三乗に反比例することがわかっている。これに対して、
リングギア精度による時間増加ΔTINTはエンジン回
転数に反比例するため、図5に示すように高回転ほどギ
ア精度の影響が大きくなる。また、高回転域でも低負荷
時には失火や気筒間トルクバラツキによる回転変動が小
さいので、高回転低負荷域でリングギア精度の学習を行
う。
【0033】図6のフローチャートはリングギア精度の
学習を示すものである。ステップ1では学習条件が成立
するかどうかの判定を行うのであり、高回転低負荷域に
あり、燃料カット中でなくかつリーンスパイクもないと
き、学習条件を満たしているとしてステップ2に進み、
クランクシャフトの1回転にわたって計測値TINTを
サンプリングする。計測値は新しいほうからTINT
1、TINT2、TINT3としてメモリーに格納す
る。
【0034】ステップ3ではクランクシャフトの1回転
分の計測値(TINT1、TINT2、TINT3)の
平均値を計算し、この平均計測値とTINT1、TIN
T2、TINT3の各計測値を用いてリングギア精度の
学習値をステップ7において計算する。学習値の計算式
は、 a区間学習値(新)←a区間学習値(旧) −{(a区間計測値×a区間学習値(旧)−平均計測値) /平均計測値}×学習速度係数 …(7a) b区間学習値(新)←b区間学習値(旧) −{(b区間計測値×b区間学習値(旧)−平均計測値) /平均計測値}×学習速度係数 …(7b) c区間学習値(新)←c区間学習値(旧) −{(c区間計測値×c区間学習値(旧)−平均計測値) /平均計測値}×学習速度係数 …(7c) ただし、学習値(新):今回の学習値 学習値(旧):前回の学習値 である。これは、エンジン1回転当たりの平均的な計測
値とa,b,cの各区間の実際の計測値との差をなくす
ような方向に学習値を演算するもので、たとえばa区間
計測値が平均値の110%のときを実際に計算してみる
と(学習速度係数は0.5とする)、a区間学習値(初
期値は100%)は、 1回目:100−(110×100−100)×0.5=95% 2回目:95−(110×95−100)×0.5=92.75% 3回目:92.75−(110×92.75−100)×0.5 =91.736% 数回目: =90.909% となり(図7参照)、a区間学習値にa区間計測値を乗
算した値は、a,b,cの平均計測値に収束することが
わかる。
【0035】図6のステップ5では今回の学習値と前回
の学習値を比較してその差が許容値以内に収まっていれ
ば、学習値が収束したと判断し、ステップ6で3つの各
学習値をメモリーに保存するとともに、失火診断を許可
する。このようにして学習を終了した後は、失火診断の
際にメモリーに格納されているa区間学習値をa区間計
測値に、b区間学習値をb区間計測値に、c区間学習値
をc区間計測値にそれぞれ乗算した値を用いることで、
リングギア精度に起因する誤診断を避けることができ
る。
【0036】なお、ステップ5における学習値の収束判
断は、実際には図16に示すように、低回転域NL、中
回転域NM、高回転域NHの各回転域に対して、学習値の
計算回数を計測するカウンターを独立にもたせており、
カウンター値が規定回数に達した回転域から診断を許可
するようにしている(図17のステップ5,11,1
2,13参照)。
【0037】ここまでは、特開平4−101071号公
報と同様である。なお、飛ばしたステップ7については
後述する。
【0038】ところで、失火に伴う計測値の時間増加Δ
TINTは、発生トルク、エンジン回転数との間に、 ΔTINT∝発生トルク/(エンジン回転数3) …(8) なる関係があるので、発生トルクが大きいほど、またエ
ンジン回転数が小さくなるほどΔTINTのはね上がり
代が大きくなる(回転数に対する変化は図5参照)。S
/N比でみた場合は、図8のように、発生トルク(基本
噴射パルス幅Tp)が大きいほど、また回転数Nが小さ
くなるほどS/N比が大きくなるわけである。また、磁
気ピックアップによるクランク角の検出精度には公差
(許容誤差上限値)があり、それを積み上げてもある程
度の精度は学習なしでも確保できる。したがって、要求
精度を満たせる領域であれば、未学習であっても診断可
能となる。このため、本発明者が机上検討を行ってみた
ところ、図9に示したように、A領域(高負荷低回転
域)に限っては未学習のままでも要求精度を満たせるこ
とがわかった。
【0039】そこで本発明では、図6においてステップ
7を追加して設けている。つまり、学習条件が成立する
前の未学習のときや、学習値が収束する前においても、
A領域にかぎっては失火診断を許可するのである。A領
域ではノイズ分(TINTのバラツキのこと)が小さく
なくても、十分な大きさのS/N比が得られることか
ら、失火パラメーターMISAの値が信頼のおけるもの
となるのであり、これによって診断の機会を増やすこと
ができる。
【0040】これに対して従来例では、学習を行わなく
とも要求精度を満たせる領域がありながら、学習値が収
束するまで診断に入ることができないのである。
【0041】なお、診断許可によって、図示しない失火
診断のメインフローに入るが、そのフローにおいては、
そのときの回転数Nと基本噴射パルス幅Tpが図9に示
したA領域に属するかどうかみて、NとTpがA領域に
属するときは、未学習の状態での学習値あるいは収束す
る前の学習値を計測値に乗算した値を用いて失火したか
どうかの判定を行い、NとTpがA領域を外れる領域
(B領域)に属するときは、従来と同様の失火判定ルー
チンに進む。
【0042】図9においてA領域とB領域とを分ける境
界は、リングギアに要求される±1%の精度から決定さ
れる。この精度のもとで、失火でないのに失火と判断
される場合や失火であるのに失火と判断されない場合
はA領域に含めない。
【0043】また、A領域とB領域の境界を与えるTp
値は、エンジン回転数をパラメータとするテーブルにし
て記憶させており、そのときの回転数から補間計算付き
でテーブル参照により求めたTp値と、燃料噴射に使う
Tpとを比較して、燃料噴射に使うTpがテーブル値よ
り大きいときにA領域にあると判断する。
【0044】図10のフローチャートは第2実施例で、
図6とはステップ21、22、23、24、25が相違
する。この例では、学習を行わないとすれば要求精度を
みたせない領域(つまりB領域)を学習の演算回数(学
習程度)に応じて図11に示すように、B1,B2,B
3の3つに分割しており、次のように学習回数が増える
ほど診断許可領域を拡大してゆくものである。
【0045】学習回数が0回(つまり未学習):A領
域だけで診断を許可 1回≦学習回数<10回:A領域だけで診断を許可 10回≦学習回数<50回:AとB1の各領域で診断
を許可 50回≦学習回数<200回:AとB1とB2の各領
域で診断を許可 200回≦学習回数:AとB(=B1+B2+B3)
の各領域で診断を許可 ここで、従来例でいう学習値が収束した場合はの場合
に、また第1実施例はの場合に相当する。したがっ
て、第2実施例では第1実施例よりも、、の場合
が新たに加わるので、さらに診断の機会を増やすことが
できる。
【0046】なお、図11の領域の区分けは図8の特性
に合わせたものであるが、図12のようにしてもかまわ
ない。また、〜の各場合で上記(7a)式〜(7
c)式の学習速度係数を異ならせることもできる。
【0047】
【発明の効果】第1の発明は、燃焼行程に対応する所定
のクランク角度区間に要する時間を気筒別に計測する手
段と、この計測値の気筒毎のバラツキを補正するための
学習値を演算する手段と、この学習値の演算回数を計測
する手段と、この学習値の演算回数に応じて失火判定の
許可領域を設定する手段と、この設定された許可領域に
運転条件が属するかどうかを判定する手段と、この判定
結果より運転条件が許可領域に属するとき前記学習値で
前記計測値を補正した値の変動状態から前記失火判定を
行う手段とを設けたので、学習値が収束する前や未学習
の状態で小さくない計測値の気筒間バラツキがある場合
にも、要求精度を満たせる領域があるかぎり失火判定が
行われることから、失火判定の機会を増やすことができ
る。
【0048】第2の発明は、第1の発明において、前記
失火判定の許可領域を、学習値の演算回数が増えていく
ほどエンジン負荷が小さくなる方向に向かって拡大する
ので、失火判定の機会を増やすことができる。
【0049】第3の発明は、第1または第2の発明にお
いて、前記失火判定の許可領域を、学習値の演算回数が
増えていくほどエンジン回転数が大きくなる方向に向か
って拡大するので、失火判定の機会を増やすことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の制御システム図である。
【図2】a,b,cの各計測区間を説明するための図で
ある。
【図3】計測誤差の説明図である。
【図4】計測誤差の説明図である。
【図5】失火による回転への影響とギア精度による回転
への影響を示す説明図である。
【図6】第1実施例のリングギア学習を説明するための
フローチャートである。
【図7】学習値の収束を示す波形図である。
【図8】負荷とエンジン回転数に対するS/N比の特性
図である。
【図9】第1実施例の診断領域図である。
【図10】第2実施例のリングギア学習を説明するため
のフローチャートである。
【図11】第2実施例の診断領域図である。
【図12】第3実施例の診断領域図である。
【図13】従来例の失火判定を説明するための波形図で
ある。
【図14】従来例の失火判定を説明するための波形図で
ある。
【図15】第1の発明のクレーム対応図である。
【図16】実際の制御における診断領域図である。
【図17】図16のステップ5,6における実際の診断
許可を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン本体 2 クランクシャフト 4 リングギア 5 磁気ピックアップ 6 クランク角センサー 7 コントロールユニット 11 時間計測手段 12 学習値演算手段 13 学習回数計測手段 14 許可領域設定手段 15 判定手段 16 失火判定手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃焼行程に対応する所定のクランク角度区
    間に要する時間を気筒別に計測する手段と、 この計測値の気筒毎のバラツキを補正するための学習値
    を演算する手段と、 この学習値の演算回数を計測する手段と、 この学習値の演算回数に応じて失火判定の許可領域を設
    定する手段と、 この設定された許可領域に運転条件が属するかどうかを
    判定する手段と、 この判定結果より運転条件が許可領域に属するとき前記
    学習値で前記計測値を補正した値の変動状態から前記失
    火判定を行う手段とを設けたことを特徴とするエンジン
    の失火診断装置。
  2. 【請求項2】前記失火判定の許可領域を、学習値の演算
    回数が増えていくほどエンジン負荷が小さくなる方向に
    向かって拡大することを特徴とする請求項1に記載のエ
    ンジンの失火診断装置。
  3. 【請求項3】前記失火判定の許可領域を、学習値の演算
    回数が増えていくほどエンジン回転数が大きくなる方向
    に向かって拡大することを特徴とする請求項1または2
    に記載のエンジンの失火診断装置。
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