JPH0932625A - エンジンの失火診断装置 - Google Patents

エンジンの失火診断装置

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JPH0932625A
JPH0932625A JP7178895A JP17889595A JPH0932625A JP H0932625 A JPH0932625 A JP H0932625A JP 7178895 A JP7178895 A JP 7178895A JP 17889595 A JP17889595 A JP 17889595A JP H0932625 A JPH0932625 A JP H0932625A
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JP
Japan
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misfire
value
cylinder
parameter
determination
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Application number
JP7178895A
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English (en)
Inventor
Yoichi Kishimoto
洋一 岸本
Yukihiro Ino
幸宏 猪野
Osamu Matsuno
修 松野
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 TINTの気筒間ばらつきの影響を受けて失
火判定に誤判定が生じないようにする。 【構成】 計測手段11は燃焼行程に対応する所定のク
ランク角度区間に要する時間を気筒別に計測し、この気
筒別の時間計測値TINTを点火毎に記憶手段12が記
憶する。これら記憶値のうち失火気筒の一つ前の時間計
測値TINTとの差に失火気筒の一つ後の時間計測値T
INTとの差を加え値を第1失火パラメーターMISF
として演算手段13が演算し、この第1失火パラメータ
ーMISFと判定値との比較により失火が生じたかどう
かを判定手段14が判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はエンジンの失火診
断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】失火によるクランクシャフトのトルク変
動を、リングギアに対向して設けた磁気ピックアップに
より周期変動として検出することで、失火したかどうか
の診断を行うものがある(特開平4−113244号公
報参照)。
【0003】これについて説明すると、図2に示すa、
b、cの各区間は、V型6気筒エンジンの各燃焼行程に
対応させて設けた所定のクランク角度区間で、この各区
間に要する時間の計測値TINTが最新のものからTI
NT1、TINT2、……、TINT7としてサンプリ
ングされる。
【0004】ここで、加速時に4番気筒で失火を生じた
とき、失火の前後で計測値に図3に示すように段差が生
じる。ただし、点火順序は1−2−3−4−5−6とし
ている。
【0005】この場合に、1番気筒と4番気筒とはリン
グギアの同じ歯位置を使って計測されるため(両者の関
係を対向気筒、あるいは1番気筒に対して4番気筒を、
4番気筒に対して1番気筒をそれぞれ対向気筒とい
う)、失火気筒(4番気筒)を中心にしてエンジン一回
転前の対向気筒(1番気筒)のTINTとエンジン一回
転後の対向気筒(1番気筒)のTINTとを結んだ斜め
の直線より上方にはみ出す部分の時間増加ΔTINTが
失火によるものとなり、この時間増加ΔTINTに基づ
いた失火パラメーターMISBが計算される。失火時に
はこのMISBが非失火時より大きくなるので、MIS
Bが判定値以上になると失火であると判定されるわけで
ある。
【0006】また、リングギアの同じ歯位置を使って計
測される1番気筒と4番気筒がともに失火したときはΔ
TINT≒0となり、MISBでは失火判定が行えなく
なるので、図4に示したように、今度は失火気筒(2番
気筒)と一点火前の気筒(1番気筒)とのTINT差
と、失火気筒と現在の気筒(1番気筒)とのTINT差
と所定の割合で加えた値に基づいて失火パラメーターM
ISAが計算される。このMISAも、失火時には大き
くなるので、MISAが判定値以上になると失火である
と判定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、リングギア
の歯位置精度によっては、クランクシャフトが一定速度
で回転していながら、a、b、cの各区間の計測値TI
NTが同じでないときは、失火パラメーターMISAに
誤差を生じ、これによって誤診断が生じるので、特開平
4−101071号では、リングギア精度の学習値を導
入し、学習値が収束した時点でMISAを用いての失火
判定に入ることを許可している。なお、リングギアの同
じ歯位置を使う失火パラメーターMISBには、リング
ギアの歯位置精度の影響を受けることがない。
【0008】しかしながら、TINTに気筒間ばらつき
があるときは、失火パラメーターMISA、MISBの
いずれにも誤差を生じ、これによって誤診断が生じる。
各気筒の噴射弁の流量特性のばらつきにより気筒間で混
合気の空燃比が異なったり、あるいは空燃比は同じでも
各気筒のフリクショントルクが異なる場合などにTIN
Tが気筒間で異なるわけで、こうしたTINTの気筒間
ばらつきの影響によってMISA、MISBの失火判定
精度が低下するのである。
【0009】図5を用いてさらに詳述すると、同図はT
INTの時間変化を示した波形図である。
【0010】ここで、MISA、MISB(各計算式は
後述する)を言葉で表現すれば、MISAは失火気筒と
一点火前の気筒とのTINT差と、失火気筒と現在の気
筒とのTINT差とを所定の割合で加えた値に基づくも
の、MISBは、失火気筒と一回転前の対向気筒とのT
INT差に、失火気筒と一回転後の対向気筒とのTIN
T差を加えて平均した値に基づくものであるが、図5に
おいては、簡単のため、MISAについて失火気筒と一
点火前の気筒とのTINT差に、またMISBについて
は失火気筒の一回転前の対向気筒のTINTと失火気筒
の一回転後の対向気筒のTINTとの平均値に着目す
る。もしも、TINTに気筒間ばらつきがないとき(破
線で示す)は、失火気筒と一点火前の気筒とのTINT
差がAの程度あったものが、気筒間ばらつきで実線のよ
うになったのでは、TINT差がBへと小さくなり、失
火がなかったのと同じになってしまう。一方、失火気筒
の一回転前の対向気筒のTINTと失火気筒の一回転後
の対向気筒のTINTとの平均値でTINTの変化をみ
ると、Cだけとれるが、さらに失火気筒の一つ前のTI
NTと失火気筒の一つ後のTINTとの平均値でTIN
Tの変化をみたときには、Cよりも大きなDだけとれる
ことになる。
【0011】そこでこの発明は、失火気筒の一つ前のT
INTとの差に失火気筒の一つ後のTINTとの差を加
えた値を新たな失火パラメーターMISFを演算し、こ
の新たな失火パラメーターと判定値との比較により失火
判定を行うことにより、TINTの気筒間ばらつきの影
響を受けて失火判定に誤判定が生じないようにすること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、図24
に示すように、燃焼行程に対応する所定のクランク角度
区間に要する時間を気筒別に計測する手段11と、この
気筒別の時間計測値TINTを点火毎に記憶する手段1
2と、これら記憶値のうち失火気筒の一つ前の時間計測
値TINTとの差に失火気筒の一つ後の時間計測値TI
NTとの差を加えた値を第1失火パラメーターMISF
として演算する手段13と、この第1失火パラメーター
MISFと判定値との比較により失火が生じたかどうか
を判定する手段14とを設けた。
【0013】第2の発明では、図25に示すように、燃
焼行程に対応する所定のクランク角度区間に要する時間
を気筒別に計測する手段11と、この気筒別の時間計測
値TINTを点火毎に記憶する手段12と、これら記憶
値のうち失火気筒の一つ前の時間計測値TINTとの差
に失火気筒の一つ後の時間計測値TINTとの差を加え
た値に基づく第1失火パラメーターMISF、失火気筒
と一点火前の気筒との時間計測値差と、失火気筒と現在
の気筒との時間計測値差とを所定の割合(たとえば6気
筒エンジンでは、失火気筒と一点火前の気筒との時間計
測値差が5、失火気筒と現在の気筒との時間計測値差が
1の割合))で加えた値に基づく第2失火パラメーター
MISA、失火気筒とエンジン一回転前の対向気筒との
時間計測値差に失火気筒とエンジン一回転後の対向気筒
との時間計測値差を加えた値に基づく第3失火パラメー
ターMISBの少なくとも2つを演算する手段21と、
前記演算された各失火パラメーターと判定値との比較に
よりいずれか1つでも判定値以上になったとき失火が生
じたと判定する手段22とを設けた。
【0014】第3の発明では、第1の発明において、前
記第1失火パラメーターMISFを所定の時間計測値の
三乗で除した値を改めて第1失火パラメーターMISF
とする。
【0015】第4の発明では、第2の発明において、前
記第1失火パラメーターMISF、第2失火パラメータ
ーMISA、第3失火パラメーターMISBを所定の時
間計測値の三乗で除した値を改めて第1失火パラメータ
ーMISF、第2失火パラメーターMISA、第3失火
パラメーターMISBとする。
【0016】第5の発明では、第1または第3の発明に
おいて、前記第1失火パラメーターMISFの微分値を
第4失火パラメーターMISGとして演算し、この第4
失火パラメーターMISGと判定値との比較により失火
が生じたかどうかを判定する。
【0017】第6の発明では、第2または第4の発明に
おいて、前記第1失火パラメーターMISFの微分値を
第4失火パラメーターMISGとして演算し、この第4
失火パラメーターMISGと判定値との比較により失火
が生じたかどうかを判定する。
【0018】第7の発明では、第2または第4の発明に
おいて、前記第3失火パラメーターMISBの微分値を
第5失火パラメーターMISCとして演算し、この第5
失火パラメーターMISCと判定値との比較により失火
が生じたかどうかを判定する。
【0019】第8の発明では、第2または第4の発明に
おいて、前記第1失火パラメーターMISFの微分値を
第4失火パラメーターMISGとして演算し、この第4
失火パラメーターMISGと判定値との比較により失火
が生じたかどうかを判定するとともに、前記第3失火パ
ラメーターMISBの微分値を第5失火パラメーターM
ISCとして演算し、この第5失火パラメーターMIS
Cと判定値との比較により失火が生じたかどうかを判定
する。
【0020】第9の発明では、第6から第8までのいず
れか一つの発明において、2つの失火パラメーターを用
いて失火判定を行うときは2つの失火判定タイミングを
揃え、3つの失火パラメーターを用いて失火判定を行う
ときは3つの失火判定タイミングを揃える。
【0021】第10の発明では、第5、第6、第8のい
ずれか一つの発明において、前記第4失火パラメーター
MISGを点火毎に記憶し、この記憶値より失火気筒と
一点火前の気筒との第4失火パラメーター差に失火気筒
と一点火後の気筒との第4失火パラメーター差を加えて
平均した値を第6失火パラメーターMISHとして演算
し、この第6失火パラメーターMISHと判定値との比
較により失火が生じたかどうかを判定する。
【0022】第11の発明では、第7または第8の発明
において、前記第5失火パラメーターMISCを点火毎
に記憶し、この記憶値より失火気筒と一点火前の気筒と
の第5失火パラメーター差に失火気筒と一点火後の気筒
との第5失火パラメーター差を加えて平均した値を第7
失火パラメーターMISEとして演算し、この第7失火
パラメーターMISEと判定値との比較により失火が生
じたかどうかを判定する。
【0023】第12の発明では、第3から第11までの
いずれか一つの発明において、前記失火パラメーターと
比較するための判定値は、エンジンの負荷に応じて大き
くなるとともに、負荷同一の条件のとき高回転域で徐々
に小さくなる値である。
【0024】
【作用】失火気筒と一点火前の気筒とのTINT差と、
失火気筒と現在の気筒とのTINT差と所定の割合で加
えた値に基づく第2失火パラメーターMISA、失火気
筒とエンジン一回転前の対向気筒とのTINT差に失火
気筒とエンジン一回転後の対向気筒とのTINT差を加
えて平均した値に基づく第3失火パラメーターMISB
が公知であるが、時間計測値TINTに気筒間ばらつき
があるときは、第2失火パラメーターMISA、第3失
火パラメーターMISBのいずれにも誤差を生じ、これ
によって失火判定に誤診断が生じる。このとき第1また
は第2の発明では、失火気筒の一つ前のTINTとの差
に失火気筒の一つ後のTINTとの差を加えて平均した
値に基づく第1失火パラメーターMISFを新たに導入
したので、第1失火パラメーターMISFを用いての失
火判定に、TINTに生じる気筒間ばらつきの影響を受
けることがない。また、第2失火パラメーターMIS
A、第3失火パラメーターMISBより第1失火パラメ
ーターMISFのほうが失火判定の精度が高いことか
ら、失火判定領域を超高回転低負荷域にまで広げること
ができ、これによって失火判定の機会が増大する。
【0025】第1の発明の第1失火パラメーターMIS
Fは、エンジン回転数に依存し、低回転域では大きな値
をもっても、高回転になるほど小さくなり、S/N比が
悪くなる値であるが、第3の発明では、第1失火パラメ
ーターMISFを所定の時間計測値の三乗で除した値が
改めて第1失火パラメーターMISFとされるので、こ
の新たな第1失火パラメーターMISFがエンジン回転
数の影響を受けない値となり、高回転域においてもS/
N比が良好になる。
【0026】第2の発明の第1失火パラメーターMIS
F、第2失火パラメーターMISA、第3失火パラメー
ターMISBは、エンジン回転数に依存し、低回転域で
は大きな値をもっても、高回転になるほど小さくなり、
S/N比が悪くなる値であるが、第4の発明では、第1
失火パラメーターMISF、第2失火パラメーターMI
SA、第3失火パラメーターMISBを所定の時間計測
値の三乗で除した値が改めて第1失火パラメーターMI
SF、第2失火パラメーターMISA、第3失火パラメ
ーターMISBとされるので、この新たな第1失火パラ
メーターMISF、第2失火パラメーターMISA、第
3失火パラメーターMISBがエンジン回転数の影響を
受けない値となり、高回転域においてもS/N比が良好
になる。
【0027】第1失火パラメーターMISFと第3失火
パラメーターMISBとは、失火時に大きくなるだけで
なく、失火の一点火後、二点火後にも大きな値が残るの
で、判定値の設定によっては、同じ気筒について一回だ
け失火を生じているのにもかからわらず、続けて2回の
失火があったと判定されてしまう場合がある。これに対
して第5から第8までのいずれか一つの発明では、第1
失火パラメーターMISFの微分値を第4失火パラメー
ターMISGとして、また第3失火パラメーターMIS
Bの微分値を第5失火パラメーターMISCとして演算
し、この各失火パラメーターMISG、MISCを用い
て失火判定を行うことで、誤判定を避けることができ
る。
【0028】第6から第8の発明までのいずれか一つの
発明では失火パラメーターが最大で3つ(第6の発明で
は最大でMISG、MISA、MISBの3つ、第7の
発明では最大でMISC、MISF、MISAの3つ、
第8の発明では最大でMISG、MISC、MISAの
3つ)あり、いずれの発明においても、3つの失火パラ
メーターを用いての失火判定の各タイミングが3つとも
ずれているため(MISBを用いての失火判定タイミン
グは失火より3点火後、MISCを用いての失火判定タ
イミングは失火より4点火後、MISAを用いての失火
判定タイミングは失火より5点火後、MISFを用いて
の失火判定タイミングは失火より6点火後、MISGを
用いての失火判定タイミングは失火より7点火後)、こ
のままだと、同じ1つの気筒で1回の失火が生じた場合
に2つの失火パラメーターを用いて失火判定を行うとき
には2回の失火が、また3つの失火パラメーターを用い
て失火判定を行うときは3回の失火が生じたと判定され
ることになり、失火のダブルカウントが生じてしまう
が、第9の発明では、2つの失火パラメーターを用いて
失火判定を行うときは2つの失火判定タイミングを揃
え、3つの失火パラメーターを用いて失火判定を行うと
きは3つの失火判定タイミングを揃えるので、同じ気筒
の単発失火に対して、重複して失火と判定されることが
ない。
【0029】駆動系からの外乱の影響により、非失火時
でありながら第4失火パラメーターMISGが一定の周
期で変化し、その周期的変動により判定値以上となって
失火と判断される場合のあることが実験により判明して
いるが、第10の発明では、第4失火パラメーターMI
SGの飛び出し具合のわかる第6失火パラメーターMI
SHを導入したので、駆動系からの外乱の影響を受けて
も、失火判定に誤判定が生じることがない。
【0030】駆動系からの外乱の影響により、非失火時
でありながら第5失火パラメーターMISCが一定の周
期で変化し、その周期的変動により判定値以上となって
失火と判断される場合のあることが実験により判明して
いるが、第11の発明では、第5失火パラメーターMI
SCの飛び出し具合のわかる第7失火パラメーターMI
SEを導入したので、駆動系からの外乱の影響を受けて
も、失火判定に誤判定が生じることがない。
【0031】失火パラメーターと比較するための判定値
をエンジン負荷に応じて大きくなる値として設定しただ
けでは、高回転域で判定値が大きくなりすぎ、これによ
って誤判定が生じることが実験により判明した。このと
き第12の発明では、判定値に対して負荷同一の条件の
とき高回転域で徐々に小さくなる値で設定しているの
で、高回転域においても誤判定が生じることがない。
【0032】
【発明の実施の形態】図1において、1はエンジン本
体、2はクランクシャフト、4はクランクシャフト端の
フライホイール3の外周に形成されるリングギアであ
る。リングギア4の歯に対向して、鉄心とコイルからな
る磁気ピックアップ5が設置され、クランクシャフト2
が回転すると、この歯が磁気ピックアップ5の鉄心に発
生する磁界を断続するため、磁気ピックアップ5のコイ
ルに磁力変化が生じて、交流電流が誘導される。この交
流信号はコントロールユニット7内で波形成型されて矩
形波のON、OFFパルス(リングギアPos信号)に
変換され、クランク角度信号として使用される。
【0033】また、クランクシャフト2によって駆動さ
れるカム軸(図示しない)に公知のクランク角センサー
6が設けられ、このセンサー6からのRef信号(基準
位置信号)とPos信号(1°信号)もコントロールユ
ニット7に送られる。
【0034】コントロールユニット7では、クランク角
センサー6の1番気筒用のRef信号の入力から所定数
のパルス(磁気ピックアップ5により得られるパルス)
をカウントした時点を基準として、図2に示したよう
に、クランクシャフト2の所定角度区間当たりに要する
時間TINTをクランクシャフトの1回転当たり3回サ
ンプリングし、そのサンプリング値を用いて失火判定を
行う。
【0035】この場合、後述するように、各区間に要す
る時間の計測値TINTを区別することが必要になるた
め、各区間に要する時間の計測値TINTを最新のもの
からTINT1、TINT2、……、TINT13とし
てサンプリングしている。
【0036】ただし、図2はV型6気筒エンジンのもの
で、点火順序を1−2−3−4−5−6としたとき、a
の区間は1番気筒および4番気筒の、bの区間は2番気
筒および5番気筒の、cの区間は3番気筒および6番気
筒の各燃焼行程に対応する。
【0037】次に、上記の計測値TINTに基づいての
失火判定について述べるわけであるが、すでに失火パラ
メーターMISB、MISAを演算するものが公知にな
っているので、これについて簡単にまとめておく。
【0038】なお、一口に失火といっても、同じ気筒に
ついて、毎回失火する事態と単発的に失火する事態とが
考えられる。毎回失火は、インジェクターの断線、点火
用コードの抜け、点火プラグの完全なくすぶりによって
発生するのに対して、単発失火は混合比が可燃混合比域
をはずれるようなところまでずれることによって、ある
いは初期の点火プラグのくすぶりによって燃焼が不安定
となった場合に発生する。この場合、MISBについて
は同じ気筒についての単発失火を、MISAについては
多気筒についての毎回失火を対象として考えている。
【0039】まず、図3は、加速時に4番気筒で失火を
生じたときの波形図で、失火により4番気筒での計測値
が大きくなり、4番気筒の前後で段差が生じている。
【0040】この場合に、1番気筒と4番気筒とはリン
グギアの同じ歯位置を使って計測されるため、失火気筒
(4番気筒)を中心にしてエンジン一回転前の対向気筒
(1番気筒)のTINTとエンジン一回転後の対向気筒
(1番気筒)のTINTとを結んだ斜めの直線より上方
にはみ出す部分の時間増加ΔTINTが失火によるもの
と推定することができる。同図の時間増加ΔTINT
は、図形処理(たとえばTINT4からab間の長さを
引く)により、 ΔTINT={3(TINT4−TINT7) +3(TINT4−TINT1)}/6 …(1) の式で計算されるので、1番気筒と4番気筒のようにリ
ングギアの同じ歯位置で計測される対向気筒についての
失火パラメーターMISBを、 MISB=6×ΔTINT/(TINT7)3 …(2) の式で定義する。
【0041】ここで、失火に伴う計測値の時間増加ΔT
INTは、発生トルク、エンジン回転数との間に、 ΔTINT∝発生トルク/(エンジン回転数3) …(a) なる関係があり、またエンジン回転数と計測値TINT
とは逆数の関係があるので、 発生トルク∝ΔTINT・(エンジン回転数3)=ΔTINT/TINT …(b) となる。この(b)式と(2)式とを比べれば、MIS
B(後述する他の失火パラメーターについても)は、物
理的にはトルク相当の値であることが分かる。つまり、
失火に伴う時間増加ΔTINTはエンジン回転数に依存
し、回転数が高くなるほど小さくなる値となるので、こ
の時間増加ΔTINTを所定の時間計測値の三乗で除し
た値を失火パラメーターとすることによって、失火パラ
メーターが回転数の影響を受けないようにしているわけ
である。また、(2)式において6倍にしているのはM
ISBの値が少数にならないようにするためである。
【0042】(1)式のΔTINTを(2)式に代入す
ると、失火パラメーターMISBは最終的に次の式で与
えられる。
【0043】 MISB={3(TINT4−TINT7) +3(TINT4−TINT1)}/(TINT7) …(3)
【0044】(3)式において、右辺分子の第1項が失
火気筒とエンジン一回転前の対向気筒とのTINT差、
右辺分子の第2項が失火気筒とエンジン一回転後の対向
気筒とのTINT差である。
【0045】図3より4番気筒に失火を生じてTINT
4が大きくなると、MISBが大きくなるので、MIS
Bが判定値以上となる場合に失火が生じたと判断するこ
とができる。MISBを用いての失火判定では、リング
ギアの同じ歯位置を用いるので、リングギアの形状バラ
ツキの影響を受けることがないという特質を有する。
【0046】しかしながら、1番気筒と4番気筒が連続
してともに失火したときは、TINT1、TINT4、
TINT7のすべてが同じように大きくなるため、ΔT
INT≒0(つまりMISB≒0)となって失火が判定
できなくなるので、他の失火パラメーターを考える必要
が出てくる。
【0047】そこで、図4に示したように、今度は2番
気筒で失火を生じた場合に、失火気筒(2番気筒)の一
点火前の気筒(1番気筒)の計測値を考慮して失火によ
る時間増加ΔTINTを計算することを考える。これも
図形処理により、 ΔTINT={5(TINT6−TINT7) +(TINT6−TINT1)}/6 …(4) の式で計算されるので、別の失火パラメーターMISA
を、 MISA=6×ΔTINT/(TINT7)3 …(5) の式で定義すると、失火パラメーターMISAは最終的
に次の式で与えられる。
【0048】 MISA={5(TINT6−TINT7) +(TINT6−TINT1)}/(TINT7)3 …(6)
【0049】(6)式において、右辺分子の第1項が失
火気筒と一点火前の気筒とのTINT差、右辺分子の第
2項が失火気筒と現在の気筒とのTINT差であり、6
気筒エンジンでは、失火気筒と現在の気筒とのTINT
差が1に対して失火気筒と一点火前の気筒とのTINT
差が5の割合になっている。
【0050】このようにして得られた失火パラメーター
MISAによれば、1番気筒と4番気筒のようにリング
ギアの同じ歯位置で測定される対向気筒が連続してとも
に失火したときでも、MISAが判定値以上となること
から失火と判断することができる。
【0051】以上で公知の2つの失火パラメーターMI
SB、MISAによる失火判定の説明を終える。
【0052】さて、リングギアの歯位置精度によって
は、クランクシャフトが一定速度で回転していながら、
a、b、cの各区間の計測値TINTが同じでないとき
は、失火パラメーターMISAに誤差を生じ、これによ
って誤診断が生じるので、特開平4−101071号で
は、リングギア精度の学習値を導入し、学習値が収束し
た時点でMISAを用いての失火判定に入ることを許可
している。なお、リングギアの同じ歯位置を使う失火パ
ラメーターMISBには、リングギアの歯位置精度の影
響を受けることがない。
【0053】しかしながら、TINTに気筒間ばらつき
があるときは、失火パラメーターMISA、MISBの
いずれにも誤差を生じ、これによって誤診断が生じる。
各気筒の噴射弁の流量特性のばらつきにより気筒間で混
合気の空燃比が異なったり、あるいは空燃比は同じでも
各気筒のフリクショントルクが異なる場合などにTIN
Tが気筒間で異なるわけで、こうしたTINTの気筒間
ばらつきの影響によってMISA、MISBの失火判定
精度が低下するのである。
【0054】これに対処するため、本発明では、失火気
筒の一つ前のTINTとの差に失火気筒の一つ後のTI
NTとの差を加えて平均した値に基づいて新たな失火パ
ラメーターMISFを演算し、この新たな失火パラメー
ターと判定値との比較により失火判定を行う。
【0055】詳細には、各気筒とTINT番号との関係
を図6のようにとると、失火気筒(1番気筒)での時間
増加ΔTINTは、図形処理により、 ΔTINT={3(TINT7−TINT13) +3(TINT7−TINT1)}/6 …(7) の式で計算されるので、新たな失火パラメーターMIS
Fを、 MISF=6×ΔTINT/(TINT7)3 …(8) の式で定義すると、MISFは最終的に次の式で与えら
れる。
【0056】 MISF={3(TINT7−TINT13) +3(TINT7−TINT1)}/(TINT7)3 …(9)。
【0057】(9)式において、右辺分子の第1項が失
火気筒の一つ前のTINTとの差、右辺分子の第2項が
失火気筒の一つ後のTINTとの差である。
【0058】ここで、MISFは、計測値の波形上で
は、図7に示した値(図でMISF1が失火時のMIS
Fの値、MISF2が失火から1点火後のMISFの
値)であり、これをMISFについての波形に直してみ
ると、図8上段のように、MISFは、失火時に大きく
なるだけでなく、失火の一点火後、二点火後にも大きな
値が残るので、失火判定に際して、たとえば、図8上段
において図示の位置に判定値がきてしまえば、同じ気筒
について一回だけ失火を生じているのにもかからわら
ず、続けて2回の失火があったと判定されてしまう。
【0059】そこで、MISFの微分値としての物理的
意味をもつ、 MISG=MISF2−MISF3 …(10) ただし、MISF2:MISFの1回前の値 MISF3:MISFの2回前の値 なる値のMISGをあらたな失火パラメーターとして定
義すると、失火パラメーターMISGは、図8下段に示
すように、失火時にだけ大きくなる値となるので、MI
SFの代わりにMISGを用いて失火判定を行う。MI
SGを用いて失火判定を行うことで、誤判定を避けるこ
とができるのである。
【0060】MISFに生じるこうした問題はMISB
にもあるので、MISBの微分値としての物理的意味を
もつ、 MISC=MISB2−MISB3 …(11) ただし、MISB2:MISBの1回前の値 MISB3:MISBの2回前の値 なる値のMCを新たな失火パラメーターとして定義し、
MISBの代わりにMISCを用いて失火判定を行う。
【0061】なお、MISGの計算式は、後述する失火
パラメーターMISHとのタイミング合わせのため、M
ISG=MISG1−MISG2ではなく、(10)式
のほうを、またMISCの計算式についても、後述する
失火パラメーターMISEとのタイミング合わせのた
め、MISC=MISB1−MISB2ではなく、(1
1)式のほうをそれぞれ用いている。この結果、失火に
伴うMISGのピークは、MISFに生じる失火時のピ
ークから1点火分だけ遅れたものとなる(図8参照)。
【0062】一方、非失火時でありながら図9に示した
ようにMISGが一定の周期で変化し、MISGが判定
値以上となって失火と判断される場合のあることが実験
により判明した。なお、図9に示すような周期的変化が
生じる原因は、駆動系からの外乱の影響によるものと思
われる。
【0063】この駆動系からの外乱の影響を回避するた
め、 MISH={(MISG1−MISG2) +(MISG1−MISG0)}/2 …(12) ただし、MISG0:MISGの最新値の次にくる値 MISG1:MISGの最新値 MISG2:MISGの前回値 なる値のMISHをあらたな失火パラメーターとして定
義する。
【0064】ここで、MISG1−MISG2とMIS
G1−MISG0の2つの値は図8下段に示した通りで
あり、MISGの飛び出し具合で外乱か否かを判定する
わけである。なお、 MISG0=MISF1−MISF2 MISG1(=MISG)=MISF2−MISF3 MISG2=MISF3−MISF4 の3つの式を(12)式に代入することで、MISHと
して MISH={3×(MISF2−MISF3) +1×(MISF4−MISF1)}/2 …(13) ただし、MISF1:MISFの最新値 MISF2:MISFの1回前の値 MISF3:MISFの2回前の値 MISF4:MISFの3回前の値 の最終式を得る。
【0065】MISGだけでなく、MISCについても
駆動系からの外乱の影響を受けるので、MISCの飛び
出し具合で外乱か否かを判定するため、 MISE={(MISC1−MISC2) +(MISC1−MISC0)}/2 …(14) ただし、MISC0:MISCの最新値の次にくる値 MISC1:MISCの最新値 MISC2:MISCの前回値 なる値のMISEをあらたな失火パラメーターとして定
義する。
【0066】ここでも、 MISC0=MISB1−MISB2 MISC1(=MISC)=MISB2−MISB3 MISC2=MISB3−MISB4 の3つの式を(14)式に代入することで、MISEと
して MISE={3×(MISB2−MISB3) +1×(MISB4−MISB1)}/2 …(15) ただし、MISB2:MISBの最新値 MISB2:MISBの1回前の値 MISB3:MISBの2回前の値 MISB4:MISBの3回前の値 の最終式を得る。
【0067】このようにして、失火判定に用いるパラメ
ーターが3つ(MISC、MISA、MISG)になる
と、MISC、MISA、MISGを用いての各失火判
定のタイミングが異なるときは、同じ気筒ついて1回の
失火が生じただけなのに、3回の失火があると判定され
る場合があるので、各失火判定のタイミングを次のよう
に考慮する。
【0068】図10において、左のほうのTINT1か
らTINT8までは失火時の計測値TINTが点火毎に
TINT番号の大きいほうへずれていく様子を表してい
る。
【0069】まず、MISAを用いての失火判定のタイ
ミングは失火より5点火後(図4参照)、MISB(=
MISB1)を用いての失火判定のタイミングは失火よ
り3点火後(図3参照)、MISF(=MISB1)を
用いての失火判定のタイミングは失火より6点火後(図
6参照)であるので、それぞれ合致する位置に丸を入れ
る。次に、MISB2にはMISB1よりも1点火だけ
遅らせた位置に、MISB3にはMISB2よりも1点
火だけ遅らせた位置に丸を入れる。ここで、MISCを
用いての失火判定のタイミングは、(11)式よりMI
SB2の得られるタイミングと同じであるから、MIS
B2の丸と同じ位置に丸をする。
【0070】同様にして、MISF2にはMISF1よ
りも1点火だけ遅らせた位置に、MISF3にはMIS
F2よりも1点火だけ遅らせた位置に丸を入れる。ここ
で、MISGを用いての失火判定のタイミングは、(1
0)式よりMISF2の得られるタイミングと同じであ
るから、MISF2の丸と同じ位置に丸をする。
【0071】これで準備は調ったので、MISA、MI
SC、MISGを用いての失火判定の各タイミングを示
す丸印にハッチングを入れてみると、3つともタイミン
グがずれている。これを時系列で並べてみると、 失火より4点火後:MISCを用いての失火判定 失火より5点火後:MISAを用いての失火判定 失火より7点火後:MISGを用いての失火判定 が行われる。これはどういうことかというと、このまま
だと同じ1つの気筒で1回の失火が生じたときに3回の
失火が生じたと判定されることを意味している。つま
り、失火のダブルカウントが生じてしまうのである。
【0072】こうした失火のダブルカウントを避けるた
めには、3つの失火判定タイミングを一致させることで
ある。そのため、MISAを用いての失火判定タイミン
グを2点火分、またMISCを用いての失火判定タイミ
ングを3点火分それぞれ遅らせることで、MISGを用
いての失火判定タイミングと一致させる。これら失火判
定タイミングを遅らせる操作は、(6)式のMISAの
各TINT番号を2ずつ大きくすることによって、また
(3)式のMISBの各TINT番号を3ずつ大きくす
ることによって行うことができる。これらの結果、MI
SAとMISBは、 MISA={5×(TINT8−TINT9) +1×(TINT8−TINT3)}/(TINT9)3 …(16) MISB={3×(TINT7−TINT10) +3×(TINT7−TINT4)}/(TINT10)3 …(17) となる。
【0073】ここで、MISAはリングギア精度の影響
を大きく受けるので、リングギア3の偏心などよるTI
NTのばらつきの補正を行う。なお、TINT補正の基
本的な考え方は特開平4−101071号に開示されて
いる。
【0074】この補正は実測されたTINT(図11の
実線参照)を1番気筒のTINTを基準として、滑らか
につながるように(図11の破線参照)行う。3番気筒
で具体的に説明すると、1番気筒の前回のTINTと今
回のTINTの差分の4/6を前回の1番気筒のTIN
Tに加えることにより3番気筒のTINT要求値を算出
し、これと実際の3番気筒のTINTの比を3番気筒の
TINT補正係数として求める。これを式で表せば、 3番気筒のTINT要求値=(TINT7−TINT1)×(4/6) +TINT1 …(c) 3番気筒のTINT補正係数 =(3番気筒のTINT要求値)/TINT5 ={(TINT7−TINT1)×(4/6)+TINT1} /TINT5 …(d) である。
【0075】なお、TINT補正係数の算出は、燃焼や
外乱の影響を受けないようにするため、全気筒フュエル
カット中に限定する。実際には、気筒別のTINT補正
係数から気筒別のTINT補正係数学習値を求め、この
学習値を対応する気筒(ただし1番気筒は除く)の実際
のTINTに乗算することによって補正する。
【0076】ただし、この補正されたTINTの値を用
いるのは、MISAに対してだけである。その理由は次
の通りである。リングギアの歯精度の関係よりTINT
にはほぼ1.0%のばらつきがあるものの、TINT補
正係数の学習によって学習値のばらつきを0.1%程度
にまで抑えることができる。しかしながら、MISC、
MISGについてまでTINT補正係数学習値を用いた
ときは、その学習値に生じる0.1%分のばらつきが加
わって、かえって失火判定精度を落としてしまうのであ
る。
【0077】ここで、補正されたTINTをHSTIN
Tで表せば、MISAの式は MISA={5×(HSTNT8−HSTNT9) +1×(HSTNT8−HSTNT3)}/(HSTNT9)3 ただし、HSTNT3:補正されたTINT3 HSTNT8:補正されたTINT8 HSTNT9:補正されたTINT9 …(18) となる。
【0078】あらためて(18)式のMISA、(1
7)式のMISB、(9)式のMISFを並べてみる
と、次のようになる。
【0079】 MISA={5×(HSTNT8−HSTNT9) +1×(HSTNT8−HSTNT3)}/(HSTNT9)3 MISB={3×(TINT7−TINT10) +3×(TINT7−TINT4)}/(TINT10)3 MISF={3×(TINT7−TINT13) +3×(TINT7−TINT1)}/(TINT7)3
【0080】これらは、CPUに計算させることになる
が、右辺分母の三乗計算には時間がかかり、特に高回転
域で大きな負担となる。しかも、三乗計算が三種類もあ
ると、そのぶん負担が増す。
【0081】そこで、本発明では、MISA、MIS
B、MISFの分母を(TINT9)3として統一す
る。なお、この分母の統一によってMISA、MIS
B、MISFの計算精度が悪化するものではない。
【0082】このようにして、最終的な3つの失火パラ
メーターが次のように得られる。
【0083】 MISA={5×(HSTNT8−HSTNT9) +1×(HSTNT8−HSTNT3)}/(TINT9)3 …(19) MISB={3×(TINT7−TINT10) +3×(TINT7−TINT4)}/(TINT9)3 …(20) MISF={3×(TINT7−TINT13) +3×(TINT7−TINT1)}/(TINT9)3 …(21)。
【0084】以上で必要な値はすべてそろった。ここ
で、3つの各失火パラメーターを用いての失火判定の得
失をまとめてみると、次のようになる。
【0085】(1)MISA系 メリット:リングギアの同じ歯位置を用いる対向気筒が
連続してともに失火したときでも失火判定を行うことが
できる。 デメリット:リングギア精度の影響を受けて失火判定の
精度が落ちる。
【0086】(2)MISB系 メリット:リングギア精度の影響を受けない。MISC
を用いての失火判定の精度はMISAよりも高い。 デメリット:リングギアの同じ歯位置を用いる対向気筒
がともに失火したときは失火判定を行うことができな
い。気筒毎の圧縮比や空燃比の相違によりTINTに生
じる気筒間ばらつきの影響を受ける。
【0087】(3)MISF系 メリット:超高回転低負荷域でも単発失火なら判定可
能。リングギア精度の影響もTINTに生じる気筒間ば
らつきの影響も受けない。MISGを用いての失火判定
の精度がMISCより高い。 デメリット:失火判定までに時間がかかる。
【0088】次に、上記の制御内容をフローチャートに
基づいて説明する。
【0089】図12はTINT補正係数学習値を演算す
るためのもので、TINT計測毎に実行する。
【0090】図12のステップA)〜D)では次の各条
件を満足するかどうかみて、 ステップA):診断許可条件であること、 ステップB):アイドルスイッチがONであること、 ステップC):全気筒フュエルカット中であること、 ステップD):ステップB)、C)の成立から所定時間
が経過していることのすべてを満たす場合に図12のス
テップE)以降に進む。いずれかの条件でも成立しない
ときは図12のフローを終了する。
【0091】図12のステップE)ではTINT傾斜係
数GRDTNTを、 GRDTNT=(TINT7−TINT1)/6 …(31) の式により計算し、このGRDTNTを用いて、気筒別
TINT補正係数KTNTi(iは気筒番号)を図12
のステップF)において、 KTNTi={TINT1+(7−i)×GRDTNT} /TINT(8−i) …(32) の式により計算する。たとえば、3番気筒について計算
してみると、 KTNT3={TINT1+4×GRDTNT} /TINT5 ={TINT1+4×(TINT7−TINT1)/6} /TINT5 となり、上記の(d)式と一致している。
【0092】ただし、1番気筒についてはKTNTiの
計算は行わない。
【0093】図12のステップG)ではKTNTiを積
算した回数ENZNN1(初期値は0)と、KTNTi
平均値MKTNTiの演算を許可するための判定値KT
NOK1とを比較する。初めて図12のステップG)に
進んできたときには、ENZNN1<KTNOK1であ
るため、図12のステップH)、I)に進み、 SKTNTi=SKTNTi+KTNTi …(33) の式によりKTNTiの積算値SKTNTi(初期値は
0)を計算するとともにENZNN1を1だけインクリ
メントする。
【0094】図12のステップH)とI)をTINT計
測毎に繰り返すことによって、ENZNN1がKTNO
K1に達したときは、図12のステップJ)以降に進
む。
【0095】図12のステップJ)では MKTNTi=SKTNTi/ENZNN1 …(34) の式によりKTNTi平均値MKTNTiを計算し、こ
のMKTNTiと後述する学習値RKTIiとの差の絶
対値が図12のステップK)において判定値DRKTC
N未満である場合に限って、図12のステップL)に進
み、 RKTIi=MKTNTi×X+(1−X)×RKTIi-1 …(35) ただし、X:更新割合 RKTIi-1:RKTIiの前回値 の式により、気筒別TINT1補正係数学習値RKTI
iを更新する。学習値RKTIiはバックアップRAM
に記憶させる。
【0096】一方、|RKTIi−MKTNTi|≧D
RKTCNであるときは、図12のステップM)で学習
値RKTIiをクリアし、再度学習をやり直す。
【0097】図13のフローチャートは補正TINT
(HSTNT)の演算許可条件を判定するためのもの
で、一定周期で実行する。この判定結果は後述する図1
4のステップC)において使われる。
【0098】図13のステップA)、B)では次の条
件、 ステップA):すべての気筒で学習値RKTIiが所定
範囲にあること、 ステップB):エンジン回転開始後MKTNTiの算出
を経験していること の両方を満たす場合に図13のステップC)でTINT
補正を許可し、いずれかの条件でも満足しないときは、
図13のステップD)においてTINT補正を許可しな
い。
【0099】図14のフローチャートは、上記各種の失
火パラメーターを演算するためのもので、点火毎に実行
する。
【0100】図14のステップA)ではTINTの旧値
のシフトを行い、1回前のデーターを2回前のRAM
に、3回前を4回前へ、…、また12回前を13回前へ
と移し変え、図14のステップB)において新たなTI
NTの計測を行い、これをTINT1に移す。TINT
の測定区間は、図23に示したように、クランク角セン
サー6からの1のRef信号の入力から所定数のリング
ギアPos信号をカウントした時点を始期、次のRef
信号が入力される時点を終期とする区間である。
【0101】図14のステップC)ではTINT補正が
許可されているかどうかみて、許可されていれば、図1
4のステップD)において、 HSTNT3=TINT3×RKTI3 HSTNT8=TINT3×RKTI8 HSTNT9=TINT3×RKTI9 の式により3つの各補正TINTを計算する。TINT
補正が許可されていないときは、図14のステップE)
において、 HSTNT3←TINT3 HSTNT8←TINT8 HSTNT9←TINT9 とする。
【0102】図14のステップF)ではこれら3つのH
STNT3、HSTNT8、HSTNT9を用い、前述
の(19)式によりMISAを計算する。
【0103】図14のステップG)ではMISBの旧値
のシフトを MISB4(new)←MISB3(old) MISB3(new)←MISB2(old) MISB2(new)←MISB1(old) MISB1(new)←MISB(old) のように行い、図14のステップH)において新しいM
ISBを前述の(20)式により計算する。
【0104】図14のステップI)ではシフト後の値で
あるMISB3とMISB2を用いて前述の(11)式
によりMISCを、また、シフト後の4つの値であるM
ISB4、MISB3、MISB2、MISB1を用い
て前述の(15)式により、MISEをそれぞれ計算す
る。
【0105】図14のステップJ)〜L)は図14のス
テップG)〜I)と同様であり、MISFの旧値のシフ
トを MISF4(new)←MISF3(old) MISF3(new)←MISF2(old) MISF2(new)←MISF1(old) MISF1(new)←MISF(old) のように行い、新しいMISFを前述の(21)式によ
り、またMISFのシフト後の値を用いてMISGとM
ISHを前述の(10)式と(13)式により計算す
る。
【0106】図14のステップM)では失火判定が許可
されてから所定の点火数(たとえば13点火)以上が経
過しているかどうかみて、所定の点火数以上が経過して
いれば、図14のステップN)において、すべての失火
パラメーターの演算を終了したことを示すフラグ(初期
値は“0”)を“1”にセットして図14のフローを終
了する。
【0107】図15のフローチャートは、失火判定用ス
レッシュホールド(失火パラメーターと比較するための
判定値)を計算するためのもので、一定周期で実行す
る。
【0108】図15のステップA)ではエンジン回転数
Nと基本噴射パルス幅Tpから図16を内容とするマッ
プを参照してスレッシュホールド基準値MSATHを求
め、図15のステップB)〜I)では MCTH1=MSATH×KMISC1 MCTH2=MSATH×KMISC2 METH1=MSATH×KMISE1 MATH5=MSATH×KMISA5 MATH6=MSATH×KMISA6 MGTH1=MSATH×KMISG1 MGTH2=MSATH×KMISG2 MHTH1=MSATH×KMISH1 ただし、KMISC1:MCTH1補正係数(一定値) KMISC2:MCTH2補正係数(一定値) KMISE1:METH1補正係数(一定値) KMISA5:MATH5補正係数(一定値) KMISA6:MATH6補正係数(一定値) KMISG1:MGTH1補正係数(一定値) KMISG2:MGTH2補正係数(一定値) KMISH1:MHTH1補正係数(一定値) の式により8つの判定用スレッシュホールドMCTH
1、MCTH2、METH1、MATH5、MATH
6、MGTH1、MGTH2、MHTH1を計算する。
【0109】上述したように、MISA、MISB、M
ISFの各失火パラメーターは、その計算式の分母を所
定の時間計測値の三乗とすることで、回転数の影響を受
けないようにしているので、これらのパラメーターから
作られるMISC、MISE、MISG、MISHも回
転数の影響を受けることがない。したがって、理論的に
はエンジン負荷だけをパラメーターとして基準値MSA
THを割り付ければよいわけであるが、実際には図16
のように回転数Nをもパラメーターとして設定してい
る。これは、実際にマッチングを行ってみると、基準値
MSATHを負荷だけをパラメーターとして割り付けた
ときは、高回転側でMSATHの値が大きすぎ、これに
よって誤判定が生じることが判明したからで、同じ負荷
でも高回転側になるほどMSATHの値を小さい側に補
正しているわけである。この事実を理論式と対応づけて
みると、理論式では失火に伴う計測値の時間増加ΔTI
NTが1/N3に比例(上述の(a)式参照)するのに
対して、実際には1/N2・9あたりに比例することにな
っている。
【0110】図17のフローチャートは、失火判定を行
うためのもので、点火毎に実行する。図17のフローチ
ャートを実行するためには、図14に示した失火パラメ
ーターの演算と図15に示した失火判定用スレッシュホ
ールドの計算とがともに終了していることが条件であ
る。
【0111】図17のステップA)では失火判定許可条
件であるかどうかみる。診断許可条件で診断の許可中か
つ診断が許可されて16点火後以降であるとき失火判定
許可条件を満たしたと判断し、図17のステップB)以
降に進む。
【0112】図17のステップB)、C)、D)、E)
は失火判定条件1を実行する部分、続くステップF)、
G)、H)は失火判定条件2を実行する部分、その後の
ステップI)、J)、K)、L)は失火判定条件3を実
行する部分である。
【0113】ここで、3つ失火判定条件は上記3つの失
火パラメーターMISC、MISA、MISGに対応し
て設定したものである。また、各失火判定条件の適用を
定めるため、図18で示したように、失火判定領域を各
失火パラメーターの精度(各失火パラメーターの精度は
MISA<MISC<MISGの順になる)に応じて4
つの領域に分割しており、各失火判定条件が適用される
領域を図19、図20、図21のように定めている。た
だし、4つの領域のうちB領域だけが特殊で、B領域
は、TINT補正係数の学習が終了している場合にはA
領域に編入され、TINT補正係数の学習が終了してい
ない場合にはC領域に編入される。
【0114】図17のステップB)では回転数Nと基本
噴射パルス幅Tpとで定まる運転条件が、図19に示し
たA、B、Cのいずれかの領域にあれば、失火判定条件
1が適用される領域にあると判断して図17のステップ
C)、D)に進み、MISCとMISC判定用スレッシ
ュホールドMCTH1、MCTH2とを、またMISE
とMISE判定用スレッシュホールドMETH1とを比
較し、MCTH1≦MISC≦MCTH2かつMISE
≧METH1である場合に、図17のステップE)にお
いて失火が生じたことを表すフラグFMISC(初期値
は“0”)を“1”にセットする。
【0115】ここで、図17のステップC)において、
MCTH1≦MISCである場合だけでなく、MISC
≦MCTH2の場合にも失火が生じたと判定できるのは
次の理由による。失火によるMISC(MISA、MI
SGについても同様)の頻度は図22に示すように、す
るどいピークをもって分布することが公知であり、した
がって、図22において上下に設けたスレッシュホール
ドMCTH1、MCTH2の範囲内にMISCが収まら
なければ、失火によるものでなく、外乱によりMISC
が大きくなった場合であるとしてカットできるからであ
る。
【0116】また、図17のステップD)(図17のス
テップK)についても)は、特に駆動系からの周期的外
乱によって誤判定する場合を除くためのもので、MIS
E<METH1である場合は駆動系からの周期的外乱で
あると判断し、図17のステップE)に進ませないよう
にしている。
【0117】図17のステップF)、G)、H)では、
図17のステップB)、C)、E)と同様にして、運転
条件が、失火判定条件2の適用される領域(TINT補
正係数の学習が終了している場合にはA領域とB領域、
TINT補正係数の学習が終了していない場合にはA領
域だけ)にあれば、MISAとMISA判定用スレッシ
ュホールドMATH5、MCTH6とを比較し、MAT
H5≦MISA≦MCTH6である場合に失火が生じた
ことを表すフラグFMISA(初期値は“0”)を
“1”にセットする。
【0118】図17のステップI)〜L)でも、図17
のステップB)〜E)と同様にして、運転条件が、図2
1に示したA、B、C、Dのいずれかの領域(つまり失
火判定条件3が適用される領域)にあれば、MISGと
MISG判定用スレッシュホールドMGTH1、MGT
H2とを、またMISHとMISH判定用スレッシュホ
ールドMHTH1とを比較し、MGTH1≦MISG≦
MGTH2かつMISH≧MHTH1である場合に失火
が生じたことを表すフラグFMISG(初期値は
“0”)を“1”にセットする。
【0119】図17のステップM)では3つのフラグF
MISC、FMISA、FMISGをみて、いずれかが
“1”であれば、ステップN)において失火ありと、ま
たいずれも“1”でないときは、ステップO)において
失火なしとそれぞれ判定し、図17のフローを終了す
る。
【0120】ここで、図5を参照しながら本発明の実施
の形態の作用を説明する。第5図において、簡単には、
MISAについて失火気筒と一点火前の気筒とのTIN
T差に、またMISBについて失火気筒の一回転前の対
向気筒のTINTと失火気筒の一回転後の対向気筒のT
INTとの平均値に着目すればよいことを前述したが、
MISFについては、MISBと同様にして、失火気筒
の一つ前のTINTと失火気筒の一つ後のTINTとの
平均値に着目すればよい。なお、失火による時間変化は
本来増加するのであるが、図5では減少するものとして
示している。
【0121】さて、実線のようにTINTに気筒間ばら
つきが生じている場合に、失火に伴う時間変化ΔTIN
Tは、おおよその話として、MISAによるとき図示の
Bの長さ、MISBによるとき図示のCの長さ、MIS
Fによるとき図示のDの長さとなり、B、C、Dの順に
長くなる。
【0122】ここで、MISBとMISFを比較すれ
ば、斜めに結んだ線(MISBでは一点鎖線、MISF
では二点鎖線)の始点と終点の間が広いMISFのほう
がMISBよりも失火に伴う時間変化を大きくとること
ができ、これによって、TINTに気筒別ばらつきがあ
る場合にも、失火判定に誤判定が生じにくくなるのであ
る。つまり、B,C,Dの大きさの順に、失火判定の精
度がよくなるわけである。
【0123】また、MISFとMISBとは、失火時に
大きくなるだけでなく、失火の一点火後、二点火後にも
大きな値が残るので、判定値の設定によっては、同じ気
筒について一回だけ失火を生じているのにもかからわら
ず、続けて2回の失火があったと判定されてしまう場合
があるが、MISGとMISCを導入し、MISF、M
ISBに代えて失火判定を行うことで、誤判定を避ける
ことができる。
【0124】また、MISG(MISF)のほうがMI
SC(MISB)より失火判定の精度が高いことから、
MISCの失火判定領域がC領域までであるのに対し
(図19参照)、MISGは超高回転低負荷域のD領域
にまで失火判定領域を広げることができ(図21参
照)、これによって失火判定の機会が増大する。
【0125】また、MISG、MISC、MISAの3
つの失火パラメーターを用いての失火判定タイミングが
3つともずれているため(MISCを用いての失火判定
タイミングは失火より4点火後、MISAを用いての失
火判定タイミングは失火より5点火後、MISGを用い
ての失火判定タイミングは失火より7点火後)、このま
まだと、同じ1つの気筒で1回の失火が生じた場合に3
回の失火が生じたと判定されることになり、失火のダブ
ルカウントが生じてしまうが、本発明の実施の形態で
は、3つの失火判定タイミングを揃えているので、同じ
気筒の単発失火に対して、重複して失火と判定されるこ
とがない。
【0126】また、駆動系からの外乱の影響により、非
失火時でありながらMISGとMISCとが一定の周期
で変化し、その周期的変動により判定値以上となって失
火と判断される場合のあることが実験により判明してい
るが、MISG、MISCの飛び出し具合のMISH、
MISEを導入したので、駆動系からの外乱の影響を受
けても、失火判定に誤判定が生じることがない。
【0127】発明の実施の形態では6気筒エンジンの場
合で説明したが、これに限られるものでない。たとえ
ば、(19)、(20)、(21)式に対応して4気筒
エンジンに適用する場合の式を次に記しておく。
【0128】 MISA={3×(HSTNT6−HSTNT7) +1×(HSTNT6−HSTNT3)}/(TINT7)3 …(41) MISB={2×(TINT5−TINT7) +2×(TINT5−TINT3)}/(TINT7)3 …(42) MISF={2×(TINT5−TINT9) +2×(TINT5−TINT1)}/(TINT7)3 …(43)
【0129】
【発明の効果】第1または第2の発明では、失火気筒の
一つ前の時間計測値との差に失火気筒の一つ後の時間計
測値との差を加え値を第1失火パラメーター(MIS
F)として新たに導入したので、第1失火パラメーター
(MISF)を用いての失火判定に、時間計測値に生じ
る気筒間ばらつきの影響を受けることがなく、また、公
知の第2失火パラメーター(MISA)、第3失火パラ
メーター(MISB)より第1失火パラメーター(MI
SF)のほうが失火判定の精度が高いことから、失火判
定領域を超高回転低負荷域にまで広げることができ、こ
れによって失火判定の機会が増大する。
【0130】第3の発明では、第1の発明の第1失火パ
ラメーター(MISF)を所定の時間計測値の三乗で除
した値が改めて第1失火パラメーター(MISF)とさ
れるので、この新たな第1失火パラメーター(MIS
F)がエンジン回転数の影響を受けない値となり、高回
転域においてもS/N比が良好になる。
【0131】第4の発明では、第2の発明における第1
失火パラメーター(MISF)、第2失火パラメーター
(MISA)、第3失火パラメーター(MISB)を所
定の時間計測値の三乗で除した値が改めて第1失火パラ
メーター(MISF)、第2失火パラメーター(MIS
A)、第3失火パラメーター(MISB)とされるの
で、この新たな第1失火パラメーター(MISF)、第
2失火パラメーター(MISA)、第3失火パラメータ
ー(MISB)がエンジン回転数の影響を受けない値と
なり、高回転域においてもS/N比が良好になる。
【0132】第5から第8までのいずれか一つの発明で
は、第1失火パラメーター(MISF)や第3失火パラ
メーター(MISB)と相違して、第4失火パラメータ
ー(MISG)や第5失火パラメーター(MISC)に
は失火の一点火後、二点火後に大きな値が残ることがな
いので、誤判定を避けることができる。
【0133】第9の発明では、2つの失火パラメーター
を用いて失火判定を行うときは2つの失火判定タイミン
グを揃え、3つの失火パラメーターを用いて失火判定を
行うときは3つの失火判定タイミングを揃えるので、同
じ気筒の単発失火に対して、重複して失火と判定される
ことがない。
【0134】第10の発明では、第4失火パラメーター
(MISG)の飛び出し具合のわかる第6失火パラメー
ター(MISH)を導入したので、駆動系からの外乱の
影響を受けても、失火判定に誤判定が生じることがな
い。
【0135】第11の発明では、第5失火パラメーター
(MISC)の飛び出し具合のわかる第7失火パラメー
ター(MISE)を導入したので、駆動系からの外乱の
影響を受けても、失火判定に誤判定が生じることがな
い。
【0136】第12の発明では、判定値に対して負荷同
一の条件のとき高回転域で徐々に小さくなる値で設定し
ているので、高回転域においても誤判定が生じることが
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の制御システム図である。
【図2】リングギア上のa,b,cの各計測区間を説明
するための図である。
【図3】MISBの計算を説明するための波形図であ
る。
【図4】MISAの計算を説明するための波形図であ
る。
【図5】TINTに気筒間ばらつきがない場合とある場
合を比較して示す波形図である。
【図6】MISFの計算を説明するための波形図であ
る。
【図7】MISFの変化を説明するための波形図であ
る。
【図8】MISFとMISGの波形図である。
【図9】駆動系からの外乱を受けたときのMISGの波
形図である。
【図10】3つの失火パラメーターについての失火判定
タイミングの揃え方を説明するための表図である。
【図11】TINT補正を説明するための波形図であ
る。
【図12】TINT補正係数学習値の演算を説明するた
めのフローチャートである。
【図13】補正TINTの演算許可条件を説明するため
のフローチャートである。
【図14】失火パラメーターの演算を説明するためのフ
ローチャートである。
【図15】失火判定用スレッシュホールドの計算を説明
するためのフローチャートである。
【図16】スレッシュホールド基準値MSATHのマッ
プ特性図である。
【図17】失火判定を説明するためのフローチャートで
ある。
【図18】失火判定領域図である。
【図19】失火判定条件1が適用される領域図である。
【図20】失火判定条件2が適用される領域図である。
【図21】失火判定条件3が適用される領域図である。
【図22】MISCの頻度分布図である。
【図23】TINT計測区間を示す波形図である。
【図24】第1の発明のクレーム対応図である。
【図25】第2の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体 2 クランクシャフト 4 リングギア 5 磁気ピックアップ 6 クランク角センサー 7 コントロールユニット 11 時間計測手段 12 時間計測値記憶手段 13 第1失火パラメーター演算手段 14 失火判定手段 21 失火パラメーター演算手段 22 失火判定手段

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃焼行程に対応する所定のクランク角度区
    間に要する時間を気筒別に計測する手段と、 この気筒別の時間計測値を点火毎に記憶する手段と、 これら記憶値のうち失火気筒の一つ前の時間計測値との
    差に失火気筒の一つ後の時間計測値との差を加えた値を
    第1失火パラメーターを演算する手段と、 この第1失火パラメーターと判定値との比較により失火
    が生じたかどうかを判定する手段とを設けたことを特徴
    とするエンジンの失火診断装置。
  2. 【請求項2】燃焼行程に対応する所定のクランク角度区
    間に要する時間を気筒別に計測する手段と、 この気筒別の時間計測値を点火毎に記憶する手段と、 これら記憶値のうち失火気筒の一つ前の時間計測値との
    差に失火気筒の一つ後の時間計測値との差を加えた値に
    基づく第1失火パラメーター、失火気筒と一点火前の気
    筒との時間計測値差と、失火気筒と現在の気筒との時間
    計測値差とを所定の割合で加えた値に基づく第2失火パ
    ラメーター、失火気筒とエンジン一回転前の対向気筒と
    の時間計測値差に失火気筒とエンジン一回転後の対向気
    筒との時間計測値差を加えた値に基づく第3失火パラメ
    ーターの少なくとも2つを演算する手段と、 前記演算された各失火パラメーターと判定値との比較に
    よりいずれか1つでも判定値以上になったとき失火が生
    じたと判定する手段とを設けたことを特徴とするエンジ
    ンの失火診断装置。
  3. 【請求項3】前記第1失火パラメーターを所定の時間計
    測値の三乗で除した値を改めて第1失火パラメーターと
    することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの失火
    診断装置。
  4. 【請求項4】前記第1失火パラメーター、第2失火パラ
    メーター、第3失火パラメーターを所定の時間計測値の
    三乗で除した値を改めて第1失火パラメーター、第2失
    火パラメーター、第3失火パラメーターとすることを特
    徴とする請求項2に記載のエンジンの失火診断装置。
  5. 【請求項5】前記第1失火パラメーターの微分値を第4
    失火パラメーターとして演算し、この第4失火パラメー
    ターと判定値との比較により失火が生じたかどうかを判
    定することを特徴とする請求項1または3に記載のエン
    ジンの失火診断装置。
  6. 【請求項6】前記第1失火パラメーターの微分値をとし
    て演算し、この第4失火パラメーターと判定値との比較
    により失火が生じたかどうかを判定することを特徴とす
    る請求項2または4に記載のエンジンの失火診断装置。
  7. 【請求項7】前記第3失火パラメーターの微分値を第5
    失火パラメーターとして演算し、この第5失火パラメー
    ターと判定値との比較により失火が生じたかどうかを判
    定することを特徴とする請求項2または4に記載のエン
    ジンの失火診断装置。
  8. 【請求項8】前記第1失火パラメーターの微分値を第4
    失火パラメーターとして演算し、この第4失火パラメー
    ターと判定値との比較により失火が生じたかどうかを判
    定するとともに、前記第3失火パラメーターの微分値を
    第5失火パラメーターとして演算し、この第5失火パラ
    メーターと判定値との比較により失火が生じたかどうか
    を判定することを特徴とする請求項2または4に記載の
    エンジンの失火診断装置。
  9. 【請求項9】2つの失火パラメーターを用いて失火判定
    を行うときは2つの失火判定タイミングを揃え、3つの
    失火パラメーターを用いて失火判定を行うときは3つの
    失火判定タイミングを揃えることを特徴とする請求項6
    から8までのいずれか一つに記載のエンジンの失火診断
    装置。
  10. 【請求項10】前記第4失火パラメーターを点火毎に記
    憶し、この記憶値より失火気筒と一点火前の気筒との第
    4失火パラメーター差に失火気筒と一点火後の気筒との
    第4失火パラメーター差を加えて平均した値を第6失火
    パラメーターとして演算し、この第6失火パラメーター
    と判定値との比較により失火が生じたかどうかを判定す
    ることを特徴とする請求項5、6、8のいずれか一つに
    記載のエンジンの失火診断装置。
  11. 【請求項11】前記第5失火パラメーターを点火毎に記
    憶し、この記憶値より失火気筒と一点火前の気筒との第
    5失火パラメーター差に失火気筒と一点火後の気筒との
    第5失火パラメーター差を加えて平均した値を第7失火
    パラメーターとして演算し、この第7失火パラメーター
    と判定値との比較により失火が生じたかどうかを判定す
    ることを特徴とする請求項7または8に記載のエンジン
    の失火診断装置。
  12. 【請求項12】前記失火パラメーターと比較するための
    判定値は、エンジンの負荷に応じて大きくなるととも
    に、負荷同一の条件のとき高回転域で徐々に小さくなる
    値であることを特徴とする請求項3から11までのいず
    れか一つに記載のエンジンの失火診断装置。
JP7178895A 1995-07-14 1995-07-14 エンジンの失火診断装置 Pending JPH0932625A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6453734B1 (en) 1998-04-28 2002-09-24 Nissan Motor Co., Ltd Diagnosis for EGR system
WO2014046141A1 (ja) * 2012-09-21 2014-03-27 日立オートモティブシステムズ株式会社 内燃機関の制御装置
KR102119873B1 (ko) * 2018-12-04 2020-06-05 현대오트론 주식회사 단기통 4행정 엔진의 실화 진단 방법 및 장치

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