JPH08259922A - 粘着剤組成物 - Google Patents

粘着剤組成物

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JPH08259922A
JPH08259922A JP7086064A JP8606495A JPH08259922A JP H08259922 A JPH08259922 A JP H08259922A JP 7086064 A JP7086064 A JP 7086064A JP 8606495 A JP8606495 A JP 8606495A JP H08259922 A JPH08259922 A JP H08259922A
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JP
Japan
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pressure
sensitive adhesive
adhesive composition
film
compound
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Application number
JP7086064A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Kimura
佳宏 木村
泰行 ▲さこ▼本
Yasuyuki Sakomoto
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温下又は高温高湿下でも凝集力及び接着力
の経時変化が小さく、かつ、曲面接着力にも優れ、長時
間のポットライフを有する粘着剤組成物であり、更に光
学フィルムと基材との接着に適した粘着剤組成物を提供
すること。 【構成】 カルボキシル基含有アクリル系樹脂に、多官
能イソシアネート系化合物と、β−ジカルボニル化合物
及び炭素数が2以上のアルコールを配合させてなる粘着
剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温下又は高温高湿下
においても凝集力、接着力及び曲面接着力の経時変化が
少なく、かつ、長時間のポットライフを有した粘着剤組
成物に関するものであり、特に光学フィルムと基材との
接着に適した粘着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来技術】一般に、従来より用いられている粘着剤組
成物あるいは粘着テープ、粘着シート等のその応用物品
は常温において指圧程度の圧力で種々の適用体面に接着
可能であるために、種々の用途に用いられている。しか
し、該組成物あるいはその応用物品は、被着体面に接着
後、高温又は高温高湿の条件下に曝されると、被着体面
から剥離するといった欠点が生じ、その用途にも制約を
受けているのが実状である。
【0003】上記実状を踏まえて、該粘着剤組成物に
は、凝集力や接着力を向上させるために多官能イソシア
ネート系化合物等の架橋剤が添加されているのがほとん
どである。しかし、該架橋剤はその反応性が高いため、
粘着剤組成物に添加した後、基材に塗着させるまでの間
に、例えばアクリル系樹脂の分子内に含まれる官能基や
粘着剤組成物中に含まれる微量水分やアルコール類の官
能性溶剤と反応して粘度が上昇し、又ゲル化することが
ある。そのため、粘着剤組成物の基材への塗工が困難と
なったり、粘着剤組成物の凝集力や接着力といった諸物
性が低下、ないしばらつきが生じる等の問題があった。
【0004】そこでかかる問題点を解決するために、特
開昭57−162770号公報では、分子内にイソシア
ネート基と反応しうる官能基をもったアクリル系共重合
体に、多官能性イソシアネート化合物を、分子内にメチ
レン基及びその両隣にカルボニル基をもったケト−エノ
ール互変異性化合物の存在下で添加し、これを基材に塗
着した後加熱架橋処理することで、経時的な粘度上昇や
ゲル化を抑制し、凝集力と接着力の改善を図ることが提
案されており、その実施例2においてはメタノールの配
合の記載がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
57−162770号公報開示の技術では、架橋剤は系
内に存在する水分や官能性溶剤との反応が抑えられ、そ
の結果、粘着剤組成物の経時的な粘度上昇やゲル化が抑
えられているが、その効果については、例えば該公報に
記載の如き実施例2より認められるように架橋剤の添加
後90分までしか検討されておらず、本発明者等の詳細
な検討によれば、メタノールを配合した系ではポットラ
イフが5時間に満たないことが判明し、又、粘着剤組成
物の凝集力及び接着力については、該公報実施例の測定
方法に見られるように、粘着テープを基材に貼合した後
1時間放置後の評価であり、高温、又は高温高湿の条件
下における長時間での使用等多様化する粘着剤用途に対
応する粘着剤組成物としてはまだまだ充分といえるもの
ではない。
【0006】更に、より粘着力が要求される曲面の被着
体、例えば被着体として曲面が選ばれるラベル用途や光
学用途(光学フィルムとガラス基材の接着用途)におけ
るフィルム型液晶あるいは曲面を有する液晶表示体等の
曲面部分への粘着性能については、何ら考慮されておら
ず、延いては該粘着剤組成物の使用用途にも制約を受け
ることになる。この点について本発明者等が詳細に検討
した結果、粘着剤用途の多様化を考えると、上記技術で
は充分な粘着性やポットライフは得られず、充分といえ
るほど満足した粘着剤組成物を得るにはまだまだ改良の
余地が残されている。
【0007】そこで上述の背景に基づき、高温下及び高
温高湿下でも凝集力及び接着力の経時変化が小さく、か
つ、被着体として曲面が選ばれるラベル用途や曲面を有
するフィルム型液晶あるいは液晶表示体等の曲面の被着
体への粘着力(曲面接着力)にも優れ、更に長時間のポ
ットライフを有した粘着剤組成物の開発が望まれてい
る。特に、偏光板等の光学用途においてはその適用頻度
も高く、かかる粘着剤組成物が大いに活用され得る状況
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】しかるに、本発明者等は
かかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カルボ
キシル基含有アクリル系樹脂に、多官能イソシアネート
系化合物と、β−ジカルボニル化合物及び炭素数が2以
上のアルコールを配合させてなる粘着剤組成物が、上記
課題を解決することを見いだし本発明を完成した。特に
好ましい態様としては、多官能イソシアネート系化合物
が、脂肪族系の多官能イソシアネート系化合物であると
き、高温又は高温高湿下でも経時変化の小さい非常に優
れた凝集力、接着力、特に曲面接着力を顕著に示す。
【0009】又、本発明の粘着剤組成物は、偏光フィル
ム、位相差フィルム等の光学用途においてガラス基材と
の接着に用いることにより、耐久性に優れ、光学特性変
化の小さい光学フィルムを提供することができる。
【0010】以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のカルボキシル基含有アクリル系樹脂の構成成分
としては、カルボキシル基含有モノマー成分、ガラス転
移温度の低く柔らかいモノマー成分(主モノマー)やガ
ラス転移温度の高く硬いコモノマー成分、更に必要に応
じて他の官能基(カルボキシル基以外)含有モノマー成
分が挙げられる。
【0011】カルボキシル基含有モノマー成分として
は、カルボキシル基を有する共重合可能なモノマー成分
であれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン
酸、フマール酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコ
ン酸等の多価カルボン酸、及びこれらの無水物等が挙げ
られる。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好
ましい。
【0012】又、前記の主モノマー成分としては、アク
リル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソ
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラ
ウリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシ
ル等のアルキル基の炭素数2〜12程度のアクリル酸ア
ルキルエステルやメタクリル酸n−ブチル、メタクリル
酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル
酸シクロヘキシル等のアルキル基の炭素数4〜12程度
のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、前記の
コモノマー成分としては、アクリル酸メチルやメタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル等のアルキル基の炭素数1〜3のメタクリル酸アルキ
ルエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、スチレン等が挙げられる。又、アルキル基
が芳香環基、複素環基、ハロゲン原子等で置換されてい
るアクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸アルキル
エステル等、一般にアクリル系樹脂の合成に用いられる
モノマーを、本発明の粘着剤アクリル系樹脂の合成にも
用いることもできる。
【0013】更に本発明では、必要に応じてカルボキシ
ル基以外の官能基含有モノマー成分を本発明の効果を損
なわない程度に含有させることも可能である。該官能基
含有モノマー成分としては、例えば、ヒドロキシル基含
有モノマー、3級アミノ基含有モノマー、アミド基、N
−置換アミド基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー
等が挙げられる。ヒドロキシル基含有モノマーとしては
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート等やN−メチロールアクリルア
ミド、アリルアルコール等がある。
【0014】又、3級アミノ基含有モノマーとしてはジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミド等があり、アミド基、N−
置換アミド基含有モノマーとしては(メタ)アクリルア
ミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル
(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)
アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−オクチ
ルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等があ
る。
【0015】ニトリル基含有モノマーとしてはアクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、フ
マロニトリル等がある。その他、リン酸系のアクリレー
ト等も挙げられる。
【0016】かかる主モノマー成分の含有量は、他に含
有させるカルボキシル基含有モノマー成分やコモノマー
成分の種類や含有量により一概には規定できないが、一
般的には上記主モノマーを50重量%以上含有させるこ
とが好ましい。又、上記カルボキシル基含有モノマー成
分の含有量は、0.001〜50重量%、好ましくは
0.001〜25重量%、更に好ましくは0.01〜2
5重量%であることが望まれる。本発明のカルボキシル
基含有アクリル系樹脂は、カルボキシル基含有モノマ
ー、主モノマー、コモノマー、更に必要に応じて官能基
含有モノマー(カルボキシル基以外)を有機溶剤中でラ
ジカル共重合させる如き、当業者周知の方法によって容
易に製造される。
【0017】前記重合に用いられる有機溶剤としては、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコー
ル、iso−プロピルアルコール等の脂肪族アルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられ
る。尚、ここで、n−プロピルアルコール、iso−プ
ロピルアルコール等の炭素数が2以上のアルコール類を
用いた場合は、残留する該アルコールの量と後で添加す
る炭素数2以上のアルコールの量との合計量を後述の如
く制限すればよい。前記ラジカル重合に使用する重合触
媒としては、通常のラジカル重合触媒であるアゾビスイ
ソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイ
ド等が具体例として挙げられる。
【0018】本発明では、上述したように上記カルボキ
シル基含有アクリル系樹脂に、多官能イソシアネート系
化合物と、β−ジカルボニル化合物及び炭素数が2以上
のアルコールを配合させることが最大の特徴である。
【0019】本発明で用いる多官能イソシアネート系化
合物としては、特に限定されることなくトリレンジイソ
シアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメ
チロールプロパンのトリレンジイソシアネートアダク
ト、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネ
ートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、メチレンビス(4−フェニルメタン)トリイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート等、及びこれらの
ケトオキシムブロック物又はフェノールブロック物、あ
るいはイソシアヌレート等が挙げられるが、中でも、脂
肪族系の多官能イソシアネート系化合物が好ましく、特
にトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート
アダクトが最も好適に採用される。
【0020】該多官能イソシアネート系化合物の配合量
は、カルボキシル基含有アクリル系樹脂100重量部に
対して0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜
10重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部であ
る。かかる配合量が0.001重量部未満では硬化が充
分になされず、高温の条件下では不良となり、一方30
重量部を越えると硬化が促進され過ぎて接着力が低下し
好ましくない。
【0021】本発明においては、上記イソシアネート系
化合物の他に、エポキシ系化合物、アルデヒド系化合
物、アミン系化合物、金属塩、金属アルコキシド、金属
キレート化合物、アンモニウム塩、ヒドラジン化合物等
の架橋剤を一種又は二種以上併用することも可能であ
る。
【0022】エポキシ系化合物としては、ビスフェノー
ルA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレン
グリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、グリセリンジ又はトリグリ
シジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジ
ルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエ
ーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、
N,N,N′,N′−テトラグリシジルm−キシレンジ
アミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノ
メチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0023】アルデヒド系化合物としては、グリオキザ
ール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マ
レインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙
げられる。アミン化合物としては、ヘキサメチレンジア
ミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキ
サメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チルテトラミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、
メラミン樹脂等が挙げられる。
【0024】金属塩としては、アルミニウム、鉄、銅、
亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシ
ウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属
の塩化物、臭化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩、例
えば塩化第二銅、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化
第二スズ、塩化亜鉛、塩化ニッケル、塩化マグネシウ
ム、硫酸アルミニウム、酢酸銅、酢酸クロム等が挙げら
れる。金属アルコキシドとしては、テトラエチルチタネ
ート、テトラエチルジルコネート、アルミニウムイソプ
ロピオネート等が挙げられる。
【0025】金属キレート化合物としては、アルミニウ
ム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモ
ン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム
等の多価金属のアセチルアセトンやアセト酢酸エステル
配位化合物等が挙げられる。尚、上記多価金属のアセチ
ルアセトンやアセト酢酸エステル配位化合物等は本発明
でいうβ−ジカルボニル化合物には含まれず、後述する
β−ジカルボニル化合物のみが本発明の効果を示す。ア
ンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモ
ニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム
等が挙げられる。ヒドラジン化合物としては、ヒドラジ
ン、ヒドラジンヒドラート、及びそれらの塩基塩、硫酸
塩、リン酸塩等の無機塩類、ギ酸、シュウ酸等の有機酸
塩類が挙げられる。
【0026】又、本発明のβ−ジカルボニル化合物とし
ては、アセチルアセトン、2,4−ヘキサジオン、3,
5−ペンタジオン、アセト酢酸メチルやアセト酢酸エチ
ル等のアセト酢酸エステル、マロン酸メチルやマロン酸
エチル等のマロン酸エステル等が挙げられ、単独又は併
用される。なかでも、アセチルアセトン、2,4−ヘキ
サジオン、3,5−ペンタジオン、特にアセチルアセト
ンの使用が好ましく、本発明の効果、特にポットライフ
の延長に優れた効果を示す。かかるβ−ジカルボニル化
合物の配合量としては、カルボキシル基含有アクリル系
樹脂100重量部に対して0.001〜20重量部、好
ましくは0.01〜20重量部、更に好ましくは0.1
〜20重量部であることが好ましく、かかる配合量が
0.001未満では添加の効果が得られず、一方20重
量部を越えると粘着剤の凝集力の低下をまねくことにな
り好ましくない。
【0027】更に、炭素数が2以上のアルコールとして
は、例えばエタノール、n−プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノ
ール、ter−ブタノール等が挙げられるが、中でも、
炭素数が3以上のイソプロピルアルコール、n−ブタノ
ール、sec−ブタノール、ter−ブタノールが最も
好ましい。該アルコールの配合量は、カルボキシル基含
有アクリル系樹脂100重量部に対して0.001〜2
0重量部、好ましくは0.01〜20重量部、更に好ま
しくは0.1〜20重量部であることが好ましく、かか
る配合量が0.001未満では添加の効果が得られず、
一方20重量部を越えると粘着剤の凝集力の低下をまね
くことになり好ましくない。
【0028】本発明では、更に必要に応じて、特に基材
がガラス基板であるような場合には上記の如く得られた
アクリル系樹脂粘着剤に、0.0001〜10重量%、
好ましくは0.0005〜7重量%、更に好ましくは
0.001〜5重量%程度の従来公知の官能基含有シラ
ン系化合物を配合することが好ましい。
【0029】又、前記カルボキシル基含有アクリル系樹
脂、架橋剤としての多官能イソシアネート系化合物、β
−ジカルボニル化合物、炭素数が2以上のアルコール、
更に官能基含有シラン系化合物の配合方法については、
多官能イソシアネート系化合物をβ−ジカルボニル化合
物と炭素数が2以上のアルコールの混合物中に配合して
使用しさえすれば特に制限はなく、該配合物、カルボキ
シル基含有アクリル系樹脂、官能基含有シラン系化合物
の一括仕込みや、上記カルボキシル基含有アクリル系樹
脂、該配合物、シラン系化合物を予め任意に複数を混合
して、残る成分を後から混合してもよい。
【0030】かくして本発明の粘着剤組成物は、高温下
又は高温高湿下でも凝集力及び接着力の経時変化が小さ
く、かつ、本発明特有の曲面接着力にも優れた効果を示
し、更には、架橋剤の添加後もすぐには粘度上昇ないし
ゲル化を起こすことのない長時間のポットライフを有し
た粘着剤組成物である。かかる粘着剤組成物の使用につ
いては、更に必要に応じてトルエン、酢酸エチル、メチ
ルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤に溶解したもの
を基材又は剥離フィルム等のフィルムに塗布した後、3
0〜120℃、好ましくは40〜100℃の乾燥温度で
乾燥して硬化され、その粘着特性が得られる。
【0031】そして、該粘着剤組成物は、粘着テープ、
粘着シート等の各種粘着用途として有効に用いられ、更
に各種基材に貼り合わされる。基材は特に限定されない
が、ステンレス板、アルミニウム板、鋼板、銅板等をは
じめとするあらゆる材質の金属板、ポリエチレン板、ポ
リプロピレン板、メラミン板、フェノール板等の合成樹
脂化粧板、合板、単板、ガラス板等のいわゆる板状物の
他、棒状物、陶器や各種成形物の表面に貼り合わすこと
ができる。
【0032】又、本発明の粘着剤組成物は、基材、特に
ガラス基材と光学フィルムとの接着において非常に優れ
た効果を示す。即ち、該粘着剤組成物を用いることによ
り、高温高湿環境下での使用において、粘着剤層の発泡
や剥離等の外観欠点が発生せず、耐熱性、耐湿熱性に優
れ、更に光学特性についても優れた光学積層体を得るこ
とができる。
【0033】本発明に用いる光学フィルムとしては、光
学特性を有するフィルムであれば特に限定されないが、
偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム等の
使用が好ましく、これらの光学フィルムとガラス基板の
接着に本発明の粘着剤組成物を用いることにより、耐熱
性、耐湿熱性及び光学特性に優れた光学フィルム/ガラ
ス基板の光学積層体が得られるのである。尚、本発明で
は、主として偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光
フィルム等の光学フィルムには保護層を設けるが、特に
断りのない限り、ここでは保護層の有無にかかわらず光
学フィルムと称する。
【0034】以下、光学積層体について詳述する。本発
明では、例えば、主としてポリビニルアルコール系偏光
フィルムを基材とし、これに必要に応じ保護層を設けた
偏光板、あるいはポリビニルアルコール系やポリカーボ
ネート系の位相差フィルムを基材とし、これに必要に応
じ保護層を設けた位相差板、更には偏光フィルムと位相
差フィルムを組み合わせた楕円偏光板等に、粘着剤層及
び剥離フィルムを付加するのである。粘着剤層及び剥離
フィルムを付加する方法としては、剥離フィルムの上に
粘着剤層を設け、その上に光学フィルムを貼り合わせる
方法、あるいは逆に光学フィルムの上に粘着剤層を設
け、その上に剥離フィルムを貼り合わせる方法が通常取
られる。
【0035】このようにして得られた粘着剤層を有する
光学フィルムは使用時に適当に切断され、剥離フィルム
を剥がし、相手基材であるガラスあるいは他の基材と貼
り合わせ、液晶表示素子、防眩用あるいはサングラスと
して用いられる。又、前記粘着剤層を有する光学フィル
ムは、更に反射板及び/又は半透明層を設けることによ
り、反射型あるいは半透過型の液晶表示板に使用され
る。この反射板としては通常アルミニウム、銀等の箔、
板が使用される。又、半透明層としては反射型及び透過
型の両方に使用可能となるべく反射率と透過率が選ば
れ、適宜材料は選択される。
【0036】位相差フィルムには、特に制限されること
なくポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエ
ステル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレフィ
ン、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホ
ン、ポリビニリデンフルオライド/ポリメチルメタアク
リレート、液晶ポリマー、トリアセチルセルロース系樹
脂、環状ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体ケン化物、ポリ塩化ビニル等が採用されるが、主とし
てポリカーボネート、ポリビニルアルコール系樹脂フィ
ルムが用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂として
は通常酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化し
て製造されるが、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステ
ル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニ
ルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共
重合可能な成分を含有していても良い。又、ポリビニル
アルコールを酸の存在下でアルデヒド類と反応させた、
例えばポリブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂
等のいわゆるポリビニルアセタール樹脂及びポリビニル
アルコール誘導体が挙げられる。平均重合度は500〜
10000、ケン化度は80〜100モル%のもので、
1.01〜4倍程度に一軸延伸されたものであることが
望ましい。
【0037】一方、偏光フィルムには平均重合度が15
00〜10000、ケン化度が85〜100モル%の上
記ポリビニルアルコール系樹脂を原反フィルムとして、
ヨウ素−ヨウ化カリの水溶液あるいは二色性染料により
染色された一軸延伸フイルム(2〜10倍、好ましくは
3〜7倍程度の延伸倍率)が用いらる。
【0038】保護層としては従来から知られているセル
ロースアセテート系フィルム、アクリル系フィルム、ポ
リエステル系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィ
ルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエーテルエー
テルケトン系フィルム、ポリスルホン系フィルム等が挙
げられるが、好適には三酢酸セルロースフィルム等のセ
ルロースアセテート系フィルムが用いられる。更に、必
要に応じて、上記樹脂フィルムにサリチル酸エステル系
化合物、ベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾー
ル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯
塩系化合物等の紫外線吸収剤を配合させることも可能で
ある。
【0039】
【作用】本発明の粘着剤組成物は、カルボキシル基含有
のアクリル系樹脂に、多官能イソシアネート系化合物
と、β−ジカルボニル化合物及び炭素数が2以上のアル
コールを配合させてなるために、高温下又は高温高湿下
でも凝集力及び接着力の経時変化が小さく、かつ、曲面
接着力にも優れた効果を示し、更に、架橋剤の添加後も
すぐには粘度上昇ないしゲル化を起こすことのない長時
間のポットライフを有した粘着剤組成物である。又、光
学フィルムと基材との接着に用いた場合、粘着剤の発泡
や剥離を起こさないといった耐久性に優れるばかりでな
く、高温、高湿環境下で長時間放置してもその光学特性
が低下しないといった効果も発揮する。かかる特性を利
用して液晶表示体の用途に用いられ、特に車両用途、各
種工業計器類、家庭用電化製品の表示等に有用である。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に
断りのない限り重量基準である。 実施例1 アクリル酸n−ブチル:アクリル酸=95:5(重量
比)の配合物を重合開始剤としての過酸化ベンゾイルを
0.1部添加してトルエン中で重合し、共重合物溶液を
得た。該共重合物溶液に、該共重合物溶液の固形分10
0部に対して、脂肪族系多官能イソシアネート系化合物
としてのコロネートHL(日本ポリウレタン社製)3部
をアセチルアセトン1部とイソプロピルアルコール1部
の混合溶液中に溶解させてなる溶液を添加し、充分混合
して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物は、架橋剤
添加後、常温で8時間放置した後でも25℃での粘度変
化(T)が0.8〜1.2の間で、増粘現象は認められ
なかった。尚、粘度変化(T)は8時間後の粘度と初期
の粘度の比により算出した。 粘度変化(T)=8時間後の粘度/初期の粘度 又、得られた粘着剤組成物について、架橋剤添加後、5
分及び8時間放置した後の接着力、凝集力及び曲面接着
力の評価をそれぞれ行った。尚、接着力、凝集力及び曲
面接着力の評価方法は下記に示す通りである。
【0041】(接着力)上記粘着剤組成物をトルエンに
溶解した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗
工し、100℃で2分間乾燥し(乾燥後の塗布厚25μ
m)、これをJIS Z 0237に準じた手動ローラ
で3往復してSUS304(280番研磨品)(サイ
ズ:幅25mm、長さ180mm)に圧着した。該サン
プルをオートクレーブ処理(50℃、15分、5kg/
cm2)し、60℃で12時間熱処理し、20℃、65
%RHの条件下で1時間放置した後、JIS B 77
21に準じた装置により、JIS Z 0237に準じ
た90度引きはなし法で接着力(kg/25mm)を測
定した。引き上げる速度は200mm/minであっ
た。
【0042】(凝集力)上記と同様に粘着剤組成物を塗
工したポリエチレンテレフタレートフィルム(サイズ:
幅25mm、長さ150mm)をSUS304(サイ
ズ:幅40mm、長さ80mm)にJIS Z 023
7に準じた手動ローラで3往復して圧着した。該サンプ
ルをオートクレーブ処理(50℃、15分、5kg/c
2)し、20℃、65%RHの条件下で1時間放置し
た後、端部に1kgの荷重をかけ、JIS Z 023
7に準じて、70℃で48時間後のずれの大きさ(m
m)を測定し、下記の基準で評価した。 ◎・・・0〜0.5(mm)未満 ○・・・0.5〜5.0(mm)未満 △・・・5.0〜10.0(mm)未満 ×・・・10.0(mm)以上
【0043】(曲面接着力)30mmφの鉄製円筒の曲
面に幅25mm、長さ66mmの上記同様の試験片を円
筒の自重(200g)を利用して貼り付けて、オートク
レーブ処理(50℃、15分、5kg/cm2)し、4
0℃、24時間放置して更に40℃、95%RHの条件
下で24時間放置した後の剥がれの大きさ(mm)を測
定し、下記の基準により評価した。 ◎・・・0〜0.5(mm)未満 ○・・・0.5〜5.0(mm)未満 △・・・5.0〜10.0(mm)未満 ×・・・10.0(mm)以上
【0044】実施例2 実施例1において、イソシアネート系化合物として、コ
ロネートHL(日本ポリウレタン社製)1.5部及びコ
ロネートL(日本ポリウレタン社製)2.0部の混合物
に代えた以外は同様に行い、粘着剤組成物を得た。この
粘着剤組成物は、架橋剤添加後、常温で8時間放置した
後でも25℃での粘度変化(T)が0.8〜1.2で、
増粘現象は認められなかった。又、得られた粘着剤組成
物について、実施例1と同様に架橋剤添加後、5分及び
8時間放置した後の接着力、凝集力及び曲面接着力の評
価をそれぞれ行った。
【0045】実施例3 実施例1において、アセチルアセトンをアセト酢酸エチ
ルに代え、イソプロピルアルコールをsec−ブタノー
ルに代えた以外は同様に行い、粘着剤組成物を得た。こ
の粘着剤組成物は、架橋剤添加後、常温で8時間放置し
た後でも25℃での粘度変化(T)が0.8〜1.2
で、増粘現象は認められなかった。又、得られた粘着剤
組成物について、実施例1と同様に架橋剤添加後、5分
及び8時間放置した後の接着力、凝集力及び曲面接着力
の評価をそれぞれ行った。
【0046】実施例4 実施例1において、更にγ−グリシドキシプロピルトリ
エトキシシランを0.1部加えた以外は同様に行い、粘
着剤組成物を得た。(尚、この粘着剤組成物は、常温で
8時間放置した後でも25℃での粘度変化(T)が0.
8〜1.2で、増粘現象は認められなかった。) その後、得られた粘着剤組成物を厚さ1.1mmのガラ
ス板上にアプリケーターを用いて乾燥後の厚みが25μ
mとなるように塗布し、100℃2分間乾燥して粘着性
板を得、一方、膜厚30μmのポリビニルアルコール偏
光フィルム(平均重合度1700、平均ケン化度99モ
ル%、4倍延伸)の両側を厚さ80μmの三酢酸セルロ
ースフィルムで積層した偏光板(ポリビニルアルコール
偏光フィルムの延伸軸方向を45度傾けて150mm×
200mmに切断)を作製し、この片面に上記粘着性板
を積層し、ローラーで押圧してガラス積層偏光板を製造
した。該偏光板の耐熱(90℃、500時間)、耐湿熱
(60℃×90%RH、500時間)試験を行い、外観
変化及び光学特性変化を評価した。尚、光学特性は単体
透過率τ(%)及び偏光度V(%)を測定した。
【0047】ここで、本発明でいう偏光度は [(H11−H1)/(H11+H1)]1/2×100(%) で示され、H11は2枚の偏光フィルムサンプルの重ね合
わせ時において、偏光フィルムの配向方向が同一方向に
なるように重ね合わせた状態で分光光度計を用いて測定
した透過率(%)、H1は2枚のサンプルの重ね合わせ
時において、偏光フィルムの配向方向が互いに直交する
方向になるように重ね合わせた状態で測定した透過率
(%)である。
【0048】同様に位相差フィルム(平均重合度170
0、平均ケン化度97モル%、1.1倍延伸のポリビニ
ルアルコールフィルム、膜厚50μm)についても、位
相差フィルムの両側に厚さ80μmの三酢酸セルロース
フィルムを積層した位相差板(ポリビニルアルコールフ
ィルムの延伸軸方向を45度傾けて150mm×200
mmに切断)を作製し、この片面に上記粘着性板を積層
し、ローラーで押圧してガラス積層位相差板を製造し
た。該位相差板の耐熱(70℃、500時間)、耐湿熱
(40℃×95%RH、500時間)試験を行い、外観
変化及び光学特性変化を評価した。
【0049】尚、光学特性についてはレターデーション
値(RD)を測定した。位相差フィルムにおけるレター
デーション値(RD)とは、主延伸方向(MD方向)及
びこれに垂直な方向(TD方向)における屈折率(IIMD
−IITD)と位相差フィルムの厚さ(d)との積で定義さ
れ、バビネ型コンペンサーター付の偏光顕微鏡(ニコン
POH−1型)を用い補償法にて測定した(光源は白色
光)。
【0050】更に、三酢酸セルロースフィルム/偏光フ
ィルム/三酢酸セルロースフィルム/粘着剤層/三酢酸
セルロースフィルム/位相差フィルム/三酢酸セルロー
スフィルム/粘着剤層からなる構成をもった楕円偏光板
についても、耐熱(70℃、500時間)、耐湿熱(4
0℃×95%RH、500時間)試験を行い、外観変化
を評価した。
【0051】評価基準は下記の通りである。 (外観変化)目視により耐久試験後、粘着剤の発泡、剥
離の発生を観察した。 変化無し ・・・○ 発泡、剥離有り・・・× (光学特性変化)偏光板については、耐久試験前後の単
体透過率τ(%)及び偏光度V(%)の差により評価し
た。絶対値で5%以下であることが望まれる。位相差板
については、耐久試験前後のRD値の差により評価し
た。絶対値で30nm以下であることが望まれる。
【0052】実施例5 実施例4において、イソシアネート系化合物として、コ
ロネートHL(日本ポリウレタン社製)1.5部及びコ
ロネートL(日本ポリウレタン社製)2.0部の混合物
に代えた以外は同様に行い、粘着剤組成物を得、その後
上記と同様に偏光板、位相差板、楕円偏光板を作製し、
耐久試験後のそれぞれの外観変化及び光学特性変化を評
価した。(尚、この粘着剤組成物は、常温で8時間放置
した後でも25℃での粘度変化(T)が0.8〜1.2
で、増粘現象は認められなかった。)
【0053】実施例6 実施例4において、アセチルアセトンをアセト酢酸エチ
ルに代え、イソプロピルアルコールをter−ブタノー
ルに代えた以外は同様に行い、粘着剤組成物を得、その
後上記と同様に偏光板、位相差板、楕円偏光板を作製
し、耐久試験後のそれぞれの外観変化及び光学特性変化
を評価した。(尚、この粘着剤組成物は、常温で8時間
放置した後でも25℃での粘度変化(T)が0.8〜
1.2ポイズで、増粘現象は認められなかった。)
【0054】比較例1 実施例1において、コロネートHL(日本ポリウレタン
社製)を添加しなかった以外は同様に行い、得られた粘
着剤組成物について実施例1と同様に接着力、凝集力及
び曲面接着力を評価した。
【0055】比較例2 実施例1において、アセチルアセトンを添加しなかった
以外は同様に行い、得られた粘着剤組成物について実施
例1と同様に接着力、凝集力及び曲面接着力を評価し
た。この粘着剤組成物は、架橋剤添加後、常温で8時間
放置した後には25℃での粘度変化(T)が1.2以上
となり、増粘現象が認められ実塗工に耐えなかった。
【0056】比較例3 実施例1において、イソプロピルアルコールを添加しな
かった以外は同様に行い、得られた粘着剤組成物につい
て実施例1と同様に接着力、凝集力及び曲面接着力を評
価した。この粘着剤組成物は、架橋剤添加後、常温で8
時間放置した後には25℃での粘度変化(T)が1.2
以上となり、増粘現象が認められ実塗工に耐えなかっ
た。
【0057】比較例4 実施例1において、イソプロピルアルコールをメタノー
ルに代えた以外は同様に行い、得られた粘着剤組成物に
ついて実施例1と同様に接着力、凝集力及び曲面接着力
を評価した。この粘着剤組成物は、架橋剤添加後、常温
で8時間放置した後には25℃での粘度変化(T)が
1.2以上となり、増粘現象が認められ実塗工に耐えな
かった。
【0058】比較例5 実施例4において、コロネートHL(日本ポリウレタン
社製)を添加しなかった以外は同様に行い、粘着剤組成
物を得、その後上記と同様に偏光板、位相差板、楕円偏
光板を作製し、耐久試験後のそれぞれの外観変化及び光
学特性変化を評価した。
【0059】比較例6 実施例4において、アセチルアセトンを添加しなかった
以外は同様に行い、粘着剤組成物を得、その後上記と同
様に偏光板、位相差板、楕円偏光板を作製し、耐久試験
後のそれぞれの外観変化及び光学特性変化を評価した。
(尚、この粘着剤組成物は、架橋剤添加後、常温で8時
間放置した後には25℃での粘度変化(T)が1.2以
上となり、増粘現象が認められ実塗工に耐えなかっ
た。)
【0060】比較例7 実施例4において、イソプロピルアルコールを添加しな
かった以外は同様に行い、粘着剤組成物を得、その後上
記と同様に偏光板、位相差板、楕円偏光板を作製し、耐
久試験後のそれぞれの外観変化及び光学特性変化を評価
した。(尚、この粘着剤組成物は、架橋剤添加後、常温
で8時間放置した後には25℃での粘度が1.2以上と
なり、増粘現象が認められ実塗工に耐えなかった。) 実施例、比較例のそれぞれの評価結果は表1〜3にまと
めて示す。
【0061】
【表1】 粘着物性 接着力 凝集力 曲面接着力 (kg/25mm) 5分後 8時間後 5分後 8時間後 5分後 8時間後 実施例1 1< 1< ◎ ◎ ◎ ◎ 〃 2 1< 1< ◎ ◎ ◎ ◎ 〃 3 1< 1< ○ ○ ○ ○ 比較例1 1> 1> × × × × 〃 2 1< 1> ◎ × ◎ × 〃 3 1< 1> ◎ × ◎ × 〃 4 1< 1> ○ × ○ ×
【0062】
【表2】 (外観変化) 偏光板 位相差板 楕円偏光板 耐熱 耐湿熱 耐熱 耐湿熱 耐熱 耐湿熱 試験後 試験後 試験後 試験後 試験後 試験後 実施例4 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 〃 5 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 〃 6 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 比較例5 × × × × × × 〃 6 × × × × × × 〃 7 × × × × × ×
【0063】
【表3】 (光学特性) 耐熱 耐熱 耐湿熱 耐湿熱 試験前 試験後 試験前 試験後 実施例4 偏光板 τ 42 41 42 42 V 99.0 98.0 99.0 98.2 位相差板 RD 400 410 400 390 〃 5 偏光板 τ 42 42 42 41 V 99.0 98.1 99.0 98.1 位相差板 RD 400 412 400 393 〃 6 偏光板 τ 42 41 42 42 V 99.0 98.2 99.0 98.0 位相差板 RD 400 415 400 395 比較例5 偏光板 τ − 測定不能 − 測定不能 V − 〃 − 〃 位相差板 RD − 〃 − 〃 〃 6 偏光板 τ − 〃 − 〃 V − 〃 − 〃 位相差板 RD − 〃 − 〃 〃 7 偏光板 τ − 〃 − 〃 V − 〃 − 〃 位相差板 RD − 〃 − 〃 注)τ:単体透過率(%) V:偏光度(%) RD:レターデーション値(nm) 尚、比較例5〜7については、耐久試験後には発泡、剥離を起こすため光学 特性を測定することはできなかったので、試験前の測定値は敢えて記さなか った。
【0064】
【発明の効果】本発明の粘着剤組成物は、高温下又は高
温高湿下でも凝集力及び接着力の経時変化が小さく、か
つ、曲面接着力にも優れた効果を示し、更に長時間のポ
ットライフを有する粘着剤組成物であり、又、光学フィ
ルムと基材との接着においては、粘着剤の発泡や剥離を
起こさないといった耐久性に優れるばかりでなく、高
温、高湿環境下で長時間放置してもその光学特性が低下
しないといった効果も奏する。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基含有アクリル系樹脂に、
    多官能イソシアネート系化合物と、β−ジカルボニル化
    合物及び炭素数が2以上のアルコールを配合させてなる
    ことを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 【請求項2】 多官能イソシアネート系化合物が、脂肪
    族系の多官能イソシアネート系化合物又は/及び脂肪族
    系の多官能イソシアヌレート系化合物であることを特徴
    とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 【請求項3】 多官能イソシアネート系化合物の配合量
    が、カルボキシル基含有アクリル系樹脂100重量部に
    対して0.001〜30重量部であることを特徴とする
    請求項1又は2記載の粘着剤組成物。
  4. 【請求項4】 β−ジカルボニル化合物の配合量が、カ
    ルボキシル基含有アクリル系樹脂100重量部に対して
    0.001〜20重量部であることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載の粘着剤組成物。
  5. 【請求項5】 炭素数が2以上のアルコールの配合量
    が、カルボキシル基含有アクリル系樹脂100重量部に
    対して0.001〜20重量部であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  6. 【請求項6】 β−ジカルボニル化合物が、アセチルア
    セトン、2,4−ヘキサジオン、3,5−ペンタジオン
    から選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物。
  7. 【請求項7】 炭素数が2以上のアルコールが、エタノ
    ール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
    ル、n−ブタノール、sec−ブタノール、ter−ブ
    タノールから選ばれる少なくとも一種の化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の粘着剤
    組成物。
  8. 【請求項8】 基材と光学フィルムの接着に用いること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の粘着剤組
    成物。
  9. 【請求項9】 光学フィルムが偏光フィルム、位相差フ
    ィルム及び楕円偏光フィルムのいずれかであることを特
    徴とする請求項8記載の粘着剤組成物。
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