JPH08259379A - 融液中の対流場を制御した単結晶育成方法 - Google Patents

融液中の対流場を制御した単結晶育成方法

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JPH08259379A
JPH08259379A JP7091432A JP9143295A JPH08259379A JP H08259379 A JPH08259379 A JP H08259379A JP 7091432 A JP7091432 A JP 7091432A JP 9143295 A JP9143295 A JP 9143295A JP H08259379 A JPH08259379 A JP H08259379A
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荘六 川西
Hitoshi Sasaki
斉 佐々木
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茂行 木村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成長方向に関する不純物濃度分布を均一化し
たSi単結晶をチョクラルスキー法で得る。 【構成】 融液から単結晶を引上げる際、重力の加速度
をg,融液の体膨張係数をβ,ルツボの底面と成長界面
との温度差をΔT,融液の深さをL,熱拡散率をκ,動
粘性係数をνとするとき、Ra=g・β・ΔT・L/κ
・νで定義されるレイリー数Raが5×105 〜4×1
7 の範囲になるように温度差ΔTを制御する。 【効果】 成長界面における融液の対流モードが常にソ
フト乱流領域に維持され、融液中の不純物ムラが取り込
まれることなく、安定した温度条件下で単結晶が育成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チョクラルスキー法で
融液から単結晶を引上げる際に固液界面下部の融液対流
を制御することにより、成長方向に関する不純物濃度分
布を均一化したSi単結晶を育成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】融液からSi単結晶を育成する代表的な
方法として、チョクラルスキー法がある。チョクラルス
キー方法では、図1に示すように密閉容器1の内部に配
置したルツボ2を、回転及び昇降可能にサポート3で支
持する。ルツボ2の外周には、ヒータ4及び保温材5が
同心円状に設けられ、ルツボ2に収容した原料をヒータ
4で集中的に加熱し、融液6を調製する。融液6は、S
i単結晶成長に好適な温度に維持される。融液6に種結
晶7を接触させ、種結晶7の結晶方位を倣ったSi単結
晶8を成長させる。種結晶7は、ワイヤ9を介して回転
巻取り機構10又は剛性のある引き上げ棒から吊り下げ
られ、Si単結晶8の成長に応じて回転しながら引き上
げられる。また、ルツボ2も、サポート3を介し適宜回
転しながら下降する。サポート3の降下速度,回転速度
及び種結晶7の回転速度,上昇速度等は、融液6から引
上げられるSi単結晶8の成長速度に応じて制御され
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】チョクラルスキー法で
得られた単結晶は、成長方向に関する微視的な濃度分布
が固液界面下部にある融液の対流条件に大きな影響を受
ける。引上げの初期段階では、ルツボ内に多量の融液が
存在しているので、ルツボの底部から固液界面まで十分
な高さがある。このとき、融液は、特定の構造を持たな
いソフト乱流となって固液界面に流れ込む。そのため、
この融液から成長した単結晶の不純物分布も、この融液
流動を倣ったものとなる。ルツボ内に残留している融液
は、単結晶の育成に応じて少なくなり、図2に示すよう
に特有の構造をもった周期対流に移行する。周期対流領
域に移るに従って、育成された単結晶に融液中の不純物
ムラを反映した不均一分布が現れる。従来のチョクラル
スキー法では、この不均一分布が現れる現象は避けられ
ないものとされており、結晶の後半部では規格外れとな
ることが多かった。本発明は、このような問題を解消す
べく案出されたものであり、固液界面近傍における融液
の対流条件を制御することにより、一本の結晶中で均一
な不純物分布をもつ部位の割合を増加させると共に、成
長方向に関して不純物濃度が均一化された高品質のSi
単結晶を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するため、融液から単結晶を引上げる際、重力の加速
度をg,融液の体膨張係数をβ,ルツボの底面と成長界
面との温度差をΔT,融液の深さをL,熱拡散率をκ,
動粘性係数をνとするとき、Ra=g・β・ΔT・L/
κ・νで定義されるレイリー数Raが5×105 〜4×
107 の範囲になるように温度差ΔTを制御することを
特徴とする。レイリー数Raは、浮力差により生じる対
流の状態を表す無次元数であり、浮力/粘性力の比を表
す。地上に置かれた流体では、下面加熱及び上面冷却の
場合、Ra>1700で対流が生じ始め、Ra>1010
程度で完全乱流となる。チョクラルスキー法でSi単結
晶を育成する場合、レイリー数Raは105 〜108
度の値をとり、完全な乱流までには至らない。
【0005】レイリー数Raのファクターである重力加
速度g,体膨張係数β,温度差ΔT,融液深さL,熱拡
散率κ,動粘性係数νのうち、単結晶の育成中に変化す
るファクターは、温度差ΔT及び融液深さLであり、何
れも操業中にモニター可能な物理量である。また、温度
差ΔTは、固液界面の温度が一定値に維持されることか
ら、(ルツボ底温度−凝固点温度)として表される。た
とえば、融液深さLが70mmにあるとき、図3に示す
ようにレイリー数Raはルツボ底温度に応じて変動す
る。すなわち、レイリー数Raが5×105 より小さい
と、固液界面で周期対流が生じ易くなる。逆に4×10
7 を超えるレイリー数Raでは、サーマルプリューム
(熱塊)の発生により、固液界面の温度条件が不安定化
する。また、融液深さLが50mmになったとき、レイ
リー数Raが減少し、ソフト乱流から外れるようにな
る。これに対し、レイリー数Raが5×105 〜4×1
7 の範囲にあるとき、ソフト乱流状態が固液界面に維
持されることで撹拌が促進され、融液中の不純物ムラが
持ち込まれることなく、しかも安定した温度条件下で単
結晶が融液から育成される。そこで、図3の関係を参照
しながら育成中の所定の温度差ΔTを生じさせるフィー
ドバックを制御系にかけるとき、引上げ方向全長にわた
り同じ対流モードの下で融液から単結晶を引き上げるこ
とができる。温度差ΔTを変化させる操業条件として
は、ルツボの回転方向や回転速度の調整,二分割したヒ
ータを使用して結晶成長に必要な半径方向の温度勾配を
維持しながら深さ方向の温度差を変化させる方法等を採
用することができる。これにより、対流モードが常にソ
フト乱流領域に維持され、成長方向に関し不純物濃度分
布が均一化された単結晶が育成される。
【0006】
【実施例】ルツボにSi原料5kgを装入し、加熱溶解
した。生成した融液は、湯面からルツボ底までの深さが
105mmであった。この状態から結晶育成を開始し、
3kgのSi単結晶を作製した。結晶成長開始直後に
は、L=105mm,δT=40℃であったため、Si
融液に固有の体膨張係数β=8.0×10-4(1430
℃以下),1.0×10-4(>1430℃)、熱拡散率
κ=2.55×10-52 /秒及び動粘性係数ν=3.
0×10-72 /秒を用いてレイリー数Raを計算する
と、Ra=4.75×10-7であった。この後、Si融
液が結晶成長に消費され浅くなるに従い、温度差ΔTも
小さくなった。その結果、レイリー数Raも減少し。ソ
フト乱流域から外れた。そこで、ルツボ底の温度及び図
2の関係を参照しながら、温度差ΔTが大きくなるよう
にルツボの回転数を上げた。その結果、単結晶のほとん
どの部位をソフト乱流域で育成することが可能になっ
た。なお、比較のため、一定の回転速度でルツボを回転
させながら、単結晶を育成した。
【0007】育成された単結晶について、引き上げ方
向、すなわち成長方向に関する酸素濃度を測定した。測
定結果を示す図4にみられるように、本発明に従って育
成された単結晶では、酸素濃度の成長方向に関する変動
が少なく、ソフト乱流状態にある融液から単結晶が育成
されたことが示されている。これに対し、比較例の単結
晶では、成長方向に関して酸素濃度が周期的に変動し、
しかも変動幅も大きなものであった。これは、対流モー
ドが周期対流の領域に移行するに従って融液中の不純物
ムラが育成された単結晶に反映されたものであると推察
される。この対比から明らかなように、本発明に従って
融液の対流条件を制御するとき、不純物分布が均一化さ
れた単結晶が得られることが確認された。
【0008】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、融液から単結晶を引上げる際、融液の対流係数が所
定の範囲となるようにルツボの底面と成長界面との温度
差を制御することにより、成長界面に生じる対流モード
をソフト乱流領域に維持している。これにより、融液中
の不純物ムラが単結晶に取り込まれることが抑制され、
しかも安定した温度条件下で単結晶が育成される。その
結果、育成方向に関する不純物濃度分布が均一になる領
域が長くなり、製品として使用できる割合が増加し、高
歩留りで品質安定性に優れた単結晶が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 融液からSi単結晶を引き上げるチョクラル
スキー法
【図2】 成長界面における融液の流動状態に及ぼす融
液深さ及び温度差ΔTの影響を表したグラフ
【図3】 ルツボ底温度とレイリー数Raとの関係を表
したグラフ
【図4】 本発明実施例で得られた単結晶の成長方向に
関する酸素濃度分布を比較例と対比して示したグラフ
【符号の説明】
1:密閉容器 2:ルツボ 3:サポート 4:
ヒータ 5:保温材 6:融液 7:種結晶 8:Si単結晶 9:ワ
イヤ 10:回転巻取り機構
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年1月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【実施例】ルツボにSi原料5kgを装入し、加熱溶解
した。生成した融液は、湯面からルツボ底までの深さが
105mmであった。この状態から結晶育成を開始し、
3kgのSi単結晶を作製した。結晶成長開始直後に
は、L=105mm,ΔT=40℃であったため、Si
融液に固有の体膨張係数β=8.0×10−4(143
0℃以下),1.0×10−4(>1430℃)、熱拡
散率κ=2.55×10−5/秒及び動粘性係数ν
=3.0×10−7/秒を用いてレイリー数Raを
計算すると、Ra=4.75×10であった。この
後、Si融液が結晶成長に消費され浅くなるに従い、温
度差ΔTも小さくなった。その結果、レイリー数Raも
減少し。ソフト乱流域から外れた。そこで、ルツボ底の
温度及び図2の関係を参照しながら、温度差ΔTが大き
くなるようにルツボの回転数を上げた。その結果、単結
晶のほとんどの部位をソフト乱流域で育成することが可
能になった。なお、比較のため、一定の回転速度でルツ
ボを回転させながら、単結晶を育成した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 595056491 佐々木 斉 埼玉県大宮市大成町1−545 (71)出願人 595056505 碇 敦 茨城県つくば市東光台2−12−15 (72)発明者 十河 慎二 茨城県つくば市今鹿島4182−3 (72)発明者 泉妻 宏治 茨城県稲敷郡阿見町荒川沖1770−1−502 (72)発明者 川西 荘六 茨城県つくば市東光台1−16−2 (72)発明者 佐々木 斉 埼玉県大宮市大成町1−545 (72)発明者 木村 茂行 茨城県つくば市竹園3−712 (72)発明者 碇 敦 茨城県つくば市東光台2−12−15

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融液から単結晶を引上げる際、重力の加
    速度をg,融液の体膨張係数をβ,ルツボの底面と成長
    界面との温度差をΔT,融液の深さをL,熱拡散率を
    κ,動粘性係数をνとするとき、Ra=g・β・ΔT・
    L/κ・νで定義されるレイリー数Raが5×105
    4×107 の範囲になるように温度差ΔTを制御するこ
    とを特徴とする融液中の対流場を制御した単結晶育成方
    法。
JP7091432A 1995-03-24 1995-03-24 融液中の対流場を制御した単結晶育成方法 Expired - Fee Related JP2760957B2 (ja)

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DE69606449T DE69606449T2 (de) 1995-03-24 1996-03-20 Züchtung von Silizium-Einkristall
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