JPH08253434A - 高純度1,3−シクロヘキサジエンの製造法 - Google Patents

高純度1,3−シクロヘキサジエンの製造法

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JPH08253434A
JPH08253434A JP7084629A JP8462995A JPH08253434A JP H08253434 A JPH08253434 A JP H08253434A JP 7084629 A JP7084629 A JP 7084629A JP 8462995 A JP8462995 A JP 8462995A JP H08253434 A JPH08253434 A JP H08253434A
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JP
Japan
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cyclohexadiene
group
reaction
catalyst
cyclohexen
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JP7084629A
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English (en)
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Mitsuji Ono
満司 小野
Hiroshi Ishida
浩 石田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C1/00Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon
    • C07C1/20Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon starting from organic compounds containing only oxygen atoms as heteroatoms
    • C07C1/24Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon starting from organic compounds containing only oxygen atoms as heteroatoms by elimination of water
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2601/00Systems containing only non-condensed rings
    • C07C2601/12Systems containing only non-condensed rings with a six-membered ring
    • C07C2601/16Systems containing only non-condensed rings with a six-membered ring the ring being unsaturated

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  • Catalysts (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 2−シクロヘキセン−1−オールの液相脱水
反応において、酸素10員環細孔構造を持つ結晶性メタ
ロシリケートを触媒として用いることを特徴とする1,
3−シクロヘキサジエンの製造方法。好ましくは結晶性
メタロシリケートがZSM−5、ZSM−5類似または
ZSM−11ゼオライトである。 【効果】 液相反応条件下、高収率で1,3−シクロヘ
キサジエンが得られ、且つ分離が困難な副生物を顕著に
抑制することができ、極めて高純度の1,3−シクロヘ
キサジエンを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2−シクロヘキセン−
1−オールの脱水反応により、1,3−シクロヘキサジ
エンを製造する方法に関するものである。更に詳しく
は、液相下に酸素10員環構造を持ち、無水物の酸化物
のモル比で表された組成が特定の式で示される結晶性メ
タロシリケートを触媒として2−シクロヘキセン−1−
オールを脱水することにより1,3−シクロヘキサジエ
ンを製造する方法に関するものである。1,3−シクロ
ヘキサジエンは、複数の置換基を有する炭素6員環誘導
体やディールス−アルダー反応による誘導体の合成原料
として、またジエン重合体および共重合体の原料として
きわめて有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】アルコールを直接脱水することにより、
対応するオレフィンを得る方法については従来から多数
の公知例がある。たとえば、J.March著による”
Advanced Organic Chemistr
y”、第3版、第901〜903項(1985年)にも
まとめられているように、これら脱水反応は通常液相で
硫酸、リン酸、スルホン酸などの強酸触媒を用いるか、
あるいは気相でアルミナなどの金属酸化物を用いて高温
で行われている。
【0003】2−シクロヘキセン−1−オールから1,
3−シクロヘキサジエンを合成する方法としては、アル
ミナ触媒を用いて気相に於いて脱水反応させる方法(V
estsi Akad.Navuk Beloruss
k.SSR、Ser.Khim.Navuk、(2)2
0−4(1965))及びアルミナ−ボリア系触媒を用
いて同じく脱水反応させる方法(Dokl.Akad.
Nauk.Belorussk.SSR、14(8)7
34−7(1970))等が報告されている。これらの
方法では90%以上の高い収率で1,3−シクロヘキサ
ジエンが得られている。
【0004】また、硫酸銅無水物触媒を用いて液相に於
いて脱水反応させる方法(J.Org.Chem.、4
5、917〜919(1980))が報告されている。
しかし、この方法では52%程度の低い収率でしか1,
3−シクロヘキサジエンは得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記2−シクロヘキセ
ン−1−オールからの気相脱水反応による方法は、高い
収率で1,3−シクロヘキサジエンが得られる点で優れ
た方法である。しかしながら、本発明者らの検討による
とこれら気相脱水反応の場合は、生成する1,3−シク
ロヘキサジエンの異性化反応もしくは不均化反応の進行
により副生物としてメチルシクロペンテン類、シクロヘ
キセン、1,4−シクロヘキサジエン、ベンゼン等が生
成し、気相反応に要求される高い反応温度条件下におい
ては、これらを十分に抑制することが困難であるという
問題点がある。そしてこれらの副生物は1,3−シクロ
ヘキサジエンときわめて近い蒸気圧を持ち、通常工業的
に用いられる蒸留分離をする事は実質的に不可能である
ため、より高純度の1,3−シクロヘキサジエンを得よ
うとする際には複雑な分離精製法を必要とするという問
題点があった。
【0006】一方、硫酸、リン酸、スルホン酸等の公知
の酸触媒を用いた2−シクロヘキセン−1−オールの液
相脱水反応においても、本発明者らの検討によると、
1,3−シクロヘキサジエンの選択率が著しく低く工業
的な方法としては不十分であった。
【0007】しかしながら、液相脱水反応自体は気相脱
水反応に対して低い反応温度条件が選択できるために上
記の1,3−シクロヘキサジエンの異性化反応もしくは
不均化反応を抑制することができ、且つ他の副生物は高
沸点を有する化合物であるために工業的に簡便な蒸留分
離をする事により高純度の1,3−シクロヘキサジエン
が得られるという利点を有している。
【0008】このように、硫酸銅無水物触媒を用いて液
相で脱水反応を行う方法は高純度の1,3−シクロヘキ
サジエンを得ようとする際には有利な方法であるが、前
述のとおり1,3−シクロヘキサジエンの収率は52%
程度であり、工業的にはさらに高収率で1,3−シクロ
ヘキサジエンを製造する方法が望まれるところであっ
た。
【0009】本発明は以上に説明した従来技術の問題点
を解決し、2−シクロヘキセン−1−オールから高純度
の1,3−シクロヘキサジエンを得るのに、液相脱水反
応が極めて有利な方法である点を生かしつつ、従来にな
い高収率で1,3−シクロヘキサジエンを製造する方法
を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく2−シクロヘキセン−1−オールを出発原
料とし、高純度の1,3−シクロヘキサジエンを工業的
に有利に製造する方法について鋭意検討した結果、本発
明の触媒を用いれば液相反応条件下で1,3−シクロヘ
キサジエンを高収率で製造できることを見出し、本発明
に到達した。
【0011】すなわち、本発明は、2−シクロヘキセン
−1−オールから液相で脱水反応により1,3−シクロ
ヘキサジエンを製造するに際し、触媒として酸素10員
環細孔構造を持ち、無水物の酸化物のモル比で表された
組成が下記(1)式で示される結晶性メタロシリケート
を用いることを特徴とする高純度1,3−シクロヘキサ
ジエンの製造法である。
【0012】
【化2】 xM2/n O・ySiO2 ・R2/w O (1) (式中、Mはn価の少なくとも1種のカチオンを表わ
し、Rは短周期型周期律表のIB族、IIB族、III A
族、III B族、IVA族、IVB族、VA族、VB族、VIB
族、VII B族、VIII族の中から選ばれた少なくとも1種
のw価の金属を表わし、x=0.3±0.1、5≦y≦
500である。)
【0013】この本発明によれば、高い収率で1,3−
シクロヘキサジエンを得ることができ、たとえば、反応
蒸留操作を用いた際は通常約60%以上、好適には70
%以上の収率で1,3−シクロヘキサジエンを得ること
ができる。同時に、メチルシクロペンテン類、シクロヘ
キセン、1,4−シクロヘキサジエン、ベンゼンといっ
た1,3−シクロヘキサジエンと容易に分離することが
困難な副生物を抑制することができ、反応液を蒸留精製
するのみで、99.5%以上の純度を有する高品質の
1,3−シクロヘキサジエンを得ることができる。
【0014】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて用いられる2−シクロヘキセン−1−オールは、
周知の方法で製造したものを使用することができる。た
とえば、シクロヘキセンを自動酸化して得られるシクロ
ヘキセニルハイドロパーオキサイドをアルカリ水溶液で
分解する方法、2−シクロヘキセン−1−オンを金属水
素化物等により還元する方法で製造したものを使用する
ことができる。
【0015】本発明においては、酸素10員環細孔構造
を持ち無水物の酸化物のモル比で表された組成が前記の
(1)式で示される結晶性メタロシリケートを触媒とす
る。該(1)式の中で、Mは結晶性メタロシリケート中
のカチオンであり、好ましいのはプロトン、周期律表上
のIB、IIA、IIB、III A、III B、IVB、VB、VI
B、VII B、VIII族の金属カチオンであり、さらに好ま
しいのはプロトンである。
【0016】また、Rは短周期型周期律表のIB族、II
B族、III A族、III B族、IVA族、IVB族、VA族、
VB族、VIB族、VII B族、VIII族の中から選ばれた少
なくとも1種の金属であり、これらの例としてはアルミ
ニウム、ホウ素、ガリウム、チタン、クロム、鉄等が挙
げられる。好ましくは少なくとも1種の金属がアルミニ
ウムである結晶性アルミノメタロシリケート、さらに好
ましくは結晶性アルミノシリケートを用いるとよい。
【0017】本発明中の結晶性メタロシリケートのシリ
カ/金属酸化物モル比は、(1)式中のyで表され、こ
の値は5以上かつ500以下である。yの値が5に満た
ない場合、あるいは500を越える場合は、本反応の活
性は低く実用的でない。yの好ましい範囲は5以上20
0以下、さらに好ましい範囲は7以上100以下であ
る。
【0018】本発明における結晶性メタロシリケート
は、その結晶構造において酸素10員環細孔構造を有す
るものであり、好ましくはZSM−5、ZSM−5類
似、ZSM−11ゼオライトが挙げられる。ZSM−5
類似ゼオライトとしてはZSM−8(ドイツ特許2,0
49,755号明細書参照)、ZETA−1(ドイツ特
許2,548,697号明細書参照)、ZETA−3
(英国特許1,553,209号明細書参照)、NU−
4(ドイツ特許3,268,503号明細書参照)、N
U−5(ドイツ特許3,169,606号明細書参
照)、TZ−01(米国特許4,581,216号明細
書参照)、Crystalline aluminos
ilicate(米国特許4,954,326号明細書
参照)、TRS(ドイツ特許2,924,870号明細
書参照)、MB−28(欧州特許21,445号明細書
参照)、TSZ(特開昭58−45111号明細書参
照)、AZ−1(欧州特許113,116号明細書参
照)が挙げられる。
【0019】本発明に用いられる結晶性メタロシリケー
トの合成は通常の水熱合成によって行なわれる。その際
用いられるシリカ源は特に制限はなく、水ガラス、シリ
カゾル、シリカゲル等を用いることができる。また、メ
タロ源は各種金属の硫酸塩、硝酸塩等の塩、塩化物、臭
化物等のハロゲン化物、酸化物等種々の無機化合物や有
機金属化合物を用いることができる。
【0020】本発明に用いられる結晶性メタロシリケー
トの合成には、必要に応じて有機テンプレートを共存さ
せてもよい。その場合、好ましいのはジメチル尿素等の
尿素化合物、テトラプロピルアンモニウム等の四級アン
モニウム塩、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン、ア
ルコールである。ただし、有機テンプレートを用いた場
合は、水熱合成後、結晶中から有機物を除去する必要が
ある。その場合の有機物の除去方法としては、400℃
以上の温度での空気中の焼成や、過酸化水素等の酸化剤
を用いる液相酸化法等が用いられる。
【0021】このようにして有機物を除去した結晶性メ
タロシリケートを、所望のカチオン型にするために、通
常のイオン交換操作を行い、所望のカチオンを結晶内に
導入する。本発明においてこれら結晶性メタロシリケー
トを用いることが好ましい理由は、2−シクロヘキセン
−1−オールの脱水反応で副生するジシクロヘキセニル
エーテルの生成を抑制できるためである。
【0022】2−シクロヘキセン−1−オールから1,
3−シクロヘキサジエンが生成する反応経路としては、
直接脱水反応による経路の他にジシクロヘキセニルエー
テルの生成を経由した後、可逆的に1,3−シクロヘキ
サジエンを生成する経路が考えられる。つまり、ジシク
ロヘキセニルエーテルは反応中間体と考えることもでき
る。しかしながら、ジシクロヘキセニルエーテルから
1,3−シクロヘキサジエンを生成する経路は、反応に
要する時間が長くなること、高沸副生物が増加すること
等により好ましくない。高収率にて1,3−シクロヘキ
サジエンを得るには、ジシクロヘキセニルエーテルの生
成を抑制し、直接脱水反応を主にすることが好ましい。
【0023】本発明においては、ジシクロヘキセニルエ
ーテルの生成を抑制することが可能であり、その結果、
1,3−シクロヘキサジエンの収率を向上させることが
できる。この効果は結晶性メタロシリケートの細孔構造
による形状選択的作用に起因するものと考えられる。併
せて、本発明の結晶性メタロシリケートを液相反応条件
下で用いることによって、生成した1,3−シクロヘキ
サジエンの異性化、あるいは不均化反応を顕著に抑制す
ることができ、その結果、1,3−シクロヘキサジエン
の精製工程において分離困難なメチルシクロペンテン
類、シクロヘキセン、1,4−シクロヘキサジエン、ベ
ンゼン等の副生物を大幅に低減することができる。
【0024】生成する1,3−シクロヘキサジエンは極
めて反応性に富むために一部は重合反応により多量体を
形成し収率の低下につながるが、本発明においては、こ
れらの生成量は少なく、また多量体生成物は1,3−シ
クロヘキサジエンに対して沸点が大きく差があることに
より、簡便な蒸留操作により容易に1,3−シクロヘキ
サジエンから分離することができる。
【0025】これらの効果により高い収率で1,3−シ
クロヘキサジエンを得ることができ、たとえば、反応蒸
留操作を用いた際は通常約60%以上、好適には70%
以上の収率で1,3−シクロヘキサジエンを得ることが
できる。同時に、メチルシクロペンテン類、シクロヘキ
セン、1,4−シクロヘキサジエン、ベンゼンといった
1,3−シクロヘキサジエンと容易に分離することが困
難な副生物を抑制することができ、反応液を蒸留精製す
るのみで、99.5%以上の純度を有する高品質の1,
3−シクロヘキサジエンを得ることができる。
【0026】結晶性メタロシリケートは反応方法に応じ
て粉状体、または成型体として使用することができる。
この際、粒子径については特に制限はない。
【0027】本発明において、液相脱水反応を行う際の
反応温度は、50℃から180℃の範囲、好ましくは7
0℃から160℃の範囲、さらに好ましくは80℃から
140℃の範囲である。50℃未満の反応温度では、反
応速度が極端に低下し、また、180℃を越える反応温
度においては副反応が急増するため好ましくない。反応
温度は、50℃から180℃の範囲で用いる触媒の種
類、その他の反応条件に応じて変化させることができ
る。
【0028】反応圧力は特に制限はなく、反応系を液相
に保つことができる範囲であればよい。大気圧条件下に
加えて減圧または加圧下において行うことができる。本
発明の液相反応形式としては、通常の回分式または半回
分式、連続式のいずれでも実施することができる。
【0029】触媒の使用量は反応形式、使用形態によっ
て変わってくるため一概には規定できないが、たとえば
回分式の場合には、仕込み2−シクロヘキセン−1−オ
ールに対し0.01〜0.5重量倍、好ましくは0.0
5〜0.4重量倍、更に好ましくは0.1〜0.3重量
倍の触媒を入れ上述の温度範囲で撹拌下に反応させれば
よい。連続式の場合には脱水反応速度と2−シクロヘキ
セン−1−オールの供給速度との関係で触媒濃度がさら
に高くなることもありうる。
【0030】また、反応の際に不活性溶剤を共存させて
もよく、不活性溶剤としては例えばヘプタン、オクタン
等の脂肪族飽和炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素類が挙げられる。反応時間は、用いる触媒の
種類、反応条件及び所望の反応率により異なるが、通常
0.2〜6時間の範囲である。本反応は、窒素、水素、
ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスの共存下に行うこと
ができる。
【0031】本発明は、液相で反応を実施する限りにお
いては反応方式に何等限定を受けるものではないが、反
応は、生成する1,3−シクロヘキサジエン及び水をで
きるだけすみやかに反応系外に除去するように行うのが
好ましい。その理由は、生成する1,3−シクロヘキサ
ジエンが長時間の触媒との接触によって重合消費するこ
とを回避できるため、また、本脱水反応が平衡反応であ
ることに起因する逆反応の進行を抑制できるためであ
る。たとえば回分式の場合には、反応よって生成した
1,3−シクロヘキサジエンと水を反応器上部に設置さ
れた蒸留塔上部より抜き出すいわゆる反応蒸留型の反応
形態を好ましく用いることができる。
【0032】本発明方法によれば、高い収率で1,3−
シクロヘキサジエンを得ることができ、たとえば、反応
蒸留操作を用いた際は通常約60%以上、好適には70
%以上の収率で1,3−シクロヘキサジエンを得ること
ができる。同時に、メチルシクロペンテン類、シクロヘ
キセン、1,4−シクロヘキサジエン、ベンゼンといっ
た1,3−シクロヘキサジエンと容易に分離することが
困難な副生物を抑制することができ、反応液を蒸留精製
するのみで、99.5%以上の純度を有する高品質の
1,3−シクロヘキサジエンを得ることができる。
【0033】
【実施例】以下実施例をもって、本発明を更に詳述す
る。
【0034】実施例1 1)結晶性アルミノシリケートの合成 ケイ酸ソーダ(水ガラス3号)128gを水120gに
溶解した(A液)。硫酸アルミニウム十八水和物を3.
9gと濃硫酸4gを水40gに溶解させた(B液)。
1,3−ジメチル尿素20gを水80gに溶解させた
(C液)。ホモジナイザーを用いて、A液を強く撹拌し
ながらB、C液と混合して、1時間撹拌を続けた。得ら
れたゲルを、撹拌周速2m/秒で撹拌しながら40時
間、150℃で加熱結晶化させた。
【0035】得られた生成物をろ過、水洗後、120℃
で5時間乾燥した後、500℃で5時間空気中で焼成し
て有機物を除去した。その後、この生成物を1Nの硝酸
中で8時間イオン交換を行い、ろ過、洗浄後、120℃
で6時間乾燥してプロトン型の結晶性アルミノシリケー
トを得た。得られた生成物は、X線回折分析の結果、ゼ
オライトZSM−5と同定された。又、ケイ光X線分析
ならびにピリジンの吸着法により求めた酸量の測定か
ら、この無水物の酸化物の形で表された組成は、下記
(2)式のとおりであった。
【0036】
【化3】 0.32H2 O・10SiO2 ・Al2/3 O (2)
【0037】2)2−シクロヘキセン−1−オールの脱
水反応ディクソンパッキングを充填した小型蒸留塔に付
属した500ミリリットルのガラスフラスコに2−シク
ロヘキセン−1−オール200gと1)で得られた結晶
性アルミノシリケート40gを仕込み少量の窒素ガスを
吹き込みながら系内をゆっくり減圧状態にし550mm
Hgに保持した。100℃に設定したオイルバスで加熱
しながら撹拌し、留出してくる1,3−シクロヘキサジ
エンと水の混合物を受器に受けながら回収した。
【0038】約2時間で留出が終了したため、有機層と
水層を分液し有機層の生成量を測定すると共にガスクロ
マトグラフィーで定量した。表1に回収した1,3−シ
クロヘキサジエンの仕込み2−シクロヘキセン−1−オ
ールに対する生成収率を示す。また、1,3−シクロヘ
キサジエン留分の純度および微量の水分を除く1,3−
シクロヘキサジエン中の不純物の含有量を示す。本実施
例では75%の高い収率で1,3−シクロヘキサジエン
が得られた。又、有機層は実質的に1,3−シクロヘキ
サジエンのみを含みメチルシクロペンテン類、シクロヘ
キセン、1,4−シクロヘキサジエン、ベンゼンなどの
1,3−シクロヘキサジエンと分離困難な不純物の含有
量は低く、99.5%以上の純度を有する高品質の1,
3−シクロヘキサジエンが得られた。
【0039】実施例2 1)結晶性アルミノボロシリケートの合成 ケイ酸ソーダ(水ガラス3号)128gを水120gに
溶解した(A液)。硫酸アルミニウム十八水和物を3.
9gと濃硫酸4gを水40gに溶解させた(B液)。
1,3−ジメチル尿素20gを水80gに溶解させた
(C液)。三酸化ホウ素1.2ミリモルを水20gに溶
解させた(D液)。ホモジナイザーを用いて、A液を強
く撹拌しながらB、C、D液と混合して、1時間撹拌を
続けた。得られたゲルを、撹拌周速2m/秒で撹拌しな
がら40時間、150℃で加熱結晶化させた。得られた
生成物をろ過、水洗後、120℃で5時間乾燥した後、
500℃で5時間空気中で焼成して有機物を除去した。
その後、この生成物を1Nの硝酸中で8時間イオン交換
を行い、ろ過、洗浄後、120℃で6時間乾燥してプロ
トン型の結晶性アルミノボロシリケートを得た。
【0040】得られた生成物は、X線回折分析の結果、
ゼオライトZSM−5類似と同定された。また、ケイ光
X線分析ならびにピリジンの吸着法により求めた酸量の
測定から、この無水物の酸化物の形で表された組成は、
下記(3)式のとおりであった。
【0041】
【化4】 0.33H2 O・11SiO2 ・Al2/3 O・0.16B2/3 O (3)
【0042】2)2−シクロヘキセン−1−オールの脱
水反応 触媒として1)で得られた結晶性アルミノボロシリケー
ト40gを用い、実施例1と同様の方法にて3時間反応
を行った。結果を表1に示す。実施例1と同様、高い収
率で、かつ、高品質の1,3−シクロヘキサジエンが得
られた。
【0043】比較例1 触媒として硫酸銅無水物40gを用い、系内圧力を60
0mmHg、オイルバスの設定温度を120℃とした以
外は実施例1と同様の方法にて約2時間反応を行った。
結果を表1に示す。実施例1、2と比較すると収率は低
く、かつ、99.5%以上の純度を有する1,3−シク
ロヘキサジエンは得られなかった。
【0044】比較例2 触媒として濃硫酸10gを用い、系内圧力を大気圧、オ
イルバスの設定温度を100℃とした以外は実施例1と
同様の方法にて約2時間反応を行った。結果を表1に示
す。実施例1と比較すると収率は著しく低く、比較例1
と同様に99.5%以上の純度を有する1,3−シクロ
ヘキサジエンは得られなかった。
【0045】
【表1】
【0046】比較例3 γ−Al2 3 触媒(日揮社製:商品名N611Nのγ
−アルミナを10〜20メッシュに粉砕し、500℃で
焼成したもの)20ミリリットルをガラス製管状反応器
の中央部につめ、その上部にガラス製のリングを充填
し、外部から電気炉で加熱した。あらかじめ窒素気流中
で所定温度に触媒層を加熱しておき、上部から定量ポン
プを用いて2.6g/時で2−シクロヘキセン−1−オ
ールを注入した。反応生成液は反応器下部から出て水冷
管および氷トラップ、さらにドライアイス−メタノール
トラップを用いて捕集した。捕集液の有機層と水層を分
液し、それぞれの層をガスクロマトグラフィーで定量分
析し、供給した2−シクロヘキセン−1−オールに対す
る1,3−シクロヘキサジエンの生成収率を求めた。
【0047】ついで、蒸留操作により有機層からの1,
3−シクロヘキサジエンの分離精製を行い、採取した
1,3−シクロヘキサジエン留分の純度および微量の水
分を除く1,3−シクロヘキサジエン中の不純物の含有
量を求めた。結果を表2に示す。これら気相反応では高
い収率で1,3−シクロヘキサジエンが得られるが、
1,3−シクロヘキサジエンと分離困難な不純物の含有
量が多く、99.5%以上の純度を有する1,3−シク
ロヘキサジエンは得られなかった。
【0048】
【表2】
【0049】実施例3〜5及び比較例4〜6 2−シクロヘキセン−1−オール10gにプロトン型結
晶性アルミノシリケート触媒2gを加えて窒素シールし
たガラス反応管を6本同時に80℃に加熱して生成する
1,3−シクロヘキサジエン及び水を全還流させながら
1時間反応させた。実施例3では実施例1で合成したZ
SM−5ゼオライトを用いた。実施例4では特開昭59
−128210号公報記載の方法で合成してプロトン型
にイオン交換したAZ−1ゼオライトを用いた。実施例
5では米国特許3709979号公報記載の方法で合成
してプロトン型にイオン交換したZSM−11ゼオライ
トを用いた。比較例4ではY型ゼオライト(東ソー製、
HSZ−320HOA)を用いた。比較例5ではモルデ
ナイト型ゼオライト(東ソー製、HSZ−630HO
A)を用いた。比較例6ではβゼオライト(PQコーポ
レ−ション製、C−806βをプロトン型にイオン交換
したもの)を用いた。
【0050】反応後、生成液をエーテルで抽出して触媒
および水層と分離し、ガスクロマトグラフィーで定量分
析し2−シクロヘキセン−1−オールの転化率を、また
転化した2−シクロヘキセン−1−オール量に対する主
な生成物の生成量の比を選択率として求めた。結果を表
3に示す。実施例3、4、5に示される10員環細孔構
造を持つ結晶性メタロシリケートは、比較例4、5、
6、に示される結晶性メタロシリケートに対して、ジシ
クロヘキセニルエーテルの選択率が低く、高い選択率で
1,3−シクロヘキサジエンを生成していることがわか
る。
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】以上に記述したように、本発明の1,3
−シクロヘキサジエンの製造方法は、液相下に酸素10
員環構造を持ち、無水物の酸化物のモル比で表された組
成が(1)式で示される結晶性メタロシリケートを触媒
として2−シクロヘキセン−1−オールを脱水すること
により、高収率で、かつ高純度の1,3−シクロヘキサ
ンジエンを製造することを可能にした。
【0053】即ち、本発明の方法によって、高い収率で
1,3−シクロヘキサジエンを得ることができ、たとえ
ば、反応蒸留操作を用いた際は通常約60%以上、好適
には70%以上の収率で1,3−シクロヘキサジエンを
得ることができる。同時に、メチルシクロペンテン類、
シクロヘキセン、1,4−シクロヘキサジエン、ベンゼ
ンといった1,3−シクロヘキサジエンと容易に分離す
ることが困難な副生物を顕著に抑制することができ、反
応液を蒸留精製することで、99.5%以上の純度を有
する高品質の1,3−シクロヘキサジエンを製造するこ
とができる。
【0054】本発明のこれらの優れた効果は、触媒とし
て酸素10員環構造を持ち、無水物の酸化物のモル比で
表された組成が前記の(1)式で示される結晶性メタロ
シリケートを用いることによって達成されるものであ
り、すでに開示されているような酸触媒を用いた場合に
は到底発揮され得ないものである。このように、本発明
の1,3−シクロヘキサジエンの製造方法は優れたもの
であり、高純度の1,3−シクロヘキサジエンを得よう
とする際に工業上の利用価値の高い方法といえる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−シクロヘキセン−1−オールの液相
    脱水反応により1,3−シクロヘキサジエンを製造する
    に際し、触媒として酸素10員環細孔構造を持ち、無水
    物の酸化物のモル比で表された組成が下記(1)式で示
    される結晶性メタロシリケートを用いることを特徴とす
    る高純度1,3−シクロヘキサジエンの製造法。 【化1】 xM2/n O・ySiO2 ・R2/w O (1) (式中、Mはn価の少なくとも1種のカチオンを表わ
    し、Rは短周期型周期律表のIB族、IIB族、III A
    族、III B族、IVA族、IVB族、VA族、VB族、VIB
    族、VII B族、VIII族の中から選ばれた少なくとも1種
    のw価の金属を表わし、x=0.3±0.1、5≦y≦
    500である。)
  2. 【請求項2】 結晶性メタロシリケートが、ZSM−5
    またはZSM−5類似またはZSM−11ゼオライトで
    ある請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】 結晶性メタロシリケートが、アルミノシ
    リケートである請求項1または2に記載の製造法。
JP7084629A 1995-03-17 1995-03-17 高純度1,3−シクロヘキサジエンの製造法 Withdrawn JPH08253434A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000302699A (ja) * 1999-04-22 2000-10-31 Asahi Chem Ind Co Ltd 1,3−シクロアルカジエンの製造法
JP2005232067A (ja) * 2004-02-18 2005-09-02 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 含リンブタジエン化合物の製造方法
JP2005232065A (ja) * 2004-02-18 2005-09-02 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 含リンブタジエン化合物の製造方法

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JP2000302699A (ja) * 1999-04-22 2000-10-31 Asahi Chem Ind Co Ltd 1,3−シクロアルカジエンの製造法
JP2005232067A (ja) * 2004-02-18 2005-09-02 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 含リンブタジエン化合物の製造方法
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