JPH08252038A - ユーカリ属木本類クローン苗の大量生産方法 - Google Patents

ユーカリ属木本類クローン苗の大量生産方法

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JPH08252038A
JPH08252038A JP7313213A JP31321395A JPH08252038A JP H08252038 A JPH08252038 A JP H08252038A JP 7313213 A JP7313213 A JP 7313213A JP 31321395 A JP31321395 A JP 31321395A JP H08252038 A JPH08252038 A JP H08252038A
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稔明 田邊
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卓也 清水
Kunimutsu Murakami
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  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発根・順化工程、及びこれらの工程に伴う手
間を簡略化または省略し、しかも特別な設備を要しな
い、極めて簡便なユーカリ属木本類クローン苗の大量生
産方法を提供する。 【解決手段】 ユーカリ属木本類の各器官を無菌的に培
養することにより得られた多芽体から得られた茎葉、ま
たは無菌的に育成された茎葉を、無機塩類を含み、かつ
蔗糖等の炭素源を含まない人工液体培地で湿潤させた多
孔性培地支持体に移植し、非無菌下で照明下、湿度及び
炭酸ガス存在下にて発根・順化を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ユーカリ属木本類の植
林用苗を組織培養によって大量に生産する方法に関する
ものであり、林業・生物学・組織培養・農業等に応用さ
れる。
【0002】
【従来の技術】ユーカリプタス・シトリオドーラ(Euca
lyptus citriodora、以下、E.シトリオドーラと略記
する。)等のユーカリは、オーストラリアを原産地とす
るフトモモ科に属する木本類であり、主としてパルプ用
材の他、薪炭や建築材として利用されている。これらの
ユーカリ属木本類は、現在のところ約600 種以上が知ら
れており、そのうちの一部の種では、パルプや紙を製造
する上で重要である容積重やパルプ収率等において優れ
ていることから、パルプ材として高い評価を得ている。
このようにユーカリ属木本類は、パルプ材や森林資源と
して優れており、きわめて有望な植林樹種の一つである
と言え、ヨーロッパ、南米、東南アジアの地域で現在盛
んに植林事業が進められている。
【0003】これらのユーカリ属木本類のうち、ユーカ
リプタス・グランディス(Eucalypt us grandis )、ユ
ーカリプタス・カマルドゥレンシス(Eucalyptus cama
ldul ensis )等の植林苗の生産は、さし木による増殖が
極めて容易であること、また設備を要しないで簡便に行
えることから、ブラジル、タイではさし木によって優良
形質を備えた個体を植林苗として生産しており、収穫量
の増大や高品質化等を可能にしている。しかしながら、
種によっては、例えばパルプ材として評価が高いユーカ
リプタス・グロブルス(Eucalyptus globulus、以下、
E.グロブルスと略記する。)、ユーカリプタス・マイ
デンニィ(Eucalyptus maidenii)、ユーカリプタス・
ビコスタータ(Eucalyptus bicostata )、E.シトリ
オドーラ等はさし木増殖が困難であることから種子繁殖
によらねばならず、植林には実生苗が用いられている。
【0004】そのため遺伝的に不均一な苗が植栽される
ことから個体の生長に差が生じ、全体的には収穫量が乏
しく、収穫量の予測も困難である。また、生長性等に優
れた優良個体が存在しても増殖できない等の問題もあ
る。
【0005】従って、これらの種、つまりさし木が困難
な種においては、遺伝的に優良で、かつ均一形質を有す
るクローンの増殖法の早急な開発が望まれている。一般
に、樹木のクローン増殖法としては、さし木法の他に、
木本類組織の器官より植物体を再生させるいわゆる組織
培養法があるが、さし木による増殖は、スギなどの針葉
樹を中心として広く行われており、安価で簡便な方法で
ある。
【0006】一方、組織培養によるクローン増殖方法
は、植物の各器官を培養することにより得られた組織
を、繰り返し継代培養させることで、限られた場所で無
限に増殖できる大きな利点があることから、近年になっ
てその研究が盛んに行われ、既にランや野菜等でその適
用が可能となり、一部の種においては実用化もされてい
る。また、樹木においても近年検討が開始され、クヌギ
Quercus acutissima Carr)、シラカンバ(Betula
platyphylla Sukatchev var.japonica)などで植物
体の再生が可能であると報告されている。
【0007】もっとも、これらの樹種においては、未だ
植物の器官より植物体が再生されたに過ぎない段階であ
り、大量生産システムの構築は程遠いのが現状である
が、さし木増殖が困難な樹種においては、組織培養によ
るクローン増殖以外に植林苗供給の可能性がないこと
も、また事実である。
【0008】組織培養による苗の生産工程は、初代培養
後、シュート(茎葉)の増殖、伸長、発根、順化の4工
程に分けられるが、植物種によっては、例えばタバコ、
人参、ベゴニア、セントポーリア等の種は、茎葉の増殖
・伸長・発根を同一の培地組成で移植を要しないで行え
るため、これらを一工程で容易に行うことができる。
【0009】しかし、他の多くの植物種の苗生産、特に
樹木では上記の工程を必ず経なければならず、しかも個
々の種毎に、増殖法等、その各工程の条件がそれぞれに
異なることが多いことも知られている。中でも大量生産
を行う上でネックとなるのは、伸長した茎葉から発根さ
せ、さらに幼植物体を外の環境にならす順化工程であ
り、これが煩雑で手間がかかる上、しかも特別の設備を
要する等が大きな問題になっている。従って、樹木等で
組織培養による植林用苗の大量生産を実用化するには、
発根・順化をいかに簡単に効率よく行うかが焦点とな
り、このようなことから、発根順化一段法(ダイレクト
ルーティング)による工程の簡略化と低コスト化が検討
されている。しかし、植物の組織培養においては、発根
形成を促す場合、いずれも雑菌の栄養源ともなる蔗糖を
炭素源として用いているため、無菌培養を行っており、
そのため、培養操作に熟練を要すると共に、手間と設備
がかかる問題点を抱え、また、これらを非無菌下で培養
すれば、雑菌汚染による植物体の枯死等が起こり、健全
な苗を獲得することができない。
【0010】さらに培養のための培地として、寒天やゲ
ランガムなどで固化させたものを用いた場合、発根後こ
れらの固化剤を洗い流し、取り除く必要もあり、その
際、根を痛めることによる苗化率の低下と手間がかかる
等の問題も生じる。特に、パルプ材を目的とした植林の
場合、植林地やその規模などによって植林本数は大きく
変化するが、一時に数万から数百万本の苗を必要とす
る。従って、組織培養によって植林苗を供給するために
は、増殖効率が極めて高いことの他に、非常に簡単で操
作が煩雑でなく、工程数が少ない、苗の大量生産方法の
早急な確立がことさらに望まれる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者等は、
ユーカリ属木本類クローン苗の大量生産方法について鋭
意検討した結果、ユーカリ属木本類の器官を材料とし
て、多芽体の誘導・増殖を繰り返し行い無限に増殖させ
た後、通常の設備下、つまり非無菌下条件下での発根、
順化工程を、炭素源として蔗糖等を添加しないで、植物
自らつまり組織培養物に光合成によって炭素を獲得さ
せ、しかも空隙のある培地支持体を用いることでこの培
地支持体ごと培養物を移植できる系で行うことにより、
その大量増殖が可能なことを見い出し、本発明に到達し
た。従って、本発明の第一の目的は、増殖効率が極めて
高く、操作方法が非常に簡単で、かつ工程数の少ないユ
ーカリ属木本類クローン苗の大量生産方法を提供するこ
とにある。さらに本発明の第二の目的は、従来の培養方
法による発根、発根後の培地の洗い落としや移植、さら
に順化工程といった工程と、各工程による手間を一挙に
簡略化または省略し、また、特別な設備を要しない、極
めて簡便なユーカリ属木本類クローン苗の大量生産方法
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の諸目的
は、ユーカリ属木本類の各器官を無菌的に培養すること
により得られた多芽体から得られた茎葉、または無菌的
に育成された茎葉を、無機塩類を含み、かつ蔗糖等の炭
素源を含まない人工液体培地で湿潤させた多孔性培地支
持体に移植し、非無菌下で照明下、湿度及び炭酸ガス存
在下にて発根・順化を行うことにより達成された。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。先ず、ユーカリ属木本類各器官からの茎葉の調製
方法について説明する。即ち、本発明における茎葉の調
製は常法により行うことができるが、例えば屋外に植栽
又は生育しているユーカリ属木本類の個体を材料とする
場合には、その枝より腋芽を含む組織を調製してこれを
アンチフォルミン等の殺菌剤により殺菌後、固化させた
培地(例えばMurashige ・ Skoog(1962) 、以下『MS培
地』と略記)に置床して照明下で育成することにより腋
芽を伸長させ、次いで、その伸長した腋芽を植物生長調
節物質、例えばサイトカイニンの一種である6−ベンジ
ルアミノプリン0.1 〜 1mg/lを含む組成の固形培地(例
えばMS培地)に移植して培養することにより、複数の
茎葉、即ち多芽体を誘導する。なお、伸長した腋芽を液
体培地(例えば、6−ベンジルアミノプリン0.1 〜 1mg
/lを含むMS培地)で回転培養することによって、分裂
組織の集団−苗条原基−を誘導し、これをその後、例え
ば再び6−ベンジルアミノプリン0.1 〜 1mg/lを含む組
成の固形培地に移植し、静置培養することによっても茎
葉を分化・形成させることができる。また、材料として
種子を用いる場合には、これをMS培地等の適当な固形
培地に播種し、照明下で発芽・育成することにより茎葉
を得て、この茎葉より茎頂あるいは茎頂を含む組織を摘
出する。多芽体の誘導はこの摘出した組織を用い、上記
と同様にしてすることができる。
【0014】次に、本発明の発根・順化工程について説
明すると、以上の方法により得られた茎葉は、無機塩類
を含み、かつ蔗糖等の炭素源を含まない人工液体培地で
湿潤させた多孔性培地支持体に移植することにより、発
根・順化が行なわれる。
【0015】植物は本来、光合成を行っているため、炭
素源として糖を必要としないが、培養組織や培養細胞は
一般に光合成能力が乏しいか、あるいは欠いているた
め、細胞が生育し代謝を行うのに必要な、炭素骨格やエ
ネルギーを生産するための糖を炭素源として培地に加え
ている。しかし本発明においては、炭酸ガスCO2 を付
与することにより培養組織の光合成を活発化させること
で、炭素源としての糖を必要としない。よって、本発明
の発根・順化工程は、無機塩類とビタミン類のみの液体
培地で行う。この場合、多量必須元素(H、O、N、
P、K、S、Ca、Mg)と7種類の微量元素(Fe、
Mn、Cu、Zn、Mo、B、Cl)を含む試薬を組み
合わせて人工液体培地を調製するが、本発明において
は、培地組成としてMS培地の他、Gamborg B5培地等
の既知のものや、これらを1/2に希釈したものも用い
ることができる。
【0016】なお、本発明においては、培地に炭素源と
しての糖を必要としないため、蔗糖を添加しないが、こ
れにより、非無菌下で通常設備を用いて発根・順化を行
うことが可能となる。また、生長促進のための植物生長
調節物質として使用するオーキシン類としては、インド
ール酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸、インドール酢酸
(IAA)、ジクロロ酢酸等を用いることができる。発
根の促進を目的とした場合、これらは、培地中への添加
量が0.01〜10mg/lとなる範囲でその効果を発揮すること
ができる。
【0017】これらの無機塩類等からなる人工液体培地
で湿潤する、空隙を有する培地支持体としては、ロック
ウール、パルプ、フェノール樹脂、ピートモス、バーミ
キュライト、セラミックファイバー等を用いることがで
きる。
【0018】従来、植物の組織培養において一般に利用
されてきた寒天、ゲランガム等で固化した培地では、発
根形成率が極めて悪かった。また、培地中に空隙が全く
存在しないことから、ユーカリ属木本類では細根の形成
が著しく少なく、しかもこれを順化のためにポット等に
移植するとき、寒天等の固化剤を洗い流すことで根が傷
つけられ、こうしたことなどが原因となって、順化工程
で苗の枯死が多く発生した。しかし本発明においては、
糖を添加しないで炭酸ガスCO2 を付与することで培養
組織に光独立栄養を行わせ、しかも空隙を有する培地支
持体を使用することにより、旺盛な根の形成と、葉にお
いては正常な気孔の形成がなされ、さらに得られる苗
は、培地支持体ごと扱える、いわゆるプラグ苗とするこ
とができるのでポット等への移植も容易となる。また、
得られたクローン苗の生長も良く、最終的に強健なユー
カリ属木本類クローン苗の作出が達成される。
【0019】なお、発根・順化工程における光条件とし
ては、照度1000〜6000ルクスの範囲が好ましい。この場
合、照度が1000ルクス以下の場合は、光合成が活発に行
われず形態的にはカルス化が生じ、一方、照度が6000ル
クス以上の場合は、生育阻害を起こし、その上経済的に
も不利となる。また温度条件としては、ユーカリ属木本
類が特に温暖な気候を好み、温度18〜28℃の範囲内で旺
盛に生育することから、22〜26℃の範囲が好ましい。
【0020】さらに炭酸ガス濃度としては、200 〜 350
0ppmが好ましい。炭酸ガス濃度200ppm以下では活発な光
合成は行われず、他方 3500ppm以上としても、その効果
は向上しないからである。発根・順化工程において、通
常の密閉型の培養容器などを使用する場合、容器中の炭
酸ガス濃度は、培養組織の生長に伴い100ppm以下に低下
し、光合成能も低下する。このためこの工程は従来、蔗
糖等の炭素源を添加し、供給する、いわゆる従属栄養条
件下で行われてきた。
【0021】また、発根・順化工程における湿度として
は、70〜 100%の多湿下が好ましい。湿度70%以下では
蒸散が激しく枯死する場合が多いことから好ましくな
く、70%以上の条件下で生育が旺盛となる。光条件は、
明期16時間、暗期 8時間で行う。明期に光合成が行われ
るため、明期のみ炭酸ガス濃度を上記の範囲内に制御す
ることにより、これを活発に行わせ、強健な苗を作出す
ることができる。それ以上の炭酸ガスの付与は経済的に
も不利である。以下、実施例により本発明をさらに詳細
に説明する。
【0022】
【実施例】
[実施例1]E.シトリオドーラ成木(8年生)の当年
性の枝を採取して腋芽を含む組織に調製し、これを有効
塩素濃度1%で15分間殺菌処理した後、6−ベンジルアミ
ノプリン(BAP) 0.1mg/lを含むMS固体培地(ゲラ
ンガム 0.25%添加)に置床したところ、約1カ月で腋芽
が伸長すると共に、組織によっては新たに腋芽が発生、
伸長した。
【0023】これらの伸長した腋芽を、BAP 0.2mg/l
を含むMS固体培地(同上)に置床したところ、約1ヶ
月経過した時点より多芽体を形成した。形成した多芽体
は、1ヶ月ごとに植え継ぐことで増殖する一方、その個
々の茎葉は伸長を続けた。この伸長した茎葉を切りと
り、1/2濃度に希釈した蔗糖を含まないMS培地にI
BAを各 0、0.01、0.02、0.2mg/l 添加した培養液で湿潤
させたロックウールに、それぞれ植え付け発根・順化を
行った。
【0024】発根・順化のための培養環境条件は、非無
菌下、温度24℃±1 ℃、照明16時間日照で約2000ルク
ス、湿度80%±10%、炭酸ガス濃度300ppm±100ppmに制
御して行った。また比較対照として、培地支持体にゲラ
ンガムを用いた方法と炭酸ガスを制御しない方法とを、
植物生長調節物質としてIBAを0.02mg/l添加した培養
液を用いた場合につき、その他の培養環境条件を同一と
して行った。
【0025】発根形成は、IBA0.01〜0.2mg/l を含む
培養液で湿潤させたロックウール培地を用い、炭酸ガス
を制御した試験区において、約2〜3週間後に90%以上
の割合で観察され、中でも、IBA 0.1〜0.2mg/l を含
む培養液を用いた場合に、良好な形態をした苗が得られ
た。発根形成した株は植え付け後約4週間目に、培地支
持体をつけたままで育苗ポットに用土を用いて移植し、
以後、温室で通常の育成を行ったが、約1ヶ月で地上高
が15cmに生育し、植林可能な苗とすることができた。結
果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1に示すように、最終的な苗化率は、炭
酸ガスを制御し、ロックウール培地を用いた試験区にお
いては、IBAを全く添加しなかった場合でも70%以上
であったのに対し、ゲランガム培地で行った比較対照区
では約10%と極めて低いものであった。また、炭酸ガス
濃度を制御していない比較対照区では、全く発根形成が
みられず、苗化率は0%であった。なお、ここで用いて
いる苗化率とは、試験に供した茎葉個体から発根形成を
経て育苗ポットに移植し、温室で健全に生育した個体の
割合である。
【0028】再生した植林用苗を屋外へ植栽したとこ
ろ、実生苗に較べて生長性が均一でその生長も旺盛であ
った。
【0029】[実施例2]実施例1と同様にして得られ
た多芽体より伸長した茎葉を切りとり、1/2濃度に希
釈した蔗糖を含まないMS培地にIBAを 0.2mg/l添加
した培養液で湿潤させたパルプに植え付けた。
【0030】非無菌下、その他の培養環境条件を温度24
℃±1 ℃、照明16時間日照で約 2000 ルクス、湿度80%
±10%、炭酸ガス濃度 300ppm ±100ppmに制御して発根
・順化を行ったところ、約2〜3週間で発根形成が観察
され、この発根した株を培養開始後約4週間目に培地支
持体ごと育苗ポットに移植し、通常の育成を行なうこと
により、1ヶ月後には地上高15cmを有する植林用苗が取
得できた。なおこの場合も、茎葉からの苗化率は95%と
極めて高いものであった。
【0031】[実施例3]E.グロブルス成木(6年
生)の当年生の枝を採取して腋芽を含む組織を調製し、
これを有効塩素濃度1%で20分間殺菌処理した後、BAP
0.1mg/lを含むMS固体培地(寒天 0.85%添加)に置床
することにより、約1ヶ月で伸長した腋芽を得た。
【0032】この腋芽を、やはりBAP 0.1mg/lを含む
MS固体培地(ゲランガム 0.25%添加)に移植したとこ
ろ、約1ヶ月経過した時点より、基部から新たな茎葉が
発生し、多芽体を形成した。形成した多芽体を、カイネ
チン0.2 〜1.0mg/l を含むMS固体培地(同上)に移植
し、さらに1ヶ月ごとに植え継ぐことで増殖させつつそ
の個々の茎葉を伸長させた。この伸長した茎葉を切り取
り、1/4濃度に希釈した蔗糖を含まないMS培地にI
BA 1.0mg/l、もしくは5、6−ジクロロインドール酢
酸(Cl2 −IAA)0.2、0.5、1.0mg/l 、またはインド
ール酢酸(IAA)10mg/lをそれぞれ単独に添加した培
養液で湿潤させたフェノール樹脂発泡成型品(商品名
『オアシス』、日本曹達(株)製)に植え付け、発根・
順化を行った。
【0033】発根・順化のための培養環境条件は、非無
菌下、温度24℃±1 ℃、照明16時間日照で5000ルクス、
湿度80%以上、炭酸ガス濃度 300、1000、3000±100ppmに
制御して行った。また、比較対照として炭酸ガスを制御
しない方法を、植物生長調節物質としてCl2 −IAA
を 0.2または0.5mg/l 添加した培養液を用いた場合につ
き、その他の培養環境条件を同一として行った。
【0034】植え付けた茎葉は、比較対照区を除き約4
週間で発根形成が観察されたので、これらを培地支持体
に付けたまま、育苗箱に用土を用いて移植し、以後、温
室で通常の育成を行ったところ、約1ヶ月半で地上高が
20cmに生育し、植林可能な苗とすることができた。表2
にこれらの結果を示す。苗化率の定義は実施例1と同様
である。
【0035】
【表2】
【0036】表2より明らかなように、苗化率は、炭酸
ガスを制御した試験区において、最低でも35%以上であ
ったのに対し、炭酸ガスを制御しない比較対照区におい
ては、ここでもやはり全く発根形成がみられず、苗化率
は0%であった。
【0037】なお、再生した植林用苗を屋外に植栽した
ところ、実生苗に較べて形態及び生長性が均一で生長も
旺盛であった。
【0038】以上説明したごとく、本発明においては、
従来の培養方法による発根・順化工程を簡略化するのみ
ならず、発根後の培地の洗い落とし等の手間を一挙に省
略すると共に、その実施にあたり特別な設備を要しない
ため、極めて簡便にユーカリ属クローン苗の生産が可能
となる。また、発根形成した小植物体は、培地支持体ご
と育苗ポットに移植することで、適当な用土等を用いて
実生苗と同様に生育させることができることから、優良
形質を備えたパルプ材等を大量に供給するという観点か
らも、その林業的価値は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 邦睦 山口県岩国市飯田町2丁目8番1号 日本 製紙株式会社岩国技術研究所内 (72)発明者 田中 道男 香川県木田郡三木町平木644番地2

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユーカリ属木本類の各器官を無菌的に培
    養することにより得られた多芽体から得られた茎葉、ま
    たは無菌的に育成された茎葉を、無機塩類を含み、かつ
    蔗糖等の炭素源を含まない人工液体培地で湿潤させた多
    孔性培地支持体に移植し、非無菌下で照明下、湿度及び
    炭酸ガス存在下にて発根・順化を行うことを特徴とす
    る、ユーカリ属木本類クローン苗の大量生産方法。
  2. 【請求項2】 多孔性培地支持体が、ロックウール、パ
    ルプ、フェノール樹脂、ピートモス、バーミキュライ
    ト、セラミックファイバーのいずれかである、請求項1
    記載のユーカリ属木本類クローン苗の大量生産方法。
  3. 【請求項3】 湿度70〜100%、炭酸ガス濃度 200〜3500
    ppm で発根・順化を行う、請求項1または2記載のユー
    カリ属木本類クローン苗の大量生産方法。
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