JPH06181655A - ヒマラヤザクラの増殖法 - Google Patents

ヒマラヤザクラの増殖法

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JPH06181655A
JPH06181655A JP29265392A JP29265392A JPH06181655A JP H06181655 A JPH06181655 A JP H06181655A JP 29265392 A JP29265392 A JP 29265392A JP 29265392 A JP29265392 A JP 29265392A JP H06181655 A JPH06181655 A JP H06181655A
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JP
Japan
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medium
shoot
rooting
shoots
plant
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JP29265392A
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English (en)
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Tetsuya Hirata
哲也 平田
Yutaka Yamamoto
豊 山本
Masataka Somegou
正孝 染郷
Yoshitada Yamagishi
善忠 山岸
Shigeyoshi Osawa
重義 大澤
Tatsumi Umada
立己 馬田
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KANKYO RIYOKUKA SHIGEN KAIHATS
KANKYO RIYOKUKA SHIGEN KAIHATSU CENTER KK
UCHIYAMA GREEN KK
Original Assignee
KANKYO RIYOKUKA SHIGEN KAIHATS
KANKYO RIYOKUKA SHIGEN KAIHATSU CENTER KK
UCHIYAMA GREEN KK
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Publication date
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 外植体として茎頂を摘出し外植体からシュー
トを誘導させる第1ステップ、得られたシュートから多
芽体を誘導して増殖を行い、ロゼット化した茎葉を伸長
させる第2ステップ、シュートを発根させて馴化可能な
植物体に育てる第3ステップ、得られた発根個体を外部
環境に対して馴化植物体に育成する第4ステップよりな
るヒマラヤザクラ(Prunus cerasoides D.Don )の苗
木生産において、第3ステップで植物生長調整物質とし
てピロガロールおよびフロログリシノールを用いること
を特徴とするヒマラヤザクラの増殖法である。 【効果】 ヒマラヤザクラを増殖するに当たり、組織培
養技術を用いることによって、同一の遺伝形質を有する
優良な個体を極めて容易にかつ短時日に大量作出するこ
とができ、もってヒマラヤザクラを園芸品種の一つとし
て育成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は組織培養技術を利用して
ヒマラヤザクラをクローン増殖する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、ヒマラヤザクラの繁殖は、主とし
て種子繁殖によって行われており、つぎ木、さし木など
による栄養繁殖による増殖は、種の特性として困難であ
るとされていた。
【0003】ヒマラヤザクラに関する報文は少なく、国
内では本種を紹介した以下の数件の報文があるのみであ
る。
【0004】1) 本田正次、林弥栄:1974年,「日
本のサクラ」,306頁,誠文堂 2) 染郷正孝:1990年,「サクラとコナラの研究物
語(I)林木の育種9−13」 3) 朝日新聞社:1990年,「世界の花(I)」
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ヒマラヤザクラ(P.
cerasoides D.Don )は、ブータンからネパール地方に
かけて分布し、11〜12月開花の秋咲き性である。花はソ
メイヨシノに劣らない形態で美しい。
【0006】本種は、主に種子繁殖によって増殖され、
園芸品種として趣向されることもなく、現在に至ってい
る。また、つぎ木、さし木などの栄養繁殖による増殖も
困難が予想され、優良個体のクローンによる大規模な種
苗生産ができない状況である。
【0007】本発明は、上記の如き実情に鑑み、組織培
養法を用いて同一の遺伝形質を有する優良な個体を大量
に作る技術を確立し、もってヒマラヤザクラを園芸品種
の一つとして育成することを企図したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によるヒマラヤザ
クラの増殖法は、外植体として茎頂を摘出し外植体から
シュートを誘導させる第1ステップ、得られたシュート
から多芽体を誘導して増殖を行い、ロゼット化した茎葉
を伸長させる第2ステップ、シュートを発根させて馴化
可能な植物体に育てる第3ステップ、得られた発根個体
を外部環境に対して馴化植物体に育成する第4ステップ
よりなるヒマラヤザクラ(Prunus cera soides D.Don
)の苗木生産において、第3ステップで植物生長調整
物質としてピロガロールまたはフロログルシノールを用
いることを特徴とするものである。
【0009】第3ステップでは好ましくは暗所処理を行
う。
【0010】特に好ましくは、第3ステップで、WP培
地にピロガロールを添加し暗所処理を行う発根誘導工程
と、暗所処理後にバーミキュライト培地にシュートを移
植し、発根を行う発根形成工程とを行う。
【0011】
【実施例】つぎに、本発明を具体的に説明するために、
本発明の一例を示す実施例を示す。
【0012】ステップ1(茎頂摘出と外植体からのシュ
ートの誘導) ヒマラヤザクラの側枝(径30mm)を長さ30cm程度に
切断し、水を入れたバケツ(水深は約10cm)内に側枝
切断片の下端を浸漬した。こうして、潜伏芽を萌芽させ
て得たシュートの茎頂(0.2〜0.3mm)を外植体と
して摘出した。材料、実験器具などの殺菌工程は2%ア
ンチフォルミン液を用いて常法に従って行った。
【0013】培地組成が植物の成長に及ぼす影響を知る
ため、イオン濃度がそれぞれ異なるガンボルグ(Gambor
g)培地(B−5)とムラシゲ・スクーグ(Murashige and
Skoog) 培地(MS)に、植物ホルモンとして表1に示
した濃度のベンジルアデニン(BA)を添加し、これら
培地を用いてシュートの培養を行った。培地はいずれも
ショ糖を20g/リットル、寒天を7g/リットル添加
して、pHを5.8に調整したものである。培養条件は
温度25℃、照度3400Lux 、16時間日長(明所条
件16時間、暗所条件8時間)とした。
【0014】
【表1】 *資料1参照 上記培養の結果を表2および表3に示す。培地組成が茎
頂の生育に及ぼす影響として、B−5培地では正常なシ
ュートと茎葉の伸長が見られ、MS培地ではシュート及
び茎葉の伸長は見られずにカルス化や枯死した個体が多
く見られた。BAが茎頂の生育に及ぼす影響として、B
−5培地ではBA濃度が多くなるのに従って基部カルス
の肥大化が見られ、展開葉数は逆に低下する傾向があっ
た。
【0015】
【表2】
【表3】 両培地のすべての培養個体はロゼット化すなわちシュー
トが伸長せずに矮縮する傾向がみられ、茎葉の伸長を促
す植物ホルモンの添加が必要と思われる。
【0016】以上の結果から茎頂摘出および外植体から
のシュートの誘導には、無機塩濃度が高いMS培地では
カルス化が生じる傾向が強く茎頂の培養に適さない。そ
こで、無機塩濃度の低いB−5などの培地を用いた方が
よいものと考察される。また、添加する植物ホルモン・
サイトカイニン(例えばBA)の適切な濃度は両培地で
の培養結果から0.5〜1.0mg/リットルであると
考えられる。
【0017】ステップ2(シュートの増殖と伸長) このステップは、ステップ1で得られたシュートより多
芽体を誘導して増殖を行い、ロゼット化した茎葉を伸長
させる工程である。
【0018】茎頂培養によって得た個体を表4に示す培
地にて継代培養し、多芽体の誘導とシュート伸長の実験
を試みた。
【0019】
【表4】 *資料1参照 なお、新たに木本植物の培養に多く利用されているWP
(Woody plant medium1984 : Lloyd and McCown )を
対照培地として用いた。
【0020】実験結果を表5に示す。
【0021】
【表5】 表中の( )は最大数値を示す 表5から、シュート数増加の最適培地はWP培地であ
り、シュート数は1回の継代培養で平均8.43本/2
8日得られることが判明した。
【0022】また、ロゼット化を打破するためシュート
伸長促進剤としてジベレリン(GA3 )を添加し、その
効果を調べた。結果はGA3 を添加したすべての培養条
件でシュートの伸長が見られた。しかし、本実験では添
加量の水準差に対するシュートの伸長差はみられなかっ
た。
【0023】なお、GA3 を異なる濃度で添加した場
合、B−5培地では濃度が高くなるに従い、シュート数
の増加と基部カルスの増殖促進効果がみられ、WP培地
ではGA3 濃度はシュート数や基部カルスの肥大化に関
係なく一定であった。しかし、WP培地ではガラス化
(Vitrification )した個体の発生がみられた。
【0024】各培地を用いて培養した個体の生長活性を
肉眼観察により評価すると、B−5培地に比べWP培地
を用いて得た個体が優れていた。
【0025】培養特性については、培養結果の優れてい
たWP培地について検討した。その結果を表6に示す。
特性として1バッチの培養でシュート伸長量の対数増殖
期は28日でピークに達し、それ以降は定常にて推移す
ることが判明した。また日数が28日を経過するとエチ
レンガスなどの発生によりシュート先端部から枯死する
個体がみられた。
【0026】シュート数の増殖量は対数増殖期のピーク
となる28日で平均8.43本(No. 3培地)得られる
ことから、4回の継代培養を順調に行えば約5000本
のシュートが得られることになり、この方法は極めて効
率が高い増殖法と言える。
【0027】
【表6】 WPM ;Woody plant medium BA ;Benzyladenine GA3 ;Gibberellic acidステップ3 (シュートからの発根) このステップは、ステップ2で得たシュートを発根させ
て馴化可能な植物体に育てる工程である。
【0028】インドール酪酸(IBA)を0.1mg/
リットル添加したWP培地を基本培地として、シュート
に暗所処理を行う実験区を設定し、シュートに発根処理
を施した。暗所処理後は、ホルモンフリーのWP培地に
移植した。この結果を表7に示す。
【0029】
【表7】 表7から明らかなように、暗所処理を行うことにより発
根率が高まる傾向がみられ、特に7日間処理が良好であ
り、発根率は33.3%であった。この結果より、暗所
処理は、発根率の向上に有効な方法であることが判っ
た。
【0030】さらに発根率を高めるため、7日間暗所処
理に用いる植物生長調整物質の種類を検討した。植物生
長調整物質としては、インドール酪酸(IBA)、ナフ
タレン酢酸(NAA)、ピロガロールおよびフロログル
シノールの4種類を用い、上記と同じ処理により発根率
を調べた。この結果を表8に示す。
【0031】
【表8】 表8から4種類の植物生長調整物質の中で最も効果がみ
られたものは、ピロガロールであり、50%の発根率を
示した。また、ピロガロールまたはフロログルシノール
を用いた場合には、シュートの基部にカルス形成がみら
れず、根の生長も良好であった。オーキシンであるIB
AとNAAは、シュートの基部がカルス化する傾向が強
く、根が枯死するなどの生長不良が多くみられた。この
結果より、ピロガロールやフロログルシノールなどのポ
リフェノール物質を暗所処理の過程において培地に添加
することにより、発根率が高められる効果があることを
見出した。
【0032】つぎに、発根率および根の伸長が良好であ
ったピロガロールを用いて、その添加濃度の検討を行っ
た。その結果を表9に示す。
【0033】
【表9】 表9に見られるように、最も良好な発根率は50mg/
リットル添加区における70.6%であり、次に良好な
発根率は75mg/リットル添加区における50.0%
であった。この結果より、ピロガロールの適切な添加濃
度は50〜75mg/リットルの範囲であることが判
る。
【0034】つぎに、暗所処理後の移植培地の種類につ
いて検討を行い、発根率向上を試みた。培地として、ホ
ルモン無添加のWP培地と、蒸溜水を含むバーミキュラ
イト培地を用い、暗所処理7日後のシュートをこれらの
培地に移植した。その結果表10に示す。
【表10】 暗所処理後の移植培地として、蒸溜水を含むバーミキュ
ライト培地は92%の発根率を示し、ホルモン無添加の
WP培地より優れた結果を示した。
【0035】以上の結果、ステップ3の発根工程は、W
P培地にピロガロールを添加し暗所処理を行う発根誘導
工程と、暗所処理後にバーミキュライト培地にシュート
を移植し、発根を行う発根形成工程の2つの工程を行う
ことにより、多数の発根個体が得られ、馴化可能な根が
形成できることが明らかとなった。
【0036】
【表11】 ステップ4(試験管内から外部環境への馴化) このステップは、ステップ3で得られた発根個体を外部
環境に対して馴化植物体に育成する工程である。
【0037】すなわち、バーミキュライト培地に移植後
発根個体が得られた時点で、バーミキュライトとピート
モスとパーライトを容量比で1:1:1の割合で混合し
た培土入りのポットに幼植物体を移植してミスト下に置
き、徐々に潅水回数を減らすことにより、2週間後には
馴化が完了し、全数着床し、健全個体が得られた。
【0038】
【発明の効果】従来、つぎ木、さし木などの栄養繁殖法
による増殖が困難であったヒマラヤザクラを増殖するに
当たり、組織培養技術を用いることによって、同一の遺
伝形質を有する優良な個体を極めて容易にかつ短時日に
大量作出することができ、もってヒマラヤザクラを園芸
品種の一つとして育成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 染郷 正孝 茨城県牛久市牛久町2606−24 (72)発明者 山岸 善忠 広島県三原市須波西町765−676 (72)発明者 大澤 重義 大阪府高槻市安岡寺町1−4−18 (72)発明者 馬田 立己 福岡県浮羽郡田主丸町大字地徳3558−1

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外植体として茎頂を摘出し外植体からシ
    ュートを誘導させる第1ステップ、得られたシュートか
    ら多芽体を誘導して増殖を行い、ロゼット化した茎葉を
    伸長させる第2ステップ、シュートを発根させて馴化可
    能な植物体に育てる第3ステップ、得られた発根個体を
    外部環境に対して馴化植物体に育成する第4ステップよ
    りなるヒマラヤザクラ(Prunus cerasoides D.Don )
    の苗木生産において、第3ステップで植物生長調整物質
    としてピロガロールまたはフロログルシノールを用いる
    ことを特徴とするヒマラヤザクラの増殖法。
  2. 【請求項2】第3ステップで暗所処理を行う請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】第3ステップで、WP培地にピロガロール
    を添加し暗所処理を行う発根誘導工程と、暗所処理後に
    バーミキュライト培地にシュートを移植し、発根を行う
    発根形成工程とを行う請求項1記載の方法。
JP29265392A 1992-10-30 1992-10-30 ヒマラヤザクラの増殖法 Pending JPH06181655A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4916502A (en) * 1987-02-25 1990-04-10 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Semiconductor device to be coupled with a control circuit by a photocoupler
CN103155867A (zh) * 2011-12-10 2013-06-19 天水市果树研究所 大樱桃砧木g-7快速繁殖方法
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Effective date: 20020709