JPH0824937A - 鋼板表面の清浄方法 - Google Patents

鋼板表面の清浄方法

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JPH0824937A
JPH0824937A JP16540894A JP16540894A JPH0824937A JP H0824937 A JPH0824937 A JP H0824937A JP 16540894 A JP16540894 A JP 16540894A JP 16540894 A JP16540894 A JP 16540894A JP H0824937 A JPH0824937 A JP H0824937A
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nozzle
steel sheet
steel
scale
liquid
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JP16540894A
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English (en)
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Masuhito Shimizu
益人 清水
Naotoshi Aoyama
直俊 青山
Akio Adachi
明夫 足立
Hiroyuki Ogawa
博之 小川
Hiroshi Kuwako
浩 桑子
Masashi Shiraishi
昌司 白石
Norio Kanemoto
規生 金本
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Kawasaki Steel Corp
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】熱間圧延前の鋼板表面からスケールを除去する
のに好適な鋼板表面の清浄方法を提供する。 【構成】広がり角度30度をもつデスケーリング用のフ
ラットスプレーノズルを使用し、このノズルから鋼板表
面までの距離を100mmにした。また、鋼板の温度を
850℃以上、水の吐出圧力が300kg/cm2 以上
にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼板表面を清浄にする
鋼板表面の清浄方法に関し、例えば、熱間圧延前の鋼板
表面からスケールを除去するに当たって好適に使用され
る鋼板表面の清浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延による熱延鋼板の製造に当たっ
ては、素材スラブを酸化性雰囲気の加熱炉に装入し、通
常1100〜1400℃で数時間にわたり加熱し、粗圧
延機で熱間圧延する。数時間の高温加熱によって素材ス
ラブの表面に一次スケールが生成するが、この一次スケ
ールが十分剥離されないままの状態で素材スラブが熱間
圧延されると、製品の表面にスケールが食い込みスケー
ル疵となって残る。このようなスケール疵が発生すると
表面性状が著しく損なわれると共に曲げ加工の際等にク
ラックの起点となるため、製品の品質に重大な弊害を及
ぼす。そこで、スケール疵の発生を防止する方法が従来
から提案されており、例えば、約100〜150(kg
/cm2 )の圧力で水を噴射する水ジェットデスケーリ
ング装置(以下、デスケーラーと呼ぶ)を圧延ラインに
配置し、このデスケーラーから鋼板表面に高圧水を噴射
し、鋼板表面に生成されたスケールを剥離・除去した後
に圧延する方法が知られている。
【0003】しかし、スケール剥離性の良否は、水圧等
のデスケーラーの操業条件の他にスケールの性状、即ち
スケールの組成や構造等によって強く影響される。特
に、Si(シリコン)含有量の多い鋼に生成する一次ス
ケールは、甚だしく剥離しがたくなることが知られてい
る。この原因は、高温加熱によって鋼が酸化される際
に、鋼中のSiが選択酸化を受けて熱可塑性の大きい2
FeO・SiO2 (フェヤライト)の組成が生成され、
鋼との界面が複雑に入り組んだ特有な構造のサブスケー
ル層が形成されるからである。例えばSiを0.1%以
上含有する鋼を熱処理すると、上記したサブスケールの
生成量が著しく多くなる。このサブスケールは上述した
ように容易に除去できないため、圧延後の製品表面に無
数のスケール疵が残り、製品の商品価値を著しく低下さ
せる。また、一次スケールを除去した後に生じる二次ス
ケールは、上記した高圧水を噴射する方法では十分に剥
離されず、この結果、スケール疵が発生することが多
い。
【0004】上記の問題を解決する技術として、特公昭
60−1085号公報に「Si0.10〜4.00%含
有の鋼からなるスラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造す
るに際し、圧延開始時点から起算した累積圧下率が65
%以上となり、かつ鋳片温度が1000℃以上にある圧
延期間内において、80〜250kg/cm2 の高圧水
ジェットによるデスケーリングを累積時間にして0.0
4秒以上施すことを特徴とする含Si鋼の熱間圧延時の
デスケーリング方法」が開示されている。また、特開平
4−238620号公報には「難剥離性スケール鋼種に
熱間圧延を施して熱延鋼板を製造するに際し、仕上げ圧
延前に、単位散布面積あたりの衝突圧が20g/mm2
以上40g/mm2 以下で、かつ流量が0.1リットル
/min・mm2 以上0.2リットル/min・mm2
以下の高圧水スプレーを鋼板表面に噴射することを特徴
とするデスケーリング方法」が開示されている。
【0005】また、難剥離性スケールを剥離・除去する
ためのノズルとして、特開平5−261426号公報に
「整流液流路が長尺に構成されてなるデスケーリングノ
ズル」が提案されており、整流器を有するデスケーリン
グノズルは、従来のノズルに比べ衝突力が増加するた
め、難剥離性スケール鋼種に対し有効であることが開示
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
技術のうち特公昭60−1085号公報に開示された技
術では、1000℃以上という高温のFET(Fini
sher EntryTemperature:仕上圧
延直前温度)を確保する必要があるため、加熱炉から高
温で鋼板を抽出することが必要となり、原単位が悪化し
たりスケールロスが増加するという問題がある。しか
も、圧下率やデスケール時間に種々の制約が生じ、圧延
作業も繁雑になる。
【0007】また、上記した特開平4−238620号
公報に開示された技術では、高圧水スプレーの衝突圧及
び水量密度が規定されており、瞬間的な衝突力によりス
ケールの剥離が行われ、スケールの剥離量は、高圧水ス
プレーの衝突圧に依存すると考えられている。この考え
方については「鉄と鋼」第77年(1991)第9号に
記載された論文「熱間圧延における高圧水脱スケール時
の衝突圧」に詳しく述べられており、この論文には、高
圧水によるスケールの急冷作用に伴う熱膨張差と各種の
鋼に生成されたスケールを剥離するための最低衝突圧と
を考慮することにより良好な脱スケールが実施されるこ
とが開示されている。しかし、上記の技術によればスケ
ールのうち大部分のものが剥離されるが、地金に食い込
むような構造を持つものは除去されずに残る。このた
め、圧延後にも赤スケールと呼ばれるスケール疵が残
り、このスケール疵はSi含有量が多くなるほど顕著に
なるという問題がある。
【0008】また、上記した特開平5−261426号
公報には、整流器付きデスケーリングノズルの構造や性
能については開示されているが、例えばノズルと鋼板表
面との最適距離など、熱延工場における使用方法は開示
されていない。本発明は、上記事情に鑑み、例えば熱間
圧延前の鋼板表面からスケールを除去するのに好適な鋼
板表面の清浄方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために種々の実験・研究を行った結果、ウォ
ータージェットに存在する衝撃力が、鋼板表面を清浄に
するために使用するデスケーリング用スプレー等のスプ
レーにも存在することを確認し、この衝撃力がデスケー
リング等の鋼板表面の清浄に効果的に作用することに着
目し、本発明をなすに至った。
【0010】具体的には、上記目的を達成するための本
発明の鋼板表面の清浄方法は、ノズルから吐出させた液
体を鋼板の表面に衝突させて該表面を清浄にする鋼板表
面の清浄方法において、前記鋼板の表面の温度を850
℃以上にし、前記ノズルから吐出させた前記液体の流れ
のうち液滴流領域で生成した液滴を前記鋼板の表面に衝
突させて清浄にすることを特徴とするものである。
【0011】また、上記目的を達成するための本発明の
鋼板表面の清浄方法は、ノズルから吐出させた液体を、
0.5wt%以上のSiを含有する鋼板の表面に衝突さ
せて該表面を清浄にする鋼板表面の清浄方法において、
前記鋼板の表面の温度を850℃以上にし、吐出圧力P
と吐出量Wが下式を満たす条件で前記ノズルから吐出さ
せた液体の流れのうち液滴流領域で生成した液滴を前記
鋼板の表面に衝突させて清浄にすることを特徴とするも
のである。
【0012】P(kg/cm2 )×W(リットル/cm
2 )≧0.8×(wt%Si) ここで、ノズルと鋼板の表面との距離Lを、下式を満た
す範囲内にすることが好ましい。 yL ≦L≦yHH =390000/(x+360)+P/5−960 yL =390000/(x+360)+P/29−96
0 10≦x≦50 P;水の吐出圧力(kg/cm2 ) x;ノズルの拡がり角度(度) また、液体を吐出させるに当たっては、液体を整流させ
た後に吐出させることが好ましい。
【0013】さらに、液体の吐出圧力の増減に応じて、
以下の式に従ってノズルと鋼板との距離を増減すること
が好ましい。 L=y y=390000/(x+360)+P/10−960
【0014】
【作用】本発明によれば、温度を850℃以上にした鋼
板表面に、液滴流領域で生成した液滴を衝突させるの
で、地金に食い込むような構造を持つスケールであって
も除去でき、鋼板表面を清浄にすることができる。ま
た、0.5wt%以上のSiを含有する鋼板の場合は、
吐出圧力Pと吐出量Wが所定の条件を満たすように液体
を吐出させて鋼板表面に衝突させるので、含有Siによ
り、鋼との界面が複雑に入り組んだ特有な構造のサブス
ケール層が形成されても、このサブスケール層を除去し
て鋼板表面を清浄にすることができる。
【0015】ここで、ノズルと鋼板表面との距離Lを上
記した所定範囲内にすることで、液体の吐出圧力に応じ
た最適な距離を設定でき、効率よく鋼板表面を清浄にで
きる。また、液体を整流させた後に液体を吐出した場合
は、整流させない場合に比べノズルと鋼板表面の距離L
が長くなるので、鋼板によるノズルの破損等を防止でき
る。
【0016】さらに、液体の吐出圧力の増減に応じてノ
ズルと鋼板の距離を増減した場合は、液体の吐出圧力に
応じた最適な距離を設定でき、効率よく鋼板表面を清浄
にできる。次に、ウォータージェットについて説明す
る。ウォータージェットの壊食作用については、「ウォ
ータージェット技術辞典」(日本ウォータージェット学
会編;丸善株式会社出版)に詳しく述べられている。図
1はウォータージェットの気中高速水噴流特性を示す模
式図である。ウォータージェットでは、図1に示される
気中高速水噴流特性の液滴流領域における液滴が被衝突
材に衝突すると、液滴の急圧縮により衝撃波を発生し、
この衝撃波による水撃作用によって被衝突材を壊食する
という特徴があり、衝突面での圧力上昇は噴射圧力の数
倍以上に達することが確認されている。
【0017】図2(a)はウォータージェットに使用さ
れる噴流型ノズルの概略、(b)は熱間圧延で使用され
るデスケーリング用のフラットノズルの概略を示す斜視
図である。図2に示されるように、熱間圧延で使用され
るデスケーリングノズル10では、ウォータージェット
に使用される噴流型ノズル12と異なり、熱延材の全幅
に水をかけることが必要とされる。このため、一般的に
フラットスプレーノズルと呼ばれるノズルを熱延材の幅
方向に設置して噴射した水14を熱延材の幅方向に広げ
ている。
【0018】次に、本発明の基礎となった実験について
説明する。この実験では、フラットスプレーノズルを用
いてウォータージェットと同様にアルミニウム板の壊食
実験を実施した。実験では、広がり角度30度をもつフ
ラットスプレーノズルを用いて水の吐出圧力450kg
/cm2 、流量100リットル/minとし、ノズルと
アルミニウム板との距離(スプレー距離)を変えて30
秒間に壊食された量を測定した。この測定は、実験前後
のアルミニウム板の重量差を求めることにより行った。
実験結果を図3に示す。ウォータージェットの場合と同
様にフラットスプレーノズルにおいても連続流領域・液
滴流領域・液滴の拡散領域が存在し、明らかな壊食ピー
クが存在することが判明した。
【0019】次に、上記の実験と同じノズルを用いてA
l5052をサンプルにして水の吐出圧力を変えて実験
した。図4は実験結果を示しており、縦軸、横軸は図3
と同じである。図4によれば、水の吐出圧力の上昇に伴
い壊食ピークの位置20がノズルよりも遠い方に移動し
ており、壊食ピークの位置の変化が圧力に比例している
ことがわかる。
【0020】ここで、図3及び図4の実験に用いたAl
の成分と物性値を表1及び表2に示す。図3の実験では
表1に示す純Al、図4の実験では表2に示すAl50
52を用いた。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】上記の実験と同じノズルを用いてAl50
52をサンプルにして水の吐出圧力を450kg/cm
2 とし、水の拡がり角度と壊食ピークの位置(ノズルか
らの距離、最適距離)との関係を求めた。この結果を図
5に示し、縦軸は最適距離を表す。広がり角度、水の吐
出圧力、及び壊食ピークの位置の関係は、図4,図5か
ら、 y=390000/(x+360)+P/10−960 と表せる。
【0024】ここで、y;最適距離(mm) x;脱スケール用ノズルの広がり角度(degree:
度) P;水の吐出圧力(kg/cm2 ) また、上式の適用範囲は、10度≦x≦50度となる。
図4から、水の吐出圧力に応じて壊食ピークの位置が変
化することが確認できると共に壊食ピークの位置の周辺
にはピークの壊食量に比べ、壊食力があまり劣らない範
囲が存在することがわかる。従って、図4によれば、フ
ラットスプレーノズルの壊食力が壊食ピーク値の5割以
上になる範囲は、 yL ≦フラットスプレーノズルと板表面との距離≦yHL =390000/(x+360)+P/5−960 yH =390000/(x+360)+P/29−96
0 であることが判る。
【0025】また、フラットスプレーノズルから吐出し
た水は、板表面の幅方向にわたって均一流量分布を得る
ことが前提であるため、水の広がり角度が10度より小
さいフラットノズルを採用するとノズルの個数が増大す
る。一方、吐出した水の広がり角度が50度よりも大き
くなると、ノズルの個数は減少するが角度が広すぎるた
め板表面の幅方向の均一流量分布が得られ難くなるとい
う欠点を有している。そこで、ノズルの広がり角度を1
0度以上50度以下に限定した。また、ノズルと板表面
との距離については、ノズルが板表面に近すぎるとノズ
ルが板表面に接触して破損したり、板表面に疵が発生す
るなどが懸念される。このため、両者をなるべく離して
いる方が望ましいが、上記の衝撃力を有効に発生させる
ことがデスケーリング等の板表面の清浄に非常に重要で
ある点から考えて、実機の設計においては、壊食のピー
ク位置とこのピーク位置よりも遠い位置でまだ衝撃力が
有効に発揮される位置との間の範囲に設定することが望
ましい。
【0026】また、スプレーの吐出条件(例えば、吐出
圧力)にあわせ、ノズルと板表面との最適な距離を設定
することにより、一層有効なデスケーリングを実施する
ことができる。次に、整流器つきフラットスプレーノズ
ルと整流器無しフラットスプレーノズルでアルミニウム
板の壊食実験をした結果を示す。実験では、広がり角度
30度をもつフラットスプレーノズルを用いて水の吐出
圧力450kg/cm2 、流量100リットル/min
とし、ノズルとアルミニウム板との距離(スプレー距
離)を変えて30秒間に壊食された量を測定した。この
測定は、上述のように、実験前後のアルミニウム板の重
量差を求めることにより行った。実験結果を図6に示
す。上述したように、ウォータージェットの場合と同様
にフラットスプレーノズルにおいても連続流領域・液滴
流領域・液滴の拡散領域が存在し、明らかな壊食ピーク
が存在することが判明した。また、整流器の効果につい
てみると、整流器のない従来のノズルでは、壊食ピーク
のスプレー距離が50mm付近にあって、ノズルと板表
面との距離はかなり近い。このため、板の振動や厚みの
変化によりノズルと板が接触する可能性がかなり高くな
り、ノズルの破損や板に疵が発生する等が懸念されるス
プレー距離であることがわかる。一方、整流器つきノズ
ルでは、壊食がピークとなるノズルの位置は板表面から
離れているため、ノズルの破損や板に疵が発生する等を
防止できる。
【0027】次に、鋼板表面を清浄するに当っての鋼板
表面の上限温度について説明する。デスケーラーによる
壊食の点からは、鋼材の温度が高い方が材質の強度が落
ちるため、有利である。しかしながら現実的には温度の
上昇は加熱炉の燃料原単位の上昇及び加熱炉内でのスラ
ブの酸化ロスの増大を招くため望ましくない。そのため
現実的には加熱炉で材質的に必要とされる抽出温度が律
速となり、デスケーラーの条件はその抽出温度に合わせ
たものとなる。
【0028】一般的には加熱炉の抽出温度は最高で13
00℃であり、これが実質上の最高温度となる。また、
仕上げ圧延機の前でデスケーリングを実施する場合はや
はり材質的な温度の下限が存在するが、上限については
明確には存在しない。しかし、この温度の上昇も、上記
と同様に、燃料原単位の上昇及び加熱炉内でのスラブの
酸化ロスの増大を招くため望ましくない。この温度は実
質的には最高で、1100℃程度である。
【0029】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の鋼板表面の清
浄方法の実施例を説明する。ここでは、本発明の鋼板表
面の清浄方法を、高温の鋼板表面からスケールを剥離・
除去するデスケーリングに適用した例を説明する。先
ず、図7を参照して、SS400の鋼板からスケールを
除去した実験を説明する。図7は実験結果を示すグラフ
であり、横軸は鋼板の表面温度を表し、縦軸は壊食量を
表す。壊食量の測定は、実験前後の鋼板の重量差を求め
ることにより行った。
【0030】この実験では、広がり角度30度をもつデ
スケーリング用のフラットスプレーノズルを使用し、こ
のノズルから鋼板表面までの距離を100mmにした。
図7によれば、鋼板の温度が850℃以上、水の吐出圧
力が300kg/cm2 以上になると鋼板が壊食される
ことが判明した。通常、仕上げ圧延機前のシートバーは
900℃以上の温度であり、このシートバーの表面を確
実に壊食させるためには水の吐出圧力が300kg/c
2 以上必要であることがわかる。
【0031】次に、図8を参照してSiを1.8wt%
含有する鋼板からスケールを除去した実験を従来法と比
較して説明する。この実験は、赤スケールという難剥離
性スケールを生成し易いSi含有鋼に対し、鋼板表面温
度が950℃になるように操業条件を調整した後、壊食
力を利用してデスケーリングを実施したものである。ま
た、この実験では、広がり角度30度をもつデスケーリ
ング用のフラットスプレーノズルを使用し、このノズル
から鋼板表面までの距離を100mmにした。図8は実
験結果を示すグラフであり、横軸は水の吐出圧力と鋼板
の単位表面へ吐出した水量との積を表し、縦軸はスケー
ル面積剥離率を表す。スケール面積剥離率の測定は、実
験前後の鋼板のスケール面積の差を求めることにより行
った。また、鋼板には、Si以外の成分として、0.0
7wt%C、1.7wt%Mnが含有されている。
【0032】図8からわかるように、必要な吐出圧力と
必要な水量(鋼板の単位面積当りへの水の供給量)を設
定することにより良好な脱スケールを実施できる。ま
た、従来法では、メンテナンス性及び鋼板の通過時にデ
スケール用ノズルに鋼板が接触すること等を避けるた
め、一般にノズルと鋼板の距離は200mm以上に設定
されるため、本実験においては200mmに設定した。
一方本発明方法では、図4に示される実験結果に基づい
て距離を設定している。両方法とも流量の変更は、ノズ
ルの口径を変更することにより対応した。図8に示され
るように、本発明法を適用してデスケールを実施した場
合、従来法に比べ明らかにスケールが減少することが判
明した。尚、本発明法では従来法に比べノズルと鋼板と
の距離が近づくため鋼板通過時の接触等への対策が必要
となるが、脱スケール性の向上は顕著であり、その優位
性は明白である。また、水の吐出圧力は、設備のメンテ
ナンス性及び経済性を考慮すると、1000kg/cm
2 未満で十分である。また、Si含有鋼に関する例を示
したが、他の難剥離性スケールに関しても壊食の原理を
利用することで汎用性があることは明らかである。
【0033】次に、図9を参照してSiを0.6wt
%、1.0wt%、1.5wt%含有する3種類の鋼板
からスケールを除去した実験を説明する。図9は実験結
果を示すグラフであり、横軸、縦軸は図8のグラフと同
じである。また、実験条件も、図8の実験と同じであ
る。図9に示されるように、Siの含有量が増加するに
伴って壊食すべき必要量が増加するため、水の吐出圧力
の増加又は水量の増加が必要となる。図9によれば、 水の吐出圧力×鋼板表面へ吐出する水量≧0.8×(%
Si)[kg/cm2×リットル/cm2 ×%Si] とすることにより、0.5wt%以上のSiを含有する
鋼種に対し、赤スケールを完全に除去できることが判明
した。また、水の吐出圧力は、設備のメンテナンス性及
び経済性を考慮すると、1000kg/cm2 未満で十
分である。
【0034】上記実施例は、デスケーリングに使用する
フラットスプレーノズルにおいてもウォータージェット
がもつ衝撃力(水撃力)が存在することを利用し、その
衝撃力を得られる最適距離でデスケーリングを実施した
ものである。この結果、液滴の持つ衝撃力により、スケ
ールならびにその下にある地鉄自身をも壊食できるた
め、地鉄に食い込むようなスケールについても完全に除
去できる。これにより、衝突力を利用してスケールの剥
離を実施する従来法に比べ、スケール面積剥離率が大き
く向上した。
【0035】次に、図10、図11、及び図12を参照
して、水の流れを整流して吐出した実験を説明する。こ
の実験では、鉛板を使用し、広がり角度30度をもつデ
スケーリング用のフラットスプレーノズルを用い、水の
吐出圧力を150kg/cm 2 、鉛板の単位面積当たり
への水の吐出量を78.0リットル/minとし、ノズ
ルから鉛板表面までの距離を変えた。図10は実験に使
用したフラットスプレーノズルを示す概略構成図、図1
1はスプレー距離と壊食量の関係を示すグラフ、図12
は整流距離と壊食のピーク位置との関係を示すグラフで
ある。
【0036】図11、図12に示されるように、整流器
30(図10参照)の長さを長くすると、同じノズル条
件でも壊食のピークを示す位置が変化した。整流距離が
短いと壊食ピークの位置はノズルに近くなり、一方、整
流距離を長くすると次第に壊食ピークの位置はノズルか
ら遠くなるがその値は飽和する傾向にある。デスケーリ
ングを実施する場合、シートバーの下側はロールでプロ
テクトされているが、上側についてはプロテクトされて
いない。このため、変形したシートバーが突っ込んでく
ると、シートバーがノズルチップ32(図10参照)に
衝突し、ノズルを破損するおそれがある。従って、シー
トバーから離れた位置で水を吐出することが望まれる
が、水撃力を発揮しない位置ではデスケーリングの効果
が無くなる。そこで、整流器を設けて、なるべくシート
バーから離れた位置で水撃力を発生するために長尺の整
流器を取り付ける必要があることが判明した。
【0037】次に、Ni含有鋼に本発明の鋼板表面の清
浄方法を適用した実施例を説明する。Ni含有鋼につい
てもSi含有鋼と同様に実験を実施した。Niについて
はSiの含有量よりも高い値で赤スケールが発生する。
図13によれば、Niに対してもSiと同様にスケール
を除去するに必要なデスケーリング条件は以下のように
なる。
【0038】水の吐出圧力×鋼板表面へ吐出する水量≧
0.4×[%Ni] [kg/cm2 ×リットル/cm2 ×%Ni] また、一般的にデスケーリングには、加熱炉出口(粗圧
延機前)でのデスケーリング(RSB;加熱炉内で発生
した一次スケールの除去)と仕上げ圧延機前デスケーリ
ングでの(FSB;二次スケール除去)がある。Si含
有鋼の場合はFSBで高圧のデスケーリングを実施する
ことが必須であるが、普通鋼やその他鋼種においてRS
Bで一次スケールをしっかりと除去することはスケール
傷を無くす上で非常に有効であり、本手法(超高圧デス
ケ)はRSB,FSBいずれに採用しても有効である。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明の鋼板表面の
清浄方法によれば、表面温度を850℃以上にした表面
に液滴流領域の液滴を衝突させるので、従来剥離不可能
であった難剥離性のスケールについて確実に除去するこ
とが可能となり、例えば熱延鋼板におけるスケール疵の
発生を未然に防止することができる。
【0040】また、0.5wt%以上のSiを含有する
鋼板の場合は、吐出圧力Pと吐出量Wが所定の条件を満
たすように液体を吐出させて鋼板表面に衝突させるの
で、含有Siにより、鋼との界面が複雑に入り組んだ特
有な構造のサブスケール層が形成されても、このサブス
ケール層を除去して鋼板表面を清浄にすることができ
る。
【0041】さらに、ノズルと鋼板表面との距離を上記
した所定範囲内にした場合は、液体の吐出圧力に応じた
最適な距離を設定でき、効率よく鋼板表面を清浄にでき
る。さらにまた、液体を整流させた後に液体を吐出した
場合は、整流させない場合に比べノズルと鋼板表面の距
離が長くなるので、鋼板によるノズルの破損等を防止で
きる。
【0042】さらにまた、液体の吐出圧力の増減に応じ
てノズルと鋼板の距離を増減した場合は、液体の吐出圧
力に応じた最適な距離を設定でき、効率よく鋼板表面を
清浄にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウォータージェットの気中高速水噴流特性を示
す模式図である。
【図2】(a)はウォータージェットに使用される噴流
型ノズルの概略、(b)は熱間圧延で使用されるデスケ
ーリング用のフラットスプレーノズルの概略を示す斜視
図である。
【図3】フラットスプレーノズルを用いてアルミニウム
板の壊食実験をした結果を示すグラフである。
【図4】フラットスプレーノズルを使用し、水の吐出圧
力を変えてAl5052製の板の壊食実験をした結果を
示すグラフである。
【図5】フラットスプレーノズルを使用し、水の吐出圧
力を450kg/cm2 としてAl5052製の板をサ
ンプルにした実験結果を示すグラフである。
【図6】整流器つきスプレーノズルと整流器無しスプレ
ーノズルでアルミニウム板の壊食実験をした結果を示す
グラフである。
【図7】SS400製の鋼板からスケールを除去した実
験結果を示すグラフである。
【図8】Siを1.5wt%含有する鋼板からスケール
を除去した実験を従来法と比較して示すグラフである。
【図9】Siを0.6wt%、1.0wt%、1.5w
t%含有する3種類の鋼板からスケールを除去した実験
結果を示すグラフである。
【図10】水の流れを整流させて吐出した実験に使用し
たフラットスプレーノズルを示す概略構成図である。
【図11】図10に示されるフラットスプレーノズルを
使用して実験した結果のうちスプレー距離と壊食量の関
係を示すグラフである。
【図12】図10に示されるフラットスプレーノズルを
使用して実験した結果のうち整流距離と壊食のピーク位
置との関係を示すグラフである。
【図13】Niを1.1wt%、2.0wt%、3.0
wt%含有する3種類の鋼板からスケールを除去した実
験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
30 整流器 32 ノズルチップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足立 明夫 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内 (72)発明者 小川 博之 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内 (72)発明者 桑子 浩 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内 (72)発明者 白石 昌司 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内 (72)発明者 金本 規生 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社鉄鋼開発・生産本部千葉製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルから吐出させた液体を鋼板の表面
    に衝突させて該表面を清浄にする鋼板表面の清浄方法に
    おいて、 前記鋼板の表面の温度を850℃以上にし、前記ノズル
    から吐出させた前記液体の流れのうち液滴流領域で生成
    した液滴を前記鋼板の表面に衝突させて清浄にすること
    を特徴とする鋼板表面の清浄方法。
  2. 【請求項2】 ノズルから吐出させた液体を、0.5w
    t%以上のSiを含有する鋼板の表面に衝突させて該表
    面を清浄にする鋼板表面の清浄方法において、 前記鋼板の表面の温度を850℃以上にし、吐出圧力P
    と吐出量Wが下式を満たす条件で前記ノズルから吐出さ
    せた液体の流れのうち液滴流領域で生成した液滴を前記
    鋼板の表面に衝突させて清浄にすることを特徴とする鋼
    板表面の清浄方法。 P(kg/cm2 )×W(リットル/cm2 )≧0.8
    ×(wt%Si)
  3. 【請求項3】 前記ノズルと前記鋼板の表面との距離L
    を、下式を満たす範囲内にすることを特徴とする請求項
    1又は2記載の鋼板表面の清浄方法。 yL ≦L≦yHH =390000/(x+360)+P/5−960 yL =390000/(x+360)+P/29−96
    0 P:水の吐出圧力(kg/cm2 ) x:ノズルの拡がり角度(度) 10度≦x≦50度
  4. 【請求項4】 液体を整流させた後に前記ノズルから前
    記液体を吐出させることを特徴とする請求項1,2,又
    は3記載の鋼板表面の清浄方法。
  5. 【請求項5】 前記液体の前記吐出圧力の増減に応じ
    て、前記ノズルと前記鋼板との距離を以下の式に従って
    増減することを特徴とする請求項1,2,3,又は4記
    載の鋼板表面の清浄方法。 L=y y=390000/(x+360)+P/10−960
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EP95925117A EP0719602B1 (en) 1994-07-18 1995-07-13 Method and apparatus for washing steel plate surfaces
PCT/JP1995/001397 WO1996002334A1 (fr) 1994-07-18 1995-07-13 Procede et appareil de nettoyage de plaques d'acier
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EP99115141A EP0985462B1 (en) 1994-07-18 1995-07-13 Cleaning method for surface of sheet steel
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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