JPH08248401A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

Info

Publication number
JPH08248401A
JPH08248401A JP18477095A JP18477095A JPH08248401A JP H08248401 A JPH08248401 A JP H08248401A JP 18477095 A JP18477095 A JP 18477095A JP 18477095 A JP18477095 A JP 18477095A JP H08248401 A JPH08248401 A JP H08248401A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
film
plastic
crystal display
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18477095A
Other languages
English (en)
Inventor
Mamoru Sekiguchi
守 関口
Takao Minato
孝夫 湊
Ryukichi Matsuo
龍吉 松尾
Toshiaki Yoshihara
俊昭 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP18477095A priority Critical patent/JPH08248401A/ja
Publication of JPH08248401A publication Critical patent/JPH08248401A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスチックフィルムを基材とし表示素子自
体の変形や表示欠陥等が起こり難くかつ表示性能の向上
が図れる液晶表示素子を提供する。 【構成】 プラスチックフィルム1,1'の片面に電極2,2'
と配向膜3,3'を有しその配向膜を内側にして対向配置さ
れた一対のプラスチック基板と、これ等プラスチック基
板間に封入された液晶物質5とを備え、かつプラスチッ
ク基板の少なくとも一方の電極が透明である液晶表示素
子であって、上記プラスチックフィルムの少なくとも電
極側片面に無機薄膜層4,4'が設けられていることを特徴
とする。そして上記無機薄膜層がプラスチックフィルム
の電極側に設けられており、電極を構成する被膜と無機
薄膜層が作用し合って両者の成膜時に生じたピンホール
やクラック等を相互に充填し合うため、プラスチック基
板のガス遮断性と水蒸気遮断性が改善され、この結果表
示性能の向上が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示素子に係り、特
に、ガラス基板に代えて可撓性フィルムが適用され、電
子手帳、パーソナルコンピータ等に使用される液晶表示
素子の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、片面に電極と配向膜を
有しその配向膜を内側にして対向配置された一対の基板
と、これ等基板間に封入された液晶物質とでその主要部
が構成されている。そして、従来の液晶表示素子では、
その基板としてガラス基板が用いられていた。この理由
として、液晶表示素子の製造プロセス中に250℃〜3
00℃に達する工程があり、基板の耐熱性の点からガラ
スが選ばれていた。
【0003】しかし、近年においては製造プロセスの低
温化が可能となり、これに伴って基板もガラスから軽く
て薄いプラスチックフィルムが用いられるようになっ
た。
【0004】ところで、ガラス基板に代えてプラスチッ
クフィルムが用いられるようになると、プラスチックフ
ィルムはガラス基板に較べてそのガス遮断性、水蒸気遮
断性等が十分でないため、液晶注入工程時や高温保存時
の気泡の発生に起因した表示素子欠陥、表示性能が低下
するなどの問題が発生し易かった。
【0005】そこで、これ等の問題を解決するために、
PVA(ポリビニルアルコール)フィルム、EVA(エ
チレンビニルアルコール共重合体)フィルム等のガスバ
リアー性フィルムを基材であるプラスチックフィルムと
貼りあわせた複合フィルムが適用されたり(特開昭64
−90418号公報,特開平4−208925号公報参
照)、プラスチックフィルム基材の電極側とは反対側の
面(すなわち外層)に20nm以上の金属酸化物薄膜を
形成したもの(特開平2ー304417)等が適用され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者のものは
バリアー層が有機高分子であるため高温多湿での気泡浸
入が起きたり、熱膨張係数が相違する異種フィルムを接
着剤等で貼り合わせて成る複合フィルムがカールしたり
変形する等の問題があった。また、後者のものは、バリ
アー層として金属酸化物薄膜をプラスチックフィルム基
材の外層に用いているが、金属酸化物薄膜の成膜時にこ
の薄膜にピンホールやクラック等が生じ易くそのガス遮
断性、水蒸気遮断性が未だ十分ではないため、表示素子
欠陥、表示性能等を向上させる上で改善の余地を有して
いた。
【0007】本発明はこの様な問題点に着目してなされ
たもので、その課題とするところは、表示素子自体の変
形や表示素子欠陥等が起こり難くしかも表示性能の向上
が図れる液晶表示素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、プラスチックフィルムの片面に電極と配向膜
を有しその配向膜を内側にして対向配置された一対のプ
ラスチック基板と、これ等プラスチック基板間に封入さ
れた液晶物質とを備え、かつ、上記プラスチック基板の
少なくとも一方の電極が透明である液晶表示素子を前提
とし、上記プラスチックフィルムの少なくとも電極側片
面に無機薄膜層が設けられていることを特徴とするもの
である。
【0009】そして、この請求項1記載の発明に係る液
晶表示素子においては、以下に述べる酸化珪素、酸化マ
グネシウム等の無機薄膜層が基材となるプラスチックフ
ィルムの電極側に設けられており、電極を構成する被膜
と無機薄膜層が作用し合って両者の成膜時に生じたピン
ホールやクラック等を相互に充填し合うため、プラスチ
ックフィルム基材の電極側とは反対側の面(すなわち外
層)に金属酸化物薄膜が形成された従来の液晶表示素子
に較べてプラスチック基板のガス遮断性と水蒸気遮断性
が改善され、この結果、液晶表示素子自体の変形や表示
素子欠陥が起こり難くしかも表示性能の向上が図れる。
【0010】尚、プラスチックフィルムの電極側とその
反対側の両面に無機薄膜層を設ける構成にしてもよい。
【0011】次に、請求項2に係る発明は、プラスチッ
クフィルムの片面に電極と配向膜を有しその配向膜を内
側にして対向配置された一対のプラスチック基板と、こ
れ等プラスチック基板間に封入された液晶物質とを備
え、かつ、上記プラスチック基板の少なくとも一方の電
極が透明である液晶表示素子を前提とし、上記プラスチ
ックフィルムの少なくとも片面に複数の無機薄膜層が重
ねて設けられていることを特徴とするものである。
【0012】この発明に係る液晶表示素子ではプラスチ
ックフィルムの少なくとも片面に設けられる無機薄膜層
が複数重ねて形成されており、成膜時に各無機薄膜層に
生じたピンホール、クラック、粒界等の欠陥や微細孔を
互いに充填し合うと共に補強するためプラスチック基板
のガス遮断性と水蒸気遮断性が更に改善される。
【0013】尚、ガス遮断性と水蒸気遮断性をより向上
させる目的で、各無機薄膜層間に以下に詳述するポリビ
ニルアルコール等の透明樹脂層を介在させた構造にして
もよい(請求項3)。そして、この透明樹脂層が、最初
に成膜された無機薄膜層の粒界、マイクロクラックを充
填すると共に保護し、かつ、この透明樹脂層を介し次の
無機薄膜層が形成されることになるためプラスチック基
板のガス遮断性と水蒸気遮断性が大幅に改善される。
【0014】次に、請求項4に係る発明は、プラスチッ
クフィルムの片面に電極と配向膜を有しその配向膜を内
側にして対向配置された一対のプラスチック基板と、こ
れ等プラスチック基板間に封入された液晶物質とを備
え、かつ、上記プラスチック基板の少なくとも一方の電
極が透明である液晶表示素子を前提とし、上記プラスチ
ックフィルムの少なくとも片面に、無機薄膜層と、金属
アルコキシド若しくはその加水分解物又は塩化錫の少な
くとも1種を有するコーティング層が設けられているこ
とを特徴とするものである。
【0015】そして、この発明に係る液晶表示素子にお
いては、金属アルコキシド若しくはその加水分解物又は
塩化錫の少なくとも1種を有するコーティング層が、成
膜の際に無機薄膜層に生じたピンホール、クラック、粒
界等の欠陥や微細孔を充填しかつ補強するためプラスチ
ック基板のガス遮断性と水蒸気遮断性がより大幅に改善
される。
【0016】尚、上記金属アルコキシドとしてテトラエ
トキシシラン及びポリイソプロポキシアルミニウムより
選択された1種又は2種の混合体が適用された場合、こ
れ等テトラエトキシシラン及びポリイソプロポキシアル
ミニウムは、加水分解後、水系の溶媒中で比較的安定な
ため、塗工後におけるコーティング層が無機薄膜層とハ
イブリッド化し易くなり、この結果、プラスチック基板
のガス遮断性と水蒸気遮断性がより改善される利点を有
する(請求項5)。
【0017】また、請求項6に係る発明は、請求項4又
は5記載の液晶表示素子を前提とし、バインダー、及
び、金属アルコキシド若しくはその加水分解物又は塩化
錫の少なくとも1種を有する水溶液あるいは水/アルコ
ール混合溶液を主成分とするコーティング剤を塗布・乾
燥して上記コーティング層が形成されていることを特徴
とする。
【0018】そして、この発明に係る液晶表示素子にお
いては、上記コーティング層が蒸着等のドライプロセス
や各種ウエットプロセスと異なり塗布等の一般的手段に
より形成されているため、製造プロセスの簡便化が図れ
る。
【0019】また、上記コーティング層に含まれるバイ
ンダーとしてポリビニルアルコールが適用された場合、
このポリビニルアルコールは金属アルコキシド又は塩化
錫との相溶性がよいため、形成されるコーティング層の
ガス遮断性と水蒸気遮断性に優れており、上記無機薄膜
層と作用し合ってプラスチック基板のガス遮断性と水蒸
気遮断性が更に大幅に改善される利点を有する(請求項
7)。
【0020】次に、請求項8〜請求項11に係る発明
は、ポリシラザン前駆体等にて形成される無機高分子被
膜を上記無機薄膜層に代えてあるいは無機薄膜層と組合
わせて適用した液晶表示素子に関する。
【0021】すなわち、請求項8に係る発明は、プラス
チックフィルムの片面に電極と配向膜を有しその配向膜
を内側にして対向配置された一対のプラスチック基板
と、これ等プラスチック基板間に封入された液晶物質と
を備え、かつ、上記プラスチック基板の少なくとも一方
の電極が透明である液晶表示素子を前提とし、上記プラ
スチックフィルムの少なくとも片面に無機高分子被膜が
設けられていることを特徴とし、請求項9に係る発明
は、上記プラスチックフィルムの少なくとも片面に無機
薄膜層と無機高分子被膜が設けられていることを特徴と
し、また、請求項10に係る発明は、上記プラスチック
フィルムの少なくとも片面に無機高分子被膜を間に介し
て2つの無機薄膜層が設けられていることを特徴とする
ものである。
【0022】そして、これ等発明に係る液晶表示素子に
よれば、プラスチックフィルムの少なくとも片面に設け
られポリシラザン前駆体等にて形成される無機高分子被
膜が、従来の酸化珪素等無機薄膜層に較べてそのガス遮
断性と水蒸気遮断性が共に優れているため、無機高分子
被膜が単体で適用された場合でもプラスチック基板のガ
ス遮断性と水蒸気遮断性が従来より改善され、また、無
機薄膜層と組合わせて適用された場合にはプラスチック
基板のガス遮断性と水蒸気遮断性が更に大幅に改善され
る。
【0023】次に、請求項11〜請求項12に係る発明
は上記無機高分子被膜の構成材料を特定した発明、請求
項13に係る発明は無機高分子被膜の膜厚を特定した発
明、及び、請求項14に係る発明は上記無機薄膜層の構
成材料を特定した発明に関する。
【0024】すなわち、請求項11に係る発明は、請求
項8〜10のいずれかに記載の液晶表示素子を前提と
し、ポリシラザン前駆体若しくはこの変性体又はこれ等
の混合体を含有する塗布液を加熱若しくは低温プラズマ
処理し上記ポリシラザン前駆体若しくはこの変性体又は
これ等の混合体を硬化・重合させて形成した酸化ケイ素
系若しくは窒化ケイ素系又はこれ等の混合系から成る無
機高分子により無機高分子被膜が構成されていることを
特徴とし、請求項12に係る発明は、H3Si(NHS
iH2nNHSiH3で示されるケイ素化合物又はその
誘導体を含有する塗布液を加熱・乾燥させて形成した酸
化ケイ素系若しくは窒化ケイ素系又はこれ等の混合系か
ら成る無機高分子により無機高分子被膜が構成されてい
ることを特徴とする。
【0025】また、請求項13に係る発明は、請求項8
〜12のいずれかに記載の液晶表示素子を前提とし、上
記無機高分子被膜の膜厚が、0.01μm〜5.0μm
であることを特徴とし、また、請求項14に係る発明
は、請求項1〜7及び請求項9〜13いずれかに記載の
液晶表示素子を前提とし、上記無機薄膜層が、酸化珪
素、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムより選択さ
れた1種又は2種以上の混合体から成ることを特徴とす
るものである。
【0026】以下本発明を図面を参照して更に詳細に説
明する。
【0027】図1は本発明に係る液晶表示素子の一構成
例を示す模式図である。
【0028】1,1’は基材としてのプラスチックフィ
ルムであり、例えば一軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリエーテルサ
ルフォンフィルム、ポリカーボネートフィルム、セルロ
ーストリアセテートフィルム等が適用される。プラスチ
ックフィルム1,1’の内面には表示電極用の透明電極
2,2’が形成されている。
【0029】この透明電極としては、In23、Snが
ドープされたIn23(ITO)、Alがドープされた
ZnO、SnO2 等のいずれでもよく、光線透過率と比
抵抗値の要求に応じて25nm〜200nmの範囲の膜
厚に設定することが望ましい。25nmより低いと比抵
抗値が高くなり表示用電極としては問題があり、また2
00nm大きくなると比抵抗値は低くなり、電極として
の性能は向上するがやや着色を呈するので好ましくな
い。
【0030】また、これらの透明電極2,2’の形成方
法としては、公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法等が利用できる。
【0031】更に、上記透明電極2,2’上には配向膜
3,3’が形成されており配向処理が施されている。
【0032】プラスチックフィルム1,1’の外面(電
極が形成される面とは反対側の面)には必要に応じて多
層構造を有する無機薄膜層4,4’が設けられている。
【0033】また、プラスチックフィルム1,1’と透
明電極2,2’間にも無機薄膜層4,4’が形成されて
いる。
【0034】この無機薄膜層を構成する無機薄膜材料と
しては、アルミニウム、マグネシウム、珪素、チタン、
クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、インジウ
ム、錫等の酸化物、それらの炭化物、それらの窒化物等
から選ばれるものが用いられる。また、二種以上の材料
が混合され又は積層されたものでもよい。この場合、一
層がこれら無機薄膜材料で構成されているならばプラス
チック基板のガス遮断性等の特性は具備されることにな
るため、その他の層は樹脂等の有機層で構成されていて
もよい。この場合の樹脂としては、請求項3に係る発明
において透明樹脂層として適用される酢酸エチル、メチ
ルエチルケトン、トルエン、ノルマルヘキサン、メチル
アルコール等の脂肪族若しくは芳香族性のエステル、ケ
トン、アルコール等の有機溶媒に溶解可能な各種ポリエ
ステル、ポリウルタン、塩化ビニル、アクリル樹脂、エ
チレン酢酸ビニル共重合体、エチレン塩化ビニル共重合
体等の熱可塑性樹脂,ポリ尿素、メラミン樹脂等の熱硬
化性樹脂等が利用でき、更に、ポリビニルアルコール、
セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カ
ルボキシルメチルセルロース等の水系可溶性の合成若し
くは天然高分子樹脂を用いることも出来る。
【0035】また、上記無機薄膜層の厚みとしては、例
えば10nm〜200nmの範囲に設定される。10n
m未満になると本来の機能であるガスバリアー性(ガス
遮断性)が不十分になり、液晶セル内にガスが浸入し気
泡が発生して液晶表示素子の性能が劣化してしまうこと
がある。また、200nmを越えると無機薄膜層内の応
力によりクラックが発生し、基材であるプラスチックフ
ィルムから無機薄膜層の剥がれ、脱落を引き起こしてし
まうことがある。
【0036】尚、上記無機薄膜層の層数については原則
として1層で十分であるが、ガス遮断性と水蒸気遮断性
の両方についてより高い特性が要求される液晶表示素子
に適用される場合には多層構造にすることが好ましく、
より好ましくは異種材料から成る多層構造にすることが
望ましい。例えば、酸化アルミニウム薄膜(AlOx:
X=1〜1.5)と酸化マグネシウム薄膜(MgO)を
それぞれ10nm、50nmの膜厚で順次形成したり、
酸化珪素(SiOx:0<X≦2)薄膜と酸化マグネシ
ウム薄膜(MgO)をそれぞれ20nm、50nmの膜
厚で順次形成する方法等が挙げられる。
【0037】また、上記の無機薄膜層の形成方法として
は、上述した透明電極の形成に適用される真空蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーティング法等の他に公
知の化学的気相成長法(CVD法)が利用でき、更に転
写等の他の方法を排除するものではない。
【0038】ここで、上記無機薄膜層4,4’は図1に
示すようにプラスチックフィルム1,1’の両面に設け
るのが最も好ましいが、目的とする液晶表示素子の特性
に対応させてプラスチックフィルム1,1’の電極側片
面にのみ設ける構造にしても当然のことながらよい。
【0039】また、透明電極2,2’上にPVAをスピ
ンコート後、110℃で乾燥し、約50nmの配向膜
3,3’を形成する。もちろん、他の形成方法を適用し
ても本発明の要旨を損なうものではない。すなわち、ス
ピンコート以外のディップコート、L.B法、蒸着法等
の形成方法の適用が可能で、かつ、配向膜の一般的な厚
みは数百Å〜数千Å(例えば400〜2000Å)に設
定される。また、配向膜を構成する材料としては、上述
したPVAに加えて、例えば、ポリエチレン、ナイロン
66、ナイロン69、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエステル、ポリイミド、パリレンポラキシレン、ポリ
シクロヘキシルメタクリレート、架橋ナイロン、ポリビ
ニルメチルケトン、ポリビニルシンナメート、ポリアセ
タール、ポリベンジルメタクリレート、ポリブレン等の
高分子配向材料が挙げられる。
【0040】次に、液晶5を注入し、封止剤6で封止す
る。この場合、実際には封止剤6を、一部を除いて形成
した後に液晶5を注入し、最終的な封を行うのが一般的
であるが、他の方法であっても本発明の要旨を損なうも
のではなく、その封止剤6の材質、形成方法等を各種変
更実施しても本発明の要旨を損なうものではない。
【0041】最後に最外層に偏光板7,7’を積層して
プラスチックフィルム液晶表示素子を形成した。ここ
で、上記偏光板7,7’の構成材料としてはPVA−ヨ
ウ素系やPVA−染料系材料が例示され、構造的には上
記PVA−ヨウ素系材料若しくはPVA−染料系材料
を、コーティング法により例えば三酢酸セルロースでサ
ンドイッチした厚さ500μm程度の積層体が一般的で
ある。もちろん、他の材料並びに形成方法の適用は可能
であり、かつ、その厚みについても本発明に係る封止性
能に直接関連しないためいかなる厚みであってもよい。
【0042】尚、複数の無機薄膜層を重ねて形成する
際、各無機薄膜層間に介在させる透明樹脂層を構成す透
明樹脂としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ト
ルエン、ノルマルヘキサン、メチルアルコール等の脂肪
族若しくは芳香族性のエステル、ケトン、アルコール等
の有機溶媒に溶解可能な各種ポリエステル、ポリウルタ
ン、塩化ビニル、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共
重合体、エチレン塩化ビニル共重合体等の熱可塑性樹
脂,ポリ尿素、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂等が利用
できる。また、ポリビニルアルコール、セルロース、メ
チルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチ
ルセルロース等の水系可溶性の合成若しくは天然高分子
樹脂を用いることも出来る。
【0043】次に、酸化珪素等の無機薄膜層と共に設け
られるコーティング層は、金属アルコキシド若しくはそ
の加水分解物又は塩化錫の少なくとも1種を有する被膜
から成るもので、この被膜については、バインダー(水
溶液高分子)と塩化錫を水系(水或いは水/アルコール
混合)溶媒で溶解させた溶液、或いはこれに金属アルコ
キシドを直接、或いは予め加水分解させる処理を行った
ものを混合した溶液を、上記プラスチックフィルム上に
若しくはこの上に設けられた無機薄膜層上にコーティン
グし、かつ加熱乾燥させて形成することができる。
【0044】また、コーティング方法については特に制
限はなく、スピンコート法、ディッピング法、ロールコ
ート法、スプレー法など公知の方法を利用できる。
【0045】上記バインダー(水溶液高分子)として
は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デ
ンプン、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロ
ース、アルギン酸ナトリウムなどが例示される。特に、
ポリビニルアルコールを本発明に係るバインダーとして
用いた場合効果が大きい。ここでいうPVAは、一般に
ポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が
数十%残存している部分けん化PVAから酢酸基が数%
しか残存していない完全けん化PVAまでを含み特に限
定されない。
【0046】また、塩化錫は塩化第一錫(SnC
2)、塩化第2錫(SnCl4)或いはそれらの混合物
であってもよく、無水物でも水和物でも用いることがで
きる。
【0047】他方、金属アルコキシドは、テトラエトキ
シシラン、トリイソプロポキシアルミニウムなどの一般
式M(OR)n(n=1〜4、M:Si、Ti、Al、
Zr等の金属、R:CH3、C25 等のアルキル基)で
表せるものである。中でもテトラエトキシシラン、トリ
イソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒
中において比較的安定なため好ましい。
【0048】更に、コーティング層の補強のために、ト
リレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソ
シアネート、テトラメチルキシレンイソシアネートなど
のモノマーとこれらの誘導体からなるイソシアネート化
合物を適宜添加したり、公知の分散剤、粘度調整剤を添
加してもいっこうにかまわない。
【0049】また、コーティング層の膜厚としては0.
01〜100μmが例示され、好ましくは1.0〜50
μmである。50μmより厚くなるとコーティング層が
カールを起こしたり、製造後の乾燥時にクラックが発生
したりする場合がある。
【0050】次に、上記無機薄膜層と共にあるいは単体
で適用される無機高分子薄膜については、主鎖にSi−
Nを、側鎖に水素又はアルキル基を有する構造(SiH
lmn で代表されるポリシラザンの前駆体若しくはこ
の変性体又はこれ等の混合体を含有する塗布液を加熱若
しくは低温プラズマ処理し、上記ポリシラザン前駆体若
しくはこの変性体又はこれ等の混合体を硬化・重合させ
て形成した酸化ケイ素系若しくは窒化ケイ素系又はこれ
等の混合系から成る無機高分子が挙げられ、これに加え
てH3Si(NHSiH2nNHSiH3で示されるケイ
素化合物又はその誘導体を含有する塗布液を加熱・乾燥
させて形成した酸化ケイ素系若しくは窒化ケイ素系又は
これ等の混合系から成る無機高分子等についても適用可
能である。また、上記酸化ケイ素系若しくは窒化ケイ素
系又はこれ等の混合系から成る無機高分子を加熱・酸化
処理して酸化ケイ素に転化させ、この酸化ケイ素により
上記無機高分子薄膜を構成してもよい。この場合、酸化
ケイ素系若しくは窒化ケイ素系又はこれ等の混合系から
成る無機高分子に較べて化学的安定性が増すためガス遮
断性がより長期に亘って劣化し難い利点を有する。
【0051】また、上記ポリシラザン前駆体若しくはこ
の変性体又はこれ等の混合体や、上記H3Si(NHS
iH2nNHSiH3で示されるケイ素化合物又はその
誘導体を溶解若しくは分散させる溶媒としては、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロキシフラン、塩化メチレン、四塩化炭素等から選ば
れた単一成分あるいは混合溶媒が適用される。
【0052】尚、上記塗布液の塗布方式としては、公知
の塗布方法が適用でき特に限定されるものではない。例
えば、ロールコート法、グラビアコート法、スプレーコ
ート法、エアーナイフコート法等が挙げられる。
【0053】また、ポリシラザン前駆体若しくはこの変
性体又はこれ等の混合体を含有する塗布液を加熱処理し
て無機高分子被膜を形成する場合、上記塗布液を塗布し
た後、100℃〜300℃、好ましくは120℃〜25
0℃で硬化処理することが望ましい。他方、低温プラズ
マ処理により無機高分子被膜を形成する場合、水素を数
パーセント含む窒素、または、酸素のいずれか一方若し
くは両方の成分を含むガスにより発生された公知のプラ
ズマ処理が施され、このプラズマ処理によりポリシラザ
ン前駆体若しくはこの変性体又はこれ等の混合体が硬化
・重合されて酸化ケイ素系若しくは窒化ケイ素系又はこ
れ等の混合系から成る上記無機高分子被膜が形成され
る。尚、上記プラズマについては、上述したガスにより
数Torr〜1×10-4Torr程度の真空度に維持された密閉
系内に公知の電極若しくは導波管を配置し、直流、交
流、ラジオ波あるいはマイクロ波等の電力を上記電極若
しくは導波管を介して印加することにより任意のプラズ
マを発生させることができる。そして、発生されたプラ
ズマのガス濃度の違いにより硬化・重合後におけるポリ
シラザン前駆体若しくはこの変性体又はこれ等の混合体
の構造が、酸化ケイ素系若しくは窒化ケイ素系又はこれ
等の混合系と様々な無機高分子となるが、本発明では特
に問題はない。
【0054】また、上記無機高分子被膜の膜厚について
は、0.01μm〜5.0μmの範囲、特に、0.05
μm〜1μmの範囲が好ましい。0.01μm未満であ
ると形成される無機高分子被膜の機能が不十分となりガ
ス遮断性等の改善が十分図れなくなることがあり、他
方、5μmを越えるとポリシラザン前駆体若しくはこの
変性体又はこれ等の混合体が加熱されあるいはプラズマ
処理されて無機高分子被膜が形成される際、体積収縮に
伴う塗膜の割れや脱落が生じて良好な無機高分子被膜が
形成されない場合があるからである。
【0055】尚、本発明における液晶物質は、実施例に
おいて適用された通常の液晶の他に、強誘電性高分子液
晶等他の液晶物質をプラスチックで挟んだものでも本発
明の要旨を外れないものである。
【0056】
【作用】請求項1及び14記載の発明に係る液晶表示素
子によれば、酸化珪素等の無機薄膜層が基材となるプラ
スチックフィルムの電極側に設けられており、電極を構
成する被膜と無機薄膜層が作用し合って両者の成膜時に
生じたピンホールやクラック等を相互に充填し合うた
め、プラスチックフィルム基材の電極側とは反対側の面
(すなわち外層)に金属酸化物薄膜が形成された従来の
液晶表示素子に較べてプラスチック基板のガス遮断性と
水蒸気遮断性が改善され、この結果、液晶表示素子自体
の変形や表示素子欠陥が起こり難くしかも表示性能の向
上を図ることが可能となる。
【0057】また、請求項2〜3記載の発明に係る液晶
表示素子によれば、上記無機薄膜層が多層で若しくは透
明樹脂層を介し多層で構成されているためプラスチック
基板のガス遮断性と水蒸気遮断性が更に改善され、請求
項4〜7記載の発明に係る液晶表示素子によれば、上記
無機薄膜層と共に、金属アルコキシド若しくはその加水
分解物又は塩化錫の少なくとも1種を有するコーティン
グ層が重ねて設けられているためプラスチック基板のガ
ス遮断性と水蒸気遮断性が更に改善され、従って、請求
項1に係る液晶表示素子よりその表示性能の改善が図れ
る。
【0058】他方、請求項8〜13記載の発明に係る液
晶表示素子によれば、上記無機薄膜層に較べてそのガス
遮断性と水蒸気遮断性が優れた無機高分子被膜を単体あ
るいは無機薄膜層と共に重ねて設けられているため、請
求項4〜7に係る発明と同様にプラスチック基板のガス
遮断性と水蒸気遮断性が向上しその表示性能の改善が図
れる。
【0059】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。
【0060】[実施例1]基材としてのプラスチックフ
ィルム1,1’に100μmの一軸延伸ポリエチレンテ
レフタレートフィルム(ポリエステルフィルム)を適用
し、これ等プラスチックフィルム1,1’の片面にDC
スパッタリング法により厚さ50nmのITO膜2,
2’を形成すると共に、その反対側面に電子線加熱法に
よる真空蒸着により厚さ10nmの酸化珪素、厚さ50
nmの酸化マグネシウムをそれぞれ形成し無機薄膜層
4,4’とした(図2参照)。
【0061】このようにして得たプラスチックフィルム
基板の酸素透過度、水蒸気透過度を測定したところ、そ
れぞれ0.1(cm3/m2・day・atm)、0.1
(g/m2・day)以下であり、ガス遮断性が優れて
いた。
【0062】次に、上記ITO膜2,2’をフォトリソ
グラフィー法によりパターン加工して表示電極とした。
【0063】更に、配向剤としてPVAをスピンコート
法により塗工し約50nmの配向膜3,3’を形成した
後、ラビング処理を施した。
【0064】次に、一方のプラスチック基板(上記配向
膜3’が設けられたプラスチックフィルム1’)にギャ
ップ材8として粒径6.5μmのプラスチックビーズを
分散させた。
【0065】他方のプラスチック基板にはエポキシ系接
着剤からなる封止剤6をスクリーン印刷法により印刷
し、両方のプラスチック基板を貼り合わせ85℃−1時
間で封止材を硬化させ、液晶セルを得た。
【0066】この液晶セル内にネマチック(E7 メル
ク社製)液晶5を真空封止方式で注入した。
【0067】最後に上記無機薄膜層4,4’上に偏光板
7,7’を貼り付けてプラスチックフィルムを基材とす
る液晶表示素子を完成させた。
【0068】このように得られた液晶表示素子を80℃
90%RHの高温放置に24時間放置後、高温動作試験
の信頼性試験を実施したところ、液晶セル内への気泡の
侵入、外観不良はなく液晶駆動(表示性能)の劣化はな
く、信頼性の高いプラスチックフィルム液晶表示素子が
得られた。
【0069】尚、以下の表1に『気泡侵入』、『外観』
及び『表示性能』の評価点数を挙げると共に(5が最良
で1が最悪の評価を示す)、総合評価を『評価』の欄に
おいて、◎、○、×で示す。
【0070】[実施例2]基材としてのプラスチックフ
ィルム1,1’に100μmの一軸延伸ポリエチレンテ
レフタレートフィルム(ポリエステルフィルム)を適用
し、これ等プラスチックフィルム1,1’の両面に電子
線加熱法による真空蒸着により厚さ50nmの酸化マグ
ネシウムから成る無機薄膜層4,4’をそれぞれ形成し
た。
【0071】次に、一方のプラスチックフィルム1’に
設けられた無機薄膜層4’上に電極パターンを形成した
マスクを密着させ該マスク上からDCスパッタリング法
により厚さ50nmのITO膜をパターン状に成膜し透
明電極を形成した。
【0072】また、他方のプラスチックフィルム1に設
けられた無機薄膜層4上には、通常のDCスパッタリン
グ法により全面にITO膜を形成した。この場合、液晶
表示方式としてX−Yマトリックス方式を採用したとき
には両方のITO膜をパターンニングする必要がある
が、X−Yマトリックス方式以外も本発明では可能であ
る。
【0073】以下、実施例1と同様に試験を行った。
【0074】酸素透過度、水蒸気透過度それぞれ0.1
(cm3/m2・day・atm)、0.1(g/m2
day)であり、ガスバリアー性も優れていた。
【0075】高温多湿保存試験後の液晶セル内への気泡
の侵入、液晶表示の劣化もなく、良好な液晶表示素子が
得られた。
【0076】尚、表1に評価結果を示す。
【0077】[実施例3]基材としてのプラスチックフ
ィルムに80μmのポリカーボネートフィルムを用い、
かつ、実施例2と同様の試験を行った。その評価結果を
表1に示す。
【0078】[実施例4]基材としてのポリエステルフ
ィルムの両面に25nmの酸化アルミニウムと50nm
の酸化マグネシウムをそれぞれ成膜して二層構造にした
以外は実施例1と同様であり、実施例1と同様の試験を
行った。その評価結果を表1に示す。
【0079】[実施例5]基材としてのポリエステルフ
ィルムの片面に、厚さ30nmの酸化珪素11と厚さ2
μmのポリビニルアルコール樹脂層9と厚さ30nmの
酸化珪素11から成る多層膜(図3参照)が成膜された
以外は実施例1と同様であり、実施例1と同様の試験を
行った。その評価結果を表1に示す。
【0080】[実施例6]基材としてポリエステルフィ
ルムを適用すると共に、このフィルムの電極側に厚さ5
0nmの酸化マグネシウムから成る無機薄膜層が成膜さ
れている以外は実施例1と同様であり、実施例1と同様
の試験を行った。その評価結果を表1に示す。
【0081】[実施例7]厚さ50nmの酸化マグネシ
ウムに代えて、厚さ50nmの酸化珪素が適用されてい
る点を除き実施例2と同様であり、実施例2と同様の試
験を行った。その評価結果を表1に示す。
【0082】[実施例8]基材としてのプラスチックフ
ィルムに100μmの一軸延伸ポリエーテルサルフォン
フィルムを用い、かつ、この両面に厚さ40nmの酸化
珪素が適用されている点を除き実施例7と同様であり、
実施例7と同様の試験を行った。その評価結果を表1に
示す。
【0083】[実施例9]基材としてのプラスチックフ
ィルムに80μmのポリカーボネートフィルムが適用さ
れ、かつ、このフィルムの電極側とは反対側の面に厚さ
50nmの酸化マグネシウムと厚さ25nmの酸化アル
ミニウムから成る二層構造の無機薄膜層が設けられてい
る点を除き、実施例4と同様であり、実施例4と同様の
試験を行った。その評価結果を表1に示す。
【0084】[実施例10]ポリカーボネートフィルムの
両面に厚さ50nmの酸化マグネシウムと厚さ25nm
の酸化アルミニウムから成る二層構造の無機薄膜層がそ
れぞれ設けられている点を除き、実施例9と同様であ
り、実施例9と同様の試験を行った。その評価結果を表
1に示す。
【0085】[実施例11]ポリカーボネートフィルムの
電極側片面に厚さ25nmの酸化アルミニウムと厚さ5
0nmの酸化マグネシウムから成る二層構造の無機薄膜
層が設けられている点を除き、実施例9と同様であり、
実施例9と同様の試験を行った。その評価結果を表1に
示す。
【0086】[実施例12]ポリエステルフィルムの電極
側片面に厚さ30nmの酸化珪素と厚さ2μmのポリビ
ニルアルコール樹脂層と厚さ30nmの酸化珪素から成
る多層膜が成膜された以外は実施例5と同様であり、実
施例5と同様の試験を行った。その評価結果を表1に示
す。
【0087】[実施例13]ポリエステルフィルムの両面
に厚さ30nmの酸化珪素と厚さ2μmのポリビニルア
ルコール樹脂層と厚さ30nmの酸化珪素から成る多層
膜がそれぞれ設けられている点を除き、実施例5と同様
であり、実施例5と同様の試験を行った。その評価結果
を表1に示す。
【表1】
【0088】[実施例14]図4を用いて以下詳細に説明
する。
【0089】基材としてのプラスチックフィルム1,
1’に100μmのポリエーテルサルホンフィルムを用
い、かつ、これ等プラスチックフィルム1,1’の電極
側片面に電子線加熱方法による真空蒸着により厚さ40
nmの酸化珪素から成る無機薄膜層4,4’を成膜し
た。次に、各無機薄膜層4,4’上に以下に示す(A
液)を乾燥後の厚みが1μmになるようにロールコート
法によりコーティングして透明のコーティング層12,
12’を形成し、かつ、これ等の上にDCスパッタリン
グ法により厚さ50nmのITO膜2,2’を形成し
た。
【0090】このようにして得たプラスチック基材の酸
素透過度、水蒸気透過度をそれぞれ測定したところ、
0.1(cm3/m2・day・atm)、0.1(g/
2・day)でありガス遮断性が優れていた。
【0091】次に、上記ITO膜2,2’をフォトリソ
グラフィー法によりパターン加工して表示電極とした。
【0092】更に、上記表示電極上に配向剤としてポリ
イミドをスピンコート法により塗工し約50nmの配向
膜3,3’を形成した後、ラビング処理を施した。
【0093】次に、一方のプラスチック基板(配向膜
3’が設けられたプラスチックフィルム1’)にギャッ
プ剤8として粒経6.5μmのプラスチックビーズを分
散させた。
【0094】他方のプラスチック基板にはエポキシ系接
着剤からなる封止剤6をスクリーン印刷法により印刷
し、両方のプラスチック基板を貼り合わせ85℃−1時
間で封止材を硬化させ、液晶セルを得た。
【0095】この液晶セル内にネマチック(E7:メル
ク社製)液晶5を真空封止方式で注入した。
【0096】最後に上記無機薄膜層4,4’上に偏光板
7,7’を貼り付けて図4に示すような液晶表示素子を
完成させた。
【0097】以下、実施例1と同様な試験を行った。そ
の評価結果を表2に示す。
【0098】[実施例15]基材としてのプラスチックフ
ィルム1,1’に100μmのポリエーテルサルホンフ
ィルムを用い、かつ、これ等プラスチックフィルム1,
1’の電極側とは反対の面に電子線加熱方法による真空
蒸着により厚さ25nmの酸化アルミニウムから成る無
機薄膜層4,4’を成膜すると共に、上記プラスチック
フィルム1の反対側の面には通常のDCスパッタリング
法によりITO膜2を50nm形成した。また、上記プ
ラスチックフィルム1’の反対側の面には電極パターン
の開口部を有するマスクを介してDCスパッタリング法
により厚さ50nmのITO膜2’を成膜し透明電極を
形成した。
【0099】次に、上記プラスチックフィルム1,1’
の各無機薄膜層4,4’上に以下に示す(B液)を乾燥
後の厚みが1μmになるようにロールコート法によりコ
ーティングして透明のコーティング層12,12’を形
成し、かつ、実施例14と同様な工程により図5に示す
ような液晶表示素子を得た。
【0100】以下、実施例1と同様な試験を行ったとこ
ろ、酸素透過度、水蒸気透過度はそれぞれ0.1(cm
3/m2・day・atm)、0.1(g/m2・da
y)でありガスバリアー性も優れていた。また、高温多
湿保存試験後の液晶セル内への気泡の侵入、液晶表示の
劣化もなく、良好な液晶表示素子が得られた。
【0101】尚、表2にその評価結果を示す。
【0102】[実施例16]下記の(C液)を用いてコー
ティング層が形成されている点を除き実施例14と同様
の構造であり、かつ実施例1と同様に試験した。
【0103】そして、高温多湿保存試験後の液晶セル内
の気泡の侵入、液晶表示の劣化もなく、良好な液晶表示
素子が得られた。
【0104】尚、表2にその評価結果を示す。
【0105】[実施例17]ポリエーテルサルフォンフィ
ルムから成るプラスチックフィルム1,1’の両面に、
厚さ20nmの酸化アルミニウムと厚さ30nmの酸化
珪素から成る2層構造の無機薄膜層4,4’及び下記の
(B液)を用いたコーティング層12,12’をそれぞ
れ設け、かつ実施例14と同様にして図6に示す液晶表
示素子を得た。そして実施例1と同様な試験を実施し
た。表2にその評価結果を示す。
【0106】[実施例18]厚さ25nmの酸化アルミニ
ウムに代えて厚さ50nmの酸化錫(SnOx:0<x
≦2)から成る無機薄膜層が設けられている点を除き実
施例15と同様であり、実施例15と同様の試験を行っ
た。その評価結果を表2に示す。
【0107】[実施例19]厚さ25nmの酸化アルミニ
ウムに代えて厚さ50nmの酸化マグネシウム(MgO
x:0<x≦2)から成る無機薄膜層が設けられている
点を除き実施例15と同様であり、かつ、実施例15と
同様の試験を行った。その評価結果を表2に示す。
【0108】[実施例20]100μmの一軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(ポリエステルフィル
ム)の電極側の片面に、厚さ20nmの酸化アルミニウ
ムから成る無機薄膜層と、下記の(B液)を用いてコー
ティング層が形成されている点を除き実施例14と同様
の構造であり、かつ、実施例14と同様に試験した。そ
の評価結果を表2に示す。
【0109】[実施例21]厚さ20nmの酸化アルミニ
ウムに代えて厚さ50nmの酸化錫から成る無機薄膜層
が設けられている点を除き実施例20と同様の構造であ
り、かつ、実施例20と同様に試験した。その評価結果
を表2に示す。
【0110】[実施例22]厚さ20nmの酸化アルミニ
ウムに代えて厚さ50nmの酸化マグネシウムから成る
無機薄膜層が設けられている点を除き実施例20と同様
の構造であり、かつ、実施例20と同様に試験した。そ
の評価結果を表2に示す。
【0111】[実施例23]100μmの一軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(ポリエステルフィル
ム)の電極側の片面に、厚さ40nmの酸化珪素から成
る無機薄膜層と、下記の(A液)を用いてコーティング
層が形成されている点を除き実施例14と同様の構造で
あり、かつ、実施例14と同様に試験した。その評価結
果を表2に示す。
【0112】[実施例24]下記の(A液)に代えて下記
(C液)を用いてコーティング層が設けられている点を
除き実施例23と同様の構造であり、かつ、実施例23
と同様に試験した。その評価結果を表2に示す。
【表2】
【0113】[実施例25]100μmの一軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(ポリエステルフィル
ム)の電極側とは反対の面に、下記の(B液)を用いた
コーティング層と厚さ20nmの酸化アルミニウムから
成る無機薄膜層が形成されている点を除き実施例15と
同様の構造であり、かつ、実施例15と同様に試験し
た。その評価結果を表3に示す。
【0114】[実施例26]厚さ20nmの酸化アルミニ
ウムに代えて厚さ50nmの酸化錫から成る無機薄膜層
が設けられている点を除き実施例25と同様の構造であ
り、かつ、実施例25と同様に試験した。その評価結果
を表3に示す。
【0115】[実施例27]厚さ20nmの酸化アルミニ
ウムに代えて厚さ50nmの酸化マグネシウムから成る
無機薄膜層が設けられている点を除き実施例25と同様
の構造であり、かつ、実施例25と同様に試験した。そ
の評価結果を表3に示す。
【0116】[実施例28]100μmの一軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(ポリエステルフィル
ム)の電極側とは反対の面に、下記の(A液)を用いた
コーティング層と厚さ40nmの酸化珪素から成る無機
薄膜層が形成されている点を除き実施例15と同様の構
造であり、かつ、実施例15と同様に試験した。その評
価結果を表3に示す。
【0117】[実施例29]下記の(A液)に代えて下記
(C液)を用いてコーティング層が設けられている点を
除き実施例28と同様の構造であり、かつ、実施例28
と同様に試験した。その評価結果を表3に示す。
【0118】[実施例30]ポリエステルフィルムに対す
る無機薄膜層とコーティング層の形成順位が逆である点
を除き実施例25と同様の構造であり、かつ、実施例2
5と同様に試験した。その評価結果を表3に示す。
【0119】[実施例31]ポリエステルフィルムに対す
る無機薄膜層とコーティング層の形成順位が逆である点
を除き実施例26と同様の構造であり、かつ、実施例2
6と同様に試験した。その評価結果を表3に示す。
【0120】[実施例32]ポリエステルフィルムに対す
る無機薄膜層とコーティング層の形成順位が逆である点
を除き実施例27と同様の構造であり、かつ、実施例2
7と同様に試験した。その評価結果を表3に示す。
【0121】[実施例33]ポリエステルフィルムに対す
る無機薄膜層とコーティング層の形成順位が逆である点
を除き実施例28と同様の構造であり、かつ、実施例2
8と同様に試験した。その評価結果を表3に示す。
【0122】[実施例34]ポリエステルフィルムに対す
る無機薄膜層とコーティング層の形成順位が逆である点
を除き実施例29と同様の構造であり、かつ、実施例2
9と同様に試験した。その評価結果を表3に示す。
【0123】[実施例35]100μmの一軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(ポリエステルフィル
ム)の両面に、厚さ20nmの酸化アルミニウムから成
る無機薄膜層と下記の(B液)を用いてコーティング層
がそれぞれ形成されている点を除き実施例17と同様の
構造であり、かつ、実施例17と同様に試験した。その
評価結果を表3に示す。
【0124】[実施例36]厚さ20nmの酸化アルミニ
ウムに代えて厚さ50nmの酸化錫から成る無機薄膜層
が設けられている点を除き実施例35と同様の構造であ
り、かつ、実施例35と同様に試験した。その評価結果
を表3に示す。
【0125】[実施例37]厚さ20nmの酸化アルミニ
ウムに代えて厚さ50nmの酸化マグネシウムから成る
無機薄膜層が設けられている点を除き実施例35と同様
の構造であり、かつ、実施例35と同様に試験した。そ
の評価結果を表3に示す。
【表3】
【0126】[実施例38]100μmの一軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(ポリエステルフィル
ム)の両面に、厚さ40nmの酸化珪素から成る無機薄
膜層と下記の(A液)を用いてコーティング層がそれぞ
れ形成されている点を除き実施例35と同様の構造であ
り、かつ、実施例35と同様に試験した。その評価結果
を表4に示す。
【0127】[実施例39]下記の(A液)に代えて下記
(C液)を用いてコーティング層が設けられている点を
除き実施例38と同様の構造であり、かつ、実施例38
と同様に試験した。その評価結果を表4に示す。 『コーティング層を構成するコーティング剤の組成』各
実施例で適用されたコーティング剤の組成は以下の通り
である。
【0128】 (A液) 以下の/ の配合比 60/40重量% (B液) 以下の// の配合比 40/30/30重量% (C液) 以下の// の配合比 40/30/30重量% 但し、〜は以下の溶液をそれぞれ示している。 :テトラエトキシシラン10.4gに0.1Nの塩酸
89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形
物3重量%(SiO2 換算)の加水分解溶液 :ポリビニルアルコール3.0重量%の水/イソプロ
ピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量
比 90:10) :塩化第1錫(無水物)の3重量%の水/エタノール
溶液(水:エタノール重量比=50:50) :塩化第2錫(無水物)の3重量%の水溶液 :ポリビニルアルコール3重量%の水/イソプロピル
アルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比=
90:10) [実施例40]基材としてのプラスチックフィルムに10
0μmの一軸延伸ポリエーテルサルホンフィルムを用
い、かつ、これ等プラスチックフィルムの電極側片面に
真空蒸着法により厚さ50nmの酸化マグネシウムから
成る無機薄膜層を形成すると共に、この上にポリシラザ
ンから成る厚さ1μmの無機高分子被膜を形成した。
【0129】すなわち、トルエン/キシレン(1:1)
にて希釈されたポリシラザン前駆体[東燃(株)社製
ポリシラザン『TNL−100』20重量%]を上記無
機薄膜層上にロールコート法により塗布し、かつ、12
0℃で10分間乾燥させて乾燥後の膜厚が1μmの無機
高分子被膜を形成した。
【0130】次に、この無機高分子被膜上にDCスパッ
タリング法により厚さ100nmのITO膜を形成し
た。
【0131】このようにして得たプラスチック基材の酸
素透過度、水蒸気透過度をそれぞれ測定したところ、
0.1(cm3/m2・day・atm)、0.1(g/
2・day)以下でありガス遮断性が優れていた。
【0132】次に、上記ITO膜をフォトリソグラフィ
ー法によりパターン加工して表示電極とした。
【0133】更に、上記表示電極上に配向剤としてPV
Aをスピンコート法により塗工し約50nmの配向膜を
形成した後、ラビング処理を施した。
【0134】次に、一方のプラスチック基板にギャップ
剤として粒経6.5μmのプラスチックビーズを分散さ
せた。
【0135】他方のプラスチック基板にはエポキシ系接
着剤からなる封止剤をスクリーン印刷法により印刷し、
両方のプラスチック基板を貼り合わせ85℃−1時間で
封止材を硬化させ、液晶セルを得た。
【0136】この液晶セル内にネマチック(E7:メル
ク社製)液晶を真空封止方式で注入した。
【0137】最後にプラスチックフィルムの電極側とは
反対の面に偏光板を貼り付けて液晶表示素子を完成させ
た。
【0138】このように得られた液晶表示素子を80℃
90%RHの高温放置に24時間放置後、高温動作試験
の信頼性試験を実施したところ、液晶セル内への気泡の
侵入、外観不良はなく液晶駆動(表示性能)の劣化はな
く、信頼性の高いプラスチックフィルム液晶表示素子が
得られた。
【0139】尚、表4に評価結果を示す。
【0140】[実施例41]ポリエーテルサルフォンフィ
ルムから成るプラスチックフィルムの電極側とは反対の
面に厚さ25nmの酸化アルミニウムから成る無機薄膜
層を形成し、かつ、この無機薄膜層上に実施例40で適
用したポリシラザン前駆体[東燃(株)社製 ポリシラ
ザン『TNL−100』20重量%]を同様の方法によ
りコーティングして厚さ1μmの無機高分子被膜が形成
されている点を除き実施例40と同様の液晶表示素子を
製造し、かつ、同様の試験を行った。
【0141】その評価結果を表4に示す。
【0142】[実施例42]ポリエーテルサルフォンフィ
ルムから成るプラスチックフィルムの電極側片面に酸化
マグネシウムから成る無機薄膜層を設けることなく上記
ポリシラザンから成る厚さ1μmの無機高分子被膜が直
接形成されている点を除き実施例40と同様の液晶表示
素子を製造し、かつ、同様の試験を行った。
【0143】その評価結果を表4に示す。
【0144】[実施例43]基材としてのプラスチックフ
ィルムに100μmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(ポリエステルフィルム)を適用すると共
に、このフィルムの電極側片面に厚さ25nmの酸化ア
ルミニウムから成る無機薄膜層と上記ポリシラザンから
成る厚さ1μmの無機高分子被膜が形成されている点を
除き実施例40と同様の液晶表示素子を製造し、かつ、
同様の試験を行った。
【0145】その評価結果を表4に示す。
【0146】[実施例44]基材としてのプラスチックフ
ィルムに100μmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(ポリエステルフィルム)を適用すると共
に、このフィルムの電極側とは反対の面に厚さ1μmの
上記ポリシラザンから成る無機高分子被膜と厚さ40n
mの酸化珪素から成る無機薄膜層が形成されている点を
除き実施例40と同様の液晶表示素子を製造し、かつ、
同様の試験を行った。
【0147】その評価結果を表4に示す。
【0148】[実施例45]ポリエステルフィルムに対す
る無機高分子被膜と無機薄膜層の形成順位が逆である点
を除き実施例44と同様の構造であり、かつ、実施例4
4と同様に試験した。その評価結果を表4に示す。
【0149】[実施例46]基材としてのプラスチックフ
ィルムに100μmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(ポリエステルフィルム)を適用すると共
に、このフィルムの電極側とは反対の面に上記ポリシラ
ザンから成る厚さ1μmの無機高分子被膜と厚さ40n
mの酸化珪素から成る無機薄膜層と同じくポリシラザン
から成る厚さ1μmの無機高分子被膜が形成されている
点を除き実施例40と同様の液晶表示素子を製造し、か
つ、同様の試験を行った。
【0150】その評価結果を表4に示す。
【0151】[実施例47]基材としてのプラスチックフ
ィルムに100μmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(ポリエステルフィルム)を適用すると共
に、このフィルムの両面に厚さ40nmの酸化珪素から
成る無機薄膜層と上記ポリシラザンから成る厚さ1μm
の無機高分子被膜がそれぞれ成膜されている点を除き実
施例40と同様の液晶表示素子を製造し、かつ、同様の
試験を行った。
【0152】その評価結果を表4に示す。
【0153】[比較例1]基材としてのプラスチックフ
ィルム1,1’に100μmの一軸延伸ポリエチレンテ
レフタレートフィルム(ポリエステルフィルム)を用
い、かつ、これ等プラスチックフィルム1,1’の片面
にDCスパッタリング法により厚さ100nmのITO
膜2,2’を形成した。
【0154】次に、上記ITO膜2,2’をフォトリソ
グラフィー法によりパターン加工して表示電極とした。
【0155】更に、上記表示電極上に配向剤としてPV
Aをスピンコート法により塗工し約50nmの配向膜
3,3’を形成した後、ラビング処理を施した。
【0156】次に、一方のプラスチック基板(上記配向
膜3’が設けられたプラスチックフィルム1’)にギャ
ップ材8として粒径6.5μmのプラスチックビーズを
分散させた。
【0157】他方のプラスチック基板にはエポキシ系接
着剤からなる封止剤6をスクリーン印刷法により印刷
し、両方のプラスチック基板を貼り合わせ85℃−1時
間で封止材を硬化させ、液晶セルを得た。
【0158】この液晶セル内にネマチック(E7 メル
ク社製)液晶5を真空封止方式で注入した。
【0159】最後に上記プラスチックフィルム1,1’
の電極側とは反対の面に偏光板7,7’を貼り付けてプ
ラスチックフィルムを基材とする液晶表示素子を完成さ
せた(図7参照)。
【0160】このように得られた液晶表示素子を80℃
90%RHの高温放置に24時間放置後、液晶セル内へ
の気泡の侵入を確認したところ、部分的に気泡が侵入し
かつ液晶表示の劣化が生じていた。
【0161】尚、評価結果を表4に示す。
【0162】[比較例2]基材としてのプラスチックフ
ィルムに100μmの一軸延伸ポリエーテルサルホンフ
ィルムが適用されている点を除き比較例1と同様の液晶
表示素子を製造し、かつ、同様の試験を行った。
【0163】その評価結果を表4に示す。
【0164】[比較例3]基材としてのプラスチックフ
ィルムに100μmの一軸延伸ポリエーテルサルホンフ
ィルムが適用され、かつ、このフィルムの電極側片面に
エポキシ系接着剤を介して厚さ100μmのポリビニル
アルコールフィルム(PVA)が貼り合されている点を
除き比較例1と同様の液晶表示素子を製造し、かつ、同
様の試験を行った。その評価結果を表4に示す。尚、こ
の液晶表示素子はフィルムの積層に起因してカールが発
生し液晶表示性能がよくなかった。
【0165】[比較例4]基材としてのプラスチックフ
ィルムに100μmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(ポリエステルフィルム)を適用すると共
に、このフィルムの電極側とは反対の面に厚さ50nm
の酸化マグネシウムから成る無機薄膜層が設けられてい
る点を除き比較例1と同様の液晶表示素子を製造し、か
つ、同様の試験を行った。
【0166】その評価結果を表4に示す。 『確認』上記表1〜表3及び以下に示す表4の結果から
比較例に係る液晶表示素子に較べ、各実施例に係る液晶
表示素子はカール等が発生せず、かつ、液晶セル内への
気泡の侵入も起こり難く、更に液晶の表示性能が大幅に
改善されていることが確認できる。
【表4】
【0167】
【発明の効果】請求項1及び14記載の発明に係る液晶
表示素子によれば、酸化珪素等の無機薄膜層が基材とな
るプラスチックフィルムの電極側に設けられており、電
極を構成する被膜と無機薄膜層が作用し合って両者の成
膜時に生じたピンホールやクラック等を相互に充填し合
うため、プラスチックフィルム基材の電極側とは反対側
の面(すなわち外層)に金属酸化物薄膜が形成された従
来の液晶表示素子に較べてプラスチック基板のガス遮断
性と水蒸気遮断性が改善され、この結果、液晶表示素子
自体の変形や表示素子欠陥が起こり難くしかも表示性能
の向上が図れる効果を有している。
【0168】また、請求項2〜3記載の発明に係る液晶
表示素子によれば、上記無機薄膜層が多層で若しくは透
明樹脂層を介し多層で構成されているためプラスチック
基板のガス遮断性と水蒸気遮断性が更に改善され、請求
項4〜7記載の発明に係る液晶表示素子によれば、上記
無機薄膜層と共に、金属アルコキシド若しくはその加水
分解物又は塩化錫の少なくとも1種を有するコーティン
グ層が重ねて設けられているためプラスチック基板のガ
ス遮断性と水蒸気遮断性が更に改善される。
【0169】従って、請求項1に係る液晶表示素子に較
べその表示性能のより一層の改善が図れる効果を有して
いる。
【0170】他方、請求項8〜13記載の発明に係る液
晶表示素子によれば、上記無機薄膜層に較べてそのガス
遮断性と水蒸気遮断性が優れた無機高分子被膜を単体あ
るいは無機薄膜層と共に重ねて設けられているため、請
求項4〜7に係る発明と同様にプラスチック基板のガス
遮断性と水蒸気遮断性が向上しその表示性能の改善が図
れる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示素子の一構成例を示す模
式図(断面図)。
【図2】実施例1に係る液晶表示素子の断面図。
【図3】実施例5においてフィルムの片面に設けられた
多層膜の構成断面図。
【図4】実施例14に係る液晶表示素子の断面図。
【図5】実施例15に係る液晶表示素子の断面図。
【図6】実施例17に係る液晶表示素子の断面図。
【図7】比較例1に係る液晶表示素子の断面図。
【符号の説明】
1,1’ プラスチックフィルム 2,2’ 透明電極(ITO膜) 3,3’ 配向膜 4,4’ 無機薄膜層 5 液晶 6 封止剤 7,7’ 偏光板 8 ギャップ材
フロントページの続き (72)発明者 吉原 俊昭 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチックフィルムの片面に電極と配向
    膜を有しその配向膜を内側にして対向配置された一対の
    プラスチック基板と、これ等プラスチック基板間に封入
    された液晶物質とを備え、かつ、上記プラスチック基板
    の少なくとも一方の電極が透明である液晶表示素子にお
    いて、 上記プラスチックフィルムの少なくとも電極側片面に、
    無機薄膜層が設けられていることを特徴とする液晶表示
    素子。
  2. 【請求項2】プラスチックフィルムの片面に電極と配向
    膜を有しその配向膜を内側にして対向配置された一対の
    プラスチック基板と、これ等プラスチック基板間に封入
    された液晶物質とを備え、かつ、上記プラスチック基板
    の少なくとも一方の電極が透明である液晶表示素子にお
    いて、 上記プラスチックフィルムの少なくとも片面に、複数の
    無機薄膜層が重ねて設けられていることを特徴とする液
    晶表示素子。
  3. 【請求項3】各無機薄膜層間に透明樹脂層が介在してい
    ることを特徴とする請求項2記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】プラスチックフィルムの片面に電極と配向
    膜を有しその配向膜を内側にして対向配置された一対の
    プラスチック基板と、これ等プラスチック基板間に封入
    された液晶物質とを備え、かつ、上記プラスチック基板
    の少なくとも一方の電極が透明である液晶表示素子にお
    いて、 上記プラスチックフィルムの少なくとも片面に、無機薄
    膜層と、金属アルコキシド若しくはその加水分解物又は
    塩化錫の少なくとも1種を有するコーティング層が設け
    られていることを特徴とする液晶表示素子。
  5. 【請求項5】コーティング層に含まれる上記金属アルコ
    キシドが、テトラエトキシシラン及びポリイソプロポキ
    シアルミニウムより選択された1種又は2種の混合体で
    あることを特徴とする請求項4記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】バインダー、及び、金属アルコキシド若し
    くはその加水分解物又は塩化錫の少なくとも1種を有す
    る水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主成分とす
    るコーティング剤を塗布・乾燥して上記コーティング層
    が形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載
    の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】上記コーティング層に含まれるバインダー
    がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項
    4〜6のいずれかに記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】プラスチックフィルムの片面に電極と配向
    膜を有しその配向膜を内側にして対向配置された一対の
    プラスチック基板と、これ等プラスチック基板間に封入
    された液晶物質とを備え、かつ、上記プラスチック基板
    の少なくとも一方の電極が透明である液晶表示素子にお
    いて、 上記プラスチックフィルムの少なくとも片面に、無機高
    分子被膜が設けられていることを特徴とする液晶表示素
    子。
  9. 【請求項9】プラスチックフィルムの片面に電極と配向
    膜を有しその配向膜を内側にして対向配置された一対の
    プラスチック基板と、これ等プラスチック基板間に封入
    された液晶物質とを備え、かつ、上記プラスチック基板
    の少なくとも一方の電極が透明である液晶表示素子にお
    いて、 上記プラスチックフィルムの少なくとも片面に、無機薄
    膜層と無機高分子被膜が設けられていることを特徴とす
    る液晶表示素子。
  10. 【請求項10】プラスチックフィルムの片面に電極と配
    向膜を有しその配向膜を内側にして対向配置された一対
    のプラスチック基板と、これ等プラスチック基板間に封
    入された液晶物質とを備え、かつ、上記プラスチック基
    板の少なくとも一方の電極が透明である液晶表示素子に
    おいて、 上記プラスチックフィルムの少なくとも片面に、無機高
    分子被膜を間に介して2つの無機薄膜層が設けられてい
    ることを特徴とする液晶表示素子。
  11. 【請求項11】ポリシラザン前駆体若しくはこの変性体
    又はこれ等の混合体を含有する塗布液を加熱若しくは低
    温プラズマ処理し上記ポリシラザン前駆体若しくはこの
    変性体又はこれ等の混合体を硬化・重合させて形成した
    酸化ケイ素系若しくは窒化ケイ素系又はこれ等の混合系
    から成る無機高分子により上記無機高分子被膜が構成さ
    れていることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに
    記載の液晶表示素子。
  12. 【請求項12】H3Si(NHSiH2nNHSiH3
    示されるケイ素化合物又はその誘導体を含有する塗布液
    を加熱・乾燥させて形成した酸化ケイ素系若しくは窒化
    ケイ素系又はこれ等の混合系から成る無機高分子により
    上記無機高分子被膜が構成されていることを特徴とする
    請求項8〜10のいずれかに記載の液晶表示素子。
  13. 【請求項13】上記無機高分子被膜の膜厚が、0.01
    μm〜5.0μmであることを特徴とする請求項8〜1
    2のいずれかに記載の液晶表示素子。
  14. 【請求項14】上記無機薄膜層が、酸化珪素、酸化マグ
    ネシウム及び酸化アルミニウムより選択された1種又は
    2種以上の混合体から成ることを特徴とする請求項1〜
    7及び9〜13のいずれかに記載の液晶表示素子。
JP18477095A 1994-09-29 1995-06-28 液晶表示素子 Pending JPH08248401A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18477095A JPH08248401A (ja) 1994-09-29 1995-06-28 液晶表示素子

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23494694 1994-09-29
JP7-2129 1995-01-10
JP212995 1995-01-10
JP6-234946 1995-01-10
JP18477095A JPH08248401A (ja) 1994-09-29 1995-06-28 液晶表示素子

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003346668A Division JP3613279B2 (ja) 1994-09-29 2003-10-06 積層体及びディスプレイ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08248401A true JPH08248401A (ja) 1996-09-27

Family

ID=27275214

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18477095A Pending JPH08248401A (ja) 1994-09-29 1995-06-28 液晶表示素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08248401A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19649761A1 (de) * 1996-11-30 1998-06-10 Ernst Lueder Verfahren zur Herstellung von Flüssigkristall-Displays auf Kunststoff-Folien unter Verwendung von bistabilen Flüssigkristallen
JP2003005159A (ja) * 2001-06-18 2003-01-08 Sumitomo Bakelite Co Ltd 光学用フィルムシート及びこれを用いた表示装置
JP2003021705A (ja) * 2001-07-10 2003-01-24 Sumitomo Bakelite Co Ltd 光学用フィルムシート及びこれを用いた表示装置の製造方法
JP2004295109A (ja) * 2003-03-07 2004-10-21 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 液晶表示装置およびその作製方法
JP2007237588A (ja) * 2006-03-09 2007-09-20 Kyodo Printing Co Ltd ガスバリア性フィルム及びその製造方法
WO2013161809A1 (ja) * 2012-04-26 2013-10-31 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルム、およびこれを用いる電子デバイス
US8634050B2 (en) 2003-03-07 2014-01-21 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Liquid crystal display device and method for manufacturing the same
TWI554804B (zh) * 2011-11-30 2016-10-21 Lintec Corp A method for producing a gas barrier film, and an electronic component or an optical element having a gas barrier film
EP2620274A4 (en) * 2010-09-21 2017-06-28 Lintec Corporation Formed body, production method thereof, electronic device member and electronic device

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19649761A1 (de) * 1996-11-30 1998-06-10 Ernst Lueder Verfahren zur Herstellung von Flüssigkristall-Displays auf Kunststoff-Folien unter Verwendung von bistabilen Flüssigkristallen
DE19649761C2 (de) * 1996-11-30 2003-04-03 Univ Stuttgart Verfahren zur Herstellung von Flüssigkristall-Displays auf Kunststoff-Folien unter Verwendung von bistabilen Flüssigkristallen
JP2003005159A (ja) * 2001-06-18 2003-01-08 Sumitomo Bakelite Co Ltd 光学用フィルムシート及びこれを用いた表示装置
JP2003021705A (ja) * 2001-07-10 2003-01-24 Sumitomo Bakelite Co Ltd 光学用フィルムシート及びこれを用いた表示装置の製造方法
JP2004295109A (ja) * 2003-03-07 2004-10-21 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 液晶表示装置およびその作製方法
US8634050B2 (en) 2003-03-07 2014-01-21 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Liquid crystal display device and method for manufacturing the same
JP2007237588A (ja) * 2006-03-09 2007-09-20 Kyodo Printing Co Ltd ガスバリア性フィルム及びその製造方法
EP2620274A4 (en) * 2010-09-21 2017-06-28 Lintec Corporation Formed body, production method thereof, electronic device member and electronic device
TWI554804B (zh) * 2011-11-30 2016-10-21 Lintec Corp A method for producing a gas barrier film, and an electronic component or an optical element having a gas barrier film
WO2013161809A1 (ja) * 2012-04-26 2013-10-31 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルム、およびこれを用いる電子デバイス
JPWO2013161809A1 (ja) * 2012-04-26 2015-12-24 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルム、およびこれを用いる電子デバイス

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0726579B1 (en) Transparent conductive sheet
US4802742A (en) Electrode plates for liquid crystal display panels
JPH07502840A (ja) 向上した電極を含む光変調装置
JPH08248401A (ja) 液晶表示素子
JPS6141122A (ja) 液晶表示パネル用電極基板
JP2001083489A (ja) 液晶表示パネル用基板
JP4429467B2 (ja) 透明導電性フィルム
JP2686751B2 (ja) 光学的位相機能を有する積層体
JP2001125079A (ja) 透明電極用基板及び液晶表示装置
US4707079A (en) Liquid crystal panel having uniaxially-stretched substrates
JP4889135B2 (ja) 反射防止膜フィルム
JPH11174424A (ja) 液晶表示パネル用基板
CN100511826C (zh) 色素增感型太阳能电池用叠层体、色素增感型太阳能电池用电极及其制造方法
JP3613279B2 (ja) 積層体及びディスプレイ
JPH09241829A (ja) ガスバリアフィルムおよびその製造方法
JPH08201791A (ja) 透明電極基板
US4643531A (en) Liquid crystal panel having an organic indium and/or organic zirconium orientation film
JPH10119162A (ja) 光学用積層シート
JPH09254303A (ja) 透明導電フィルム
JP2000347170A (ja) 液晶表示パネル用基板
JPH1166969A (ja) 透明導電フィルム
JP2545246B2 (ja) 光学的位相機能を有する基板を用いた液晶表示パネル
JP5076267B2 (ja) 高分子シートの製造方法およびこれを用いた表示素子用基板
JPH08211376A (ja) 透明積層フィルム
JPH09174747A (ja) 透明導電フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Effective date: 20040224

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040426

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Effective date: 20040506

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Effective date: 20040611

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912