JPH08248227A - 偏光ガラス及びその製造方法 - Google Patents

偏光ガラス及びその製造方法

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JPH08248227A
JPH08248227A JP33927795A JP33927795A JPH08248227A JP H08248227 A JPH08248227 A JP H08248227A JP 33927795 A JP33927795 A JP 33927795A JP 33927795 A JP33927795 A JP 33927795A JP H08248227 A JPH08248227 A JP H08248227A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 偏光特性は従来の偏光ガラスと同等であり、
かつ透過損失を大きく低減させ、かつ実用的強度を有す
る偏光ガラス及びその製造方法の提供。 【解決手段】 金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス
体と実質的に光散乱を生じないガラス板とを隣接して、
ガラス粘度2×106 ポイズを超え、7×107 ポイズ
以下の状態で線引きし、得られた形状異方性を有する金
属ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス層
を有するガラス複合体を還元処理して、前記金属ハロゲ
ン化物粒子の少なくとも一部を形状異方性を有する金属
粒子にする前記偏光ガラスの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザーと光フ
ァイバーを使用した光通信において利用される超小型ア
イソレーターに用いられる偏光ガラス及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス中にアスペクト比の大きな金属粒
子を一方向に配向させた偏光ガラスはすでに公知であ
る。例えば、特開昭56−169140号公報(以下、
先行技術1と称する)にはAgCl、AgBr及びAg
I等のハロゲン化銀粒子を含むガラスを延伸せしめ、こ
れを還元雰囲気中で300℃以上の温度で還元すること
により、一方向に伸長された金属銀粒子を析出させて、
偏光ガラスを得ることが開示されている。
【0003】特開平5−208844号公報(以下、先
行技術2と称する)にはCuCl、CuBr及びCuI
等のハロゲン化銅粒子をガラス中に析出させ、これを延
伸し、さらに還元することにより、一方向に延伸された
金属銅粒子を析出させた偏光ガラスとその製造方法が開
示されている。
【0004】特開昭59−83951号公報(以下、先
行技術3と称する)には、表面付近での引っ張り応力の
集中に起因する破損を防止するため、未だ金属粒子が析
出、延伸されていない潜在的な偏光ガラス即ちコアガラ
スをかなり粘性の低いガラスで被覆し、延伸物の表面に
はほとんど引っ張り応力が存在しないホトクロミック特
性を併せ持つ偏光ガラスとその製造方法が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1及び2に開
示された偏光ガラスは、ハロゲン化金属を含むガラスを
延伸し、これを還元雰囲気中で高温に保持して金属粒子
を析出させることにより製造される。しかし、ガラス内
部のハロゲン化金属粒子はほとんど還元されないまま残
り、金属粒子が析出している部分は極めて薄い表面層に
限定されている。ガラス内部に残ったハロゲン化金属
は、偏光特性にはまったく寄与しない。そればかりか、
ハロゲン化金属粒子は周囲の母体ガラスと屈折率が異な
るために光散乱の原因となり、入射光の一部を散乱して
透過損失の原因となっている。さらに、ハロゲン化金属
の一部はガラス中でイオン化する。イオン化した金属は
特定の波長領域を吸収するため、これも波長領域によっ
ては透過損失の原因となる。
【0006】先行技術3には積層した偏光ガラスが開示
されているが、この発明の目的は、ホトクロミック特性
を有する偏光ガラスである。コアガラスは、未だ金属粒
子が析出、延伸されていない潜在的な偏光ガラスを使用
せざるを得ず、必然的にハロゲン化金属粒子を含有する
ことになる。このため、母体ガラスとハロゲン化金属粒
子との屈折率差からくる散乱により、光の透過損失が生
じる。
【0007】また、表面付近での引っ張り応力に起因す
る破損を防止するため、コアガラスをかなり粘性の低い
ガラスで被覆しており、コアガラスの組成と異なるガラ
スで被覆することが特徴となっている。しかし、一般に
被覆ガラス即ち表面ガラスとコアガラスの組成が異なる
と、両ガラスの屈折率が異なり、これらのガラスの界面
での屈折率差による反射ロスも、光の透過損失の一因と
なっている。
【0008】上記のように従来の偏光ガラスは透過損失
が大きく、実用上大きな問題である。特に、偏光ガラス
を光アイソレーターに使用する場合、アイソレーター全
体の透過損失に占める偏光ガラスの透過損失はかなり大
きなものになっている。上記先行技術に記載の偏光ガラ
スでは、還元を長時間行うことで金属ハロゲン化物の還
元率を上げて、透過損失をある程度低減することは可能
である。しかし、満足できるレベルではない。さらに、
還元時間の長期化は、生産性の低下を招き、実用性に乏
しい。
【0009】また、偏光ガラス全体の厚みを薄くすれ
ば、ハロゲン化金属粒子を含有する層が薄くなり、ある
程度は透過損失を低減できる。しかし、厚みの薄い偏光
ガラスは、応力に弱く扱いが困難となり、実用的なもの
でなくなる。さらに、通常の偏光ガラスは高い面精度を
得るために研磨を行うが、薄いガラスを研磨皿に載せる
とガラスの変形が起こり、高い面精度を得るための研磨
ができないという不都合がある。本発明者らの検討によ
れば、例えば、先行技術2の偏光ガラスにおいて、厚み
を1mmから0.3mmにすることで偏光特性は維持し
つつ透過損失を2%程度低減できる。しかし、強度は不
十分であり、実用できる程度のものではなかった。
【0010】そこで本発明の目的は、偏光特性は従来の
偏光ガラスと同等であり、かつ透過損失を大きく低減さ
せ、かつ実用的強度を有する偏光ガラス及びその製造方
法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、形状異方性を
有する金属粒子が配向して分散されているガラス層を、
実質的に光散乱を生じないガラス基体の少なくとも一方
の面の一部又は全部に有することを特徴とする偏光ガラ
スに関する。
【0012】さらに本発明は、形状異方性を有する金属
ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス板を
実質的に光散乱を生じないガラス板の少なくとも一方の
表面の一部又は全部に融着一体化したガラス複合体を、
還元処理して前記金属ハロゲン化物粒子の少なくとも一
部を形状異方性を有する金属粒子にすることを特徴とす
る本発明の偏光ガラスの製造方法(第1の製造方法)に
関する。
【0013】さらに本発明は、金属ハロゲン化物粒子を
含有するガラス体と実質的に光散乱を生じないガラス体
とを隣接して、ガラス粘度が2×106 ポイズを超え、
7×107 ポイズ以下の状態で線引きし、得られた形状
異方性を有する金属ハロゲン化物粒子が配向して分散さ
れているガラス層を有するガラス複合体を還元処理し
て、前記金属ハロゲン化物粒子の少なくとも一部を形状
異方性を有する金属粒子にすることを特徴とする本発明
の偏光ガラスの製造方法(第2の製造方法)に関する。
【0014】本発明の偏光ガラスは、形状異方性を有す
る金属粒子が配向して分散されているガラス層を、実質
的に光散乱を生じないガラス基体の少なくとも一方の面
の一部又は全部に有することを特徴とする。「形状異方
性を有する金属粒子」としては、例えば、アスペクト比
が2:1〜100:1、好ましくは2:1〜15:1の
範囲にあるAg粒子及びCu粒子等の金属粒子を挙げる
ことができる。但し、これらに限定されるものではな
く、金属としては、白金や金等を用いることも可能であ
る。尚、アスペクト比とは、金属粒子の縦横比を意味
し、縦は金属粒子の長手方向の長さであり、横は長手方
向に垂直な長さ、即ち幅である。
【0015】形状異方性を有する金属粒子のガラス層の
分散量は、透過率を高く維持するために体積比×厚さで
2×10-4mm以下とすることが好ましく、実用的な消
光比を得るためには上記値が2×10-6mm以上である
ことが好ましい。さらに、このガラス層中に未還元の金
属ハロゲン化物粒子が含有されている場合にも、偏光ガ
ラスの透過損失は大きくなる。実用的に満足できる透過
損失を有する偏光ガラスを得るには、上記ガラス層中の
金属ハロゲン化物粒子の残存量が体積比×厚さで4×1
-3mmより少ないことが好ましい。尚、偏光ガラスが
2層の形状異方性を有する金属粒子のガラス層を有する
場合には、上記金属ハロゲン化物粒子の残存量は、2層
合計の量である。
【0016】「実質的に光散乱を生じないガラス基体」
は、例えば、上記金属粒子やその前駆体となるハロゲン
化物粒子を実質的に含まないガラス基体である。但し、
光散乱は、直径が10nm以下の粒子では極めて小さい
ので、直径が10nm以下の金属粒子やハロゲン化物粒
子を含むガラス基体は、「実質的に光散乱を生じないガ
ラス基体」に含まれる。
【0017】本発明の偏光ガラスは、実質的に光散乱を
生じないガラス基体の一方の面のみに形状異方性を有す
る金属粒子を含むガラス層を有する態様、及び実質的に
光散乱を生じないガラス基体の両方の面に形状異方性を
有する金属粒子を含むガラス層を有する態様がある。ま
た、形状異方性を有する金属粒子を含むガラス層は、ガ
ラス基体の表面の一部に設けることも、全面に設けるこ
ともできる。
【0018】本発明の偏光ガラスにおいて、「形状異方
性を有する金属粒子」を含むガラス層と「実質的に光散
乱を生じないガラス基体」とは、屈折率が実質的に等し
いことが好ましい。屈折率が実質的に等しいとは、ガラ
ス層とガラス基体の屈折率の差により反射ロスがほとん
ど生じないことを意味する。例えば、屈折率の差が0.
1以内であれば、ガラス層とガラス基体との屈折率の差
による反射ロスはほとんど問題にならない。
【0019】本発明のガラス層及びガラス基体として使
用できるガラスは、珪酸塩ガラス、ホウ珪酸塩、燐酸塩
ガラス、フツ燐酸塩ガラス、フッ化物ガラス等のガラス
である。特に望ましい系はホウ珪酸塩ガラスで、その組
成の範囲は、重量%でSiO2 28〜65%、B2 3
13〜50%、Al2 3 6〜13%、AlF3 0〜5
%、アルカリ金属化合物7〜17%、アルカリ金属塩化
物が0〜5%、酸化銅とハロゲン化銅の合量が0〜2.
5%、酸化銀とハロゲン化銀の合量が0〜2.5%、S
nO 0〜0.6%、As2 3 0〜5%であるガラス
が少なくとも80%以上含まれる範囲である。
【0020】さらに、本発明の偏光ガラスにおいては、
「形状異方性を有する金属粒子」を含むガラス層と「実
質的に光散乱を生じないガラス基体」とが、熱膨張率及
び粘度とが実質的に等しいことが好ましい。熱膨張率及
び粘度とが実質的に等しいとは、ガラス層とガラス基体
の接合により、ガラスに応力が生じ、クラック等が発生
しないような熱膨張率及び粘度を意味し、例えば、両ガ
ラスの熱膨張率及び粘度の対数の差がそれぞれ10×1
-7/℃及び0.3以内であればほとんど問題がない。
2つのガラスの熱膨張率及び粘度とは、例えば、ガラス
基体のガラス組成とガラス層のガラス組成の各成分の差
を、ガラス層のガラス組成から金属粒子を除いた各成分
について最大5%を乗じた値以内とすることで、実質的
に等しくすることができる。
【0021】本発明の偏光ガラスでは、「形状異方性を
有する金属粒子」を含むガラス層の厚みが0.4mm以
下であることが好ましい。ガラス層が2層ある場合に
は、各ガラス層ともに0.2mm以下であることが好ま
しい。前記範囲の厚みであることにより、通常の還元条
件で、ガラス層内のハロゲン化金属粒子の残存量を、光
散乱が実用的に許容できる範囲に抑えることができる。
また、ガラス層(1層又は2層)とガラス基体の合計の
厚み、即ち偏光ガラスの厚みは、0.5mm以上である
ことが、実用的な強度を保持できるという観点から好ま
しい。
【0022】次に本発明の偏光ガラスの製造方法につい
て、図1に基づいて説明する。尚、図1は、形状異方性
を有する金属粒子を含むガラス層を2層有する偏光ガラ
スの製造方法の例である。
【0023】第1の製造方法においては、まず、形状異
方性を有する金属ハロゲン化物粒子が配向して分散され
ているガラス板を実質的に光散乱を生じないガラス板の
少なくとも一方の表面の一部又は全部に融着一体化した
ガラス複合体を作製する。この複合体の成形は、例え
ば、図1の2列目に示すように、金属ハロゲン化物を含
有するガラス板中に金属ハロゲン化物粒子を析出させる
工程(A)を行い、金属ハロゲン化物粒子を含有するガ
ラス板(2枚)と実質的に光散乱を生じないガラス板と
を融着一体化する工程(B)を行い、次いで金属ハロゲ
ン化物粒子を含有するガラス層を有するガラス板を延伸
する工程(C)、により行うことができる。
【0024】上記3つの工程は、上記順序により行うの
が好ましい。例えば、ガラス板を延伸する工程(C)の
後に融着一体化する工程(B)を行うと、融着の際金属
ハロゲン化粒子の径が変形したり、延伸された粒子が元
の形状に戻り易く、その温度コントロールが難しい場合
があるからである。さらに、金属ハロゲン化物を含有す
るガラス板と、実質的に光散乱を生じないガラス板とを
融着し一体化物を得る工程(B)は、少なくとも一方の
ガラスの屈伏点より0〜250℃高い温度で行うことが
好ましい。その理由は、屈伏点より250℃を越える高
い温度になるとガラスの軟化速度が速すぎてガラスが変
形してしまい不都合である。また、屈伏点より低い温度
では融着不良となる。
【0025】尚、上記以外の順序でもガラス複合体を作
製することはできる。例えば、図1の上の列に示すよう
に、例えば、金属ハロゲン化物を含有するガラス板と、
実質的に光散乱を生じないガラス板とを融着し一体化物
を得る工程(B)、金属ハロゲン化物を含有する前記ガ
ラス板中に金属のハロゲン化物粒子を析出させる工程
(A)、及び金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス板
を延伸する工程(C)、により行うことができる。ま
た、図示していないが、金属ハロゲン化物粒子を析出さ
せる工程(A)と融着一体化する工程(B)を同時に行
うこともできる。
【0026】金属ハロゲン化物のハロゲンとしては、例
えば塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。金属ハ
ロゲン化物としては、例えば塩化銀、臭化銀、ヨウ化
銀、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、塩化金、臭化金、ヨウ
化金、塩化白金、臭化白金、ヨウ化白金等を挙げること
ができる。金属ハロゲン化物粒子が分散されているガラ
スは、公知の方法により容易に製造することができる。
【0027】尚、実質的に光散乱を生じないガラス板に
おいて、金属粒子又は金属のハロゲン化物粒子を実質的
に含まないとは、ガラス板のガラス組成に不純物として
含まれる該金属又は該金属のハロゲン化物以外の該金属
粒子又は該金属のハロゲン化物粒子は含まないことを意
味する。
【0028】前記ガラス複合体の還元処理は、従来技術
に記載の方法及び条件をそのまま用いることができる。
但し、表面のガラス層に含まれる金属ハロゲン化物粒子
をできるだけ多く還元して形状異方性を有する金属粒子
とし、前記のように金属ハロゲン化物粒子の残存量を体
積比×厚さで4×10-3mmより少なくすることが、光
散乱を抑制するという観点から好ましい。
【0029】還元処理は、例えば、ガラス複合体を還元
性のガス雰囲気中で熱処理することで行うことができ
る。還元性のガスとしては、例えば水素ガスやCO−C
2 ガス等を挙げることができる。還元の条件は、還元
すべき金属ハロゲン化物の種類により異なる。但し、還
元の温度が高すぎると還元して得られる金属粒子が再球
状化することを考慮して、還元温度は決められる。例え
ば、ハロゲン化銅の場合、約350〜550℃であるこ
とが適当である。また、還元の時間は、還元温度及び還
元の程度を勘案して適宜決めることができる。通常、3
0分間〜10時間の範囲で行うことができる。
【0030】本発明の第2の製造方法では、延伸法のな
かでも、特に線引き法を用いる。線引きは、金属ハロゲ
ン化物粒子を含有するガラス体と実質的に光散乱を生じ
ないガラス体とを隣接させて行う。実質的に光散乱を生
じないガラス基体の両表面に形状異方性を有する金属ハ
ロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス層を有
する偏光ガラスの場合には、実質的に光散乱を生じない
ガラス体の対向する2つの表面のそれぞれに金属ハロゲ
ン化物粒子を含有するガラス体を隣接させて線引きす
る。線引き法を用いることにより、ガラス体の融着と延
伸を同時に行うことができるとともに、後述のように、
ガラスの破損を防止して安定して偏光ガラスの前駆体で
あるガラス複合体を得ることができる。
【0031】線引きは、ガラス粘度が2×106 ポイズ
を超え、7×107 ポイズ以下の状態で行う。ガラスの
粘度が、上記範囲で線引きすることで、ガラスの破壊を
防止しつつ伸長を行うことができる。従って、金属ハロ
ゲン化物粒子を含有するガラス体と実質的に光散乱を生
じないガラス体のいずれもが、上記粘度範囲となる条件
で行う。粘度が2×106 ポイズ未満の場合、金属粒子
の析出熱処理温度域に達するため、引張り工程において
金属粒子を成長させるので長尺な線引き物の場合、その
長さ方向において均一な偏光特性をもった偏光ガラスを
作成することができない。さらに、実験によれば、ガラ
スの粘度が低すぎてハロゲン化物粒子を伸張できるだけ
の応力(張力)を掛けて線引きすることは困難である。
また、ガラスの粘度が、7×107 ポイズを超えると、
ガラスの軟化温度域に達しないので、線引き中に破断す
る確率が増えるので好ましくない。
【0032】線引き時のガラスの粘度は、好ましくは7
×106 ポイズ〜4×107 ポイズの範囲である。ガラ
スの粘度は、ガラスの種類及び温度により変化するの
で、ガラスの種類により、上記粘度になる温度を適宜設
定する。また、線引きの程度は、金属ハロゲン化物粒子
の所望のアスペクト比に応じて適宜決定する。また、金
属ハロゲン化物粒子のアスペクト比は、還元後の金属粒
子の所望のアスペクト比を考慮して適宜決定する。例え
ば、金属ハロゲン化物粒子のアスペクト比は、10:1
〜500:1の範囲とすることで、2:1〜100:1
の範囲のアスペクト比の金属粒子を得ることができる。
【0033】また、線引きして得られるガラス複合体の
形状異方性を有する金属粒子を含有するガラス層の厚み
は0.4mm以下とすることで、線引きして得られるガ
ラスを効率良く冷却でき、伸長した金属ハロゲン化物粒
子の再球状化を防止することができる。好ましくはガラ
スの厚みは0.1〜0.4mmである。また、線引きし
て得られるガラスの厚みは0.4mm以下であること
で、後工程での還元処理において、比較的容易に金属ハ
ロゲン化物粒子を金属粒子に還元することができ、残存
する金属ハロゲン化物粒子量を少なくして、透過損失を
低減できるという利点もある。また、ガラス複合体は、
光アイソレータに用いるという観点から、断面が矩形又
は略矩形であることが好ましい。尚、本発明では、略矩
形には楕円形も含む。断面形状は、最終製品である偏光
ガラスに要求される形状に応じて適宜決定できる。但
し、矩形は、一般には正方形又は長方形である。
【0034】また、上記線引きは、ガラスに対する応力
が、50kg/cm2 〜600kg/cm2 の範囲とな
るようにして行うことが好ましい。この範囲で線引きす
ることで、ガラスの破壊等を防止でき、かつ金属ハロゲ
ン化物粒子を適度に伸長することもできるからである。
尚、応力が50kg/cm2 未満の場合、アスペクト比
10:1以上に金属粒子を伸長することができず、吸収
ピーク波長を赤外域に有する偏光ガラスは得られにく
い。また、応力が600kg/cm2 を超えると、ガラ
スに実用的破壊値以上の力が加わり、ガラスの破損が発
生し易くなる傾向がある。
【0035】上記のような条件で線引きを行うことによ
り、所望のアスペクト比の金属ハロゲン化物粒子を分散
含有するガラス層を有するガラス複合体を得ることがで
きる。尚、金属ハロゲン化物粒子は後工程で還元されて
金属粒子となるが、金属ハロゲン化物粒子が還元されて
金属粒子になると体積が減少する。従って、金属ハロゲ
ン化物粒子のアスペクト比は、還元により得られる金属
粒子のアスペクト比を考慮して決めることが好ましい。
【0036】この方法によれば、各ガラス体の屈折率、
熱膨張係数、軟化温度を合わせることができ、反射ロス
や歪みのない熱融着面が得られる。また、偏光ガラスに
使うガラス組成から金属ハロゲン化物だけを除いたガラ
スを用意して、これを金属ハロゲン化物粒子を含まない
ガラス板に使用しても良い。
【0037】本発明の線引きに用いる装置の例を図2に
示す。図2において、1は金属ハロゲン化物粒子を含有
するガラス体と実質的に光散乱を生じないガラス体とを
隣接させたガラスプリフォームである。熱融着されるガ
ラス体の面は光学研磨されていることが好ましい。さら
に、得られるガラス複合体の表面となる面(線引きの結
果融着する面と対向する面)も光学研磨されていること
が好ましい。
【0038】プリフォーム1は送り装置2に針金を介し
て保持されて下方に移動可能になっている。プリフォー
ム1の先端付近は、加熱炉(線引き炉)3内で軟化され
てプリフォーム1の下端部から下方に向けて引張装置4
によって線引きが行われる。線引きにより、伸長した金
属ハロゲン化物粒子が分散しているガラス層を有するテ
ープ状のガラス複合体5が形成される。線引きされて加
熱炉3の外に出たテープ状のガラス複合体5は、外気に
より急激に冷却される。
【0039】加熱炉3の上の円筒形のフード6の上部に
は中央部に送り装置2とプリフォーム1を連結する針金
が通る穴が開いたフタ7が取りつけられている。このフ
ード6とフタ7は、プリフォーム1を加熱炉3内に挿入
の際、急激な温度上昇によりガラスが破損することを防
止すること、及び加熱炉3内の熱の放出を防ぐ効果があ
る。尚、この加熱炉3は図示しない温度制御装置によっ
て温度制御がなされ、加熱炉3内にあるプリフォーム1
の粘性を適度に調整することができる。プリフォーム1
は、送り装置2による送り速度と、引張装置4による引
張速度、及び張力を調整することにより、所望のアスペ
クト比の金属ハロゲン化物粒子が分散しているガラス層
を有するテープ状のガラス複合体5が得られる。
【0040】本発明の線引き法で用いる線引き炉はガウ
ス型温度分布を持っていることが好ましい。ガウス型温
度分布を図3に示す。ガウス型温度分布を持つ線引き炉
のピーク温度位置をプリフォームを変形させる位置に合
わせることで、大きく変形させることができる。さら
に、炉内の温度はピーク温度位置から遠ざかる程低くな
るので、線引きにより得られたガラス複合体の温度を、
移動にともなって急速に低下させることができる。これ
により、ピーク温度位置では、延伸によるガラスの破壊
が生じることがないガラス粘度で延伸ができ、かつ急速
に冷却できることで、延伸された金属ハロゲン化物粒子
の再球状化を有効に防止することができる。
【0041】但し、ガラス複合体の冷却速度は、炉内の
温度分布と線引き速度により変化するので、この両者を
適宜調整することで、適当な条件を決定することができ
る。特に、線引きして得られたガラス複合体が、線引き
におけるガラスの変形開始位置から雰囲気温度が100
℃になる位置まで120秒以内に移動するようにするこ
とが好ましい。より好ましくは、60秒以内で雰囲気温
度が100℃になる位置まで移動させることである。
【0042】加えて、線引き後のガラス複合体の冷却速
度は、ガラス複合体の厚みにも依存する。そのため、全
体の厚さは2mm以下、好ましくは1mm以下とするこ
とが適当である。
【0043】次に本発明の光アイソレーターについて説
明する。本発明のアイソレーターは、ファラディー回転
素子及び少なくとも1つの偏光子を構成部品として含
み、好ましくは、ファラディー回転素子、2つの偏光子
及び磁石を構成部品として含み、上記偏光子として前記
本発明の偏光ガラスを用いたものである。図4には、本
発明の偏光ガラス11と12、磁性ガーネット膜13、
Sm−Co系磁石14からなるアイソレーターの説明図
を示す。偏光ガラス11側から光が入射する。本発明の
アイソレーターは、高いアイソレーションを有するとと
もに、透過損失が低減された優れた光アイソレーターで
ある。尚、偏光の対象とする光の波長に応じて、偏光ガ
ラス中の金属の種類や大きさ及びアスペクト比を適宜変
更することかできる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、消光比は従来の偏光ガ
ラスと同等であり、かつ透過損失を大きく低減させ、か
つ実用的強度を有する偏光ガラス及びその製造方法を提
供することができる。さらに、ガラス基体と形状異方性
を有する金属粒子含有ガラス層の熱膨張率、屈折率、粘
度を実質的に等しくすることにより、ガラス界面での屈
折率の差による反射損失を防止できるばかりでなく、ガ
ラス界面で応力を生ずることなく容易に接合させること
もできる。
【0045】本発明の第1の製造方法は、比較的簡単な
方法で偏光ガラスを作製できることから、装置への投資
が少なくて済む上、プリフォームを在庫として準備して
おけば、需要に対して早急に対応することが可能とな
る。さらに、融着一体化する温度をいずれかのガラスの
屈伏点よりも0〜250℃高い温度とすることで、確実
に融着一体化できる。
【0046】線引き法を用いる本発明の第2の製造方法
では、ガラス体の融着と延伸を同時に行うことができる
とともに、後述のように、ガラスの破損を防止して安定
して偏光ガラスの前駆体であるガラス複合体を得ること
ができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って具体的
に説明する。なお、実施例では、Cu又はAgのハロゲ
ン化物粒子を含むガラス層を表面ガラスと称し、Cu又
はAgのハロゲン化物粒子を実質的に含まないガラス基
体をコアガラスと称する。
【0048】実施例1 重量%で、SiO2 57.5%、B2 3 19.5
%、Al2 3 8.9%、AlF3 2.0%、Na
2 O 9.8%、NaCl 1.4%、CuCl 0.
8%、SnO 0.1%の組成のガラスを、原料として
SiO2 、H3BO3 、Al(OH)3 、Na2
3 、NaCl、AlF3 、CuCl、SnO等を用い
て調合し、3リットルの白金製ルツボに入れ、約145
0℃で溶解した後、グラファイトの型に流し込んで成形
し、室温まで徐冷した。このガラスを700℃で1時間
熱処理して、約70nmのハロゲン化銅粒子を析出させ
た後、1×10×100mmのサイズに切り出し、これ
を表面ガラスとした。上記の組成からCuClを除いた
組成のガラスを上記と同様な方法でガラスを作成し、4
×10×100mmのサイズに切り出し、これをコアガ
ラスとした。これらのガラスは共に屈伏点は550℃で
あった。
【0049】これらのガラスの表面を研磨して、図5に
示すように2枚の表面ガラス2の間にコアガラス1を挟
み、650℃で20分間保持して、両ガラスを融着し
た。こうして作成したプリフォームの下端を温度600
℃(表面ガラスとコアガラス共に、粘度2×109 ポア
ズに相当する温度)に保持し、Aの方向に、速度150
mm/分で、平均400kg/cm2 の応力でその断面
が1.2×2.0mmになるまで延伸した。
【0050】このガラスの両面を研磨により、それぞれ
0.1mm削除し、1mm厚(表面ガラスの厚さ0.1
mm、コアガラスの厚さ0.8mm)とした。次に、こ
のガラスを400℃、3時間、水素雰囲気中で還元処理
し、金属銅粒子(アスペクト比6:1)を析出させて本
発明の偏光ガラスを得た。得られた偏光ガラスの波長
1.31μm及び1.55μmにおける消光比及び透過
損失を表1に示す。
【0051】比較例1 表面ガラスのみのガラスについて、実施例1と同様の条
件で1mm厚の金属銅粒子(アスペクト比6:1)が配
向・分散している偏光ガラスを作成し、偏光特性を実施
例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】アスペクト比は電子顕微鏡により、金属粒
子を観察し、ランダムに100ケを選びその縦横比を測
定し、その平均値をとった。透過損失は作成した偏光ガ
ラス(ARコート付き)の透過率Tpを測定し、次の計
算式により得た。 損 失L=−10×1og10(Tp/100)
【0054】消光比は、直線偏光を試料に照射し、試料
を回転させることにより、粒子の長軸と照射光の偏光面
が垂直な場合の透過率(Tp%)、粒子の長軸と照射光
の偏光面が平行な場合の透過率(Th%)を測定し、次
の式により算出した。 消光比E=+10×1og10(Tp/Th)
【0055】表1の結果、本発明の偏光ガラスは、従来
の偏光ガラス(比較例1)に比較して、透過損失は25
%改善されていることが分かる。
【0056】実施例2 重量%で、SiO2 57.5%、B2 3 19.5
%、Al2 3 8.9%、AlF3 2.0%、Na
2 O 9.8%、NaCl 1.4%、AgCl 0.
8%の組成のガラスを、原料としてSiO2 、H3 BO
3 、Al(OH)3 、Na2 CO3 、NaNO3 、Na
Cl、AlF3 、AgCl等を用いて調合し、3リット
ルの白金製ルツボに入れ、約1450℃で溶解した後、
グラファイトの型に流し込んで成形し、室温まで徐冷し
た。このガラスを700℃で1時間熱処理して、約70
nmのハロゲン化銀粒子を析出させた後、2×10×1
00mmのサイズに切り出し、これを表面ガラスとし
た。上記の組成からAgClを除いた組成のガラスを上
記と同様な方法でガラスを作成し、4×10×100m
mのサイズに切り出し、これをコアガラスとした。これ
らのガラスは共に屈伏点は550℃であった。
【0057】これらのガラスの表面を研磨して、図6に
示すように表面ガラス2とコアガラス1を重ね、650
℃で20分間保持して、両ガラスを融着した。こうして
作成したプリフォームの下端を温度600℃(表面ガラ
スとコアガラス共に、粘度2×109 ポアズに相当する
温度)に保持し、Aの方向に、速度150mm/分で、
平均400kg/cm2 の応力でその断面が1.2×
2.0mmになるまで延伸した。
【0058】このガラスの両表面ガラス側を研磨によ
り、各0.1mm削除し、1mm厚(表面ガラスの厚さ
0.3mm、コアガラスの厚さ0.7mm)とした。こ
れを440℃、6.8時間、水素雰囲気中で還元処理
し、金属銀粒子(アスペクト比6:1)を析出させて本
発明の偏光ガラスを得た。得られた偏光ガラスの波長
1.31μm及び1.55μmにおける消光比及び透過
損失を表2に示す。
【0059】比較例2 表面ガラスのみのガラスについて、実施例2と同様の条
件で1mm厚の金属銀粒子(アスペクト比6:1)が配
向・分散している偏光ガラスを作成した。但し、還元層
の合計の厚さが同じになるように還元時間を1.7時間
とした。偏光特性を実施例2と同様にして測定し、結果
を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】実施例3〜6 実施例1、2と同様の方法で、偏光ガラスを作成し、ア
スペクト比、及び波長1.31μm、1.55μmでの
透過損失を実施例と同様な方法で測定した。表3はそれ
ぞれの実施例の表面ガラスとコアガラスの組成、表4は
偏光ガラスの作成条件、表5はそれらの偏光特性を示
す。表中、粘度はガラスへの圧子の貫入速度を計って粘
度を測定するペネトレーション法によって測定した。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】ハロゲン化金属粒子のアスペクト比を高め
る方法として、実施例では延伸法のみを説明したが、本
発明は押し出し法でも可能である。しかし、延伸法の方
がより小さいハロゲン化金属粒子を引き延ばすことが可
能であり、特に、波長の短い領域での損失を改善するこ
とができるという点で、延伸法の方が望ましい。
【0066】ハロゲン化金属の析出条件、コアガラスと
表面ガラスとの融着条件、延伸条件、及び還元条件につ
いては、上記ガラスの組成範囲によって異なるが、コア
ガラスと表面ガラスの融着条件は、その融着温度が少な
くとも一方のガラスの屈伏点よりも0〜250℃、より
好ましくは50〜100℃高い温度にある。また、延伸
する温度はガラスの粘度が1×104 ポアズ〜1×10
11ポアズに相当する温度であることが好ましい。
【0067】実施例7 (1)プリフォームの作成 SiO2 59.9%、AlF3 2%、Al2 3 6.8
%、B2 3 20%、Na2 O 9.7%、NaCl
1%、CuCl 0.8%、SnO 0.1%なる組成
のガラスを、5L白金ルツボにて1410℃で溶解した
後、鋳型に流し込み470℃で徐冷し、ガラスブロック
を作成した。このガラスブロックから適当な大きさに切
り出し、765℃にて60分熱処理し、前記ガラスブロ
ック中に平均粒径約130nmの塩化銅粒子を含むガラ
スを得た。このガラスを加工して、板状のガラス(20×
1×220mm)を作成した。これとは別に、熱処理をしない
(塩化銅粒子を含まない)板状のガラス(20×6×220m
m)を作成した。
【0068】(2)線引き 前記熱処理をしない板状のガラスを2枚の塩化銅粒子を
含む板状のガラスで挟み込みプリフォームとし、これを
図2に示す線引き装置で線引きした。プリフォーム1を
送り装置2に取りつけ(針金によってプリフォーム1の
上端を送り装置2の下端に吊り下げた)、前記プリフォ
ーム1の下端部が、加熱炉3の下端から約50mm上方
にくるように、位置をセットした。図示しない温度制御
装置により加熱炉3内の温度を710℃まで昇温した。
(尚、このときに炉内温度は、ピークの温度を意味し、
そのピークの位置は炉の高さ方向の略中点に位置する。
以降炉内温度とは、このピークの温度を意味する。)プ
リフォーム1下端には、針金が巻きつけてあり、前記炉
3内温度が安定した後、前記針金に荷重をかけ、ガラス
の伸長を開始した。
【0069】線引きして線状になったガラスを、引張装
置4である双方ベルト方式のローラーに挟み、加熱炉3
内の温度をガラスの軟化温度より15℃高い690℃
(ガラスの粘度ν=2×107 ポイズ)に設定した(炉
の温度のピークの位置における粘度を示す)。温度が安
定した後、ガラスの下端にローラーにより張力をかけて
連続的にテープ状ガラスを引っ張った。この時の送り装
置2の送り速度は、6mm/分、引張装置4の引張速度
は、60cm/分、荷重は1600g(応力:100k
g/cm2 )であった。得られた線状ガラスの断面のサ
イズは、2×0.8mm(幅×厚さ)であった。また、
表面ガラス層中の塩化銅粒子の平均アスペクト比は、透
過型電子顕微鏡により観察した結果、約30:1であっ
た。
【0070】(3)還元 得られた線状のガラスを水素ガス雰囲気中で、430℃
4時間熱処理して偏光ガラス(銅粒子の平均アスペクト
比5:1)を作成した。この偏光ガラスの消光比は、4
8dB(波長1.31μm)であった。尚、表面ガラス
層の厚みはそれぞれ0.1mmであり、3層構造の中間
のガラス基体の厚みは0.6mmであった。またガラス
基体は実質的に塩化銅粒子を含んでいないので、この部
分での塩化銅粒子による散乱はなくなり、透過損失を小
さくできた。波長1.31μmでの透過損失は0.10
dBであった。
【0071】比較例3 実施例1の方法で、平均粒径約130nmの塩化銅粒子
を含む板状のガラス(20×8×220mm)を作成した。この
1枚の板状のガラスをプリフォームとして、温度を68
0℃(軟化温度より5℃高い)とした以外は、実施例7
の同様の線引き方法で、断面寸法が2.0×0.8mm
のガラスを得た。得られたガラスを水素ガス雰囲気中
で、425℃4時間熱処理して偏光ガラス(銅粒子の平
均アスペクト比5:1)を作成した。この偏光ガラスの
消光比は、49dB(波長1.31μm)であった。波
長1.31μmでの透過損失は0.14dBであった。
【0072】実施例7と比較例3とを比較すると、両者
はほぼ同じ消光比を有するが、本発明の偏光ガラスは、
約29%透過損失が低下していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の偏光ガラスの製造方法の概略説明
図。
【図2】 本発明の方法に用いる線引き装置の概略図。
【図3】 ガウス型温度分布を示す図。
【図4】 本発明のアイソレーターの説明図。
【図5】 実施例1及び3〜6におけるコアガラスと表
面ガラスの融着方法の斜視説明図。
【図6】 実施例2おけるコアガラスと表面ガラスの融
着方法の斜視説明図。
【符号の説明】
1 プリフォーム 2 送り装置 3 加熱炉 4 引張装置 5 ガラス複合体 6 円筒形のフード 7 針金が通る穴が開いたフタ 8 コアガラス 9 表面ガラス 11、12 偏光ガラス 13 磁性ガーネット膜 14 Sm−Co系磁石

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 形状異方性を有する金属粒子が配向して
    分散されているガラス層を、実質的に光散乱を生じない
    ガラス基体の少なくとも一方の面の一部又は全部に有す
    ることを特徴とする偏光ガラス。
  2. 【請求項2】 形状異方性を有する金属粒子が、アスペ
    クト比が2:1〜100:1の範囲であるAg粒子又は
    Cu粒子である、請求項1記載の偏光ガラス。
  3. 【請求項3】 ガラス層の屈折率とガラス基体の屈折率
    とが実質的に等しい請求項1又は2記載の偏光ガラス。
  4. 【請求項4】 ガラス層を構成するガラスの熱膨張率及
    び粘度とガラス基体を構成するガラスの熱膨張率及び粘
    度とがそれぞれ実質的に等しい請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の偏光ガラス。
  5. 【請求項5】 ガラス層の厚み(但し、ガラス層が2層
    ある場合にはその合計の厚み)が0.4mm以下であ
    り、かつガラス層とガラス基体の合計の厚みが0.5m
    m以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光
    ガラス。
  6. 【請求項6】 形状異方性を有する金属ハロゲン化物粒
    子が配向して分散されているガラス板を実質的に光散乱
    を生じないガラス板の少なくとも一方の表面の一部又は
    全部に融着一体化したガラス複合体を還元処理して、前
    記金属ハロゲン化物粒子の少なくとも一部を形状異方性
    を有する金属粒子にすることを特徴とする請求項1〜5
    のいずれか1項に記載の偏光ガラスの製造方法。
  7. 【請求項7】 ガラスの融着一体化を、いずれかのガラ
    ス板の屈伏点より0〜250℃高い温度で行う請求項6
    記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス
    体と実質的に光散乱を生じないガラス体とを隣接して、
    ガラス粘度が2×106 ポイズを超え、7×107 ポイ
    ズ以下の状態で線引きし、得られた形状異方性を有する
    金属ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス
    層を有するガラス複合体を還元処理して、前記金属ハロ
    ゲン化物粒子の少なくとも一部を形状異方性を有する金
    属粒子にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の偏光ガラスの製造方法。
  9. 【請求項9】 実質的に光散乱を生じないガラス体の対
    向する2つの表面のそれぞれに金属ハロゲン化物粒子を
    含有するガラス体を隣接させて線引きする、請求項8記
    載の製造方法。
  10. 【請求項10】 線引きして得られたガラス複合体の形
    状異方性を有する金属ハロゲン化物粒子含有層の厚みが
    0.4mm以下である請求項8又は9に記載の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 線引きして得られたガラス複合体が、
    線引きにおけるガラスの変形開始位置から雰囲気温度が
    100℃になる位置まで120秒以内に移動する請求項
    8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 線引きの結果融着する面と対向する面
    を光学研磨したガラス体を用いる請求項8〜11のいず
    れか1項に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    偏光ガラスからなる光アイソレーター用の、透過損失が
    低減された偏光ガラス。
  14. 【請求項14】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    偏光ガラスを用いる透過損失が低減された光アイソレー
    ター。
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