JP3705505B2 - 偏光ガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体レーザーと光ファイバーを使用した光通信において利用される超小型アイソレーターに用いられる偏光ガラス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス中にアスペクト比の大きな金属粒子を一方向に配向させた偏光ガラスはすでに公知である。例えば、特開昭56−169140号公報(以下、先行技術1と称する)にはAgCl、AgBr及びAgI等のハロゲン化銀粒子を含むガラスを延伸せしめ、これを還元雰囲気中で300℃以上の温度で還元することにより、一方向に伸長された金属銀粒子を析出させて、偏光ガラスを得ることが開示されている。
【0003】
特開平5−208844号公報(以下、先行技術2と称する)にはCuCl、CuBr及びCuI等のハロゲン化銅粒子をガラス中に析出させ、これを延伸し、さらに還元することにより、一方向に延伸された金属銅粒子を析出させた偏光ガラスとその製造方法が開示されている。
【0004】
特開昭59−83951号公報(以下、先行技術3と称する)には、表面付近での引っ張り応力の集中に起因する破損を防止するため、未だ金属粒子が析出、延伸されていない潜在的な偏光ガラス即ちコアガラスをかなり粘性の低いガラスで被覆し、延伸物の表面にはほとんど引っ張り応力が存在しないホトクロミック特性を併せ持つ偏光ガラスとその製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
先行技術1及び2に開示された偏光ガラスは、ハロゲン化金属を含むガラスを延伸し、これを還元雰囲気中で高温に保持して金属粒子を析出させることにより製造される。しかし、ガラス内部のハロゲン化金属粒子はほとんど還元されないまま残り、金属粒子が析出している部分は極めて薄い表面層に限定されている。ガラス内部に残ったハロゲン化金属は、偏光特性にはまったく寄与しない。そればかりか、ハロゲン化金属粒子は周囲の母体ガラスと屈折率が異なるために光散乱の原因となり、入射光の一部を散乱して透過損失の原因となっている。
さらに、ハロゲン化金属の一部はガラス中でイオン化する。イオン化した金属は特定の波長領域を吸収するため、これも波長領域によっては透過損失の原因となる。
【0006】
先行技術3には積層した偏光ガラスが開示されているが、この発明の目的は、ホトクロミック特性を有する偏光ガラスである。コアガラスは、未だ金属粒子が析出、延伸されていない潜在的な偏光ガラスを使用せざるを得ず、必然的にハロゲン化金属粒子を含有することになる。このため、母体ガラスとハロゲン化金属粒子との屈折率差からくる散乱により、光の透過損失が生じる。
【0007】
また、表面付近での引っ張り応力に起因する破損を防止するため、コアガラスをかなり粘性の低いガラスで被覆しており、コアガラスの組成と異なるガラスで被覆することが特徴となっている。しかし、一般に被覆ガラス即ち表面ガラスとコアガラスの組成が異なると、両ガラスの屈折率が異なり、これらのガラスの界面での屈折率差による反射ロスも、光の透過損失の一因となっている。
【0008】
上記のように従来の偏光ガラスは透過損失が大きく、実用上大きな問題である。特に、偏光ガラスを光アイソレーターに使用する場合、アイソレーター全体の透過損失に占める偏光ガラスの透過損失はかなり大きなものになっている。
上記先行技術に記載の偏光ガラスでは、還元を長時間行うことで金属ハロゲン化物の還元率を上げて、透過損失をある程度低減することは可能である。しかし、満足できるレベルではない。さらに、還元時間の長期化は、生産性の低下を招き、実用性に乏しい。
【0009】
また、偏光ガラス全体の厚みを薄くすれば、ハロゲン化金属粒子を含有する層が薄くなり、ある程度は透過損失を低減できる。しかし、厚みの薄い偏光ガラスは、応力に弱く扱いが困難となり、実用的なものでなくなる。さらに、通常の偏光ガラスは高い面精度を得るために研磨を行うが、薄いガラスを研磨皿に載せるとガラスの変形が起こり、高い面精度を得るための研磨ができないという不都合がある。本発明者らの検討によれば、例えば、先行技術2の偏光ガラスにおいて、厚みを1mmから0.3mmにすることで偏光特性は維持しつつ透過損失を2%程度低減できる。しかし、強度は不十分であり、実用できる程度のものではなかった。
【0010】
そこで本発明の目的は、偏光特性は従来の偏光ガラスと同等であり、かつ透過損失を大きく低減させ、かつ実用的強度を有する偏光ガラス及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、形状異方性を有する金属粒子が配向して分散されているガラス層を、実質的に光散乱を生じないガラス基体の少なくとも一方の面の一部又は全部に有することを特徴とする偏光ガラスに関する。
【0012】
さらに本発明は、形状異方性を有する金属ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス板を実質的に光散乱を生じないガラス板の少なくとも一方の表面の一部又は全部に融着一体化したガラス複合体を、還元処理して前記金属ハロゲン化物粒子の少なくとも一部を形状異方性を有する金属粒子にすることを特徴とする本発明の偏光ガラスの製造方法(第1の製造方法)に関する。
【0013】
さらに本発明は、金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス体と実質的に光散乱を生じないガラス体とを隣接して、ガラス粘度が2×106 ポイズを超え、7×107 ポイズ以下の状態で線引きし、得られた形状異方性を有する金属ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス層を有するガラス複合体を還元処理して、前記金属ハロゲン化物粒子の少なくとも一部を形状異方性を有する金属粒子にすることを特徴とする本発明の偏光ガラスの製造方法(第2の製造方法)に関する。
【0014】
本発明の偏光ガラスは、形状異方性を有する金属粒子が配向して分散されているガラス層を、実質的に光散乱を生じないガラス基体の少なくとも一方の面の一部又は全部に有することを特徴とする。
「形状異方性を有する金属粒子」としては、例えば、アスペクト比が2:1〜100:1、好ましくは2:1〜15:1の範囲にあるAg粒子及びCu粒子等の金属粒子を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではなく、金属としては、白金や金等を用いることも可能である。
尚、アスペクト比とは、金属粒子の縦横比を意味し、縦は金属粒子の長手方向の長さであり、横は長手方向に垂直な長さ、即ち幅である。
【0015】
形状異方性を有する金属粒子のガラス層の分散量は、透過率を高く維持するために体積比×厚さで2×10-4mm以下とすることが好ましく、実用的な消光比を得るためには上記値が2×10-6mm以上であることが好ましい。
さらに、このガラス層中に未還元の金属ハロゲン化物粒子が含有されている場合にも、偏光ガラスの透過損失は大きくなる。実用的に満足できる透過損失を有する偏光ガラスを得るには、上記ガラス層中の金属ハロゲン化物粒子の残存量が体積比×厚さで4×10-3mmより少ないことが好ましい。
尚、偏光ガラスが2層の形状異方性を有する金属粒子のガラス層を有する場合には、上記金属ハロゲン化物粒子の残存量は、2層合計の量である。
【0016】
「光散乱を生じないガラス基体」は、上記金属粒子やその前駆体となるハロゲン化物粒子を含まないガラス基体である。
【0017】
本発明の偏光ガラスは、実質的に光散乱を生じないガラス基体の一方の面のみに形状異方性を有する金属粒子を含むガラス層を有する態様、及び実質的に光散乱を生じないガラス基体の両方の面に形状異方性を有する金属粒子を含むガラス層を有する態様がある。また、形状異方性を有する金属粒子を含むガラス層は、ガラス基体の表面の一部に設けることも、全面に設けることもできる。
【0018】
本発明の偏光ガラスにおいて、「形状異方性を有する金属粒子」を含むガラス層と「実質的に光散乱を生じないガラス基体」とは、屈折率が実質的に等しいことが好ましい。屈折率が実質的に等しいとは、ガラス層とガラス基体の屈折率の差により反射ロスがほとんど生じないことを意味する。例えば、屈折率の差が0.1以内であれば、ガラス層とガラス基体との屈折率の差による反射ロスはほとんど問題にならない。
【0019】
本発明のガラス層及びガラス基体として使用できるガラスは、珪酸塩ガラス、ホウ珪酸塩、燐酸塩ガラス、フツ燐酸塩ガラス、フッ化物ガラス等のガラスである。特に望ましい系はホウ珪酸塩ガラスで、その組成の範囲は、重量%でSiO2 28〜65%、B2 3 13〜50%、Al2 3 6〜13%、AlF3 0〜5%、アルカリ金属化合物7〜17%、アルカリ金属塩化物が0〜5%、酸化銅とハロゲン化銅の合量が0〜2.5%、酸化銀とハロゲン化銀の合量が0〜2.5%、SnO 0〜0.6%、As2 3 0〜5%であるガラスが少なくとも80%以上含まれる範囲である。
【0020】
さらに、本発明の偏光ガラスにおいては、「形状異方性を有する金属粒子」を含むガラス層と「実質的に光散乱を生じないガラス基体」とが、熱膨張率及び粘度とが実質的に等しいことが好ましい。熱膨張率及び粘度とが実質的に等しいとは、ガラス層とガラス基体の接合により、ガラスに応力が生じ、クラック等が発生しないような熱膨張率及び粘度を意味し、例えば、両ガラスの熱膨張率及び粘度の対数の差がそれぞれ10×10-7/℃及び0.3以内であればほとんど問題がない。
2つのガラスの熱膨張率及び粘度とは、例えば、ガラス基体のガラス組成とガラス層のガラス組成の各成分の差を、ガラス層のガラス組成から金属粒子を除いた各成分について最大5%を乗じた値以内とすることで、実質的に等しくすることができる。
【0021】
本発明の偏光ガラスでは、「形状異方性を有する金属粒子」を含むガラス層の厚みが0.4mm以下であることが好ましい。ガラス層が2層ある場合には、各ガラス層ともに0.2mm以下であることが好ましい。前記範囲の厚みであることにより、通常の還元条件で、ガラス層内のハロゲン化金属粒子の残存量を、光散乱が実用的に許容できる範囲に抑えることができる。
また、ガラス層(1層又は2層)とガラス基体の合計の厚み、即ち偏光ガラスの厚みは、0.5mm以上であることが、実用的な強度を保持できるという観点から好ましい。
【0022】
次に本発明の偏光ガラスの製造方法について、図1に基づいて説明する。尚、図1は、形状異方性を有する金属粒子を含むガラス層を2層有する偏光ガラスの製造方法の例である。
【0023】
第1の製造方法においては、まず、形状異方性を有する金属ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス板を実質的に光散乱を生じないガラス板の少なくとも一方の表面の一部又は全部に融着一体化したガラス複合体を作製する。
この複合体の成形は、例えば、図1の2列目に示すように、金属ハロゲン化物を含有するガラス板中に金属ハロゲン化物粒子を析出させる工程(A)を行い、金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス板(2枚)と実質的に光散乱を生じないガラス板とを融着一体化する工程(B)を行い、次いで金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス層を有するガラス板を延伸する工程(C)、により行うことができる。
【0024】
上記3つの工程は、上記順序により行うのが好ましい。
例えば、ガラス板を延伸する工程(C)の後に融着一体化する工程(B)を行うと、融着の際金属ハロゲン化粒子の径が変形したり、延伸された粒子が元の形状に戻り易く、その温度コントロールが難しい場合があるからである。
さらに、金属ハロゲン化物を含有するガラス板と、実質的に光散乱を生じないガラス板とを融着し一体化物を得る工程(B)は、少なくとも一方のガラスの屈伏点より0〜250℃高い温度で行うことが好ましい。その理由は、屈伏点より250℃を越える高い温度になるとガラスの軟化速度が速すぎてガラスが変形してしまい不都合である。また、屈伏点より低い温度では融着不良となる。
【0025】
尚、上記以外の順序でもガラス複合体を作製することはできる。
例えば、図1の上の列に示すように、例えば、金属ハロゲン化物を含有するガラス板と、実質的に光散乱を生じないガラス板とを融着し一体化物を得る工程(B)、金属ハロゲン化物を含有する前記ガラス板中に金属のハロゲン化物粒子を析出させる工程(A)、及び金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス板を延伸する工程(C)、により行うことができる。
また、図示していないが、金属ハロゲン化物粒子を析出させる工程(A)と融着一体化する工程(B)を同時に行うこともできる。
【0026】
金属ハロゲン化物のハロゲンとしては、例えば塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。金属ハロゲン化物としては、例えば塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、塩化金、臭化金、ヨウ化金、塩化白金、臭化白金、ヨウ化白金等を挙げることができる。金属ハロゲン化物粒子が分散されているガラスは、公知の方法により容易に製造することができる。
【0027】
尚、実質的に光散乱を生じないガラス板において、金属粒子又は金属のハロゲン化物粒子を実質的に含まないとは、ガラス板のガラス組成に不純物として含まれる該金属又は該金属のハロゲン化物以外の該金属粒子又は該金属のハロゲン化物粒子は含まないことを意味する。
【0028】
前記ガラス複合体の還元処理は、従来技術に記載の方法及び条件をそのまま用いることができる。但し、表面のガラス層に含まれる金属ハロゲン化物粒子をできるだけ多く還元して形状異方性を有する金属粒子とし、前記のように金属ハロゲン化物粒子の残存量を体積比×厚さで4×10-3mmより少なくすることが、光散乱を抑制するという観点から好ましい。
【0029】
還元処理は、例えば、ガラス複合体を還元性のガス雰囲気中で熱処理することで行うことができる。還元性のガスとしては、例えば水素ガスやCO−CO2 ガス等を挙げることができる。還元の条件は、還元すべき金属ハロゲン化物の種類により異なる。但し、還元の温度が高すぎると還元して得られる金属粒子が再球状化することを考慮して、還元温度は決められる。例えば、ハロゲン化銅の場合、約350〜550℃であることが適当である。また、還元の時間は、還元温度及び還元の程度を勘案して適宜決めることができる。通常、30分間〜10時間の範囲で行うことができる。
【0030】
本発明の第2の製造方法では、延伸法のなかでも、特に線引き法を用いる。
線引きは、金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス体と実質的に光散乱を生じないガラス体とを隣接させて行う。実質的に光散乱を生じないガラス基体の両表面に形状異方性を有する金属ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス層を有する偏光ガラスの場合には、実質的に光散乱を生じないガラス体の対向する2つの表面のそれぞれに金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス体を隣接させて線引きする。
線引き法を用いることにより、ガラス体の融着と延伸を同時に行うことができるとともに、後述のように、ガラスの破損を防止して安定して偏光ガラスの前駆体であるガラス複合体を得ることができる。
【0031】
線引きは、ガラス粘度が2×106 ポイズを超え、7×107 ポイズ以下の状態で行う。ガラスの粘度が、上記範囲で線引きすることで、ガラスの破壊を防止しつつ伸長を行うことができる。従って、金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス体と実質的に光散乱を生じないガラス体のいずれもが、上記粘度範囲となる条件で行う。
粘度が2×106 ポイズ未満の場合、金属粒子の析出熱処理温度域に達するため、引張り工程において金属粒子を成長させるので長尺な線引き物の場合、その長さ方向において均一な偏光特性をもった偏光ガラスを作成することができない。さらに、実験によれば、ガラスの粘度が低すぎてハロゲン化物粒子を伸張できるだけの応力(張力)を掛けて線引きすることは困難である。また、ガラスの粘度が、7×107 ポイズを超えると、ガラスの軟化温度域に達しないので、線引き中に破断する確率が増えるので好ましくない。
【0032】
線引き時のガラスの粘度は、好ましくは7×106 ポイズ〜4×107 ポイズの範囲である。ガラスの粘度は、ガラスの種類及び温度により変化するので、ガラスの種類により、上記粘度になる温度を適宜設定する。
また、線引きの程度は、金属ハロゲン化物粒子の所望のアスペクト比に応じて適宜決定する。また、金属ハロゲン化物粒子のアスペクト比は、還元後の金属粒子の所望のアスペクト比を考慮して適宜決定する。例えば、金属ハロゲン化物粒子のアスペクト比は、10:1〜500:1の範囲とすることで、2:1〜100:1の範囲のアスペクト比の金属粒子を得ることができる。
【0033】
また、線引きして得られるガラス複合体の形状異方性を有する金属粒子を含有するガラス層の厚みは0.4mm以下とすることで、線引きして得られるガラスを効率良く冷却でき、伸長した金属ハロゲン化物粒子の再球状化を防止することができる。好ましくはガラスの厚みは0.1〜0.4mmである。また、線引きして得られるガラスの厚みは0.4mm以下であることで、後工程での還元処理において、比較的容易に金属ハロゲン化物粒子を金属粒子に還元することができ、残存する金属ハロゲン化物粒子量を少なくして、透過損失を低減できるという利点もある。
また、ガラス複合体は、光アイソレータに用いるという観点から、断面が矩形又は略矩形であることが好ましい。尚、本発明では、略矩形には楕円形も含む。断面形状は、最終製品である偏光ガラスに要求される形状に応じて適宜決定できる。但し、矩形は、一般には正方形又は長方形である。
【0034】
また、上記線引きは、ガラスに対する応力が、50kg/cm2 〜600kg/cm2 の範囲となるようにして行うことが好ましい。この範囲で線引きすることで、ガラスの破壊等を防止でき、かつ金属ハロゲン化物粒子を適度に伸長することもできるからである。尚、応力が50kg/cm2 未満の場合、アスペクト比10:1以上に金属粒子を伸長することができず、吸収ピーク波長を赤外域に有する偏光ガラスは得られにくい。また、応力が600kg/cm2 を超えると、ガラスに実用的破壊値以上の力が加わり、ガラスの破損が発生し易くなる傾向がある。
【0035】
上記のような条件で線引きを行うことにより、所望のアスペクト比の金属ハロゲン化物粒子を分散含有するガラス層を有するガラス複合体を得ることができる。尚、金属ハロゲン化物粒子は後工程で還元されて金属粒子となるが、金属ハロゲン化物粒子が還元されて金属粒子になると体積が減少する。従って、金属ハロゲン化物粒子のアスペクト比は、還元により得られる金属粒子のアスペクト比を考慮して決めることが好ましい。
【0036】
この方法によれば、各ガラス体の屈折率、熱膨張係数、軟化温度を合わせることができ、反射ロスや歪みのない熱融着面が得られる。また、偏光ガラスに使うガラス組成から金属ハロゲン化物だけを除いたガラスを用意して、これを金属ハロゲン化物粒子を含まないガラス板に使用しても良い。
【0037】
本発明の線引きに用いる装置の例を図2に示す。
図2において、1は金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス体と実質的に光散乱を生じないガラス体とを隣接させたガラスプリフォームである。熱融着されるガラス体の面は光学研磨されていることが好ましい。さらに、得られるガラス複合体の表面となる面(線引きの結果融着する面と対向する面)も光学研磨されていることが好ましい。
【0038】
プリフォーム1は送り装置2に針金を介して保持されて下方に移動可能になっている。プリフォーム1の先端付近は、加熱炉(線引き炉)3内で軟化されてプリフォーム1の下端部から下方に向けて引張装置4によって線引きが行われる。線引きにより、伸長した金属ハロゲン化物粒子が分散しているガラス層を有するテープ状のガラス複合体5が形成される。線引きされて加熱炉3の外に出たテープ状のガラス複合体5は、外気により急激に冷却される。
【0039】
加熱炉3の上の円筒形のフード6の上部には中央部に送り装置2とプリフォーム1を連結する針金が通る穴が開いたフタ7が取りつけられている。このフード6とフタ7は、プリフォーム1を加熱炉3内に挿入の際、急激な温度上昇によりガラスが破損することを防止すること、及び加熱炉3内の熱の放出を防ぐ効果がある。尚、この加熱炉3は図示しない温度制御装置によって温度制御がなされ、加熱炉3内にあるプリフォーム1の粘性を適度に調整することができる。
プリフォーム1は、送り装置2による送り速度と、引張装置4による引張速度、及び張力を調整することにより、所望のアスペクト比の金属ハロゲン化物粒子が分散しているガラス層を有するテープ状のガラス複合体5が得られる。
【0040】
本発明の線引き法で用いる線引き炉はガウス型温度分布を持っていることが好ましい。ガウス型温度分布を図3に示す。ガウス型温度分布を持つ線引き炉のピーク温度位置をプリフォームを変形させる位置に合わせることで、大きく変形させることができる。さらに、炉内の温度はピーク温度位置から遠ざかる程低くなるので、線引きにより得られたガラス複合体の温度を、移動にともなって急速に低下させることができる。これにより、ピーク温度位置では、延伸によるガラスの破壊が生じることがないガラス粘度で延伸ができ、かつ急速に冷却できることで、延伸された金属ハロゲン化物粒子の再球状化を有効に防止することができる。
【0041】
但し、ガラス複合体の冷却速度は、炉内の温度分布と線引き速度により変化するので、この両者を適宜調整することで、適当な条件を決定することができる。特に、線引きして得られたガラス複合体が、線引きにおけるガラスの変形開始位置から雰囲気温度が100℃になる位置まで120秒以内に移動するようにすることが好ましい。より好ましくは、60秒以内で雰囲気温度が100℃になる位置まで移動させることである。
【0042】
加えて、線引き後のガラス複合体の冷却速度は、ガラス複合体の厚みにも依存する。そのため、全体の厚さは2mm以下、好ましくは1mm以下とすることが適当である。
【0043】
次に本発明の光アイソレーターについて説明する。
本発明のアイソレーターは、ファラディー回転素子及び少なくとも1つの偏光子を構成部品として含み、好ましくは、ファラディー回転素子、2つの偏光子及び磁石を構成部品として含み、上記偏光子として前記本発明の偏光ガラスを用いたものである。図4には、本発明の偏光ガラス11と12、磁性ガーネット膜13、Sm−Co系磁石14からなるアイソレーターの説明図を示す。偏光ガラス11側から光が入射する。
本発明のアイソレーターは、高いアイソレーションを有するとともに、透過損失が低減された優れた光アイソレーターである。
尚、偏光の対象とする光の波長に応じて、偏光ガラス中の金属の種類や大きさ及びアスペクト比を適宜変更することかできる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、消光比は従来の偏光ガラスと同等であり、かつ透過損失を大きく低減させ、かつ実用的強度を有する偏光ガラス及びその製造方法を提供することができる。
さらに、ガラス基体と形状異方性を有する金属粒子含有ガラス層の熱膨張率、屈折率、粘度を実質的に等しくすることにより、ガラス界面での屈折率の差による反射損失を防止できるばかりでなく、ガラス界面で応力を生ずることなく容易に接合させることもできる。
【0045】
本発明の第1の製造方法は、比較的簡単な方法で偏光ガラスを作製できることから、装置への投資が少なくて済む上、プリフォームを在庫として準備しておけば、需要に対して早急に対応することが可能となる。
さらに、融着一体化する温度をいずれかのガラスの屈伏点よりも0〜250℃高い温度とすることで、確実に融着一体化できる。
【0046】
線引き法を用いる本発明の第2の製造方法では、ガラス体の融着と延伸を同時に行うことができるとともに、後述のように、ガラスの破損を防止して安定して偏光ガラスの前駆体であるガラス複合体を得ることができる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に従って具体的に説明する。
なお、実施例では、Cu又はAgのハロゲン化物粒子を含むガラス層を表面ガラスと称し、Cu又はAgのハロゲン化物粒子を実質的に含まないガラス基体をコアガラスと称する。
【0048】
実施例1
重量%で、SiO2 57.5%、B2 3 19.5%、Al2 3 8.9%、AlF3 2.0%、Na2 O 9.8%、NaCl 1.4%、CuCl 0.8%、SnO 0.1%の組成のガラスを、原料としてSiO2 、H3 BO3 、Al(OH)3 、Na2 CO3 、NaCl、AlF3 、CuCl、SnO等を用いて調合し、3リットルの白金製ルツボに入れ、約1450℃で溶解した後、グラファイトの型に流し込んで成形し、室温まで徐冷した。このガラスを700℃で1時間熱処理して、約70nmのハロゲン化銅粒子を析出させた後、1×10×100mmのサイズに切り出し、これを表面ガラスとした。上記の組成からCuClを除いた組成のガラスを上記と同様な方法でガラスを作成し、4×10×100mmのサイズに切り出し、これをコアガラスとした。これらのガラスは共に屈伏点は550℃であった。
【0049】
これらのガラスの表面を研磨して、図5に示すように2枚の表面ガラス2の間にコアガラス1を挟み、650℃で20分間保持して、両ガラスを融着した。
こうして作成したプリフォームの下端を温度600℃(表面ガラスとコアガラス共に、粘度2×109 ポアズに相当する温度)に保持し、Aの方向に、速度150mm/分で、平均400kg/cm2 の応力でその断面が1.2×2.0mmになるまで延伸した。
【0050】
このガラスの両面を研磨により、それぞれ0.1mm削除し、1mm厚(表面ガラスの厚さ0.1mm、コアガラスの厚さ0.8mm)とした。次に、このガラスを400℃、3時間、水素雰囲気中で還元処理し、金属銅粒子(アスペクト比6:1)を析出させて本発明の偏光ガラスを得た。得られた偏光ガラスの波長1.31μm及び1.55μmにおける消光比及び透過損失を表1に示す。
【0051】
比較例1
表面ガラスのみのガラスについて、実施例1と同様の条件で1mm厚の金属銅粒子(アスペクト比6:1)が配向・分散している偏光ガラスを作成し、偏光特性を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0003705505
【0053】
アスペクト比は電子顕微鏡により、金属粒子を観察し、ランダムに100ケを選びその縦横比を測定し、その平均値をとった。透過損失は作成した偏光ガラス(ARコート付き)の透過率Tpを測定し、次の計算式により得た。
損 失L=−10×1og10(Tp/100)
【0054】
消光比は、直線偏光を試料に照射し、試料を回転させることにより、粒子の長軸と照射光の偏光面が垂直な場合の透過率(Tp%)、粒子の長軸と照射光の偏光面が平行な場合の透過率(Th%)を測定し、次の式により算出した。
消光比E=+10×1og10(Tp/Th)
【0055】
表1の結果、本発明の偏光ガラスは、従来の偏光ガラス(比較例1)に比較して、透過損失は25%改善されていることが分かる。
【0056】
実施例2
重量%で、SiO2 57.5%、B2 3 19.5%、Al2 3 8.9%、AlF3 2.0%、Na2 O 9.8%、NaCl 1.4%、AgCl 0.8%の組成のガラスを、原料としてSiO2 、H3 BO3 、Al(OH)3 、Na2 CO3 、NaNO3 、NaCl、AlF3 、AgCl等を用いて調合し、3リットルの白金製ルツボに入れ、約1450℃で溶解した後、グラファイトの型に流し込んで成形し、室温まで徐冷した。このガラスを700℃で1時間熱処理して、約70nmのハロゲン化銀粒子を析出させた後、2×10×100mmのサイズに切り出し、これを表面ガラスとした。上記の組成からAgClを除いた組成のガラスを上記と同様な方法でガラスを作成し、4×10×100mmのサイズに切り出し、これをコアガラスとした。これらのガラスは共に屈伏点は550℃であった。
【0057】
これらのガラスの表面を研磨して、図6に示すように表面ガラス2とコアガラス1を重ね、650℃で20分間保持して、両ガラスを融着した。
こうして作成したプリフォームの下端を温度600℃(表面ガラスとコアガラス共に、粘度2×109 ポアズに相当する温度)に保持し、Aの方向に、速度150mm/分で、平均400kg/cm2 の応力でその断面が1.2×2.0mmになるまで延伸した。
【0058】
このガラスの両表面ガラス側を研磨により、各0.1mm削除し、1mm厚(表面ガラスの厚さ0.3mm、コアガラスの厚さ0.7mm)とした。これを440℃、6.8時間、水素雰囲気中で還元処理し、金属銀粒子(アスペクト比6:1)を析出させて本発明の偏光ガラスを得た。得られた偏光ガラスの波長1.31μm及び1.55μmにおける消光比及び透過損失を表2に示す。
【0059】
比較例2
表面ガラスのみのガラスについて、実施例2と同様の条件で1mm厚の金属銀粒子(アスペクト比6:1)が配向・分散している偏光ガラスを作成した。但し、還元層の合計の厚さが同じになるように還元時間を1.7時間とした。偏光特性を実施例2と同様にして測定し、結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0003705505
【0061】
実施例3〜6
実施例1、2と同様の方法で、偏光ガラスを作成し、アスペクト比、及び波長1.31μm、1.55μmでの透過損失を実施例と同様な方法で測定した。表3はそれぞれの実施例の表面ガラスとコアガラスの組成、表4は偏光ガラスの作成条件、表5はそれらの偏光特性を示す。表中、粘度はガラスへの圧子の貫入速度を計って粘度を測定するペネトレーション法によって測定した。
【0062】
【表3】
Figure 0003705505
【0063】
【表4】
Figure 0003705505
【0064】
【表5】
Figure 0003705505
【0065】
ハロゲン化金属粒子のアスペクト比を高める方法として、実施例では延伸法のみを説明したが、本発明は押し出し法でも可能である。しかし、延伸法の方がより小さいハロゲン化金属粒子を引き延ばすことが可能であり、特に、波長の短い領域での損失を改善することができるという点で、延伸法の方が望ましい。
【0066】
ハロゲン化金属の析出条件、コアガラスと表面ガラスとの融着条件、延伸条件、及び還元条件については、上記ガラスの組成範囲によって異なるが、コアガラスと表面ガラスの融着条件は、その融着温度が少なくとも一方のガラスの屈伏点よりも0〜250℃、より好ましくは50〜100℃高い温度にある。また、延伸する温度はガラスの粘度が1×104 ポアズ〜1×1011ポアズに相当する温度であることが好ましい。
【0067】
実施例7
(1)プリフォームの作成
SiO2 59.9%、AlF3 2%、Al2 3 6.8%、B2 3 20%、Na2 O 9.7%、NaCl 1%、CuCl 0.8%、SnO 0.1%なる組成のガラスを、5L白金ルツボにて1410℃で溶解した後、鋳型に流し込み470℃で徐冷し、ガラスブロックを作成した。このガラスブロックから適当な大きさに切り出し、765℃にて60分熱処理し、前記ガラスブロック中に平均粒径約130nmの塩化銅粒子を含むガラスを得た。このガラスを加工して、板状のガラス(20×1×220mm)を作成した。
これとは別に、熱処理をしない(塩化銅粒子を含まない)板状のガラス(20×6×220mm)を作成した。
【0068】
(2)線引き
前記熱処理をしない板状のガラスを2枚の塩化銅粒子を含む板状のガラスで挟み込みプリフォームとし、これを図2に示す線引き装置で線引きした。
プリフォーム1を送り装置2に取りつけ(針金によってプリフォーム1の上端を送り装置2の下端に吊り下げた)、前記プリフォーム1の下端部が、加熱炉3の下端から約50mm上方にくるように、位置をセットした。図示しない温度制御装置により加熱炉3内の温度を710℃まで昇温した。(尚、このときに炉内温度は、ピークの温度を意味し、そのピークの位置は炉の高さ方向の略中点に位置する。以降炉内温度とは、このピークの温度を意味する。)プリフォーム1下端には、針金が巻きつけてあり、前記炉3内温度が安定した後、前記針金に荷重をかけ、ガラスの伸長を開始した。
【0069】
線引きして線状になったガラスを、引張装置4である双方ベルト方式のローラーに挟み、加熱炉3内の温度をガラスの軟化温度より15℃高い690℃(ガラスの粘度ν=2×107 ポイズ)に設定した(炉の温度のピークの位置における粘度を示す)。温度が安定した後、ガラスの下端にローラーにより張力をかけて連続的にテープ状ガラスを引っ張った。この時の送り装置2の送り速度は、6mm/分、引張装置4の引張速度は、60cm/分、荷重は1600g(応力:100kg/cm2 )であった。
得られた線状ガラスの断面のサイズは、2×0.8mm(幅×厚さ)であった。また、表面ガラス層中の塩化銅粒子の平均アスペクト比は、透過型電子顕微鏡により観察した結果、約30:1であった。
【0070】
(3)還元
得られた線状のガラスを水素ガス雰囲気中で、430℃4時間熱処理して偏光ガラス(銅粒子の平均アスペクト比5:1)を作成した。この偏光ガラスの消光比は、48dB(波長1.31μm)であった。尚、表面ガラス層の厚みはそれぞれ0.1mmであり、3層構造の中間のガラス基体の厚みは0.6mmであった。またガラス基体は実質的に塩化銅粒子を含んでいないので、この部分での塩化銅粒子による散乱はなくなり、透過損失を小さくできた。波長1.31μmでの透過損失は0.10dBであった。
【0071】
比較例3
実施例1の方法で、平均粒径約130nmの塩化銅粒子を含む板状のガラス(20×8×220mm)を作成した。この1枚の板状のガラスをプリフォームとして、温度を680℃(軟化温度より5℃高い)とした以外は、実施例7の同様の線引き方法で、断面寸法が2.0×0.8mmのガラスを得た。
得られたガラスを水素ガス雰囲気中で、425℃4時間熱処理して偏光ガラス(銅粒子の平均アスペクト比5:1)を作成した。この偏光ガラスの消光比は、49dB(波長1.31μm)であった。波長1.31μmでの透過損失は0.14dBであった。
【0072】
実施例7と比較例3とを比較すると、両者はほぼ同じ消光比を有するが、本発明の偏光ガラスは、約29%透過損失が低下していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の偏光ガラスの製造方法の概略説明図。
【図2】 本発明の方法に用いる線引き装置の概略図。
【図3】 ガウス型温度分布を示す図。
【図4】 本発明のアイソレーターの説明図。
【図5】 実施例1及び3〜6におけるコアガラスと表面ガラスの融着方法の斜視説明図。
【図6】 実施例2おけるコアガラスと表面ガラスの融着方法の斜視説明図。
【符号の説明】
1 プリフォーム
2 送り装置
3 加熱炉
4 引張装置
5 ガラス複合体
6 円筒形のフード
7 針金が通る穴が開いたフタ
8 コアガラス
9 表面ガラス
11、12 偏光ガラス
13 磁性ガーネット膜
14 Sm−Co系磁石

Claims (14)

  1. アスペクト比が2:1〜100:1の範囲であるAg粒子又はCu粒子が配向して分散されているガラス層を、金属粒子やその前駆体となるハロゲン化物粒子を含まず光散乱を生じないガラス基体の両方の面の一部又は全部に有することを特徴とする偏光ガラス。
  2. ガラス層を構成するガラスの熱膨張率及び粘度とガラス基体を構成するガラスの熱膨張率及び粘度とがそれぞれ実質的に等しい請求項1に記載の偏光ガラス。
  3. アスペクト比が2:1〜100:1の範囲であるAg粒子又はCu粒子が配向して分散されているガラス層を、金属粒子やその前駆体となるハロゲン化物粒子を含まず光散乱を生じないガラス基体の少なくとも一方の面の一部又は全部に有することを特徴とする偏光ガラスであって、
    ガラス層を構成するガラスの熱膨張率及び粘度とガラス基体を構成するガラスの熱膨張率及び粘度とがそれぞれ実質的に等しい偏光ガラス。
  4. ガラス層の屈折率とガラス基体の屈折率とが実質的に等しい請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光ガラス。
  5. ガラス層の厚み(但し、ガラス層が2層ある場合にはその合計の厚み)が0.4mm以下であり、かつガラス層とガラス基体の合計の厚みが0.5mm以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光ガラス。
  6. 形状異方性を有する金属粒子が配向して分散されているガラス層を、実質的に光散乱を生じないガラス基体の少なくとも一方の面の一部又は全部に有する偏光ガラスの製造方法であって、
    形状異方性を有する金属ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス板を実質的に光散乱を生じないガラス板の少なくとも一方の表面の一部又は全部に融着一体化したガラス複合体を還元処理して、前記金属ハロゲン化物粒子の少なくとも一部を形状異方性を有する金属粒子にすることを特徴とする偏光ガラスの製造方法。
  7. ガラスの融着一体化を、いずれかのガラス板の屈伏点より0〜250℃高い温度で行う請求項6記載の製造方法。
  8. 形状異方性を有する金属粒子が配向して分散されているガラス層を、実質的に光散乱を生じないガラス基体の両方の面の一部又は全部に有する偏光ガラスの製造方法であって、
    実質的に光散乱を生じないガラス体の対向する2つの表面のそれぞれに金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス体を隣接させ、ガラス粘度が2×106 ポイズを超え、7×107 ポイズ以下の状態で線引きし、得られた形状異方性を有する金属ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス層を有するガラス複合体を還元処理して、前記金属ハロゲン化物粒子の少なくとも一部を形状異方性を有する金属粒子にすることを特徴とする偏光ガラスの製造方法。
  9. 形状異方性を有する金属粒子が配向して分散されているガラス層を、実質的に光散乱を生じないガラス基体の少なくとも一方の面の一部又は全部に有する偏光ガラスであって、ガラス層を構成するガラスの熱膨張率及び粘度とガラス基体を構成するガラスの熱膨張率及び粘度とがそれぞれ実質的に等しい偏光ガラスの製造方法であって、
    熱膨張率及び粘度がそれぞれ実質的に等しい、金属ハロゲン化物粒子を含有するガラス体と実質的に光散乱を生じないガラス体とを隣接して、ガラス粘度が2×106 ポイズを超え、7×107 ポイズ以下の状態で線引きし、得られた形状異方性を有する金属ハロゲン化物粒子が配向して分散されているガラス層を有するガラス複合体を還元処理して、前記金属ハロゲン化物粒子の少なくとも一部を形状異方性を有する金属粒子にすることを特徴とする偏光ガラスの製造方法。
  10. 線引きして得られたガラス複合体の形状異方性を有する金属ハロゲン化物粒子含有層の厚みが0.4mm以下である請求項8または9に記載の製造方法。
  11. 線引きして得られたガラス複合体が、線引きにおけるガラスの変形開始位置から雰囲気温度が100℃になる位置まで120秒以内に移動する請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 線引きの結果融着する面と対向する面を光学研磨したガラス体を用いる請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光ガラスからなる光アイソレーター用の、透過損失が低減された偏光ガラス。
  14. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光ガラスを用いる透過損失が低減された光アイソレーター。
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