JPH08246131A - 鋼材の表面改質方法 - Google Patents

鋼材の表面改質方法

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JPH08246131A
JPH08246131A JP4595395A JP4595395A JPH08246131A JP H08246131 A JPH08246131 A JP H08246131A JP 4595395 A JP4595395 A JP 4595395A JP 4595395 A JP4595395 A JP 4595395A JP H08246131 A JPH08246131 A JP H08246131A
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JP
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steel
carbide
oxide
steel material
forming element
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JP4595395A
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Atsushi Hisamoto
淳 久本
Ikuo Hashimoto
郁郎 橋本
Tsugumoto Ikeda
貢基 池田
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価な鋼材を素材とし、その表面にハロゲン
系ガス中での耐食性、特に水分とハロゲン系ガスが共存
する様な厳しい腐食環境下でも優れた耐食性を発揮し得
る様な保護皮膜を形成するための表面処理法を提供す
る。 【構成】 炭化物形成元素および酸化物形成元素を、鋼
材中に固溶させるかもしくは鋼材表面の0.005μm
以上の層として鋼材に付与し、真空度:10-8〜100
Torrの大気と略同等の酸素活量の低酸素分圧ガス組
成雰囲気下、400〜1100℃で加熱処理を行って、
鋼材表層部に酸化物と炭化物の混合層を形成する鋼材の
表面改質方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼材の表面改質方法に関
し、たとえば半導体製造装置等において使用される鋼材
の表面に、腐食性の強い塩化水素、塩素、ふっ化水素等
のハロゲン系ガスに対しても優れた耐食性を示す皮膜を
形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の半導体製造分野においては、素子
の高集積化が進むにつれて配線間隔にはサブミクロンの
精度が要求される様になっている。その様な素子の加工
に当たっては、微粒子や細菌が付着しただけでも回路が
短絡し、製品不良となる。そのため、半導体の製造に使
用されるガスや水は超高純度であることが要求され、ま
たガスの使用に際しては導入ガス自体の高純度化だけで
なく、配管や反応室もしくは処理室の壁面からの水分や
不純物ガス、微粒子の発生を極力低減することが必要に
なる。
【0003】半導体製造装置用のガス配管には、従来よ
り溶接性や一般耐食性の面からSUS316L等のオー
ステナイト系ステンレス鋼が使用されており、その表面
を電解研摩処理等によって平滑化し、それにより吸着有
効面積を減少して不純物ガス等の吸着や脱離を少なくし
たものが用いられている。更に、電解研摩後酸化性ガス
雰囲気中で加熱処理することによって表面に非晶質酸化
皮膜を形成し、表面のガス放出量を低減したステンレス
鋼部材(特開昭64−87760号)や、微粒子の発生
源および不純物の吸着・放出場所となる非金属介在物量
を極めて少なくさせたステンレス鋼管(特開昭63−1
61145号)も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のス
テンレス鋼管やステンレス鋼部材は、酸素や窒素等の腐
食性のないガス雰囲気下ではそれなりの効果を発揮する
が、塩化水素、塩素、ふっ化水素等の高腐食性のハロゲ
ン系ガス中では、その表面が比較的短期間のうちに腐食
されるため腐食生成物がガスの吸着・放出場所となり、
ガス純度の維持が困難になる。しかも、金属塩化物等の
腐食生成物自体が微粒子となって離散し、汚染の原因と
なることも考えられる。また、この様な用途に一般鋼材
を適用しようとする場合、その耐食性はステンレス鋼よ
りも明らかに劣るものであるから、耐食性の改善が必須
となる。
【0005】一般に、乾燥したハロゲンガス中での鋼材
の腐食は軽微であるといわれているが、実際には、ガス
中にわずかに残存する水分の共存による腐食を完全に阻
止することはできない。そのため半導体製造分野では、
これらハロゲン系ガス中でも優れた耐食性を示す様な部
材の開発が望まれている。
【0006】一方、SUS316Lよりも耐食性に優れ
た高Ni合金(ハステロイ等)を使用すれば、ハロゲン
系ガスによる腐食も低減できるが、高Ni合金は極めて
高価であり、またこの種の合金といえども腐食を完全に
阻止できるとは限らない。
【0007】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、安価な鋼材を素材とし、そ
の表面にハロゲン系ガス中での耐食性、特に水分とハロ
ゲン系ガスが共存する様な厳しい腐食環境下でも優れた
耐食性を発揮し得る様な保護皮膜を形成するための表面
処理法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る表面改質方法の構成は、 (第1発明)炭化物形成元素1種以上を含有する鋼材の
表面に、酸化物形成元素1種以上、または酸化物形成元
素1種以上と炭化物形成元素1種以上を含有する厚さ
0.005μm以上の層を形成した後、真空度:10-8
〜100Torrの大気と略同等の酸素活量の低酸素分
圧ガス組成雰囲気下、400〜1100℃で加熱処理
し、鋼材表層部に酸化物と炭化物の混合層を形成する方
法、 (第2発明)酸化物形成元素1種以上を含有する鋼材の
表面に、炭化物形成元素1種以上、または炭化物形成元
素1種以上と酸化物形成元素1種以上を含有する厚さ
0.005μm以上の層を形成した後、真空度:10-8
〜100Torrの大気と略同等の酸素活量の低酸素分
圧ガス組成雰囲気下、400〜1100℃で加熱処理
し、鋼材表層部に酸化物と炭化物の混合層を形成する方
法、 (第3発明)炭化物形成元素1種以上と酸化物形成元素
1種以上を含有する鋼材の表面に、炭化物形成元素1種
以上と酸化物形成元素1種以上を含有する厚さ0.00
5μm以上の層を形成した後、真空度:10-8〜100
Torrの大気と略同等の酸素活量の低酸素分圧ガス組
成雰囲気下、400〜1100℃で加熱処理し、鋼材表
層部に酸化物と炭化物の混合層を形成する方法、である
点に要旨を有するものである。
【0009】
【作用】本発明者等は、塩化水素の如く腐食性の強いハ
ロゲン系ガスに対する耐食性の改善を目的として、種々
の表面改質法について検討を重ねてきた。例えば、Ti
酸化物は耐食性に優れたものであり、金属材料の耐食保
護皮膜として利用できることは公知である(例えば特開
平4−9428号や特開平4−74900号公報)が、
完全な保護皮膜とするには、欠陥のないTi酸化物層を
形成することが必要となる。しかしながら、通常のCV
D法やPVD法等で欠陥のないTi酸化物層を形成する
ことは容易でない。即ち、欠陥低減の為には被覆厚さを
厚くする必要があるが、膜厚を増大させると膜応力が増
大し、ひいては被覆層と鋼材素地との密着性が低下する
ため、期待される様な耐食性能は得られ難い。
【0010】また、Cr酸化物も、Ti酸化物と同様に
優れた耐食性を有していることが知られており、金属材
の保護皮膜として利用されている(例えば特開平3−3
9498号や特開昭63−56319号等)が、上記T
i酸化物で指摘したのとほぼ同様の課題を残している
他、厳しい腐食環境下で十分な耐食性を維持させること
は容易でない。
【0011】ところが、本発明者等が耐食性の一層の向
上を期して種々研究を重ねた結果、鋼材の表面に、酸化
物と炭化物が混合した特定厚さの被覆層を形成してやれ
ば、上記の様なハロゲン系ガス等を含む高腐食性雰囲気
下においても格段に優れた耐食性が発揮されること、そ
して、この様な高耐食性被覆は、炭化物形成元素と酸化
物形成元素を鋼材中および鋼材表面に付与した後に、真
空度:10-8〜100Torrの大気と略同等の酸素活
量の低酸素分圧ガス組成雰囲気下に、400〜1100
℃以上の温度で加熱処理することによって容易に得られ
ることを突き止め、本発明に到達したものである。
【0012】炭化物形成元素、酸化物形成元素を鋼材中
に含有させるか、若しくは表面処理手段で鋼材表面に付
与した後熱処理を行うと、酸化物形成元素は熱処理雰囲
気中の酸素によって酸化を受けて酸化物となり、鋼材中
から拡散してくる炭素によって炭化物形成元素は炭化物
となって、得られる被覆層は酸化物と炭化物の混合被覆
層となる。
【0013】炭化物を形成する元素、酸化物を形成する
元素は、予め鋼材中に固溶させて含めておくか、表面処
理によって鋼材表面に該元素の膜を形成させるか、いず
れかの手段によって鋼材に付与することができ、例え
ば、鋼材中に炭化物形成元素を含めておいた場合は、酸
化物形成元素を含む層を表面処理法を用いて鋼材表面に
設ければよい。またこの逆のパターンでも、さらに、両
元素を鋼材中にも鋼材表面にも付与してもよく、鋼材中
と鋼材表面に該元素を存在させて熱処理を行うことによ
って最終的に炭化物と酸化物が共存する混合被覆層が鋼
材表面に形成されればよい。いずれの手段を用いても、
後の熱処理によってこれらの元素が拡散し、それぞれ炭
化物、酸化物を形成するのである。
【0014】酸化物あるいは炭化物は、それぞれある程
度耐食性を有していることが知られているが単独では前
述の様に耐食性は不充分である。本発明法によって生成
する炭化物と酸化物の混合層の場合は、酸化物の微細な
隙間を埋める様に炭化物が生成し、混合被覆層を著しく
緻密にする作用を発揮すると共に、炭化物は鋼材との親
和性が非常に良好であるため、その生成によって鋼素材
と被覆層との密着性も著しく高められる。特に、被覆層
内に生成する炭化物は、鋼材内から拡散してきた炭素と
の反応によって鋼材と被覆層の境界部に集中的に生成す
る傾向があるので、炭化物は鋼材と被覆との密着性向上
に大きく寄与する。そして、こうした被覆層の緻密化と
鋼基材との密着性向上効果が、炭化物と酸化物が共存す
ることによって相加的・相乗的に好結果を及ぼし、腐食
性ガスに対する混合被覆の遮蔽効果が高められ、優れた
耐食性が発揮されるものと考えられる。
【0015】本発明における炭化物形成元素とは、耐食
性向上に効果的な炭化物を形成し得る金属元素もしくは
半金属元素であれば特に限定されないが、Ti,V,A
l,Cr,Si,W,Ta,Fe,Zrよりなる群から
選択される少なくとも1種の元素であることが好まし
い。このうち、Wは鋼材中に固溶させにくいため、表面
処理によって鋼材に付与することが推奨される。酸化物
形成元素は、耐食性向上に効果的な酸化物を形成し得る
金属元素もしくは半金属元素であれば特に限定されない
が、Ti,Cr,Nb,Ta,Al,Si,Zrよりな
る群から選択される少なくとも1種の元素であることが
好ましい。本発明で形成すべき被覆層は、炭化物と酸化
物が混合しているところがポイントであるため、当然2
種以上の酸化物あるいは炭化物が含まれていてもよい。
【0016】炭化物と酸化物が混合している被覆層を形
成するために、本発明では次の3つの方法が採用され
る。 炭化物形成元素1種以上を含有する鋼材の表面に、酸
化物形成元素1種以上、または酸化物形成元素1種以上
と炭化物形成元素1種以上を含有する厚さ0.005μ
m以上の層を形成した後、後述の条件で加熱処理を行
い、鋼材表層部に酸化物と炭化物の混合層を形成する方
法、 酸化物形成元素1種以上を含有する鋼材の表面に、炭
化物形成元素1種以上、または炭化物形成元素1種以上
と酸化物形成元素1種以上を含有する厚さ0.005μ
m以上の層を形成した後、後述の条件で加熱処理を行
い、鋼材表層部に酸化物と炭化物の混合層を形成する方
法、 炭化物形成元素1種以上と酸化物形成元素1種以上を
含有する鋼材の表面に、炭化物形成元素1種以上と酸化
物形成元素1種以上を含有する厚さ0.005μm以上
の層を形成した後、後述の条件で加熱処理を行い、鋼材
表層部に酸化物と炭化物の混合層を形成する方法。
【0017】上記方法はいずれも、要するに、炭化物形
成元素と酸化物形成元素を鋼材中および鋼材表面に付与
し、加熱処理前の段階において炭化物形成元素と酸化物
形成元素を鋼材表面近傍に共存させ、その後の加熱処理
によってこれらの元素を熱処理拡散させると共に炭化物
化および酸化物化させて両者の混合被覆層を鋼材表面に
形成させるものである。加熱処理条件としては、真空
度:10-8〜100 Torrの大気と略同等の酸素活量
の低酸素分圧ガス組成雰囲気下、400〜1100℃で
行う。大気雰囲気を油拡散ポンプやターボ分子ポンプ等
の真空ポンプで、10-8〜100 Torrの所望の真空
度に減圧すると、残留ガスは大気組成と実質的同一かも
しくは略同等の酸素活量の低酸素分圧ガス組成となる。
この雰囲気で400〜1100℃の加熱処理を施すこと
によって、上記元素の拡散、炭化物化および酸化物化が
行われる。
【0018】鋼材中に炭化物形成元素および/または酸
化物形成元素を含有させておくには、これらの元素をそ
れぞれ0.1〜1重量%程度含有(固溶)させることが
好ましい。また鋼材には、炭化物の炭素源として0.0
1〜0.1重量%の炭素が含まれていることが好まし
い。
【0019】一方表面処理によって、鋼材方面に炭化物
形成元素および/または酸化物形成元素を含む厚さ0.
005μm以上の層を形成する方法としては、例えば真
空蒸着法、PVD法、CVD法、イオンプレーティング
法、電気めっき法等、公知の皮膜形成手法を採用するこ
とができる。上記炭化物形成元素および/または酸化物
形成元素を含む層としては、元素のみからなる層、ある
いはこれらの元素の酸化物、水酸化物や塩化物等の化合
物層とする。表面皮膜の厚さは少なくとも0.005μ
mにしなければならない。この皮膜厚さが0.005μ
m未満では、熱処理後に形成される耐食性混合被覆層厚
さが不充分となって満足いく耐食性が得られなくなる。
皮膜厚さの上限は特に存在しないが、あまり厚くすると
コスト高になるばかりでなく、皮膜応力の増大によって
クラックや剥離を起こし易くなるので、50μm以下、
より好ましくは30μm以下に抑えることが推奨され
る。
【0020】鋼材中および鋼材表面に炭化物形成元素お
よび酸化物形成元素を付与した後は、熱処理が行われ
る。この熱処理は、鋼材表面層および/または鋼材中に
存在する酸化物形成元素を、熱処理雰囲気中の酸素によ
って酸化物とし、また鋼基材から拡散してくる炭素と鋼
材表面層および/または鋼材中に存在する炭化物形成元
素を炭化物として、これらを酸化物層内に混入させて、
酸化物と炭化物の混合被覆層を形成するために行われ
る。炭化物は、被覆層の鋼基材との界面付近に生成し易
いので、混合被覆全体としては、その下層側が炭化物リ
ッチの多層構造もしくは傾斜組成構造となり易く、該炭
化物の密着性向上効果は、より効果的に発揮されるが、
本発明ではこの様な被覆構造に限定されるものではな
く、炭化物と酸化物が共に被覆層全体に均一に分布した
ものであっても勿論構わない。
【0021】このときの加熱処理温度は、個々の鋼材特
性に応じて適宜調整すべきであるが、酸化物および炭化
物の生成を効率良く進めるには、400℃以上に加熱す
る必要がある。好ましくは600℃以上である。加熱処
理温度の上限は、あまり高温にすると鋼材が熱劣化を起
こすので1100℃以下に抑えるのがよい。例えば素材
としてSUS316Lを使用する場合の好ましい加熱処
理温度は600〜1100℃の範囲である。
【0022】加熱処理を行うときの雰囲気は、適度の酸
化性を維持しつつ炭化物の生成も併起させるため真空
度:10-8〜100 Torrの大気と略同等の酸素活量
の低酸素分圧雰囲気で行うことが必要である。加熱処理
雰囲気の酸素活量が上記範囲未満では、酸化力不足とな
り酸化物が生成せず、逆に酸素活量が高くなり過ぎると
被覆層が急速に成長し過ぎて、良好な被覆性状が得られ
ない。なお加熱処理時間は特に限定されないが、通常は
10分以上、より好ましくは30分以上の処理で充分目
的を達成できる。
【0023】本発明の方法によって、鋼材の表面改質を
行う具体例を説明する。例えば、被覆層をCr酸化物と
Ti炭化物主体にしたい場合は、10-4〜100 Tor
rで600〜900℃の処理条件が最適であり、またさ
らにTi酸化物も加えた3成分系としたい場合、10-8
〜10-4Torrで700℃〜1100℃の処理条件と
することが推奨される。なお、その他の元素の酸化物お
よび炭化物を形成させる場合にも、それぞれ、元素と基
材の組合わせにおいて最適条件を選択することが推奨さ
れる。
【0024】本発明法によって形成される表面被覆層
は、上述の様に極めて耐食性に優れたものであるから、
該被覆層が形成される鋼材としては、種々の鋼材を用い
ることができ、一般の低・中炭素鋼の他、ステンレス鋼
や各種の低合金鋼を使用することが可能である。またそ
の形状も、最も一般的な板状物や管状物の他、線状物や
棒状物あるいは異形成形物等に適用することができる。
【0025】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。
【0026】実施例 表1に示す如く種々の鋼材の表面に、電気めっき法また
は真空蒸着法によって所定厚さの金属Cr層(もしくは
Cr化合物層)を形成した後、10-4Torrの雰囲気
下に所定温度で30分間加熱処理することにより、Cr
酸化物とTi炭化物またはこれらとTi酸化物の混合物
からなる被覆層を形成した。また比較のため、Cr酸化
物単独被覆材、Ti酸化物単独被覆材、Ti炭化物単独
被覆材および未処理材を準備した。
【0027】得られた各供試材を、5%塩素−アルゴン
混合ガス雰囲気中、350℃で10時間のガス腐食試験
を行ない、腐食状態をその外観によって評価した。ま
た、水分とハロゲン系ガスが共存する腐食環境を模擬し
て、40℃の5%NaCl水溶液中でアノード分極を行
ない、孔食発生の有無によって耐食性を評価した。結果
を表1に一括して示す。 ガス腐食試験: ◎ 腐食発生無し ○ 腐食発生面積率5%未満 △ 腐食発生面積率10%未満 × 腐食発生面積率10%以上 水溶液腐食試験:◎ 孔食発生無し △ 僅かに孔食発生 × 孔食発生有り
【0028】
【表1】
【0029】表1からも明らかである様に、本発明の規
定要件を満足する実施例(No.1〜6)は、いずれも
非常に優れた耐食性を有しているのに対し、規定要件を
欠く比較例(No.7〜10)では、ガス雰囲気及び水
溶液中のいずれの耐食性においても、実施例に比べて格
段に劣るものであることが分かる。
【0030】実施例2 表2に示した様に混合被覆層の製造条件、種類を変化さ
せて、実施例1と同様に耐食性試験を行った。結果を表
2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】本発明の実施例はいずれも優れた耐食性を
示すことがわかった。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、酸化物と炭化物が混合
した被覆層を、炭化物形成元素と酸化物形成元素を鋼材
中および鋼材表面に付与した後に、10-8〜100 To
rrの大気と略同等の酸素活量の低酸素分圧ガス組成雰
囲気下に、400〜1100℃以上の温度で加熱処理す
るだけで、容易に得ることができる。得られる混合被覆
層は、酸化物の微細な隙間を埋める様に炭化物が生成す
るために緻密性に優れ、また炭化物は鋼材との親和性が
非常に良好であるため、その生成によって鋼素材と被覆
層との密着性も著しく高められる。こうした被覆層の緻
密化と鋼基材との密着性向上効果が、炭化物と酸化物が
共存することによって相加的・相乗的に好結果を及ぼ
し、ハロゲン系ガスの様に強い腐食性を持ったガスに対
しても混合被覆の遮蔽効果が高められ、非常に優れた耐
食性が発揮される。従って、本発明法によって得られる
表面改質鋼材は、例えば半導体製造装置用の配管材や処
理用機器材料として有効に活用することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化物形成元素1種以上を含有する鋼材
    の表面に、 酸化物形成元素1種以上、 または酸化物形成元素1種以上と炭化物形成元素1種以
    上を含有する厚さ0.005μm以上の層を形成した
    後、真空度:10-8〜100Torrの大気と略同等の
    酸素活量の低酸素分圧ガス組成雰囲気下、400〜11
    00℃で加熱処理し、鋼材表層部に酸化物と炭化物の混
    合層を形成することを特徴とする鋼材の表面改質方法。
  2. 【請求項2】 酸化物形成元素1種以上を含有する鋼材
    の表面に、 炭化物形成元素1種以上、 または炭化物形成元素1種以上と酸化物形成元素1種以
    上を含有する厚さ0.005μm以上の層を形成した
    後、真空度:10-8〜100Torrの大気と略同等の
    酸素活量の低酸素分圧ガス組成雰囲気下、400〜11
    00℃で加熱処理し、鋼材表層部に酸化物と炭化物の混
    合層を形成することを特徴とする鋼材の表面改質方法。
  3. 【請求項3】 炭化物形成元素1種以上と酸化物形成元
    素1種以上を含有する鋼材の表面に、 炭化物形成元素1種以上と酸化物形成元素1種以上を含
    有する厚さ0.005μm以上の層を形成した後、真空
    度:10-8〜100Torrの大気と略同等の酸素活量
    の低酸素分圧ガス組成雰囲気下、400〜1100℃で
    加熱処理し、鋼材表層部に酸化物と炭化物の混合層を形
    成することを特徴とする鋼材の表面改質方法。
JP4595395A 1995-03-06 1995-03-06 鋼材の表面改質方法 Withdrawn JPH08246131A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016524042A (ja) * 2013-05-28 2016-08-12 シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーSchaeffler Technologies AG & Co. KG コーティングされた構成部材

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016524042A (ja) * 2013-05-28 2016-08-12 シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーSchaeffler Technologies AG & Co. KG コーティングされた構成部材

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