JP2000008152A - デルタアルミナ被覆鋼およびその製造方法 - Google Patents

デルタアルミナ被覆鋼およびその製造方法

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JP2000008152A
JP2000008152A JP17574398A JP17574398A JP2000008152A JP 2000008152 A JP2000008152 A JP 2000008152A JP 17574398 A JP17574398 A JP 17574398A JP 17574398 A JP17574398 A JP 17574398A JP 2000008152 A JP2000008152 A JP 2000008152A
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alumina
film
gas
delta
oxidation treatment
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Masashi Yoshida
政司 吉田
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体製造装置の配管、容器部材として、腐
食性ガス、腐食性液体に対して安定で、かつ表面の凹凸
の少ない表面皮膜が得られ、加工性に優れた材料を提供
し、比較的安価な製造方法を提供する。 【解決手段】 質量%でAl:1〜10%、Cr:5〜
20%、Ni:8〜50%を含むオーステナイト系ステ
ンレス鋼を酸化処理する際、酸化処理温度850〜10
00℃、H2 O+H2 の雰囲気ガスで、H2 O:H2
度をモル比でH2 O/H2 <5x10-4とし、厚さが1
50〜1200Åのデルタアルミナ皮膜を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体製造プロセス
等で使用されるハロゲンガス、オゾンガス等の腐食性ガ
ス用配管、ガス容器材料として、あるいは、オゾン含有
水、塩酸、硫酸等の腐食性液体用配管、容器等に使用さ
れる耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼材お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年ますます高集積化が進んでいる半導
体製造分野においては、シリコンウェーハの基板に1μ
m以下の線幅で回路パターンを作成する。このような微
細な回路パターンに微細な塵が付着したり、微量不純ガ
スが付着すると、回路不良の原因となる。従って、この
ような汚染が発生しないようさまざまな対策が取られて
いる。
【0003】作業環境からくる汚染に対してはクリーン
ルームで空気中の塵埃を管理するが、半導体の洗浄、気
相または液相成長、気相または液相エッチング等に使用
される気体または液体の中の塵埃や不純物も一定値以下
に管理しなければならない。
【0004】これらの気体や液体の購入原材料自体に不
純物が含まれないことは無論、製造プロセスでの貯蔵容
器部材、配管部材、あるいは半導体製造装置内の部材に
対して、部材の表面や内部からの微粒子、不純物成分お
よびガス成分の放出があってはならないため、これら部
材のさびや研磨粉の除去には高度のものが要求され、ガ
ス吸着の少ない平滑な表面が必要とされている。
【0005】さらに、半導体プロセスで使用される気体
や液体にはハロゲン系ガス、オゾン、強酸、オゾン含有
水など腐食性の強いものが使われるため、耐食性のよい
材料が必要である。
【0006】このような半導体製造装置用の耐食性材料
として、例えば酸化処理をおこなって厚さ100オング
ストローム(Å)以上のCr2 3 皮膜を成長させたス
テンレス鋼がハロゲンガス用配管として知られている。
しかし、Cr2 3 はオゾンガス、オゾン水で腐食され
るため、これらに対しては使用できない。
【0007】表面にアルファアルミナ(α−Al
2 3 )の皮膜を有するステンレス鋼は、ハロゲンガ
ス、オゾン水、オゾンガスに対して安定であり、これら
半導体製造用の材料として有効である。
【0008】アルミナ皮膜を形成したステンレス鋼材と
して例えば特開平7−331409号公報には、Alを
1〜5%含有するフェライト系ステンレス鋼材表面にア
ルミナ皮膜を生成させ、絶縁性、耐食性を向上する技術
が開示されている。
【0009】また、本発明の出願人は特開平10−72
645号公報において、最も好適な皮膜形態としてアル
ファアルミナの皮膜を有するステンレス鋼材とその製造
方法を開示した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平7−331409号公報に開示された技術は、アル
ミナ皮膜を生成させるにあたって、酸化ポテンシャルに
ついての考慮がおこなわれておらず、アルミニウムとと
もにクロムも酸化される状況で酸化処理をおこなってい
るため、酸化クロムがまざったアルミナ皮膜が形成され
る。酸化クロムのまざったアルミナ皮膜は、オゾンガス
やオゾン含有水のような腐食性の大きな環境下での保護
機能が十分でない。
【0011】また、前記特開平10−72645号公報
の製造方法は、アルファアルミナ皮膜を成長させるため
には、弱酸化性雰囲気中で、温度範囲として850〜1
100℃で処理するが、とくに1000℃以上の高温で
は、使用できる炉の材料は高価なNi基合金にかぎら
れ、電気代等のコストも大きくなる。
【0012】さらに、ガスの表面吸着は、ガスを切り替
えたときの残留不純物ガスの原因となるため、表面は平
滑であることが望ましいが、アルファアルミナはコラン
ダム結晶構造をもち、結晶成長の異方性が大きいため、
皮膜の凹凸が大きい表面形状となっている。このため、
表面積が大きくなり、表面へのガス吸着が大きくなると
いう問題がある。
【0013】このように、半導体製造装置に要求される
耐食性、表面の平滑性、さらに加工性に優れた材料が半
導体製造業界から求められていた。
【0014】本発明の目的は、半導体製造装置の配管、
容器などに特有のハロゲンガス、オゾンガス等の腐食性
ガス、オゾン水、塩酸等の腐食性液体に対して安定で、
かつ表面の凹凸の少ない表面皮膜が得られる加工性に優
れた材料を提供すること、およびこの材料に比較的低温
で保護皮膜を生成する製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】アルミニウムと酸素が反
応してアルファアルミナを形成するときの反応エネルギ
ー(アルミニウムと酸素が、主にイオン結合からなる結
合をつくり、それらが結晶をつくるときの全エネルギー
と、アルミウムと酸素がそれぞれ、単独で存在する場合
の全エネルギーとの差)は非常に大きく、そのため、ア
ルファアルミナは、化学的に安定であり、薬品に侵され
にくいことが知られている。
【0016】アルミナには種々の結晶構造のものが知ら
れているが、アルファアルミナ(六方最密晶で、コラン
ダム構造ともいう)以外は、化学的に活性で不安定であ
ると考えられてきた(例えば、岩波書店、理化学辞典の
「酸化アルミニウム」の項参照)。しかしながら、構造
相転移をおこす化合物結晶は多数知られているが、結晶
構造の違いによるエネルギーの違いは、化合物をつくる
ときの反応エネルギーに比べて、非常に小さい。そのた
め、アルファアルミナ以外のアルミナも、大きな反応エ
ネルギーをもち、従って、化学的に安定であることが期
待される。
【0017】そこで、発明者は、種々の構造のアルミナ
を作製し、調査した結果、正方晶構造をもつデルタアル
ミナが化学的に安定で、緻密な膜が形成でき、しかも表
面の凹凸がアルファアルミナに比較して小さく、保護皮
膜として有効であることを確認した。これに対して、ガ
ンマアルミナは、化学的には、安定であるが、欠陥が多
く、緻密な膜ができないため、保護膜としては使用でき
ないことがわかった。また、シータアルミナは作製がき
わめて困難であることがわかった。
【0018】従来、デルタアルミナ皮膜の製造が困難と
されてきたのは、従来の多くの研究が、アルミウムとと
もに、クロムを含有する鉄鋼材料でおこなわれ、クロム
が酸化しない領域にまで酸素ポテンシャルを下げること
が困難であったため、酸化クロムの混ざったアルミナが
生成していたと考えられる。すなわち、皮膜に酸化クロ
ムがまざるとガンマアルミナはできるが、デルタアルミ
ナができにくい、またはデルタアルミナが生成しても健
全なデルタアルミナにはならないのである。
【0019】発明者は、水分含有量のすくない高純度ガ
スを用い、またガス配管に吸着している水分を仮焼処理
等で徹底的に減らすことによって、酸素ポテンシャルを
クロムが酸化しない領域にまで下げた。その結果、クロ
ムをふくむ鋼材表面にクロムを含まない健全なデルタア
ルミナ皮膜を作製することに成功し、デルタアルミナ皮
膜が、すぐれた耐食性をもつことを見出した。
【0020】上記の知見に基づき完成した本発明の要旨
は以下のとおりである。 (1) 表面にデルタアルミナ皮膜を有することを特徴とす
るデルタアルミナ被覆鋼。
【0021】(2) デルタアルミナ皮膜の厚さが150〜
1200Åであることを特徴とする前記(1) 項に記載の
デルタアルミナ被覆鋼。
【0022】(3) 母材が、質量%でAl:1〜10%、
Cr:5〜20%、Ni:8〜50%を含むオーステナ
イト系ステンレス鋼であることを特徴とする前記(1) ま
たは(2) 項に記載のデルタアルミナ被覆鋼。
【0023】(4) 母材の酸化処理を温度850〜100
0℃で、モル比がH2 O/H2 <5x10-4のH2 O+
2 混合ガス雰囲気下で行うことを特徴とする前記(1)
から(3) 項までのいずれかに記載のデルタアルミナ被覆
鋼の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明における母材となる鋼材は
普通鋼、フェライト系、オーステナイト系または2相系
のステンレス鋼のいずれであってもよい。例えば、母材
表面にAlめっきを施し、後述の製造方法でAlを酸化
させ、本発明の要件であるデルタアルミナ皮膜を形成し
てもよいしかしながら、本発明の主要な用途は半導体製
造プロセスの配管、容器などで、耐食性、表面の清浄
性、平滑性などを兼ね備えたものであるから、普通鋼へ
の皮膜形成処理は現実的ではなく、ステンレス鋼、特に
靭性、加工性に優れたオーステナイト系ステンレスが好
適な母材である。
【0025】以下に、本発明の母材となるオーステナイ
ト系ステンレス鋼の化学組成について詳述する。
【0026】Al:Alは質量%で1〜10%とする。
本発明において、アルミナ皮膜を生成する上で必須の成
分である。1%未満では、後述の酸化処理によって表面
全体をアルミナ皮膜で覆うことができず、その結果、所
期の耐食性が得られないためである。10%を超える
と、加工性が低下し、所要形状に加工しにくくなるため
である。好適範囲は2〜8%である。さらに好ましくは
3〜5%である。
【0027】Cr:Crは質量%で5〜20%とする。
Crが20%を超えると、Ni、Al量によらず、フェ
ライト系になり、靱性が低下するためである。Crが5
%未満であると、母材自体の耐食性が低下するため、皮
膜がはく離した場合に、その領域から急速に腐食が進行
し、さらに皮膜のはく離をまねくためである。好適範囲
は13〜19%である。さらに好ましくは16〜19%
である。
【0028】Ni:Niは質量%で8〜50%とする。
Niが8%未満ではフェライト系になり、靱性が低下す
るためである。Niが50%を超えると、コストが高く
なるためである。好適範囲は12〜30%である。さら
に好ましくは16〜25%である。
【0029】なお、本発明のオーステナイト系ステンレ
ス鋼は、上記元素のほか、質量%でC:0.4%以下、
Si:2.0%以下、Mn:10%以下、を含んでもよ
い。
【0030】必要に応じて高温強度を改善するため、C
o、Mo、Wの一種または2種以上を合計で5質量%以
下、熱間加工性を改善するため、Ti、Zr、V、N
b、TaのIV、V族元素の一種以上を合計で2質量%
以下、Y、Cs、Laの稀土類元素の一種以上を合計で
0.08質量%以下を含んでもよい。その他の成分は鉄
および不可避的不純物である。
【0031】本発明の鋼材は表面にデルタアルミナの皮
膜を有する。デルタアルミナはアルファアルミナと比較
して表面の凹凸が少なく、また、はく離しにくい点で優
れている。アルミナの皮膜は一部ガンマ、アルファ、シ
ータの各相が含まれることもあるが、デルタアルミナが
90体積%以上であればよい。デルタアルミナ含有率が
90%未満の場合は、耐オゾンガス、ハロゲンガス、オ
ゾン含有水、強酸などに対して耐食が低下したり、はく
離が起きる恐れがあるためである。
【0032】本発明のデルタアルミナの酸化皮膜の厚さ
は150〜1200Åとするのが望ましい。150Å未
満であると、母材の表面を完全に覆うことができず、母
材の防食と保護機能が十分でないためである。また、1
200Åを超えると、酸化処理後の冷却時に、鋼材とア
ルミナとの熱膨張率の差によって酸化皮膜が割れるため
である。好適範囲は200〜1000Åであり、さらに
は300〜800Åが好ましい。なお、ここで述べる酸
化膜の厚さは平均の膜厚であり、酸化処理前後の重量の
増加や切断面の電顕観察等から求めることができる。
【0033】本発明の製造方法においては、母材の酸化
処理は気相中で行う。表面の酸化方法としては、硝酸浸
漬あるいは陽極電解などの湿式方法もあるがデルタアル
ミナ皮膜作製のためには、気相中での酸化処理が必要で
ある。
【0034】母材の酸化処理温度は850〜1000℃
とする。850℃未満では、酸化皮膜の形成が不十分
で、緻密な酸化膜で表面をおおうことができないため、
母材の防食・保護機能が十分でないためである。また、
酸化処理温度が1000℃を超えると、アルファアルミ
ナに構造相転移し、皮膜表面の凹凸が大きくなり、か
つ、冷却時に歪みによって割れやすくなるためである。
好適範囲は900〜980℃である。900℃未満で
は、酸化速度が遅いため、酸化膜を形成するのに、1時
間以上の長時間が必要であることと、長時間の熱処理を
おこなうと、母材中でNiとAlが金属間化合物NiA
lをつくり、その結果、母材の耐食性が低下するおそれ
があるからである。酸化処理温度が980℃を超える
と、酸化速度が速すぎるため、酸化膜厚の制御が難しく
なる。
【0035】酸化処理の雰囲気ガスはH2 O+H2 の混
合ガスとする。H2 Oは酸化処理のための酸素供給源と
して必要であり、反応の安定性から好ましいガス種であ
る。雰囲気ガスの水素量が少ないと、鉄やクロム酸化物
がアルミナ中にまざり、皮膜の耐食性が低下するため、
モル比率でH2 O/H2 <5X10-4を満たす水素量が
必要である。不可避的にH2 ガスに含まれるH2 Oによ
って酸化が進行するため、H2 O/H2 のモル比の下限
については、特に制限はないが、H2 O/H2<1X1
-6では、酸素量が少なく、処理時間が長くなるため、
2 O/H2 >1X10-6が望ましい。なお、供給する
ガスはH2 OとH2 を供給してもよく、また、結果的
に、H2 O/H2 <5X10-4となるようにH2 とO2
を供給してもよい。
【0036】H2 O+H2 の混合ガスには、ガスもれ時
の水素爆発を防ぐために、Ar、N2 などの不活性ガス
で希釈してもよい。しかし、反応を安定化するには希釈
度は体積比率で(不活性ガス)/(H2 O+H2 )の比
率を10以下の範囲とするのが望ましい。
【0037】本発明のデルタアルミナ被覆鋼は通常加工
成形後、酸化処理を行う。加工成形前に酸化処理を行う
と生成した皮膜が破壊されるためである。しかし、酸化
皮膜が薄く、加工成形が軽度であれば、加工前に酸化処
理を行ってもよい。
【0038】
【実施例】表1に示す組成で、外径が6.3mm、肉厚
が1mmのステンレス管を試験材として用い、2cmの
長さに切断し、縦割に2分割し、種々の条件で酸化処理
をおこない、皮膜の組成、構造と、オゾン水に対する耐
食性調査を行った。
【0039】
【表1】
【0040】図1は、皮膜のX線回折スペクトル(X線
源Cu−Ka)を示すグラフで、同図(a) は酸化処理温
度が950℃の場合、同図(b) は1030℃の場合であ
る。酸化処理の雰囲気ガスは、同図(a) 、(b) とも、H
2 Oを10ppm含む水素(H2 O/H2 =1X1
-5)で、20分間酸化処理をおこなったものである。
同図(a) を試料A、同図(b) を試料Bとする。
【0041】図1(a) および(b) において、横軸の回折
角2θの43度より高角度側のピークと31度のピーク
は母材からの散乱ピークである。図1(a) では32度と
36度に幅の広いピークがみられ、それぞれはデルタア
ルミナの(222)および(312)ピークに対応す
る。図1(b) では35度にピークがみられ、アルファア
ルミナの(104)回折ピークに対応する。このよう
に、処理温度が950℃ではデルタアルミナ(正方晶、
a=7.96Å、c=23.4Å)が生成しており、処
理温度が1030℃ではアルファアルミナが生成したこ
とがわかる。
【0042】図2は図1と同じ試料の走査型電子顕微鏡
像(SEM)を示す写真であり、同図(a) (試料A)は
酸化処理温度が950℃の場合、同図(b) (試料B)は
1030℃の場合である。
【0043】同図(a) において、生成したデルタアルミ
ナの酸化皮膜は、平坦な表面形状をもつのに対して、同
図(b) の場合、生成したアルファアルミナの酸化皮膜は
凹凸の激しい形状をもつことがわかった。なお、同図
(a) のデルタアルミナ膜中の黒くみえる析出物はCr23
6 である。後述のように、この析出物があっても、表
面がアルミナ皮膜で覆われるため、腐食はしない。
【0044】図1(a) または図2(a) に示した試料A
を、オゾン10ppmを含有する水に7日間、浸析し
た。この試料を試料A1とする一方、比較材として、表
1に示す化学組成の試料を酸化処理温度950℃で、H
2 Oを1000ppm含む水素(H2 O/H2 =1X1
-3)雰囲気中で、20分酸化処理を行った。この試料
を、オゾン10ppmを含有する水に7日間、浸析し
た。この試料を試料Cとする図3は前記の試料A1およ
び試料CのSEM像を示す写真であり、同図(a) は試料
A1(雰囲気ガスのH2 O/H2 =1X10-5)の場
合、同図(b) は試料C(同、H2 O/H2 =1X1
-3)の場合である。同図(a) は図2(a) と同一場所を
撮像したものである。
【0045】図3(a) に示すように、オゾン水浸漬の前
後で、表面の酸化膜には変化がなく、耐食性が良好なこ
とがわかった。一方、同図(b) に示すように、試料Cで
はオゾン水浸漬による腐食によって、同図(b) で白くみ
える穴が発生しており、耐食性は不十分であった。試料
Cの酸化処理は熱力学的に、クロムが酸化される条件に
なっている。この条件で酸化処理をおこなった試料の酸
化膜を光電子分光によって確認したところ、酸化膜中に
CrがAl量の1%程度混入していることがわかった。
【0046】図3(a) の試料A1のように、不純物を含
まないデルタアルミナがすぐれた耐食性を示すのに対
し、図3(b) の試料Cのように、不純物をふくむデルタ
アルミナは耐食性が劣ることがわかった。
【0047】図3に示す結果から、酸化処理の雰囲気ガ
スのH2 O濃度が、高すぎる場合、すなわち酸素量に対
してH2 量が少ない場合、鉄やクロムの酸化物がアルミ
ナ中に混入して析出し、皮膜の耐食性が低下することが
わかった。
【0048】次に、いろいろな条件で酸化処理を施した
試料を、10ppmのオゾンを含む純水中に一週間浸漬
し、金属イオン溶出量を測定した。
【0049】表2に上記オゾン含有水への浸漬試験の結
果を示す。表2において、試料の表面積が1cm2 あた
りのイオン溶出量が1マイクログラム以下のものを
「○」、0.1マイクログラム以上10マイクログラム
以下を「△」、10マイクログラム以上のものを「×」
で表している。また割れの欄の×は、酸化膜に割れがみ
られたことを示している。
【0050】表2の酸化皮膜の厚さは次の方法で求め
た。すなわち、Arイオンスパッタリングにより、最表
層から酸化膜を削りながら、光電子分光法によって、膜
の組成変化を測定し、酸素量が、表面層の1/2に低下
するまでのスパッタ時間を測定し、あらかじめ求めてお
いた、酸化膜のスパッタ時間と膜厚の関係から膜厚をも
とめた。
【0051】
【表2】
【0052】表2からわかるように、850℃で以上で
酸化処理をおこなった場合はイオン溶出量が10マイク
ログラム以下(表の△印)の良好な耐食性がえられる
が、830℃での酸化処理では耐食性が劣ることがわか
った。また、900℃〜980℃の場合に溶出量が1マ
イクログラム以下(表の○印)で、最もよい耐食性が得
られた。
【0053】皮膜厚さについては、150Å以下では耐
食性が悪いこと、および皮膜厚さが1400Å以上で
は、膜に割れが生じるために、やはり、耐食性が悪いこ
とがわかった。
【0054】酸化処理時の雰囲気ガスの水分濃度は50
0ppm以下(H2 O/H2 <5x10-4)の場合に良
好な耐食性がえられることがわかった。
【0055】なお、1030℃で酸化処理をおこなった
膜はアルファアルミナで、850〜980℃で酸化処理
をおこなった試料の皮膜はデルタアルミナ、830℃で
酸化処理をおこなった試料の皮膜はガンマアルミナであ
った。この結果からデルタアルミナをもつ膜のみが良好
な耐食性をもつことがわかった。
【0056】
【発明の効果】本発明のデルタアルミナ皮膜を有する鋼
材、とくにオーステナイト系ステンレス鋼の表面にデル
タアルミナ皮膜を有する鋼材は優れた耐食性を有し、加
工性にも優れ、表面が平滑であるため、半導体製造プロ
セスにおける配管、容器などの部材に使用すると、半導
体の不純物汚染が少なく、ガス吸着も少ないのでガス切
替えを迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】皮膜のX線回折スペクトル(X線源Cu−K
a)を示すグラフで、同図(a) は酸化処理温度が950
℃の場合、同図(b) は1030℃の場合である。
【図2】図1と同じ試料の走査型電子顕微鏡像を示す写
真であり、同図(a) は酸化処理温度が950℃の場合、
同図(b) は1030℃の場合である。
【図3】前記のオゾン含有水に7日間浸漬後の試料A1
および試料CのSEM像を示す写真であり、同図(a) は
酸化処理時の雰囲気ガスのH2 O/H2 のモル比が1X
10-5の場合、同図(b) は同モル比が1X10-3の場合
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にデルタアルミナ皮膜を有すること
    を特徴とするデルタアルミナ被覆鋼。
  2. 【請求項2】 デルタアルミナ皮膜の厚さが150〜1
    200Åであることを特徴とする請求項1に記載のデル
    タアルミナ被覆鋼。
  3. 【請求項3】 母材が、質量%でAl:1〜10%、C
    r:5〜20%、Ni:8〜50%を含むオーステナイ
    ト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載のデルタアルミナ被覆鋼。
  4. 【請求項4】 母材の酸化処理を温度850〜1000
    ℃で、モル比がH2O/H2 <5x10-4のH2 O+H
    2 混合ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載のデルタアルミナ被覆鋼の製造方
    法。
JP17574398A 1998-06-23 1998-06-23 デルタアルミナ被覆鋼およびその製造方法 Withdrawn JP2000008152A (ja)

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