JPH07228961A - 高耐食性表面被覆金属材 - Google Patents

高耐食性表面被覆金属材

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JPH07228961A
JPH07228961A JP32083194A JP32083194A JPH07228961A JP H07228961 A JPH07228961 A JP H07228961A JP 32083194 A JP32083194 A JP 32083194A JP 32083194 A JP32083194 A JP 32083194A JP H07228961 A JPH07228961 A JP H07228961A
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carbide
oxide
corrosion resistance
corrosion
gas
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JP32083194A
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Atsushi Hisamoto
淳 久本
Ikuo Hashimoto
郁郎 橋本
Tsugumoto Ikeda
貢基 池田
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハロゲン系ガスなどを含む腐食性環境、特に
水分とハロゲン系ガスが共存する様な厳しい腐食環境に
曝された場合でも、優れた耐食性を発揮し得る様な高耐
食性表面被覆金属材を提供する。 【構成】 金属材の表面に、Ti,Cr,Nb,Ta,
Al,Si,Zrよりなる群から選択される少なくとも
1種の元素の酸化物と、Ti,V,Al,Cr,Si,
W,Ta,Fe,Zrよりなる群から選択される少なく
とも1種の元素の炭化物とを、合計で10重量%以上含
有する耐食性皮膜が形成されている高耐食性表面被覆金
属材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐食性の改善された表面
被覆金属材に関し、たとえば半導体製造装置等において
使用される鋼材の様に、腐食性の強い塩化水素、塩素、
ふっ化水素等のハロゲン系ガス含有雰囲気に曝された場
合でも、優れた耐食性を発揮し得る様に改善された表面
被覆金属材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の半導体製造分野においては、素子
の高集積化が進むにつれて配線間隔にはサブミクロンの
精度が要求される様になっている。その様な素子の加工
に当たっては、微粒子や細菌が付着しただけでも回路が
短絡し、製品不良となる。そのため、半導体の製造に使
用されるガスや水は超高純度であることが要求され、ま
たガスの使用に際しては導入ガス自体の高純度化だけで
なく、配管や反応もしくは処理室の壁面からの水分や不
純物ガス、微粒子の発生を極力低減することが必要にな
る。
【0003】半導体製造装置用のガス配管には、従来よ
り溶接性や一般耐食性の面からSUS316L等のオー
ステナイト系ステンレス鋼が使用されており、その表面
を電解研摩処理等によって平滑化し、それにより吸着有
効面積を減少して不純物ガス等の吸着や脱離を少なくし
たものが用いられている。更に、電解研摩後酸化性ガス
雰囲気中で加熱処理することによって表面に非晶質酸化
皮膜を形成し、表面のガス放出量を低減したステンレス
鋼部材(特開昭64−87760号)や、微粒子の発生
源および不純物の吸着・放出場所となる非金属介在物量
を極めて少なくさせたステンレス鋼管(特開昭63−1
61145号)も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のス
テンレス鋼管やステンレス鋼部材は、酸素や窒素等の腐
食性の少ないガス雰囲気下ではそれなりの効果を発揮す
るが、塩化水素、塩素、ふっ化水素等の高腐食性のハロ
ゲン系ガス中では、その表面が比較的短期間のうちに腐
食されるため腐食生成物がガスの吸着・放出場所とな
り、ガス純度の維持が困難になる。しかも、金属塩化物
等の腐食生成物自体が微粒子となって離散し、汚染の原
因となることも考えられる。また、この様な用途に一般
鋼材を適用しようとする場合、その耐食性はステンレス
鋼よりも明らかに劣るものであるから、耐食性の改善が
必須となる。
【0005】一般に、乾燥したハロゲンガス中での鋼材
の腐食は軽微であるといわれているが、実際には、ガス
中にわずかに残存する水分の共存による腐食を完全に阻
止することはできない。そのため半導体製造分野では、
これらハロゲン系ガス中でも優れた耐食性を示す様な部
材の開発が望まれている。
【0006】一方、SUS316Lよりも耐食性に優れ
た高Ni合金(ハステロイ等)を使用すれば、ハロゲン
系ガスによる腐食も低減できるが、高Ni合金は極めて
高価であり、またこの種の合金といえども腐食を完全に
阻止できるとは限らない。
【0007】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、ハロゲン系ガスなどを含む
腐食性環境、特に水分とハロゲン系ガスが共存する様な
厳しい腐食環境に曝された場合でも、優れた耐食性を発
揮し得る様な高耐食性表面被覆金属材を提供しようとす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る表面被覆金属材の構成は、金属材
の表面に、Ti,Cr,Nb,Ta,Al,Si,Zr
よりなる群から選択される少なくとも1種の元素の酸化
物と、Ti,V,Al,Cr,Si,W,Ta,Fe,
Zrよりなる群から選択される少なくとも1種の元素の
炭化物とを、合計で10重量%以上含有する耐食性皮膜
が形成されたものであるところに要旨を有するものであ
る。なお、該耐食性被膜の好ましい構成としては、2層
以上の層状構造を有しており、最表面層における前記酸
化物の含有量が10重量%以上であり、また金属材との
界面層における前記炭化物の含有量が10重量%以上で
あるもの、あるいは、耐食性皮膜中の前記炭化物含有量
が連続的に変化しており、最表面部における前記酸化物
の含有量が10重量%以上であり、また金属材との界面
部における前記炭化物の含有量が10重量%以上である
ものが挙げられる。
【0009】
【作用】本発明者等は、塩化水素の如く腐食性の強いハ
ロゲン系ガスに対する耐食性の改善を目的として、種々
の表面処理法について検討を重ねてきた。その結果、上
記の様に、金属材の表面に、特定元素の炭化物と酸化物
を合計で10重量%以上含有する皮膜を形成してやれ
ば、非常に優れた耐食性が発揮されることをつきとめ
た。
【0010】Ti酸化物は耐食性に優れたものであり、
金属材料の耐食保護皮膜として利用できることは公知で
ある(例えば特開平4−9428号や特開平4−749
00号公報)が、完全な保護皮膜とするには、欠陥のな
いTi酸化物層を形成することが必要となる。しかしな
がら、通常のCVD法やPVD法等で欠陥のないTi酸
化物層を形成することは容易でない。即ち、欠陥低減の
為には被覆厚さを厚くする必要があるが、膜厚を増大さ
せると膜応力が増大し、ひいては被覆層と金属材素地と
の密着性が低下するため、期待される様な耐食性能は得
られ難い。
【0011】また、Cr,Nb,Ta,Al,Si等の
酸化物も、Ti酸化物と同様に優れた耐食性を有してい
ることが知られており、金属材の保護皮膜として利用さ
れている(例えば特開平3−39498号や特開昭63
−56319号等)が、上記Ti酸化物で指摘したのと
ほぼ同様の課題を残している他、厳しい腐食環境下で充
分な耐食性を維持させることは容易でない。
【0012】ところが、本発明者等が耐食性の一層の向
上を期して種々研究を重ねた結果、金属材の表面に、T
i,Cr,Nb,Ta,Al,SiおよびZrよりなる
群から選択される少なくとも1種の元素の酸化物とに加
え、Ti,V,Al,Cr,Si,W,Ta,Fe,Z
rよりなる群から選択される少なくとも1種の元素の炭
化物とを合計で10重量%以上含有する皮膜を形成する
ことによって、上記の様なハロゲン系ガス等を含む高腐
食性雰囲気下においても格段に優れた耐食性が得られる
ことを見出し、本発明に想到したものである。
【0013】即ち、従来知られているTi,Cr等の酸
化物、あるいは炭化物の各単独皮膜は耐食性において不
充分であったが、該皮膜を炭化物と酸化物との2成分
系、もしくは3成分系以上の複合組成としてやれば、こ
れらの生成過程で、上記酸化物の間の微細な隙間を炭化
物が埋める様に生成し、皮膜が非常に緻密なものにな
る。さらに、炭化物は鋼材の様な金属材との親和性が非
常に良好であるため、炭化物が生成することによって金
属材と耐食性皮膜との密着性も著しく高められる。この
皮膜の緻密化効果と金属材との密着性向上効果が、炭化
物と酸化物の両者を含む皮膜を形成することによって、
相加的および相乗的に好結果を及ぼし、腐食性ガスに対
する皮膜の遮蔽効果が高められ、優れた耐食性が発揮さ
れるものと考えられる。
【0014】この様に本発明では、金属材の表面に、T
i,Cr,Nb,Ta,Al,Si,Zrよりなる群か
ら選択される少なくとも1種の元素の酸化物(以下単に
酸化物ということがある)と、Ti,V,Al,Cr,
Si,W,Ta,Fe,Zrよりなる群から選択される
少なくとも1種の元素の炭化物(以下単に炭化物という
ことがある)とを含有する皮膜が形成されているところ
に最大の特徴を有する。本発明の上記特徴は、下記のい
ずれかの皮膜構成とすることによってより一層効果的に
発現する。
【0015】(1) 2層以上の層状構造を有し、最表面層
におけるTi,Cr,Nb,Ta,Al,Si,Zrよ
りなる群から選択される少なくとも1種の元素の酸化物
の含有量を10重量%以上、金属材との界面側層におけ
るTi,V,Al,Cr,Si,W,Ta,Fe,Zr
よりなる群から選択される少なくとも1種の元素の炭化
物の含有量を10重量%以上とする (2) 皮膜中の上記炭化物含有量を連続的に変化せしめ、
最表面部における前記酸化物の含有量を10重量%以
上、金属材との界面部における上記炭化物の含有量を1
0重量%以上とする
【0016】前述の様に、炭化物は金属材表面と密着性
が良好であるため、(1) の様に2層構造にする場合、あ
るいは(2) の様に濃度勾配をつける場合のいずれにおい
ても、炭化物は金属材表面側に多く存在させることが好
ましい。そして、元々耐食性に優れている酸化物は、こ
の炭化物の存在によって初めて緻密な皮膜を形成するこ
とができるため、その耐食性をいかんなく発揮すること
が可能となって、皮膜の緻密化による耐食性向上効果と
金属材との密着性向上効果が相まって顕著に発揮される
ことになる。
【0017】本発明では、皮膜中に占める酸化物と炭化
物の総量が10重量%以上でなければ充分な耐食性が発
現しない。より好ましくは30重量%以上、更に好まし
くは50重量%以上であれば、従来の耐食性皮膜に比べ
て格段に優れた耐食性を発揮する。
【0018】本発明における複合皮膜の形成法は特に制
限されないが、その好ましい形成法を例示すると次の通
りである。皮膜中に、炭化物・酸化物を形成させる方法
は、金属母材中に炭化物形成元素・酸化物形成元素を
含有させておき、母材中に存在する炭素、もしくは外的
付加される炭素または酸素の存在下で400〜1100
℃で熱処理拡散を行い、金属母材表面に炭化物・酸化物
を形成させる方法と、金属母材に対する表面処理で炭
化物・酸化物の複合皮膜を形成させる方法、および金
属母材の表面処理を行って炭化物形成元素・酸化物形成
元素の皮膜を形成してから、上記熱処理を行って金属母
材表面に炭化物・酸化物を形成させる方法に大別され
る。
【0019】上記の方法では、金属材の中でも、ステ
ンレス鋼や低合金鋼等のFe系材料が対象として好まし
い。なお、対象金属材がFe系材料でなくAl系材料や
Ti系材料のときには、前記の方法は用いず、後述の
もしくはを使用する。
【0020】の方法を行う場合、炭化物形成元素であ
るTi,V,Al,Cr,Si,W,Ta,Fe,Zr
のうち、Feは母材中に含める必要がなく、またWは固
溶しにくい(従ってW炭化物形成にはかの方法を採
用する)ためこの両元素は省かれるが、それ以外のT
i,V,Al,Cr,Si,Ta,Zrについては、母
材中にこれらの炭化物形成元素のうち少なくとも1種を
含有させておく。また酸化物形成元素についてもTi,
Cr,Nb,Ta,Al,Si,Zrのうち少なくとも
1種を含有させておく。炭化物形成元素と酸化物形成元
素が同一元素の場合、すなわち、Ti、Cr、Ta、A
l、Si、Zrであるときは、これらの群から選択され
る1種の元素のみを母材に含めるだけで、後の熱処理拡
散によって、炭化物と酸化物を形成することができる。
【0021】熱処理条件は、400〜1100℃、10
-9〜100 Torrで行うことが好ましい。より好まし
い温度条件は600〜1100℃である。母材中に炭素
が0.01〜0.1重量%含まれている時は、熱処理雰
囲気に炭素源を含める必要はなく、熱処理拡散によって
上記炭化物形成元素が母材中の炭素と結合し炭化物を形
成する。母材が極低炭素鋼であるときは、CO濃度:1
容量%以上の雰囲気ガスを使用することが推奨される。
一方、酸素源は熱処理雰囲気ガスから与えることが好ま
しく、大気組成雰囲気(大気の場合はCO濃度を考慮す
る必要はない)またはこれと同等の酸素活量の低酸素分
圧雰囲気下で熱処理を行えば、上記酸化物形成元素の酸
化物を金属母材表面近傍に形成することができる。
【0022】TiとCrを母材中に含む金属材をの方
法で処理する一例を挙げる。0.01〜0.1重量%程
度の炭素と、0.1〜1重量%程度のTiおよび12〜
25重量%程度のCrを含有する金属材を、CO濃度が
1容量%程度以上の炭素源含有ガス雰囲気下、10-9
100 torrの減圧条件で400〜1100℃に加熱
する。金属材内から拡散移行してくるTiとCの反応に
よってTi炭化物が生成し、CrおよびTiの酸化によ
ってこれらの酸化物が生成し、炭化物と酸化物の複合皮
膜が母材表面に形成される。
【0023】の方法は、外部から炭化物形成元素およ
び酸化物形成元素を導入して、炭化物・酸化物複合皮膜
を形成する方法であり、母材の種類を問わず用いること
ができる。具体的には、めっき法、化学蒸着法、真空蒸
着法、イオン注入法、イオンプレーティング法およびダ
イナミックミキシング法等の1種または2種以上の表面
処理方法を採用して、母材表面に炭化物および酸化物か
らなる複合皮膜を形成させるものである。
【0024】例えば、炭化物形成元素からなる皮膜を上
記表面処理法のいずれかで形成し、Cをイオン注入して
炭化物とし、酸化物形成元素の皮膜を形成した後、Oを
イオン注入する方法、酸化物と炭化物形成元素からなる
皮膜を予め上記表面処理法で形成し(同時または逐
次)、そこへCをイオン注入する方法、同様に、酸化物
形成元素と炭化物からなる皮膜へのOのイオン注入、あ
るいは酸化物形成元素、炭化物形成元素からなる皮膜へ
のO、Cのイオン注入が好ましく採用できる。また酸化
物形成元素、炭化物形成元素とO、Cを同時に導入し、
上記表面処理法を用いて酸化物および炭化物複合皮膜を
一工程で作成する方法も利用することができ、もちろん
上記に例示した以外に種々の組合わせが可能であり、元
素種に応じて適した方法を採用すればよい。
【0025】の方法は、との混合方法であり、炭
化物形成元素および酸化物形成元素の薄膜をの表面処
理法で母材表面に形成させておき、母材中の炭素、もし
くは雰囲気中の炭素および酸素と、熱処理拡散によって
炭化物・酸化物複合皮膜を形成させる方法である。ま
た、母材中に炭化物形成元素および/または酸化物形成
元素を含めておき、さらに炭化物形成元素および/また
は酸化物形成元素の薄膜を形成して、熱処理を行うこと
もできる。の方法においても種々の組合わせが可能で
あり、適宜選択すれば良い。
【0026】上記〜の方法は、炭化物・酸化物複合
皮膜を形成することができればいずれを採用してもよ
く、上記した好ましい条件以外に特に限定されず、それ
ぞれの元素(複数の場合も含まれる)に適した条件・方
法を適宜選択することが推奨される。
【0027】上記方法によって形成される耐食性複合皮
膜は、0.001μm以上の厚さにすることが好まし
い。より好ましくは0.005μm以上である。この皮
膜厚さが0.001μm未満では被覆不足であり、満足
のいく耐食性が得られにくい。
【0028】本発明によって形成される表面被覆層は上
述の様に極めて耐食性に優れたものであるから、該被覆
層が形成される金属材の種類に格別の制限はなく、一般
の低・中炭素鋼、ステンレス鋼や各種の低合金鋼の他、
Al合金材、Ti合金材等の非Fe材料も使用すること
が可能である。またその形状も、最も一般的な板状物や
管状物の他、線状物や棒状物あるいは異形成形物等に適
用することができる。
【0029】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。
【0030】実施例1 表1に示す如くステンレス鋼の表面を研磨処理した後、
その表面にTi炭化物と各種の酸化物とからなる混合皮
膜を形成し、得られた各皮膜形成材を、30℃の3%N
aCl水溶液中でアノード分極を行い、耐食性を評価し
た。結果を表1に一括して示す。 ○:アノード分極によっても全く腐食が発生しない △:アノード分極によって一部腐食が発生する ×:アノード分極によって全て腐食が発生する
【0031】
【表1】
【0032】表1からも明らかである様に、No.1〜
5は本発明の規定要件を全て満足する実施例であり、い
ずれも非常に優れた耐食性が得られている。またNo.
6は、本発明の規定要件を満たしているが、皮膜厚さが
15Åとやや薄いため素地に対する保護効果が不充分で
あり、一部で腐食が発生している。
【0033】これらに対してNo.7〜10は、いずれ
も本発明の規定要件を欠く比較例であり、No.7,8
は、Ti炭化物単独組成の皮膜であって酸化物が共存し
ないため素地に対する保護効果が不充分であり、No.
9は、Cr酸化物単独組成の皮膜であってTi炭化物が
存在しないため、皮膜に欠陥が存在すると共に素地に対
する密着性も不充分であり、No.10は、皮膜が形成
されていない研磨処理のままのステンレス鋼であり、い
ずれも腐食が著しい。
【0034】実施例2 表2に示した様にTi含有ステンレス鋼の表面を研磨処
理した後、その表面に真空中での加熱処理もしくはスパ
ッタリングによってTi炭化物と各種酸化物とからなる
複合皮膜を形成し、得られた各表面皮膜形成材につい
て、実施例1と同様にして耐食性を調べた。結果を表2
に一括して示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2からも明らかである様に、No.1〜
8は本発明の規定要件を満足する実施例であり、いずれ
も優れた耐食性を示している。これらに対しNo.10
〜17はいずれも本発明の規定要件を欠く比較例であ
り、No.9,12〜14は酸化物単独もしくはTi酸
化物単独組成の皮膜であってTi炭化物が含まれていな
いため、皮膜に欠陥が存在すると共に素地に対する密着
性も不充分であり、No.10は、Ti炭化物単独組成
の皮膜であって酸化物が存在しないため素地に対する保
護効果が不充分であり、No.11は、金属Tiの酸化
によってTi酸化物のみを生成させたものであって、素
地ステンレス鋼と金属Tiとの間に異種金属接触腐食が
みられ、No.15は、加熱処理時の酸素活量が小さく
て酸化物が生成しておらず、ステンレス素地そのままの
ものであって耐食性が悪い。またNo.16,17は、
皮膜組成は適正であるが、皮膜中のTi炭化物と酸化物
の総含有量が不足するため、満足な耐食性が得られてい
ない。
【0037】実施例3 表3に示した様に、皮膜形成条件、金属材および複合皮
膜構成を変化させて、ハロゲン系ガスに対する耐ガス腐
食性試験、および、水とハロゲンガスが共存する環境を
模擬設定した水溶液耐食性試験を行った。結果を表3に
併記した。ハロゲン系ガスの耐ガス腐食性試験は、5%
塩素−アルゴン混合ガス中で350℃、10時間放置し
た後の試験片外観で評価した。評価基準は以下の通りで
ある。 ○:腐食発生なし △:腐食発生面積率5%未満 ×:腐食発生面積率5%以上 また、水溶液耐食性試験は40℃の5%NaCl水溶液
中でアノード分極を行って評価した。 ○:孔食発生なし △:一部に孔食発生 ×:全面に孔食発生
【0038】
【表3】
【0039】表3から明らかな様に、本発明例はガス腐
食性試験、水溶液耐食性試験のいずれにおいても良好な
耐食性を示した。
【0040】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、金
属材の表面に、Ti,Cr,Nb,Ta,Al,Siよ
りなる群から選択される少なくとも1種の元素の酸化物
とTi,V,Al,Cr,Si,W,Ta,Fe,Zr
よりなる群から選択される少なくとも1種の元素の炭化
物を主体とする混合被覆層を形成することによって、ハ
ロゲン系ガスの様に強い腐食性を持ったガスの存在する
雰囲気下においても、優れた耐食性を発揮する表面被覆
金属材を提供し得ることになった。従って、この表面被
覆金属材は、例えば半導体製造装置用の配管材や処理用
機器材料として有効に活用することができる。また、一
般の低・中炭素鋼、ステンレス鋼や各種の低合金鋼の
他、Al合金材、Ti合金材等の非Fe材料にも応用可
能であり、種々の耐食性材料を提供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材の表面に、Ti,Cr,Nb,T
    a,Al,Si,Zrよりなる群から選択される少なく
    とも1種の元素の酸化物と、Ti,V,Al,Cr,S
    i,W,Ta,Fe,Zrよりなる群から選択される少
    なくとも1種の元素の炭化物とを、合計で10重量%以
    上含有する耐食性皮膜が形成されたものであることを特
    徴とする高耐食性表面被覆金属材。
  2. 【請求項2】 前記耐食性皮膜が2層以上の層状構造を
    有しており、最表面層における前記酸化物の含有量が1
    0重量%以上であり、また金属材との界面層における前
    記炭化物の含有量が10重量%以上である請求項1に記
    載の高耐食性表面被覆金属材。
  3. 【請求項3】 前記耐食性皮膜中の前記炭化物含有量が
    連続的に変化しており、最表面部における前記酸化物の
    含有量が10重量%以上であり、また金属材との界面部
    における前記炭化物の含有量が10重量%以上である請
    求項1に記載の高耐食性表面被覆金属材。
JP32083194A 1993-12-22 1994-12-22 高耐食性表面被覆金属材 Withdrawn JPH07228961A (ja)

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