JPH08243385A - 新規な複合体およびその製造方法、ならびに該複合体からなるオレフィン吸着剤 - Google Patents

新規な複合体およびその製造方法、ならびに該複合体からなるオレフィン吸着剤

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JPH08243385A
JPH08243385A JP7839795A JP7839795A JPH08243385A JP H08243385 A JPH08243385 A JP H08243385A JP 7839795 A JP7839795 A JP 7839795A JP 7839795 A JP7839795 A JP 7839795A JP H08243385 A JPH08243385 A JP H08243385A
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olefin
silica gel
copper
mmol
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Hidefumi Hirai
英史 平井
秀明 ▲高▼橋
Hideaki Takahashi
Takahiro Mori
貴裕 森
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、化学工業において重要な基礎物質
であるオレフィンの分離に有用なオレフィン吸着剤とし
ての用途を有する新規な複合体を提供することを目的と
する。 【構成】 本発明の複合体は、式1で示される化合物と
ハロゲン化銅(I)よりなる2成分錯体をシリカゲルに
担持してなることを特徴とする。 【化1】 ここで、nは2または3であり、nが2の場合には
1、R2、R3、R4のうち少なくとも2個が、またnが
3の場合にはR1、R2、R3、R4のうち少なくとも1個
が炭素数1〜4のアルキル基であり、残りは水素であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な複合体およびそ
の製造法、ならびに該複合体よりなるオレフィン吸着剤
に関する。更に詳しくは、本発明は、特定のジアミン化
合物とハロゲン化銅(I)からなる2成分錯体をシリカゲ
ルに担持してなる複合体に関する。本発明の新規な複合
体は、特定のジアミン化合物とハロゲン化銅(I)よりな
る2成分錯体をその溶媒に溶解して得られる溶液にシリ
カゲルを接触させるか、あるいは特定のジアミン化合物
をその溶媒に溶解して得られた溶液にシリカゲルを接触
させて該ジアミン化合物をシリカゲルに吸着させ、得ら
れる該ジアミン化合物とシリカゲルとの複合体を、ハロ
ゲン化銅(I)をその溶媒に溶解して得られた溶液に接触
させて反応させることによって製造することができる。
本発明はまた、この新規な複合体からなるオレフィン吸
着剤にも関し、このオレフィン吸着剤を用いて、オレフ
ィンを含む混合気体よりオレフィンを吸着分離すること
ができるのみならず、オレフィンを吸着した複合体より
オレフィンを脱着することにより、オレフィン濃度の高
い混合気体を得ることができる。
【0002】
【従来の技術】エチレンやプロピレンなどのオレフィン
は、化学工業における重要な基礎物質であり、天然ガ
ス、製油所ガス、および石油留分などの飽和炭化水素の
熱分解によって製造される。また、流動接触分解装置か
ら副生するオフガスや各種プロセスのパージガスにも相
当量のオレフィンが含まれる場合がある。しかしなが
ら、これらの場合、オレフィンは、窒素、酸素、メタ
ン、エタン、二酸化炭素、および水素などとの混合気体
として得られる。この混合気体には通常1000〜20
000ppmの水が含まれている。したがって、オレフ
ィンを化学工業原料として用いるためには、混合気体よ
りこれらを分離することが必要である。混合気体より、
オレフィンを分離する方法としては深冷分離法がある。
これは、混合ガスを冷却液化し、低温で分留する方法で
あるが、複雑な冷凍、熱回収システムが必要であり、高
級材料を使用するため装置が高価であり、また、動力消
費が大きいなどの難点がある。さらに、混合ガス中に水
および二酸化炭素が含まれていると、不純物としての水
や二酸化炭素も冷却されて固化し、低温管システム内で
の閉塞事故が起きるので、前処理システムで水および二
酸化炭素を1ppm以下に除去しておくことが必要であ
るなどの困難な問題がある。特開昭62−201622
号明細書によれば、或るジアミン化合物、ハロゲン化銅
(I)、および水酸基、シアノ基、あるいはアミノ基を有
する有機溶媒から構成される液状吸収剤は、混合ガス中
からエチレンなどのオレフィンを分離する機能を有する
ことが記載されている。しかし、吸収した気体を放出さ
せるため、90oCに昇温しているので、放出気体中に
溶媒蒸気が多量に混入する。このため、溶媒蒸気を除去
する必要があるという短所を有している。また、液状吸
収剤は、圧力スイング法(「圧力スイング吸着技術集
成」(工業技術会編)1〜128頁参照)による気体分
離が行えないという短所も有している。さらに、このよ
うな液状吸着剤は、十分なオレフィン吸着能を示さな
い、という短所も有している。特開昭63−22911
8号明細書によれば、塩化銅(I)と塩化アルミニウムと
から得られる錯体を、アルミナに担持させた吸着剤は、
混合ガス中からエチレンを分離する機能を有することが
記載されている。しかし、塩化銅(I)と塩化アルミニウ
ムとから得られる錯体が混合ガス中の水と反応して失活
するとともに、塩化水素を発生するため、吸着剤床の前
後に除湿剤床および脱塩化水素塔を設置する必要がある
という短所を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の方
法では、液状のため、圧力スイング法が行えないこと、
ならびに、除湿処理、脱塩化水素処理および脱溶媒処理
などの特殊な処理を必要とするなど、オレフィン分離処
理の方法が複雑であるという欠点があった。また、この
ような液状吸着剤では、十分なオレフィン吸着能は達成
できない、という欠点もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下にあっ
て、本発明者らは、上記した従来技術に伴う困難な問題
がなく、且つ、高いオレフィン吸着能を有するオレフィ
ン吸着剤を得るために鋭意研究を行なった。そこで、特
定のジアミン化合物およびハロゲン化銅(I)よりなる2
成分錯体を、多孔性のシリカゲルに担持させてなる複合
体を得ることに成功し、この複合体が意外にも、従来の
液状吸着剤と比較して、著しく高いオレフィン吸脱着能
を示すことを見出し、本発明を完成した。すなわち、本
発明の1つの基本的な態様によれば、式1
【化1】(ここで、nは2または3であり、nが2の場
合にはR1、R2、R3、R4のうち少なくとも2個が、ま
たnが3の場合にはR1、R2、R3、R4のうち少なくと
も1個が炭素数1〜4のアルキル基であり、残りは水素
である。)で表わされる化合物およびハロゲン化銅(I)
よりなる2成分錯体をシリカゲルに担持してなる複合体
が提供される。本発明の複合体は、上記式1で示される
化合物とハロゲン化銅(I)とを、水酸基、シアノ基、あ
るいはアミド基を有する溶媒またはハロゲン化炭化水素
溶媒中で撹拌することにより得られる、式1で示される
化合物とハロゲン化銅(I)よりなる2成分錯体の溶液
に、シリカゲルを浸漬した後、溶媒を除去することによ
り製造することができる。また、本発明の複合体は、式
1で示される化合物を、水酸基、シアノ基、あるいはア
ミド基を有する溶媒またはハロゲン化炭素溶媒中で撹拌
することにより得られた溶液に溶液にシリカゲルを接触
させて式1で示される化合物をシリカゲルに吸着させ、
得られる式1で示される化合物とシリカゲルとの複合体
を、ハロゲン化銅(I)をその溶媒に溶解して得られた溶
液に接触させて反応させることによっても製造すること
ができる。明細書に述べる、上記式1で示されるジアミ
ン化合物とは、例えば、N,N,N’−トリメチルエチ
レンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジア
ミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジア
ミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N,
N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパ
ン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンおよ
びN−メチル−1,3−ジアミノプロパンなどである。
本発明におけるハロゲン化銅(I)とは、例えば塩化銅
(I)、臭化銅(I)などである。本発明における、水酸基、
シアノ基、あるいはアミド基を有する溶媒とは、例え
ば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、プロピ
オニトリル、ベンゾニトリル、N,N−ジメチルホルム
アミド、エチレングリコールなどである。また、ハロゲ
ン化炭素溶媒としては、塩化メチレンが特に好ましい。
本発明における、オレフィンとは、エチレン、プロピレ
ンなどの常温で気体状のオレフィン系炭化水素である。
本発明の複合体における、上記式1で表されるジアミン
化合物とハロゲン化銅(I)とのモル比は0.2〜5.
0、好ましくは0.5〜1.5である。シリカゲルとし
ては、天然品および合成品が用いられるが、合成品が好
ましく、その内キセロゲル(Xerogel)型のもの
が適当である。キセロゲル型のうち、破砕粒シリカゲル
および球状シリカゲルが用いられる。比表面積50〜8
00m2/g、平均細孔径2〜70nm、粒度3〜50
mesh(tyler)のものが用いられる。耐水性の
あるシリカゲルが好ましく用いられる。本発明の複合体
の製造法の一つの方法においては、上記式1で示される
化合物とハロゲン化銅(I)よりなる2成分錯体をその溶
媒に溶解して得られる溶液にシリカゲルを接触させるこ
とにより、(式1で示される化合物−ハロゲン化銅
(I))2成分錯体−シリカゲル複合体を調製するが、以
下、その方法について述べる。以下のすべての操作は、
窒素のような不活性ガス雰囲気下で行なう。まず、ハロ
ゲン化銅(I)の溶液(20〜2000mmol/l、淡
黄色)を調製する。ここで用いられる溶媒として、アセ
トニトリル、メタノール、エタノール、プロピオニトリ
ル、ベンゾニトリル、N,N,−ジメチルホルムアミ
ド、エチレングリコールなどが用いられる。この溶液に
前記式1で示される化合をハロゲン化銅(I)の0.2〜
5.0倍モル加え、0〜90oCで30分〜5時間撹拌
または振とうする。この際、淡黄色のハロゲン化銅(I)
溶液は無色透明もしくは薄青色、薄緑色、橙色、紫色あ
るいは黄色に変色し、(式1で示される化合物−ハロゲ
ン化銅(I))2成分錯体が生成していることがわかる。
この2成分錯体溶液を溶液の重量に対して1〜100重
量%の無色ないし白色不透明のシリカゲルに加え、0〜
90oCで1〜24時間振とうまたは撹拌する。その
後、減圧して溶媒を除去し、0〜90oCで減圧乾燥し
て、無色もしくは均一に薄青色、橙色、紫色あるいは薄
黄色に着色した(式1で示される化合物−ハロゲン化銅
(I))2成分錯体−シリカゲル複合体を得ることができ
る。本発明の複合体の製造法の他の方法においては、前
記の式1で示される化合物をその溶媒に溶解して得られ
た溶液にシリカゲルを接触させて式1で示される化合物
をシリカゲルに吸着させ、得られる式1で示される化合
物とシリカゲルとの複合体を、ハロゲン化銅(I)をその
溶媒に溶解して得られた溶液に接触させて反応させるこ
とにより、(式1で示される化合物−ハロゲン化銅
(I))2成分錯体−シリカゲル複合体を調製するが、以
下、その方法について述べる。以下のすべての操作は、
窒素のような不活性ガス雰囲気下で行なう。まず、式1
で示される化合物の溶液(4〜5000mmol/l、
無色透明)を調製する。ここで用いられる溶媒として、
アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロピオニ
トリル、ベンゾニトリル、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、エチレングリコールなどが用いられる。この溶液を
溶液の重量に対して1〜100重量%の無色ないし白色
不透明のシリカゲルに加え、0〜90oCで1〜24時
間振とうまたは撹拌する。その後、減圧して溶媒を除去
し、0〜90oCで減圧乾燥して、無色透明の式1で示
される化合物−シリカゲル複合体を得る。一方、ハロゲ
ン化銅(I)の溶液(20〜1000mmol/l、淡黄
色)を調製する。ここで用いられる溶媒として、アセト
ニトリル、メタノール、エタノール、プロピオニオトリ
ル、ベンゾニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、
エチレングリコールなどが用いられる。前記の式1で示
される化合物−シリカゲル複合体に該ハロゲン化銅(I)
溶液を、ハロゲン化銅(I)に対して式1で示される化合
物が0.2〜5.0倍モルになるように加え、ハロゲン
化銅(I)の溶液に式1で示される化合物−シリカゲル複
合体を浸漬させて、0〜90oCで1〜24時間振とう
または撹拌する。この際、無色透明の式1で示される化
合物−シリカゲル複合体は薄青色、薄緑色、橙色、紫色
あるいは黄色に変色し、(式1で示される化合物−ハロ
ゲン化銅(I))2成分錯体が生成していることがわか
る。その後、減圧して溶媒を除去し、0〜90oCで減
圧乾燥して、無色もしくは均一に薄青色(上記の薄青色
及び薄緑色のものは、両者とも薄青色になる)、橙色、
紫色、薄黄色に着色した(式1で示される化合物−ハロ
ゲン化銅(I))2成分錯体−シリカゲル複合体を得るこ
とができる。上記のようにして得られる(式1で示され
る化合物−ハロゲン化銅(I))2成分錯体−シリカゲル
複合体について、(式1で示される化合物−ハロゲン化
銅(I))2成分錯体の担持量の測定は、以下のような硝
酸抽出−チオシアン酸銅(I)法に従って行われる。すな
わち、複合体を濃硝酸に浸漬し、濃硝酸でシリカゲルに
担持している(式1で示される化合物−ハロゲン化銅
(I))2成分錯体を抽出する。得られる抽出物に熱を加
えて乾固させた後、希塩酸で溶解し、水を加えて150
〜300mlとした。酒石酸5gを加えた後、アンモニ
ア水で僅かにアルカリ性とし、次に硫酸(1+1)を滴
下して中和させ、さらにその約10mlを過剰に加え
る。溶液に亜硫酸ナトリウムを加え銅(I)に還元し、加
温後、亜硫酸ナトリウムを加えた10%チオシアン酸カ
リウム水溶液を、チオシアン酸銅(I)の沈澱が生じなく
なるまで加える。しばらく温めた後、放冷して沈澱を沈
降させ、あらかじめ重量を測ってある濾紙(セルロース
系メンブランフィルター)を用いて濾過し、1%硝酸ア
ンモニウム溶液10mlで10回、20%エタノール1
0mlで6回洗浄し、105oCで1時間乾燥し、チオ
シアン酸銅(I)として秤量する。本発明による(式1で
示される化合物−ハロゲン化銅(I))2成分錯体−シリ
カゲル複合体において、該2成分錯体の担持量は、シリ
カゲル1g当たり0.2〜10mmolである。この該
(式1で示される化合物−ハロゲン化銅(I))2成分錯
体−シリカゲル複合体は、オレフィンを含む混合ガスと
接触させると、薄青色もしくは橙色、紫色、薄黄色、無
色から緑色もしくは薄緑色に変色する。したがって該シ
リカゲル担持(式1で示される化合物−ハロゲン化銅
(I))2成分錯体にオレフィンが配位し、吸着されたこ
とがわかる。すなわち本発明の(式1で示される化合物
−ハロゲン化銅(I))2成分錯体をシリカゲルに担持し
てなる複合体は、優れたオレフィン吸着能を有し、オレ
フィン吸着剤として有用である。具体的な利用方法とし
ては、本発明のオレフィン吸着剤に、オレフィンを含む
混合気体を接触させてオレフィンを該吸着剤に吸着させ
ることにより、オレフィン含有気体からオレフィンを分
離することができる。また、本発明のオレフィン吸着剤
にオレフィン含有気体を接触させ、その後、オレフィン
を吸着含有する緑色もしくは薄緑色の吸着剤を所定雰囲
気下での40oC以上での加熱処理、減圧雰囲気への暴
露処理および貧オレフィン雰囲気への暴露処理から選ば
れる少なくとも1つの処理にかけると、吸着したオレフ
ィンを脱着する。この方法により該処理雰囲気のオレフ
ィン濃度を高めることができる。上記の所定雰囲気は、
特に限定はされないが、その例としては、窒素、少量の
オレフィンを含有する窒素、またはその他の貧オレフィ
ン雰囲気を挙げることができる。
【0005】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0006】実施例1 塩化銅(I)は東京化成工業株式会社製の特級試薬を濃塩
酸−水系で再沈精製し、エタノール、次いでエーテルで
洗浄後、60oCで12時間、真空乾燥して使用した。
N,N,N’−トリメチルエチレンジアミンは、東京化
成工業株式会社製の特級試薬を水素化カルシウム(東京
化成工業株式会社製;特級)で脱水処理をした後、減圧
蒸留して使用した。アセトニトリルは、東京化成工業株
式会社製の特級試薬をモレキュラーシーブ4Aを用いて
脱水処理をした後、常圧蒸留して使用した。シリカゲル
は富士シリシア化学株式会社製CARiACT−Q10
(平均細孔径10nm、比表面積300m2/g、粒度
5〜10mesh、無色透明)を1N−塩酸に一昼夜浸
漬した後、上澄み溶液が中性になるまで蒸留水で置換
し、150oC、0.1mmHgで12時間真空乾燥処
理したものを、更に使用直前に150oC、0.1mm
Hgで6時間真空乾燥処理して用いた。エチレンは住友
精化株式会社製のボンベガスを、使用直前にモレキュラ
ーシーブ3Aの充填塔を通して乾燥精製したものを使用
した。また窒素は日本酸素株式会社製純窒素ボンベガス
をそのまま使用した。50mlの一口ナスフラスコ内を
窒素置換した後、ここに0.99g(10.0mmo
l)の塩化銅(I)を入れ、アセトニトリル20mlを加
えて溶解し、淡黄色の溶液とした後、1.4ml(1
1.0mmol)のN,N,N’−トリメチルエチレン
ジアミン(無色)を加え、磁気撹拌器を用いて1時間撹
拌すると微青色の溶液となった。この色の変化により、
N,N,N’−トリメチルエチレンジアミンと塩化銅
(I)(I)の2成分錯体が生成したことが明らかである。シ
リカゲル10.0gにこのN,N,N’−トリメチルエ
チレンジアミンと塩化銅(I)の2成分錯体の溶液を加え
る。これを30oCで1時間振とうした後、フラスコ内
の圧力を減じ、溶媒を除去する。その後、70oC、
0.1mmHgで3時間真空乾燥し、均一に薄青色に着
色したN,N,N’−トリメチルエチレンジアミン−塩
化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を得た。得られた複合
体について、前記した硝酸抽出−チオシアン酸銅(I)法
により、シリカゲルに含有担持されているN,N,N’
−トリメチルエチレンジアミン−塩化銅(I)錯体の担持
量を測定した。その結果、複合体1.0gあたり該銅
(I)錯体を0.84mmol含有担持していることがわ
かった。上記のようにして得た複合体11.9gを50
ml一口ナスフラスコに入れ、0.1mmHgまで圧力
を減じ、1気圧の純エチレン503.0mlを入れた容
器と二方活栓(標準#15、プラグの孔径3mm)を有
する内径12mmの硝子管で連結し、該二方活栓を開く
ことにより、エチレンをフラスコ中に拡散させ、30o
Cでエチレンを吸着させた。エチレンの吸着量はガスビ
ュレット法により測定した。本実施例により得られた複
合体によるエチレンの吸着は迅速で、1分で5.15m
mol、5分で5.86mmol、10分で6.13m
mol、20分で6.27mmol、30分で6.30
mmolのエチレンを吸着し、平衡吸着量に達した。複
合体1.0gあたり30分で0.53mmolのエチレ
ンを吸着したことになる。このエチレンを吸着した複合
体12.1gを入れた50ml一口ナスフラスコを、3
oCで30分間、0.1mmHgまで圧力を減じたと
ころ、エチレンを迅速に脱着した。このようにしてエチ
レンを脱着した複合体に、上記したのと同様な方法で再
びエチレンを吸着させると、同じ量のエチレンを吸着し
た。以後、この吸脱着の操作を繰り返しても、エチレン
吸着速度および吸着量には、ほとんど変化は見られなか
った。また、このエチレンを吸着した複合体12.1g
の温度を70oCに昇温したところ、エチレンを迅速に
脱着し、5分で2.87mmol、10分で3.29m
mol、15分で3.32mmolのエチレンを脱着し
て平衡に達し、再び吸着剤温度を30oCに戻して、エ
チレンを吸着させると、脱着した量と同じ量のエチレン
を吸着した。以後、この吸脱着の操作を繰り返しても、
エチレン吸着速度および吸着量にはほとんど変化は見ら
れなかった。本実施例で得た複合体11.9gを用い
て、上記と同じ方法でエタン(日本酸素株式会社製、純
エタンボンベガス)の吸着量を測定した。この複合体に
よるエタンの吸着は遅く、30分で0.90mmolの
エタンを吸着した。従って、この複合体はエチレンをエ
タンの7.0倍吸着し、エタンを含むガス混合物からエ
チレンを分離する機能を有することがわかった。
【0007】実施例2 シリカゲルを2.5g用いる以外は実施例1と同じ方法
で複合体の調製を行った。その結果、実施例1よりも濃
い青色に着色した、N,N,N’−トリメチルエチレン
ジアミン−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合体が得られ
た。前記した硝酸抽出−チオシアン酸銅(I)法により、
シリカゲルに含有担持されているN,N,N’−トリメ
チルエチレンジアミン−塩化銅(I)錯体の担持量を測定
した。その結果、複合体1.0gあたり該銅(I)錯体を
2.27mmol含有担持していることがわかった。上
記のようにして得た複合体4.4gを用いて、実施例1
と同じ方法でエチレンの吸着量を測定した。この複合体
によるエチレンの吸着は迅速で、1分で2.23mmo
l、5分で3.01mmol、10分で3.17mmo
l、15分で3.21mmolのエチレンを吸着し、平
衡吸着量に達した。複合体1.0gあたり15分で0.
73mmolのエチレンを吸着したことになる。本実施
例で得た複合体4.4gを用いて、実施例1と同じ方法
でエタンの吸着量を測定した。エタンの吸着は遅く、1
5分で0.16mmolのエタンを吸着した。したがっ
て、この複合体はエチレンをエタンの20.1倍吸着
し、エタンを含むガス混合物からエチレンを分離する機
能が大きいことがわかった。このように、シリカゲル量
あたりに担持させる2成分錯体の量を増やすことによっ
てエチレン吸着分離能を向上させることができることが
わかった。
【0008】実施例3 実施例1と同一の試薬を使用した。50mlの一口ナス
フラスコ内を窒素置換した後、アセトニトリル20ml
と1.4ml(11.0mmol)のN,N,N’−ト
リメチルエチレンジアミンを加え、磁気撹拌器を用いて
1時間撹拌して無色透明のN,N,N’−トリメチルエ
チレンジアミン溶液を調製した。シリカゲル10.0g
にN,N,N’−トリメチルエチレンジアミン溶液を加
える。これを、30oCで1時間振とうした後、フラス
コ内の圧力を減じ、溶媒を除去する。その後、70
oC、0.1mmHgで3時間真空乾燥し、無色透明の
N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン−シリカゲ
ル複合体を得た。次に別の50mlの一口ナスフラスコ
内を窒素置換した後、0.99g(10.0mmol)
の塩化銅(I)をアセトニトリル20mlに溶解した後、
磁気撹拌器を用いて3時間撹拌して淡黄色の塩化銅(I)
溶液を調製した。N,N,N’−トリメチルエチレンジ
アミン−シリカゲル複合体10.9gに塩化銅(I)溶液
を加える。無色透明であった複合体は、薄青色に変色し
た。この色の変化により、N,N,N’−トリメチルエ
チレンジアミンと塩化銅(I)の2成分錯体が生成したこ
とが明らかである。30oCで1時間振とうした後、フ
ラスコ内の圧力を減じ、溶媒を除去する。その後、70
oC、0.1mmHgで3時間真空乾燥し、均一に薄青
色に着色したN,N,N’−トリメチルエチレンジアミ
ン−塩化銅(I)2成分錯体−シリカゲル複合体を得た。
前記した硝酸抽出−チオシアン酸銅(I)法により、シリ
カゲルに含有担持されているN,N,N’−トリメチル
エチレンジアミン−塩化銅(I)錯体の担持量を測定し
た。その結果、複合体1.0gあたり該銅(I)錯体を
0.84mmol含有担持していることがわかった。本
実施例で得た複合体11.9gを用いて、実施例1と同
じ方法でエチレンの吸着量を測定した。この複合体によ
るエチレンの吸着は迅速で、1分で5.26mmol、
5分で6.01mmol、10分で6.23mmol、
20分で6.32mmol、30分で6.35mmol
のエチレンを吸着し、平衡吸着量に達した。複合体1.
0gあたり30分で0.53mmolのエチレンを吸着
したことになる。
【0009】実施例4 実施例1におけるN,N,N’−トリメチルエチレンジ
アミンの代りに、N,N,N’,N’−テトラメチルエ
チレンジアミンを使用して、N,N,N’,N’−テト
ラメチルエチレンジアミン−塩化銅(I)錯体−シリカゲ
ル複合体を得た。 シリカゲル10.0g、塩化銅(I)
10.0mmolおよびN,N,N’,N’−テトラメ
チルエチレンジアミン(東京化成工業株式会社製の特級
試薬)11.0mmolを用い、実施例1と同様な方法
で、均一に薄青色に着色したN,N,N’,N’−テト
ラメチルエチレンジアミン−塩化銅(I)錯体−シリカゲ
ル複合体を調製した。前記した硝酸抽出−チオシアン酸
銅(I)法により、シリカゲルに含有担持されているN,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン−塩化
銅(I)錯体の担持量を測定した。その結果、複合体1.
0gあたり該銅(I)錯体を0.83mmol含有担持し
ていることがわかった。上記のようにして得た複合体1
2.0gを用いて、実施例1と同じ方法でエチレンの吸
着量を測定した。複合体はエチレンを急速に吸着し、1
分で4.30mmol、5分で4.91mmol、10
分で5.14mmol、20分で5.24mmol、3
0分で5.28mmolのエチレンを吸着し、平衡吸着
量に達した。複合体1.0gあたり30分で0.44m
molのエチレンを吸着したことになる。
【0010】実施例5 実施例1におけるN,N,N’−トリメチルエチレンジ
アミンの代りに、N,N’−ジエチルエチレンジアミン
を使用して、N,N’−ジエチルエチレンジアミン−塩
化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を得た。シリカゲル1
0.0g、塩化銅(I)10.0mmolおよびN,N’
−ジエチルエチレンジアミン(東京化成工業株式会社製
の特級試薬)11.0mmolを用い、実施例1と同様
な方法で、均一に薄青色に着色したN,N’−ジエチル
エチレンジアミン−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合体
を調製した。前記した硝酸抽出−チオシアン酸銅(I)法
により、シリカゲルに含有担持されているN,N’−ジ
エチルエチレンジアミン−塩化銅(I)錯体の担持量を測
定した。その結果、複合体1.0gあたり該銅(I)錯体
を0.83mmol含有担持していることがわかった。
上記のようにして得た複合体12.0gを用いて、実施
例1と同じ方法でエチレンの吸着量を測定した。複合体
はエチレンを急速に吸着し、1分で5.34mmol、
5分で6.05mmol、10分で6.30mmol、
20分で6.41mmol、30分で6.42mmol
のエチレンを吸着し、平衡吸着量に達した。複合体1.
0gあたり30分で0.53mmolのエチレンを吸着
したことになる。
【0011】実施例6 実施例1におけるN,N,N’−トリメチルエチレンジ
アミンの代りに、N,N,N’−トリエチルエチレンジ
アミンを使用して、N,N,N’−トリエチルエチレン
ジアミン−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を得た。
シリカゲル10.0g、塩化銅(I)10.0mmolお
よびN,N,N’−トリエチルエチレンジアミン(東京
化成工業株式会社製の特級試薬)11.0mmolを用
い、実施例1と同様な方法で、均一に橙色に着色した
N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン−塩化銅
(I)錯体−シリカゲル複合体を調製した。前記した硝酸
抽出−チオシアン酸銅(I)法により、シリカゲルに含有
担持されているN,N,N’−トリエチルエチレンジア
ミン−塩化銅(I)錯体の担持量を測定した。その結果、
複合体1.0gあたり該銅(I)錯体を0.81mmol
含有担持していることがわかった。上記のようにして得
た複合体12.3gを用いて、実施例1と同じ方法でエ
チレンの吸着量を測定した。複合体はエチレンを急速に
吸着し、1分で3.74mmol、5分で4.22mm
ol、10分で4.39mmol、20分で4.58m
mol、30分で4.65mmolのエチレンを吸着
し、平衡吸着量に達した。複合体1.0gあたり30分
で0.38mmolのエチレンを吸着したことになる。
【0012】実施例7 実施例1におけるN,N,N’−トリメチルエチレンジ
アミンの代りに、N,N,N’,N’−テトラメチル−
1,3−ジアミノプロパンを使用して、N,N,N’,
N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン−塩化
銅(I)錯体−シリカゲル複合体を得た。シリカゲル1
0.0g、塩化銅(I)10.0mmolおよびN,N,
N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン
(東京化成工業株式会社製の特級試薬)11.0mmo
lを用い、実施例1と同様な方法で、均一に薄黄色に着
色したN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジ
アミノプロパン−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を
調製した。前記した硝酸抽出−チオシアン酸銅(I)法に
より、シリカゲルに含有担持されているN,N,N’,
N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン−塩化
銅(I)錯体の担持量を測定した。その結果、複合体1.
0gあたり該銅(I)錯体を0.83mmol含有担持し
ていることがわかった。上記のようにして得た複合体1
2.1gを用いて、実施例1と同じ方法でエチレンの吸
着量を測定した。複合体はエチレンを急速に吸着し、5
分で4.27mmol、10分で4.44mmol、2
0分で4.55mmol、30分で4.57mmolの
エチレンを吸着し、平衡吸着量に達した。複合体1.0
gあたり30分で0.38mmolのエチレンを吸着し
たことになる。
【0013】実施例8 実施例1におけるN,N,N’−トリメチルエチレンジ
アミンの代りに、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミ
ノプロパンを使用して、N,N’−ジメチル−1,3−
ジアミノプロパン−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合体
を得た。シリカゲル10.0g、塩化銅(I)10.0m
molおよびN,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプ
ロパン(Ardrich Inc.製の特級試薬)1
1.0mmolを用い、実施例1と同様な方法で、均一
に薄黄色に着色したN,N’−ジメチル−1,3−ジア
ミノプロパン−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を調
製した。前記した硝酸抽出−チオシアン酸銅(I)法によ
り、シリカゲルに含有担持されているN,N’−ジメチ
ル−1,3−ジアミノプロパン−塩化銅(I)錯体の担持
量を測定した。その結果、複合体1.0gあたり該銅
(I)錯体を0.84mmol含有担持していることがわ
かった。上記のようにして得た複合体11.9gを用い
て、実施例1と同じ方法でエチレンの吸着量を測定し
た。複合体はエチレンを急速に吸着し、5分で5.63
mmol、10分で5.82mmol、20分で5.9
4mmol、30分で5.98mmolのエチレンを吸
着し、平衡吸着量に達した。複合体1.0gあたり30
分で0.50mmolのエチレンを吸着したことにな
る。
【0014】実施例9 実施例1におけるN,N,N’−トリメチルエチレンジ
アミンの代りに、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノ
プロパンを使用して、N,N−ジメチル−1,3−ジア
ミノプロパン−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を得
た。シリカゲル10.0g、塩化銅(I)10.0mmo
lおよびN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン
(Ardrich Inc.製の特級試薬)11.0m
molを用い、実施例1と同様な方法で、均一に無色な
N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン−塩化銅
(I)錯体−シリカゲル複合体を調製した。前記した硝酸
抽出−チオシアン酸銅(I)法により、シリカゲルに含有
担持されているN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプ
ロパン−塩化銅(I)錯体の担持量を測定した。その結
果、複合体1.0gあたり該銅(I)錯体を0.84mm
ol含有担持していることがわかった。上記のようにし
て得た複合体11.9gを用いて、実施例1と同じ方法
でエチレンの吸着量を測定した。複合体はエチレンを急
速に吸着し、5分で3.80mmol、10分で4.0
1mmol、20分で4.07mmol、30分で4.
09mmolのエチレンを吸着し、平衡吸着量に達し
た。複合体1.0gあたり30分で0.34mmolの
エチレンを吸着したことになる。
【0015】実施例10 実施例1におけるN,N,N’−トリメチルエチレンジ
アミンの代りに、N−メチル−1,3−ジアミノプロパ
ンを使用して、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン
−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を得た。シリカゲ
ル10.0g、塩化銅(I)10.0mmolおよびN−
メチル−1,3−ジアミノプロパン(Ardrich
Inc.製の特級試薬)11.0mmolを用い、実施
例1と同様な方法で、均一に無色なN−メチル−1,3
−ジアミノプロパン−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合
体を調製した。前記した硝酸抽出−チオシアン酸銅(I)
法により、シリカゲルに含有担持されているN−メチル
−1,3−ジアミノプロパン−塩化銅(I)錯体の担持量
を測定した。その結果、複合体1.0gあたり該銅(I)
錯体を0.85mmol含有担持していることがわかっ
た。上記のようにして得た複合体11.8gを用いて、
実施例1と同じ方法でエチレンの吸着量を測定した。複
合体はエチレンを急速に吸着し、5分で4.74mmo
l、10分で4.99mmol、20分で5.07mm
ol、30分で5.11mmolのエチレンを吸着し、
平衡吸着量に達した。複合体1.0gあたり30分で
0.43mmolのエチレンを吸着したことになる。
【0016】実施例11 実施例1における塩化銅(I)の代りに、臭化銅(I)を使用
して、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン−臭
化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を得た。臭化銅(I)は東
京化成工業株式会社製の特級試薬を水で再沈精製し、氷
酢酸(東京化成工業株式会社製特級)で洗浄後、60o
Cで12時間、真空乾燥して使用した。その他の試薬は
実施例1と同一の試薬を使用した。50mlの一口ナス
フラスコ内を窒素置換した後、ここに1.43g(1
0.0mmol)の臭化銅(I)を入れアセトニトリル2
0mlに加え撹拌した後、1.4ml(11.0mmo
l)のN,N,N’−トリメチルエチレンジアミンを加
え、磁気撹拌器を用いて3時間撹拌して、微青色のN,
N,N’−トリメチルエチレンジアミンと臭化銅(I)と
の2成分錯体の溶液を調製する。シリカゲル10.0g
に、上記で得たN,N,N’−トリメチルエチレンジア
ミンと臭化銅(I)の2成分錯体の溶液を加える。これを
30oCで1時間振とうした後、フラスコ内の圧力を減
じ、溶媒を除去する。その後、70oC、0.1mmH
gで3時間真空乾燥し、均一に白色に着色したN,N,
N’−トリメチルエチレンジアミン錯体−臭化銅(I)−
シリカゲル複合体を調製した。前記した硝酸抽出−チオ
シアン酸銅(I)法により、シリカゲルに含有担持されて
いるN,N,N’−トリメチルエチレンジアミン−臭化
銅(I)錯体の担持量を測定した。その結果、複合体1.
0gあたり該銅(I)錯体を0.81mmol含有担持し
ていることがわかった。上記のようにして得た複合体1
2.3gを用いて、実施例1と同じ方法でエチレンの吸
着量を測定した。エチレンの吸着は迅速で、1分で3.
55mmol、5分で4.05mmol、10分で4.
25mmol、20分で4.34mmolのエチレンを
吸着し、平衡吸着量に達した。複合体1.0gあたり2
0分で0.35mmolのエチレンを吸着したことにな
る。
【0017】実施例12 実施例11におけるN,N,N’−トリメチルエチレン
ジアミンの代りに、N,N’−ジエチルエチレンジアミ
ンを使用して、N,N’−ジエチルエチレンジアミン−
臭化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を得た。シリカゲル
10.0g、臭化銅(I)10.0mmolおよびN,
N’−ジエチルエチレンジアミン11.0mmolを用
い、実施例1と同様な方法で、均一に橙色に着色した
N,N’−ジエチルエチレンジアミン−臭化銅(I)錯体
−シリカゲル複合体を調製した。前記した硝酸抽出−チ
オシアン酸銅(I)法により、シリカゲルに含有担持され
ているN,N’−ジエチルエチレンジアミン−臭化銅
(I)錯体の担持量を測定した。その結果、複合体1.0
gあたり該銅(I)錯体を0.80mmol含有担持して
いることがわかった。上記のようにして得た複合体1
2.5gを用いて、実施例1と同じ方法でエチレンの吸
着量を測定した。複合体はエチレンを急速に吸着し、5
分で5.35mmol、10分で5.68mmol、2
0分で5.83mmol、30分で5.88mmolの
エチレンを吸着し、平衡吸着量に達した。複合体1.0
gあたり30分で0.47mmolのエチレンを吸着し
たことになる。
【0018】実施例13 実施例1の方法でN,N,N’−トリメチルエチレンジ
アミン−塩化銅(I)錯体−シリカゲル複合体を調製し
た。この複合体11.9gを用いて、実施例1と同じ方
法でプロピレン(日本酸素株式会社製純プロピレンボン
ベガス)の吸着量を測定した。複合体はプロピレンを急
速に吸着し、5分で5.95mmol、10分で6.4
1mmol、20分で6.74mmol、30分で6.
90mmol、60分で7.14mmolのプロピレン
を吸着し、平衡吸着量に達した。複合体1.0gあたり
60分で0.60mmolのプロピレンを吸着したこと
になる。
【0019】
【発明の効果】上記したように、式1で示される化合物
およびハロゲン化銅(I)よりなる2成分錯体をシリカゲ
ルに担持してなる本発明の複合体は、優れたオレフィン
吸着能を有する。
【0020】上記し、更に実施例に示すとおり、本発明
によるオレフィン吸着剤を0〜40 oCで0.5〜5a
tmのオレフィン分率(オレフィンが占める容量%)が
1〜100%の混合気体またはオレフィンガスと接触せ
しめると、迅速にオレフィンを吸着する。吸着したオレ
フィンは、オレフィン吸着剤を40〜100oCの範囲
で昇温するか、0.1〜100mmHgの範囲で減圧す
るか、あるいはオレフィン分率を0〜40%の範囲に減
少せしめることにより容易に脱離放出させることができ
る。また、これらの条件を組み合わせることにより、オ
レフィン吸着剤に吸着したオレフィンは、前述よりもさ
らに穏やかな昇温、減圧およびオレフィン分圧条件下で
脱離放出させることが可能になり、雰囲気中のオレフィ
ン濃度はさらに高められる。又、本発明によるオレフィ
ン吸着剤は、固体であるため、取り扱いが容易で、充填
塔形式、充填カラム形式、および流動層形式などの装置
をオレフィン分離の装置として用いることができる。ま
た、オレフィン脱着時に溶媒蒸気の混入が起こらず、溶
媒蒸気を回収する付加的装置を必要としない。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式1で示される化合物およびハロゲン化
    銅(I)よりなる2成分錯体をシリカゲルに担持してなる
    複合体。 【化1】 ここで、nは2または3であり、nが2の場合には
    1、R2、R3、R4のうち少なくとも2個が、またnが
    3の場合にはR1、R2、R3、R4のうち少なくとも1個
    が炭素数1〜4のアルキル基であり、残りは水素であ
    る。
  2. 【請求項2】 該2成分錯体がシリカゲル1g当り0.
    2〜10mmol担持されてなる請求項1に記載の複合
    体。
  3. 【請求項3】 式1で示される化合物とハロゲン化銅
    (I)よりなる2成分錯体をその溶媒に溶解して得られた
    溶液にシリカゲルを接触させることを包含する、該錯体
    をシリカゲルに担持してなる複合体の製造法。 【化1】ここで、nは2または3であり、nが2の場合
    にはR1、R2、R3、R4のうち少なくとも2個が、また
    nが3の場合にはR1、R2、R3、R4のうち少なくとも
    1個が炭素数1〜4のアルキル基であり、残りは水素で
    ある。
  4. 【請求項4】 式1で示される化合物をその溶媒に溶解
    して得られた溶液にシリカゲルを接触させて式1で示さ
    れる化合物をシリカゲルに吸着させ、得られる式1で示
    される化合物とシリカゲルとの複合体を、ハロゲン化銅
    (I)をその溶媒に溶解して得られた溶液に接触させて反
    応させることを包含する、式1で示される化合物とハロ
    ゲン化銅(I)よりなる2成分錯体をシリカゲルに担持し
    てなる複合体の製造方法。 【化1】ここで、nは2または3であり、nが2の場合
    にはR1、R2、R3、R4のうち少なくとも2個が、また
    nが3の場合にはR1、R2、R3、R4のうち少なくとも
    1個が炭素数1〜4のアルキル基であり、残りは水素で
    ある。
  5. 【請求項5】 式1で示される化合物およびハロゲン化
    銅(I)よりなる2成分錯体を、シリカゲルに担持してな
    る複合体よりなることを特徴とするオレフィン吸着剤。 【化1】ここで、nは2または3であり、nが2の場合
    にはR1、R2、R3、R4のうち少なくとも2個が、また
    nが3の場合にはR1、R2、R3、R4のうち少なくとも
    1個が炭素数1〜4のアルキル基であり、残りは水素で
    ある。
  6. 【請求項6】 該2成分錯体がシリカゲル1g当り0.
    2〜10mmol担持されてなる請求項5に記載のオレ
    フィン吸着剤。
  7. 【請求項7】 請求項5または6のオレフィン吸着剤に
    オレフィンを含む混合気体を接触させて、オレフィンを
    該吸着剤に吸着させることを包含する、オレフィン含有
    気体からのオレフィンの分離方法。
  8. 【請求項8】 請求項5または6のオレフィン吸着剤に
    オレフィン含有混合気体を接触させ、その後、オレフィ
    ンを吸着含有する該吸着剤を所定雰囲気下での加熱処
    理、減圧雰囲気への暴露および貧オレフィン雰囲気への
    暴露処理から選ばれる少なくとも1つの処理にかけて吸
    着したオレフィンを脱着させて該処理雰囲気でのオレフ
    ィン濃度を高めることを包含する、雰囲気中のオレフィ
    ン濃度を高める方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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