JPH0824121A - 電磁誘導加熱式調理器の調理容器 - Google Patents

電磁誘導加熱式調理器の調理容器

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JPH0824121A
JPH0824121A JP16684394A JP16684394A JPH0824121A JP H0824121 A JPH0824121 A JP H0824121A JP 16684394 A JP16684394 A JP 16684394A JP 16684394 A JP16684394 A JP 16684394A JP H0824121 A JPH0824121 A JP H0824121A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 外観が良好であるとともに、耐腐食性が向上
し、さらに調理物等の異物が付着しにくく、付着しても
その異物を容易に除去することができる電磁誘導加熱式
調理器の調理容器を提供する。 【構成】 非磁性金属材料からなる容器本体25と磁性
金属材料からなる発熱層部材26との境界部30を外周
面に有する容器であって、この容器の内面の全体と外周
面の全体に、撥水性を有する樹脂によるコーティング層
32,33が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は電磁誘導加熱式調理器
に用いられる調理容器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、加熱手段として誘導コイルを用
い、この誘導コイルによる電磁誘導で調理容器を加熱し
て炊飯等の調理を行なう電磁誘導加熱式調理器が提供さ
れている。
【0003】このような電磁誘導加熱式調理器に用いら
れる調理容器は、非磁性金属材料からなる容器本体と、
この容器本体の外底面から側面下部に亘る部分に設けら
れた磁性金属材料からなる発熱層部材との複合構造に構
成されている。
【0004】そして誘導コイルにより磁性金属材料から
なる発熱層部材に渦電流を発生させ、この渦電流に基づ
く発熱層部材の発熱で容器本体を加熱してその内部の内
容物を調理するようになっている。
【0005】容器本体の材料としては、発熱層部材の熱
を調理容器の全体に効率よく伝導させるために熱伝導性
に優れるアルミニウム等が用いられ、また発熱層部材の
材料としては、フェライト系ステンレス等が用いられて
いる。
【0006】従来、このような構造の調理容器は、アル
ミニウム等の非磁性金属材料とフェライト系ステンレス
等の磁性金属材料とのクラッド材を用いる方法、あるい
はアルミニウム等の非磁性金属材料からなる容器本体の
外面に磁性金属材料を溶射する方法、さらにはアルミニ
ウム等の非磁性金属材料からなる容器本体の外面にフェ
ライト系ステンレス等の磁性金属材料を貼り付ける方法
等により製造されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような調理容器に
おいては、図4に示すように、非磁性金属材料からなる
容器本体Aと、この容器本体Aの外面に設けられた磁性
金属材料からなる発熱層部材Bとが調理容器の外周面の
同一面上で接し合う境界部Cが生じる。
【0008】ところが、調理容器の外周面に非磁性金属
材料と磁性金属材料との境界部Cが露出すると、調理容
器の視覚上の外観が悪くなり、またその境界部Cから水
分が浸透して耐腐食性が低下してしまう。さらに境界部
Cの部分では、調理物等の異物が付着して汚れやすく、
その汚れを除去しようとしても容易に除去することがで
きず、清掃性が悪くなる。
【0009】この発明はこのような点に着目してなされ
たもので、その目的とするところは、外観が良好である
とともに、耐腐食性が向上し、さらに調理物等の異物が
付着しにくく、付着してもその異物を容易に除去するこ
とができる電磁誘導加熱式調理器の調理容器を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明はこのような目
的を達成するために、第1の手段として、磁性金属材料
と非磁性金属材料との境界部を外周面に有する容器にお
ける内面の全体と、少なくとも外周面の全体とに、それ
ぞれ撥水性を有する樹脂によるコーティング層を設ける
ようにしたものである。
【0011】また第2の手段として、磁性金属材料と非
磁性金属材料との境界部を外周面に有し、その境界部に
は磁性金属材料の縁部の表面の上に非磁性金属材料の一
部がラップする凸部が形成されている容器の内面の全体
と、少なくとも外周面の全体とに、それぞれ撥水性を有
する樹脂によるコーティング層を設けるようにしたもの
である。
【0012】
【作用】このような調理容器においては、その外周面に
発熱層部材を構成する磁性金属材料と容器本体を構成す
る非磁性金属材料とが接する境界部が境界部が生じる
が、この調理容器の外周面の全体がコーティング層で覆
われており、このためその境界部が前記コーティング層
で覆い隠され、したがって調理容器の外周面の全体が統
一された色調となり、視覚上の外観が向上する。また前
記コーティング層により前記境界部への水の浸透が防止
され、耐腐食性が向上する。さらに前記コーティング層
により調理容器の外周面、特に前記境界部の部分での異
物の付着が防止され、異物が付着したとしてもその除去
が容易となる。
【0013】さらに、第2の手段においては、磁性金属
材料と非磁性金属材料とが同一平面上で接するのではな
く、磁性金属材料の縁部の表面に非磁性金属材料がラッ
プして凸部を形成した状態となっており、したがってそ
の境界部への水分の浸透をより確実に防止することがで
きる。
【0014】
【実施例】以下、この発明の一実施例について図1ない
し図3を参照して説明する。図1には、炊飯器として構
成された電磁誘導加熱式調理器を示してあり、符号1が
外枠で、この外枠1内に合成樹脂により有底筒状に形成
された内枠2が収納されている。この内枠2は上部外周
にフランジ3を一体的に有し、このフランジ3が外枠1
の上端の開口縁部に係止され、この係止により内枠2が
外枠1内に支持されている。
【0015】内枠2の外底面および外側面の下部にはそ
れぞれ誘導コイル4,5が取り付けられ、これら誘導コ
イル4,5がコイルカバー6で覆われている。内枠2の
底面の中央部には開口7が形成され、またコイルカバー
6の底面の中央部には鍋センサ8が取り付けられ、この
鍋センサ8が前記開口7を通して内枠2の内底部に突出
している。
【0016】内枠2の内部には、炊飯用の鍋としての調
理容器10が挿脱自在に収納されている。この調理容器
10の上端の開口縁部にはその外側に折曲するフランジ
11が一体に形成され、このフランジ11が内枠2の上
端の開口縁部に掛け止められ、これにより調理容器10
が内枠2内に支持されている。そしてこの調理容器10
の外面と内枠2の内面との間に所定の隙間が確保されて
いる。
【0017】外枠1の上面にはヒンジ(図示せず)を介
して蓋体12が回動自在に取り付けられ、この蓋体12
の下面に蓋パッキング13および内蓋14が取り付けら
れ、前記内蓋14により調理容器10の上端の開口部が
開閉されるようになっている。
【0018】内蓋13には調理容器10内の蒸気を流出
させる複数の小孔15…が形成され、また蓋体12にそ
の蒸気を外部に放出させる蒸気口16が設けられてい
る。さらに蓋体12にはこの蓋体12の下面を加熱する
蓋ヒータ17およびその下面の温度を検出する蓋センサ
18が設けられている。また内枠2の外周の中段部には
胴ヒータ19が設けられている。
【0019】外枠1の内底部には制御基板20が設けら
れ、この制御基板20に前記誘導コイル4,5に高周波
電流を供給するためのインバータ回路等が設けられてい
る。また外枠1の内底部にはモータ21で駆動される冷
却ファン22が設けられ、前記冷却ファン22に対向し
て外枠1の底面に吸気口23が形成され、さらに外枠1
の側面下部に排気口24が形成されている。
【0020】そして前記冷却ファン22の回転により外
枠1の外部の空気が吸気口23から外枠1内に吸入され
るとともに、この空気が前記制御基板20に向けて送風
され、この送風空気で制御基板20が冷却されるように
なっている。
【0021】調理容器10は、非磁性金属材料からなる
容器本体25と、この容器本体25の底面から側面下部
に亘る部分に設けられた磁性金属材料からなる発熱層部
材26とで構成されている。
【0022】そして磁性金属材料からなる発熱層部材2
6が内枠2に設けられた前記誘導コイル4,5に所定の
間隔をあけて対向し、また調理容器10の外底面の中央
部に前記鍋センサ8が接触し、この鍋センサ8により調
理容器10の温度が検出されるようになっている。
【0023】調理時においては、制御基板20のインバ
ータ回路により誘導コイル4,5に高周波電流が供給さ
れ、この高周波電流により誘導コイル4,5に交番磁界
が発生し、これに伴いその磁界中に配置する調理容器1
0の発熱層部材26に渦電流が流れ、この渦電流による
ジュール熱で発熱層部材26が発熱し、この熱が容器本
体25に伝導し、これにより調理容器10内の内容物、
つまり米と水が加熱される。
【0024】調理容器10の温度は鍋センサ8により逐
次検出され、この検出温度に応じて、予め設定された制
御シーケンスに従って調理容器10の加熱量が調整さ
れ、この調整で炊飯や保温が行なわれる。
【0025】調理容器10の容器本体25を構成する非
磁性金属材料は、熱伝導が良好で軽量な例えばアルミニ
ウムで、発熱層部材26を構成する磁性金属材料は例え
ばフェライト系ステンレス(SUS430)である。
【0026】発熱層部材26は皿形状をなし、上端の周
縁部には図2に示すように、その内側にほぼ直角に屈曲
する屈曲部27が形成され、また底面中央部にはその内
側に僅かに凹む凹部28が形成されている。そしてこの
発熱層部材26は、その外表面が調理容器10の外面に
露出するように容器本体25の外底面から側面下部に亘
る部分に埋め込まれて容器本体25に一体的に接合され
ている。そして前記凹部28の平面部分が鍋センサ8が
接触するセンサ接触部28aとなっている。
【0027】このように容器本体25の外面に発熱層部
材26が接合されることにより、発熱層部材26の上端
の周縁と容器本体25との間にその両者が接し合う境界
部30が生じるが、この境界部30の部分において、容
器本体25の外面に前記屈曲部27の反対側に突出して
発熱層部材26の縁部の上に僅かにラップする凸部31
が一体に形成されている。
【0028】調理容器10の内面の全域には、フッ素系
樹脂による撥水性を有するコーティング層32が設けら
れている。このコーティング層32は、例えば調理容器
10の内面をアルミナグリッド等のブラスト処理により
粗面化した後に、FEP樹脂をコーティングし、このコ
ーティング膜をエアオーブンで乾燥し、その後、前記コ
ーティング膜の上にPFA樹脂をコーティングし、この
コーティング膜を乾燥して仕上げる。
【0029】また、調理容器10の外面には、センサ当
接部28aを除いた全域にフッ素系樹脂を含む撥水性を
有するコーティング層33が設けられている。このこの
コーティング層33は、調理容器10の内面をアルミナ
グリッド等のブラスト処理により粗面化した後に、ポリ
エーテルサルフォン樹脂およびPTFE樹脂を主体にし
た塗料をコーティングし、このコーティング膜を乾燥し
て仕上げる。
【0030】調理容器10は、溶湯鍛造法により製造す
るものであり、次にこの溶湯鍛造法の工程について説明
する。この溶湯鍛造法においては、図3に示すように、
下型aと上型bとを用いる。下型aには、調理容器10
の外形に対応する形状の凹部cが形成され、また下型b
には調理容器10の内形に対応する形状の凸部dが形成
されている。
【0031】そしてまず、下型aの凹部cの内底部にフ
ェライト系ステンレス等の磁性金属材料に予めプレス加
工等を施して所定の形状に形成した発熱層部材26を配
置し、この発熱層部材26の上面に鉄の粉末を焼結ある
いは溶射して結合層26aを設ける。
【0032】この状態で、容器本体25の素材としての
溶融したアルミニウムを下型aの凹部c内に流し込む。
ついで、下型aの凹部c内に上型bの凸部dを所定の圧
力で押し込む。そして溶融状態のアルミニウムを固化さ
せる。
【0033】これにより容器本体25に発熱層部材26
が一体的に結合した調理容器10が完成する。発熱層部
材26の上端の周縁部にはその内側に屈曲する屈曲部2
7が設けてあり、このためこの屈曲部27が容器本体2
5の肉内に食い込んで発熱層部材26が容器本体25に
強固に結合する。こののち、この調理容器10の内面お
よび外面にコーティング層32,33を設ける。
【0034】このような調理容器10においては、その
外周面に発熱層部材26を構成する磁性金属材料と容器
本体25を構成する非磁性金属材料とが接する境界部3
0が生じているが、この調理容器10の外周面の全体が
コーティング層33で覆われており、このためその境界
部30が前記コーティング層33で覆い隠され、したが
って調理容器10の外周面の全体が統一された色調とな
り、視覚上の外観が向上する。
【0035】境界部30においては、発熱層部材26を
構成する磁性金属材料と容器本体25を構成する非磁性
金属材料とが同一面上で接するのではなく、磁性金属材
料の縁部の表面に非磁性金属材料がラップして凸部31
を形成する状態にあり、しかもこの境界部30の上には
撥水性を有するコーティング層33が設けられており、
したがってこの境界部30に水分が浸透するようなこと
がなく、このため耐腐食性が確実に向上する。
【0036】さらに、磁性金属材料の縁部の表面に非磁
性金属材料がラップして凸部31を形成した状態にあ
り、しかもこの上にはコーティング層33が設けられて
いるから、調理容器10の外面は勿論のこと、境界部3
0の部分においても調理物等の異物が付着しにくく、ま
た付着してもその異物を容易に除去することができる。
また調理容器10の内面においても、この内面に撥水性
を有するコーティング層32が設けられているから、異
物が付着しにくく、付着したとしてもその異物を容易に
除去することができる。そして前記コーティング層32
は撥水性と併せて非粘着性を有するから、調理容器10
の内面に対する内容物の粘着を防止することができる。
【0037】ところで、撥水性を有するフッ素系樹脂に
よるコーティング層33は、熱伝導性が悪く、またその
全体の膜厚にもバラツキが生じやすい。したがって鍋セ
ンサ8が当接するセンサ当接部28aにもコーティング
層33が設けられていると、鍋センサ8による検出温度
に誤差が生じ、その検出精度が悪化するが、本実施例に
おいては、センサ当接部28aにはコーティング層33
を設けないようにしてあり、したがって安定した高い精
度の温度検出を行なえ、調理容器10の温度がその内面
や外面のコーティング層32,33の耐熱温度(約350
℃)以上とならないように常に適正に管理することがで
きる。
【0038】センサ当接部28aにはコーティング層3
3が設けられていないが、このセンサ当接部28aは調
理容器10の外底面に形成された凹部28の平面部分に
位置しているものであり、したがって磁性金属材料の生
地が直接露出しても外観上目立つことがなく、また汚れ
にくい。
【0039】調理容器10を流し用のシンク内で水洗い
等を行なうような場合に、調理容器10がシンクと接触
しても、その外面のコーティング層33によりその接触
の抵抗が少なくなり、これによりコーティング層33の
剥離を防止して使用寿命を長くすることができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明の調理容器
によれば、外観が良好であるとともに、耐腐食性が向上
し、さらに調理物等の異物が付着しにくく、付着しても
その異物を容易に除去することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す電磁誘導加熱式調理
器の断面図。
【図2】その電磁誘導加熱式調理器の調理容器の一部を
拡大して示す断面図。
【図3】その調理容器の製造用の金型を示す断面図。
【図4】従来の調理容器の一部を示す断面図。
【符号の説明】
10…調理容器 25…非磁性金属材料からなる容器本体 26…非磁性金属材料からなる発熱層部材 30…境界部 31…凸部 32…コーティング層 33…コーティング層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性金属材料と非磁性金属材料との境界部
    を外周面に有する容器であって、この容器の内面の全体
    と、少なくとも外周面の全体とに、それぞれ撥水性を有
    する樹脂によるコーティング層を設けてあることを特徴
    とする電磁誘導加熱式調理器の調理容器。
  2. 【請求項2】磁性金属材料と非磁性金属材料との境界部
    を外周面に有し、その境界部には磁性金属材料の縁部の
    表面の上に非磁性金属材料の一部がラップする凸部が形
    成されている容器であって、この容器の内面の全体と、
    少なくとも外周面の全体とに、それぞれ撥水性を有する
    樹脂によるコーティング層を設けてあることを特徴とす
    る電磁誘導加熱式調理器の調理容器。
  3. 【請求項3】磁性金属材料はフェライト系ステンレスで
    あり、非磁性金属材料はアルミニウムであることを特徴
    とする請求項1または2に記載の電磁誘導加熱式調理器
    の調理容器。
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