JPH082400Y2 - 可動梯子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は主に作業者が立坑等よ
り地中の洞道内に出入りするために立坑に設ける等、そ
の他適宜の箇所に取り付けて可動部を突出自在とする可
動梯子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来地中ケーブル等を通した洞道内に作
業者が出入りするために立坑に昇降用の梯子が設けら
れ、この梯子によって洞道に降りている。しかしながら
この洞道は両側にケーブル受け金具が張出しており、作
業者がこの洞道内を通行する際はこれらのケーブル受け
金具の間を通行している。それ故上記昇降用の梯子が通
行の邪魔になり、これを不要時は取り外すよう移動梯子
を使用している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながらこの様に
洞道内でケーブル布設等の作業中、洞道に降りる梯子を
取り外しているため、他の作業者が立坑から降りてくる
場合、洞道内に降りることができない。従って他の箇所
の立坑を降りる等、迂回しなければならないものであっ
た。

【０００４】そこでこの考案はこれらの洞道内に降りる
可動梯子にも使用でき、また他の適宜の場所にも取り付
けて使用できるとともに、当該梯子の可動部が通行の妨
げとならないよう不要時には可動部を引上げ、使用時に
は上からも下からも可動部を容易に引き出すことができ
る可動梯子を提供することにより上記課題を解決しよう
とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１項の考案は、適
宜物に縦に支持される固定部梯子と可動部梯子とから成
る可動梯子であり、上記可動部梯子は上記固定部梯子に
重合自在かつ固定部梯子の下方に突出自在に支持されて
いる。この可動部梯子は固定部梯子の上部に設けたバラ
ンサーの繰り出しロープの下端につり下げられ、固定部
梯子の上部には可動部梯子のこれ以上の上昇を阻止する
ストッパーを設けている。またこのストッパーの下の固
定部梯子に、可動部梯子の上部に突設した突片を係止自
在な回動係止片を設け、この回動係止片は上記突片の下
からの押圧に対しては回動し、突片の上からの押圧に対
しては、可動部梯子の自重の荷重には回動せずこれを係
止し、それ以上の荷重に対しては回動する構成とした。

【０００６】また請求項２項の考案は適宜物に縦に支持
される固定部梯子と可動部梯子とから成る可動梯子であ
り、上記可動部梯子は上記固定部梯子に重合自在かつ固
定部梯子の下方に突出自在に支持されている。この可動
部梯子は固定部梯子の上部に設けたバランサーの繰り出
しロープの下端につり下げられ、固定部梯子の上部には
可動部梯子のこれ以上の上昇を阻止するストッパーを設
けている。またこのストッパーの下の固定部梯子に、可
動部梯子の上部に突設した突片を係止自在な回動係止片
が設けられ、この回動係止片に併設された回動支持片の
突出部が上記回動支持片の下に重なり回動係止片は回動
支持片に支持され、この回動支持片の自由端は固定部梯
子の上部に支持したスプリングバネで常時は略水平に支
持され、かつこの回動支持片が水平より上に回動しない
ストッパーが設けられ、上記スブリングバネは可動部梯
子の自重に対して回動支持片を回動しないよう付勢され
ている構成とした。

【０００７】

【作用】上記請求項１項の考案において、可動部梯子は
固定部梯子の上部に設けたバランサーによって吊り下げ
られているため、可動部梯子は小さな力で動く。従って
上方、下方へ容易に移動させることができる。また固定
部梯子の上部に可動部梯子の上部を持ち上げると、可動
部梯子に設けた突片が回動係止片を押して回動させ、突
片は回動係止片の上方にいく。しかしながら可動部梯子
の上部は固定部梯子の上部に設けたストッパーによりそ
の上昇を規制されているためこれ以上上がらない。

【０００８】この間に上記回動係止片はもとの位置に戻
り、可動部梯子が自重で落ちてくると、当該回動係止片
が可動部梯子の突片を係止する。従って可動部梯子は固
定部梯子に重なった状態で支持される。従ってこの状態
では可動部梯子はむやみに落ちてこない。さらにこの状
態から可動部梯子を下方に強く引っ張ると、可動部梯子
の自重以上の荷重がかかり、回動係止片は回動し、突片
の係止が解けて回動部梯子が下方に伸びる。

【０００９】また請求項２項の考案では固定部梯子の上
部に可動部梯子の上部を持ち上げると、可動部梯子に設
けた突片が回動係止片を押して回動させ、突片は回動係
止片の上方にいく。しかしながら可動部梯子の上部は固
定部梯子の上部に設けたストッパーによりその上昇を規
制されているためこれ以上上がらない。この間に上記回
動係止片はもとの位置に戻り、回動支持片の突出部の上
に重なり、当該回動支持片に支持される。そして可動部
梯子が自重で落ちてくると、当該回動係止片が可動部梯
子の突片を係止し、この回動係止片を回動支持片及びそ
の自由端のスプリングバネで支持しする。従って可動部
梯子は固定部梯子に重なった状態で支持される。従って
この状態では可動部梯子はむやみに落ちてこない。

【００１０】さらにこの状態から可動部梯子を下方に強
く引っ張ると、可動部梯子の自重以上の荷重がかかり、
上記スプリングバネの力に抗して回動支持片及び回動係
止片が下方に回動し、突片の係止が解けて回動部梯子が
下方に伸びる。またこれと同時にこの突片の係止が解け
た回動支持片の自由端はスプリングバネの力で引き上げ
られ、ストッパーの規制によって略水平位置に支持さ
れ、回動係止片も当該回動支持片の突出部に押されて略
水平となる。

【００１１】

【実施例】以下この考案の実施例を図について説明す
る。地中に設けた立坑１の下端に略水平に洞道２が設け
られ、これらの立坑１の内部と洞道２の内部とは通じて
いる。この立坑１の、洞道２の略天井の高さに床板３を
固定し、この床板３の脇にこの考案の可動梯子５を設け
ている。この可動梯子５は固定部梯子６と可動部梯子７
とから成り、固定部梯子６をその下端が略床板３の位置
となるように立坑１の内壁に縦に固定している。そして
可動部梯子７が固定部梯子６の下端から洞道２の床面近
くまでに垂下自在と成っている。

【００１２】上記固定部梯子６は二本の支持枠６ａの間
に間隔を開けて多数のステップ６ｂを渡している。また
上記可動部梯子７も二本の支持枠７ａの間に間隔を開け
て多数のステップ７ｂを渡している。そして可動部梯子
７はこの固定部梯子６の二本の支持枠６ａの内側に二本
の支持枠７ａを嵌め込み、摺動自在に支持されている。
これらの固定部梯子６の可動部梯子７の支持は、固定部
梯子６の各支持枠６ａの下端に回転自在に設けたローラ
８に可動部梯子７の各支持枠７ａが当たり、また可動部
梯子７の各支持枠７ａの上端に設けたガイド９が固定部
梯子６の各支持枠６ａを挾持することによりスムーズな
摺動を維持している。

【００１３】また固定部梯子６の上端部にはバランサー
１０を固定しており、このバランサー１０の繰りだしロ
ープ１１の下端を可動部梯子７の上端のステップ７ｂに
固定し、これにより可動部梯子７は上下摺動自在に吊り
下げられている。従って作業者が可動部梯子７を引き下
げたり、引き上げたりするには、極めて小さな荷重を掛
ければ移動する。

【００１４】このバランサー１０の下方の固定部梯子６
の各支持枠６ａの前面には水平なストッパー板１２が張
り出し、これらの各ストッパー板１２に可動部梯子７の
各支持枠７ａの上端の各ガイド９の上面に取り付けた各
突片１３が当たり、これ以上可動部梯子７は上に行かな
いよう規制されている。またこれらのストッパー板１２
は固定部梯子６の各支持枠６ａの側面に固定した各支持
板１４から直角に突出している。またこれらの各ストッ
パー板１２の下には上記各支持板１４から各支持枠６ａ
の前方に突出した各軸１５に一端を回動自在に支持され
た各回動係止片１６が設けられ、これらの各回動係止片
１６は上記各突片１３の先端を係止自在となっている。

【００１５】またこれらの各回動係止片１６の外側の各
軸１５に各回動支持片１７の一端を回動自在に支持し、
これらの各回動支持片１７の一側に設けた突出部１７ａ
が上記各回動係止片１６の下面に当接自在となってい
る。またこれらの各回動支持片１７の先端部には起立片
１７ｂを有し、この起立片１７ｂに、上記各支持枠６ａ
の上部に設けた各突板１８に一端を係止した各スプリン
グバネ１９の他端が係止されている。またこれらの各回
動支持片１７の外側の各軸１５に略水平な各固定板２０
の一端が固定されている。これらの各固定板２０の一側
の突部２０ａは上記各回動支持片１７の上縁を係止自在
である。

【００１６】そして各回動支持片１７は常時各スプリン
グバネ１９により上方への回動が付勢されているが、上
記各固定板２０の突部２０ａにこの上縁を係止されて略
水平位置までしか上がらない。またこれらの各回動支持
片１７は下方への一定値以上の荷重がかかると各スプリ
ングバネ１９の力に抗して下方に回動する。また上記各
回動係止片１６は上下に回動自在であるが、各回動支持
片１７が各スプリングバネ１９の力で水平位置を保持し
ている場合は各回動支持片１７の突出部１７ａが各回動
係止片１６の下面に来ているため下方に回動できない。
上方への回動はフリーである。なお上記可動部梯子７の
一方の支持枠７ａには手摺り２１が支持枠７ａに沿って
設けられている。

【００１７】この実施例において上記可動梯子７を持ち
上げて固定部梯子６に重合、係止させる場合、可動部梯
子７を上げていくとその上端の各突片１３が固定部梯子
６の略水平に突出した各回動係止片１６の先端にあたる
が、各回動係止片１６は上方への回動がフリーであるた
め、これらの各回動係止片１６のみを上方に回動させ
て、各ストッパー板１２まで上昇する。そしてこれらの
各突片１３の上方への通過後、各回動係止片１６は図７
に示すごとく、再び自重で落下し、各回動支持片１７の
突出部１７ａに支持され略水平となる。そして作業者が
可動部梯子７から手を離すと、可動部梯子７が自重でゆ
っくりと落下するが、可動部梯子７の両側の各突片１３
を各回動係止片１６の先端で、図６に示すごとく係止す
る。この様に上記各スプリングバネ１９は可動部梯子７
の自重の荷重に対しては伸びず、各回動支持片１７を略
水平に支持し、各回動係止片１６及び可動部梯子７を係
止する。従って可動部梯子７は固定部梯子６に重合した
状態で支持され、むやみに落下したりしない。

【００１８】またこの可動部梯子７を固定部梯子６から
引き出し、可動部梯子７を洞道２の床面に近接させる場
合は、作業者が可動部梯子６を下方に強く引っ張ると、
図８に示すごとく各突片１３に押されて各回動係止片１
６及び各回動支持片１７が各スプリングバネ１９の力に
抗して下方に回動し、各突片１３を通過させる。これに
より可動部梯子７は固定部梯子６の下方に引き出され
る。そして各突片１３の通過後、各スプリングバネ１９
の力により、各回動支持片１７及びこの各回動支持片１
７の突出部１７ａに押されて各回動係止片１６もこれと
一体に上方に回動し、各回動支持片１７が各固定板２０
の突部２０ａに当たって略水平位置で止まる。また各回
動係止片１６もこれらの各回動支持片１７の突出部１７
ａの上に重なって止まる。

【００１９】なお上記実施例に代えて可動部梯子の固定
部梯子への係止構造をストッパーの下の固定部梯子に、
可動部梯子の上部に突設した突片を係止自在な回動係止
片が設けられ、この回動係止片は上記突片の下からの押
圧に対しては回動し、突片の上からの押圧に対しては、
可動部梯子の自重の荷重には回動せずこれを係止し、そ
れ以上の荷重に対しては回動する構成としてもよい。

【００２０】

【考案の効果】請求項１項の考案は、可動部梯子は固定
部梯子の上部に設けたバランサーによって吊り下げられ
ているため、作業者が可動部梯子を固定部梯子の下方に
引き出したり、固定部梯子に重ねたりの作業が極めて簡
単にできる。また固定部梯子の上部に可動部梯子の上部
を持ち上げてストッパーに当たると、これ以上上がら
ず、そのやや下の回動係止片が可動部梯子の突片を係止
し、可動部梯子は固定部梯子に重なった状態で支持され
る。従ってこの状態では可動部梯子はむやみに落下せず
安全である。

【００２１】さらにこの状態から可動部梯子を下方に強
く引っ張ると、回動係止片への突片の係止が解けて回動
部梯子が下方に伸びる。この様に作業者は当該可動梯子
を上方からでも下方からでも移動させることができ、立
坑から洞道への昇降用梯子として使用した場合、不要の
際は可動部梯子を上げておき、洞道内の作業者の通行の
邪魔とならず、かつ洞道からも又立坑からも可動部梯子
を操作でき、極めて便利である。

【００２２】また請求項２項の考案は、上記請求項１項
の効果に加え、固定部梯子の上部に可動部梯子の上部を
持ち上げるとストッパーに当たり、これ以上上がらず、
そのやや下の回動係止片が可動部梯子の突片を係止し、
可動部梯子は固定部梯子に重なった状態で支持される。
上記回動係止片が可動部梯子の突片を係止した際、この
回動係止片を回動支持片及びその自由端のスプリングバ
ネが支持し、可動部梯子は固定部梯子に重なった状態で
支持される。従ってこの状態では可動部梯子はより確実
に支持され、むやみに落下せず安全である。

【００２３】さらにこの状態から可動部梯子を下方に強
く引っ張ると、上記スプリングバネの力に抗して回動支
持片及び回動係止片が下方に回動し、突片の係止が解け
て回動部梯子が下方に伸びる。またこれと同時にこの突
片の係止が解けた回動支持片の自由端はスプリングバネ
の力で引き上げられ、ストッパーの規制によって略水平
位置に支持され、回動係止片も当該回動支持片の突出部
に押されて略水平となり、下方からの再度の可動部梯子
の上昇による係止に自動的に備えるようになっている。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例の使用状態における可動部梯
子を縮めた状態を示す概略正面図である。

【図２】この考案の実施例の使用状態における可動部梯
子を伸ばした状態を示す概略正面図である。

【図３】この考案の実施例の使用状態における可動部梯
子を伸ばした状態を示す概略側面図である。

【図４】この考案の実施例の使用状態における固定部梯
子への可動部梯子の係止要部平面断面図である。

【図５】この考案の実施例の固定部梯子の係止部材の要
部平面図である。

【図６】この考案の実施例の使用状態における固定部梯
子への可動部梯子の係止状態を示す要部正面図である。

【図７】この考案の実施例の使用状態における固定部梯
子と可動部梯子との係止前の状態を示す要部正面図であ
る。

【図８】この考案の実施例の使用状態における固定部梯
子から可動部梯子の係止が解ける直前の状態を示す要部
正面図である。

【符号の説明】

１ 立坑 ２ 洞道 ３ グレーチング状床板 ５ 可動梯子 ６ 固定部梯子 ６ａ 支持枠 ６ｂ ステップ ７ 可動部梯
子 ７ａ 支持枠 ７ｂ ステップ １０ バランサー １２ ストッ
パー板 １３ 突片 １５ 軸 １６ 回動係止片 １７ 回動支
持片 １７ａ 突出部 １９ スプリン
グバネ ２０ 固定板

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 適宜物に縦に支持される固定部梯子と可
   動部梯子とから成り、可動部梯子は固定部梯子に重合自
   在かつ固定部梯子の下方に突出自在に支持され、この可
   動部梯子は固定部梯子の上部に設けたバランサーの繰り
   出しロープの下端につり下げられ、固定部梯子の上部に
   は可動部梯子のストッパーが設けられ、このストッパー
   の下の固定部梯子に、可動部梯子の上部に突設した突片
   を係止自在な回動係止片が設けられ、この回動係止片は
   上記突片の下からの押圧に対しては回動し、突片の上か
   らの押圧に対しては、可動部梯子の自重の荷重には回動
   せずこれを係止し、それ以上の荷重に対しては回動する
   構成となっていることを特徴とする、可動梯子。
2. 【請求項２】 適宜物に縦に支持される固定部梯子と可
   動部梯子とから成り、可動部梯子は固定部梯子に重合自
   在かつ固定部梯子の下方に突出自在に支持され、この可
   動部梯子は固定部梯子の上部に設けたバランサーの繰り
   出しロープの下端につり下げられ、固定部梯子の上部に
   は可動部梯子のストッパーが設けられ、このストッパー
   の下の固定部梯子に、可動部梯子の上部に突設した突片
   を係止自在な回動係止片が設けられ、この回動係止片に
   併設された回動支持片の突出部が上記回動支持片の下に
   重なり回動係止片が回動支持片に支持され、この回動支
   持片の自由端が固定部梯子の上部に支持したスプリング
   バネで常時は略水平に支持され、かつこの回動支持片が
   水平より上に回動しないストッパーが設けられ、上記ス
   ブリングバネは可動部梯子の自重に対して回動支持片を
   回動しないよう付勢されていることを特徴とする、可動
   梯子。