JPH08238704A - 多層積層体 - Google Patents

多層積層体

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JPH08238704A
JPH08238704A JP4580295A JP4580295A JPH08238704A JP H08238704 A JPH08238704 A JP H08238704A JP 4580295 A JP4580295 A JP 4580295A JP 4580295 A JP4580295 A JP 4580295A JP H08238704 A JPH08238704 A JP H08238704A
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JP
Japan
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ethylene
multilayer laminate
copolymer
layer
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Application number
JP4580295A
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English (en)
Inventor
Hirotaka Takoshi
宏孝 田越
Sakuyoshi Nakagami
策好 中上
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車、車両、船舶等の内装用材料等として
好適な耐熱性に優れ、且つクッション性等の触感にも優
れた多層積層体を提供する。 【構成】 ショアA硬度が55〜96である熱可塑性エ
ラストマーからなる表皮層(A)と、(a)エチレンと
少なくともラジカル重合性酸無水物を共重合したエチレ
ン系共重合体 100重量部に対して(b)有機系熱分
解型発泡剤 0.1〜40重量部からなる混合物を発泡
させて得られた発泡層(B)との少なくとも2層からな
る多層積層体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車、車両、
船舶等の内装用材料として好適に用いられる多層積層体
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車、車両、船舶等の床、壁、
天井等の内装材やドア、椅子、ソファー等の表皮材料と
しては、一般にポリ塩化ビニルが最上層に用いられてお
り、これにポリウレタンあるいはポリプロピレン系架橋
発泡層および必要に応じて基板材で順次裏打ちされた積
層体が用いられている。近年、環境問題への関心が高ま
り、燃焼処理時に毒性ガスを生じない材料や再利用の容
易な材料への代替が進んでいる。このような流れの中で
従来使用されてきた塩化ビニル系材料を非塩素系材料で
あるポリオレフィン系材料に代替しようとする検討が鋭
意進められており、例えば、ポリオレフィン系樹脂と部
分架橋α−オレフィン系共重合体ゴムのブレンド物(特
開昭55−71739号公報,特開昭58−12900
6号公報,特開平1−292065号公報等)及びポリ
オレフィン系樹脂と非架橋α−オレフィン系共重合体ゴ
ムのブレンド物(特開昭54−22453号公報,特開
昭54−48846号公報,特開昭62−81443号
公報等)等が開発されている。
【0003】一方、表皮材料にクッション性を持たせる
ためにバッキング材料として使用されている発泡材料と
しては、実質的に各種の要求性能を満たすものとして、
ほぼ発泡ウレタンもしくは架橋発泡ポリプロピレンの2
種類に限られているのが実状である。特に再利用性の要
求が高まってきている現在においては、架橋発泡ポリプ
ロピレンが唯一のポリオレフィン系発泡材料となってお
り例えば特開昭56−34732号公報や特開昭62−
34930号公報に開示された発泡体等、積極的な開
発、改良が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、架橋発
泡ポリプロピレン材料は樹脂組成及び発泡剤の選択は勿
論樹脂の架橋方法、発泡条件等極めて高度な技術が要求
される上に、電子線照射装置、連続加熱発泡炉等特殊な
設備も必要とされるといった問題があった。また、現在
発泡層に使用されている発泡ウレタンや架橋発泡ポリプ
ロピレンは、他材料との接着性に劣るため、接着剤を使
用する必要があり、熱成形プレスなどの熱溶着ができな
いという問題があった。本発明は、かかる状況に鑑みて
なされたものであり、耐熱性、柔軟性が良好であり、か
つ比較的容易に発泡成形する事が可能で、接着性に優れ
たポリオレフィン系発泡体を使用した多層積層体を提供
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決のため種々検討し、下記構成による多層積層体を
発明するに至った。即ち、本発明はショアA硬度が55
〜96である熱可塑性エラストマーからなる表皮層
(A)と、(a)エチレンと少なくともラジカル重合性
酸無水物を共重合したエチレン系共重合体 100重量
部に対して(b)有機系熱分解型発泡剤0.1〜40重
量部からなる混合物を発泡させて得られた発泡層(B)
との少なくとも2層からなる多層積層体を提供するもの
である。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
多層積層体を構成する表皮層(A)は、ショアA硬度が
55〜96である熱可塑性エラストマーである。ショア
A硬度は60〜95が好ましく、特に65〜90が好適
である。ショアA硬度が55未満では樹脂が柔軟になり
すぎ、ベタツキ感が出たり、耐傷つき性が低下するため
に好ましくなく、一方96を超えると樹脂が硬くなりす
ぎて触感を損ねるために好ましくない。なお、ショアA
硬度はASTM D2240に準拠して測定した値であ
る。本発明に用いる熱可塑性エラストマーとしては、1
70℃で測定した際の剪断速度101 sec-1における
スリットダイ法による溶融粘度η1 と剪断速度102
ec-1におけるスリットダイ法による溶融粘度η2 の比
(η1 /η2 )が3.5〜8、とりわけ4.5〜7であ
るものが好ましい。なお、スリットダイ法とは、温度1
70℃において幅20mm、高さ1.5mm、長さ60
mmのスリットダイを用いて溶融粘度を測定する方法で
ある。この方法については、C. D. Han, Rheology in P
olymer Processing, Academic, NewYork, (1976) 或い
は J. L. White, Principles of Polymer Engineering
Rheology, John Wiley, New York, (1990) に詳しい記
載がある。具体的には、市販のスリットダイを有する粘
度計(東洋精機製作所製ラボプラストミルD20−20
型)を用いて測定することができる。
【0007】本発明の表皮層(A)に好ましく用いられ
る熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリプロピ
レンブロックと、プロピレンとエチレン及び/叉は炭素
数4〜12のα−オレフィンとの共重合体ブロックから
なるプロピレン−α−オレフィン共重合体(以下「PP
共重合体」という)を挙げることができる。ここで用い
られるα−オレフィンとしては、1−ブテン、3−メチ
ル1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル
−1−ペンテン、4−ジメチル−1−ペンテン、ビニル
シクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ
る。これらのα−オレフィンは1種でもよく、2種以上
を混合して用いてもよい。このようなPP共重合体は、
後に述べる発泡層と直接接着させる場合においてより強
い接着強度を得ることが可能になる。
【0008】さらに、上記PP共重合体において、プロ
ピレンとエチレン及び/叉は炭素数4〜12のα−オレ
フィンとの共重合体からなる共重合体ブロックがPP共
重合体全体に占める割合は、一般に35〜75重量%が
好ましく、さらに38〜70重量%が好ましく、とりわ
け40〜65重量%が好適である。
【0009】本発明に好ましく用いられるPP共重合体
としては、さらに下記(a)および(b)の特性を有す
るものが好ましい。すなわち、(a)温度25℃におけ
るパラキシレン不溶分が25〜65重量%の範囲にある
こと、および(b)温度25℃におけるパラキシレンに
可溶分は、(i)2サイトモデルによる平均のプロピレ
ンに由来する単位の含量(FP)が35〜80重量%、
(ii)2サイトモデルにおいてプロピレンを優先的に重
合する活性点で生成する共重合体(PH )のプロピレン
に由来する単位の含量(PP)が65〜95重量%およ
び(iii) PH がパラキシレン可溶分中に占める割合
(Pf1)が、0.60〜0.90の範囲である。 (a)パラキシレン不溶分とは、PP共重合体を温度1
30℃でパラキシレンに約1重量%溶解した後、25℃
まで冷却したときの不溶分であり、本発明のPP共重合
体中のパラキシレン不溶分は25〜65重量%が好まし
く、特に30〜60重量%が好適である。
【0010】また、(b)パラキシレン可溶分は上記操
作により溶解した成分であり、2サイトモデルにより求
められる性状が前記範囲にあることが好ましい。PP
びPH を求める方法としては、まずPP共重合体の温度
25℃でのパラキシレンに可溶した成分を、1,2,4
−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に
ポリマー濃度が10重量%となるように温度120℃で
加温して溶解する。この溶液を10mmφガラス製試料
管に入れ、13C−NMRスペクトルを測定することによ
り求められる。
【0011】2サイトモデルは、重合反応機構を仮定す
るモデルであり、H. N. CHENG, Jounal of Applied Pol
ymer Sience, Vol.35, 1639-1650(1988) に記載があ
る。すなわち、触媒を用いてプロピレンとエチレンを共
重合するモデルにおいて、プロピレンを優先的に重合す
る活性点で生成する共重合体(PH )のプロピレン含量
(PP )とエチレンを優先的に重合する活性点で生成す
る共重合体のプロピレン含量(P’P )の2つを仮定
し、さらにPH の共重合体全体に占める割合(Pf1)を
パラメータとすると表1に示す確率方程式が得られる。
【0012】
【表1】
【0013】得られた13C−NMRスペクトルの各ピー
クの相対強度比と、表1に示す確率方程式から求められ
る強度比が一致するようにPP 、P’P およびPf1の3
個のパラメータを最適化することにより求められる。
尚、13C−NMRスペクトルの各ピークの帰属は C. J.
Carman, et al, Macromolecules, Vol.10, 536-544(19
77) に記載がある。
【0014】本発明のPP共重合体におけるパラキシレ
ン可溶分の(i)平均プロピレン含量(FP)は、上記
3個のパラメーターを用いて次式(1)で求められる。 FP=PP ×Pf1+P’P ×(1−Pf1) (1) 上記式(1)で求められるFPは35〜80重量%が好
ましく、特に40〜70重量%が好適である。また、
(ii)PP は65〜95重量%が好ましく、特に70〜
90重量%が好適である。さらに、(iii) Pf1は0.
50〜0.90が好ましく、特に0.55〜0.85が
好適である。
【0015】PP共重合体の重合は、ヘキサン、ヘプタ
ン、灯油などの不活性炭化水素またはプロピレンなどの
液化α−オレフィン溶媒の存在下で行うスラリー法、無
溶媒下の気相重合法などにより、温度条件としては室温
〜130℃、好ましくは50〜90℃、圧力2〜50K
g/cm2 の条件で行われる。重合工程における反応器
は、当該技術分野で通常用いられる物が適宜使用でき、
例えば撹拌槽型反応器、流動床型反応器、循環式反応器
を用いて連続式、反回分式、回分式のいずれかの方法で
も良い。具体的には、公知の多段重合法を用いて得られ
る。すなわち、第1段の反応器でプロピレン及び/また
はプロピレン−α−オレフィン共重合体を重合した後、
第2段の反応でプロピレンとα−オレフィンとの共重合
を行う方法であり、例えば、特開平3−97747号公
報、特開平3ー205439号公報、特開平4−153
203号公報、特開平5−93024号公報、特開平4
−261423号公報などに記載されている。本発明に
用いるPP共重合体は、JIS K7210に準拠し、
表1、条件14である温度230℃、荷重2.16Kg
のメルトフローレート(以下「MFR」という)が通常
0.05〜50g/10分であり、好ましくは0.1〜
10g/10分、さらに好ましくは0.5〜5g/10
分である。
【0016】さらに、本発明の表皮層(A)に用いられ
る他の熱可塑性エラストマーとしては、例えばポリオレ
フィンとエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの部分
架橋物との混合物を挙げることができる。具体的には次
のようなものが例示できる。 1)エチレンまたはプロピレンの単独重合体または少量
の他のコモノマーとの共重合体で代表される各種ポリオ
レフィン樹脂、及びエチレンと炭素数3〜14のα−オ
レフィンとの2元共重合体ゴム、またはこれに各種ポリ
エン化合物を更に共重合させた3元共重合体ゴムである
エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの部分架橋物の
混合物からなる、熱可塑性樹脂組成物。 2)ポリオレフィン樹脂とエチレン・α−オレフィン系
共重合体ゴムとの組成物を、動的に熱処理して得られた
熱可塑性樹脂組成物。 3)ポリオレフィン樹脂とエチレン・α−オレフィン系
共重合体ゴムとの組成物を、動的に熱処理して得られた
物に、さらにポリオレフィンをブレンドして得られた熱
可塑性樹脂組成物。 4)エチレンまたはプロピレンの単独重合体、またはこ
れらと少量のコモノマーとの共重合体で代表される各種
ペルオキシド非架橋型ポリオレフィン樹脂とエチレン・
α−オレフィン系共重合体ゴムとの組成物を、動的に熱
処理して得られる熱可塑性組成物、等を挙げる事ができ
る。
【0017】ポリオレフィン系樹脂とエチレン・α−オ
レフィン系共重合体ゴムの部分架橋物とは、80/20
〜20/80の重量比、好ましくは70/30〜30/
70の重量比となるように混合して用いられる。ポリオ
レフィン系樹脂としては、シートの成形し易さ、シート
の耐傷付き性等の点からポリエチレンが用いられる。特
に低密度ポリエチレンとポリプロピレンとを10/90
〜70/30の重量比で混合して用いることが好まし
い。また、部分架橋されるエチレン・α−オレフィン系
共重合体ゴムとしては、主として強度面から、エチレン
とα−オレフィンとが50/50〜90/10のモル
比、好ましくは70/30〜85/15のモル比で、ま
たムーニー粘度ML1+ 4 (121℃)が約20以上、更
には約40〜80のものが好ましい。エチレン・α−オ
レフィン系共重合体ゴムの部分架橋は、一般に原料樹脂
100重量部に対し0.1〜2重量部のペルオキシドを
用いて、動的に熱処理して行われる。
【0018】以上に例示した表皮層(A)に用いられる
熱可塑性エラストマーには、必要に応じてポリイソブチ
レン、ブチルゴムなどによって代表されるペルオキシド
非架橋型炭化水素ゴム状物質及び/またはゴム用軟化剤
を混合した物が用いられる。ゴム用軟化剤は、通常ゴム
をロール加工する際に、ゴムの分子間力を弱め、加工を
容易にすると共に、カーボンブラック、ホワイトカーボ
ン等の分散を促し、または加硫ゴムの硬さを低下せしめ
て、柔軟性、ゴム弾性を増す目的で使用されている石油
留分で、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等に区別
されている。好適には、パラフィン系のプロセスオイル
が用いられる。
【0019】また、本発明に用いる熱可塑性エラストマ
ーには、フタル酸エステル系可塑剤やシリコーンオイル
を加えて用いることもできる。ここで用いられるフタル
酸エステル系可塑剤とは、塩化ビニル樹脂の可塑剤とし
て一般に使用されているものが挙げられる。フタル酸エ
ステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、
フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ
ブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ2−エチルヘ
キシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジn−オク
チル、フタル酸ジノリル、フタル酸ジイソデシル、フタ
ル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル
酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸
メチルオレイル等を例示することができる。これらの中
でも、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸
ジイソブチルを用いることが推奨される。また、ここで
用いられるシリコーンオイルとは、Si基を含有するオ
イルであり、作動油、離型剤、消泡剤、塗料添加剤、化
粧品添加剤として利用されているものが挙げられる。シ
リコーンオイルの具体例としては、ジメチルポリシロキ
サン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフ
ェニルポリシロキサンやアルキル変性シリコーン、アミ
ノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキ
シル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、クロ
ロアルキル変性シリコーン、アルキル高級アルコール変
性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテ
ル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等を例示する
ことができる。これらの中でも、ジメチルポリシロキサ
ン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェ
ニルポリシロキサンを用いることが推奨される。
【0020】以上に述べた、ゴム用軟化剤、フタル酸エ
ステル系可塑剤或いはシリコーンオイルは、PP共重合
体に対し、60重量%を越えない範囲、好ましくは30
重量%以下の範囲、さらに好ましくは20重量%以下の
範囲で加えることができる。
【0021】本発明の表皮層(A)に用いられる熱可塑
性エラストマーには、該材料の特長を損なわない範囲で
他の添加剤、配合剤、充填剤を使用する事が可能であ
る。これらを具体的に示せば、ガラス、カーボンブラッ
ク、酸化亜鉛、クレー、タルク、重質炭酸カルシウム、
カオリン、けいそう土、シリカ、アルミナ、アスベス
ト、グラファイト等の無機充填剤の他、有機充填剤、酸
化防止剤(耐熱安定剤)、紫外線吸収剤(光安定剤)、
帯電防止剤、、難燃剤、滑剤(スリップ剤、アンチブロ
ッキング剤)、補強剤、着色剤(染料、顔料)、発泡
剤、香料等が挙げられる。
【0022】本発明の発泡層(B)に用いられるエチレ
ン系共重合体(a)は、エチレンと少なくともラジカル
重合性酸無水物を構成モノマーとして含む共重合体であ
る。ここで用いられるラジカル重合性酸無水物とは、分
子中にラジカル重合可能な不飽和結合と酸無水物基を各
々1個以上有し、重合によって酸無水物基を分子中に導
入できるような化合物を言う。酸無水物基は環状のもの
が好ましい。このような化合物としては、例えば、無水
マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水
エンディック酸、ドデセニル無水コハク酸,1−ブテン
−3,4−ジカルボン酸無水物,炭素数が多くとも18
である末端に二重結合を有するアルカジエニル無水コハ
ク酸等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種類
以上を組み合わせて用いても差し支えない。これらのな
かでは、無水マレイン酸、無水イタコン酸が好適に用い
られる。
【0023】本発明に用いるエチレン系共重合体として
は、エチレンとラジカル重合性酸無水物の他に、エチレ
ンと共重合可能なその他のラジカル重合性化合物を第3
モノマーとして共重合した多元共重合体を用いることも
できる。該第3モノマーとしては、例えば、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
ベンジル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル等の
不飽和カルボン酸アルキルエステル、酢酸ビニルエステ
ル,プロピオン酸ビニルエステル等のビニルエステル、
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリル
アミド,N,N−ジメチルメタクリルアミド等の不飽和
アミド化合物、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマ
ル酸等の不飽和カルボン酸、メチルビニルエーテル、エ
チルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチル
ビニルエーテル等のエチレン系不飽和エーテル化合物、
スチレン、α−メチルスチレン、ノルボルネン、ブタジ
エン等のエチレン系不飽和炭化水素化合物、(メタ)ア
クリル酸ジメチルアミノエチルエステル等の3級アミノ
基含有エチレン系不飽和化合物の他(メタ)アクリロニ
トリル、アクロレイン、クロトンアルデヒド、トリメト
キシビニルシラン、(メタ)アクリル酸トリメトキシシ
リルプロピルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等を
挙げることができる。これらのコモノマーは、単独であ
るいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0024】エチレン系共重合体中のラジカル重合性酸
無水物に由来する単位の割合は、0.1〜20重量%が
好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量%であ
り、特に好ましいのは1.0〜5重量%である。また、
エチレン系共重合体中に含まれる第3モノマーに由来す
る単位の割合は、多くとも30重量%以下、好ましくは
25重量%以下である。以上のエチレン系共重合体の製
造方法としては、ラジカル溶液重合等種々の方法を用い
ることが可能であるが、一般的には通常の高圧法低密度
ポリエチレンの製造設備及びその技術を利用して製造さ
れる。
【0025】エチレン系共重合体に添加して用いられ
る、有機系熱分解型発泡剤(b)は110〜250℃の
範囲で分解し気体を発生するものであって、前記のエチ
レン系共重合体の結晶融点より高い分解温度を有するも
のである。とりわけ分解温度が120℃以上のものが好
ましく、特に130℃以上のものが好適に用いられる。
このような有機系熱分解型発泡剤としては、具体的に
は、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン,ア
ゾビスイソブチロニトリル,アゾジカルボンアミド,パ
ラトルエンスルホニルヒドラジド,4,4’−オキシビ
スベンゼンスルホニルヒドラジド,ヒドラジン等の化合
物或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0026】これらの有機系熱分解型発泡剤は、さらに
発泡助剤を併用することによって、一層発泡効果を上げ
ることができる。この発泡助剤は、使用する発泡剤の種
類により異なるために、一概に規定することはできない
が、例えば、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用い
る場合には、発泡助剤としては、酸化亜鉛、硫酸鉛、尿
素、ステアリン酸亜鉛等が用いられる。また、発泡剤が
ジニトロソペンタメチレンテトラミンの場合には、発泡
助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ホウ酸、尿素樹
脂等が用いられる。発泡剤の使用量は、エチレン系共重
合体100重量部に対して、0.1〜40重量部であ
り、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1
〜15重量部である。
【0027】前記エチレン系共重合体に、例示した有機
系熱分解型発泡剤を添加して加熱発泡させて得られる発
泡体は、発泡成形の時点で架橋構造を形成する。架橋構
造を形成する機構は明かではないが、有機系熱分解型発
泡剤の分解生成物もしくは分解中間体がエチレン系共重
合体に含まれる酸無水物基と反応することによって生ず
るものと推測している。このようにして発泡層に架橋構
造が導入されることにより、本発明の積層体は高い耐熱
性を保持することが可能となる。
【0028】架橋構造をより効率的に導入させるため
に、エチレン系共重合体(a)及び有機系熱分解型発泡
剤(b)に、更に分子内に酸無水物基と反応し得る官能
基を2個以上有する反応性化合物(c)を加えて用いる
ことができる。反応性化合物に含まれる官能基としては
例えば、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネ−
ト基等が上げられる。好ましくは水酸基、アミノ基、エ
ポキシ基である。中でも好ましいのは水酸基である。反
応性化合物中の官能基の種類は、同じであっても異なっ
ていても良い。
【0029】分子内に2個以上の水酸基を有する多価ア
ルコ−ル化合物及びその誘導体としては、例えば、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール等のグリコール類;1,4ブタンジオール、
1,6ヘキサンジオール、1,8オクタンジオール、
1,10デカンジオール、トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタ
エリスリトール等のアルコール化合物;アルビトール、
ソルビトール、ソルビタン、キシロース、アラミノー
ス、グルコース、ガラクトース、ソルボース、フルクト
ース、パラチノース、マルトトリオース、マレジトース
等の糖類;エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、ポ
リビニルアルコール、水酸基を複数有するポリオレフィ
ン系オリゴマー、エチレン−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート[(メタ)アクリレートは、メタクリレー
トおよびアクリレ−トを意味する。以下、同様]共重合
体等の分子内に水酸基を複数有する重合体などが挙げら
れる。
【0030】また、前記多価アルコール化合物として
は、一般式(2)または(3) (R)a C(CH2 OH)b (2) (式中、Rは水素、炭素原子数1〜12個の鎖状或いは
環状アルキル基叉はアラルキル基を表し、aは0〜2の
整数を表し、bは2〜4の整数を表し、且つa+b=4
を満足するように選択される。) HO−CH2 CH( OH) CH2-O- [CH2 CH( OH) CH2-O]n-H (3) (式中、nは0〜10の整数である。)で示される多価
アルコール化合物にエチレンオキシドまたはプロピレン
オキシドを付加させた構造を有するポリオキシアルキレ
ン化合物及び一般式(4) R’−COOH (4) (式中、R’は炭素原子数2〜25個の鎖状叉は環状の
アルキル基叉はアラルキル基を表す。)で示される有機
カルボン酸化合物と、前記一般式(3)で示されるポリ
グリセリンとを脱水縮合して得られる、分子内に2個以
上の水酸基を有するポリグリセリンエステルを用いるこ
ともできる。
【0031】これらのポリオキシアルキレン化合物とし
ては、具体的には例えば、1, 3- ジヒドロキシプロパ
ン、2,2-ジメチル-1, 3-ジヒドロキシプロパン、トリメ
チロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,1,
1-トリメチロールヘキサン、1,1,1-トリメチロールドデ
カン、2-シクロヘキシル-2- メチロール-1,3- ジヒドロ
キシプロパン、2-(p- メチルフェニル)-2-メチロール-
1,3- ジヒドロキシプロパン、ペンタエリスリトール、
グリセリン、ジグリセリン、ヘキサグリセリン、オクタ
グリセリン、デカグリセリン等にエチレンオキシドもし
くはプロピレンオキシドを付加反応させたものが挙げら
れる。
【0032】また、前記のようなポリグリセリンエステ
ルとしては、具体的には例えば、グリセリンモノステア
レート、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノラ
ウレート、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモ
ノヘキサノエート、グリセリンモノフェネチルエステ
ル、グリセリンモノプロピオネート、ジグリセリンモノ
ステアレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセ
リンモノオレエート、ジグリセリンモノヘキサノエー
ト、ジグリセリンジオクタノエート、テトラグリセリン
モノステアレート、テトラグリセリントリステアレー
ト、テトラグリセリンテトラステアレート、テトラグリ
セリントリヘキサノエート、テトラグリセリンモノフェ
ネチルエステル、ヘキサグリセリンモノステアレート、
ヘキサグリセリンジステアレート、ヘキサグリセリンペ
ンタステアレート、ヘキサグリセリントリオレエート、
ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンペ
ンタラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デ
カグリセリンオクタステアレート、デカグリセリンペン
タオレエート、デカグリセリンジラウレート、ペンタデ
カグリセリンジステアレート、ペンタデカグリセリンデ
カオレエート、オクタデカグリセリンテトラステアレー
ト等が挙げられる。
【0033】さらに、前記多価アルコール化合物として
は、ソルビタンあるいは分子内に2個以上の水酸基を有
するソルビタン誘導体と、一般式(4)で表される有機
カルボン酸化合物とを脱水縮合して得られるソルビタン
アルキルエステルを用いることもできる。ソルビタンア
ルキルエステルとしては、具体的には、例えば、ソルビ
タンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソ
ルビタンモノラウレート、ソルビタンモノカプリレー
ト、ソルビタンモノヘキサノエート、ソルビタンモノフ
ェネチルエステル、ソルビタンモノプロピオネート、ソ
ルビタントリステアレート、ソルビタンテトラステアレ
ート等が挙げられる。これらのうち好ましいものは価数
(1分子内の水酸基の数)が3〜7のものである。
【0034】分子内にアミノ基を複数有する化合物とし
ては、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノ
ブタン、1,2−ジメチル−1,3−プロパンアミン、
ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタ
ジアミン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、2,
5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、ジアミノノ
ナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、ジエチレン
トリアミン、N−(アミノエチル)−1,3−メチルジ
プロパンジアミン、3,3´−ジアミノ−N−メチルジ
プロピルアミン、3,3´−イミノビスプロピルアミ
ン、トリエチレンテトラミン、トリス(2−アミノエチ
ル)アミン、テトラエチレンペンタミン、1,4−ジア
ミノシクロヘキサン、ポリエチレンイミン、4,4’−
ジアミノジフェニルメタン、1,4−ジアミノシクロヘ
キサンなどがあげられる。
【0035】あるいは、アミノ基と水酸基の両方を有す
る化合物も用いられる。例えばエタノールアミン2−ヒ
ドロキシエチルヒドラジン、3−アミノ−1−プロパノ
ール、DL−2−アミノ−1−プロパノール、DL−1
−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノ
ール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−
ペンタノール、DL−2−アミノ−1−ペンタノール、
6−アミノ−1−ヘキサノール、2−(2−アミノエト
キシ)エタノールなどが用いられる。
【0036】分子内にエポキシ基を複数有する化合物と
しては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリ
スリトールポリグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグ
リシジルエーテル、ジグリシジルビスフェノールAおよ
びその水添物、フタル酸ジグリシジルエステル、トリメ
チロールプロパントリグリシジルエーテル、ブタンジオ
ールジグリシジルエーテル、エポキシ化大豆油、エポキ
シ化アマニ油、シクロヘキサンジメタノールジグリシジ
ルエーテル、ヘキサントリオールグリシジルエーテル、
脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、臭素化
エポキシ樹脂、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン
樹脂、多官能性エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、臭
素化ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビフェニール型エポキシ樹脂、ポリ
グリシジルアミン型エポキシ樹脂、エステル型エポシキ
樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フ
ェノールノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることがで
きる。
【0037】分子内にイソシアナート基を複数有する化
合物としては、例えばエチレンジイソシアナート、ジイ
ソシアナートブタン、ジイソシアナートヘキサン、ジイ
ソシアナートドデカン、ジイソシアナート−2−メチル
ペンタン、m−フェニレンジイソシアナート、p−フェ
ニレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシア
ナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,5−
ナフチレンジイソシアナート、4´,4´,4´´−ト
リフェニルメタントリイソシアナート、4,4´ジフェ
ニルメタントリイソシアナート、3,3´−ジメチル−
4,4´−ジフェニレンジイソシアナート、m−キシリ
レン−ジイソシアナート、p−キシリレン−ジイソシア
ナート、イソホロンジイソシアナート等が挙げられる。
これら反応性化合物(c)の化合物の融点は、300℃
以下である事が好ましい。また、これらの化合物は2種
類以上同時に併用しても差し支えない。
【0038】本発明に関わる反応性化合物(c)の使用
量は、エチレン系共重合体(a)中に含まれるラジカル
重合性酸無水物に由来する単位に対し、反応性化合物
(c)中の官能基のモル比が0.01〜10であること
が望ましい。さらに望ましくは0.1〜7、更に好まし
くは0.2〜5である。以上に述べた発泡層(B)に用
いられる樹脂組成物には、架橋反応促進剤として例え
ば、酢酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,ラウリ
ン酸カルシウム等の有機カルボン酸の金属塩、アイオノ
マー等のカルボン酸の金属塩構造を有する重合体の他、
三級アミンや四級アンモニウム塩等を添加して使用する
ことができる。
【0039】上記のような、エチレン系共重合体(a)
及び有機系熱分解型発泡剤(b)からなる組成物、もし
くはエチレン系共重合体(a)、有機系熱分解型発泡剤
(b)及び反応性化合物(c)からなる発泡性組成物
は、電子線照射装置等の特別な装置を用いることなく比
較的容易に架橋構造を導入することが可能でありまた、
発泡方法についても特段に加熱発泡炉等の装置を必要と
するものではない。また、本発明に用いる発泡性樹脂組
成物は、他の材料に対して良好な接着性を示す。最も特
長的なのは、発泡性樹脂組成物を加熱して発泡させる際
に同時に他の材料、例えば前記の熱可塑性エラストマー
はもちろん後に述べる種々の基板材等と積層させること
が可能なことである。
【0040】本発明の多層積層体は、表皮層(A)の厚
さが0.1〜2mmが好ましく、さらに好ましくは0.
2〜1.5mm、特に好ましくは、0.3〜1mmであ
る。また、発泡層(B)の厚さは1〜10mmが好まし
く、さらに好ましくは1〜8mm、特に好ましくは2〜
8mmである。また、発泡倍率は1.5〜50倍が好ま
しく、さらに好ましくは2〜40倍、特に好ましくは2
〜30倍である。
【0041】本発明の多層積層体は、さらに基板材を積
層し、順次表皮層、発泡層及び基板材層からなる多層積
層体として用いることができる。ここで用いられる基板
材の具体例としては、ポリプロピレン系樹脂、ABS樹
脂、レジンフェルト、ガラス繊維入りフェノール樹脂
板、段ボール、ポリプロピレンハニカム、ポリスチレン
フォーム、ガラス繊維強化ポリプロピレン、合板あるい
はこれらに不織布を貼合した材料等が挙げられる。中で
もポリプロピレン系樹脂からなる基板材は、多層積層体
をリサイクル使用を考える場合にも好適に用いることが
できる。
【0042】
【実施例】以下、参考例、実施例及び比較例によって本
発明を具体的に説明するが、むろん本発明はこれらによ
って限定されるものではない。。各物性の測定方法及び
多層積層体の評価方法を以下に記す。 (1)スリットダイによる溶融粘度比(η1 /η2 )の
測定 幅20mm、高さ1.5mm、長さ60mmのスリット
ダイを有する(株)東洋精機製作所製ラボプラストミル
D20−20型を用い、温度170℃で剪断速度101
における溶融粘度η1 と剪断速度102 における溶融粘
度η2 を測定した。 (2)パラキシレン不溶分および可溶分の測定 温度130℃でポリマーを濃度約1重量%になるように
パラキシレンにいったん溶解し、その後温度25℃まで
冷却し、析出したものをパラキシレン不溶分とし、析出
しないものをパラキシレン可溶分とし、その重量割合を
求めた。パラキシレン可溶分は、次の13C−NMRスペ
クトルの測定に用いた。
【0043】 (3)13C−NMRスペクトルの測定 測定機 :日本電子(株)製 JNM−GSX400 測定モード :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μs パルス繰返時間:5.0μs 積算回数 :20000回 溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの 混合溶媒(75/25容量%) 内部標準 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃ (4)耐熱シボ流れ性の評価 シボの流れ性は、表皮にシボ加工した多層積層体を10
0℃で24時間ギアオーブン中で加熱し、この加熱試験
前後における平均シボ深度を表面粗さ計で測定しその変
化率で評価した。変化率の小さいものほどシボ流れに対
する抵抗性が高く、逆に変化率が大きく特に20%を越
えるものはシボ流れ性が劣ると判断した。 (5)耐熱寸法変化 10cm×10cmの大きさで一定厚みの多層積層体シ
ートを、120℃で1時間ギヤオーブン中で加熱した
後、多層積層体シートの厚み及び面積を測定しその体積
変化率を測定した。 (6)触感及びクッション性 多層積層体の触感は、現在使用されている自動車内装用
塩化ビニル表皮との比較で評価し、ベタツキがなくほぼ
同等の温感、スベリ性、柔軟感があるものを良好とし
た。クッション性は現在使用されている自動車内装用積
層体(表皮:厚さ0.5mm塩化ビニル,発泡層:厚さ
2mmの架橋ポリプロピレン発泡体)との比較で評価
し、ほぼ同等のクッション感があるものを良好とした。 (7)接着強度 多層積層体を25mm幅の試験片に切断し、引張り試験
機で表皮層−発泡層間のT型剥離強度(引張り速度20
0mm/分)を測定した。本試験で発泡層が材料破壊し
たものは、「材料破壊」とした。
【0044】また、熱可塑性エラストマーとして、参考
例1〜4及び表2に示すエチレン・α−オレフィン系共
重合ゴムの部分架橋物とポリオレフィンとの混合物、お
よび表2に示すプロピレン−α−オレフィン共重合体
(PP共重合体)を用いた。
【0045】<参考例1>エチレン・プロピレン・エチ
リデンノルボルネン3元共重合体〔エチレン/プロピレ
ンモル比が70/30、沃素価14、ムーニー粘度(M
1+4 ,121℃)59〕49重量%、ポリプロピレン
〔MFR(JIS K7210,表1,条件14)15
g/10分〕20重量%、ナフテン系プロセスオイル3
0重量%、及び1,3−ビス(第3ブチルペルオキシイ
ソプロピル)ベンゼン/トリメチロールプロパントリア
クリラート/パラフィン系鉱物油が重量比2/3/5で
ある混合物1重量%を、ヘンシェルミキサーで混合し、
その後この混合物を120〜140℃に予熱されたバン
バリーミキサーに投入し、180〜190℃で10分間
混練し架橋反応を行った。これを熱可塑性エラストマー
(1)とした。ショアA硬度は71、溶融粘度比(η1
/η2 )は4.9であった。
【0046】<参考例2>エチレン・プロピレン・エチ
リデンノルボルネン3元共重合体〔エチレン/プロピレ
ンモル比が70/30、沃素価14、ムーニー粘度(M
1+4 ,121℃)59〕69重量%、ポリプロピレン
〔MFR(JIS K7210,表1,条件14)15
g/10分〕30重量%、及び1,3−ビス(第3ブチ
ルペルオキシイソプロピル)ベンゼン/トリメチロール
プロパントリアクリラート/パラフィン系鉱物油が重量
比2/3/5である混合物1重量%を、ヘンシェルミキ
サーで混合し、その後この混合物を120〜140℃に
予熱されたバンバリーミキサーに投入し、180〜19
0℃で10分間混練し架橋反応を行った。これを熱可塑
性エラストマー(2)とした。ショアA硬度は82、溶
融粘度比は5.4であった。
【0047】<参考例3>エチレン・プロピレン2元共
重合体〔エチレン/プロピレンモル比が70/30、M
FR(JIS K7210,表1,条件14)0.02
g/10分,MW/MN =3.5,デカリン中135℃
の極限粘度は5.4dl/g〕43重量%、ポリプロピ
レン〔MFR(JIS K7210,表1,条件14)
0.5g/10分,結晶融点160℃〕19重量%、パ
ラフィン系プロセスオイル36重量%及び2,5−ジメ
チル−2,5ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン/ト
リアリルイソシアヌレートが重量比5/5である混合物
2重量%を、ヘンシェルミキサーで混合し、その後この
混合物を120〜140℃に余熱されたバンバリーミキ
サーに投入し、180〜190℃で10分間混練し架橋
反応を行った。これを熱可塑性エラストマー(3)とし
た。ショアA硬度は67、溶融粘度比は4.6であっ
た。
【0048】<参考例4>エチレン・プロピレン・エチ
リデンノルボルネン3元共重合体〔エチレン/プロピレ
ンモル比が60/40、沃素価18、ムーニー粘度(M
1+4 ,121℃)63〕を熱可塑性エラストマー
(4)とした。ショアA硬度は50、溶融粘度比は4.
1であった。
【0049】
【表2】
【0050】エチレン系共重合体として、表3に示す共
重合体(EPC1〜7)を用いた。また、上記EPC、
発泡剤、反応性化合物および反応促進剤を混合し、表4
に示す発泡性樹脂混合物(POF1〜25)を調製し
た。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表4】
【0054】発泡剤A:アゾジカルボンアミド/ZnO
=50/50( 重量比) の混合物 発泡剤B:アゾジカルボンアミド/p,p’−オキシビ
ス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)=50/50( 重
量比) の混合物 発泡剤C:アゾジカルボンアミド/ジニトロソペンタテ
トラミン/尿素=50/25/25( 重量比) の混合物 発泡剤D:炭酸水素ナトリウム/クエン酸=90/10
( 重量比) の混合物 DG−80E:デカグリセリンのエチレンオキシド
(8.0モル)付加体 PE−45P:ペンタエリスリトールのプロピレンオキ
シド(4.5モル)付加体 TMP:トリメチロールプロパン E−HEA:エチレン−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト(8重量%)共重合体〔MFR(JIS−K7210
表1、条件4)30g/10分〕 DG−ST:デカグリセリンのステアリン酸トリエステ
ル HMD:1,6−ヘキサメチレンジアミン DADM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン TMPTG:トリメチロールプロパントリグリシジルエ
ーテル EP4080:旭電化製水添ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂 HMDI:ヘキサメチレンジイソシアナート IPDI:イソホロンジイソシアナート 金属塩(a) :エチレン−メタクリル酸(18重量%)共
重合体のナトリウム塩〔カルボキシル基の10モル%中
和、MFR(JIS−K7210 表1、条件4)3.
0g/10分〕 金属塩(b) :ステアリン酸ナトリウム
【0055】実施例1 まず、参考例1に示した熱可塑性エラストマ−(1)を
25mmφのスクリューを有するTダイスつき押出機を
用いて樹脂温度210℃で厚さ0.5mmのシート状に
成形し、150mm×150mmの大きさにしカットし
た。次いで表3に示したEPC1を25mmφのスクリ
ューを有するTダイスつき押出機を用いて樹脂温度11
0℃で厚さ1mmのシート状に成形し、150mm×1
50mmの大きさにしカットした。上下の金型を180
℃に調整したプレス機に、アルミ製プレス平板、POF
1のシート、熱可塑性エラストマ−(1)のシートを順
次のせ、更に3mmのスペーサーをはさんで剥離剤を塗
布したシボつきアルミ製プレス板をのせて上金型の自重
のみで加熱プレスした。5分間加熱した後プレス機から
取り出し、直ちに水で冷却して多層積層体を得た。
【0056】得られた多層積層体の発泡層の厚さは3m
mで、その発泡層を切りとりアルキメデス法で密度を測
定し発泡倍率を計算したところ4.5倍であった。ま
た、得られた多層積層体の耐熱性を評価したところ、平
均シボ変化率は6%、体積変化は8%であった。また、
触感及びクッション性も良好であった。さらに、多層積
層体の層間接着強度を測定したところ、発泡層が材料破
壊し良好な接着性を有していることが確認された。以上
の結果を表5に示す。
【0057】実施例2〜30 参考例1〜3或いは表2に示した熱可塑性エラストマ−
及び表4に示した発泡性樹脂混合物を用い、実施例1と
同様にシート状に成形した。但し、熱可塑性エラストマ
−(9)を用いた場合はシート厚みを1.0mmとし
た。また、表5に示した組み合わせで表皮層、発泡層を
選択し、実施例1ど同様にして多層積層体を得た。但
し、実施例6、10、14及び23では、プレス時のス
ペーサー厚みを5mmとし、実施例3、4及び17〜2
1ではプレス時のスペーサー厚みを2mmとした。得ら
れた多層積層体の評価は、実施例1と同様に行った。そ
れらの結果を表5に纏める。何れの場合も良好な多層積
層体が得られた。
【0058】比較例1〜4 熱可塑性エラストマーの種類を表6に示したものに変え
た他は、実施例1と同様の方法で多層積層体を作成し、
評価した。それらの結果を表6に纏める。熱可塑性エラ
ストマー(4)或いは(12)を用いた場合には、熱可
塑性エラストマ−が柔軟すぎて耐熱性が不足し、また、
触感もベタツキが感じられ不良であった。熱可塑性エラ
ストマー(10)或いは(11)を用いた場合には、熱
可塑性エラストマ−が硬すぎて、触感が不良であった。
【0059】比較例5 発泡性樹脂組成物として表4に示すPOF23を用いた
他は、実施例17と同様の方法で多層積層体を作成し、
評価した。その結果を表6に纏める。発泡層の耐熱性が
不足し、発泡層が溶融した。
【0060】比較例6 発泡性樹脂組成物として表4に示すPOF24を用いた
他は、実施例17と同様の方法で多層積層体を作成し、
評価した。その結果を表6に纏める。発泡層の耐熱性が
不足し、発泡層が溶融した。
【0061】比較例7 発泡性樹脂組成物として表4に示すPOF25を用いた
他は、実施例17と同様の方法で多層積層体を作成し、
評価した。その結果を表6に纏める。発泡が十分でな
く、また、発泡層の耐熱性が不足し、発泡層が溶融し
た。
【0062】比較例8 発泡層として、東レ製架橋発泡ポリプロピレンシート、
ペフ(発泡倍率25倍、厚さ2mm)を用いた他は、実
施例1と同様にして加熱プレスし、多層積層体を作成
し、評価した。その結果を表6に纏める。表皮層と発泡
層の層間接着強度が不足し、界面剥離となった。
【0063】
【表5】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【発明の効果】本発明の多層積層体は、耐熱性、柔軟性
を満足し且つ比較的容易に発泡成形し積層する事が可能
なポリオレフィン系の材料を使用し、自動車、車両、船
舶等の内装用材料等として好適な、耐熱性に優れ、且つ
クッション性等の触感にも優れるので有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エチレン−プロピレン共重合体の同位体炭素に
よる核磁気共鳴スペクトルの例である。
【図2】ポリオレフィンにおける連鎖分布由来の各炭素
の名称を示す図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ショアA硬度が55〜96である熱可塑
    性エラストマーからなる表皮層(A)と、(a)エチレ
    ンと少なくともラジカル重合性酸無水物を共重合したエ
    チレン系共重合体 100重量部に対して(b)有機系
    熱分解型発泡剤 0.1〜40重量部からなる混合物を
    発泡させて得られた発泡層(B)との少なくとも2層か
    らなる多層積層体。
  2. 【請求項2】 ショアA硬度が55〜96である熱可塑
    性エラストマーからなる表皮層(A)と、上記(a)成
    分100重量部に対して(b)成分0.1〜40重量部
    および(c)分子内に酸無水物基と反応し得る官能基を
    2個以上有する反応性化合物からなり、(a)成分中の
    ラジカル重合性酸無水物に由来する単位に対し、(c)
    成分である反応性化合物中の官能基のモル比が0.01
    〜10である組成物を発泡させて得られた発泡層(B)
    との少なくとも2層からなる多層積層体。
  3. 【請求項3】 表皮層(A)が剪断速度101 sec-1
    におけるスリットダイ法による溶融粘度η1 と剪断速度
    102 sec-1におけるスリットダイ法による溶融粘度
    η2 の比(η1 /η2 )が3.5〜8である熱可塑性エ
    ラストマーからなる請求項1または請求項2記載の多層
    積層体。
  4. 【請求項4】 表皮層(A)がプロピレン−α−オレフ
    ィン共重合体であって、且つ該プロピレン−α−オレフ
    ィン共重合体がポリプロピレンブロック65〜25重量
    %とプロピレンとエチレン及び/叉は炭素数4〜12の
    α−オレフィンとの共重合体ブロック35〜75重量%
    からなる熱可塑性エラストマーである請求項3記載の多
    層積層体。
  5. 【請求項5】 上記(c)反応性化合物中の官能基が、
    水酸基、アミノ基、エポキシ基またはイソシアナート基
    からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項2
    〜4のいずれか1項に記載の多層積層体。
  6. 【請求項6】 発泡層(B)の(a)エチレン系共重合
    体がラジカル重合性酸無水物に由来する単位を0.1〜
    20重量%含有する請求項2〜5のいずれか1項に記載
    の多層積層体。
  7. 【請求項7】 表皮層(A)の厚さが0.1〜2mmで
    あり、発泡層(B)の厚さが1〜10mmである請求項
    1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 【請求項8】 発泡層(B)の発泡倍率が1.5〜50
    倍である請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層積層
    体。
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